『こまったさんのスパゲティ』の“スパゲティ・コン・トンノ”を再現!

 アフタヌーンで連載中の漫画『臨死!江古田ちゃん』に、今更ながらはまっています。私はどちらかと言うと友人Mタイプに属しますが、江古田ちゃんのような友達がいたら毎日長電話をしてしまいそうです。ただ、給料日前に無性に買い揃えたくなって思わず買った為、二十五歳のいい歳をした大人だというのに四日近く財布には約三百円しか入れていない状態で過ごすという非常にリスキーな日々を過ごしていました(貯金はない訳ではないのですが、四日くらいなら何とか持つ!と信じて取った行動でした)。馬鹿ですね!
 どうも、梅干しや鮭フレークなどといったありあわせの具だけを握って作る自作のおにぎり弁当は給料日前に欠かせない友な管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『こまったさんのスパゲティ』にてこまったさんが不思議な世界へ迷い込んだ折に動物達から教わりながら作った“スパゲティ・コン・トンノ”です!
スパゲティ・コン・トンノ図
 『こまったさんのスパゲティ』の再現は、結構前に作った“スパゲティ・ミートソース”以来ですので約一年以上ぶりとなります。ただ、記事にはしないものの休日に暇を見て作中のレシピを全て再現しており、もう大分前の本だというのに実用性の高いレシピに驚きつつ「おいしい!」と舌鼓を打っていました(とは言っても、ミートソースの他にはボンゴレとトンノだけだったので実質三種類だけの再現なのですが;)。最近は、もはや本家を超えたんじゃないだろうか…と感動してしまうくらい多種多様でお洒落なオリジナル・スパゲティソースがあちこちで発明されており、まさに百花繚乱の様相を呈しているのですが、それでもやはり時々『こまったさんのスパゲティ』に出てくる基本中の基本なパスタ料理を食べると、「ああ、これこれ」と慣れ親しんだ味にほっと癒されます。
 中でも、ミートソース以上にはまってしまった一品が、この“スパゲティ・コン・トンノ”。名前だけ見るとそこそこ凝ってそうな料理に思えますが、要は単純な「トマトとツナのスパゲティ」で、生トマト・マグロ缶・にんにく・玉ねぎをソース煮込んで塩とこしょうのみで味付けするという簡単極まりないレシピが魅力的なスパゲティです。そう言えばよくよく考えてみると、大抵のスパゲティは海外での呼び名が主流となったというのに、この“スパゲティ・コン・トンノ”だけはどういうわけか「トマトとツナのパスタ」という極めて日本的な呼ばれ方が未だに主流な気がします。やはり、「トンノ」だけではトマトのイメージがわきにくい上に「とんま!」というけなし文句に似ているからなのでしょうか…。
 実はこのレシピは元々こまったさんが知っていたものではなく、何と不思議な世界に登場した言葉を話せる象(?!)から直々に教わった物。お約束通り、ひょんな事がきっかけでアフリカの大草原に似た世界へ迷い込んだこまったさんは、大きく育ったバオバブの大樹の幹にあった穴の中で開かれていたレストランから聞こえてきた音楽につられてフラフラと迷い込み、そこにいた大勢の話せる動物のお客さん達から何故かコックさん扱いされて「スパゲティ、まだかぁ」「ボンゴレ、ボンゴレ、コン ボンゴレ」「トンノ、トンノ、コン トンノ」と催促されてしまい、成り行きでパスタ料理を用意しなければならない事態になってしまいます。ただ、幸いにもレストランの席に座っていた象がこまったさんと共にキッチンへ来てくれ、一つ一つ丁寧に手順を教えながら作り方を教えてくれた為何とかスパゲティを作り上げられていました(けれども、心の狭い私は作中のこまったさん同様「知っているなら、どうして自分で作らな(以下略」という突込みが喉元まで突っかかってしっます;)。
