『クッキングパパ』の“荒岩流野菜いため”を再現!
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- 再現料理
十年前に再現料理をするようになった頃は正直ここまで続けるとは想定しておらず、500記事いけたら恩の字だな~と考えていましたので、当時の自分に報告したら衝撃のあまり泡吹いて倒れそうです(苦笑)。
こんな素人丸出しの記事ですが、体力的にも時間的にも精神的にも金銭的にも結構くる物があった為、途切れ途切れでも続ける事が出来たのは、やはりそれらをひっくるめてもすごく楽しかったからかなと思います。
あと、色んな方々のサポートや後押し、拍手、応援のお言葉、そして様々な作品に携わる原作者の方々や関係者の方々のご温情があったからです。誠にありがとうございます。
ここまできたら、自己満足&応援して見続けて下さっている方々へのご恩返しの為にも、どんなに時間がかかってもやれるところまでやるつもりですので、ご縁がありましたらお付き合いして下さると幸いです。
どうも、猫たちが抜け毛の季節を迎えている為掃除しても追いつかず、掃除機とコロコロ二刀流でヘトヘトになっている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が同じアパートに住んでいる上田兄弟に教えていた“荒岩流野菜いため”です!
今では兄・康巳さんよりも弟・守君の方が主役のようになっている上田兄弟ですが、実は先に登場したのは康巳さんの方で、守君は博多の予備校へ通う為に兄のアパートへ同居するようになったという経緯で初登場。
料理の道を志すようになって以降は笑顔の多い明るい性格になり、自分の屋台を持ってからは大分しっかりしてきた守君ですが、当時は自分が歩むべき道が何なのか分からず「ぶう」と不機嫌そうにしている無口で暗い男の子でした。
初期の頃は何かといえば兄貴風を吹かし、「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」という典型的なジャイアニズムを披露する康巳さんと、それに対してブツブツ不満を漏らしつつも後をついていく頼りない弟分の守君という組み合わせが定番で、まさにジャイアンとスネ夫みたいなコンビみたいだな~と思ったものです。(←守君の場合、スネ夫役にしてはズルさと資金力と要領のよさが欠けていますが;)。
初めは社交的で気が強い康巳さんの方が主導権が握っており、お人好しの守君はそれに押されて面倒を見られている感じでしたが、社会人になった後は仕事が長続きせず職を転々として「だってあいつら大阪弁しゃべるんだぜっ!!」というファンキーな理由で大阪の会社を飛び出した康巳さんを家に置いて数週間のニート生活を許したり、将来お店を開く為の資金を使って出来るだけの支援をしようとしたりと圧倒的速度で兄を追い越す成長をしており、読み返すと感慨深い気持ちになります(←ゴッホを献身的に援助していた実弟・テオの話を思い出しました;。願わくば、康巳さんもそんな出世をして欲しいと一瞬思いましたが、すぐに「評価されるの死後になってしまう!」と慌てて取り消しました)。
今回ご紹介するのは、守君が康巳さんのアパートへ来て間もなかった頃のこと。
母から生活費として預かったお金を「
お店の人はいいよと言ってくれていたのですが、責任感のある守君はそういう訳にはいかないと康巳さんにも協力してもらって五千円を支払い、その結果次の仕送りがある一週間後まで千円ちょっとで乗り切らねばならない事態に陥ります。
ちなみに、康巳さんは守君から徴収したお金をたった一日でバイクのローンや友達への借金返済にほとんど使い果たしており、九州男児なのに「宵越しの銭は持たぬ」と言われた江戸っ子みたいな人だな~と苦笑したものです。
こういう時、『いきなり!黄金伝説』の濱口優さんなら海へ潜水して魚を「獲ったど~!」、『ミスター味っ子』の陽一君なら近くの山へ旬の食材を収集しに行く所ですが、残念ながら守君達には狩猟のスキルがなかった為、買い置きしていたインスタントラーメンと残ったお金で買った野菜でしのごうと決意していました。
そんな様子を偶然見ていた荒岩主任は、引越しの挨拶にもらった石鹸のお返しとして豚バラ肉の塊を守君達にプレゼントし、野菜をおいしく食べられる料理を教えます(←その昔、丸大食品のCMでハムを贈る別所哲也さんを「ハムの人」、『ガラスの仮面』で紫のバラを送ってマヤを陰ながら支援する
それが、この“荒岩流野菜いため”です!
