『ご飯は私を裏切らない』の“いくらトースト2種”を再現!
- Sun
- 23:00
- 再現料理
ここまで長期間熱が出続けたのは実に6年ぶりな上、扁桃腺炎は眠れば眠る程熱が上がり頭痛がして悪夢を見るという嫌がらせのような症状付きだった為、なかなか眠れずウンウン唸っておりました;。
この病気は一度かかったら死ぬまでぶり返す可能性があるという事なので恐怖におののいており、遠出する時はうがい薬が手放せなくなっている今日この頃です。
どうも、6年前高熱が出てダウンした時はTVでベッ○ーの不倫騒動ばかりえんえんと報道していた為、ちょっとでも熱があがると○ッキーとゲスの極み乙女。を思い出すという謎のパブロフの犬現象が条件づけられている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、 『ご飯は私を裏切らない』にて主人公がある夜に作っていた晩ご飯“いくらトースト2種”です!

漫画『ご飯は私を裏切らない』とは、29歳、中卒、恋人いない歴=年齢、バイト以外の職歴なし、友人なし、頼れる人なしという、本人曰く「改めて自分を見つけ直すとやばい、頭痛がしてくる、何もない人生これからどうしたらいいのか」と懊悩する日々を送り、週7でバイトを3つ掛け持ちし単発の日雇い派遣の仕事もしている主人公(名前不詳)が、今日と明日を乗り切る為「食」を自分なりに楽しんで生きる日々を描いた、新感覚の労働哲学系食べ物漫画です!
一応、ジャンルとしては「グルメ漫画」になっていますが、その割には食以外の題材を取り上げた独特なコラムや生き物の豆知識、ブラック企業や労働あるあるの長文が多く詰め込まれているのが特徴的(←イメージとしては、冨樫先生の『レベルE』の長文シーンが近いかと。あそこまで暗くもコメディーでもありませんが…)。
外食やテイクアウトを除けばほとんどの料理のレシピが書かれており、材料は普通でも組み合わせや調理工程に独自のセンスがあるのが特色(←“ローストビーフいくら丼”とか、“キャベツとチーズのホイル焼き”とか、“ニューコンミートのマリネ”とか)。
ただ、お料理要素はむしろ添え物な印象で、メインは料理を食べていく内に思い出す過去の出来事や雑学のような感じすらあり、他のグルメ漫画とは一線を画す不思議な雰囲気なのですが、それが妙に癖になりました。
単行本の表紙だと何やら癖がありそうに見える主人公ですが、実はかなり謙虚かつ善良で意外とくだけた性格をしており、表情もコロコロ変わるというギャップ萌えなキャラでもありますので、読んでいて応援したくなります(←何より、当管理人と同じく大好物がいくらというところに激しく共感しました!)。

作中では「バイト先で自分より仕事ができない人見たことない」「簡単だとか楽だという仕事は全部普通に難しい!!!」と独白しており、同じ仕事を1年以上続けられないと言っているシーンもありましたが、その割には鋭い視点や色んな知識を持っており、どのページも説得力のあるセリフに満ち満ちています(←アメリカギンヤンマとかゴマンモンガラとか、この漫画で初めて知りました)。
中でも、自分の好物のいくらを見て「生き物とはこうやって小さく生まれて小さく死んでいくものなんだと思える」「この世で何も為せなくても別にいいんじゃないかな…そんな気持ちになる…」という、昨今の生きる価値や理由や運命を人生に見出そうとする思想とは真逆の発想をする流れのシーンは秀逸。
日によって現場が変わる単発派遣のお仕事の描写がリアルで、ちょっとした社会科見学気分になるのも興味深いです(←学生時代、面接は受けたものの落ちたり上限になっていたりして結局できなかったお仕事がいくつかあり、少しワクワクしました)。
また、絵面が黒く主人公自身なかなかエキセントリックな思考回路をしている為、一見鬱漫画に間違われそうですが、実は主人公は比較的前向きに生きているタイプで、そのせいか鬱エンド系作品にありがちなズーンとした読後感がありません。
松岡修造さんやサンシャイン池崎さんみたいな能動的な前向きさでは決してないのですが、天からランダムに与えられたスペックや環境を憎んだり卑屈になって受け入れるのではなく、その状況で手に入る範囲の幸福を地道に手に入れようと慎ましやかにゆっくりと努力する、いわば引っ込み思案的前向きさで、日常のささやかな出来事を良く受け止めて悪意をふりまかず生きている様子が見ていてとても清々しい為、人としての性根がいいというのはこういう事をいうのだろうなと感じます。
こういう長所は地味であまり目立ちませんが、個人的に見習いたいと読み度に思う作品です。

今回再現するのは、第一話で登場した“いくらトースト2種”!
作り方はとても簡単で、食パン全面にサワークリームを塗って半分の箇所に包丁で切れ目を入れ、半分だけとろけるチーズをのせてトーストを作り、チーズが乗っている方にはいくらを乗せてパセリを散らし、そうでない方にはマヨを絞ってからイクラを乗せて刻み海苔をかけたらもう出来上がりです。
ポイントは、絶対にいくらは後乗せすることくらいで、一度いくらを高温で熱してしまうと白くて硬くてぼそぼそになるので要注意です(←確か、『クッキングパパ』の“寿司フライ”の回でも言われていた記憶があります)。
主人公曰く、バタートーストにいくらを乗せるだけでも十分美味だそうで、いくらと言えば酢飯と条件反射で脳裏に刻み込まれている当管理人としてはカルチャーショックでした(←ご飯以外と合わせておいしいのは再現をしていく中で学んでいましたが、最優先はやはりご飯のまま)。
ちなみに、ロシアではこのいくらトーストは日常的に食べられており、ファストフード店では何といくらクレープというのもあるのだそうで、贅沢すぎる…!と身もだえしそうになりました;。

最近、主人公と同じくスーパーで安いいくらを見つかられたので再現することにしました。
作中には大体のレシピが記載されておりますので、その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、焼く前の下準備。
食パンの全面にサワークリームを塗り、半分の箇所にパン切り包丁で切れ目を入れます。
半分の箇所だけとろけるチーズをのせ、そのまま熱したオーブントースターで全体にこんがり焼き目がつくまでトーストします。


次は、盛り付け作業。
食パンが焼けてチーズが溶けたら取り出し、チーズの所にはそのままいくらを乗せ、何も乗せていなかった所にはマヨネーズをかけてからいくらを乗せます。



チーズの所にはパセリのみじんきりを散らし、マヨネーズの所には刻み海苔を散らしたら、“いくらトースト2種”の完成です!

