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『まかない君』の“タイ風納豆入り肉そぼろご飯”を再現!

 十代の頃、周囲でコバルト文庫がブームだったこともあり、様々な作品を読み漁りましたが、中でも特に好きだった小説家が氷室冴子先生(←スニーカー文庫なら、深沢美潮先生)!
 長年本を読んでいると、かなり長くてもするする読める相性のいい作家さんと、反対にどんなに短くても目が滑って読めない相性の悪い作家さんの二種類に分かれると自覚するようになるのですが、氷室冴子先生の文章は当管理人にとって典型的な相性のいい作家さんで、それこそ母から「夜は目が悪くなるから、本は読まない!」と注意されるくらい夢中になって読みました。
 『クララ白書』『アグネス白書』『雑居時代』『シンデレラ迷宮』『少女小説家は死なない!』『なんて素敵にジャパネスク』シリーズ、『銀の海 金の大地』シリーズなど、子ども心にすごく影響を受けたものです。

 どうも、十数年前に知り合ったばかりだった夫(←当時は同じバイト先の先輩)と初めて盛り上がった話題も氷室冴子先生だった当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君が佳乃さんから借りていた本を参考にして作った夕食・“タイ風納豆入り肉そぼろご飯”です!
納豆入り肉そぼろご飯図
 ある日、浩平君は佳乃さんから借りていた次回作の参考本・『納豆の起源』を返しに行くのですが、「やっぱりヨっちゃん色んな本読むよね」と部屋中にある本棚を見ながら感心します。
 何でも、小説家という仕事柄、必要な資料が見つからないという事態を避ける為に様々な本を取り揃えているようで、部屋はちょっとした大学教授の研究室のようになっていました←今は電子書籍がすごい勢いで普及してますので、未来の小説家の部屋はパソコンとタブレットがある以外はごく普通になってしまう可能性もありますが、たとえアナログでも大量の本に囲まれた部屋はまさに「文豪」って感じで憧れます)。
 漫画に出てくる小説家キャラというと、『名探偵コナン』工藤優作さんといい、『NARUTO』エロ仙人自来也さんといい、机に向かう職業の割にはしょっちゅう旅に出ているイメージですが、佳乃さんの場合は一応部屋にこもって真面目に執筆しているみたいですので、一番リアルな小説家像だと思います(←仕事中に脳のエネルギー補給と称し、ロールケーキを恵方巻きの如く一本食いする糖尿病予備軍の甘党小説家が実際にいるかどうかは分かりませんが)。

 佳乃さんが言うには、次回作は納豆小説を構想しているみたいで、「ひょんな事から納豆菌が知性化してね。ついには太陽系全域にずるずるべたべた粘りがちな夢のような世界を築くという」、納豆嫌いの人間が聞いたら絶望してハルマゲドンを起こしそうな世界を舞台にした作品にするとの事でした(←グルメ漫画ワールドなら、『ミスター味っ子』の陽一君に納豆嫌いを克服させる料理を作って広めてもらい、世界中で納豆を食べつくしたら円満解決しそうですね)。
 トマトドーナツムサカなど、これまで色んな食べ物が異常増殖&巨大化しては人類を滅亡させようとする作品が世に出てきましたが、まさか納豆菌で宇宙を支配させる作品を思いつくとは…斬新でスケールの大きいトンデモ小説を描く作家さんだな~と感心しました;。
 とはいえ、佳乃さんの分野は純文学系ですので、人工皮膚の普及が社会体制を崩壊して地球全土を破滅で覆っていく経緯を描いた手塚治虫先生の『地球を呑む』並にシリアスな話かもしれず、一体どんな小説か非常に気になったものです。
小説家の佳乃さんの次回作は、納豆菌が宇宙を支配する世界が舞台とのこと;
 そんな佳乃さんのお話と借りていた納豆の本をヒントに、浩平君は夕食を作り出します。
 それが、この“タイ風納豆入り肉そぼろご飯”です!
 作り方はそこそこ凝っており、にんにく・生姜・長ネギ・赤唐辛子・納豆・豆板醤・豚挽き肉をごま油+サラダ油で炒め、お水・お酒・鶏がらスープの素・オイスターソース・醤油を加えてもったりするまで煮込み、仕上げに茹でたほうれん草と、玉ねぎ・にんじん・マヨネーズ・ポン酢・七味唐辛子、目玉焼きを混ぜて作った“目玉焼きサラダ”と一緒にご飯の上に乗せ、トマト・らっきょう・青唐辛子・塩・お酢・オリーブ油を混ぜて作った“トマトとらっきょうのソース”を添えたら出来上がりです。
 ポイントは、納豆と豆板醤をよく炒めてから煮込み作業に入ること、にんじんは塩もみしてから使うこと、目玉焼きは多めの油で半熟状の揚げ焼きにして二つ折りにすることの二点で、こうするとそこまで納豆納豆していないおいしい肉そぼろになると話していました。

 目玉焼きをサラダに入れたり、ポン酢とマヨネーズで味つけするなんて変わってるな~と思いましたが、浩平君によるとどうやらタイ料理の本に載っていたレシピを家にある物でアレンジしたらしく、元々はライムやパクチーを使う料理だったそうで、この原型の残らなさはビーフシチューを再現しようとして肉じゃがが出来た東郷平八郎の逸話のようでした;(←恐らく、ヤムカイダーオの事ではと推測)。
 タイ風料理に納豆というのはミスマッチに見えるかも知れませんが、『納豆の起源』によりますと、タイどころかラオス・ミャンマー・インド・ネパールにも納豆らしき食品は存在し、中には日本でもおなじみの納豆カレーが食べられている地域があるとの事でしたので、むしろ納豆入りの肉そぼろはあちらでも受けがいい料理なのかもしれません。
 実際に食べた弥生ちゃんは「すごくおいしい!」「玉ねぎのちょっと辛いのと、トマトのすっぱいのがそぼろによく合うね」と喜んでおり、半熟卵にテンションが上がっていました。
目玉焼きサラダはタイ料理の本で読んだ料理を参考にしたのだとか
 実はこの日、“納豆入り肉そぼろご飯”の他にも「ぬっぺっぽうの団子かな?」「一反もめんのつみれでしょ」「ひとだまのすり身じゃないのか?」と突っ込まれたイカつみれのスープも作っていたのですが、それがきっかけで幽霊話が盛り上がります(『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる人魂の天ぷらを思い出しました;)。
 それによると、小さい頃浩平君と弥生ちゃんは凛さんと佳乃さんからよく怪談話を聞かされていたようで、「夜中に幽霊が足を引っ張る話とか本当に怖かったんだからね!」と弥生ちゃんは長年布団から足を出して眠れなかったトラウマの恨みをぶつけるのですが、その時佳乃さんから衝撃の事実を知らされます。
 それは、何と幽霊話のネタ元が浩平君の母・雪さんだったということ!
 凛さんと佳乃さん曰く、「雪ちゃん、お嫁に行ってからも向こうで仕入れた怪談を教えてくれたっけ」「なんたら橋も夜中に通ると、欄干の下から何本も白い手が伸びてくるとかね」だそうで、「幼い頃に聞かされた怪談話を、しっかりと下の世代に語り伝えるのも年長者の務めだからな」という、昔話に出てくる語り部の老婆みたいな理由で教えていたと打ち明けていました。
 怪談番組のナレーターの如く淡々と語ってはじわじわと怖がらせる稲川淳二タイプだった雪さんに対し、弥生ちゃんの母・こなさんは背後から「ワッ」と物理的に脅かすお化け屋敷の幽霊役タイプだったようで、ある意味攻守のバランスが取れた最強コンビだと思いました;←浩平君と弥生ちゃんの性格や関係性とどことなく似ているところが、やっぱり親子だな~としみじみ感じます)。

