『丼なモンダイ!』の“国嵩特製・梅とささみのスープ丼”を再現!

 昔、地元の小学校で「深夜、一人で目をつぶって桜が満開になっている○○通りを最後まで歩ききるとあの世に行く」という噂が一時だけ流れた事がありました(後にすぐデマだとバレて廃れましたが)。実を言うと、小学校時代その噂を聞いて「本当だったら面白そう」と思った痛い当管理人は、熟の帰りにわざと友達と別れ、辺りが薄暗くなり始めた時(←もうこの時点でルールを破っていますよね;)に実行したのですが、道の隅にある排水溝の溝にズボッと足をつっ込んで盛大に転び、別の意味であの世に行きそうになりました。手と足をすりむき、服を泥まみれにした私を見た母は血相を変えて「どうしたの?!」と言っていましたが、本当の理由などとても言えませんでした…orz。
 どうも、心霊番組・超能力番組・オカルト番組が雨後のタケノコのように増殖していた時期に青春時代を送った管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『丼なモンダイ!』にて国嵩さんが妹・笑美さんのお茶漬けをヒントにして作った夜食“国嵩特製・梅とささみのスープ丼”です!
国嵩特製・梅とささみのスープ丼図
 早くにご両親を失った国嵩さんは、わずか小学五~六年くらいの時から幼い妹さん二人を兄としてだけでなく父親同然のように守り育ててきた為、相当な妹さん思い。お二人を金銭的にも精神的にも心細い思いはさせたくないと考えたのがきっかけで公務員になったほどで、その為にはお父さんの意思を継いで料理人になるという夢も諦めたくらい絆は強いです。おかげで兄妹仲は妹さん達が結婚した後もなお至極円満で、仕事の合間をぬってはちょこちょこ遊びに来て色んな丼の着想を与えていました(過去に再現した“国崇特製木の葉丼”のお話は、その好例です)。
 今回は、新婚ほやほやの下の妹・笑美さんが主役のお話。三兄妹の中で最も元気で明るい性格であると同時に最も泣き虫でもある笑美さんは、結婚してまだ一年足らずという一番幸せなはずの時に、農林水産省直営である国嵩さんのお店・<丼ぶり一丁>へ「もう離婚する~!」と涙を流しながらいきなり飛び込んできます。驚いた国嵩さんが落ち着かせて話を聞くと、接待で酔い疲れて帰ってきたご主人・秋人さんが何かお腹にたまる物を食べたいと言って来た際に一生懸命作った梅茶漬けを出したところ、 「旦那が疲れて帰ってきたっていうのに。お茶漬けなんて手抜き料理の代表だよ!」と一刀両断されたのがとてもショックだったとの事で、「いちいちこんな調子だったら、結婚生活なんてやっていけないよ!結婚前は何でも美味しいって食べてくれたのに!」と言って大泣きします;。う~ん、笑美さんのお気持ちはわからないでもないですが、ケンカの内容が如何にも新婚さんらしい初々しいものだったので、ハラハラするというよりはつい微笑ましい気持ちになってしまいました(´∀`;)。
 笑美さんのあまりの嘆きようが気になった国嵩さんは、早速問題の梅茶漬けを実際に作ってもらって助手(『美味しんぼ』の栗田さんを髣髴とさせるような存在の女性です^^)の及川栞さんと一緒に味見をしますが、確かにその味わいは手抜きだと言われるような物ではない立派なものでした。その秘密は、ほうじ茶と手作りの梅干し。食べやすいように練り梅状にした梅干しをご飯の上に乗せてほうじ茶をかけ、刻み海苔をバラリと散らすだけの簡素なお茶漬けですが、ほうじ茶の効用で何ともいえない香ばしさがプラスされていますし、何より添加物を一切使っていない手作りの梅干しによって後を引く旨さに仕上がっていた為、国嵩さんの影響で舌が肥えた及川さんからも「何でこんなに美味しいの?!」ととても喜ばれていました。
 ただ、いかんせんボリュームがなさ過ぎるのがまだまだ若い秋人さんには不評だった模様で、それにいち早く気づいた及川さんは「もっとボリュームがある丼を作ってみては?」とアドバイスしますが、深夜にお腹いっぱい食べ過ぎると体によくないからそれはなるべく避けたいと、なかなか鋭い視点で笑美さんは悩んでいました。正直、当管理人はここまで深く考えて相方さんの夜食を作った事がなかった為、このシーンを読むたび後ろめたい気持ちでいっぱいになります;。これからは、真夜中でも平気で焼きそばだのラーメンだのおにぎりだのをお酒でパクつく不摂生な生活は、お互いいい加減やめなければ…と反省ですorz。
国嵩さんのかわいい末の妹・笑美さん
 しかし、国嵩さんはそのやり取りを見ていていい案を思いつき、早速笑美さんと秋人さんの新居へ遊びに行きます。この日も秋人さんは接待で夜遅くまで飲んでから帰宅した様子でしたが、料理の腕がプロ級な義兄の来訪を上機嫌で歓迎し、「突然お邪魔したお詫びというわけではないですが、秋人さんのご飯でも作らせてもらえないかと笑美に頼んでいたんです。実は飲んだ後のシメに最高の丼があるんですよ」という国嵩さんの言葉に大喜びしていました(ここら辺の流れを見ると、秋人さんは至って真面目な好青年に見えるので、結局はただの痴話ゲンカなんだろうな~と再度安心させられます;)。
 けれども、国嵩さんは普通の丼ではなく、笑美さんの作った梅茶漬けをアレンジした「丼お茶漬け」を作ると台所で笑美さんに宣言します。当然笑美さんは不安がり、「でも、秋人さんはボリュームがあるものをって…」と国嵩さんを止めようとしますが、国嵩さんは笑美さんの肩をポンと叩き、「大丈夫、自信を持て!兄ちゃんを信じろ!」と穏やかに笑って料理を続けます。本当は、他にもたくさん飲んだ後に最適な丼のアイディアが国嵩さんにはあったと思うのですが、あえて笑美さんと秋人さんが仲直りしやすいような選択をする所が粋な大人だな~と惚れ惚れします(^^)。こういう場面を見ると、国嵩さんはお兄ちゃんというよりは未だにお父さん感覚で妹さんに接し続けているのだという事をしみじみ実感し、ほのぼのした気持ちになります。
笑美さんのお茶漬けを応用した丼でリベンジしようとする国嵩さん
 こうして、笑美さんの梅茶漬けをより良い方向へ進化させて完成したのが、“国嵩特製・梅とささみのスープ丼”です!作り方は梅茶漬けよりもう少し手が込んでいて、練り梅をぬってこんがり焼いたしそ巻きささみを海苔や青しそを散らしたご飯の上(少なめに盛るのがポイント)に乗せ、仕上げに自家製鶏がらスープをかけたら出来上がりです。
 作中の説明によると、「梅干しに含まれるクエン酸は疲労回復に最適」「ピクリン酸は肝機能を活性化させて二日酔い防止になる」との事で、もっと梅干しを詳しく調べてみると食欲増進効果・整腸作用・抗菌作用・ピロリ菌の抑制などの効果もあるすごい食材なんだという事が判明しました。こうして考えてみると、梅茶漬けを飲んだ後に食べるのは実に合理的な行動なんだと実感します。おまけに、鶏肉には肝臓の働きを促進させるメチオニンが豊富に含まれているとの事で、特にささみは脂質が少ない分体へ負担になりにくい為、お酒好きの肩は日常的に取る事をお勧めすると国嵩さんは語っていました。何より、梅星・青じそ・ささみは「梅しそ巻き」という名前であちこちに出回って定番化しているほど相性抜群な組み合わせなので、味の方も既に保障済みという、まさに無敵なお茶漬け丼です!
 このお茶漬けのいいところは、少量のご飯でも旨みたっぷりなスープを吸う事によってカサが増す上、焼き鳥風ささみが乗っかることによってちょうどいいボリューム感が出るところで、案の定最初は「名前はかっこいいけど、要は単なる茶漬けだよな。ひょっとして、笑美に手抜きと言った俺へのあてつけか(`・ω・´)ムスッ?」と警戒していた秋人さんも、最終的には満足して全部平らげていました;。その後、自分の為に梅干しを漬けてくれていた笑美さんに感動した秋人さんは「すまなかった」と素直に謝り、一方笑美さんも「ううん、いいの。私も、秋人さんの気持ちを汲んで料理をしていなかったのをお兄ちゃんの料理で気づいた。これからはもう少し頑張ってみる!」と一歩譲る事によって、何とか元の仲良し夫婦に戻って一件落着しました。それにしても、ここまでしたのに最後の最後で「さすがお兄ちゃん、頼りになるなー。でも、こんなに分かっているおにいちゃんはどうして結婚できないのかしら?」というあんまりな言葉を笑美さんからもらっており、「俺は結婚できないんじゃない、結婚しないんだ!」と少しムキになって弁解していたのがちょっと気の毒でした;。
要は梅しそ巻きの原理鶏がらスープをかけて食べるのがこの丼のミソ
 本当は夏にこそ相応しい料理なのかもしれませんが、今の時期はストーブを利用しての鶏がらスープ作りが可能なので一石二鳥な気分になりますし、何より最近胃たれ気味な状態が続いていますので、身をもってこの漫画料理の効能を実験できると思い再現を決めました。巻末にあるレシピと作中の描写を併用して作ってみようと思います。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、鶏がらスープ作り。一回熱湯で下茹でした後流水で血の塊、汚れ、アク等を取り除いた鶏がらを、長ネギの青い部分としょうがの切れっぱしと一緒に大鍋へ入れて水と日本酒を注ぎ、そのままフタを開けっぱなしにして約三~四時間程度弱火でクツクツ煮込みます(この時、フタをして強火でグラグラ火入れするとお茶漬け風スープ丼には不向きな白濁スープになるので注意が必要です。こちらは鶏の旨みが濃厚に出るので、カレーや鶏鍋のベースなどに最適です)。私の場合、ストーブの熱を利用して気長に煮詰めました。但し、鍋底が濡れたまま鍋を置くと大変危険ですので、乗せる前に水滴が外側についていないか点検して絶対吹きこぼれないようお気をつけ下さいm(_ _)m。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼1
国嵩特製・梅とささみのスープ丼2
 茶色がかった透明なスープに仕上がったのを確認したら火からおろし、清潔な布巾かキッチンペーパーで丁寧に漉したら、基本の鶏がらスープの出来上がりです!ここに、塩や醤油などでお好みの調味をしたら、スープ丼用の鶏がらスープは準備万端です。
 ※この鶏がらスープは、作中にレシピが詳しく載っていなかったのを私なりに想像して作ったスープです。その為、皆様の好みで様々な調味をした鶏がらスープを用意してかけるのも十分ありだと思います(^^)。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼3
 次は、具の用意。完全無添加で手作りの(もしくは、それに近い梅干し)梅干しから種を取り、包丁で細かくなるまで叩いて自家製練り梅を作ります。梅干しは、なるべく肉厚で柔らかい果肉の物をおすすめします。ちなみに、この梅干しは近所のお店で「防腐剤・合成着色料・化学調味料不使用」「使用しているのは梅、塩、赤しそのみ」という頑固なこだわりで作られている梅干しで、塩だけで漬けている為、今となっては珍しい目が覚めるような酸味が特徴的です。ですが、単に酸っぱいだけではない深い旨み成分がじわじわ舌へ浸透していくので、ここ数年ずっとリピートしています。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼4
国嵩特製・梅とささみのスープ丼5
 この練り梅を、白い筋を抜き取って食べやすい大きさに切ったささみの表面に好きなだけぬりつけ、それを青しそでくるりと巻きつけてその上からもさらに練り梅をぬります。刷毛を使うとぬりやすいですが、ない場合はスプーンでも代用可能です。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼6
国嵩特製・梅とささみのスープ丼7
 この梅しそささみを、薄く油をひいた網かフライパンでこんがり焼き、中心に火が通るまでじっくり焼き上げます。
※あんまり火にかけ過ぎると青しそが極めて焦げやすくなる上、ささみの身もパサパサになってしまうので、ささみが厚めの時はさっと蒸し焼きにするのもありです。ただ、どちらにしても青しその色合いはちょっと損なわれてしまうのが悲しいところですね;。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼8
国嵩特製・梅とささみのスープ丼9
 その間に、丼か茶碗に炊き立ての白ご飯をやや少なめによそい、そこへ刻んだ青しそ→刻み海苔→先程作った即席焼き鳥を順番に乗せていきます。はっきり言って、このまま食べてもかなりおいしいんじゃないかな~と思いました(後日、好奇心が騒いで実際に食べてみましたが、この段階でも結構おいしかったです。醤油を垂らしてがーっと食べると、焼き鳥好きには堪えられません)。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼10
国嵩特製・梅とささみのスープ丼11
 焼き鳥を乗せ終えたら間髪入れずに机へ運び、仕上げに丼の上から温めなおした鶏がらスープをトポトポ注げば“国嵩特製・梅とささみのスープ丼”の完成です!
国嵩特製・梅とささみのスープ丼12
 練り梅の紅がかった赤色、青じその渋い緑色、刻み海苔の黒色が白いご飯に映えて、見るからに食欲をそそります。特筆すべきは練り梅の香りで、ちょっぴりツンとくるこの匂いだけでゴクリと喉が鳴ります。熱が入ることによってしんなりした青しそ、生のまましゃっきりしている青しそのどっちも違った感じでおいしそうですし、お茶漬けと違って鶏がらスープを使った分洒落た印象を持ちました。一体どんな味か、すごく気になります。
国嵩特製・梅とささみのスープ丼13
 それでは、鶏がらスープが熱々の内にいざ実食!いっただっきま~すっ!
国嵩特製・梅とささみのスープ14

