『華中華』の“秋茄子チャーハン”を再現!
- Thu
- 18:55
- 再現料理
どうも、「天高く馬肥ゆる秋」の由来が結構物騒だった事に驚いたあんこです。
本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんがある農家の方の為に旬の秋茄子を使用して作り上げた“秋茄子チャーハン”です!
ある日、ハナちゃんがいつも通りお昼休みを利用して上海亭へチャーハンを作りにやって来たところ、おじいさんやおばあさんと色々立て込んだ話をしていた三浦半島の農家・斉藤さんと初めて顔を合わせます。斉藤さんが言うには、大分前におじいさんが「肩を壊してしまったので、治るまで店を休みます」と連絡したっきりなしのつぶてだったのを心配して上海亭に様子を見に来たとの事で、現在は完全に料理人生命を絶たれてしまったおじいさんの代わりにハナちゃんが毎日二時間だけチャーハンを作っていると聞いて驚きます。
声には出さなくても「こんな若い女性が…」と半信半疑の様子だった斉藤さんですが、そんな事は露知らずなハナちゃん達は斉藤さんの手土産である朝摘み秋茄子を見て喜び、「今日は秋茄子のチャーハンにしましょうか?」「お宅の秋茄子だ、よかったら食べて行って下さい」と言って斉藤さんの為に“秋茄子チャーハン”を作ります。
今回再現する“秋茄子チャーハン”のポイントは、秋茄子の下ごしらえ!通常、茄子はザク切りにしてそのまま使うか水につけてアク抜きをするかが関の山ですが、ハナちゃん曰く「茄子と油は相性がいいんですけど、油を吸いすぎるのはよくないので…」との理由で、何と一回塩を軽くふって少々水気を絞ってから調理に使います。ちょっと斬新な発想なので初めて読んだときはびっくりしましたが、確かにこうする事によって余計な油は吸わなくなりますし、おまけに下味まで済ませる事が可能になるので「さすがハナちゃん!」と感心しました。旬の茄子と油を合わせるとこの上なく美味なので病みつきになりますが、同時に油の取り過ぎが懸念されるので、これは画期的な下ごしらえ法だと思います。茄子は思わず「スポンジか!」と突っ込んでしまいたくなるくらい油を吸収しやすい野菜なので悩みのタネでしたが、これで一部の茄子料理(茄子の天ぷらといった水分を抜いてはいけない物)以外は問題が解決出来そうです。
この茄子を豆板醤と甜麺醤などで甘辛く味付けして、基本チャーハンに混ぜ込めば出来上がりなんですが、それを食べた斉藤さんは「こ、こいつは旨い!」「秋茄子の味が活かされている!」と感動します。
このまま斉藤さんが満足したまま帰ったらお話はおしまいだったんですが、「あんなに美味しくて幸せになれる料理を作れるのは、きっと心が優しいからだろう→一緒に秋茄子を育てた息子にも食わせてやりたいなぁ…→ハッ!待てよ、息子は畑にかかりきりで三十過ぎても出会いがなくて未だ独身、そしてハナちゃんも来年には二十歳になる独身だ→これは是非ともお見合いして欲しい!」という怒涛のチャート式お見合い発想が成立し、急遽斉藤さんの一人息子・康彦さんとのお見合い話がハナちゃんの元へ舞い込んできます(^^;)。中華の料理人として一人前になる事しか頭にないハナちゃんは内心困惑しますが、上海亭のおじいさんとおばあさんがすごい熱意で断りきれなかったという話をすると、悩みつつもお二人の立場を思いやり、最終的に断るという暗黙の了解を取ってお見合い話を受ける事にするのでした…。相変わらず、ハナちゃんは人がいいな~と苦笑です;(この続きは、次回再現する“秋野菜の宝石箱チャーハン山芋掛け”にて紹介します)。
