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『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”を再現!

 先日、スーパーでラムチョップが見切りで安く売られていたので思わず購入し、軽くソテーにして夫と一緒に食べたのですが、今まで食べたどんな肉とも違う美味さでお互い「おお~!」と歓声を上げました。
 どことなく高級感のある味わいで、そりゃ~本格派レストランでスペシャリテの定番となるはずだと頷きました。
 ただ、豚肉や鶏肉みたいにご飯が欲しくなる味ではなかった為、そういう所が日本で未だマイナー扱いされる原因の一つなのかもしれない…と勝手に推理したものです。

 どうも、年齢柄脂を大量に摂取できなくなった影響か、お肉をがっつり大量に食べたい時はシュラスコへ繰り出すようになった当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『肉極道』にて主人公・浅倉まなびさんがある常連さんの期待に応える為に作った“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”です!
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”図
 『肉極道』とは、一ヶ月前に店主である祖父が亡くなって肉料理専門店「あさくら」を急遽継いだものの、料理専門学校に一年通っただけで圧倒的に経験不足な二代目・浅倉まなびさんが、何故か肉料理に関して異様に詳しい謎の怖い男性・肉極道から半ば強引に肉の知識を叩き込まれる日々を描いた、熱血ギャグ系肉料理漫画です。
 食べる事専門だったら肉漫画というジャンルはこれまでにもちらほら見かけていたですが(←最近はお肉+女子という新境地ジャンルも登場しています)、こちらは恐らく史上初の肉料理専門漫画で、それぞれの肉の特徴・部位についての説明・その肉に一番合ったレシピ・最適な火の通し方・細かい調理のコツ・肉の豆知識などがこれでもかと言わんばかりに詰め込まれており、まるでお肉の教科書のような作品になっています。
 何しろ、「肉は完全栄養食!!」「肉は手をかければかけるほど旨くなる!」がモットーで、肉を愛しすぎるがゆえに暴走しては厨房に乱入し、まだ二十歳そこそこのまなびちゃんに美味な肉料理をスパルタ方式で叩き込む肉極道さんがもう一人の主人公みたいなものですから、その内容に妥協やぬるさは皆無で、肉に対して徹底的にこだわった内容なのが読者としては信用がおけます(←対するまなびちゃんは、肉極道さんと違って人当たりは良く接客が得意ですが、雑な性格が災いしてつい手抜き料理を出してしまうという致命的弱点がありますので、ある意味いいコンビです;)。
 とはいえ、同じく変態的なまでに食材を究極に旨く調理しようとする異色の料理漫画・『めしにしましょう』ほど再現難易度特Aクラスな調理法はほとんどなく、初心者からプロまで幅広く挑戦しやすい親切設計な内容にまとめられているのが作る側にとってはありがたく、とても便利!
 本格的なのに実践的な肉の料理法を知りたい、そして日常的な食材でお店のような感動を味わいたいという方には、自信を持ってお勧めしたい一冊です。
まなびさんが作る肉料理を厳しく批評しては、勝手に厨房へ入り肉料理をレクチャー!
 ちなみに、肉極道さんは『美味しんぼ』初期の山岡さんにサングラスをかけてヤクザっぽく仕上げたような外見なのですが、(肉)料理薀蓄やそれに関する超個人的な自論を延々と語る所も山岡さんにそっくりで、結構面倒くさい性格なのが特徴(←そういえば、頻繁に厨房を借りる所もよく似ていますね…)。
 説得力のある内容の時も多々ありますが、時々思い込みが激しい主張をするケースもあり、例えば「ブタは最も多く食べられている肉だ。トンカツ・しょうが焼き・角煮・ギョウザの具・ラーメンのチャーシュー。牛肉ほど高くなく、鶏肉より応用が利く。ブタ肉とはそういう存在なのだ」「なのに…肉といえば真っ先に連想するのは“牛”!酒のお供は“鳥”。ブタはいつも後回し。ナンバー2…場合によっては3…日陰者」「愛人!ブタは…常にそういう境遇を強いられてきたのだ!!」と豚肉を薄幸なヒロイン扱いしたり、「いいか…豚汁ほど恐ろしい肉はない…!」「例えばコロッケ定食。味噌汁の代わりにうっかり出そうものなら…あっという間に豚汁が主役になってしまう!!」「豚汁とはそれほどの存在感のものなのだ。考えた事ある!?コロッケの気持ち」とすぐに影が薄くなりやすいコロッケに同情して大泣きしたりなど、食材や料理を擬人化してはヒートアップして一方的に弁護し、まなびちゃんを困らせていました;。
 食へのこだわりをストレートに表しすぎて周囲をドン引きさせる姿は、山岡さんのみならず『ミスター味っ子』の陽一君に通じる物がありますが、お二方と違って肉極道さんは料理人ではなくただの一般人な為、天才ではなく単なる奇人変人扱いされているのがちょっぴり気の毒です…。

 ただ、「羊は約1万年前に家畜化された!人類史上初の家畜だと言われている…。それから羊は人類に尽くしまくってきた!羊毛…羊毛…羊毛…そして羊肉!!羊肉はどの地域宗教でも食べることのできる唯一の肉だ。貴様だって羊様で出来たコートの一着や二着持ってるだろうよ。それほどまでに尽くしてくれている羊様を…貴様らの、その無関心はなんだ!!」「獣臭いとか硬いとか…ラムなんかまだ子供なんだぞ!!かわいそうだと思わねーのかよ…!?」と未だ敬遠されがちな羊肉を擁護したり、「ホットプレートは焼肉を文化として根付かせた大恩人!!そんな恩人を最近はやたら軽く見る風潮が…炭火じゃないと焼肉じゃない…とか!!家焼肉でもなんか本格っぽいやつが主流だし!この…置いてかれたような疎外感。今まで散々利用しといて切り捨てる、そんな冷たかったですかねぇこの社会は!!」とグルメ漫画では論外扱いされるホットプレート焼肉を庇ったりするなど、肉極道にはマイノリティ(なお肉様)に対する慈しみに満ち溢れており、読んでいて優しい気持ちになります。
 他の料理漫画に出てくるエキセントリックなキャラクター同様、実在して近くにいたら嫌ですが、漫画で遠くから見る分には興味深い視点で面白い発見がありますので、ありがたいです。

※当管理人としては、九州はちゃんぽん・豚骨ラーメン・焼き鳥の豚バラ串など豚肉と親しむ機会が鶏肉とほぼ同じくらいあり、共に庶民派Wヒロインとして大事にされていると思う為、安心して下さいと肉極道さんに伝えたいです(←かといって、影の薄い牛肉が愛人って訳でもないんですよね…不思議。強いて言うなら、高級住宅街に住む高嶺の花のセレブでしょうか?但し、モツ鍋の牛モツは確かに愛人っぽいかもしれません)。
お肉を愛するあまり、ヒートアップしては擬人化してお肉の尊厳を守ろうとしてます
 今回ご紹介するお話は、第3話で初登場したキャラ・埼玉さん(←残念ながら本名不明で、結局最終巻までこのあだ名のままでした;)のエピソード。
 埼玉さんとは、ほぼ100%が男性常連客という「あさくら」において唯一の女性常連キャラで、平野ノラさんを彷彿とさせる1980年代風のバブリーなファッションが印象的なセクシーな美女。
 しかし、ひとたび口を開くと「わ…私が埼玉県人だからってバカにして…」「言っとくけど池袋まで乗り換え1回で行けますからね!」「…大丈夫?“埼玉県人のくせにこんな時間まで東京でお酒飲むなんてカン違いしてない?大丈夫?”」「こんなマズい物食べさせて…田舎者はとっとと帰れってワケね。言われなくても…埼京線は終電早いのよ!!」といった被害妄想が激しい女性で、幼い頃『翔んで埼玉』を読んで洗脳されたのではないかという疑いがある程埼玉県に対するネガティブイメージに囚われていました;(←当管理人としては全くのギャグだと思っていたのですが、その昔埼玉県で暮らしていた知人に埼玉さんの発言を話した所、笑いを漏らして「あー…うん、成程ね」と妙に納得していました…何故;?)。
 意外と恋多き女性みたいで、ある時など冗談なのか本気なのか「ふふ…私はね、同じ男とは寝ない主義!」という『攻殻機動隊』のパズさんみたいな事を言っており、その真逆を行く当管理人は「ドン・ファンの生まれ変わりか!」と突っ込みつつドギマギしたものです(゜д゜*)。
 九州はどの県も基本的に「東京に比べたら、周囲はどこも田舎!」という認識があるせいか、一種の平等主義が働いてそこそこ良好な関係が結ばれており、「東京に近ければ近い程都会!」という大雑把な認識もあるように思う為、初見時はどうして東京都の隣に位置する埼玉県がここまでネタ扱いされるのか分からず、混乱したものです;(←※一福岡県民のかなり偏見に満ちた九州観です)。
一見色っぽくていい女風のまともなお客さんに見えるのですが…;Before→埼玉県の事になると泣いたりムキになったりするちょっと変わった常連・さいたまさんAfter
 そのちょっと変わり者な埼玉さんが、もうじき会社を退社する大恩人の先輩が肉料理専門店に行きたいと言っていたからという理由で「あさくら」に送別女子会の予約を入れ、「メニューはまかせるわ。いい?大事な先輩なんだからね!しっかりやってちょーだいよ!!」とお願いしてくれたのに感動したまなびさんは、全力で女子会向けの肉料理を考えます。
 その際、まなびさんが肉極道に教わっていた「女性向けで華やかで楽しげ」な肉料理が、この“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”です!
 作り方は簡単で、塩で下味をつけた鶏胸肉をバターやオリーブ油を敷いた弱火のフライパンでこまめにひっくり返しながらじっくり火を通し、アルミホイルに包んで肉を休ませた後に再度バターやオリーブ油を敷き直した弱火のフライパンで両面をさっと焼き、最後にマッシュルーム・にんにく・生クリームを煮溶かして作ったソースをかけて刻みパセリをかけたら出来上がりです。
 ポイントは、脂が少ない鶏胸肉を加熱しすぎないよう低温加熱を徹底すること、皮側の方は身側よりも少し温度を高めてパリッとするようにその都度火力を調節すること、両面だけではなく側面にもまんべんなく焼き目をつけること、アルミホイルに包む時は八割程度火が通った時にすることの四点で、これらのコツさえ守れば鶏胸肉に豊富に含まれる旨味成分のイノシン酸を活かしたジューシーな焼き上がりになると作中で語られていました。