いくらが乗っているだけで豪華と言いますか、存在感が段違いでうっとりします。
サワークリームのトーストも初めてなので、どんな味がするのか楽しみです!


それでは、熱々の内にいざ実食!
いただきまーすっ!

さて、感想ですが…両方とも贅沢かつ新しい美味しさでうっとり!ご飯とも麺とも違う別種の相性の良さがあり、「いくらの潜在能力は異常!いくら最強!」と感じました!
和風トーストは、マヨネーズのパワーか不思議と全く辛くない明太マヨと言いたくなるようなこってりしたコクのある塩気が効いており、どこか懐かしい味がします。
一番近い料理を挙げるとするなら、明太フランスっぽいです。
海苔の磯風味も意外に存在感が強く、味付けは実際洋風なのに、これだけで「和」と主張してくる圧倒的な説得力がありました。
明太マヨのパスタそのものな材料ではあるのですが、麺と違ってパンはプチプチ弾けるいくらの汁気をどこまでも染み込んで逃さない為、一体感がすごかったです。
洋風トーストは、サワークリームのクリーミーかつまろやかな酸味と、チーズの濃厚な旨味がトロトロに溶け合ってガツンとくる満足感があるのに、それでいて品のいい後口が特徴。
マヨネーズと合わせた時と違い、いくらの出汁(?)的な味よりも塩気が際立っており、ふんわり柔らかなカナッペ風の仕上がりになっていました。
和風のマヨネーズはビール、洋風のチーズはワインに合いそうな感じです。
こんがり焼いて甘みと香ばしさが引き立てられた食パンがいくらの塩分とうまく結びついて互いに旨さを高めあっており、いくら丼が引き算の料理とするなら、こちらは足し算の料理だと感じました。
いくらがお手頃価格で手に入ったら、ほぼ100%酢飯や海苔と合わせてわさび醤油味の丼にしていましたが、たまにはパンもいいなと考え直しました。
次は、作中でもお勧めされていたバター味も試してみたいです。
P.S.
まりこさん、無記名さん、コメントをしていただきありがとうございます!
『エプロンまま子のお元気レシピ』、残念ながら電子書籍化していないみたいです…昔の少女漫画はほとんどが紙書籍のままですので、これから電子化が進んでくれるといいですね。この巻き寿司はとってもボリュームがあるので、場合によっては一切れでお腹がいっぱいになるかもしれませんが、卵の旨味を吸った巻き寿司は本当に美味しいのでおすすめです!
無記名さん、わざわざお礼を頂きかえって恐縮です。このプリン、今ではすっかり有名になってコンビニでも同じようなものが食べられるようになったのが感慨深いです…(←ファミリーマートのスフレ・プリンという商品です)。
●出典)『ご飯は私を裏切らない』 heisoku/KADOKAWA
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『大どろぼうはオムレツせんせい』の“バナナオムレツ”を再現!
- Thu
- 23:25
- 再現料理
何かにぶつかって後ずさりしたり、充電しにドックへ戻ろうとする際たまたま前がふさがっていたらオロオロしたり、暗い所に行ったらピカーッとライトで照らしながらせっせと掃除したり、自分なりに道順が決まっているせいか目の前にゴミがあっても通り過ぎることがあって「わざとか?!」と突っ込んだりと、なかなか楽しんでいます。
最近は某漫画に影響を受けて「ロボ子」と呼び、掃除が終わって戻る時は必ずお礼を言うようになっており、傍目からすれば不審者感マックスな中年になっている今日この頃です。
どうも、夫から「有料で声優ボイスを音声案内に組み込めたら、絶対課金するのになー。大塚明夫ボイスとか」と言われ、「確かに!微妙に違う弟者さんボイスもあったら即ダウンロードする!」などと平和な会話をしている当ブログの管理人・あんこです。
今回再現する料理は、 『大どろぼうはオムレツせんせい』にて主人公・ごそはちさんがその場にあった材料で器用に作った“バナナオムレツ”です!

山脇 恭先生の『大どろぼう』シリーズは、言うまでもなく主人公は皆泥棒ですが、実は年齢・性格・特技・料理スキルは結構バラバラで違いがあります。
例えば、『大どろぼうとあくまのスパゲティ』に出てくるのはわるぞうさんという、親御さんの精神状態が心配になる程ストレートな悪行向きの名前をした泥棒ですが、両津勘吉ばりにお金に目がないかなりの知恵者で、恐らくシリーズ一かしこい人物。
それに対して、『大どろぼうはハンバーグ大王』に登場するどたろうさんは、お人好しで困った人が見逃せないおせっかい人間で、何と逆に自分が別の泥棒を追い払ってしまうというなぜ泥棒になったのかわからないキャラ(←しかも、泥棒は一回も成功していないことが明かされた為、実は自称泥棒の食道楽おじさんの可能性すらあります…)。
また、『大どろぼうはアイスクリームはかせ』の主人公・こそたさんの場合、アイスクリーム作りの達人かつコミュ強すぎて泥棒に入った先の家主から「それほど悪い人には思えません」と言われ、最終的にはくろぼし巡査すらその腕前で骨抜きにして見逃してもらうという、豊臣秀吉ばりの人たらしの術を発揮するなど、この作品に出てくる泥棒達はかなり個性的でした(←この自分が納得する味を出したら罪を不問にする展開、『美味しんぼ』の中松警部がある無許可屋台のそばつゆの味を認め、営業許可証を諸々すっ飛ばして渡した話に通じるものがあるな~と思いました;。昭和から平成にかけての世界は、おおらかでいいですね!)。

なお、『大どろぼうはオムレツせんせい』の主人公であるごそはちさんは、単純にいい人とも悪い人とも言いにくいイタズラを連発した泥棒さんで、一言で評価することが難しい人物。
というのも、たまたまある小学校に夜中入り込んでしまい、懐かしい気持ちも相まって色んな教室を歩き回るのですが、校長室で歴代校長の写真を見つけ、泥棒になった自分を怒られている気がして「ごめんなさい」と思わず頭を下げてしまうというお茶目なシーンはあったものの、その後がかなり問題行動のオンパレードだった為。
図工室に飾ってあった子供たちの作品である家族画に、黒いクレヨンでほっかむり・サングラス・覆面を書き足し、窓の絵には鉄格子を書き入れたり(←その昔、スペインで起きた「史上最悪の修復キリスト画」事件を思い出しました…あのおばあさん息災でしょうか?)。
2年3組に放置されていた未採点のテスト用紙を発見し、間違っている答えをわざわざ正しい答えに書き換え、全員を100点として赤ペンで書き入れたり(←これは微妙に嬉しい…かな?)。
とどめに、その日たまたま学校でのお泊り会に参加していた子供たちの為に用意されていた卵やバナナなどの食材を調理室で発見し、夜食がてらオムレツ作りに励んだりと、なかなかにやらかしていました。
不法侵入罪、器物損壊罪、侵入窃盗罪など、罪状がジェンガの如くどんどん積み重なっていますが、この町にいるのは『金田一少年の事件簿』に出てくるポンのコツな日本警察並に犯人を取り逃がしがちなくろぼし巡査のみなので、ごそはちさんが罪に問われる可能性は限りなく低いものと思われます…。