 さて、味はと言うと…飲んだ後のシメとして最適な味!弱った胃袋がみるみる内に癒されていくようなおいしさです!
予想以上に程よいボリュームのあるおいしさのスープ丼
 即席焼き鳥のおかげで通常のお茶漬けよりもずっとボリュームがありますが、淡泊かつ繊細な旨味が美味なささみを使用しているせいかお茶漬けと同じくらいするっと頂けました。ささみに隙間なくぴったりひっついた青じそをパリリッと噛み破ると、ささみのしっとり柔らかなようで十分噛み応えがある肉の間から品よくあっさりした肉汁がじんわりとにじみ出てきて、そこに練り梅の強烈なしょっぱさや酸っぱさが混然となって舌を刺激してくると何とも食欲をそそられます。イメージとしては「焼き鳥屋さんで食べる梅出汁茶漬け」って感じで、ささみの梅しそ巻きの美味さをそっくりそのまま封じ込めたような味わいでした(鶏がらスープに一旦浸かったのが効を成し、練り梅の酸味が強くなり過ぎるギリギリ寸前で中和されているのがなかなかよかったです)。刻んだ青じその爽やかな香りと海苔の磯風味がささみとばっちりの相性で、しみじみとした余韻が残る食後感が印象に残りました。
 程よいコクがあると同時に、さっぱり後口に仕上がったシンプル塩味な鶏がらスープがご飯に染みて少しふやけており、サラサラトロリとした口当たりになっているので非常に喉越しがいいのが特徴的です。面白い事に、まるで軽~く煮立てた粘りの少ない中華粥風鶏飯っぽい味わいで、和風のご飯と中華風なスープがバランスよく合体した日中親交料理だと思いました。スープに溶け込んでいるしょうがと長ネギがほのかにスープに効いて、飲むごとに体がほっこり温まっていくような感じがたまらなかったです。

 下手をすれば、あっさり過ぎてややそっけない味になりかねなかった薄めの丼を、梅干しの存在感が一つにまとめあげているのが印象強い一品でした。飲んだ後にシメとして食べるのはもちろん、二日酔いになった翌朝に茶碗一杯分だけ頂いたり、量を多めにしてしっかり食べるのもありです。食欲がない時でも「これくらいなら…」とついついお箸が進むので、お腹や胃袋の調子が悪い方におすすめしたい料理でした。

○追記(2010.04.01)
 佐宮海さん、「前回記事のお詫び、そしてその他の補足。」記事にコメントして下さり、ありがとうございます。こちらの記事にコメントが寄せられてももうご返信はしませんとコメント欄にて書かせていただいておりましたが、ご自身も大変な時だというのに勿体無いお気遣いをして頂いた事に強い感謝の意を表明したかった為、この場にて御礼を申し上げる事に致しました。
 佐宮さんのようにおっしゃって頂ける方がいるからこそ、私のようなだらしがない人間でも何とか頑張れています。こちらこそ、誠にありがとうございます。

●出典)『丼なモンダイ!』 原作:花形怜 作画:吉開寛二/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『クッキングパパ』の“菜の花いっぱいのポカポカ鍋”を再現!