 ちなみに、佳乃さんは雪さんの語りで目覚めたのか怖い話が得意で、高校時代に「深夜の校舎を鉄仮面をかぶった女子生徒がさまよい歩く」という嘘の学校怪談を広め、遂にはネットで伝説化させるという武勇伝を持っていました(『地獄先生ぬ~べ~』だったら、本当に実在した幽霊に放課後校内で襲われ、服をびりびりに破られてお色気担当になる噂話好きの細川美樹ちゃんみたいなキャラになっていそうです;。佳乃さん、巨乳ですし)。
 なお、雪さんは現在でも今時のラノベを読む文学少女(?)で、独身時代は中二病製造機と呼ばれる事もあるコ○ルト文庫ス○ーカー文庫が本棚にいっぱい並んでいたと作中で語られており、もしかしたら佳乃さんが小説家になったのは雪さんの影響が大きいのかもしれない…と人に歴史ありな読後感を味わったのを覚えています(←最近では貴腐人大きいお友達という概念が生まれ、オタク趣味は一生物という認識が徐々に市民権を得つつある為、まだ漫画やゲームに勤しんでいる身としては心強いです。進化というより退化かもしれませんが)。
怖い話をするのが得意な母達に対し、あまり得意でない子ども達;
 マヨネーズ味とポン酢が入ったサラダや、トマトとらっきょう入りの辛いソースが納豆に本当に合うのか知りたくて再現する事にしました。
 作中には大体のレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、付け合わせのサラダとソース作り。
 にんじんを千切りにして塩を振ってしんなりさせた後、ざっと洗って水気を絞ったらボウルへ入れ、そこに薄くスライスした玉ねぎ、マヨネーズ、ポン酢醤油、七味唐辛子を加え、よく和えます。
 その間、多めに油を入れて熱したフライパンへ生卵を落とし、菜箸で二つ折りにして両面を焼き、黄身は半熟で白身はこんがりするように熱を通しておきます。
納豆入り肉そぼろご飯2
納豆入り肉そぼろご飯3
納豆入り肉そぼろご飯4
 卵が半熟状に焼けたら、先程のにんじんと玉ねぎが入ったボウルへ入れ、黄身が潰れぬよう気をつけながらざっくり混ぜ、しばらく置いて味をなじませます。
 もう一方のボウルへは、刻んだトマトと甘酢漬けのらっきょう、輪切りにした青唐辛子、塩、お酢、オリーブ油を入れ、しっかり混ぜます(←生の青唐辛子が手に入らない場合は、酢漬けにした青唐辛子で代用します)。
 これで、“目玉焼きサラダ”と“トマトとらっきょうのソース”は出来上がりです。
納豆入り肉そぼろご飯5
納豆入り肉そぼろご飯1
 次は、納豆入り肉そぼろ作り。
 ごま油とサラダ油をしいたフライパンへ、みじん切りにしたにんにく、長ネギ、赤唐辛子、そしてすりおろした生姜を入れて弱火でじっくり炒め、いい香りがしてきたら中火にして豚挽き肉を投入して炒めます。
 豚挽き肉が白っぽくなるまで火を通したら豆板醤を加え、炒め合わせます。
納豆入り肉そぼろご飯6
納豆入り肉そぼろご飯7
納豆入り肉そぼろご飯8
 豆板醤の辛味が全体になじんだら納豆を入れてさらによく炒め、お肉がひたひたになるくらいのお水とお酒を注ぎ、鶏がらスープの素、オイスターソース、醤油を加えて煮込みます。
 焦げないよう時々混ぜ、水気が大体飛んでもったりとしてくるまで煮ます。
納豆入り肉そぼろご飯9
納豆入り肉そぼろご飯10
納豆入り肉そぼろご飯11
 お皿へ炊きたてご飯をよそい、その上へ肉そぼろ、目玉焼きサラダ、茹でて食べやすくきったほうれん草を乗せ、傍らにソースを入れた小皿を添えれば“タイ風納豆入り肉そぼろご飯”の完成です!
納豆入り肉そぼろご飯12
 トマトの赤、ほうれん草の緑、目玉焼きの白、にんじんのオレンジ、肉そぼろの焦げ茶色の取り合わせが見るからにカラフルで、アジアンな雰囲気に満ちていました。
 納豆入りの肉そぼろは何度か食べた事がありますが、こんなに色んな付け合わせを添えて頂いた事はなかったので、どんな味がするのかとても楽しみです!
納豆入り肉そぼろご飯13
 それでは、出来立て熱々の内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
納豆入り肉そぼろご飯14


 さて、感想は…アジアンテイストなのにしっくりきて病み付きになる美味しさ!付け合わせの組み合わせによって様々な味に変身するのが楽しいです!
マヨネーズ味の玉ねぎと辛いトマト味は挽き肉と相性抜群です
 オイスターソースと豚ひき肉とにんにくの濃い旨味が効いたがっつり系の旨辛醤油味で、豆腐抜きの麻婆豆腐のような味と言えなくもないですが、甜麺醤が入っていない為どっしりした甘辛さがないのが最大の違いで、どちらかと言えばピリ辛の青椒肉絲っぽい味付け。
 納豆の熟成したコクが粘りによってひき肉へ強力に絡んでいるせいか、普通の肉そぼろよりもねっとりと奥深くまろやかな味わいで、よりご飯泥棒な旨さに進化していました。
 ここに半熟揚げ卵とご飯が加わると、「麻婆風ガパオライス」といった風情のエキゾチックな仕上がりになり、香ばしい白身やトロトロの黄身を混ぜつつ食べるとリッチな気分になります。

 サラダは「キャベツ抜きでポン酢風味の和風コールスロー」という感じで、そのままだと単調になる所を七味唐辛子の香り高い風味がキリッと引き締めてました。
 しんなりして甘味が増したにんじんと、シャキシャキしてシャープな辛さの玉ねぎをマヨネーズがマイルドにまとめており、ポン酢の酸味が効いた出汁が複雑な旨味を出しています。
 こってりした肉そぼろと七味マヨネーズの組み合わせは、ジャンクながらも照りマヨ丼チックで非常に相性がよく、肉と野菜をマヨご飯で食べる構図はシシリアンライスにちょっと似ているな~と感じました。

 ソースは「ピーマン抜きでさっぱりした辛さのサルサソース」というイメージで、らっきょうの甘酸っぱさとパリッとした張りのある食感がいいアクセントになった、フルーティーに辛いトマト味。
 このソースを肉そぼろご飯に合わせると、癖のない中華仕立てのチリコンカンやタコライスみたいな味わいになり、南国風のスパイシーなエスニック混ぜご飯っぽい味に変わる感じで、一転して軽い仕上がりになるのに驚きました。
 赤唐辛子のドライで重厚な辛味、青唐辛子の瑞々しい爽快な辛味が一つになって単に辛いだけではないタイカレーのような奥行きが生まれているのが特徴的で、汗をかきつつすいすい入る爽やかな一品です。
納豆入り肉そぼろご飯15


 一見目立たない茹でほうれん草も、さっぱりした味わいがいい箸休めになって地味に重要な役割を果たしており、油分のキレをよくしていました。
 夫は納豆が苦手なので、納豆なしのバージョンも一緒に作って食べてみたのですが、納豆があるのとないのとでは結構味が違っていて驚きました(←男飯度&異国情緒が増している感じで、よりパンチの効いたタイ風混ぜご飯っぽく仕上がっていました)。
 手間はかかりますが、一度食べたら忘れられない完成度の高い料理ですので、色んな方に是非おすすめしたいです。


P.S.
 ほーりーさん、00092さん、てけっちゃんさん、HALさん、コメントを下さりありがとうございます。
 はい、前回のカードは自分で漫画を見ながら手書きしました…意外と難しかったです;。


●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば”を再現!

 先月、夫が会社で頂いたバレンタインのチョコ詰め合わせを一緒に食べていたのですが、その中にバレンタインうまい棒チョコというのがあり、「ブラックサンダーと双璧をなすくらい、一目で義理と分かるチョコだ…!」と思いました。
 普通のうまい棒より小ぶりで、塩味のシンプルなうまい棒にチョコレートがコーティングされており、てっきりココア味の茶色い生地だけかと思っていた当管理人は驚きました。
 通常、「硬い表面が砕けて柔らかい中身が出てくる」というのが王道のはずなのですが、こちらはやわらかチョコからサクサクうまい棒が現れるという逆転の食感で、これはこれでおいしかったです。

 どうも、うまい棒のパッケージに登場するあのキャラクターはドラ○もんでもタヌキでもなく、「遠い宇宙のとある星からやってきた異星人」が公式設定だと知り、急に警戒心が湧いてきた当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君が二回目に参加した桜祭りの焼きそば対決で出した“味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば”です!
ハンバーガー焼きそば図1ハンバーガー焼きそば図2
 前回、容器なしでも出せる焼きそばの屋台じゃないと出店できないという壮大な後出しじゃんけんをされ、初めは反発していた陽一君ですが、その場に居合わせていた岡田屋さんから「わしらはすでに解決法を考えついとる!」「その名もクレープ焼きそば!!日本一のお好み焼き屋岡田屋が満を持して放つ、自信作じゃいっ」と唐突に言われ、衝撃を受けます。
 去年のお好み焼き勝負の時は、陽一君が岡田屋さんをうまく(?)挑発して自分の望む通り話を進めていましたが、今年は陽一君の煽り耐性ゼロな性格をよく学んだ岡田屋さんの方が上手で、「どうや、おまえにもこの難問が解決できるか?できんかったらこの場で、ごめんしんしゃい。許したるで」と燃料を投下しまくり、「誰がごめんするかぁっ、バカにするない」「オレもそんな条件みごとにクリアーしてっ、最高の焼きそば作ってやらあっ」と負けず嫌いな陽一君に食いつかせ、自分の土俵で勝負をさせる事に成功していました(←煽り性能の高さに定評がある『ポプテピピック』の女子高生二人並に冴えた必殺仕事人っぷりに、感服です)。