 肉極道さん曰く、「火を入れすぎてもダメ、入れなさすぎてももちろんダメ。鶏胸肉は女と一緒なのさ」「アルミホイルを優しくかける!疲れた女性をいたわる様に…。強引さと優しさはセットなのだ」だそうで、デリケートな鶏胸肉を構いすぎても構いすぎなくてもダメな難しい女心に例えており、あながち間違いではないな~と頷きました(←しかし、この理論が正しいならば肉名人=モテ男のはずなのですが、その割に肉を完璧に焼く焼肉奉行が疎ましがられてモテないのは何故なのか…。謎は深まります)。
 ここまで手をかけた料理がまずい訳がなく、実際に食べたまなびちゃんは「パリパリなのにホロホロと肉が心地よくほぐされていく感じ」「胸肉にこんな濃厚な旨味があるなんて知りませんでした」「きのこのふんわりとした風味が胸肉のしっとり感によく合います!」と絶賛しており、即女子会用メニューに採用していました。
徹底した低温加熱こそが鶏胸肉を美味しくする秘訣!鶏胸肉の扱いは女性の扱いと同じくらい難しいと語る肉極道さん
 大分前に一巻に載っているステーキの正しい焼き方を試し、夫共々「すごく美味しい…!」ととろけるような経験をして以来『肉極道』には絶大な信頼を抱いていた為、今まで苦手だった鶏胸肉の調理を克服すべく再現してみる事にしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、鶏胸肉の火入れ作業。
 常温に戻した鶏胸肉の全体へ塩を振り、オリーブオイルとバターを溶かして温めておいた弱火のフライパンへ、肉側を下にして入れて熱を通していきます。
 強い火でお肉が火傷しないよう注意しながらじっくりと火を通し、やがてお肉の周りが白くなってきたら裏返し、今度は少し火を強めて皮側を焼きます。
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”1
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”2
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”3
 お肉がふっくらと膨らんできたらまた弱火にして肉側が下に来るようひっくり返して焼き、それから火加減を慎重に調節しながら何度も裏返し、両面へ均等に火を通してきます(←弱火にしてすぐにひっくり返したら余熱で焦げてしまいますので、ちゃんと弱火になったか確認してから返したほうが良いです)。
 この時、表裏だけではなく側面も時々熱したフライパンに当てて焼き、全方位にまんべんなく火が通るよう丁寧に火入れしておきます。
 こうして鶏肉に八割程度火が通ったらフライパンから取り出し、一旦アルミホイルに包んで休ませます(←肉の厚さによって時間は変わりますが、荒熱が取れる直前くらいまで放置するのがベストです)。
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”4
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”5
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”6
 鶏肉を充分に休ませたらアルミホイルをはずし、再度バターとオリーブオイルを加えて弱火に熱したフライパンへ今度は皮側を下にして入れて焼き色をつけ、肉側はバターの香りをつける程度にさっと焼いて取り出します。
 直後ではなく少し置いて肉汁を落ち着かせから、食べやすい大きさに切っておきます。
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”7
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”8
 その間、肉汁やバターが残ったフライパンを火にかけてスライスしたマッシュルームをざっと炒め、続けてみじん切りにしたにんにくと生クリームを投入して煮立てます。
 木べらでかき混ぜていく内にちょっと煮詰まってきてとろみが出たら、ソースは準備OKです。
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”10
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”9
 先程カットした鶏胸肉をお皿へ盛り付けてその上からクリームソースをたっぷりかけ、仕上げに刻んだパセリを散らせば“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”の完成です!
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”11
 にんにくとバターの食欲をそそる香りといい、鶏胸肉の程よい焼き色といい、画像をとっている間中空腹を激しく刺激され、「早く食べたい…!」とうずうずしました。
 見た目も家庭料理と言うよりは洒落たお店ですっと出てきそうな凝ったビジュアルで、肉極道さんが女子会用にと紹介したのも納得です。
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”12
 それでは、冷めない内にソースを絡めていざ実食!
 いっただっきま~す!
『肉極道』の“チキンソテークリームソース(きのこ入り)”13


 さて、味ですが…今まで自分が作った鶏胸肉料理の中で断トツ一位の一品!何も下処理してないとは思えない程極上なお肉で、バターの芳しい香りがたまりません!
 鶏胸肉はそのまま焼くとパサついて硬くてあまりおいしくない物というイメージでしたが、こちらはどんなに分厚い部分でもまるで大根の煮物か朝採れ完熟トマトかの如くジャクッと歯が簡単に通り、油分はほとんどないのに深い余韻のコクが舌にいつまでも残る感じで、繊細かつ品のいい肉汁がこの上なくしっとりした肉からじんわりにじみ出るのに感嘆しました。
 棒々鶏・鶏ハム・塩麹漬に匹敵する柔らかさですが、棒々鶏は茹でる過程で肉汁がやや抜ける上に細く裂くので塊を食べる満足感はなく、鶏ハムは肉質が鶏肉というよりはハムという加工食品風に変化し、塩麹漬は水分が抜けて塩分が染みる分肉が本来より引き締まり、漬けた肉特有の練れた感じが出るなど、微妙に異なっています。
 勿論どれも違った良さがあっておいしいですが、こちらは生から焼いた時だけ出る肉質のフレッシュ感、繊維の一本一本まで旨味エキスで潤っている瑞々しい柔らかさ、ソテーならではの香ばしい風味が特徴的で、水分をほぼ抜かないからこそ可能な儚く優しい口当たりにうっとりしました。
 厚切りではありますが、このなめらかな舌触りはもう鶏胸肉のとろけるローストビーフ風と言ってもいい程です。
 柔らかいとは言ってもやわやわにはなりすぎず、ちゃんと肉らしい醍醐味が残るダイナミックな噛み応えも保たれているのがナイスで、正直お店でもこの相反する独特な歯触りを実現している所はそうないんじゃないかな?と感じました。
 この脂っこくないのに旨味たっぷりなチキンエキスが溶けこんだ、にんにくが効いてガツンとくる濃厚なクリームソースがまた絶品で、マッシュルームの上品なコクやパセリの爽やかな香りと相まって、フレンチレストランに出てもおかしくない出来映えです。
 ジューシーではあるもののあっさり淡白な鶏胸肉に、ソースとバターがいい具合に脂分を足しており、細やかな計算が行き届いているのがたまりません。
 鶏肉もソースも基本はシンプル極まりない塩バター味なのに非常に奥行きがあり、単純極まりない味付けで素材の味を引き出す所は日本料理に通じるものがあるな~と思いました。


 お行儀悪ですが、残ったソースをパンにすりつけて皿の隅々まで平らげるまで食が止まらないくらい美味でした。
 パスタソースにしても絶対いけると思いますので、オリーブオイルをまぶしたタリアテッレを付け合わせとして添えるのもありだと思います。
 手間と時間はややかかりますが、それ以上の価値がある料理で、材料費はそんなにかけられないけど特別なおもてなし料理を作りたい方におすすめしたい一皿です。


●出典)『肉極道』1巻 原作:佐々木善章 作画:森尾正博/芳文社
      『肉極道』4巻 原作:佐々木善章 作画:森尾正博/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『紺田照の合法レシピ』の“角切り具材のラーメン炊き込みご飯”を再現!