 今月号の『マコちゃん絵日記』は、長豪近佳代先生の淡い恋心にほのぼのしました。普段はなめられないようにとメカボーグのような表情で生徒達に接するものの、逆におちょくられてしまうという気の毒な長豪近先生ですが;、フェニックスみたいなかわいい髪型(個人的に好きだったので、また挑戦して欲しいです…)や女性らしいお洋服を夜通し試行錯誤しながら研究する長豪近先生の様子は、密かなファンとして非常にたまらなかったです。
 どうも、長豪近先生の「何となく、おしゃれを頑張っている自分の姿を見られたくないと思いました」というシーンが切なく心に響いた管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が菜の花を見るのも食べるのも大好きだという虹子さんの為に作った“菜の花いっぱいのポカポカ鍋”です!
菜の花いっぱいのポカポカ鍋図
 ある年の春、虹子さんが新卒時から勤めている福岡県を地盤とする地方紙・ニチフク新聞恒例の表彰式で、見事虹子さんは文化部代表として局長賞を授与されます(評価された記事は、「博多の失われた町名シリーズ」との事)。何でも、文化部の人間が局長賞を取るのは実に五年ぶりの快挙だったそうで、おかげで虹子さんが公私共に昔からお世話になっている上司の深井部長はお祝いの席で「君達も荒岩君を見習い、頑張って荒岩君に続いてくれたまえ!」「さあ、飲もう!わしゃ嬉しいんじゃ~!」と大喜びし、何軒も虹子さんとはしごしていました;。それにしても、四次会まで平気で付き合える虹子さんは本当にお酒が強いんだな~と改めて感心です(^^;)。
 この一次会の時、虹子さんは職場のみんなとしろうおの踊り食いをしているのですが、その際に深井部長が言った「うまい!これぞ春っ!!まさしく春の味だなあっ、荒岩君」という言葉にやんわり頷きつつ、自分にとっての本当の春の味をふと思い出します。そして、偶然とはいえ急に懐かしくなった虹子さんはベロンベロンに酔っ払って帰宅後、「お帰り、局長賞おめでとう。俺からのお祝いは何がいいかい?」と気を利かせる荒岩主任に対して「また、あの一面の菜の花畑が見たいなーっ」とほほを赤く染めながらおねだりし、翌日その春の味を堪能させてもらう為に筑後川周辺にある菜の花畑へまこと君(と、タイミングよくばったり会った運転手役の田中君;)と一緒へ連れて行ってもらいます。普段はチャキチャキた性格でバリバリに動き回っている虹子さんですが、こういうシーンを見るとやっぱり人一倍女性らしい乙女心の持ち主なんだな~と微笑ましい気持ちになります。
 実は筑後川の菜の花畑は荒岩夫妻にとって感慨深い場所で、今からざっと十二年以上前に付き合いたてのお二人がここへデートしに来た時に初めてキスをした思い出のスポットだとの事でした(虹子さん曰く「あなたのアゴが邪魔で、すご~くしづらかったんだからー(´∀`)」だそうで、思わずそのページの荒岩主任のアゴをしげしげ眺めて笑っちゃいました;。確かに、立派過ぎるアゴなのでなかなか難しそうだと納得です)。それから大学卒業後に結婚し、すぐにまこと君が生まれ、がむしゃらに仕事と育児をしていく内に今日まで至ったと虹子さんは静かに語り、「あたしね、本当に幸せよ!!」と菜の花を眺めながらにっこり笑顔になっていました。どうやら菜の花畑は虹子さんにとって<春と幸福>を連想させる場所なようで、荒岩主任と虹子さんがのんびり和んでいる様子は見ているこちらまで幸せにさせるパワーがありました(^^*)。
陽だまりのような幸せを満喫する虹子さん^^
 そんなこんなで春らしいゆったりした時間を過ごしていた虹子さん、まこと君、田中君の為に荒岩主任が菜の花畑の片隅で手早く用意したのが、虹子さん思い出の味・“菜の花いっぱいのポカポカ鍋”です!
 作り方はアウトドア料理らしい簡素かつ手間要らずな感じで、昆布・ビール・お水で作ったおつゆ入りの土鍋に菜の花と豚ロース肉の薄切りを投入して短時間煮るだけでもう完成しちゃいます。飲み物はやっぱりビールがぴったりとの事で、ビール好きには垂涎物なお鍋です。
 荒岩主任が言うには「ようは、豚肉と菜の花のしゃぶしゃぶだ」「ビールを入れるので肉の臭みがとれ、肉が軟らかく煮えるのだ」との事で、試しにネット上にある様々な情報サイト様を回ってみた所、あるビール鍋レシピご紹介のページで「ビールの主原料は大麦。ビタミンB1や食物センイが豊富で、核酸やレシチンが脳細胞を活性化させ、豚肉のたんぱく質と一緒に取ると、力がついて脳が元気に働きます」という情報を得る事が出来、大変勉強になりました(バイオウェブサービス様のサイトにある、こちらのページから抜粋いたしました。ありがとうございます)。まさに、日頃から色んな事で駆けずり回っている荒岩主任と虹子さんにうってつけのオリジナル鍋だな~としみじみ思いました。
 その後、“菜の花いっぱいのポカポカ鍋”を食べたお二人は運転手要員としての宿命で泣く泣くビールを諦めた田中君と元気一杯な息子・まこと君がバトミントンをしているのを尻目に、菜の花畑の中でこっそりキスをしていました。が、その様子はバトミントンに夢中かと思われていた田中君とまこと君の目にばっちり捉えられており、「あ~あ、俺も早く結婚したいな~(つД`)」と田中君は少しやっかんでいました;。春らしいのどかなお話なので、結構好きな一場面です。
ビール入りのおつゆで菜の花や豚ロースをさっと煮るのがコツ
 菜の花のシーズンもそろそろ終わりになりかけてきていた為、すぐに再現を決定しました。前回に“おチヨさんの豚肉団子鍋”でお鍋、前々回に“宗達流菜の花ピザ”で菜の花を取り扱ったのでかぶりまくりですが、ご笑覧して頂けますと幸いです。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、鍋のおつゆの準備。白い粉を清潔な濡れ布巾で軽く拭き取ったら土鍋に入れ、そこへ各々が好きな銘柄のビール、倍量の水を投入して中火~強火にかけます。ビールと水の割合は原作には載っていない為自分次第になりますが、あんまりビールを濃い目に入れすぎても後々べったりしやすいので、ここはひとまずビール:水=1:2で加えてから微調整するのが無難なのではと感じました。
 ※使うビールの銘柄は何でも大丈夫ですが、この鍋に限って言うなら発泡酒の方が向いているかな~と感じました。エ○スのような本格ビールはお鍋に使うには少々苦味が勝ってしまいますので、普通に飲む方が美味しいと思います;。ちなみに、おつゆが焦げた時の匂いは焼きトウモロコシにそっくりなので結構びっくりします!
菜の花いっぱいのポカポカ鍋1
 次第に沸騰してくると、モワモワ~ッとした白い泡が大量発生しやすいので、丁寧にアク取りします。その内アルコール分がそこそこ飛んでいったら、お鍋のおつゆは準備OKです。なお、昆布の処遇は食べやすく気って鍋底に具としてそのまま沈ませておく方を推奨いたします(コリコリねっとりした歯ざわりがいいです^^)。
菜の花いっぱいのポカポカ鍋2
 次は、特製つけダレ作り。ボウルに芯を取り除いてすりおろしたにんにく、醤油、お酢、ゴマ油を投入したら泡だて器でガーッとよく混ぜ合わせ、水分と油分が出来る限り細かく入り混じったら出来上がりです。にんにくは少なめだと比較的サラッと頂ける味、多めだと大食いの血が騒ぐがっつり味に仕上がりますので、お好みで選びます。私の場合、後者を選びました;。
 その間、菜の花は流水で洗ってよく水切りしておきます(そのまま切らなくても大丈夫ですが、長過ぎる物は真っ二つに切った方が食べやすいです)。
菜の花いっぱいのポカポカ鍋6
菜の花いっぱいのポカポカ鍋3
 今度は、いよいよ肝心のお鍋作り。沸騰した後弱火にしたおつゆの中に、菜の花と豚ロースの薄切り肉をしゃぶしゃぶしながら入れてさっと火を通します。この時、あんまり火を通すとすぐしなしなの菜の花・ガチガチの豚肉になってしまいますので、要注意です。
 ※豚ロースの薄切り肉は、鍋用の物がおすすめです。あと、作中だと豚肉の他に鶏のささみを使ってもさっぱりしておいしいと書かれていました。今度、私も試してみる予定です。
菜の花いっぱいのポカポカ鍋4
菜の花いっぱいのポカポカ鍋5
 菜の花は青々とした水気のある緑色、豚ロースの薄切り肉は白っぽい色に変化したらすかさず火を消し、そのまま特製つけダレと一緒に机へ運べば“菜の花いっぱいのポカポカ鍋”の完成です!
菜の花いっぱいのポカポカ鍋7
 ビールの匂いはかすかに漂いますが、想定していたよりも結構抑え目ないい香りだったので意外でした。ほんのり麦っぽいようなとうもろこしっぽいような摩訶不思議な芳香なので味の予想が全くつかず、果たして本当においしいのかどうかすら自信が持てない心境になりました;。ただおいしそうな匂いなのは間違いない上、菜の花の瑞々しい緑色と豚ロースの白色の色合い、そして特製つけダレのにんにく風味がとても美味しそうなので、恐らく大丈夫だろうと最終的に確信が持てました(^^;)。
菜の花いっぱいのポカポカ鍋8
 それでは、特製つけダレ入りの取り皿へ菜の花と豚ロースの薄切りを好きな頃合で取り出していざ実食!いっただっきま~す!
菜の花いっぱいのポカポカ鍋9