 レシピを教えると言いつつ肝心な調味料を秘密にしたり、お好み焼きの判定人を自分の同業者で固めたり、自分の専門分野で自信作をあらかじめ考えてから待ち構えたりと、見た目によらずなかなかの計算高さ発揮する岡田屋さんですが、陽一君自体がチートの塊で圧倒的有利な存在ですので、このぐらいハンデがあってもやりすぎとは感じないのが正直な感想です;(←『カイジ』の利根川先生も、「世間はおまえらの母親ではない」「質問すれば答えが返ってくるのが当たり前か…?大人は質問に答えたりしない」と言っている事ですし。むしろ、ズルくて容赦ない大人世界の厳しさを教えつつもさり気なくフォローする岡田屋さんは、いい人の部類だと思います)。
 案の定、その後陽一君は岡田屋さんが与えたヒントで「クレープは手軽に街中で食べられるスナックの代表…じゃあ、それと同じ発想をもっとオレ自信が好きな食べ物におきかえれば」と瞬く間に構想を練っており、岡田屋さんも厄介な商売敵を持ったな~と同情しました。
 まるで、逆境になればなる程たくましく成長して強キャラ化し、能力が高くて優位なはずのライバルヒロインを脅かす少女漫画の主人公みたいなキャラだと感じたものです(←例:『ガラスの仮面』『王家の紋章』『ふしぎ遊戯』など)。
岡田屋さんの計算通り、桜祭りで焼きそば対決をする事になった陽一君
 こうして、陽一君が「むこうがクレープなら、オレはハンバーガーをヒントにまったく新しい焼きそばを考えたぞっ」と言って生み出したのが、“味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば”です!
 ハンバーガーと言っても焼きそばパンみたいにバンズへ麺を挟むのではなく、焼きそば麺を油で揚げて固焼きそば風に仕上げ、その中に具と餡を封じ込める破天荒なアイディア料理!
 具は豚肉・小海老・椎茸・ニラ・タケノコ・ひじきの六種類と結構な具沢山で、これらをとろみのある餡でまとめる事により、素晴らしいハーモニーを響かせると作中で説明されていました(←通常、固焼きそばの餡には白菜・ニンジン・小松菜・もやしといった野菜類も入れる物なのですが、陽一君は自らも出汁を出す食材にこだわったのか、一切使っていません)。
 ポイントはひじきを必ず入れる事で、海の香りとプツプツ噛み切る舌触りのよさが食べなれたはずの固焼きそばを新しい旨さに変えてくれるとの事でした。

 陽一君や法子さん曰く、「普通のかた焼きそばと違って、中にタレを封じ込めた分外側のパリッとした香ばしい味わいが損なわれずにずっとおいしいまま食べられるんだ!」「それに、このボール状の焼きそばなら中身が冷めることもなくて、おいしいソースをまるごと食べられるすごい工夫ね」だそうで、容器をいらなくする工夫がそのまま味の向上に繋がっていると語っていました(←『中華一番!』に出てくる巨大なボール状のおこげ料理に似た美味しさ理論ですね)。
 ちなみに、ネットで調べてみると日清食品焼きそばバーガーのレシピをアップする冒険をしていたり、過去に大竹学園の文化祭でヤキソP゛ANバーガーが売られていた事があるという驚き情報を知ったりし、「意外と人を惹きつける組み合わせなのかな…」と興味深い気持ちになりました(←残念ながら、陽一君みたいに餡かけ味を作っている方はいませんでした;)。
いつまでも温かく、餡を残さず頂ける画期的なアイディアとして好評!具沢山で肉もシーフードも入っており、その上ひじきで食感に面白さをプラス
 なお、陽一君の工夫は形や味つけだけに留まらず食べやすさにまで及んでおり、それが岡田屋さんとの紙一重の勝負に大きく関わってきます。
 一つは、長時間揚げた結果脂臭くしつこくなってしまう麺をさっと湯通しして余計な油分を取り除き、岡田屋さんの茹でたこんにゃく粉入り麺に匹敵するさっぱりした後味を実現したこと←おでん種の揚げ物やインスタントのフライ麺も、事前に下茹でしてから使った方が油っぽさがなくなって澄んだ味になる為、説得力があります)。
 そしてもう一つは、そのまま中に餡を入れるだけではすぐに染み出てタレてしまうという致命的な弱点を、あらかじめワンタンの皮で餡を包む事によって未然に防いだこと←ワンタンの皮と中華麺の相性の良さは、エースコックのワンタンメンが既に立証済で鉄板!…という事はもしかして、永谷園松茸の味お吸い物を餡のベースにしたらもっとおいしくなるのでしょうか?)。

 これらの細やかな工夫によってお客さんの心を掴んだ陽一君は、見事岡田屋さんとの焼きそば対決で事実上の勝利を手に入れ、「やっぱり負けや。とてもかなわんわい」と降参させるのでした。
 なお、この時の活躍が原因で陽一君は岡田屋さんの一人娘・みのりちゃんに惚れられて「決めたっ。うち、陽一はんのお嫁はんになる!!」と逆プロポーズされ、頬を染めて満更でもなさそうな法子さんと、「陽一がうちにきてくれれば岡田屋の未来も大安泰や!!」と乗り気になる岡田屋さんに挟まれ、非常に困惑していました;(←みのりちゃんはどう見ても五歳くらいですので十歳近く年下ですが、光源氏計画を狙うならちょうどいい年廻りだったと思います。結局、『ミスター味っ子Ⅱ』で二歳年下の後輩・八重さんと結婚した事が判明したので、この婚約話は幻で終わっちゃいますが;)。
ワンタンの皮で熱々の餡を封じ込めることにより、液漏れを防いでいました
 麺をハンバーガー状に揚げる作業といい、餡たっぷりのワンタン作りの工程といい、かなり手間がかかりそうなので躊躇していましたが、ずっと気になっていたので意を決して再現する事にしました。
 文庫本版『ミスター味っ子』には詳細なレシピが記載されていますので、そちらと作中の記述を合体させて作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、餡作り。
 熱したフライパンへ細かく切った豚の薄切り肉を入れてよく炒め、こんがり焼けて油分が染み出てきたら、戻した後水気をしっかりきったひじき、やや小さめに切った小海老、薄くスライスした椎茸、細切りにしたタケノコ、ザク切りにしたニラを投入し、ざっと炒めます。
 具材がしんなりしてきたら中華スープ、お酒、オイスターソース、醤油、塩、こしょうを入れて煮込み、味が染みてきたら水溶き片栗粉をかけてとろみをつけます。
 少し水気を飛ばしてとろみを強くしたら火を止めて粗熱を取り、冷蔵庫で一旦冷やします。
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば1
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば2
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば3
 次は、ワンタン作り。
 先程冷ましておいた餡をワンタンの中央へ置いてさらにワンタンをかぶせ、フチに水をつけてきっちりとじます(←表裏共に二枚重ねにした方が皮は頑丈になり、破けにくくなります)。
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば4
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば5
 ワンタンを成型し終えたら、たっぷりのお湯を沸騰させておいたお鍋へそっと落とし、約一分くらい茹でます(←普通に入れるだけでは底に張り付いてしまいますので、網じゃくしを使ってふわふわとお湯の中を泳がせながら火入れすると、ぐっと破れる危険性が減ります)。
 皮に透明感が出てきたらさっと冷水に取り出して粗熱を取り、油を敷いたバット等に移して全体に油をなじませ、くっつかないようにしておきます。
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば6
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば7
 今度は、揚げ作業。
 適度な大きさの味噌漉し器に、ざっと茹でて流水で締めた後しっかり水切りをしておいた焼きそば麺をしきつめ、中央に先程の餡入りワンタンを入れ、周囲を覆うようにしてさらに焼きそば麺をかぶせます。
※あんまり大量に麺を入れると中まで火が通りにくくなりますので、気持ち少なめを意識した方がいいです。
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば8
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば9
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 麺を入れ終えたら、160度に熱した揚げ油へ味噌漉し器ごと沈め、上からお玉で油をまんべんなくかけつつ全体がこんがりキツネ色になるまで揚げます。
 麺が色づいて揚がってきたら取り出し、小鍋に沸騰させておいたお湯へ一瞬だけ入れて湯通しし、余分な油を落とします(←さっとくぐらす程度にしないとふにゃふにゃになりますので、要注意です)。
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味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば12
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば13
 キッチンペーパー等で余分な水気をふき取り、包み紙で包んだりお皿へ盛れば“味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば”の完成です!
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 包み紙を開けると、揚げ物特有の香ばしい匂いがほのかな湯気と共に立ちのぼるのが何とも心地いいと思うと同時に、「初めてライスバーガーを目にした時と同じ違和感を感じる…」と妙な感覚に陥りました;。
 表面は硬めですが、持った手触りは不思議と柔らかでもあり、一体どんな味と食感をしているのかワクワクします。
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味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば16
 それでは、ホカホカの内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば17