 ちなみに、この大草原にはどういう訳か相当な至近距離にライオン、チーター、豹、シマウマ、キリン、カバ、象、インパラといった動物達がこまったさんの周囲に勢ぞろいしており、おかげでこまったさんは「こまったわ、ライオンや象がきたらどうしよう」と慌てて逃げ出してこのレストランへ入るハメに陥ってしまったのでした;。それにしても、シリーズ第一作目早々にこんな異常な状態に遭遇したというのに「こまったわ」で済ませられるこまったさんは、ある意味肝の据わった大物何じゃないかな~と思います(^^;)。
何と、喋る象から教わったレシピです;
 実を言いますと、この料理は動物達の謎の失踪によって結局食べてもらえなかったというズッコケそうなオチだったのですが、以前実際に作ってみると残されたことが惜しくなるようなおいしさでしたので、早速当ブログにてご紹介する為に再現してみようと思います(単純なレシピなので、とっくにご存知だった場合は申し訳ございません;)。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、トマトの準備。完熟した生トマトのヘタを取って水洗いした後、大雑把にぶつ切りにします。作中のレシピではそのまま種と皮ごと加えているので、特に気になさらない方はこれで下処理は完了ですが、種と皮が気になってしまう当管理人のような方は鍋で一旦とろとろになるまで弱火~中火でコトコト煮詰め、ミキサーで粉々になるまで細かくするか漉し器で漉すかしてペースト状にします。
 ※皮と種には旨みの素であるトマトの出汁が大量に含まれて居ますので、出来れば取らずに煮込んだ方がより深いソースになると思います(ただ、イタリア産はどうしても皮が厚く種が大きめなので、一旦とった方がいいのだとか。その分、取ったとしても旨み成分は日本産のゆうに三倍はあるそうです)。
スパゲティ・コン・トンノ2
スパゲティ・コン・トンノ3
スパゲティ・コン・トンノ4
 次は、ソース作り。オリーブ油を入れて弱火に熱したフライパンで、芯を取ってスライスしたにんにくを加えて香りが出るまで火を通し、香ばしくなってきたら薄切りにした玉ねぎを入れて炒めます。飴色とまではいかなくても、キツネ色になるまでじっくり炒めた方がお勧めです。
スパゲティ・コン・トンノ1
スパゲティ・コン・トンノ5
 やがて玉ねぎがしんなりしてきたら、先ほど用意しておいたトマトペーストを投入し、中火で煮込みます。焦がしてしまわないように、絶えず木ベラで混ぜ合わせながら火を通します。ちなみに、この段階ではまだ何の味付けもしなくてOKです。
スパゲティ・コン・トンノ6
スパゲティ・コン・トンノ7
 水っぽさがなくなってきたらお好みの銘柄のマグロ缶を加えて、とろみが出てくるまでグツグツ煮詰めます(ノンオイルタイプのさらっとした缶汁でしたら一緒に適度な分だけ入れても大丈夫ですが、オイルタイプは入れるとギトギトしてしまうので、使うとしてもちょっぴりに留めた方がベストです)。途中、塩と胡椒を自分にぴったりな分量だけ振りいれて味付けしておきます。
スパゲティ・コン・トンノ8
スパゲティ・コン・トンノ9
 ソースを煮込んでいる間、スパゲティを塩入りの熱湯で茹でてからザルにあけ、オリーブ油を少量なじませておきます。本格的にディチェコやバリラを使用するとグレードが上がってとてもおいしいですが、今回のような庶民的なパスタソースは特売されているような激安スパゲティを使っても十分美味しくなります(^^)。
スパゲティ・コン・トンノ10
 ソースの塩加減を微調整してとろみ加減もちょうどいいのを確認したら火を止め、お皿に盛った茹で立てのスパゲティの上へやや多めにかけ、熱々の内にすぐ粉チーズとパセリをパラッと散らせば“スパゲティ・コン・トンノ”の完成です!