この時、調理室が騒がしくて起きてきたお泊り会の小学生達や担任の先生に、ごそはちさんがとっさに「朝食を作りに来た給食係の調理師です!」と名乗って作っていたのが、この“バナナオムレツ”です!
作り方は非常に簡単で、バターを溶かして熱したフライパンへ、卵・砂糖・牛乳をかき混ぜて作った卵液を流し込んで半熟になるように焼き、真ん中へバター・砂糖・バナナを炒めた物を乗せ、クルクル折りたためばもう出来上がりです。
ポイントは、卵はコシが切れるまでしっかりかき混ぜること、フライパンに卵を入れたら固まりすぎないよう手早く仕上げることの二点で、ごそはちさんはそこまで料理上手ではないものの短時間で作れるようになったと書かれていました。
バナナオムレツケーキは有名な「まるごとバナナ」を始めよく聞きますが、単純にオムレツに入れてしまうだけのレシピはネット上すら未だ見当たらず、海外すらサントメプリンシペという中央アフリカの国で青いバナナを使ったオムレツしか紹介されていない状態で、ありそうでない新しい料理だと感じました。

最近オムレツ作りに凝っているのですが、考えてみればデザート系は全くと言っていい程作っていないことに気づき再現することにしました。
作中の描写はもちろん、その後出版されていたレシピ本にも分量付きの詳細なレシピが記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、バナナの下準備。
バナナは皮を剥いて均等に輪切りにし、バターを入れて熱したフライパンへ砂糖と一緒に投入し、全体がなじむまで弱火で炒めます。
バナナがとろりとして砂糖がなじんできたら火を止め、別皿に移します。


次は、オムレツ作り。
バターを入れて中火に熱したフライパンへ、牛乳と砂糖を入れて泡だて器でよく混ぜ合わせた卵液を流し入れ、全体が半熟状になるまでクルクルとかき混ぜます。
卵のふちが固まってきてトロトロしてきたら、先ほど取っておいた炒めバナナを真ん中に乗せ、破れたりこぼれたりしないよう気をつけながらトントンと折りたたんでいきます。


卵の形が整ってきたらお皿へそっと盛り付け、そのままテーブルへ運べば“バナナオムレツ”の完成です!

残念ながら、当管理人の腕前ではごそはちさんみたいにうまくいかず、下半分がうまく包めずグチャッと潰れた残念オムレツになってしまいました…すみませんorz(←必死にラップなどで成形し直してごまかしました)。
ただ、見た目はがっかりなものの、熱したバナナの甘~い香りは十分に食欲をそそったため、味には期待が持てそうです。

それでは、熱々の内にフォークで割っていざ実食!
いただきまーすっ!

さて、味の感想ですが…予想以上にしっくりくるデザートオムレツで美味し!熱々トロトロのバナナと卵だけのシンプルな組み合わせなのに、深みすら感じます!
当初は「バナナパンケーキに近い味かな?」と想像していましたが、どちらかと言えば粉っ気と重さがまるでないバナナオムレットというイメージで、どんなバナナ系デザートよりふんわりと軽く食べられます。
もしくは、スフレ風とも呼びたくなる程ぶくぶくシュワシュワとした淡雪のように優雅な口溶けで、給食室で即興で作った料理というよりは、恐れ多くも星付きレストランにありそうな非日常的味わいが印象的でした。
半分溶けてジャムっぽく仕上がった、まるで蜂蜜みたいにねっとりとした滋味のある、それでいてしつこくない強い焼きバナナの甘みを、バター風味のリッチなプレーンオムレツが優しく包み込んで引き立てているのが良かったです。
両方ともバターと砂糖をそこそこ使ったので結構ガツンとくるのでは…とやや及び腰でしたが、意外とあっさりした上品な後口が特徴的でした。
材料がプリンそっくりなせいか、どことなく焼きプリンっぽいほのかに香ばしい風味が噛むごとに漂うのもよく、素朴なのに奥深い不思議なオムレツです。
夫はこういう変化球(←おかず系クレープとかパイナップル入り酢豚とか)があまり好きではないタイプなのですが、このオムレツは美味しいと言っていました。
そのまま食べてもおいしいバナナですが、他の食材と組み合わせたり熱したりすると途端に印象がガラッと変わって面白い食材ですので、今度は密かに合いそうだと考えているお餅とのドッキングを試してみたいと思います。
P.S.
無記名さん、コメントをしていただきありがとうございます!
そうなんです、実に数年ぶりの引っ越しを致しました…荷物をまとめるのに疲労がすごく、それなりに歳をとったのだと痛感しました;。前回ご紹介した冷やしタイプのマルタイラーメンはとても簡単なのに見合わないくらい美味しいので、これからの季節にぴったりだと思います!
●出典)『大どろぼうはオムレツせんせい』 作:山脇 恭 絵:草間 俊行/偕成社
『大どろぼうのおもしろおやつ』 作:山脇 恭 絵:草間 俊行 料理監修:峯村 裕子/偕成社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』の“マルタイラーメンのれいめん”を再現!
- Tue
- 23:50
- 再現料理
お洒落な方なので、話題の新しい店に案内した方がいいかと考えていたのですが、「資さんうどん(←北九州発祥のチェーン系ローカルうどん屋)でごぼう天うどんを食べたい!」とリクエストされた為、少しびっくりしました。
何でも、関東にはごぼう天うどんを扱っているお店はほぼなく、たまに見かけてもかき揚げタイプで福岡にあるごぼう天のように分厚くないのでずっと食べたかったとおっしゃっており、なるほど…と思いました。
ご馳走よりも、こういう日常的な食べ物の方が「無性に食べたい度」が高いのかもしれません。
どうも、同じ福岡県内で引っ越しただけなのに、ラーメンスープの味・麺の太さ・サイドメニューの顔ぶれがガラリと変わり、深刻なラーメン飢餓状態になっている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』にて著者のスケラッコ先生が暑い夏に作るなんとなクッキング料理・“マルタイラーメンのれいめん”です!