 先日、昔あった珍商品や珍メニューで夫と話が盛り上がったのですが、その時「むか~し、すっごくむか~しにマックがカレーを出しているのを見たことがある」と聞き、仰天しました。
 ネットで調べてみると本当で、その上何とチャーハンまで出ていた時期があるのもこちらで知り、「迷走色々と挑戦していたんだな~」と複雑な気持ちになりました。
 正直、当時見かけても怪しんで食べなかったとは思いますが、今考えるとハンバーガー店でご飯なんて逆にレアな気がしますので、「話の種に食べてみたかったな~」と惜しく感じています。

 どうも、後々後悔しないようにネタメニューを頼みまくっているせいか地雷遭遇率がかつてない程急上昇している当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『紺田照の合法レシピ』にて紺田君が仕事先での騒動をきっかけに作り出した“角切り具材のラーメン炊き込みご飯”です!
角切り具材のラーメン炊き込みご飯図
 十八歳とは思えない程老けている大人びている紺田君は、高校で生徒のみならず教師からも恐れられて浮いているのですが、そんな中唯一臆する事なく接してくれる友達がいます。
 その友達とは、同じクラスメイトの春 真希さん!
  小さい頃から空手をしている健康的な美少女で、根っから明るくフレンドリーな性格で皆から好かれており、紺田君もその性格を密かに羨ましがっていました(←ヒロイン的空手少女というと、電柱にヒビを入れる・チェーンロックしたドアを蹴破る・走る車の窓を破壊する・ナイフを切断する・銃弾を避けるなど、倒すにはもう範馬勇次郎ケンシロウを連れてくるしかないレベルの超人・『名探偵コナン』毛利蘭さんを思い出しますが、真希さんは今の所ちゃんと人間レベルの強さですのでほっとしてます;)。
 最初は普通に友達として仲がいい感じでしたが、自覚なく男前な言動と行動を示すおかげでモテまくるという天性のレディーキラーっぷりを発揮する紺田君に真希さんはすっかりときめいており、最近ではほのかな恋心を抱いているようでした。
 大抵のハーレム漫画は主人公の好かれる理由が希薄なケースが多いですが、紺田君の場合ヤ○ザな暴漢から文字通り命がけで守ったり、ホスト顔負けのイケメンなフォローをしたり、普段無表情な分たま~に見せる微笑がお宝級などモテない方がおかしい描写ばかりですので、かつて前代未聞の円満な脱衣ハーレムエンドを迎えた『ギャンブルフィッシュ』みたいな最終回になってもおかしくないとさえ考えています。

 ちなみに、そんな真希さんがもうすぐ誕生日を迎えようとしている紺田君にプレゼントを贈ろうと、ある服屋さんに行くシーンがあるのですが、「オニクロ」というどう見てもユニクロをパロった名前で吹き出しそうになりました;。
 ユニクロといえばお手頃かつ高品質な商品が有名で、どんなに高くても一万円もあれば上質なコートが手に入るのですが、「オニクロ」は税抜きで二万八千円というその名通り鬼のような価格設定になっており、「全然お金足りない、どうしよ…」と真希さんを困らせていました。
 なお、出血大セールと銘打ってこの価格…現実で庶民派アパレル業界がそんな価格で統一しようものなら、その昔約七千人のフランスの主婦が「パンを寄越せ」と行進したヴェルサイユ行進の如く、日本の主婦達も平成最後の一揆とばかりに抗議の行進を始めそうです。
ユニクロのパロディでここまでおら付いている名前は初めてです…
 結局、紺田君に納得のいくプレゼントを渡したい真希さんは、急遽引越しセンターで短期バイトをする事になるのですが、そこで作業中に依頼主である「オニクロ」の代表取締役・紅花ゆのさんから一億円の花瓶を割った疑惑をかけられ、全責任を押し付けられそうになります(←関係ないですが、ニッチェ江上敬子さんの髪型に似ているな~と思いました;)。
 けれども、偶然紅花さんに取立てをしに来た紺田君が現場の様子を冷静に見て、「花瓶の底に氷とビー玉を仕込み、時間が経つと氷が溶けて倒れるという自作自演だったんでしょう」と名推理を披露し、安物の花瓶で一億円の補償金を手に入れて借金返済しようとした事を見抜いたおかげで、無事疑いは晴れていました。
 氷やビー玉といった小道具を使ったトリックというと真っ先にコナン君が思い浮かぶのですが、高校生探偵という立場は金田一君と同じでもあり、程よくミックスしているな~と苦笑しました←『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』の中だと、紺田君は「メチャクチャ怪しすぎて逆に犯人じゃない」枠のキャラとして扱われそうですが;)。
 それにしても、料理要素、格闘要素、学園モノ要素、恋愛要素、シュールなギャグ要素とただでさえ飽和状態な作品なのに、ここにきて推理モノ要素まで投入されるとは思ってもいなかった為、頭が混乱したのを覚えていますorz。
オシャレ上級者じゃないと許されないヘアーをするとは…恐るべし!コナン君や金田一君ばりの名推理を披露し、まきちゃんを救う紺田君でした
 その後、無事紅花さんの取り立てを終わらせて帰宅した紺田君は「担保の品を結構な数運んで体力を使った事だし、米と肉を食べよう」と決め、仕事中に得たインスピレーションを元に夕食を作ります。
 その際に出来たのが、この“角切り具材のラーメン炊き込みご飯”です!
 作り方は簡単で、角切りにした大根・にんじん・椎茸・ベーコンブロックをごま油で炒め、即席豚骨ラーメンのスープ・その麺・お米・水と一緒に土鍋に入れ、そのまま普通に炊飯したら出来上がりです。
 ポイントは、具材は軽く焦げ目がつくまでしっかり炒めること、即席ラーメンの粉末スープはそのまま入れずにお湯で溶いてから入れること、麺は細かく砕いてから使うことの三点で、アレンジしたい場合はお水を何割か牛乳にしてもおいしいと語られていました。
 使われた即席ラーメンは、「チャカオラ」というチャルメラをパロった豚骨味タイプの商品でしたが、パッケージがいつもの優しそうなおじさんではなくイタリアンマフィア風の物騒なおじさんに代わっており、ラーメンすらオラついているなんてこの世界に平穏はないのか…と軽く絶望しかけたものです;。
 実際に食べた紺田君曰く、「ベーコンの歯応えと麺の旨みが強力。大根やニンジンのほっくり感…椎茸の深い風味とコクで戦力アップだ」「ラーメンスープが染みたご飯がたまらない!」「この炊き込みご飯、実に旨楽しい!!」だそうで、いそいそとおかわりしている姿が微笑ましかったです。
何と、味付けはチャカオラ(チャルメラ)とんこつ味を使用していました!
 豚骨スープでご飯を炊くというのは今まで聞いたこともなかった為躊躇していましたが、「どんな味がするのか気になる」という好奇心の方が勝り再現する事にしました。
 作中には大体の手順が記載されている上、こちらにも分量つきの詳しいレシピがご紹介されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、具の下準備。
 ごま油をしいて中火に熱したフライパンへ、皮を剥いて角切りにした大根、にんじん、椎茸、ブロックベーコンを投入し、全体に軽く焦げ目が付くまで炒めます。
角切り具材のラーメン炊き込みご飯1
角切り具材のラーメン炊き込みご飯2
 その間、チャルメラ豚骨味の麺を手で細かく砕き、粉末スープと調味油はボウルに入れて少々のお湯を加え、ざっと溶いておきます。
※のどかな表情でラッパを持ついつものおじさんの姿にほっとします;。しかし、スープの豚骨臭は福岡県民である当管理人でもちょっと驚く程強かったので、豚骨の匂いが苦手な方はマイルドなインスタント豚骨ラーメンを使うのもアリかもしれません。
角切り具材のラーメン炊き込みご飯3
角切り具材のラーメン炊き込みご飯4
角切り具材のラーメン炊き込みご飯5
 次は、炊き込み作業。
 土鍋(又は炊飯鍋)へ、といで水気をきったお米、先程の溶いたスープ、お水、炒めた具材、砕いた麺を入れてフタをし、そのまま普通に炊きます。
 炊き上がったらしゃもじで全体をさっくり混ぜ、少し蒸らします。
※少し塩気を薄く感じたら、塩とこしょうで微調整してもOKです。
角切り具材のラーメン炊き込みご飯6
角切り具材のラーメン炊き込みご飯7
角切り具材のラーメン炊き込みご飯8
 ご飯全域に具材や麺が行き渡ったらお茶碗へよそい、急いでテーブルへ運べば“角切り具材のラーメン炊き込みご飯”の完成です!
角切り具材のラーメン炊き込みご飯9
 目隠しして匂いだけかいだら、確実に「あっ、豚骨ラーメン!」と言ってしまうくらいそのまんまな香りなのですが、実際は炊き込みご飯なので奇妙な気持ちになります;。
 豚骨ラーメンとは長年慣れ親しんでいる仲ですが、こういう一面を見るのは初めてですので、一体どういう味になるのかドキドキします。
角切り具材のラーメン炊き込みご飯10
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
角切り具材のラーメン炊き込みご飯11