 さて、味の感想はと言いますと…ホワワンとした見た目をいい意味でスパッと裏切る味!大人だからこそ楽しめる、酒肴的おつまみ用鍋です!
これこそが、虹子さんにとっての春の味です
 スープを飲むと、アルコール分と炭酸が全く残っていないせいかじんわり穏やかなおいしさで、ビールの風味がかすかに残っている感じの苦いようで甘いような不思議な後味が印象的です。口に含んでゆっくり味わうと、昆布のふくよかで静かな磯の旨さを感じさせるお出汁と、ほのかに香ばしい麦の香り、そして豚肉や菜の花からにじみ出た旨味成分が複雑にからみあっており、独特ながらも病み付きにさせられる面白い味わいに仕上がっていました。和風でも洋風でもない、かと言ってドイツ風な訳でもない無国籍風お鍋で、飲兵衛にはたまらない一品です。あと、特製つけダレが地味そうに見えてなかなかの出来で、にんにくならではのパンチがきいたこってり味と、ゴマ油の濃厚で心とろかす旨味が入り交じって相当に豪快かつ力強い味になっており、それでいて後々お酢のさっぱりした酸味が後口をキリッと爽やかにしめているのがかなりナイスでした(個人的に、どことなく「焼き肉屋さんの冷やし中華のタレ」ってイメージを持ちました)。
 菜の花のザキュザキュした何とも小気味良い鮮やかな歯触りと、ビール風味のスープとあいまってさらに引き立てられている野趣溢れるほろ苦さがとっても美味で、舌にガツンとくる旨酸っぱい特製つけダレへつけて食べると、びっくりするくらい箸が進みます。このしんなりザクッと仕上がった菜の花に、程よいコクが嬉しい脂部分・しっかりした噛み応えが特徴的な肉部分が同居していてバランスが取れている豚ロース薄切り肉のしゃぶしゃぶの取り合わせがぴったりで、交互に食べるとビールが止まらなくなって困りました;。また、ビールの成分のおかげか豚ロース薄切り肉がまるで高い豚肉みたいにやや弾力性のある柔らかい肉質に変わっていたのが驚きで、大変化とまでは言い過ぎでも二割増おいしくなったのは間違いないのではと感じました。

 食べるごとに力が見る見るうちに湧いてくるような素敵なお鍋です。最後のシメは、雑炊やうどんといったシンプルな食材ではなく、ちゃんぽん麺や中華麺などの割かし味がしっかりした食材がおすすめです。少しだけ癖があるおつゆを中華麺やちゃんぽん麺がどっしり受け止めてくれる為、シメだというのにお箸がどんどん進む逸品に仕上がります(^^)。特製つけダレをちょこっとたらして食べると、麺類だというのにおつまみにも変身しちゃうのが飲兵衛には嬉しいシメへと早変わりです!

○P.S.…コメント返信は、明日~明後日にかけてさせて頂きます。長らくお返事をお待たせしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。また、大変恐縮なのですがその際はコメント返信やご質問に対するご回答の方、誤字脱字の訂正に専念致しますので、次回のアップは一日ズレる予定になっております。なるべく三日に一回再現料理記事をアップするというペースを守りたいのですが、最近さすがに時間が短縮できなくなってきた為このような処置となってしまいました。重ね重ねお詫びを申し上げます。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。


『美味しんぼ』の“おチヨさんの豚肉団子鍋”を再現!