『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』とは、著者のスケラッコ先生が「しょうゆさし」というデフォルメ自画像キャラを使い、食に関する日常を描いたグルメ系コミックエッセイです!
大判コミックで全ページフルカラーという豪華絢爛な一冊で、色鮮やかな料理の描写には非常にそそられるため、空腹時や夜中には要注意な作品。
食べた事がない食品でも、スケラッコ先生は
pixivで大好評だった作品に書下ろしが40ページプラスされて発行されており、レシピ編・おすすめ商品編・グルメ旅行or食べ歩き編に大きくわけられるのですが、どれも食べる事を心から愛するスケラッコ先生の熱意がこれでもか!と言わんばかりに伝わってくる為、飛ばし回が一切なく一気に読み進められました(←完全に独りよがりな偏見で恐縮ですが、「SNSで大ヒット!」「フォロワー〇万超え」「Twitter 累計〇万いいね! 」と言われる無料ネット漫画ほど単行本になると苦戦する事例は珍しくないと思うのに、今作はむしろ紙の単行本を待ち望んでいた声が多いのがすごいです)。
まだコロナが日本で騒がれ出す前だった、2015年~2019年末までの食やお店の記録が魅力的に描かれており、世界が一変してしまった今読むと何とも懐かしい感慨深い気持ちになれますので、かつての平和な時代を思い返したい方にもおすすめの一冊です。


グルメ本というと、色んな意味で愛すべきバイブル『美味しんぼ』程極端じゃなくても、各々が持つこだわりや生き方がセットで主張される事が多数で、その押し付けがたまに息苦しく感じることもあるのですが、スケラッコ先生の描くグルメエッセイにはそういった湿度の高いモヤモヤ感は皆無!
ものすごくお洒落とか丁寧とか体によさそうとか、そういったウケのよさそうな華々しい要素はないのですが(←※断じてディスっている訳ではありません)、ふとした時に「あれ食べたいな」「さっと作れそう」と後々思い出すような、等身大で身近で、それでいて食欲が刺激される料理ばかりで、見ていて楽しいだけでなくかなり実用的な漫画だと感じます。
フライドポテト、ポテトチップス、こってりパスタ、ソース焼きそば、回転すし、たらこうどん、オムライス、チャーハン、卵かけご飯、麻婆春雨、チーズトーストなど、お米や小麦の肩身が狭いこのご時世で炭水化物が主役のレシピが大量に出てくるファンキーなラインナップがたまらない感じで、一日ぐらい野菜を抜いたからって死にはしないと心が軽くなるのもポイントが高いです。
また、「カレーペーストを炒ったら煙が凶器」「551の豚まんの下は肉汁が染みてしっとり」「鶏もも肉をフォークで刺す時のドキドキ感」など、体験したことがないとわからない日常での小さな気づきが細やかに書かれるのもいちいち共感できて楽しく、食べ物要素が強い日常系漫画としても読めるのがよきでした。


今回ご紹介するのは、「れいめん」の章で作られていた“マルタイラーメンのれいめん”!
作り方は簡単で、マルタイラーメンの調味油・粉スープ・砂糖・醤油・お水をお皿であらかじめ混ぜておき、そこへ茹でて冷水で締めておいた麺を投入して和え、その上にほぐしたカニカマ・切ったトマト・小口切りにした小ねぎを乗せてマヨネーズを回しかけたららもう出来上がりです。
ポイントは、お皿は大き目で少し深さがある物を使用すること、つけだれは麺を合わせる前にしっかり混ぜておくことの二点で、時間をかけずササッと用意するのがミソみたいです。
マルタイラーメンは袋の裏面通り作るのが一番、アレンジはせいぜい煮ている時に卵を落とすくらいのものと考えていた為、まさかの冷やして食べるという発想には衝撃を受けましたが、実は最近パッケージで「冷やし中華作れます!」とアピールするようになっており、ちゃんと作り方まで裏面に記載するようになっていました。
しかし、スケラッコ先生がこちらのレシピを考案したのはそれよりも前、その上お酢を使わないバージョンという斬新さで、「そうか、麺はノンフライだしスープに油分があまりない分、むしろ冷やし向きなのかもしれない」と目からウロコが落ちたものです。

先日、スーパーでマルタイラーメンがセールで安くなっていた為、最近暑くなっていたのもありちょうどいい機会と考え再現することにしました。
作中には分量付きの詳細なレシピが記載されている為、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、マルタイラーメンの下準備。
大きめで底も深めなお皿に、マルタイラーメンの粉スープ、調味油、醤油、砂糖、お水を入れてよく混ぜ、麺を味付けするつけだれを用意しておきます。
麺は、袋の裏にある規定時間(←冷やし用は4分茹でてくださいと書かれていました)通り茹で、時間が経過したら手早くザルに移して冷水で面全体をキュッと冷やし、水気をよく切ります。
※マルタイラーメンは沸騰時、いきなり泡がぶくぶくしてかなり吹きこぼれやすいので、要注意です!



その間、具の下ごしらえ。
カニカマは手で食べやすいサイズになるようざっとほぐし、トマトはヘタを切り取って賽の目切りにし、小ねぎは小口切りにします(←トマトを切った時に出る汁も、つけだれに混ぜます)。


麺をつけだれ入りのお皿へ入れてよく和え、その上へトマトとカニカマを飾り、最後にマヨネーズを絞って小ねぎを散らせば“マルタイラーメンのれいめん”の完成です!

色味が赤ばっかりと作中で突っ込まれていましたが、小ねぎとつけだれとマヨネーズのおかげか、そこまで気になりませんでした。
パッと見ではマルタイラーメンとは思えませんが、果たして味はどうなのか…ちょっと想像がつきません。

それでは、マヨネーズをなじませるよう軽く混ぜ混ぜしてからいざ実食!
いただきまーすっ!

さて、味の感想ですが…斬新ながら癖になる新しい美味しさで感動!夏になる度リピートしたくなる立派な麺料理です!