秋茄子のシーズンがようやく到来したことですし、早速再現に挑戦してみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、茄子の下ごしらえ。ヘタを取って縦四つに割った後は二~三センチ幅の大きさに切り、パラパラ程度に塩を振ります。数分後に水分がジワッと出てきたら、軽~く優しく絞ります。この時絞りすぎてしまうと、まるで漬物みたいになって炒め物には向かない水加減になってしまいますので、要注意です(画像の茄子だと、少し絞りすぎたかな~?って感じです)。
その間、中華鍋(又はフライパン)にスライスしたしょうがと油を入れて熱し、弱火~中火くらいでゆっくり熱を通して香り油を作っておきます。ちなみに、使い終わったしょうがは千切りにして炒め物や和え物に入れても十二分においしいですよ~(´∀`)。
この香り油に豆板醤を投入して炒め、唐辛子特有のいい匂いが漂い出したら下ごしらえ済みの茄子を加えて手早く炒め合わせます。
やがて茄子に火が通ってきたら刻みネギと甜麺醤を入れてさらに炒め、全体的に熱が通ったのを確認したらボウルに移しておきます。パッと見は、簡易的な麻婆茄子ってイメージでした。ここへにんにくの茎のみじん切りを入れても美味しそうです、
次は、いよいよチャーハン作り。大分前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りにシンプルなチャーハンを作り、仕上げに先程とっておいた茄子炒めを入れて、ざっと混ぜ合わせます。その際、あんまり炒め過ぎると茄子から水分が出過ぎてしまうのでささっとすませるのがベストです。
茄子と基本チャーハンがしっかり馴染んだら火を止め、そのままお皿へ盛り付ければ“秋茄子チャーハン”の完成です!
秋茄子が油にまみれてテカテカとしたキレイな紫色に輝いているのを見ると、つくづく「やっぱり茄子は油と相性がいい!」という事を実感させられます。豆板醤や甜麺醤ならではの熟成された香りも芳しくていいですし、これは味も期待大です!
それでは、出来立ての熱々の内にいざ実食!いっただっきま~す!
さて、味ですが…四川風チャーハンと名付けたいくらい刺激的でウマーーー!ナスが主役として引き立っています!
塩を振って水気を少々きったおかげでナスがキュッキュットロリとしたちょうどいい食感になっており、おまけに程よい塩味もついています。中でも特筆すべきはナスの絶妙な油加減で、とろけるような身肉になる為に必要最低限な油しか吸っていないのでかなりさっぱりした後味なのが特徴的でした。全体的にキレのあるピリ辛味噌味がついているせいかガッツリいける力強い味わいで、例えるならば「肉抜き麻婆茄子風チャーハン」といった印象です。単に麻婆茄子とご飯を炒めるだけだったらもっとくどくなっていたと思いますが、肉が入っていない上にきつくなり過ぎるギリギリ寸前の所を炒り卵がふんわりまろやかにしてくれている為、バランスが取れていました。
長ネギのシャキシャキした歯触りと独特な甘さがいいアクセントになっていますし、何より香ばしい味噌風味で深い旨味が染み込んでいるパラパラチャーハンがナスとたまらなくマッチしています。豆板醤のビリビリくる辛味と甜麺醤の大豆由来のコクが効果的に使われている、よく考えられたチャーハンだと感じました。これはビールが進みそうです。
野菜でもチャーハンの具として十分成り立つと言うことが証明できる、ナイスアイディアな料理だと思います。簡単に作れてボリュームがあるのにバクバクいけちゃうので、この秋は大いに作りまくろうと思いました(^^)。
○追記
皆様のコメント欄での温かいご意見に甘え、以後もあからさまにおかしくならない限りいつも通りに更新していく事に決めました。その為、あちこちにいつも通りの表現が混ざっています。このように、あまり成長がみられない管理人・あんこですが、これからも当ブログをご不快に感じない心の広い方々と細々と楽しめあえる環境作りをしていけましたら幸いです。
●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。