 さて、感想は…どこか懐かしいのに新しい味わいで美味し!手軽に食べられる本格中華なファーストフードです!
あまりの美味しさに、上空まで吹っ飛んだお客さんの姿がしゅーる;
 麺の外側はパリパリザクッと弾けるように砕ける香ばしさ、内側は蒸し麺ならではのシコシコモチモチとした弾力がたまらない感じで、皿うどんと固焼きそばを足して二で割ったような旨さが特徴的。
 この食べ応えのある揚げ麺に、ワンタンを噛み破った途端トロリと溢れだすオイスター醤油味の餡が絡むとぴったりの相性で、中から出汁が溢れるのを外の皮がしっかり受け止めて調和する醍醐味は、肉まんや小籠包に似ているな~と感じました。
 餡はひじきの濃密な磯の風味が効いたこってり海鮮味で、タケノコのサクサク感、海老のプリプリ感、豚肉の脂の旨味、ニラの野性的な香り、椎茸のまったりしたコクが中華スープによって一つにまとまっており、予想していたよりもリッチな味付けでインパクトがあります。
 意外だったのは油抜き効果で、そのままだったら顎に刺さりそうなくらいバリバリに硬くて食べにくいお焦げがほんのり落ち着き、カリッとした歯応えはそのままにいい塩梅の口当たりになっていたり、揚げ物特有の油っこさが消えて比較的あっさりと頂けるようになっていたりと、まさに一石二鳥な仕上がりになっていました。
 ワンタンは揚げた感が出ず茹でたてのツルツルした舌触りのままで、きしめんみたいにムチムチした歯触りがいいアクセントになっており、煮込み麺みたいに中華スープをたっぷり吸って噛むごとに味わい深くなるのがよかったです。
 唯一の弱点はワンタンを包む時の都合上どうしても餡が少なめになる事で、餡3:麺7の割合で揚げ麺がたっぷりの餡でしっとりゆるむあの独特な旨さがない所ですが、揚げても尚粘りのあるコシが活きている中太の焼きそば麺はそのまま食べても十分コクがあって美味だった為、餡は「麺と対等の具」というよりは「麺をよりおいしく食べるソース」みたいな感じだと思いました(←例えるなら、「固焼き風油そば」というイメージ)。


 これは前回再現した“岡田屋特製クレープ焼きそば”でも実験した事で、時間が経ったら餡が漏れないか数十分放置してみたのですが、陽一君の焼きそばもワンタンがガードしているおかげで餡がたれる事はありませんでした(←岡田屋さんのは作中でたれてる設定でしたが、ソースや麺に粘度があるので実際にはたれていませんでした)。
 うまく食べないと分解しやすいのでやや食べにくくはありましたが、包み紙がこぼれないよう防いでくれるのでそこまで気にならない感じで、岡田屋さんの焼きそば同様、調理法をもうちょっと改良したら普通に売れるのでは?と思います。
 夫は特に餡が気に入ったようで、そこまでひじき好きでもないのに「うまかった!」と満足していましたので、海草類が苦手な方は中華風の味つけにチャレンジしたらいけるんじゃないかな~と感じました。


P.S.
 キンメさん、咲空さん、kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。


◎おまけ
 食べて遊んで暴れて好き勝手した結果、疲れて爆睡する猫達の写真です。「よく寝る子だから猫」というのは至言だな~と思います。
余程眠るのがすきなのか、本当に幸せそうなキジ白猫
夫のイスを占拠して眠る白黒猫。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『クッキングパパ』の“天草名物きんなごずし”を再現!

 時々、うちのブログは場末のスナックみたいだな~と思います。
 ガイドブックどころか食べログやGoogleにも感想ゼロ(=知名度&人気なし)、メニューはマニアックで乾き物ばかり(=記事はほぼ再現料理でニッチな内容 )、ママの癖がすごい(=当管理人の癖がすごい)、店もカラオケも古い(=ブログ開設14年目)、ママの物忘れや人手不足をお客さんがそっとフォロー(=当管理人の誤字脱字無知をコメント欄にて親切に教えて頂く)など、いちいち書き出したら止まらない程。
 おまけに、いつ閉店してもおかしくないのにしぶとく続けられているのは、極々少数の奇特で心優しい常連さんと、好奇心旺盛な新規のお客さんがいらっしゃるおかげという所までそっくりで、苦笑いしました。
 唯一違うのは、スナックのママにしては女子力皆無コミュ障で気が利かなすぎる所ですが、そこら辺は年々改めていていけたらと思っています。

 どうも、「平成最後の○○」というのを聞くたびに妙な焦燥感を感じるものの、特に何も挑戦しないまま平成が終わりそうな当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任がひな祭りの日にお土産で頂いたきびなごを使って作った“天草名物きんなごずし”です!
天草名物きんなごずし図
 それは、荒岩主任の妹・味知さんと根子田さんがまだ結婚する前のお話。
 カメラマンの根子田さんが写真を撮り、コピーライターの味知さんが文章を書くという、まさに一石二鳥、二人三脚な仕事が舞い込んできたお二人は、熊本県天草諸島の小さな漁村へ取材に行くのですが、思ったよりもいい写真が撮れず取材は難航し、夕方には大喧嘩に発展してしまいます。
 初めは「一緒に仕事が出来る」と喜んでいたそうなのですが、どうやら味知さんは現実主義の効率優先派、根子田さんは理想主義の感覚優先派と仕事に対する姿勢が大いに違っていたそうで、やりにくい空気が流れる内に段々険悪なムードになっていった模様←プライベートでは一緒に居酒屋や海外旅行に行くなどそれなりに仲がいいものの、仕事中は水と油で反発しあう『こち亀』の両さんと大原部長みたいな関係性で苦笑;)。
 根が大らかな根子田さんは仕事に夢中であまり気にしなかったようですが、イマイチ納得できる写真が撮れないと言ってどんどん奥地へ進む・そのくせしっくりくる写真はまだ一枚も撮れていない・取材費はとっくに使い果たして大赤字等が原因で味知さんはストレスが溜まっていき、最終的に根子田さんのうっかりミスでバスの最終便を逃すに至ってとうとう爆発します(浮気疑惑で家出騒動の時もそうでしたが、根子田さんは一つの事に集中すると周囲が見えなくなり、ケンシロウの北斗百烈拳の如く押しちゃダメな秘孔を無意識の内に連打しちゃう性格)。