作り方は簡単で、油をしいたフライパンでにんにくとしょうがの香りを出した所に豚バラ肉を入れて炒め、キャベツ・玉ねぎ・にんじん・ピーマン・もやしなどを投入して塩こしょうで味つけし、ざっと炒めてからインスタントラーメンのスープの素をパラリと加えて混ぜたら出来上がりです(←調味油もあるならそれも入れます)。
ポイントは、豚バラ肉は最初からスライスしている物ではなく塊肉から切り出して使うこと、強火で手際よく炒め過ぎずにシャキッと仕上げること、スープの素は全部使わず半分ちょっとくらいの量に留めておくことの三点で、こうすると塩気もボリューム感もちょうどいい野菜炒めになると語られていました。
荒岩主任曰く、「俺も学生時代、金がないときよくこうやって作ったもんさ」との事で、今では一からビーフシチューを作れる荒岩主任もいわゆるウェイパー的な調味料に頼っていた時期があったんだな~としみじみした気持ちになります(←インスタントラーメンのスープの調理工程を見ると、下手な出汁の素よりも旨味の元となる食材が材料に沢山使われててびっくりします)。
インスタントラーメンを使った再現料理はこれまでいくつか作ってきましたが、スープの素でシンプルに炒め物をするのはまだやっていなかったので作ってみることにしました。
作中には大体の作り方が絵入りで記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、炒め作業。
油をしいて弱火に熱したフライパンへみじん切りにしたにんにくと生姜を入れてゆっくり火を通し、いい香りがしてきたら強火にして塊からスライスした豚バラ肉を投入し、ざっと炒めます。
軽く炒まったら、一番火が通りにくいにんじんの薄切りを加えて混ぜ合わせます。
にんじんに油が行き渡ったら、薄切りにした玉ねぎ→食べやすいサイズに切ったキャベツ→種を取って横に切ったピーマンと、火が通りにくい順番に野菜を入れていき、どんどん炒めます。
この時、塩とこしょうをさっと振って軽く下味をつけます。
全体的に野菜がしんなりしてきたら最後にもやしを入れて数回混ぜ、お好みのラーメンスープの素をパラパラと散らし、調味油がついていたらそれも垂らし、手早く炒め合わせます(←もやしはすぐに火が通る上に水分が結構出るので、入れたら一気に仕上げた方がいいです)。
※今回、作中で荒岩主任が使っていた出前一丁を使ってみました。
ラーメンスープの素が全域に混ざったらすぐに火からおろし、そのままお皿へ盛り付ければ“荒岩流野菜いため”の完成です!
香りも見た目もインスタントラーメンを使っているようには見えない感じで、いりゴマとゴマラー油の香りがWで効いてて食欲をそそります。
ほんのり醤油色に染まった野菜が見るからにおいしそうなので、これは期待が持てそうです!
それでは、熱々の内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、感想は…単なる肉野菜炒めとは一線を画した味わい!豚バラ肉の脂が馴染んだしんなりシャキシャキした野菜がたまりません!