スパゲティ・コン・トンノ11
 クリーム系の材料は一切使っていなのに何故かトマトクリームソースのような色合いになった為ちょっとどぎまぎしました;。香りの方はトマトのきゅっとくるような甘いようで酸味を感じるような香りで、そこに粉チーズのふくよかな匂いが合わさるとおなかが猛烈にすいてきます。イタリアンというよりは、昔ながらの洋食っぽいスパゲティだな~と見ていて感じました。
スパゲティ・コン・トンノ12
 それでは、麺が伸びてしまわない内にフォークでくるくる巻いていざ実食!いただきます!
スパゲティ・コン・トンノ13

 さて、味はと言いますと…生トマト本来のさっぱりした清々しい甘味がジワ~ッと舌に響いて美味し!思っていたよりも、ずっと複雑な味わいです!
 面白い事に、全く生クリームを使用していないはずなのにかなりクリーミーかつもったりトロトロした舌触りのソースで、スパゲティにしっかり絡みやすいのがよかったです。ツナ缶からそのまま加えたり缶汁はマグロの出汁が十分に効いて程よいコクを付け足しており、トマト味のスパゲティへいい具合になじんでいました(マグロ缶だとより肉っぽい感じ、カツオ缶だとより魚っぽく少し癖のある感じになります)。缶詰トマト程濃厚な甘酸っぱさや深みは感じられませんでしたが、潰したての生トマトだけが持つ爽やかな酸味と瑞々しい甘味がちょうどいいバランスで両立しており、非常にフレッシュな後味が特徴的でした。
 玉ねぎのシャキシャキ感、にんにくの力強い味わい、粉チーズの濃いコク、パセリの香りがソースの足りない部分を行き過ぎず足り過ぎず補っており、毎日食べても飽きがこないような安定したおいしさに仕上がっています。ミートソースやトマトクリームよりもあっさり、ナポリタンや普通のトマトソースよりもこってりした味で、「トマト系のスパゲティが食べたいけど、物足りないのもがっつりしたのも何か違うな…」という中途半端なトマト気分になった時にはまさにうってつけな一品だと感じました。

 このレシピはイタリア産のパスタ料理向きなトマトで作ってももちろん美味だと思いますが、日本産の完熟トマトで仕上げると澄んだ爽やかさが出るので、トマトの旨さは甘味だけが基準ではないという事が実感できて違った感動が味わえると思います。お子さんからご年配の方まで、幅広く受け入れられそうな普段使いの料理ですので、おすすめです。

●出典)『こまったさんのスパゲティ』 原作:寺村輝夫 作画:岡本颯子/あかね書房
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『美味しんぼ』の“芳宝軒の肉野菜炒め”を再現!

 「伯方の塩」の原産地が、実は外国だという事を知り何だか騙されたような気分になっています。わらび粉の大半が、実は原材料にわらびが使われていない事の方が多いという情報並にショックです。しかし、カニカマのように最初からきっぱり「偽物です!安くてそれなりにおいしくが信条です!」と清々しくオープンに開き直られていると、全く腹立ちは感じず逆にそういうのだと納得してしまうので不思議です。
 どうも、知人から薦められて作ったカニカマ+塩+黒こしょう+マヨネーズ+アボカドのサンドイッチが予想以上においしかったのに驚いた管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にて山岡さん達が取材中に出会った女優・珠理さんが大好物だと語った思い出の料理“芳宝軒の肉野菜炒め”です!