 と言っても、怒って言葉のパンチを放っているのは味知さんだけで、根子田さんはひたすら防戦してオロオロするという残虐ファイト状態;。
 「これ以上お金使ったら、帰りの飛行機代もなくなっちゃうわ」「だいたいなんでこんなへんぴな漁村まで来なきゃいけないのヨッ」「ネコちゃんちっとも仕事してないじゃないっ!!」「もう締め切りもせまってんのョ、どうすんのっ!?」「仕事はできないっ。お金も無いっ。泊まる宿も無いっ。めちゃくちゃネッ」と味知さんがマシンガンの如くまくし立て、根子田さんが一言えば十返ってくる様子は喧嘩というより一方的なつるし上げという感じで、「もうやめて!とっくに根子田さんのライフはゼロよ!」と止めに入りたくなる程でした;(←もはや芸術的な程スラスラと饒舌にけなし文句が出てきて他を圧倒する姿は、『リーガル・ハイ』古美門研介に匹敵すると思います)。
 小さい頃から優しく頼もしい兄に親同然で育てられた味知さんからすると、ドジッ子K点越えな根子田さんはアラが目立ってしょうがないのかもしれませんが、家事も仕事も育児もアウトドアも出来る超人・荒岩主任のレベルを求めるのは、少々酷だと思ったものです…。
芸術家肌の根子田さんと、現実的なみっちゃんはまるで水と油のよう;
 そんな時、防波堤の下で偶然話を聞いていた地元のおじいさんから「そぎゃん困っとんなはあなら、うちに泊まんなっせ」と声をかけられ、お二人とも半信半疑でついて行く事になります。
 こういう見知らぬ人が快く泊めてくれる展開だと、昔話では夜中に恐ろしい顔をした山姥が台所でシャ~コシャ~コと刃物を研いでいたりミステリーorホラー漫画では本来の住人はとっくに殺されていて犯人がその家の人間に成りすましていたりというのがお約束の筋書きなのですが、『クッキングパパ』優しい世界なのでそんな事はなく、本当に100%善意の親切な漁師ご一家でした。
 おじいさんが言うには「わしゃ、あんたたちのごたる若い者が好きたい」だそうで、沸かしたてのお風呂に入れてくれたり、温かい食事や焼酎を大盤振る舞いされたり、ふかふかの布団を用意されたりと、かなり歓迎されていました(←雰囲気的に『田舎に泊まろう!』の宿泊パートに少し似てますが、お泊り交渉でしょっちゅう殺伐としたムードが流れて心臓が痛くなっていた番組と違い、味知さん達の場合はもてなしたくて呼んだお客さんとして扱われていた為、最後まで和やかな空気だったのが読んでてほっこりします)。
 何から何まで至れり尽くせりな対応に、味知さんも根子田さんも恐縮するのですが、おじいさんとしては近くに誰かがいるのも気づかず怒りまくる味知さんを落ち着かせたくて誘ったのもあったらしく、「よかよかっ」「あんまりケンカせんごとがんばんなさいや。わしゃ防波堤の下で笑うとったたいっ。ふあっふあっふあっ」と屈託無く笑っており、お二人とも恥ずかしさのあまり赤面していました。
 全くその通りなのですが、これが激しい口論をする事でお互いの愛を確認しあう『美味しんぼ』のエキセントリックな名物夫婦・団さん&ジュディさんだったら、喧嘩を止めるととんだお邪魔虫になっていた所ですので、つくづく夫婦喧嘩は対処が難しいです;。
防波堤で偶然話を聞いた地元のご主人が、家に泊めてくれていました
 翌朝、感謝のあまり何度も頭を下げた味知さん達は、お礼に僅かばかりのお金を渡そうとするのですが、おじいさんは「な~んバカんごたるこつ言うなっ!!」「そぎゃんつもりでしたとじゃなかっ!!ひっこめなっせ」と断り、逆にお土産として獲れたてのきびなごを渡してお二人を見送っていました。
 その後、せっかく近くまで来たからと急遽荒岩主任の家に訪れた味知さん達は、ひな祭りのお祝い中だった荒岩主任にきびなごをプレゼントし、「ねっ、お兄ちゃん。それでパッパッと何かおいしいもの作ってよ」無茶振りリクエストします。
 荒岩主任のお料理能力が高すぎる為、もはや荒岩家=看板のない一流料理店というイメージで、こういうお兄ちゃんがいたらいいな〜と羨ましくなったのを覚えています(←ごく普通の家庭に生まれ育った素人なのに、どんな難しい料理の依頼がきてもプロの山岡さん陽一君みたいに解決出来るなんてすごすぎます)。

 こうして、荒岩主任が「よしっ、じゃあひな祭りにピッタリの料理作ろうっ!!」と言ってすぐに作ったのが、この“天草名物きんなごずし”です!
 作り方は結構簡単で、手開きして身だけにしたきびなご・お酢・砂糖・塩・しょうがを合わせて三十分くらい浸け、薄口醤油を回し入れて蒸らしたご飯へ加えてさっくり混ぜ、最後に白ゴマと青じそをまぶしたら出来上がりです。
 ポイントは、薄口醤油はご飯が炊き上がった直後にさっとかけてすぐにフタをして約十五分蒸らすこと、ご飯はお酢を加える前に一旦うちわであおぎながら混ぜて温度を下げること、きびなごを加える時は必ずご飯が人肌以下に冷めてからにすることの三点で、こうするときびなごのソフトでデリケートな味が活きたちらし寿司になるのだとか。
 初見時は熊本の郷土料理だとすっかり思い込んでいたのですが、後々ネットで調べた所、既に消え去ってしまった幻の料理なのか、それとも荒岩主任オリジナルのレシピなのか全然情報がヒットせず、一体どこがレシピの出所なのか非常に興味をそそられたものです。
おみやげに頂いた新鮮なきびなごを使い、ちらし寿司を作る荒岩主任
 最近ようやくスーパーにきびなごが出るようになりましたので再現する事にしました。
 作中には分量と図解付きの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、きびなごの下ごしらえ。
 新鮮な刺身用のきびなごを用意し、指を使って背開きにしながら頭・内臓・骨・胸びれ・背びれ・尻尾を丁寧に取除き、さっと流水で汚れを落としてキッチンペーパー等で水気をふき取ります(←詳しくはこちらをご参考にどうぞ)。
 この身を縦真ん中から分けて二等分にしてボウルにいれ、お酢、砂糖、塩を混ぜて作った合わせ酢と、みじん切りにした生姜を加えてざっと混ぜ、そのまま三十分浸けます。
天草名物きんなごずし1
天草名物きんなごずし2
天草名物きんなごずし3
 次は、酢飯の準備。
 通常より水加減をちょっと少なめにしたご飯が炊けたら、すぐに薄口醤油を素早く回しかけてフタをし、約十五分くらい蒸らします。
 このご飯を水で濡らしておいた寿司桶へ入れ、うちわであおぎながら冷ましつつしゃもじで軽く切るようにして混ぜます(←後々合わせ酢も加えて混ぜますので、本当にざっくりでいいです)。
天草名物きんなごずし4
天草名物きんなごずし5
 人肌よりやや低い温度になるまで落ち着いたら、先程のきびなごを浸けた合わせ酢ごと投入し、さらに混ぜ合わせます。
 その際、お酢は全体にかけるようにし、下からご飯をすくい上げるようにしてまんべんなく混ぜ、決して練らずにふんわり合わせるよう気をつけます。
天草名物きんなごずし6
天草名物きんなごずし7
 全体にお酢が行き渡ったら大皿へ盛って炒った白ゴマを上からまぶし、刻んだ青ジソを散らせば“天草名物きんなごずし”の完成です!
天草名物きんなごずし8
 きびなごの輝くような銀皮と、青ジソの鮮やかな緑色の取り合わせが見るからに爽やかで美しいです(←夏の季節に見ると涼しげで食欲が湧きそうですが、きびなごの旬は春と冬で時期的に合わないのが残念!)。
 個人的にきびなごはお刺身かフライにして食べるイメージで、お寿司というのは意表を突かれる感じでしたが、一体どういう味なのか楽しみです!
天草名物きんなごずし9
 それでは、小皿に取り分けていざ実食!
 いただきまーすっ!
天草名物きんなごずし10


 さて、感想は…素朴ながらも品がよくて穏やかな、まさに春らしい美味しさ!魚がたっぷり入っているのに、独特の癖や臭みのある脂分が一切なくて食べやすいです!
 きびなごは透き通るような甘味を帯びた淡く儚い白身を持つ魚ですが、同時に青魚らしいこってりしたコクがピッとほんの少しだけアクセントに効いており、淡白ながらも芯の強さが垣間見える味が特徴的。
 生だとホタテの刺身みたいに甘々でプリッとしてますが、酢締めだとしっとりホロリとほどける半生の舌触りに、シコシコした弾力で酢飯と合わせるのにちょうどいい具合の仕上がりになっており、まるで押し寿司に使われるサバみたいに洗練された旨さになっていました。
 きびなごが浸けられて風味が移ったお酢をご飯に行き渡らせたせいか、刺身を乗せた生ちらしというよりは、かやくを混ぜ込んだ五目ちらし風の全てが一体化したふんわり優しい味わいで、砂糖が多めでしっかり甘酸っぱい酢飯がきびなごをがっちり受け止めているのが頼もしかったです(←薄口醤油をかけて醤油ならではの塩気や旨味をほんのりプラスしている為、魚によく合う味付けになっているのもポイント高し)。
 白ゴマのプチプチ弾ける香ばしさと、青じそのサクサクした清涼感溢れる香りが口の中をさっぱりと洗い流す感じで、シンプルながらも後を引きます。
 ガリとは違い生の刻み生姜を使っている為、シャープでキリッとした辛味とフレッシュなシャキシャキ感が全体を引き締めているのがとても爽やかで、ご飯物にありがちなべっとりした重さがないすっきりした後口がたまりませんでした(←魚介をふんだんに使った江戸前ちらしが艶やかな芸妓さんとするなら、こちらは純朴な乙女というイメージです)。