豚バラ肉の塊を切って使ったせいか、薄切り肉にはないがっつりしたボリューム感があり、普通の炒め物よりもワンランク上の贅沢感が出ています(←肉自体は同じでも、噛むごとにジュワッと肉汁が出るか出ないかでここまで印象が違うとは驚きでした)。
スープの素を使っている為、塩胡椒だけよりもぐっと味にメリハリがついた深い味付けに仕上がっているのですが、同時にざっかけないジャンクっぽさも兼ね備えており、本格的なのにあくまで親しみの持てる家庭料理という仕上がりなのが特徴的です。
色んな汁気と混じって出来上がったタレはどこか懐かしいインスタントラーメンの味を彷彿とさせますが、こちらは様々な野菜の甘味や豚バラ肉のコク、香味野菜の風味が入り交じっているのでただお湯で溶いた物よりもずっと複雑な旨さでした。
例えるなら「中華料理店のまかない風無限肉野菜炒め」というイメージで、肉と同じくらい野菜を大量においしく頂けます。
単品で上品に頂くよりも、こってりした旨味ダレが絡んだ野菜と肉をご飯に乗せて下品にバクバクと食べるのに向いているおかず的な一品。
ごまラー油の香ばしさと濃い旨味が効いた醤油味のタンメンの具という印象で、ゴマのプチプチ感がいいアクセントになっている王道的な味わいでした。
実は、一種類だけなのもつまらないかな~と思い、「出前一丁」の他にも「サッポロ一番塩ラーメン」バージョンと「うまかっちゃん」バージョンの二つも作ってみました。
「サッポロ一番塩ラーメン」は、素材の味をシンプルに引き出す比較的あっさりした味付けで、ちょっぴりカレーっぽいスパイシーな風味と切りゴマの油分が効いた旨塩味。
「うまかっちゃん」は意外にもまろやかなコクが効いた優しい後口で、調味油がプラスされたせいかほのかにとろみがついてこっくりとした味わいでした(←強いて言うなら、焼きちゃんぽんの具味?)。
『木曜日のフルット』の“鯨井風汁なし麺”と同じく、使うインスタントラーメンによってガラッと味が変化するのが興味深く面白いです。
うえやまとち先生やスタッフの方々が話し合った結果では、一位・出前一丁、二位・東京ラーメンこれだね、三位・サッポロ一番塩ラーメン、四位・チャルメラ、五位・屋台ラーメン、六位・うまかっちゃんの順に合うと感じられたとの事(←当管理人と夫は、サッポロ一番塩ラーメンが野菜を特に引き立てている感じでお気に入りでした)。
残った半量のスープでも充分ラーメンはおいしく出来ますし、一度で二度おいしいレシピだな~と感じた再現でした。
P.S.(その1)
ほーりーさん、kawajunさん、再現楽しみさん、コメントとご質問を下さりありがとうございます。
○ほーりーさん→はい、『紺田照の合法レシピ』はハードボイルドの皮を被ったギャグ料理漫画です(
○kawajunさん→当管理人もそのシンプルな納豆トーストが好きで、夫がいない時にこっそり食べてます!チャーハンでもあれなので、確かに即死レベルに悶絶すると思います;。正直、納豆モンブランの方もいつか試したいです…夫にバレないレベルで作れるといいのですが。
○再現楽しみさん→何と、その味っ子料理をご存知とは通ですね!実を言いますと、そちらの再現も検討しておりました(←他に考えているのは、陽一君の揚げピザパイ、赤糸ちらしの白雪鍋、モアロハンバーグ)。材料探しで手こずっているのですが、手に入ったら作りますね。
P.S.(その2)
突然ですが、当分ちょっと忙しくなる為、更新頻度が少し間遠になります(←恐らく、一ヶ月に二回くらいのペースになると思います)。
冒頭であんなにやる気のある事を書いていたのにこんな発表をすると、「俺たちの戦いはこれからだ!(
落ち着いたらまた徐々にペースアップしていきたいと考えておりますので、ご了承して頂けますと幸いです。
●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
Comment
2019.05.26 Sun 23:50 |
まさに10年くらい前からお世話になっています。
途中4年間の海外赴任を挟み、帰国したら、、、まだ更新されている!
感動です。
当時生まれたばかりの息子も小学生になり、時々作る変わった料理はここで教えてもらったよ、と教育しています。
ありがとうございます。
- #IRW4GLO6
- リン
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2019.05.29 Wed 00:29 | 祝!ヽ(´▽`)/ 900突破!