 あまりにも田舎過ぎる環境のせいか、毎年春になると近所にある山々で鶯の子どもがいっせいに鳴き声の練習をしているのを聞く事が出来ます。最初の内は「ホー…ホケッ」や「ケキョッ」などかなりぎこちないですが、そろそろ一ヶ月目に突入しようかという頃になるとグンと上手になっており、「ホー…ホケキョッ!」と見事な鳴き声を聞かせてくれるのが密かに嬉しいです。ただ、上手に鳴けるようになって一週間も経つと、不思議な事に今度は鶯の声自体が全く聞こえなくなります。なので、毎年飽きもせずに「あ~あ、せっかく練習して上手くなったんだから一年中鳴き続ければいいのに…」と心の中で寂しくつぶやいています。
 どうも、小鳥のような愛らしさは皆無な代わりに重度の鳥頭だけは装備している管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にておチヨさんが剣道道場の子ども達にあれこれレクチャーしながら作り上げた“おチヨさんの豚肉団子鍋”です!
おチヨさんの豚肉団子鍋図
 山岡さんと栗田さんが結婚してそこそこの年月が経過した頃、もはや山岡さんの第二の母と呼んでもいい乳母・おチヨさんが精神的にひどく落ち込みます。その理由は、子ども好きなおチヨさんにとって生き甲斐だった女子高の非常勤料理講師の任を突如解かれた為。料理よりも英会話実習の方が進学や就職に有利だという学校側の判断が決め手だったとの事で、それまで子どものいない寂しさを女子高の生徒さん達と交流する事によって密かに癒してきていたおチヨさんは、どうしようもない程がっくりきてしまいます。その喪失感から、ある日などはつい山岡さんと栗田さんに「早く、士朗さんとゆう子ちゃんの赤ちゃんを抱きたいねぇ」「自分の本当の子どもか、孫と同じに思うのに…」とお酒を飲みながら愚痴をこぼし、最終的には酔いつぶれてしまいます。
 こればかりは時と運の問題なので、当初読んだ際は「おチヨさん、悪酔いしすぎですよ~(´∀`;)」と単純に思うのみでしたが、生き甲斐を納得のいかない理由で突然奪われてしまうのは想像以上に辛い事だと実感する年齢に私も達した為、おチヨさんのヤケにならずにはいられない心境と制御できない感情をちょっとだけ理解できるような気がしました。ここら辺の流れを読むたび、よしながふみ先生の作品・『愛すべき娘たち』のとあるワンシーンに出てくる「親だって人間だもの、機嫌の悪いときくらいあるわよ!あんたの周囲が、全てあんたに対してフェアでいてくれると思ったら大間違いです!」というセリフをふと思い出します。これは私自身最近気づいた事ですが、母を「母」、教師を「教師」、店員を「店員」という風に割り振られた役割でしか相手を見ようとしないとこの上なく腹立だしくなる事が多々あったのですが、発想を代えて「一人の人間」として見るようにすると、「しょうがないか、疲れもするよね」という慈しみの気持ちや親近感の方が先立つようになりました。理不尽な理由で当たったり当たられたりされても、不完全な存在である事をお互い念頭に置いて後腐れなく勘弁し合える人間関係を目指したいな~としみじみ思います。
生きがいを見失い、気分が沈んでしまうおチヨさん
 そんな折、山岡さん達はタイミングよくおチヨさんに打ってつけな新しい生き甲斐候補を見つけ出します。それは、剣道教室に通う子ども達への料理指南役。山岡さんの知人であるなぎなた名人・きま子さんが新しく開いた剣道教室で子ども達の体にいい武芸食を振舞うものの、今ひとつ受けが悪いのを何とかする助手役としておチヨさんを参加させれば一石二鳥な感じで問題解決して丸く収まるのでは…と山岡さんと栗田さんは思案しておチヨさんを誘い、何とか快諾してもらって剣道道場へ案内します。
 実はこの時、栗田さんの心遣いが嬉しくてしょうがないのを必死に押さえようとしてわざとそっけない態度になるおチヨさん→ご主人・中川さんはそれに気づかず「おいチヨ、そんな態度はないだろう(`・ω・´)」と宥める→照れ顔のおチヨさんが「もうっ!鈍いわね、あんたは!こんなにしてもらって舞い上がりそうなのを、無理して押さえてるだけよ(´Д`*)!」というやり取りがまた微笑ましくていいです;。
 その頃にはおチヨさんの元気はもうほとんど戻りかけており、最初「え~、僕達が作るの?」「料理なんかやった事ないよ」とぐちぐち渋る子ども達を相手に「ばかも~ん(と雄叫びをあげて竹刀を床にバシッ)!」「自分で自分の食べる物を作れず、自分の身を守れるか!そんな人間は、武術をやる資格はなし!」「さあ、気合を入れていこう!」まるで全盛期のアントニオ猪木氏を彷彿とさせるような勇ましい姿や無茶苦茶な自分ルールを披露していました(^^;)。うーむ、元気があれば何でも出来…ではなく、元気があるのはとても喜ばしい事のはずなのですが、何かが間違っているような気がします…。それにしても、山岡さんが竹刀を握って料理特訓するようになったのはおチヨさんの影響だったんだな~と読んでて妙に納得しました;。
スパルタ式料理教師・おチヨさん!
 その後、おチヨさんは竹刀を片手に炊事当番の生徒達へ特製お鍋の作り方を伝授します。それが、この“おチヨさんの豚肉団子鍋”です!レシピは豪快かつ大胆で、何とメインの具である豚肉団子は一旦揚げて仕上げるのがポイントです。干ししいたけ、長ネギ、しょうがの絞り汁、卵などを入れてよく練ったのを丸く整形して揚げればもう出来上がりなんですが、お鍋に揚げ物というのはそれまで全く思いつかなかったので、目からウロコが落ちました。この豚肉団子と白菜、油揚げ、しいたけをお出汁に入れてグツグツ煮たら、もう完成です。
 きま子さんが言うには「白菜の旨みと豚肉団子のコクある味の絡みがいいわ」、山岡さん曰く「味付けは醤油と酒だけだから、へんに甘くなくていくらでも食えるよ」との事で、実際子ども達に振舞ってみると「この肉団子、私好きー!」「楽しいじゃん」「何かウキウキする」とワイワイ盛り上がりながら喜んで食べてくれていました。どうやら子ども達は遊び要素がある料理を参加して作らなかったから文句を言っていたようで、体にいい昔ながらの武芸食を嫌っていたわけではなかった模様。おかげでおチヨさんは子ども達から望まれて毎週料理実習を剣道教室で開く事になり、何とか生き甲斐を再発見する事に成功するのでした。
お鍋用の肉団子ですが、一回揚げるのがミソ
 冬が終わりを告げようとしているので、作るなら今しかない!と再現を決意しました。先日やっとギリギリ葉の厚い最後の冬白菜が手に入ったので、早速作ってみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、鍋のおつゆとなるお出汁作り。大鍋に水と出汁昆布を入れて一晩放置し、そのまま弱火~中火にかけて火を通します。やがて沸騰直前になったら素早く出汁昆布を取り出し、グラグラ沸き立ってきたらカツオ節をどっさり投入してふわっとなるまで煮立たせます。カツオ節が鍋の中で舞うようになったのを確認したら清潔な付近を敷いたザルで丁寧に漉し、時間をかけて冷まします(土鍋に直接入れるとひび割れの原因になります)。これで、お出汁は出来上がりです。
 ※出汁をとった後のカツオ節は即席ふりかけ、昆布は佃煮にしました。ただ、食べやすく切ったり結んだりしてお鍋に具として入れるのもおいしいので個人的に好きです。
おチヨさんの豚肉団子鍋1
おチヨさんの豚肉団子鍋2
 冷ました合わせ出汁を土鍋へ静かに入れ、干ししいたけの戻し汁(豚肉団子に使用する干ししいたけの戻し汁です)、醤油、お酒、少量の塩を自分好みに調節して味付けしたらお鍋のおつゆは用意完了です!実は干ししいたけの戻し汁を使うという正式標記は無かったんですが、おチヨさんの事だから残さず無駄なく使うんじゃないかな?と想像し、勝手に入れちゃいました;。あんまり忠実な再現でなくて申し訳ございません。
おチヨさんの豚肉団子鍋3
おチヨさんの豚肉団子鍋4
 次は、豚肉団子作り。ボウルにあらかじめ白っぽくなるまで練りこんでおいた豚ひき肉、細かく刻んだ長ネギ、水に漬けて戻した後みじん切りにした干ししいたけ、生卵、おろししょうがの絞り汁とドサッと加え、よ~~くこねながら粘りが出るまで手で混ぜ合わせます。ちなみに、豚ひき肉を練る際は何も入れずにふわふわした手触りになるまで混ぜると肉汁の量が格段にアップします。
 ※作中には調味料が載っていなかったので妄想が多分に入るのですが、山岡さんの「甘ったるくない」という意見を考慮して塩と醤油を入れて味付けしました。ただ、各人お気に入りの調味料を入れてみるのもありだと思います。その内、お味噌とか色々試したいです。
おチヨさんの豚肉団子鍋5
おチヨさんの豚肉団子鍋6
 このタネを大さじで丸く整えながら高温の油(160度~170度がちょうどいいように感じました)で軽く揚げ、表面がカリッと香ばしく色づいたらすぐに取り出してキッチンペーパーの上で余分な油分をきります。これで、おチヨさん特製豚肉団子は出来上がりです。
 一つつまむと、もうこの時点で全部パクつきたくなるくらい十分おいしかったです(^^)。甘酢あんや醤油あんに絡めたり、野菜と一緒に炒めたりしてご飯のおかずにしても合いそうです。また、冷めても美味だったのでお弁当具としてかなり優秀でした。
おチヨさんの豚肉団子鍋7
おチヨさんの豚肉団子鍋8
 その間、白菜は芯を取り除いてから大雑把にザク切り、生しいたけは軸をとってそのまま(軸はスライスしてお鍋に入れるとコリコリして旨し!)、油揚げは熱湯をかけて油を抜いてから短冊切りにしておきます。これで、お鍋の具は準備OKです!
 ※原作通りですと具は四品のみですが、もちろん気分によって具を増やしたりするのもアリです。例えば当管理人の場合、試作の際に豆腐・長ネギ・きのこ類・春菊・水菜・お餅入り巾着・豚ロース薄切り等を追加して食べてみましたが、どれもウマーだったので大満足でした。
おチヨさんの豚肉団子鍋9
 ここまできたら、あとは煮るのみ。先程用意したおつゆ入り土鍋の中へ白菜の硬い部分だけ先に入れて火を通し、表面が透き通って透明感がでてきたら他の具を順々に入れて全部煮立てます。この時、おつゆを味見して塩加減の微調整を行います。
おチヨさんの豚肉団子鍋10
おチヨさんの豚肉団子鍋11
 四種の具全てに程よく火が通りきったらガス台からおろし、そのまま鍋敷きを乗せておいた机の上へ慎重に運べば“おチヨさんの豚肉団子鍋”の完成です!
おチヨさんの豚肉団子鍋12
 普通の肉団子はお鍋に直接入れて固める方式なので白い見た目の物がほとんどですが、おチヨさんの豚肉団子はこんがり茶色く色づいている為存在感のある仕上がりです。油が多く含まれる具を四種類中二種類も加えたせいか、通常のお鍋よりもボリューミーなのに感心しました。作中で指摘されていた通り、確かにこれは食べ盛りなお子さんが大喜びしそうです。色合いは地味ですが、香りは鍋物にしては迫力ある芳香なので、これはどんな味なのか気になります。
おチヨさんの豚肉団子鍋13
 それでは、熱々の内に器へ取り分けていざ実食!いただきま~す!
おチヨさんの豚肉団子鍋14

 さて、味の感想ですが…あっと驚く仕掛けはないものの、ほっとする素朴な味。心安らぐ美味しさと、がっつりいけるボリューム感が同居した素晴らしいお鍋です!
剣道道場の子ども達も大喜び
 とにかく、豚肉団子の味が単なるお鍋の具の枠を超えた出来栄えです。外側は揚げボールのゴツゴツした舌触りと酷似していますが、中は豚ひき肉特有のジューシーな肉汁と強いコクが効いて非常にこってりしており、かなり弾力があってガシガシとしっかりした噛み応えなのが特徴的でした。揚げたおかげでどことなく香ばしい風味がプラスされており、中に入っている刻みネギのシャキシャキ感、刻み干ししいたけのクニクニ感、しょうがの爽やかな風味がいいアクセントになって単調さを防いでいます(噛むごとに干ししいたけの香りが鼻をくすぐる為、「ワイルドな和風塩味」っぽい味わいなのが面白いです;)。おつゆも「関東風おでんつゆと関西風うどんつゆのいい所取り」と言いたくなるような上品かつ洗練された味わいで、カツオ節・昆布・干ししいたけ三種のお出汁が複雑に絡み合って香り高い風味を何倍にも増幅しているのに感嘆しました。
 しんなりジャクジャクした歯触りに仕上がった白菜の自然でとろけそうな甘さ、ブリンブリンに肉厚で歯にグリグリ食い込んでくる椎茸の滋味溢れる旨さ、おつゆをたっぷり吸っていて口に含むと様々なお出汁が一気にパッと噴き出す油揚げのふくよかな味わいが豚肉団子をちょうどよく中和しているのがナイスです。割と密度が濃ゆくて程々に脂分を感じる後口の割にはいくら食べても一向に飽きがこず、あっさりスルッと頂けるのが印象的なお鍋でした。特にくったり柔らかい白菜の葉の口当たりと、まるできつねうどんのお揚げみたいに味わい深くなった油揚げのシコシコした食感が癒される感じで、濃厚な豚肉団子の合間に食べると一息つける箸休めとなっています。
おチヨさんの豚肉団子鍋15

 シメは雑炊、うどん、ちゃんぽん麺、中華麺、マロニーちゃん、お餅など何でもござれな感じでどれも相性ばっちりでしたが、中でも一押しなのはうどん。うどんを投入してさっと煮、仕上げに刻みネギと七味を振りかけて食すやり方が一番気に入りました。七味色々な美味しさを貪欲に取り入れたきつねうどんって印象の一味違ううどんが楽しめるので、お勧めです!