芳宝軒の肉野菜炒め図
 山岡さんと栗田さんが結婚してから少し時間がたった頃、東西新聞社の新しい試みで「各界で活躍している方達の食べ物に対しての考えを聞きだそう」という趣旨の企画が立ち上がり、色んな人達に取材をする事になります。その中で、お二人が担当する事になったのは当時人気絶頂だった話題の若手女優・水村珠理さん。日本人の母と外国人の父との間に生まれたハーフである上かなり美人な女性で、そのくせ親しみの持てる気さくな性格の珠理さんにお二人はすっかり気を許し、三人は和気藹々と盛り上がりながら話に没頭します。どれだけ話に花が咲いたかと言うと、途中調子に乗った山岡さんが「炒め物ってのはコツがあるんですよ。彼女(栗田さん)も結婚したてはひどくてね、今は大分うまくなったけど」「俺、うぶだったもんだから引っ掛けられちゃって!」とうっかり口を滑らしたのに対し、内心カチンときた栗田さんが「はいはい、先生の教え方が上手だったからです」「ええ、ええ、私は百戦錬磨のあばずれでしたからね。お行儀よくしてないと、今夜のご飯は抜きにするわよ(・∀・#)」という背筋がヒヤリとするような脅し文句をつい返してしまったくらい;。あまりにもあけすけな言葉の応酬なので、初対面の方が見たら戸惑いそうなものですが(ただ、『美味しんぼ』読者にとってはもう日常茶飯事な光景ですので、むしろ「やれやれ、またじゃれあいが始まった(´∀`)ナカガイイナ」くらいの心境にしかなりませんが;)、珠理さんは天然なのかノホホンと「いいご夫婦ですね、とても楽しそう」とにこやかに言ってくれてました。それにしても、初期では勤務中にグータラ勝手気ままにお出かけしたりする山岡さんを止められずに振り回されてばかりだった栗田さんが、ここまで鮮やかに夫の手綱捌きに長けるようになるとは…人は変わるものだな~としみじみしました(そして、かつて<餓えた狼>と呼ばれていた山岡さんも随分人間が丸くなったものです^^;)。
 そんな賑やかな取材の最中、珠理さんは食についての思い出話を始めます。何でも、まだ芸能界デビューする前に住んでいた下宿先近くにあった小さな中華料理屋さん・<芳宝軒>のお料理がとっても美味しかったとの事で、中でもよく食べていた肉野菜炒めは未だに忘れる事が出来ないと珠理さんは語っていました。けれどもその話を聞いた珠理さんの母・克子さんは「でたらめな事をいうんじゃないよ!この子には高級な物しか口に合わないの」「肉野菜炒めなんて、そんな貧乏ったらしいもの冗談じゃないわよ!あんたたち、そんな事書いたら東西新聞は今後一切取材お断りよ!」と激しい剣幕で起こり、山岡さん達を追い出します。
五十巻を過ぎた頃から、急速に強くなっていった栗田さん;
 けれどもその数日後、珠理さんはいきなり休業宣言をして皆の前から姿をくらまし、公衆電話から山岡さん達と連絡を取ってアパートにかくまってもらう事になります。珠理さんが言うには元々女優業は自分から好き好んでやっていた職業ではなく、珠理さんを身ごもっている時に自分達母子を捨てた外国人の父や、珠理さんが変わった顔立ちをしている事や片親なのを理由に自分達を阻害してきた世間を見返したいと復讐に燃えた母・克子さんが猛烈に珠理さんをあちこちへ売り込んだ結果現在の地位が築かれてきたとのことで、それでも母に引きずられるまま今日まできてしまったものの、先日一方的に大企業の跡取り息子と無理やり婚約させられた事がきっかけで「このままでは、死ぬまで自由に生きられない」と戦慄してとうとう失踪の道を選んだとのことでした。まるで一昔前のドラマや1980年代の少女マンガに出てきそうなドラマチックなお話ではありますが、実際に実行されたらそりゃーたまったもんじゃなかっただろうなと、読んでいて珠理さんに同情しました;。