冷麺系はお酢がキリリと効いたシャープな味付けが多いですが、こちらは冷やしそうめん同様全くと言っていい程酸味がない為、酸っぱい麺が苦手な方でも食べられそうだと感じました。
冷やし中華よりも冷やしラーメンに近く、シンプルであっさりした正統派醤油味のスープと、まっすぐでコシのあるノンフライ中細麺の相性は冷えてもやはり抜群です。
マルタイラーメンの弱点は、今時珍しいくらい硬派でくどくないさっぱりした味わいの為、お腹がペコペコな時に食べると若干物足りないところですが、こちらはマヨネーズの油分がそこそここってりした食べ応えとまろやかなコクをプラスしており、見事に弱みをカバーしていました。
よ~く味わうと、ちょっとだけジャンキーなインスタント豚骨スープっぽい後口がするのが面白く、冷やし麺にマヨネーズのトッピングは標準にしたい程気に入りました(←後入れでいつでも濃さを調節可能なのもポイント高し)。
サラダうどんの中華バージョンというイメージで、トマトのフルーティーな汁気がほのかな甘酢っぱさをプラスしていいアクセントになっており、ちょうどいい具合にメリハリのある味付けでした。
回転寿司のアレンジ軍艦物でお馴染みのカニカママヨの組み合わせも中華麺にぴったりで、ボリューム感があり良かったです。
味変でお酢・すりゴマ・辛子を加えても当然の如く合いましたし、もう少し具材が欲しい時は茹で卵や千切りきゅうりをプラスしてもナイスでした(←ただ、そうするとせっかくの手軽レシピが少し手間がかかるようになってしまうのが難点…;)。
他にも、マルタイラーメンは油そば風や焼きそば風にしても美味しいらしいので、色々試してみたいな~と探求心が刺激された再現でした。
P.S.
テンキーさん、キンメさん、業務スーパーファン さん、コメントをしていただきありがとうございます。
テンキーさん、『フェルマーの料理』を教えてくださりありがとうございました!本当に、思い出すたび無性に食べたくなるナポリタンですよね…特別な調味料がいらず、手軽に作りやすいのもポイント高いです。最近、生タイプのリングイーネでも試してみましたが、乾麺とは一味違った吸いつくようなモチモチ食感になり、これはこれで美味しかったです。
キンメさん、近年グルメ漫画は従来のトーナメントorバトル物とは違った切り口の物が増えてきており、それはそれで面白いな~と感じております。めんつゆは各会社によって個性が違っているのが面白く、新製品があると私もつい手に取ってしまいます。細いスティックタイプのポテトもいいですが、ナチュラルカットはジャガイモのホクホク感がダイレクトに伝わってくるのがたまらないのでおすすめです。
業務スーパーファン さん、めんつゆ調理は慣れると本当に便利でなんにでも使えますよね~!冷凍ポテトをシチューやジャーマンポテトに入れたことはまだないので、早速試したいです。脂っこいと思いきや、程よいコクが料理に深みを与えるのに気付いたため、私も生のじゃがいもを使う機会が減りそうで恐ろしいです;。
●出典)『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』 スケラッコ/リイド社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『めんつゆひとり飯』の“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”を再現!
- Sat
- 23:50
- 再現料理
陶器の瓶に入れられた高級品として売られていた為、ごく一部の富裕層の手にしかわたっていなかったみたいですが、その中でも大いに気に入っていたというのが何とあのルイ十四世で、ヴェルサイユの宮廷料理人たちが肉料理の隠し味に使っていたというのには驚きを通り越して感動しました。
現代の照り焼きソースやすき焼きをルイ十四世が食べていたらどんな反応だったのだろうと思わずにはいられません。
どうも、軽い気持ちで購入していた幕末のソイソースの味が好みドンピシャで、最近は何にでもかけて食べている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『めんつゆひとり飯』にて主人公・面堂露さんがある日の夕食に作った“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”です!

『めんつゆひとり飯』とは、筋金入りのめんどくさがり屋で「全力でラクに済ませたい」がモットーの26歳OL・面堂露さんが、美味しく健康的で手間いらずな自炊を追求して辿り着いためんつゆ料理で日々楽しく過ごす様子を描いた、前代未聞のめんつゆ専門四コマ料理漫画です!
これまで、肉・魚・野菜・カレー・スープ・味噌汁・お好み焼き・ハンバーガー・チャーハン・キャンプ飯・燻製・コンビニ食・精進料理・おかゆ・駄菓子・雑食系など、強力な題材限定のグルメ漫画が登場しましたが、今作は調味料縛り、それもめんつゆ一種類が主役という異色の料理漫画で、度肝を抜かされました;。
数年前、「料理にめんつゆを使う女とは付き合えない」というツイートが話題になり、色んな意見が飛び交っていたことがありますが、裏を返せばめんつゆで料理するということはそれ程ありふれていることなのだと思います。
自炊をする人間にとって、最初から醤油・砂糖・みりん・お出汁が黄金比率で組み合わされているめんつゆは頼もしい相棒、そして時短調理界の神ですので、同じ混合調味料なのになぜか料理に使っても邪道扱いされないポン酢と同じくらい市民権を得てほしいものです(←
めんつゆだからといって和食メニューだけではなく、他の調味料との組み合わせによって洋食・イタリアン・中華・エスニックなど作中では無限大の広がりを見せていましたので、自分の作る自分の味に飽きた、けれども外食する程ではなく凝った料理に挑む気力もない時に、非常に参考になる作品です。

露さんのめんどくさがりは生まれつきの資質だったそうで、幼少期から学校への最短の道のりを探す為けもの道を歩いたり、廊下の雑巾がけを両手両足計四枚使って一気に終わらせようとしたりなどやりたい放題で、超がつくレベルの横着っぷりで苦笑しました(←現代だったらルンバを学校に持ち込みそうです)。
しかし、意外にも露さんは入社当時から要領がよく機転がきき、同期全員と一番最初に打ち解ける程コミュ強かつ器用なタイプで、露さんとは反対に何でも手作りする真面目で料理上手な人妻社長秘書・十越いりこさんから一目置かれています。
発言や行動はやる気がなさそうに見えるもののやるべき事はちゃんとする、「面倒なことをできるだけ早く終わらすために作戦を練るのがうまい」と評された『NARUTO』の奈良シカマルに近い物がある主人公だと感じたものです。
なお、料理はほとんどめんつゆしか使わないと豪語する露さんですので、常備しているめんつゆにはさぞかしこだわりがあるのではと初見時は予想していましたが、基本めんつゆはどれでもいい派で、その理由を「クオリティ安定がめんつゆの良さだし、種類とか使い分けとかこだわるタイプならめんつゆで料理してない」という至極当然な発言をしており、妙に納得しました。