 とにかくあっさりとして軽く、それでいて魚を食べている満足感があり、夫も当管理人も「うまい!」と何回もおかわりしまくりました。
 生のままだと白身魚だと断言できるくらいはんなりとした身ですが、酢に合わせると途端に青魚らしい旨味がうっすらと浮き出る感じで、面白いと思います(←地元では醤油ではなく酢味噌できびなごを食べるのも、恐らくその為かと)。
 ただ一つ贅沢を言うとするなら、その繊細な食べ味ゆえに食べ盛りの子にはパンチが足りないかもしれませんので、メイン級のおかずも一緒に用意した方がいいかもしれません。


P.S.
 咲空さん、kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。
 マーガレットのタイムスリップ漫画や、加藤清正公の築城エピソードなど、色んなご情報を知れて感謝です。
 コメント欄にて様々な知識を教えて頂くのは、普段狭い世界にいる当管理人にとって大変興味深くありがたい事ですので、改めて御礼申し上げます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『銀平飯科帳』の“銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ”を再現!

 去年の今頃、母の勧めで知って以来ファンになって通っていた和洋折衷レストランがあったのですが、そちらの日替わりランチで「舌平目のナンチュアソース」や「豚ロースのクラポーデン」というメニューを見かけ、一瞬頭が「?」マークだらけになった事があります。
 後々調べた所、ナンチュアソースは甲殻類から出汁をとって作るアメリケーヌソースにクリームを混ぜたソース(←本場ではザリガニで風味をつけるのだとか)、クラポーデンはマスタードとウスターソースを混ぜてお肉に塗った後にパン粉を振って焼いてデミグラスソースを添える料理で、見た事も聞いた事もない調理法に目を丸くしました。
 両方とも古典的なフランス料理で、「普段は家庭的な洋食ばかりだから、珍しいな~」と思っていたのですが、HPを拝見すると何と店主は某ホテルの元料理長でいらしたそうで、基本がしっかりしているからこそ創作洋食もおいしく作れるんだな~と尊敬しました(←現在は残念ながら日替わりランチが中止され、定番メニューのみで遊び心がなくなってしまいましたが…orz)。

 どうも、桜を見るたび去年の春にうちのやんちゃなキジ白猫が脱走し、半死半生で探し回った事を思い出して心臓が少しドクドクする小心者な当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『銀平飯科帳』にて銀次さんが幼なじみの葉瑠さんをお花見気分にさせる為作った“銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ”です!
銀時流桜のピザ図銀時流桜のかき揚げ図
 それは、桜の花が咲き始めてお花見シーズンになった頃のお話。
 お花見好きな葉瑠さんを喜ばせる為、銀次さんは「パーッとお花見しようか、葉瑠!」と提案するのですが、初期の綾波レイみたいな無表情で「無理無理」と即答されてしまい、涙目になります(←普段はドラえもんにお願いする感覚で銀次さんに無茶な依頼をする為、逆に「だが断る」となる展開は新鮮でした;)。
 実は、本心では葉瑠さんもお花見に行きたくてたまらないのですが、教職はこの時期ものすごく忙しいらしく、体力的にも時間的にも難しいのでここ数年はずっと行っていないと寂しそうに語っていました。
 教師と聞くと、やりたい放題やってる鬼塚先生が主人公の『GTO』、教師業よりも妖怪&悪霊退治が本題の『地獄先生ぬ~べ~』、生徒との触れ合いがメインの『3年B組金八先生』体を張った教育とぶっとんだフローチャート思考が特徴的な『いけない!ルナ先生』など、日常の細かい仕事が伝わらない作品ばかり思い浮かぶのですが、実際は山のような事務作業・モンスターペアレント&チルドレンへの対応・会議等で凄まじく忙しくようで、下手なブラック企業よりも過労死ラインの残業が多い大変な激務。
 おまけに、最近は宴会をして騒ぐ人々が「物売るっていうレベルじゃねぇぞ!」レベルで荒れる影響で、飲酒&露店禁止の会場が急速に増えているみたいで、それもお花見に対して消極的になっている理由みたいでした。
 「春は葉瑠の元気な姿が見たいじゃん」と言う銀次さんですが、小学校の先生を続ける限り葉瑠さんにとって春は一番グロッキーな季節になる訳で、何とも皮肉な事だと気の毒になったものです。
お花見シーズンは忙しく、ここ数年お花見に行けてない葉瑠さん
 どうにかして葉瑠さんにお花見気分を味わわせたいと思った銀次さんは、何かいい案はないかと再度江戸時代へタイムスリップします(←銀次さんの場合、寂れた神社の中にある井戸に入って時空移動する『犬夜叉』方式ですが、慣れすぎてもはや近所のコンビニ感覚なのに苦笑します;)。
 この時は珍しく多くのネタ元となっている平蔵さんには一度も会わず、代わりに偶然会った将軍の家さんと一緒に隅田川へお花見に行き、桜餅を食べます。
 家さん曰く、三代前の徳川吉宗公が飛鳥山・隅田川・御殿山に桜の植樹をしたり、自ら桜の木の下で酒宴を開いたりしてお花見を奨励したそうで、それがきっかけで庶民にもお花見の習慣が広まったとの事でした(←個人的に吉宗公といえば『暴れん坊将軍』で、警察と必殺仕置き人の職を兼任している日本一働き者な将軍という印象を勝手に抱いていたのですが、今ここに花咲か爺さんのイメージもプラスされました)。
 一説によると、吉宗公が隅田川の堤に桜を植えたのは大勢のお花見客に土手を踏み固めてもらい、堤防の治水効果をより高める狙いがあったようで、まるで独創的かつ効率的なアイディアで次々と難題を解決した豊臣秀吉みたいな名君だな~と感心しました。