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『酒のほそ道』の“宗達流菜の花ピザ”を再現!

 相方・マサル君から何度も何度も「『エイリアン3 完全版』を見て欲しい」とせがまれた為、内心「小さい頃から何回も再放送で見たけど、そこまで面白くなかったような…」と感じつつ渋々視聴してみたんですが…これが何と大当たり!劇場版では公開されなかった三十分の未公開シーンがとにかく秀逸で、前々から少し唐突だと思っていたシーンや、どうしてこういう流れになったのかしっくりこなかったシーンがきっちり説明されており、中でも火事の追加エピソードは胸が熱くなる物がありました(ジュニアの漢気に圧倒されます)。これまで「イマイチ」と評価されがちだった『エイリアン3』の新しい魅力が再発見される事請け合いですので、エイリアン好きの方には完全版を是非おすすめしたいです。
 どうも、監督さん達のジレンマと映画会社のエゴが入り混じってまるでコントみたいだったおまけのメイキングDVDを見てつい苦笑いしてしまった管理人・あんこです。

 今回再現した漫画料理は、『酒のほそ道』にて宗達さんが春めいてきた頃にコンビニ食材と冷蔵庫の残り物とを組み合わせて考え出したオリジナル料理・“宗達流菜の花ピザ”です!
宗達流菜の花ピザ図
 すっかり春らしくなってきたある日の夜、宗達さんはオープンテラスのお店でおいしそうな菜の花ピザと生ビールをがっつり食べようとする夢を見ます。夢の中とは露知らずな宗達さんは大喜びで「待ってましたぁ(・∀・)!」と言って菜の花ピザにかぶりつこうとするのですが、運悪く得意先回りをしていたらしき課長に見つかって「君は営業中に何してるんだっ(゜Д゜#)!」と激怒され、問答無用で首ねっこを引きずられて強制退場されたまま夢は終了してしまってました;。会社員として当然の展開とはいえ、夢の中という他愛ない世界で思う存分ピザを食べられなかった宗達さんが少々気の毒です(^^;)。どういう訳か、ここぞという時に目が覚める現象って夢にはありがちな気がします。
 そのあまりのショックで宗達さんは結構な大声で叫びながら飛び起きるのですが、二度寝しようにも妙に目がさえて眠れなくなってしまいます。その上、深夜二時という微妙な時間、夜中特有の空腹感、そして「何か菜の花の入ったピザだったな…くそー、もうちょっとのところで課長のヤツ~」という理不尽な怒りとが複雑に入り混じった状態になった為、宗達さんは真夜中なのに「何とか菜の花ピザっぽいものを食べたい!」というべき強烈な食欲に突き動かされてコンビニへ向かいます。作中での説明によると、最近のコンビニは旬に合わせて季節感に満ちた食品を扱う所がグンと増えるとの事で、実際宗達さんは近所のコンビニで菜の花のおひたしを見つけて「最近はコンビニもこーゆーのを置くようになってきて偉いね」とホクホク顔になっていました。いつもお酒コーナー、おやつコーナー、おにぎりコーナー、雑誌コーナーの四箇所ぐらいしか回らない私にとって初耳情報でしたので、食べ物の事となると尋常ではない情報量を持つ宗達さんに思わず感心です。
 当初、実は宗達さんは冷凍ピザに菜の花を乗っけるのではなく(宗達さん曰く「あれはイマイチなんだよな」との事)、トーストの上に菜の花とピザ用チーズを乗せることによってピザを作ろうとしていたのですが、あれこれと選んでいる内に「いや、待てよ…確か冷蔵庫の中に…あれを使っていけるかもしれないぞ…」と急にアイディアを思いつき、急遽そっちの案を採用する事にします。その際、家に帰るやいなや宗達さんがドキドキしながら作り上げたのが、この“宗達流菜の花ピザ”です!
コンビニで菜の花を購入する宗達さん
 作り方はものすごくお手軽で、ワンタンの皮の上へ粒マスタード、茹でた菜の花、ピザ用チーズを乗せてトースターでチーズが溶けるまで焼いたらもう出来上がりです。宗達さんが言うには「ちょっとこれは特許申請モンだぞ」と自画自讃したくなるほど美味だそうで、春の夜にあれこれアレンジしつつつまんだら時間が経つのを忘れてしまうとニコニコしていました。何でも、作者のラズウェル細木先生が「春の日に突然閃いた」偶然の産物との事で、食パンではお酒のつまみにならないがワンタンの皮ならどうだ、という好奇心がきっかけで誕生したと後書きに載っていました。
 ちなみにその後、宗達さんは「コーンマヨネーズ、ふきのとう味噌、つくしの佃煮を乗せてみたらどうだ」「酒も色々試してみよう」とすっかり火がついてしまい、結局翌日も仕事だというのに暢気に明け方までえんえんと徹夜して“宗達流菜の花ピザ”をつまみ続けていました;。うーん、その飽きなく探究心に脱帽です。それにしても、25歳の私でも徹夜をする体力はもはや失われているというのに、29歳の宗達さんは食欲の助けがあるとはいえ「春はあけぼのかぁ…(´∀`)」とワイングラス片手に余裕たっぷりに過ごせるなんてすごいな~とびっくりさせられたお話でした;。
ワンタンの皮でピザの台代わりに。
菜の花やせりなど、春ならではの癖の強い野草が大好きなので、これは是非とも食べてみたいと前々から考えていました。せっかく新鮮な菜の花が手に入ったことですし、早速再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、菜の花の下準備。たっぷりの沸騰したお湯(色鮮やかに仕上げたい場合は、少量の塩も入れて溶かしておきます)に菜の花を茎からゆっくり時間差をつけつつ入れ、一~二分かけて茹でます。やがて中に火が通ったら素早く取り出して冷水で冷やし、しっかり水気を絞ってキッチンペーパーで水滴を拭き取ったら大雑把に刻みます。
 ※菜の花はあっという間に茹で上がってふにゃふにゃになりやすいので、茹ですぎないよう注意深く観察した方がいいです。
宗達流菜の花ピザ1
宗達流菜の花ピザ2
 次に、アルミホイルの上にワンタンの皮を間隔をあけつつ敷き、その上に粒マスタードを塗ります。その際、もうちょっと濃い目の味がお好みの方はマヨネーズやケチャップを併用する事をおすすめします(ただ、個人的に菜の花を純粋に味わえる粒マスタードのみのバージョンも一個だけは試してみて頂きたいです;)。
宗達流菜の花ピザ3
宗達流菜の花ピザ4
 そこへさらに刻んだ菜の花→ピザ用チーズ(又はとろけるチーズ)の順に材料を乗せます。
 ※その際、菜の花はきっちりギュッと水分を絞りきったものを使用しないと、焼いている内にワンタンの皮がすぐ湿ってぐちゃっと水っぽい出来になりやすくなりますので、要注意です。
宗達流菜の花ピザ5
宗達流菜の花ピザ6
 このワンタンの皮が乗ったアルミホイルをトースターの中へ崩さぬようそっと入れ、約五分前後かけて焼きます(トースターの性能差によって時間は変わってきますので、最初は目の前で見守りつつ火を通す事を推奨いたします)。但し、このピザの場合チーズの焦げ目をつけようとして焼くと極端にワンタンのふちが真っ黒に焦げやすくなる為、そこそこの内に引き上げた方がいいかもしれません。
宗達流菜の花ピザ7
 ワンタンの皮のふちがカリッとした感じになってチーズが段々とろけてきたらさっと取り出し、そのままお皿へ飾ってビールと一緒に机へ運べば“宗達流菜の花ピザ”の完成です!
宗達流菜の花ピザ8
 菜の花の目に眩しい濃い緑色が美しく、ワンタンの白い皮といい対比になっています。粒マスタードの黄色い色合いと刺激的な香りが食欲をそそりますし、たった十五分くらいの調理時間でこの完成度はなかなかのものだと思いました。一目見た感想は「春らしい贅沢を味わえるオードブル風ピザ」って感じで、どんな味がするのかとってもワクワクします!
宗達流菜の花ピザ9
 それでは、チーズがトロトロの熱い内にいざ実食!いただきま~すっ!
宗達流菜の花ピザ10