 さて、感想は…香りの強烈さに反し、どちらかといえばあっさり感が勝った意外な美味しさ!同じ材料のはずなのに、ラーメンライスよりも遥かに品よく出来ててびっくりしました。
 味付けは中華おこわ風の塩ごま油味ですが、噛めば噛む程こっくりとした豚肉の出汁や奥深いコクがじわじわと口の中一杯に広がり、シンプルながらも後を引く味になっていました。
 豚骨スープを飲んでいる時の醍醐味に似ていますが、それよりも塩気・しつこさ・油っこさが薄まってぐっと食べやすくなっているのに、豚の純粋な旨味エキスはより凝縮されている感じで、ベーコンから出た甘やかな脂分と相まってすごくしみじみとした奥行きのあるご飯に仕上がっています。
 旨味成分が濃厚なのでこってりしているといえばしているんですが、ご飯の甘味で中和されているのか和風炊き込みご飯のような上品っぽい後口で、例えるなら「博多ラーメン屋のまかない風あっさり塩系炊き込みチャーハン」というイメージでした。
 この不思議なご飯に、ベーコンの熟成された塩気、にんじんの優しい甘味、大根のさっぱりしたジューシーさ、椎茸の深い風味が効いたコリコリ感がぴったりで、紺田君の言う通り実に旨楽しいです。
 あと、ラーメンの麺は完全に伸びていたものの、ふにゃふにゃな中にも最低限ギリギリのコシは残っており、柔らかいようでシコシコ感のある食感はそばめしのジャンクな味わいにも通じる物があると思いました。
 ご飯入りですが麺の量も結構あるせいか時々すすり食いするような場面もあり、まるで汁ぬき豚骨ラーメンを食べているような不思議な気持ちになる事も多々あって、何だかおかしい気持ちになったものです。


 本物の豚骨ラーメン風に刻みネギや紅しょうがをトッピングすると、とてもしっくりきておいしかったです(←恐らく、きくらげ・海苔・白ゴマ・味玉を乗せてもいけると思います)。
 冷めるとあっさり感はより強まっていましたので、お弁当にもいいかもと感じました。


P.S.
 キンメさん、ロッサさん、ノリスケさん、kawajunさん、ゴローさん、コメントして下さりありがとうございます。
 キンメさんからのお気遣いのお言葉、痛み入りました。いつもお心配りありがとうございます。
 ロッサさんとゴローさんからの木守りのお話、大変勉強になりました。風流な習わし、私も見習いたいです。ご指摘ありがとうございます。
 ノリスケさんとkawajunさんからご指摘頂いた前記事の件、どちらもごもっともで「確かに!」と思いました。特に、町会長さんの視点は「そういう考え方ならあの行動もしっくり来る」と目から鱗でしたので、町会長さんへの当たりを少し和らげた文章に置き換えました;。
 皆様からのご意見やご質問は、いつもありがたく参考にさせて頂いております。改めて感謝です。


●出典)『紺田照の合法レシピ』 馬田イスケ/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”を再現!

 先日、とうとう我が家にも宅配ボックスが導入されたのですがこれがすごく便利で、ただでさえ通販ばかりなのにさらに回数が増えました。
 液晶パネルタイプでポチポチ入力してから取り出すのですが、宅配ボックスの色と相まってまるで金庫を開けるルパン三世のような気持ちに毎度なっており、中から宅配品を取り出す時「よし!ミッションクリア!」と心の中で呟いています。
 中身は何なのか知っているのですが、それでも欲しい物を箱から取り出す瞬間はいくつになってもわくわくする感じで、クリスマスプレゼントを枕元で見つけてはしゃいでいた子供時代を久々に思い出している今日この頃です。

 どうも、家の近くで何故か一つだけ採られず放置されてついている柿の実を見るたび『最後の一葉』を思い出す当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君が山で採れた食材を駆使して即興で作った“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”です!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯図
 それは、丼兄弟とのうどん勝負が終わって少し経った頃のこと。
 毎年恒例である隣町との合同キャンプツアーに参加した陽一君は、料理当番として自分の町の人達の食事を作る事になるのですが、運悪く食材を持った男性が足を滑らせて川に落ちてしまい、荷物を丸々失う羽目に。
 手元に残ったのはお米くらいという悲惨な状況になった陽一君は、隣町の町会長に料理当番として雇われていた有名な料理評論家・高平謙さんに食料を分けてもらえないかとお願いしに行くのですが、「だめだね」「こちらの材料をあんたたちに分けたりしたら、こちらの料理だって満足にいかなくなる」「わたしも請われて来た以上、完全な料理を出す責任がある」と断られてしまい、結局自分達の力で何とか材料を調達しなくてはいけなくなります←ちなみに隣町の町会長は、それらの争いを見て見ぬ振りをするという大人のズルさを発揮;。筋が通っている説明ではあるものの、無愛想な言い方でいらぬ恨みを買ってしまっている高平さんに対し、あえてだんまりを通して目立たないようにしている町会長は、なかなかの世渡り上手だと思います。陽一君は高平さんに怒っていましたが、「陽一君、後ろ!もう一人の責任者後ろ!」とドリフのお約束ツッコミばりに指摘したくなるワンシーンです)。

 なお、隣町の参加者達は助けるどころか「だいじょーぶなんじゃないの」「そっちにはミスター味っ子がいるんだからさ」「せいぜいおいしい料理作ってくださいな」と半笑いで煽っており、激怒した町の人たちとあわや一触即発の状態になります(←ここは『北斗の拳』に出てくる水と食料を奪い合う暴力の荒野なのでしょうか?)
 まるで、試合が白熱した時に繰り広げられる過激なサッカーサポーターの煽り合いのようで、いつフーリガン級の暴動が起きてもおかしくなかったのですが、陽一君が止めてくれたおかげで事なきを得ていました。
 同じく対立が激しい組み合わせといえば、きのこの山VSたけのこの里の泥沼バトルが真っ先に思い浮かびますが、あちらは直接顔を合わす機会がないのでネット上の口論で済むものの、こちらはなまじ隣同士で直接顔を合わせる分タチが悪くて危険だといえそうです。
実は何一つ間違ったことは言っていない料理評論家・高平謙さん
 その後、陽一君は丼兄弟の太郎さんや次郎さんと一緒に山の中に入り、夕食の材料になりそうな食べ物はないかと懸命に探し回ります。
 一応少年漫画ですので、「いきなり!黄金伝説」の濱口優さんや『海人ゴンズイ』のようにモリで魚を突きにいく派手なアクションシーンがあるのでは?と初見時は期待していましたが、近くに海があるにも関わらず全くナシでした←どうやら陽一君には、『トリコ』の美食ハンターみたいな才能はなかったみたいです;)。
 生で食べられる貴重なタンパク源を見抜いては、そのままモリモリ食べる姿に悲鳴が上がる定評のあるベア・グリルスみたいな専門知識やサバイバル能力がない素人の陽一君達に、山中での狩りという過酷なノルマをこなせるか心配でしたが、幸いにも陽一君は肉食系ではなく草食系だったせいか山中での収集は得意で、自生していたゆず・むかご・銀杏(←道端に落ちている銀杏を食べられるようにするには一週間近くかかるという野暮なツッコミは封印)を安全にゲットし、無事下山していました。