 なおこのお花見中、家さんは小袖で作った幕の中で姿を隠しながら女性オンリーのお花見をしている一団を発見し、「いいのう、わしもまぜてくれんかのう」「色っぽい姉ちゃん…」と悪い虫が騒いでそっと覗きをするのですが、そこにいたのはお姉ちゃんというよりはたくましい奥様方ばかりで、大ショックを受けていました(←途中まではセクシーなものの、毎回トホホな結果になって終わる『志村けんのバカ殿様』のお色気コントそのままな世界観;)。
 「女だけで閉じられた世界」と言うと、『けいおん!』みたいなかわいい女の子達がキャッキャウフフする尊いワールドが炸裂しているように見えますが、現実は「秘すれば花」であるケースがほとんどだと女子高出身の当管理人は思えてなりません…。
庶民への遠慮でお花見を我慢していた家さん、やっと銀次さんと桜を見に行けてました女性オンリーのお花見を覗き見したら、とんだ女の園で慌てて退散する家さん
 その後、現代へ戻ってきた銀次さんは桜の葉の塩漬けを二~三枚巻いて出されていた長命寺の桜もちをヒントにし、色んなお花見風料理を葉瑠さんにご馳走します。
 それが、この“銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ”です!
 作り方は簡単で、“桜のピザ”は餃子の皮にオリーブオイル・トマトソース・釜揚げしらす・桜の葉の塩漬け・チーズを乗せてオーブントースターで焼くだけ、“桜のかき揚げ”は桜えび・玉ねぎ・桜の葉の塩漬けを天ぷら衣で和えて揚げ、フリーズドライにして粉状にした桜パウダーを塩に混ぜた物を添えたら出来上がりです。
 ポイントは、桜の葉の塩漬けは塩抜きした後千切りにして使うこと、かき揚げの衣はもっちゃりしないよう混ぜすぎに気をつけることの二点で、こんなにお手軽な割にはお花見弁当並に春っぽさ満点で驚きました(←ざっと調べましたが、桜の葉も花もお菓子に使用されるのがほとんどで、おかず系に使っているレシピはほとんどありませんでした。銀次さんの料理センスは相変わらず冴えています!)。
 ちなみに、桜の葉の塩漬けにはクマリンというポリフェノールの一種である成分が含まれているのですが、抗菌&抗酸化作用・血圧低下作用・二日酔い防止・リラックス効果など、意外と体にいい事が判明しており、宴会や仕事でお疲れ気味な方にぴったりな食材だと思ったものです。
 葉瑠さんが言うには、「思った以上にしらすが主張するのね。桜の葉の風味がさらに春らしさをのっけて美味しい!」「わあっ、サクサクフワフワで美味しい!この香ばしさと旨味、それに桜の風味をアクセントに絶品ね!」な味わいだったらしく、大喜びしていました。
桜の花をフリーズドライしたものを塩に入れるというアイディア銀次さんの桜尽くしの料理で、お花見気分を満喫する葉瑠さん
 もうそろそろ春が近づいているせいか、近所のお店で桜パウダーや桜の葉の塩漬けが手に入ったので再現する事にしました。
 作中には大まかなレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、“桜のピザ”作り。
 くっつかないタイプのアルミホイルにギョウザの皮を置いてオリーブオイルを薄く塗り、さらにトマトソースをスプーンで平らにのばした後、釜揚げしらすを乗せます。
 トマトソースは市販でも手作りでもいいですが、なるべく具材の邪魔をしないよう、材料も香りもシンプルな物を使用する事をお勧めします(←当管理人の場合、生トマト・オリーブオイル・にんにく・玉ねぎ・塩・こしょうのみで作った、単純な手作りトマトソースを使いました)。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ1
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ2
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ3
 そこへ、桜の葉の塩漬けを軽く塩抜きして水気を拭いた後千切りにしたものを散らし、ピザ用チーズを乗せてオーブントースターでこんがりするまで焼きます(←約三分くらいで程よく焼けますが、こまめに様子を見た方がいいです)。
※桜の葉の塩漬けは、中央を走る硬い葉脈部分を取り除いてから切った方が、より口当たりがよくなります。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ4
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ5
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ6
 次は、“桜のかき揚げ”作り。
 ボウルへ生の桜えび、薄くスライスした玉ねぎ、桜の葉の塩漬けを軽く塩抜きして水気を拭いた後千切りにしたものを加え、小麦粉を振ってざっくりなじませます。
 食材全てに小麦粉がなじんだら、小麦粉・片栗粉・キンキンに冷やした炭酸水などを混ぜて作った天ぷら衣を入れ、さっくりと混ぜ合わせます。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ7
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ8
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ9
 衣で材料がまとまったら、180度に熱しておいた揚げ油でカラッとしたキツネ色になるまで揚げ、キッチンペーパーでしっかり油分をきっておきます。
 その間、桜の花をフリーズドライにして砕いた市販の桜パウダーを塩に加えて混ぜ、特製の天ぷら用桜塩を作っておきます。
※当管理人のようにかき揚げに自信がない方は、クッキングシートに一回分ずつ乗せてから揚げ油に投入すると、無残なバラバラかき揚げにならずに済みます;。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ10
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ11
 それぞれの料理をお皿へ手早く盛り付け、かき揚げの横に先程の桜塩を添えれば“銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ”の完成です!
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ12
 ピザの方からは桜の葉の香りが、かき揚げの方からは桜の花の香りがさり気なく上品に香ってくる感じで、これだけでもう非日常な特別感を感じます。
 ピザから除く桜の葉の渋い緑もいい感じですが、中でも桜の花のピンクが目にも麗しい塩が見るからにたまらなく、果たしてどんな味になるのかワクワクします。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ13
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ14
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ15


 さて、感想は…室内に居ながらお花見をしている感覚になれて美味し!日本人における桜の存在感の凄さを実感させられる料理達です!
桜の葉だけでも結構桜の風味がしておいしく、おすすめです!
 “桜のピザ”は桜の葉の雅やかな香気がかき揚げ以上にスーッと鮮烈に鼻を抜けていき、チーズと共に艶やかにとろけていく洗練された味で、見た目以上に和を感じさせる旨さ。
 餃子の皮は外側はカリカリパリッと、内側はむっちりしっとりした口当たりのクリスピーピザ風の歯触りで、意外としっかりピザっぽい生地になっていました。
 不思議な事に、肉系の食材は一切入れてないのにチーズやトマトのコクとしらすのクニッとした弾力が混ざるとハムっぽい濃厚な旨味が生まれ、噛むごとに肉とも魚とも言えない熟成されたような味わい深さが出るのが印象的です。
 フルーティーで甘酸っぱいトマトソースが主体のイタリアンな味付けですが、しらすの淡白な潮の風味と、桜の葉の典雅な塩気が効いているせいか洋酒より日本酒に合うという異色な仕上がりで、単品ではなく酒肴で頂くのに向いた一品でした。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ16
 “桜のかき揚げ”は桜えびのプリプリプチプチした食感と、胸をすくような芳しさがサクサクした衣によってふっくらと包みこまれ、何とも食べ応えのある穏やかな味わいになっています。
 火が通る事によって生の時よりも皮がパリッと香ばしくなり、身はほのかに甘さが増しているのが秀逸で、乾燥海老を使った時にはでない瑞々しさがあるのが特徴的。
 高温で蒸されねっとり甘くなった玉ねぎのシャクシャク感と、桜の葉の若々しい息吹を感じる香り高さが主張していいアクセントになっており、メリハリのある味付けになっていました。
 桜の花入りの塩は、桜並木を歩く時にどことなく漂ってくるほんのり甘やかで儚い、そして素朴な清らかさのある匂いを何十倍にも凝縮させたようなまさに「春」その物な香りで、かき揚げを噛み締めるごとにふわっと香ってくるのにうっとりします。
銀次流桜のピザ&桜のかき揚げ17


 ここに、桜の花の塩漬け入りの熱燗を加わえて一杯飲めば鬼に金棒で、室内でも工夫次第でお花見気分になれるんだな~と感心しました。
 夫も「雅でおいしいね~!」と上機嫌で、一足先に春を堪能したような気持ちになりました(←この日以来、材料が単純でお手軽な桜ピザは繰り返し作っています)。
 桜の花の塩は白身系のお刺身にあわせたり、豆大福の上にちらっとかけても合いそうだと感じたので、今度試してみようかな~と思います。


●出典)『銀平飯科帳』 河合単/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『クッキングパパ』の“タラの親子丼”を再現!

 先々月のお正月、久々に実家へ帰省した妹と両親とで日本酒中心の居酒屋へ行ったのですが、そこで初めて飲んで衝撃を受けた日本酒がありました。
 それが、岡山県の白菊酒造様が醸造されている、「大典白菊 純米吟醸 直汲み サンライズブルー」!
 青を主体としたキレイなパッケージの日本酒なんですが、本当にそんなイメージの味わいで、飲んだその日から味の虜になりました(←「サッポロ一番カップスターのCM(音声が流れるので要注意)のセリフか!」と分かって下さる方はいますでしょうか…?)。
 ハッとするほどフルーティーで、甘みと酸味のバランスもちょうどよく、まるで太陽が顔を覗かせる直前の徐々に明るくなってきた夜明け前の美しい瑠璃色の海のような印象で、個人的にここまで澄んだ飲み口の日本酒は類を見ないと感じました。
 この落ち着いた華やかな薫香はワインに通じる物があると思いましたので、洋酒好きの方にもおすすめしたいな~と思いました(←とはいえ、おつまみはイカのワタ和えなどバリバリの和食を選びましたが;)。

 どうも、いつの間にか妹の方が日本酒に強くなっており、「さすが新橋でおじ様方と修行を積んだだけの事はある…!」と内心脅威に感じた当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて大平課長が息子・かずお君と一緒に作って食べた“タラの親子丼”です!
タラの親子丼図
 ある日、熊本県へ一泊の出張旅行をする事になった大平課長は、久々に息子のかずお君と会って一緒に飲みに行く計画を立てます。
 荒岩主任の“ドラオム”を食べて「か、からーい。こりゃうまいや」と初々しく喜んでいた中学生の少年は、今や熊本の大学へ通う為に一人暮らしをする立派な大学生となっており、『クッキングパパ』ワールドの時もゆっくりに見えて着実に進んでいるんだな~と実感しました。
 荒岩主任達はほぼ完成された大人で遭遇するイベントも限られている為、パッと見だと年齢や時間軸がさっぱり分からずサザエさん時空に巻き込まれたような気分になるのですが、それぞれのお子さん方は外見や環境が結構変わるので、見ているこちらも新鮮な気持ちになると同時に「大きくなったね~」と目を細める親戚のおばさん気分になります;。