今回再現するのは、記念すべき第一話目で紹介された“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”!
作り方は簡単で、バターを溶かしたフライパンで牛コマ肉・にんじん・玉ねぎ・いんげんを炒め、結びしらたき・めんつゆ・お水を加えて煮込み、途中ナチュラルカットタイプの冷凍フライドポテトを投入してひと煮立ちさせたらもう出来上がりです。
ポイントは、冷凍フライドポテトは凍った状態のまま使うことで、下手に解凍するより直接入れた方がグズグズにならずおいしく煮えるようです。
冷凍ポテトを煮物に!?と始めは衝撃的でしたが、ネットで調べてみると、冷凍ポテトは味がついていない上ある程度熱が通っている為アレンジしやすいそうで、煮物だけではなく炒め物やグラタンなど様々なアレンジ料理が見つかりました。
露さん曰く、「前に居酒屋で食べたんだー素揚げしたジャガの煮物。試しに冷凍ポテトで作ったら出来たの」とのことで、一見ズボラそうに見えてこの発想力と応用力、本当はかなりデキる女性なのでは…と思ったものです。


煮物を久々に食べたいと思いつつも億劫に感じていた時、こちらの料理を思い出して再現することにしました。
作中では大体のレシピが記載されていましたので、その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、炒め作業。
お鍋か底の深いフライパンへバターを入れて中火にかけ、牛コマ肉を入れてざっと炒めます。
牛コマ肉にバターが染みて焼き色がついてきたら、それぞれ食べやすい大きさにカットしておいたにんじん、玉ねぎ、いんげんを投入し、炒め合わせます。



次は、煮込み作業。
にんじんにやや火が通ってきたら結びしらたき、めんつゆ、お水を加え、弱火~中火でコトコト煮ます(←めんつゆによって濃縮率は異なりますので、各々の裏面に記載されている比率でめんつゆとお水の量を決めます。ちなみに、当管理人は今回こちらを使用しました)。
ひと煮立ちしたら、ナチュラルカットタイプの冷凍フライドポテトを凍ったまま投入し、さらに煮込みます(←前回に引き続き回し者かと思われそうですが、Heinzの青袋がおすすめです)。
※この段階で落し蓋をしたり、一回火を消してから時間を置き再度火にかけると、煮汁が浸透しやすくなります。



時間が経って全体に火が通り、煮汁が染みたのを確認したら火からおろし、器へ盛り付ければ“めんつゆと冷凍ポテトの肉じゃが”の完成です!

パット見だと手抜き要素はなく、香りも含めてめんつゆだけのずぼら調理とは思えない正統派な感じで、強いて言うならじゃがいもの切り方が変わっているかな?と思うくらいです。
普段、肉じゃがは牛肉・じゃがいも・玉ねぎ・糸コンのみのシンプルレシピを採用しているので茶色い見た目になるのですが、こちらはにんじんやいんげんが入っている分色鮮やかで、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
めんつゆだけの思い切りがいい肉じゃがはどんな味がするのか、ドキドキします。

それでは、熱い内にいざ実食!
いただきまーす!

さて、味の感想は…味付けがほぼめんつゆだけとは思えない程よく出来た一品!まさに「ちゃんとは作ってないけど、ちゃんとおいしい」煮物です!

基本上品系のあっさりした甘辛い出汁醤油味ですが、バターでこってりしたコクと風味がついている為、後味は意外と洋風でそこそこガッツリしているのが特徴的。
肉を煮物にするとパサパサになりがちですが、こちらはバターがしっかり浸透して濃厚な旨味があり、ご飯が進みました。
プロが作るお店の煮物みたいに甘い辛いが際立ったメリハリのある旨さではありませんが、家庭の味が名物のお惣菜屋さん系の優しいおいしさで、癒やされます。
フライドポテト使用なので油っこくないかと心配しましたが、冷凍前はあくまで軽く揚げただけのせいか、ほぼほぼ気になりません。
短時間調理でも長時間煮込んだようなホコホコ感と味の染み込み具合で、口当たりがホロリと柔らかかったです(←ナチュラルカットで皮付きの為、素揚げした新じゃがの煮物に近い気がしました)。
糸こんではなく結びしらたきなのも一口で食べやすく、煮汁をたっぷり絡めているのが気に入りました。
にんじんのほっくりした甘さやいんげんのシャッキリした食感もいいアクセントになっており、こういう具沢山な肉じゃがもいいなと思ったものです。
また、個人的に濃いめの味が好きなのでどうしても料理の塩気が強くなりがちなのですが、こちらはめんつゆだけと決めて作ったせいか塩分控えめで、最終的にちょうどいい塩加減になるのがよかったです。
途中、何度も醤油やら日本酒やら砂糖やらを足したくなりムズムズしましたが、余計な味足しなどせずとも十分美味でほっとしました(←ただ、めんつゆの品質によって仕上がりにかなりの差がありそうなので、激安系のめんつゆはよした方がよさげです)。
夫にも試食してもらったところ、味付けがめんつゆだけとは気づかず、種明かしをすると感心していました。
一晩経って味がよりなじんだ肉じゃがもおいしかったので、少し多めに作ってもいいかもしれません。
P.S.
とくらこさん、ほーりーさん、無記名さん、コメントをして下さりありがとうございます。
とくらこさん、私も当初無料お試しを読んだのですが、ナポリタンの魅力的な描写や「もっと続きを読みたい!」というフック力が強く、迷わず単行本を購入しました!おっしゃる通り、画像の量では物足りず、すぐおかわりをしました;。一度他のケチャップで試したりもしましたが、オランダ製のHeinzを使って作るのがやはり一番おいしかったです。
ほーりーさん、私もあのシリーズを読んだ方が身近にいらっしゃってすごく驚きました!周囲に聞いても誰も知らず、Amazonで見るとすごくプレミアがついて度肝を抜かれましたので、小ネタをわかっていただけて大変嬉しかったです(←アイスクリームはかせも悪魔のスパゲティも持っています!)。あれから時間が経ち、おにぎり恐怖症もとけてきたので、おにぎりだけでなく他の料理も再現してみたいです。
無記名さん、だいぶ昔の記事にコメントして頂き恐縮です。卵黄を味噌に漬けて放置するだけなのに、本当に宝石みたいな輝きになるんですよね…再現した時は感動しました。見た目の美しさだけではなく、味も(美食俱楽部の本物には及ばないとわかっていますが)未だに思い出せるくらいおいしいので、たまに無性に食べたくなります。
●出典)『めんつゆひとり飯』 瀬戸口みづき/竹書房
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『フェルマーの料理』の“理想のナポリタン”を再現!
- Thu
- 23:50
- 再現料理
洗濯物を干すのは室内、生活用品の購入も通販で済ませるようになってからというもの、どんどん堕落している気がしています。
思ったより食材の減りが遅かったり、夫と休日が合わない日が続いた時など、約2週間近く家から出なかった時もあり、ある意味自ら望んで
どうも、先日久々に外出して桜を目の当たりにし、やっと春の訪れを感じた当ブログの管理人・あんこです。
今回再現する漫画料理は、『フェルマーの料理』にて主人公・北田岳君が自分なりの「式」を見つけて辿り着いた“理想のナポリタン”です!