 ちなみに、むかごは山芋のつるに生えている肉芽ですので、下の方には100g1000円近くする天然物の高級食材・自然薯が埋まっていたはずなのですが、「醤油がなくて味付けできないから」という理由で陽一君はスルーしています。
 確かに醤油があった方が断然おいしいですが、輪切りにして焼くだけでも充分美味しい秋の味覚になったのにもったいない…と読む度に身悶えします(^^;)。
食材を求めて山中をさ迷う陽一君と、ここにきても薄着な丼兄弟のお二人;ゆず、銀杏、むかごなど、秋の山中だからこそ採れる食材をゲット!
 こうして、山中からゲットした旬の食材を使って陽一君が工夫の限りを尽くして作ったのが、この“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”です!
 作り方は意外と簡単で、むかごと甘納豆をご飯と一緒に炊き込み、最後にすりおろしたゆずの皮・ゆずの果汁・銀杏を加えて混ぜ合わせ、最後にゆずの皮の千切りを飾ったら出来上がりです。
 調味料がなくて強い味付けや香り付けが出来ない所を、陽一君は鮮やかで個性の強い風味を持つゆずを丸ごと使うことによってインパクトのある調味を施し、何ともいえない清涼感の漂うご飯に仕上げて周囲の度肝を抜いていました。
 初見時は、「銀杏・むかご・ゆずだけでも充分おいしそうなのに、何故そこに甘納豆を入れて一気に闇鍋風に…?」とすごく疑問でしたが、陽一君曰く「あと…あとひと味!何かが足りない気がする」という最後のひと味が甘味だったそうで、食べた人達は「酸味の強い混ぜご飯の中に、ふんわり甘い一点のアクセントが味わいを広げるっ」と絶賛していました。

 調べた所、甘納豆をご飯と一緒に炊き込むレシピはそんなに珍しいものではないらしく、特に北海道では小豆の代わりに甘納豆を使って作るお赤飯が一般的だと説明されているサイトもあり、むしろ正当派な味付けな事が判明して感心しました。
 考えてみれば、サツマイモや桜でんぶも甘いのにご飯とぴったりですし、『美味しんぼ』の「恥ずかしい食べ物自慢大会」でも大福を乗せたご飯にお茶をかけて食べる大福茶漬けが登場した事がありますので、甘味+ご飯は思ったよりもポピュラーな組み合わせなのかもしれません←大福茶漬けは原作の中でも「きもちわるい~」と拒絶されていましたが)。
山で自生していたゆずの果汁と皮を使って味付けし、清々しい味付けをプラス熟したての翡翠銀杏もいれ、秋の味覚盛りだくさんにしてました謎の紫色をした豆の正体は、何と小豆の甘納豆でした!
 ちょうどいいサイズのむかごだけがどうしても手に入らなくて諦めかけていたのですが、先日何とか手に入れることが出来ましたので再現する事にしました。
 作中に載っている大体のレシピと、文庫本に載っている辻学園様のレシピを参考にしつつ、なるべく忠実に作っていこうと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、食材の下ごしらえ。
 銀杏の殻を包丁の背で潰すなどして中身を取り出し、薄皮がついた状態のまま沸騰したお湯が入ったお鍋へ入れ、お玉の背で銀杏を鍋底にくるくる押し付けながら皮を剥きます(←大体二分くらいが目安です)。
 皮が全て剥けたらすぐに取り出し、余分な水分を拭いておきます。
※形が少々悪くなりますが、封筒に二重包みして電子レンジにかけて皮や殻を取り除く方法もあります。ただ、長くかけすぎると電子レンジ内で飛び跳ねたり焦げたりしますので要注意!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯1
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯2
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯3
 ゆずは皮をしっかりこすり洗いした後水気をふき取り、半分は皮をすりおろして果汁をまぶし、半分は皮を薄く切り取って白い部分を取り除いてから千切りにします。
 むかごは流水で汚れを丁寧に洗い落として水気をきり、甘納豆は外側の砂糖の粒だけをさっと洗い流し、こちらも水気をきっておきます。
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯4
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯5
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯6
 次は、炊き込み作業。
 炊飯器(又はお鍋)へといだお米とお水を入れて三十分~一時間放置し、お米が充分に水分を吸ったら塩を加えてざっと混ぜ、その上にむかごと甘納豆を投入してそのまま炊きます。
 炊き上がったらすりおろしたゆずの皮と銀杏を加え、さっくりと混ぜます。
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯7
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯8
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯9
 具がご飯全域に行き渡ったらお茶碗に盛り付け、仕上げに千切り状のゆずの皮を散らせば“味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯”の完成です!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯10
 ゆずのむせかえるような柑橘系の香りが湯気となって立ち上るのが何とも雅びな感じで、たったこれだけなのに高級な和食店でお食事しているような気分になります。
 甘納豆の形が崩れて分かりづらくなったのが残念ですが、果たしてこれが吉と出るか凶と出るか…食べて確認してみようと思います!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯11
 それでは、炊きたて熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
味吉陽一特製山の幸の混ぜご飯12


 さて、感想ですが…「あれ?意外とありかも!?」と頭が混乱する旨さ!ゆずの鮮烈な風味とわずかな塩味が、びっくりするほどご飯に合ってます!
 通常、混ぜご飯はどこを食べても大体の味わいは同じですが、こちらは一緒に食べる具によって味付けの印象がガラリと変わる感じで、その都度味が変化するのが面白いです。
 甘納豆は小豆のふくよかでコクのある甘味が優しくとろけ、まるでおはぎを連想する味わいなのですがあくまで甘さはほんのり程度でさっぱり控えめなのが食べやすく、ご飯についた塩気と引き立てあって後引く味に(←どちらかといえば「少し甘めのお赤飯」といった方が近いかもしれません)。
 むかごはパリッと皮を噛み破った途端、ねっとりホコホコとした里芋みたいに粘りのある実が野趣溢れる旨味と共に舌に広がるのが美味で、これぞ秋の真打ち味覚というイメージの芋ご飯の味に。
 銀杏はむちむちほっくりした弾力のある実と品のいいほのかな苦味が正統派な和の旨さで、料亭風あっさり塩味に仕上がっており、むかごを「男性的な動の味」とするならこちらは「女性的な静の味」というおいしさでした。
 これらのバラバラな良さを持つ具を、ゆずの高貴でこの上なく清々しい香気とフレッシュな酸味が一つにまとめあげており、最後はスーッと鼻を抜けるような爽やかな後口にしているのがよかったです。
 一言で例えるなら「秋の山の豊かな恵みを堪能できる滋味深い混ぜご飯」で、噛むごとに豊穣な大地の恵みで口の中がいっぱいに満たされていくのを感じました(←きのこご飯やサンマご飯も秋らしくていいですが、こちらは地味ながらもよりどっしり力強い味わいなのが通好みな感じ)。
 むかごから溶け出た粘り成分のせいか、ご飯全体がいつもよりもっちりした食感になっており、なんちゃっておこわ風な味わいになっているのが面白かったです。


 甘納豆は一緒に炊き込むと柔らかくなりすぎて食感の面白さが軽減される気がしましたので、こちらも銀杏同様後から混ぜ込む方式がいいかもしれません。
 高級食材は入っていませんが、思い出すと不思議と食べたくなるご飯で、酢豚にパイナップルみたいなおかず系+甘味が苦手な方以外におすすめしたい創作ご飯です。


P.S.
 ふにゃふにゃさん、ムーンライトさん、コメントして下さりありがとうございます。
 リクエスト受付の件ですが、当管理人ができる範囲でだけ再現させて頂く形を取っております。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『クッキングパパ』の“荒岩流ヒジキのフルコース”を再現!