 さて、味の感想ですが…確かにすごく美味!これなら、特許申請モンだと得意気になるのも頷けます!
思わずため息をつきたくなる旨さの菜の花ピザ
 驚くべき事に、焼く前はあんなにフニャフニャしていたワンタンの皮がちゃんと台らしくなっており、「パリパリ」「サクサク」「カリカリ」など様々な歯触りを楽しめます。まるでクリスピーピザをうんと薄くしたみたいな儚い食感で、薄氷を踏み割るようなパリンッとした感じに非常に近い軽い口当たりが特徴的でした。瞬く間にあっけなく細かく砕けていくので具との一体感が強く、かなり食べやすかったです(端っこの少し焦げた部分の香ばしさと、真ん中の具の水分を吸ってしとっとなった舌触りがまた良し!)。この淡泊な味わいの台に、菜の花の春らしいほろ苦さやザクザクした歯応え、マスタードの程よくツンと効いた辛味、チーズの濃厚なコクが見事にマッチしており、相当に絶品でした。特にマスタードがこの料理のポイントで、程よい辛さで全体にいいアクセントを与えると共に、菜の花のほんわか爽やかな風味を向上させるのに一役かっています。例えるなら「菜の花の洋風辛子和えミニピザ」ってイメージの味で、見た目よりもずっとあっさりしているのでおつまみだけでなく、夜食としても向いているように感じました。
 チーズのまったりした塩気や濃い旨味が、菜の花のほのかに苦甘い後味をトロトロ~と丸ごと包み込んで癖を旨さに変換している為、菜の花が苦手な方でも気軽に食べられるまろやかなおいしさに仕上がっています。とにかくビールやチューハイにぴったりで、意外な所では赤ワインも悪くない相性でした。マスタードをぬった上にケチャップやマヨネーズを乗せたり(ケチャップならよりピザらしくなり、マヨネーズはよりこってり味になります)、ふきのとう味噌やコーンを乗せても色んなバリエーションが楽しめてよかったです。

 簡単かつ安価に作れる割には「ピザっぽい物を食べた」というささやかな幸せが体感できますし、何より小腹がすいた時にすぐパクッと食べられる気楽さが嬉しい即席料理です。ただ、後日ほうれん草や小松菜などの他の青菜類で試してみた所、今ひとつぼやけた印象の味になってしまいましたので(決して不味くは無いんですが、物足りなくて量が進まない印象)、これは個性が強い菜の花限定のピザといえそうです。


○P.S.…3月15日にアップいたしました記事・『前回記事のお詫び、そしてその他の補足』に、畏れ多くもコメントをして頂きましたポン太郎さん、モカさん、あっこさん、おっさんXさん、yukiyoさん、arinko-sさん、komaさん、よっちんさん、Ritukoさん、茨城人さん、かしさん、まつもとさん、さくやんさん、あおまるねこさん、板平さん、zemuさん、ぷっりさん、みっしぇるさん、ゆるるさん、無記名さん、ゑさん、無記名さん、ギンさん、なつさん、名無しさん、誠にありがとうございます。「今後この記事にてコメント返信する事は控えます」という宣言後も数多くの温かかつ勉強になるコメント、大変ありがたく拝見させていただきました。このまま何もお礼を申し上げない事は私の気がすみませんでしたので、僭越ながらこの場にて御礼の言葉を申し上げさせていただきます。また、名無しさんの親切でご配慮に満ちたご指摘を受け、前々記事の一部を変更させていただきました。この場にてご報告させていただきます。
 今後のコメント返信の予定ですが、本来ならお一人お一人にご返信したいのですが、公私共に少々忙しくなる事が判明いたしましたので、当分は一言コメントにてご返信させていただきたいと考えております。誠に申し訳ございませんが、何卒ご了承して頂けますと幸いです。

●出典)『酒のほそ道』 ラズウェル細木/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『クッキングパパ』の“荒岩流レバーのパテ”を再現!