『フェルマーの料理』とは、この世の真理を数式によって見出せるような数学者になりたいとずっと憧れ、あらゆる数学コンクールで金賞を受賞する程天才的頭脳を持っていたものの、18歳で参加したある数学オリンピックの会場で「僕は…なれない」と唐突に悟った主人公・北田岳君と、夢破れて学園内の食堂でバイト中だった岳君がしていたある工夫に非凡さを感じ、「お前の数学的思考は料理のためにある」とスカウトした若き天才料理人・朝倉海さんがおりなす、数学と料理のマリアージュというありそうでなかった新感覚料理漫画です!
実は、前作『てんまんアラカルト』と同じ世界のお話で、最終巻から約5年時が流れた設定になっています(←『てんまんアラカルト』が連載終了したのは2013年、『フェルマーの料理』が連載開始したのは2018年ですので、現実世界の時の流れとほぼ同じです。粋です)。
しかし、前作の主人公・七瀬蒼司君を始めとする主要キャラは一切登場しておらず、唯一、蒼司くんの親友でクールな優等生サブキャラ・朝倉海さんだけが中心人物として再登場しております(←時系列が同じ作品で例えるなら、『ドラクエ』シリーズや『ドラゴンボール』のように主人公の子孫が主役を継ぐタイプではなく、『幻想水滸伝』のように前作主人公以外の血統が主役になるタイプのお話ですね)。
最終回に意味深かつ衝撃的な退場をしていましたが、あれから何があったのか、23歳という若さで「高校中退後本場フランスのパリで修行し、スーシェフとして最先端のフレンチシェフとして活躍」「帰国後すぐ都内で開いたレストランは、史上最年少で一つ星を獲得」「ジャパンフレンチの新星」という、異世界転生したなろう系主人公ばりにチートキャラになっていました。
元々才能はあったものの、それでは追い付かないくらいの凄まじい成長で、思わず『ベルセルク』のグリフィスみたいに蒼司君達を贄にして使徒になったのかと心配になりました。
というのも、18歳の時は大人びていたものの常識的なキャラだったのに、今では冗談抜きで最終回の「あの人」に何か捧げたとしか言えないレベルで暗黒面に堕ちた人格となっており、かなりエキセントリックになっていた為。
「宇宙史上まだ誰も発見していない唯一無二のレシピを築き上げること」「料理の歴史は人類の歴史そのものだが、先人の築き上げた歴史をおれの手によって分断する。すなわち、俺以前と俺以後に」という、イエス・キリストばりに壮大な存在になる野望を抱いており、それに役立たない人間は利用するだけして躊躇なく切り捨てるという、ネット上でよく極悪非道と呼ばれる『鉄鍋のジャン』の秋山醤以上に容赦ないキャラに変貌していて岳君から何度もドン引きされていますので、前作の伏線回収も含め目が離せない作品です。

そんな海さんとは正反対と言ってもいい人物が、今作主人公の岳君。
普段は内気で押しが弱い草食系男子っぽい性格ですが、数学や料理の事になると途端に生き生きとするのが見ていて微笑ましく、『てんまんアラカルト』以上に癖も気も口調も強い登場キャラばかりの中において、貴重な癒し要素です。
この岳君の最大の武器は、「綿密な計算と理論をもって一品にむかう」と評されている通り、「数式の正誤が<分かる>じゃな<見える>」という根っからの数学脳(←実際、下の画像にある通り岳君は物でも人でも数式が目の前に浮かんで見えるそうで、まるで『DEATH NOTE』で人の寿命が浮かんで見えた死神みたいな能力だと感じました)!
主観的な感覚という要素も大事にしつつ、どんな理論を使えば無駄なく美味しい「式=レシピ」が成り立つかと悩み、時には失敗しつつも着実に数式を組み立てて成功していく描写は、これまでにないもので非常に新鮮でした。
通常、漫画界ではこういう頭脳に頼りがちなデータ系キャラは敵サイドの方に多い存在で、大抵データを上回る超人的成長を見せる主人公サイドに敗北するのが非常に多く、ワンパターンだと感じていたので驚いたものです(←『テニスの王子様』の乾さんが有名ですが、『HUNTER×HUNTER』に出てきた187番のニコルさんも地味に忘れられないです)。
また、今作は料理漫画では珍しくバトル要素やトーナメント開催がなく、冗長にならずテンポよく話が進むのが個人的に高ポイントなので、いろんな方にお勧めしたいです!

今回再現するのは、記念すべき最初のエピソードで海さんに拉致された岳君が一縷の望みを託して作っていた“理想のナポリタン”。
作り方は意外と簡単で、油をひいて熱したフライパンで玉ねぎ→ウインナー→ピーマンの順に炒め、具が炒まったら片側に寄せてケチャップをフライパンに直に入れて混ぜ、最後にマヨネーズと白ワインビネガーを和えて冷やしていおいたスパゲティーを投入して炒め合わせたら出来上がりです!
ポイントは、スパゲティーは1.8~1.9ミリの太さの乾麵を使用すること、袋に記載された時間より2分長く茹でて氷入りの冷水で締めること、水気をきったスパゲティーはマヨネーズと白ワインビネガーでマリネして冷蔵庫でさらに冷やすこと、玉ねぎは飴色になるまで炒めてメイラード反応を起こすこと、ケチャップを入れる時は必ず具を片側に寄せてからフライパンに直に触れるようにして入れて香ばしさを出すことの5点で、こうすると思い出として美化されているナポリタンの味に追いつく旨さに仕上がるとのことでした。
ナポリタンに使う麺は柔らかいほうがいいのは既に周知されていますが、それでもオリーブ油を和えて寝かせる方法が主流の為、マヨネーズと白ワインビネガーを使うというアイディアは初耳でびっくりしました(←何でも、マヨネーズは既にお酢と油と卵が乳化されている為、表面をコーティングするだけでなく風味付けもできるとのこと)。
おまけに、味付けも実質ケチャップしか使わない質素さも前代未聞で、これまでウスターソースや醤油を隠し味に使っていた身としては半信半疑で読んだものです。
あと、これに加えて岳君が「誰でもやっている」と考えて無意識にやっていた工夫が、人が最も心地よく感じ料理への期待が高まるとされる45度に温めたフォークで、これが決定打となって海さんは岳君に数学と料理の才能があると確信したと語られていました。