 今から約一ヶ月前、ハロウィンイベント中の「俺のフレンチ」に行って限定メニューのかぼちゃ料理を頼んだのですが、くり抜かれたかぼちゃに何とフォアグラやポルチーニソースが詰められていて驚きました。
 未知の組み合わせすぎて、当初は「こういうのってお肉と合わせるんじゃなかったっけ…?」と若干不安でしたが、実際に食べるとすごく重厚でリッチな、臭みが全くないとろけるようなレバークリームのグラタンという感じの美味しさで、感動しました。
 こういう、「あれとこれをあわせたらいけるんじゃない?」という食材の組み合わせを見抜く能力が当管理人には全くないので、プロのセンスってすごいな~と思います。

 どうも、最近いつも行くスーパーでお気に入りの激安鍋用麺が扱われないようになり、何気にショックを受けている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が東山常務と奥さんの為に作って出した“荒岩流ヒジキのフルコース”です!
ヒジキのフルコース図
 『クッキングパパ』初期から現在に至るまで、かなり長く荒岩主任と関わってきた人物の一人に、金丸産業の東山常務がいます。
 偶然荒岩主任のお弁当を食べて以来、「うまいっ荒岩くん。いやあ、いつ食っても最高だね」「これだけ料理のうまい奥さんはめったにいるもんじゃない」(←この頃は虹子さんが料理上手だと誤解されていました;)とその腕前にすっかり夢中になって時々お弁当を交換しあう仲になっており、主任と常務という立場の違いなどもろともせずすぐに親密になっていました。
 トリスおじさんことアンクルトリスに似た小柄でちょっぴり丸い体格と、ちょび髭とツルツル頭がチャームポイントの気がいい食いしん坊なおじさんで、普段は役職柄なのか少々威圧感を出しているのですが、マスコットキャラクターみたいなお茶目なルックスが原因なのかそこまで恐れられていないのが何とも気の毒;←アンクルトリスは繊細な昭和サラリーマンの哀愁をモチーフにしたキャラみたいですが、そういう部分も東山常務にかぶるところがあります)。

 一度、重役出勤をしている事で田中君に影で「いいねえっ。ラクチンだろね重役はー」と噂された時、「それはちがうよ、きみ」「毎晩、連日、接待接待。気はつかうし夜は遅いし…けっこう大変じゃぞ、これも」「昨夜も東京からの客人を中州に案内してな、終わったのは午前3時、ホテルまで送って家に帰ったのは4時過ぎじゃ」と重役ならではの苦労を愚痴ったシーンもあり、読んでいて「大変だな…」と思ったものです(←TVのグルメ番組や旅行番組を見て、「会社のお金で食べたり泊まったりできて、お給料までもらえるなんて羨ましい」と言う視聴者に対し、「そんなうまい話があるか!」と裏側を暴露したくなる業界人と同じ心境でしょうか?)。
 当管理人は仕事が終わったらなるべく定時で帰宅する荒岩主任、もしくは「フグタ君、今夜も一杯付き合わないかい?」を合言葉にアナゴさんと気楽に飲んでから帰るマスオさんの日常の方が断然いいので、とても田中君のように「接待といったらうまいもん食って酒飲んでだろ!?やっぱいいよな」と能天気には考えられないです;。
毎晩接待で飲み歩いて帰りが遅く睡眠不測だと嘆く常務;
 そんな東山常務が、あるお昼休みに荒岩主任の元へ訪れた時の事。
 荒岩主任がひじきの煮物をご飯に乗せたお弁当を食べているのを見て飛びついた東山常務は、一口味見させてもらうなり「うまいっ!!」と目を大きく輝かせます。
 東山常務曰く、「近ごろこういう味に飢えていたような気がする」「わしは会社一のグルメと呼ばれるくらい食い物にはけっこううるさくてな」「和食、洋食、中華―すべてかなりよい店でよい料理を食べていると自負しておるんじゃが」「なんというかこのごろはなにを食ってもかわりばえがせんというか、印象が薄いというか」「今も昼めしをなににしようか考えているうちに、なんだか疲れてしまってな」だそうで、一種のランチ難民と化していた事を明らかにしていました(『孤独のグルメ』の五郎さんのように、「俺にお似合いなのはこういうもんですよ」と言いながら身近なグルメを食べ歩く趣味があったら別なのでしょうが、東山常務みたいに会社勤めで立場があるとそういう訳にもいかないのかもしれません。ドラマ版のイントロに流れる「時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、つかの間、彼は自分勝手になり、<自由>になる」ような最高の癒しを毎日堪能できる五郎さんって、改めて現代の貴族なのだと実感します…orz)。

 贅沢な悩みのような気もしますが、確かに当管理人も旅行先で連日連夜外食続きでいた時、「自分で作った適当な具沢山味噌汁を、明太子や納豆乗せただけの炊き立てご飯を、名もなき平凡な手抜き惣菜の数々を、帰ったらすぐに食べたい…!」と最終日付近はギラギラしていた記憶がありますので、それが長期的になったら東山常務みたいになるのも仕方がないかも…と頷いたものです。
 外食も勿論魅力的で美味しいですが、家庭料理は自分と家族の好みや健康に100%合わせて日々飽きないよう特別に拵えた、いわば完全オーダーメイドの特注品みたいな物ですので、そりゃ~色んな意味で最強だろうなと思います(←手作りお菓子だったらもう少しランクアップして、オートクチュールという感じでしょうか?)。
連日連夜贅沢な食事ばかりで、何がおいしいのか分からなくなっていました
 そんな東山常務を見て放っておけなかった荒岩主任は、「今日の夕食にうちのやつにヒジキのフルコースを作らせておきますから、食べにきてください」と誘い、東山常務は喜んで行くことにします。
 この時、荒岩主任が用意したのが“荒岩流ヒジキのフルコース”!
 フルコースは全部で四品で、“ヒジキの炒め煮”、“ヒジキの海賊汁”、“ヒジキサラダ”、“ヒジキ海苔巻き”というなかなかお目にかかれない珍しいラインナップでした。
 作り方はどれも簡単で、“ヒジキの炒め煮”は熱したフライパンへ水で戻したヒジキ・厚揚げ・糸こんにゃく・砂糖・お酒・醤油を入れて炒めて煮るだけ、“ヒジキの海賊汁”は洗っただけでまだ戻していないヒジキを鍋で煮て豆腐・油揚げ・味噌を入れて火を通すだけ、“ヒジキサラダ”は戻した後に熱湯をかけて水気をきったヒジキにマヨネーズ・塩・こしょう・レモン汁を混ぜて生野菜と盛るだけ、“ヒジキ海苔巻き”は炒め煮したヒジキ・ネギ・甘酢らっきょうを白ご飯と一緒に海苔で巻くだけで出来上がりです。
 ポイントは、ヒジキを戻す時は水に浸けて小さなゴミを取ってから二十分かけて戻すこと、“ヒジキの海賊汁”は他に出汁を使わず汁が黒々としてから味噌を加えることの二点で、こうするとヒジキの味がしっかり出るみたいです。

 ヒジキで出汁を取ってお味噌汁の具にしたり、ヒジキ単体でマヨネーズを和えたり、白ご飯と甘酢らっきょうとヒジキを合わせて海苔巻きを作ったりと、今でもなかなか見られないオリジナリティ溢れるレシピには脱帽しますが、中でも地味に驚いたのがどれも他に一切出汁を使わない事。
 ヒジキの炒め煮は味を濃くする為か、必ずと言っていい程他に出汁や旨味の元となる食材を足してから作るのがセオリーとなっているのですが、こちらはヒジキが持つ味わいを大事にする為極力シンプルな味付けにしており、仕上がりが全く想像できないと同時に「面白いなー!」と感心したのを覚えています。
ヒジキを出汁なしで炒めるという、オリジナリティ溢れる調理法どこか懐かしいヘルシーなヒジキ料理の数々に癒されていました
 最近妙にヒジキが食べたくなっていたのと、前々から「どんな味になるんだろう…?」と興味津々になっていたのもあり、再現してみることにしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、“ヒジキの炒め煮”作り。
 油を入れて強火に熱した中華鍋(又はフライパン)へ、水に浸けて二十分かけて戻した後水気をきったヒジキ、コマ切れにした厚揚げ豆腐、塩でもんだ後流水でさっと洗って水気をきった糸こんにゃくを入れ、かき混ぜながら炒めます。
 そこへお酒、砂糖、醤油を加えて中火で数分炒め合わせ、汁気がなくなってくるまで弱火で煮込みます(←時々様子を見ながらかき混ぜたほうが良いです)。
ヒジキのフルコース1
ヒジキのフルコース2
ヒジキのフルコース3
 次は、“ヒジキサラダ”作り。
 水に浸けて二十分かけて戻したヒジキをザルに入れて熱湯をかけ、氷水につけて冷やした後余分な水気をしっかりときっておきます。
 このヒジキをボウルに入れ、塩、こしょう、マヨネーズをかけて全体に行き渡るまで和え、食べやすく切っておいた生野菜と一緒にお皿へ盛り付けます(←レタス、きゅうり、トマト、レモンスライスがおすすめ)。
 仕上げにレモン汁を絞って回しかけます。
ヒジキのフルコース4
ヒジキのフルコース 22
 今度は、“ヒジキ海苔巻き”作り。
 巻きすに海苔を敷いて白ご飯を薄く乗せ、下の方に先程作っておいたヒジキの炒め煮、甘酢らっきょうの千切り、刻んだ小ネギを乗せてくるりと巻きます(←巻き終わりの部分にはのりしろ部分として空きを必ず作っておきます)。
 きっちり巻けたら、包丁でその都度濡らして拭きながら一口大に切ります。
ヒジキのフルコース5
ヒジキのフルコース6
ヒジキのフルコース7
 ここまできたら、いよいよ“ヒジキの海賊汁”作り。
 水で洗っただけの戻していないヒジキを多めのお水と一緒にお鍋で煮込み、約十分程経過してお鍋が黒々としたスープでいっぱいになってきたら、食べやすく切った油揚げと豆腐を加えてさらに煮ます。
 具材に火が通ったら味噌を溶き入れ、器によそって刻んだ小ネギをぱらりと散らします。
ヒジキのフルコース8
ヒジキのフルコース9
ヒジキのフルコース10
 それぞれのヒジキ料理を器へ盛り付けてテーブルへ運べば、“荒岩流ヒジキのフルコース”の完成です!
ヒジキのフルコース11
 ヒジキだらけのせいか食卓が磯の香りに包まれ、「ヒジキって見た目は目立たないけど、それなりに個性が強いんだな~」と苦笑しました。
 炒め煮はともかく、他三品は全く未知の品ですので、一体どんな味がするのかとても楽しみです!
ヒジキのフルコース12
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
ヒジキのフルコース13