あんこさん、こんばんは。再現料理記事、900回突破おめでとうございます!(*≧∀≦*)
2009年に再現料理記事が100回を達成したことを契機に再現料理記事の一覧が作られたようですが、それから10年(2年ぐらいのお休みを挟んだと考えると実質8年!)で+800とは…。すごいペースです!今後は更新速度がゆるやかになるとのことですが、こちらはただ楽しませてもらっているだけですので、のんびりと更新をお待ちしています。
「お、オレ玉ねぎ好かん!」とブツブツ文句を言う暗い弟と、「大学生にゃ色々あるったい!浪人と違ってな!」と、弟の生活費をほとんど強奪した挙句にそのお金で「奢っちゃあぜ」と宣う鬼畜な兄。『クッキングパパ』初期の上田兄弟は、親元を離れた若者が都会でダメな感じに生きていて面白いです。買い置きのインスタントラーメンと数千円を食費に2人で一週間生きるとしたらどんな風にするかな…。と考えたものです。当時も今から見たらかなり昔ですが、上田兄弟の暮らしよりもさらにふた昔くらい前のダメな男の独り暮らしと言えば『男おいどん』ですね。この漫画はひと回り以上年上の従兄弟からもらいました。ダメ男の生活臭が妙にリアルですが、当時小学生だった自分から見たら(昔とはいえ自分の生活と繋がりを感じる『クッキングパパ』と比べ)かなりファンタジーな時代観ですね。
『クッキングパパ』『男おいどん』そして今。時代や地域はばらばらでも、ラーメンはそれがインスタントであれ町中華のワンコイン飯であれ、時代や地域と切り離せない個々人の人生に寄り添う食べ物で、何らかのエピソードがありますね。今回の記事の話を読んだ当時、「うまかっちゃん」はまだ見たことがなく九州にはこんなインスタントラーメンがあるのか!とワクワクしたものです。スープの素を半分野菜炒めに使うから減塩になる、とありましたが、中学生時代は濃い味の好きな友人に1.5袋分のスープの素を使ってラーメンを作っていたので、健康の真逆を行く己の行為に戦慄したものです(^^;)
取り留めのない話を長々と失礼しました。これからも再現料理記事、楽しみにしています。旦那さんと猫ちゃん達と仲良くお過ごしください。では、また〜。
- #jkZ6tFIc
- kawajun
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- Edit
2019.05.29 Wed 13:25 | おめでとうございます!
まずは、再現料理の900個の記事の更新、おめでとうございます!
すごいですね(^^)
「継続は力なり」の言葉の通りですね。素晴らしいです!
私ものんびりと記事の更新を待っています。
あんこさんのペースで、やっていってくださいね(^^)
- #LOLorWpQ
- 銀猫
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2019.06.02 Sun 10:05 | おめでとうございます!!
あんこさんこんにちは。
この度は900記念の記事ということで、本当におめでとうございます(´;Д;`)
思えばあんこさんのブログを読み始めた当時20代の大学院生だった私もすでに30代半ばに差し掛かっており、あんこさんの相方さんが旦那様になったり、いろいろお互い変化しながらも、いつでもこのブログは私の癒しであり楽しみでした。これからもずっと読者として応援したいと思います!!
いつも、ブログを拝見するたびにこれはお金もかかるし、時間もかかるし、簡単に出来る事じゃないなあって思ってました。それでも続けられているあんこさんには大変敬服しております(*´-`)
それぞれにいろんなライフステージがありますので、更新頻度もそれに伴うことが当然です。他の読者さん達も皆さん気長にあんこさんを応援してらっしゃると思います。
長くなりました、すみません笑
さてさてマモルくん&マモル兄のこのお料理、私も実はラ王で試した事があります笑笑
でも再現を見て、あんこさんご夫婦おススメのサポイチ塩も是非試したいと思います!
確かにマモル兄は登場した頃こそ目立つキャラでしたがその後消息不明になりましたよね笑
正直、兄のしゃくれ具合や体格からして実兄なのか??と不思議に思ってました。
クッキングパパはわりとこんな感じの気取らない面白メニューが素敵だなあと思います(*´∀`*)
では、次回も、これからも、気長に楽しみにしております。
- #-
- ほーりー
- URL
2019.06.04 Tue 00:36 | No title
いつも楽しく拝見しています。
900再現とは!!
こんな数の再現料理を続けているブログは
滅多に無いのではないでしょうか?
ものすごい積み重ねですね…
これからも無理のないペースで続けてください。
- #-
- さささ
- URL
2019.06.12 Wed 13:36 | No title
おめでとうございます!
毎回更新を楽しみにしてますので
無理のない範囲で、どうかこれからも続けてくださいね。
ところで、「赤毛のアンの食卓から」「海の見える台所」っという漫画はご存じでしょうか?
レシピも載っているし、優しい温かな漫画なので、もし良かったらチェックしていただければ
嬉しいです。全力でお勧めします♪
- #-
- ゆゆ
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