最近無性にナポリタンが食べたくなったものの、マンネリ化した自分のレシピで作るのは抵抗があり迷っていたのですが、作中の描写を見て挑戦したくなり、再現することにしました。
単行本には分量付きの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、パスタの下準備。
1.8~1.9ミリの太さの乾麵スパゲティをあらかじめ塩を溶かしておいた熱湯の鍋に入れ、指定されている時間よりも2分長く茹でます。
スパゲティが茹で上がったらザルにあけ、氷入りの冷水でよく締めてきっちり水気をきった後、マヨネーズと白ワインビネガーを混ぜておいたボウルへ加えマリネし、そのまま冷蔵庫で冷やして寝かせます。



次は、炒め作業。
皮や根っこをとった玉ねぎは繊維にそって薄切りに、ウインナーは斜めに薄くスライスし、ピーマンは種とヘタを取り除いてから縦にやや狭い幅へとカットしておきます。
野菜をすべて切り終えたら、油をひいて熱したフライパンへ玉ねぎを入れて飴色になるまでじっくり炒め、続けてウインナーを投入して混ぜます。



ウインナーがうっすら肉汁が浮くくらいまで焼けたらピーマンも加えて炒め合わせ、全体に程よく火が通ったのを確認したら一旦具材をフライパンの片側に寄せ、熱されたフライパンの面へ直接ケチャップをかけて火入れします。
この時、すぐに具材と和えず、具材のエキスがこびりついたフライパンの肌にケチャップをそわせながら混ぜ、ちょっとだけに詰めるようにして火を通すと、ソースがより味わい深くなります。
※作中では明記されていませんでしたが、調理中の絵から察するにHeinzのケチャップが使用されていると考えてほぼ間違いなかった為、そちらを使用しました。



片側に寄せた具材を中央に戻してケチャップソースソースを和えたら、そこへ冷蔵庫で冷やしておいたスパゲティを投入し、隅々までしっかりと絡め合わせます。
その間、45度前後のお湯を張った容器へフォークを入れ、食べる直前まで温めておきます。


スパゲティにケチャップソースや具材が行き渡ったのを確認したら火からおろし、そのままお皿へ盛り付ければ“理想のナポリタン”の完成です!

作中で言われていた通り、トマトの香りがいつも作っているナポリタンの物より強く香ばしい印象で、ケチャップだけでこの香りが出るのはすごいと思いました。
いつもはもっと調味料を使ったり、スパゲティはアルデンテにしたりと全く違うレシピで作っているので味の想像がつきそうでつかず、どんな仕上がりなのか興味深いです!

それでは、45度に温めたフォークでスパゲティを巻き、いざ実食!
いただきまーすっ!

さて、味の感想は…「ずっとこんなナポリタンを求めていた!」と頭と舌にガツンときた郷愁溢れる旨さ!ありきたりな定番を極限まで追求すると、遂には非凡になると痛感する一皿です!

「ケチャップうどん」と表現される事がある程、ナポリタンは麺の柔らかさが重視されている料理ですが、こちらは昔懐かしいあの心地よいもっちりした弾力に加えて爽やかなツルツル感があり、一歩間違えれば野暮ったくなるモッチャリ感がまるでありません。
白ワインビネガーやマヨネーズの効用か、ほのかな酸味とまろやかな油分が絡んだ麺はそれ単品で既に美味しく、後を引く味付けに一役買っていました。
また、鍋肌で直接炒めつけられたケチャップは、高温によってトマトの瑞々しい甘さや香りが凝縮されて蘇っており、華やかと表現したくなるフルーティーな味わいがたまりません(←後でHeinzのケチャップを味見したところ、他社に比べてスパイシーかつトマト感が強い味でしたので、それもこの特別感のある味に関係していそうだと推測)。
ここに、メイラード反応が起きた飴色玉ねぎの香ばしいコクやウインナーの肉汁の旨味がしっかり溶け込むと、ケチャップだけで味付けしたとは信じられないくらい凝った美味しさになっていました。
この深みがありつつもしつこくない、絶妙な塩梅の甘酸っぱいソースは、新感覚で衝撃的です。
そんな中、甘苦いフレッシュなピーマンと肉々しいウインナーのカリッとした食感が柔らか麺の中でいいアクセントになっており、シンプルながらも癖になる組み合わせでした。
どの具材も比較的薄切りで、当初は不思議でしたが、そのおかげでケチャップがまんべんなくついて全体に統一感が生まれ、尚且つ麺と一緒に食べやすいのに気付いた時は、かなり感心したものです。
肝心の45度に熱したフォークですが、正直言われなければ「お、温かい」と気づきはするものの、そこまで派手に驚くほどの感動はありません。
しかし、料理へのワクワク感で夢中な時、冷たい金属の手触りで一瞬我に返るような、ある種の集中を乱すような事がないのはありがたく、地味ながらも効果的な盛り上げ要素だと思いました。
時間がある時、特別な一皿を出したい時には十分試す価値ありです。
ちなみに、夫もこのナポリタンは「うまかったな~」と後々思い出して言うくらい気に入っており、今後我が家の定番レシピにする予定です。
P.S.
ゆゆさん、無記名さん、コメントをして頂きありがとうございます!
ゆゆさん、当管理人も『丼なモンダイ!』は好きな作品なので、そうおっしゃってい頂けると嬉しいです。親鳥の挽き肉は、数年前までほぼほぼ店頭で見かけることがなかった為、相当ニーズがなかったんだと思います…。現在では、ネットショップで取り扱っている精肉専門店が結構ありますので、そちらでの検索をお勧めいたします。
無記名さん、精度の低い再現記事で申し訳ございません。『美味しんぼ』の“簡単うどん”も“山岡流夜食うどん”も、当時はさらに腕が未熟で微妙に違っていたと思います。最近、近所で“山岡流夜食うどん”で推奨されていた氷見うどんの取扱店を見つけましたので、そちらを使用して再現のやり直しをしてみようと思います。
●出典)『フェルマーの料理』 小林有吾/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。