 さて、感想ですが…同じヒジキなのにどれも印象が違ってて面白い味わい!ヘルシーなおいしさで体も舌も嬉しいフルコースです!
 “ヒジキの炒め煮”は、ヒジキ自体から出ている濃い磯の風味が効いてあっさりした、シンプルな甘辛醤油味がしみじみ美味。
 色んな出汁が合わさったオーソドックスな炒め煮もいいですが、こちらは他の出汁がない分ヒジキの旨味が何一つ消される事なくしっかり活きているのがよかったです。
 ヒジキの出汁が染みてこっくりとした深みが出た厚揚げ豆腐と、クニクニした弾力がたまらない糸こんにゃくが程よいアクセントになっており、地味ながらも飽きません。
ヒジキのフルコース14
 “ヒジキの海賊汁”は、勇ましい名に反してかなり優しいほっこりする味の味噌汁で衝撃。
 出汁なしで心配だったんですが、意外にもヒジキの戻し汁には玉ねぎの味噌汁に似た自然ながらも力強い甘味の出汁が出ており、それでいて野菜にはない淡い潮の香りが後口でふわりと香る素朴で心和む一品でした。
 正直、海草系の出汁では一番甘いかもしれません。
 そのままだとやや淡白なのを、油揚げと豆腐がコクのある油分をプラスしてまろやかな旨さを出しているのがよかったです。
ヒジキのフルコース15
 “ヒジキサラダ”は、洋風な味付けがヒジキとびっくりするくらい合っており、市販されてないのが不思議な程。
 塩コショウマヨネーズのこってりクリーミーな味付けと、レモンの爽やかな香りがヒジキの癖をいい意味で隠しており、海草というよりはシャキシャキザクザクした歯応えが楽しい新種の野菜みたいな味わいになっています。
 レモンマヨのさっぱりしたコクがヒジキをぐっと垢抜けさせ、野趣溢れる風味を品よく万人受けしそうな味にまとめているのに感心しました。
ヒジキのフルコース16
 “ヒジキ海苔巻き”は、白ご飯を使っているのにらっきょうの甘酢のせいかほんのり酢飯みたいな味付けになっており、おにぎりと海苔巻きの中間みたいな不思議な美味さが特徴的。
 ヒジキの武骨なまでに強い磯の旨味と、らっきょうのシャリシャリした歯触りや甘酸っぱさはとても相性がよく、噛むごとに奥行きが生まれるのがたまりません(←例えるなら梅の実ひじきみたいな組合わせ。酸味とヒジキはよく合います)。
 海苔とヒジキがダブルで濃厚な海の香りを出しているせいか、華やかではないものの海鮮巻きって感じがちゃんとしました。
ヒジキのフルコース17


 日頃こういう地味系料理にあまり感心がない夫も、「どれもおいしい」とパクパク食べてくれました(←健康診断に引っかかったからというのもあるでしょうが;)。
 中でも驚いていたのが“ヒジキ海苔巻き”で、「え~、らっきょう?イカでも巻けばいいのに」と思いながら食べたそうなのですが、意外にぴったりだったと喜んでくれていました。


P.S.
 kawajunさん、無記名さん、コメントして下さりありがとうございます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ”を再現!

 少し前までスシローには「マグロの竜田揚げ」という商品があったのですが、最近とうとうなくなってしまいましたorz(←HPには載ってなかったものの、店舗の注文画面ではレギュラー扱いされていたメニュー)。
 100円の割には食べ応えがあっておいしく、お肉みたいな味がするのにから揚げよりはさっぱりしており、好きなメニューだったのですが…。
 代わりに「カツオの竜田揚げ」が新登場したんですが、マグロとは微妙に味が違っていて量も少なくなっており、「戻ってこないかな…」と遠い目になっている今日この頃です。