 小学生の時、あちこちで男子が「泣~かせた、泣ーかせた♪せ~んせいに、言ってやろー♪」と実に楽しそうにはやし立てる声をよく聞いていました(現代ではさすがに消滅してそうですが…)。幼い頃はあまり疑問に思わず「また言ってる」としかめっ面になっていたものですが、今考えてみれば、ネットもない時代だというのに全国区でこのはやし文句が広まっていたのは何故なのだろうとすごく不思議に思いました。もしかしたら、意地悪な男の子に県境はないのかもしれません。
 どうも、学生時代の憩いの場所はいくつになっても図書館だった暗い管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任がレバー嫌いな虹子さんに効率よく栄養をつけてもらおうと徹夜で作った“荒岩流レバーのパテ”です!
荒岩流レバーのパテ図
 虹子さんがみゆきちゃんを妊娠していた時、荒岩主任は体によくて万能栄養食である食品・レバーを何とかして虹子さんに少しでも食べてもらおうとします。けれども、虹子さんは昔っから大のレバー嫌いだった為、心底申し訳なさそうな顔をしつつも「ごめん、あなた。やっぱりダメみたい(´・ω・`)」「あたしさ、あなたの料理なら何でもおいしいーってパ~クパク食べちゃうんだけど、このレバーだけはダメ;」と遠慮がちに断ります。虹子さんが言うには「匂いというか、臭み」がレバーを嫌いな一番の理由らしく、これにはレバー好きの私も苦手な理由がわかる気がしました。血抜きが十分じゃないレバーの臭気は、好きな人間でも怖気ついてしまうくらい結構強烈ですよね;。
 実を言いますと荒岩主任は普段嫌いな物は食べなくてもいいというタイプで、事実この時も「いいさ、無理して食べることないよ」「代わりにお前の好きなほうれん草、しじみなんか鉄をたっぷり含んだ物を食べればいいさ」と優しく虹子さんに言って夕食を始めているのですが、内心赤ちゃんがおなかにいる状態の虹子さんには少しでも栄養をつけて欲しい、貧血気味なのをレバーで改善して欲しいと残念そうに感じている描写がありました。正直、個人的には荒岩主任個人としての主張・「嫌いな物を無理に食べなくてもいい」を支持したいところですが、それとは相反する父親としての部分の主張・「お腹の赤ちゃんの為にも、体にいい食べ物は積極的に食べて欲しい」という意見も、分からないでもないな~と読んでて感じました。
レバーだけはどうしてもダメな妊娠中の虹子さん
 ある日、どうにかして虹子さんに効率よく栄養を摂取して欲しいと悩んだ荒岩主任は、博多にあるレバー料理がおいしいお店を数店巡って味の研究をします。しかし、旨さではピカ一であるきんしゃい屋のレバー炒め定食や餃子屋さんのレバー卵とじを食べても今ひとつピンとこず、「確かにうまいが、うちのやつがおいしく食べるかと言ったら…」と少々途方に暮れます。思うに、レバーは個性が強い食材なので癖を活かしておいしく作る事は用意であっても、癖を消しつつ美味に仕上げる方法は相当に限られる食材なのではと感じました(レバー串、レバニラ炒め、レバーの甘辛煮など、代表的なレバー料理はみんな癖をうまく利用しているように思います)。
 しかし、そんなこんなで夜になった後に偶然田中君と夢子さんに会った荒岩主任は、田中君に誘われて案内された一味違うカクテルが売りのお洒落なバー・<ケルン>で衝撃的なレバー料理に出会います。それは、軽いおつまみとして偶然提供されたマスター自慢の一品であるお手製のレバーのパテ。レバーのようでレバーではない不思議な味わいに絶句した荒岩主任は、田中君が驚くのも構わず「マスター、このレバーのパテは?!」と血相を変えて立ち上がります。すると、マスターは慌てず騒がず坦々とした笑顔で「はい、うちでは軽く醤油で下味をつけてたっぷりバターを使います(^^)」とあっさりオリジナル商品であるレバーのパテの秘密を教えちゃっていました;。さすが何十年も多種多様なお客さんの接客をし続けたベテラン、いきなり大きい声を上げて興奮する大柄男性を見ただけではビクもしません;。はっきり言って、このマスターは只者ではないと思います(^^;)。
 味の秘密を知った荒岩主任は聞き終わるや否や、爽やかな笑顔で「サンキュー、マスターッ!悪いが先に失礼するぜ!」というまるで映画のワンシーンみたいなかっこいいセリフを口走り、唖然としている田中君を尻目に家へ帰っていきました(正直、取り残された田中君達は一体どんな雰囲気になったのか非常に気になります;)。
ケルン謹製レバーのパテを食べ、血相を変えて店を出る荒岩主任;
 そして、家に帰り着いた荒岩主任がぐっすり眠っている虹子さんとまこと君を確認した後、ほぼ夜を徹してありとあらゆる手を尽くして研究しながら虹子さんの為に作り上げたのが、この“荒岩流レバーのパテ”です!作り方はなかなか手が込んでおり、下ゆでして血抜きしたレバーを醤油・香味野菜・砂糖などで作った特製スープでじっくり煮込んで味付けし、バターやブランデーと一緒にミキサーにかけて型に入れて冷やし固めたら出来上がりです。荒岩主任が言うには「レタス、チコリなど歯ごたえのいい野菜やトーストの上に乗せて食べると実にうまいぞ!」「アスパラやミックスベジタブルを入れて断面をカラフルにしてもいい」との事で、一体どんな味がするのか見ていてかなり興味を持ちました。
 翌朝、まこと君と共に起床した虹子さんは早速荒岩主任渾身のレバーのパテをフランスパンにたっぷりぬって食べ、「おいし~い!これがレバー?まるでクリームみたいよ!これなら食べられるわ」と満面の笑みで大喜びするのでした。こんなに愛情がこもった朝食を食べられる虹子さんは、もしかしたら日本一恵まれた妊婦さんなんじゃないかな~とちょっと微笑ましく思いながら読了出来る一話です(´∀`*)。
夜を徹して虹子さんの為にパテを研究する荒岩主任
 お恥ずかしい事に、私は今までパテを一度も食べたことがない白米至上主義の完全田舎者だった為、これは一体どういう味がするのか久々に好奇心が騒ぎました。幸い近所のスーパーでは健康的に育てられた地鶏と銘打たれている地鶏のレバーが売られていましたので、これを使って早速再現してみようと思います!
 ※現代で明らかになっている注意点→実は、レバーは妊娠中に食べ過ぎてしまうとかえって体に悪影響を与えてしまいます。その原因は、赤ちゃんが大量にとってしまうといけない栄養素・ビタミンAが大量に含まれているため(同じ理由で、うなぎなどもたくさん食べ過ぎるとNGです)。但し、毎日基準値を超えるビタミンAをとらず、時々限られた量を食べるだけなら問題ありません。これ以上は、ネットで「レバー 妊娠中」で調べてみると詳しい情報が出てきます。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、レバーの下準備。お鍋にたっぷりの水、少量の酢、あらかじめ流水にさらしてある程度血抜きを済ませた鶏レバーを入れて中火にかけ、少しずつ火を通します。中に熱が通りきったらすぐザルにあけ、しっかり水気をきります(この時のお湯がレバーの表面に残っていると臭みの元になるので、きっちりきった方がいいです)。これで、レバーの下準備はOKです。
荒岩流レバーのパテ1
荒岩流レバーのパテ2
 次に、別のお鍋で沸騰させたお湯の中へ皮ごと薄切りにしたしょうが、スライスした玉ねぎ、醤油、砂糖、ローリエを加えてざっと混ぜて特製スープを作り、そこに下処理済みのレバーを投入して三十分~一時間程度かけてゆっくり煮詰めます(その際、スープはたぷたぷではなくレバーに対してヒタヒタになる量で結構です)。
 ※これは作中にはないやり方なので恐縮ですが、三十分煮る→一旦火を消して一晩置く→翌日二十分くらいまた煮るという手順の方がレバーにより味が染みこみやすくなります。和風味がお好きな方におすすめです。
荒岩流レバーのパテ3
荒岩流レバーのパテ4
 レバーと玉ねぎにスープの味を煮含められたら火を消してすぐに引き上げ(しょうがとローリエだけはこの時どけておきます)、熱々の内に大量のバター、程よい量のブランデーと共にミキサーかフードプロセッサーの中へ放り込み、細かく滑らかになるまでボタンを押して一気に混ぜ合わせます。ちなみに、その際残ったスープは十分おいしいので再度調味しなおして牛丼のつゆにしてもコクのある味わいでナイスですし、鶏肉と根菜の煮物のベースに使っても少々洋風な煮物に仕上がって美味です。
荒岩流レバーのパテ5
荒岩流レバーのパテ6
 やがてドロドロのペースト状になったら好きな型に流し込み、ラップをして冷蔵庫で何時間かかけて冷やし固めます(「少しゆるいかな~?」という粘度でも後々十分固まりますので、余程でない限り心配しなくて大丈夫です^^)。
荒岩流レバーのパテ7
荒岩流レバーのパテ8
 その間、牛乳をキンキンに冷やしたり、洗ったレタスとトマトを食べやすい大きさにちぎるか切るかしたり、フランスパンを斜め切りにして軽~くトーストしておきます。
 ※下の画像は、近所のスーパーで買ったレタス。親切な事に、何とレタスの根っこ部分のすぐ赤くなるところにぬらした紙が丁寧にはりつけられていました。今まで買ったレタスは無造作にセロハンで包まれているかそのままむき出しになっているかのレタスだった為、ちょっと感心して画像に残しちゃいました;。
荒岩流レバーのパテ9
 パテが固まりきったら型からゆっくり取り外し(型の底をぬるま湯につけるとかなり取れやすくなります)、お好みの厚さに切ってレタスやトマトと一緒にお皿へ盛り付けて傍らにフランスパンと牛乳を添えれば、“荒岩流レバーのパテ”の完成です!
荒岩流レバーのパテ10
 レバーのパテは一見するとレバーとは分からない感じで、色もパッと見では「魚肉ソーセージをもっと色濃くしたもの」ってイメージです;。ただ、香りはブランデーやローリエの効用でとてもいい香りで、臭みは微塵も無いのが嬉しいです。あと、レタスの緑、トマトの赤、パテの茶色、牛乳の白が目に眩しく、見た目からして既に食欲を刺激させるって感じになっています(『クッキングパパ』の単行本通りに用意してよかったです^^)。
荒岩流レバーのパテ11
 それでは、作中の虹子さんみたいにほんのり焼き上げたフランスパンへこってりパテをぬりつけていざ実食!いただきまーす!
荒岩流レバーのパテ12

さて、味はと言いますと…レバーにありがちな臭みが全くなく、それどころか品のいいおいしさですごくウマー(゜Д゜)!これなら、荒岩主任が色めきたったのも納得です!
まるでクリームチーズみたいに滑らかなレバーパテ
 作中で虹子さんが言っていた通り本当にクリームみたいな口溶けで(もっと言うなら、クリームとムースを足して二で割った舌触り)、舌の上でレバーの重厚な味わいがいとも簡単にサラッと滑らかかつクリーミーに溶けていく為不思議な気持ちになります。このレバーの奥深い旨味に、バターの香り高くて強いコク、ローリエやしょうがの爽やかな風味、玉ねぎの優しい甘み、醤油の程よい塩気、ブランデーのふくいくとした香りが絶妙に組み合わさり、ちょっとないくらい美味でした。あと、意外にも試しに入れてみた心臓部分がいいアクセントになっており、細かくみじん切り状態になっても時折クニクニッと弾力ある歯触りがいい刺激として単調さを防いでいたのがよかったです。フランスパンのカリカリザクッとしたちょっと硬めな歯触りや、何とも言えない香ばしさと一緒に食べるとよりくっきりと旨さが分かりやすくなる為、内心「さすが二つともフランス発祥の食べ物、相性ばっちり!」と感心しました。
 トマトの甘酸っぱい果汁とレタスのバリバリシャキッと瑞々しい食感がいい箸休めになっており、これらの新鮮な野菜や冷たい牛乳で口が新しくなった所にパテを塗ったフランスパンをかぶりつくと「完璧な朝食」って感じがします。ハーブ系のすっきりした匂いが染み込んでいる為、レバー嫌いな母から「臭くないしおいしい。レバーって教えられなかったらもっと食べられるよ」と言われました(やはり、一回レバーだと知ると如何にウマーでもそこまで量は入らないそうです;)。「洋」と「和」の要素が見事に融合した味わいで、面白い事にチーズと酷似した濃い後味が口に残るのが印象的でした。「レバー風味のフレッシュチーズ」な感覚でバクバクいけます。
荒岩流レバーのパテ13

 普段食べているレバー料理とは一線を画するおいしさで、確かにこれは立派にお店のメニューとして通用する料理だと感じました。あまりにもおいしかったので、カロリーを省みずに三切れも食べてしまったくらいです(フランスパンは、約三分の二本orz)。レバー好きにはもちろん、レバーが苦手な方にも話の種に食べて頂きたくなるようなユニークなパテでした。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
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Author:あんこ
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 …『クッキングパパ』
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