 実は、珠理さんは取材の際に話していた小さな中華料理屋さん・<芳宝軒>の息子さんと中校時代に初々しい恋心を抱きあった仲だったとの事で、強引な克子さんの手によって引越しを強要されて手紙一つ出せないまま十年以上たってしまったものの、もう一度会ってみたい一心で家を飛び出した模様。ただ、一人で会うのは勇気が出なくて怖いと悩んでいた為、いてもたってもいられなくなった栗田さんは「会って駄目なら駄目で考えればいいことよ。勇気を出して!私達ついていってあげるから」と明るく励まし、山岡さんを含めた三人で当時の場所へ行って会いに行く事にします。うーん、このお話を見ると、結婚前の恋に悩むしおらしかった頃の栗田さんの姿は影も形もないので、やはり女性は結婚すると俄然強くなる物なのかな~と妙に納得してしまいました;。
 すると、以前の場所のお店は空き家になっていたものの、実は珠理さんの初恋の人・健児さんが頑張ってお店を成功させた事によってもっといい場所へ移転していただけで、数時間後無事に珠理さんと健児さんは再会します。すると、会う前の不安はどこへやらといった感じですぐにいい雰囲気が漂い、二人は熱く見つめあいます。そして、山岡さんの「珠理さんは<芳宝軒>の肉野菜炒めの味が忘れられなくて、何度も自分で作ったそうなんだけどその味が出せないんだそうですよ。そのコツを教えてくれないかな」という言葉で我に返った健児さんがすぐに実演しながら作り方を詳しく教えてくれた料理が、この“芳宝軒の肉野菜炒め”です。
 作り方は相当にお手軽で、豚肉の赤身肉に下味をつけたものを低温の油でさっと揚げ、それを白菜と一緒にいためて合わせ調味料を加えたらざっと炒めて出来上がりです。山岡さん曰く「低温の油で油通しすると肉は柔らかくなるし、表面が固まるから旨みが外に逃げ出さない」そうで、続けて「肉は前もって下味をつけると味が浅くならない」「あらかじめ調味料を合わせておくと入れるときもたもたしなくて済む」との事で、油を大量に使うので家庭では難しいと話していました。確かに、家庭で油をたっぷり使う作業は面倒なのでなるべく避けたいのが人情な気がします;。ただ、味は家庭のごく普通な肉野菜炒めとは全く違う次元の旨さだそうで、作中で珠理さんや山岡さん達は大絶賛していました。
低温の油で揚げて下処理するのがポイント
 その後、女親特有の勘なのか前触れなしにいきなり店内に乱入し、「お前がずっと誰の事を考えていたのか、そんな事とっくの昔にお見通しだよ」とまるでドラマ『TRICK』の某ヒロインのようなセリフを言い放った母・克子さん(本当に絶妙なタイミングで入ってくるので、未だに「実はこっそり探偵を雇っていたんじゃ…(゜Д゜;)ヒイイ」と勘ぐっています;)も、最終的には「あと珠理に望むのは、私が手に入らなかった幸せを得てくれる事さ」と和解してくれた為、美人女優失踪事件は無事解決したのでした。…って、こんな書き方をすると何の漫画なのか分からなくなってしまいますね、すみません;。
女優失踪事件、これにて一件落着!
 中華鍋と業務用コンロがないので厳密な意味での再現ではないと思いますが、家庭で出来る限り手順を守ってもちゃんとおいしく作れるのかどうか気になりましたので、早速作中のレシピ通り再現してみようと思います。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の準備。豚肉の赤身部分(しょうが焼き用肉くらいの薄さのロース肉が一番扱いやすいのでお勧めです。ただ、基本的には豚肉の赤身部分ならどこの部位でもOKです)を一センチ幅に細長く切っておき、白菜は軽く流水で洗った後ザルで水気をよくきってから二センチ幅にザク切りにします。
芳宝軒の肉野菜炒め1
芳宝軒の肉野菜炒め4
 豚肉の方はボウルに入れて醤油、しょうがの絞り汁、油(何の記述もないですが、個人的にはごま油がベターだと思います)を加えたら手で揉みこみ、そこへ片栗粉をまぶしてさらに混ぜ込みます。肉全体に片栗粉が程よく絡まったら、少し放って馴染ませておきます。その際、片栗粉でべちょべちょにならぬよう、入れすぎには要注意!