 どうも、夫がサーモンや生鮭ばかり食べている横でいくらばかり食べている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて一馬君があるTV番組でピンチをもろともせずに作った“堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ”です”!
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ図
 それは、大河内さんとのおにぎり対決が終わって少し経った頃のこと。
 夕食を終えて一段落ついた法子さんは、自称「当代一の毒舌グルメ」・倉田道明さんというグルメ評論家が毎週日本全国から挑戦者の料理人を募り、「うまい!」と言わせたら賞金二百万を進呈するという料理勝負番組を陽一君に勧めるのですが、「興味ないね俺は」と『FF7』のクラウドみたいな事を言って不機嫌になります。
 料理勝負好きですぐに熱くなる陽一君なら興味津々で見るのでは…と思ったので意外でしたが、程なくしてその理由が判明します。
 それは、倉田さんの度が越えた毒舌と目に余る悪行っぷり!
 倉田さん曰く、「俺が意地悪でうまいっていわないんじゃないかって!?そんなことはないよ!!」「舌に関してはグルメの意地にかけて嘘はつけんのよ」「長年の美食追及の結果、俺の舌が今の料理より進化しちゃったわけだな」だそうで、悪意はないと主張しているのですが、その割には「今の日本にはもう、オレの舌を満足させる料理人なんていねーんじゃねーの」「まっ今回のお二人もせいぜいきばってやってみてちょうだい」と余計な挑発を連発。
 その上、一生懸命料理をしている挑戦者の背後から「手ぎわが悪いねえ」「もっとてきぱきやんないと旨味が逃げる」「おいおい火がちょっと強すぎんじゃないの」「料理の持ち味をこわさないぎりぎりを見切らなくちゃな」「なんだなあ…こりゃダメだわお客さん。今回もちょっと期待できそうにないわ」など、まるで料理動画にチクチクと小言をコメントするネット小姑のような嫌味を連発していました;←数々の伝説を持つ「MOCO'Sキッチン」のもこみちさんなら、オリーブオイルドバァ・野菜ザクザクッ・塩ファサーでネチネチ言われても笑顔でスルーして美味しく調理してくれそうだと勝手に予想)。
 有名な食通との事ですので、調理の工程でよっぽど見過ごせない何かがあった可能性も無きにしもあらずですが、観客を巻き込んで笑い者にするかのような趣向ってどうなんだろう?と疑問に思ったものです(←これがお笑い芸人だったら「いじってもらえた!チャンス!」の世界なんですけどね…;)。
毒舌グルメ評論家として番組を取り仕切っている倉田道明氏
 これらの所業だけでも大概ですが、極めつけが試食シーンで、挑戦者の料理を一口ずつ食べるや否や「ダァメだこりゃ!!食えたもんじゃねえや!!」と叫んでひっくり返すという暴挙に出ており、TV前の陽一君を「本当に料理の好きな人なら、あんなことは…けっしてできないはずなんだ!!」「出された料理に誠意も真心も感じない、そんな食通なんて…そんなの…本当のグルメなんかじゃないよ!!」と激怒させていました(←今のご時世、バラエティではクレームを避ける為に「この後スタッフが美味しく頂きました」というテロップを必ず入れるくらい食べ物関係にはうるさくなっているというのに、倫理的にも芸能生命的にも恐ろしい事をしますね;。今、倉田さんが毒舌料理番組をしたらネットもTVも大炎上しそうです)。
 毒舌なグルメ評論家というと『鉄鍋のジャン』の大谷日堂が真っ先に思い浮かびますが、数々の外道行為を行った大谷日堂ですら食べ物を粗末にするシーンはなかった為、呆れたのを覚えています。
 とはいえ、大谷日堂は食に対するマナーがある代わりにジャンを執拗につけ狙ったり、自分に恥をかかせた料理人を杖で殴ったり、料理人全てを潰そうとわざと難しいお題を出したり、ジャンを土下座させて頭をグリグリ踏み付けたりと人間相手には厳しいのですが、それらを上回るくらいジャンとその祖父には散々気の毒な目にあわされててバランスが取れていますので、倉田さんみたいなモヤモヤ感がないのが特徴だと思います。
 こうして考えてみると、『こち亀』の両さんが悪巧みをしては失敗して武装した大原部長に追い回されたり、『家政婦は見た!』の市原悦子さんが派遣先を家庭崩壊させて戻った後必ずドジをして怪我をするなど、過激な行動をしてても憎まれないキャラはお約束として毎回制裁を受けており、笑えるギャグオチになっているのが最大の共通点だと感じます。
一生懸命作られて料理をひっくり返して馬鹿にする…蛮行以外の何物でもありません
 最初は関わりたがらなかった陽一君ですが、「これは料理人全体への挑戦よ」「ここは一発!ミスター味っ子の力を見せつけてやんなさい!!」という法子さんの言葉で一念奮起し、同じ理由で挑戦者に名乗りをあげた一馬君共々倉田さんの番組に出場する事になっていました。
 お題はハンバーグで、陽一君は例の“パン包み串焼きハンバーグ”を作ろうとしていたのですが、何と本番五分前に豚挽き肉を運んでいたトラックが事故にあって届かないというアクシデントが発生!
 急遽、豚挽き肉の代わりとなる他の食材を足したハンバーグを作る羽目になります。
 この時、陽一君はある西洋食材に目をつけていたのですが、一馬君はそれとは真逆の食材を豚肉の代用品として使うことにします。
 その食材とは、何とアジ・アンチョビ・ハム!
 どれもハンバーグとは無縁に見える為エキセントリックな発想に思えますが、作中の説明によるとアンチョビとハムの旨味がハンバーグに潤いを与えて肉汁を出させ、アジがふっくらとした柔らかいパテに仕上げるとの事で、その見事な焼き上がりに会場中がどよめいていました。
 調べた所、アジやハムは分かりませんでしたがアンチョビの方は挽き肉との相性がよく、一部のプロはハンバーグに隠し味として入れる事もあるのだそうで、びっくりしました←塩漬けして発酵させた魚と挽き肉をあわせて蒸しハンバーグ状にした香港の家庭料理・鹹魚蒸肉餅というのも存在しますし、案外魚と肉という組み合わせはありなのかもしれません)。
一馬君が豚肉の代用として使ったのは、何とアジ・アンチョビ・ハム!
 唯一のネックは、大量の魚のすり身を入れることによって発生する臭みとえぐみでしたが、それを一馬君はしょうがの絞り汁をパテに混ぜ込むというアイディアで見事克服しており、試食した倉田さんは「これはなんというピュアな味と香り…!!」「魚のコクと旨味だけが生き、一点の生臭さもないすばらしいうまさだっ」と絶賛していました(←魚料理に親しんでいる日本人ならではの発想という感じですね)。
 おまけに焼き方まで工夫しており、先にハンバーグの側面を焼いてから普通に上下を焼くことによって肉汁の逃げ場を完全にふさぎ、この上なくジューシーな仕上がりにしていました。
 個人的に、オーブンで全面を同時に焼いた方が肉汁がより封じ込められるのでは…何よりすごく焼きにくそうと思いましたが、図解にされると何だか説得力があるように感じなくもない為、好奇心が騒いだものです。
魚肉から出る強い臭みは、しょうがの絞り汁で完全カットしていましたハンバーグの側面から焼くことによって、肉汁の流出を防ぐ!
 「本当においしいんだろうか…」「案外いけるかも…」と相反する思いがあって悩んでいましたが、ルネッサンス情熱が蘇ってきたので再現する事にしました。
 作中には大体の材料とレシピが載っていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、パテの準備。
 アジは三枚おろしにして皮・小骨・ぜいごなどを取り除いた後、包丁二刀流で細かく叩いてミンチ状にします(←臭みが気になる場合はお酒をふるのもありです)。
 ハムはかなり小さくなるまで細かく切り刻み、アンチョビは小骨を絶つように心がけながら何度も叩き切りにしてみじん切りにします。
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ1
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ2
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ3
 ボウルへ先程のアジ、ハム、アンチョビ、牛挽き肉、塩、こしょう、生卵、しょうがの絞り汁を入れ、全体に粘りが出てくるまでしっかりと練り合わせます。
 最初赤っぽかった挽き肉が、うっすら白っぽくなってきたらOKです。
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ4
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ5
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ6
 次は、焼き作業。
 先程用意したパテを厚めの小判型に成型し、油をしいて強火に熱したフライパンで側面を全て焼いていきます(←お箸など先端が尖っているものを使うと非常に崩れやすいので、木ベラのように平たいもので押さえながら焼き、入れ替える時は素手でころころ回しながら焼き固めることをお勧めします)。
※事前に冷凍庫で短時間冷やし、表面だけ少し固めたほうが焼きやすいです。
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ7
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ8
 側面を全て焼き終えたら片面をフライパンにつけてフタをした後中火で焼き上げ、焦げ目がついたらひっくり返して再度フタをし、じっくり蒸し焼きにします。
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ9
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ10
 パテの中央にまで熱が通ったことを確認したらお皿へ盛り付け、焼いた後のフライパンにデミグラスソースを加え、肉汁を溶かしこんで上からかければ“堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ”の完成です!
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ11
 見た目は普通のハンバーグとさほど変わらないのですが、香りは焼き魚やさんが焼きのような和風よりの香ばしい匂いが強い為、頭が混乱します;。
 今に至るまで肉と魚の合い挽き肉を試した事がないので味の想像が全く付きませんが、勇気を出して食べてみようと思います! 
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ12
 それでは、一口大に切り分けていざ実食!
 いっただっきまーす!
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ14


 さて、感想はと言いますと…肉と魚が交互に行き交う摩可不思議な美味しさ!和テイストの創作洋食といった出来映えでした。
堺一馬特製豚肉抜きハンバーグ13
 外側は少しゴツゴツしたやや硬めの食感で、どことなくさつま揚げを思わせるようなしっかりした口当たりでしたが、内側は普通のハンバーグよりも大分柔らかく、ふっくらふわふわと口の中で崩れるしっとり優しい食感が特徴的。
 アジ:牛ひき肉:アンチョビ:ハム=5:3:1.5:0.5という比率の味わいで、例えるとするなら「魚風味なのに肉々しいハンバーグ」というイメージでした。
 意外にもハムはそんなに味がせずあってもなくても分からない感じでしたが、アンチョビのコクある油分と熟成された深い塩気が全体に旨味の濃い味付けをしており、他の挽き肉料理にはない「出汁が効いている」感じを出してます。
 作中で言われている通り生姜のキリリとした風味と爽やかな辛味は魚肉の臭みを消し、牛肉に合うよう味を調節していましたので、結構重要なアクセントだと思いました。
 正直、最初の一口は「魚ハンバーグ?焼きつみれ?」と連想するくらい魚の存在感が強いですが、噛むごとに牛挽き肉のこってりした旨味が徐々に姿を現して魚勢に対抗するイメージで、慣れない内は戸惑ったものの面白くておいしかったです。
 あと、確かにパテはふんわりしてボリューム感が出ていましたが、残念ながら肉汁はほとんど出ておらず、多少パサつきが出ていたのがネックだと思いました。
 しかし、デミグラスソースのまったりした肉汁のコクや濃厚な肉類のエキスが加わると肉らしさがグッと増し、ジューシーとまではいかずとも充分カバーできていたのでほっとしました。


 肉類の中では結構匂いが強い方の牛肉も、魚肉の前ではこんなにも大人しくなってしまうんだな~と勉強になりました(←ステーキとお刺身だったら、ステーキの方が味の濃さでは勝つのに…謎です)。
 アジは魚の中でも脂が淡白なほうに分類されるのでジューシーにという訳にはいきませんでしたが、これが脂分の多い旬のイワシやトロだったら結果は大分違っていたと思いますので、機会があったらまた挑戦してみたいな~と思いました。


P.S.
 無記名さん、無記名さん、コメントしてくださりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
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 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
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 …『拳闘暗黒伝セスタス』
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 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
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