 こうして気持ち早めに仕事を終わらせた大平課長は、夜にやっとかずお君と合流し、「おうおう、かずお元気だったか」「うん」「春休みは帰ってきもせんでー」「いろいろ忙しくてさ、バイトもしてたし―」など、ちょっとした言葉のジャブを交わしつつ和食系の居酒屋へ行き、馬刺しや地元の焼酎に舌鼓を打っていました(←ちょっと素っ気なく見えるかもしれませんが、大学時代というとモラトリアム期間真っ最中。最低限の自己管理さえすれば、自由にやりたい事が出来る世界は刺激的で非常に楽しかったので、かずお君の目が家族に向きにくいのも仕方ない事だと思います;)。
 なおこの時、大平課長は自分はあまり食べずにかずお君や、途中ちょっとだけ挨拶をしに来た彼女の久美さんがにこやかに話している姿を肴にニコニコと飲んでいました。
 一緒にエア食卓を囲む事すら命がけな地上最強のツンデレ親子、ちゃぶ台返しや一人クリスマスなど毎度食卓には一種の殺伐さを醸し出していた熱血野球親子の話を見た後にこちらの話を読むと、相乗効果でよりほのぼのします。
久々に息子・かずおさんと再開し、とっても嬉しそうな大平課長
 その後、久美さんと別れた大平課長は〆に桂花ラーメンを食べ、そのままかずお君の部屋へ泊まる事になります(『ミスター味っ子』の劉虎峰君がラーメン対決で作った黒いラーメンみたいに、焦がしたラードに香味野菜をミックスしたマー油を溶かした、香ばしいコクのあるラーメン。豚肉100%の燕皮麺ではないので、「二つ以上の脂が重なれば味がしつこくなるのは当然」「うますぎる素材は二つと並び立たぬもの。まだまだ修行が足りんようじゃの虎峰…」という出来ではありませんのでご安心を;)。
 実を言いますと、当初は「その辺のビジネスホテルにでも…」「だけどお前の部屋に2人はムリだろう」と大平課長は遠慮していたのですが、かずお君は「な~に言ってんだようち泊まれよ」「大丈夫だよ、寝袋だってあるしー」と全力で止めており、最終的には酔った勢いで「オレの部屋には泊まれないっつーの!?」と逆パワハラ(!?)で強引にうちへ呼んでいました;(←セリフだけ聞いたら酔って暴走状態になった富井副部長並にタチが悪いですが、圧倒的年下のかずお君が言ったとなるとあまり気にならないのが不思議)。

 こうしてかずお君の部屋に入る大平課長ですが、実家にいた時よりも片付いている部屋を目の前に「息子のにおいだ…」と感慨深い気持ちになり、あらかじめ用意してくれていたビールでプチ二次会をしていました(←お店では話せないぐっと身近な昔話をリーズナブルに出来る空間って、今思えばすごく贅沢だと思います)。
 心地よく酔ったお二人は、狭い部屋の中央で寝床につくのですが、その寸前大平課長は「こうやって並んで寝るのは何年ぶりだろう」「ここがおまえの城か…なかなかいい城じゃないか…」と述懐し、歳を取って授かって以来何かと手がかかる息子だったものの、ちゃんと成長してくれた事を温かく感じながら眠りに落ちていました。
 当管理人も少し前、妹の結婚前に母と一緒に部屋に泊まった事がありますが、実家にいた頃からは想像できない「一人で立って生活している」姿が頼もしく、それまでは家を出た時で止まっていた妹の年齢がやっと動いたような、何ともいえない心境になったのを思い出したものです。
息子さんが熊本で一人暮らししている部屋で、感慨深い気持ちになるお父さん
 そして翌朝、大平課長は奥さんがかずお君にと言って持たせてくれたお土産の辛子明太子銀ダラみりんを使い、かずお君にも手伝ってもらって朝食を作り出します。
 それが、この“タラの親子丼”です!
 作り方はものすごく簡単で、明太子を混ぜ合わせた炊きたてご飯を丼によそい、オーブントースターでこんがり焼いた銀ダラみりんを乗せて刻んだネギを振りかけたらもう出来上がりです。
 ポイントは、明太子は皮を全部取ったりご飯へ均一に混ぜたりせずに粗くほぐしてざっくり混ぜること、ネギは長ネギなどではなく細ネギを使うことの二点で、たったこれだけで絶品丼になると作中に書かれていました(←レシピ欄に光臨した荒岩主任曰く、「うまいからこれ以上手を加えようがないのだ!」との事)。
 銀ダラみりんとは、銀ダラの身を醤油とみりん等を合わせた漬けダレに浸した後軽く乾燥させた加工食品で、とろけるくらい脂が乗った身にみりんの旨味が加わって格別なおかずになるご飯泥棒な一品(←本州にある「銀ダラの西京漬け」よりも身近な存在かもしれません)。
 しかし、それだけにただでさえご飯に合う辛子明太子とドッキングさせるという考えは全く無く、すごい発想力だな~と感心したのを覚えています。
翌朝、奥さんの差し入れを使って初めて二人で朝食作りをします
 銀ダラみりん発祥の地といわれる福岡にも年々扱いが少なくなっている為探すのに苦労したのですが、最近やっとスーパーで発見したので再現する事にしました(←銀ダラの代用品であるヒラスの味醂漬けならどこでもあるんですが;)。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、焼き作業。
 銀ダラみりんをアルミホイルに乗せてオーブントースターに入れ、中に熱が通って表面がこんがり焼けるまで焼きます(←味醂漬け系はアルミホイルに焦げがひっつきやすいので、くっつかないよう加工されているフライパン用アルミホイルの使用をおすすめします)。
タラの親子丼1
タラの親子丼2
 その間、ご飯の用意。
 少し硬めに炊いた熱々の炊きたてご飯に、粗くほぐした辛子明太子を投入し、練らないよう気をつけながらしゃもじでざっくりと切るようにして混ぜ合わせます。
 明太子が半生になったら準備OKです(←あんまり神経質になって均一に混ぜなくても大丈夫です)。
タラの親子丼3
タラの親子丼4
 丼に先程の明太子ご飯をよそい、その上に程よく焼けた銀ダラみりんを乗せて刻んだ細ネギをパラリと散らせば“タラの親子丼”の完成です!
タラの親子丼5
 ほんのりピンク色に染まったご飯に、艶のある焦げ色に焼きあがった銀ダラみりんと、目にも鮮やかな緑のネギが映えており、こういうお手軽系料理には珍しく見た目も完璧です。
 今まで銀ダラみりんは白ご飯としかあわせた事がなかったので、明太子と共に食べたらどんな感じになるのか分からずちょっと不安ですが、実際に食べて確認してみようと思います!
タラの親子丼6
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いただきますっ!
タラの親子丼7


 さて、感想は…鶏と卵の親子丼と同じくらいぴったりの相性で満足!個人的に、大好物のいくらと鮭の親子丼と同じくらい好きになりました!
 こっくりと奥深い甘辛さの銀ダラみりんは淡白な白身魚とは思えないくらいこってりしたコクがあり、照り焼きよりも幽庵焼きに近い洗練された上品さを感じます。
 この品ある甘さを、明太子の熟成された塩気とぴりりとした辛味が「スイカに塩」の原理で引き立て合い、より美味さの輪郭が際立っていました。
 銀ダラは繊維に沿ってハラリとほぐれる程柔らかいのですが、味醂漬けにする事で適度に水分が抜けているせいかしっとりしたほのかな弾力があり、金目鯛並に脂分が強い身からジューシーな旨味が溢れるのがたまりません。
 意外にも皮が身に匹敵するほど最高な味わいで、内側は濃厚な脂を帯びてむっちりねっちりした歯触り、外側はパリッと香ばしい食感で、これだけでもご飯がいくらでもいけそうです(←似た物を挙げるなら鮭の皮ですが、あちらよりもより分厚くて味が濃く、鱗が一切口にあたらないのが気に入りました)。
 当初、明太子を荒くほぐして熱々の内に混ぜて大丈夫か心配でしたが、完全にバラバラにして均一にするよりもランダムに混ぜる方が味に変化が生まれ、時折明太子の塊がゴロッと入っている方が楽しく、ご飯の熱で魚卵特有の濃密なコクが活性化しているのがよかったです(←そして、思ったよりも明太子の薄皮は入っていても気にならない!)。
 ネギの爽やかな香気とシャキシャキとした歯触りがいいアクセントになり、ご飯と銀だら味醂漬けの橋渡し役になっているおかげで全体がしっくり調和しており、派手さはないものの豊潤な海の恵みを堪能できる海辺町の割烹風親子丼だと思いました。


 とても簡単なのに、結構凝った味わいに仕上がるのがありがたいです。
 普段、焼き魚系のおかずにほとんど執着しない夫も「お!うまい!!」と喜んで頬張っていましたので、魚がさほど好きではない方にもそれなりにうけそうだと思います。


P.S.
 くいいじももんさん、無記名さん、kawajunさん、ノリスケさん、ほーりーさん、無記名さん、恭さん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
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 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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