芳宝軒の肉野菜炒め2
芳宝軒の肉野菜炒め3
 鍋に大量の油を入れて120~140度前後の温度に熱し、先ほどの下味つき豚肉を投入したら一分未満火を通してすぐにザルかツァーレンにあけて余計な油分を切っておきます。この時、油でギトギトになりすぎたな~と後悔した場合は、キッチンペーパーの上に置いて適度な油を落としておくのもいいです。ただ、片栗粉とキッチンペーパーは引っ付きやすいので、くっつかないよう細心の注意を払いながら様子を見たほうがいいです。
芳宝軒の肉野菜炒め5
芳宝軒の肉野菜炒め6
 次は、炒め作業。中華鍋の場合、鍋の中へ一旦油をたっぷり入れて熱し、油が結構な温度になったところで取り出します。こうする事によって材料が焦げにくく、尚且つ鍋肌に肉がくっつきにくくなるそうです(私の場合、マーブルコーティングのフライパンに油を多めに入れて熱するだけに留めました)。油を取り出したら、また油をやや気持ち多めに入れて熱し、油通し済みの豚肉を加えて強火で炒めます。
芳宝軒の肉野菜炒め8
芳宝軒の肉野菜炒め9
 豚肉に九割くらい火が通ったら白菜をドサッと投入し、さらに強火で炒め合わせながらよくあおります。やがて白菜が段々しんなりしてきたら、あらかじめボウルに入れて混ぜせておいた合わせ調味料(作中だと「醤油と酒」とのみ書かれていましたので、少々シンプルですが私も倣ってその通り合わせておきました)を回しかけ、一気に強火で炒めあげます。
芳宝軒の肉野菜炒め10
芳宝軒の肉野菜炒め7
 白菜に熱が通り過ぎてぐったりし過ぎない内にすぐ火からおろし、塩加減の最終確認をしてそのままお皿へ盛りつければ“芳宝軒の肉野菜炒め”の完成です!
芳宝軒の肉野菜炒め11
 作中の指示に従って作ると、本当に白菜がしゃっきりした感じに炒めあがったのでびっくりしました。中華鍋で作ってなくてもこれだけ本格的に出来るのですから、業務用コンロと中華鍋で作ったらもっとおいしくなりそう…と半ば感心しながら画像撮影しました。こんがりしたキツネ色の焦げ目がついた豚肉と透明感のある美しい緑色の白菜の対比が見るからに美味しそうで、確かにいつもの肉野菜炒めとは一味も二味も違いそうだと喉が鳴りました。
芳宝軒の肉野菜炒め12
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!いただきま~す!
芳宝軒の肉野菜炒め13

さて、味はと言いますと…中華風というよりは、 どこか和風っぽい感じの懐かしいおいしさ。町の片隅にある気さくな中華料理屋さんで出てきそうな、親しみの持てる味です!
懐かしい料理に大喜びする珠理さん
 油をたっぷり使ったはずなのにあっさり上品なコクのある醤油味に仕上がっており、まるで老舗で出される醤油ラーメンのスープみたいなこっくり深い後味の味付けが特徴的です。豚ロース肉は赤身のみ使用しているせいか、がっつりした濃厚な旨味エキスが噛むごとに溢れる割には脂っこさが全くなく、しょうがのキリッとした風味やゴマ油の香ばしい匂いが表面へまんべんなく染み込んでいているのがたまりませんでした(玉ねぎ抜きでさっぱりめなしょうが焼きと言えなくもない味わいがします)。お酒と片栗粉で全面をがっちりコーティングしてから油通しをしたおかげでとても柔らかくツルンとなめらかな舌触りになっており、肉汁が内側にギュッと封じ込められています。
 特にびっくりしたのが、白菜の芯。しゃっきりザキュザキュした非常に瑞々しい食感が印象的で、強火でしっかり焼き固められたせいか素朴で甘いジューシーなおつゆが口の中へ一気にジュワッと溢れるのが衝撃でした。白菜の葉の方も、香ばしい合わせ調味料のスープが隅々まで絡ませたしっとりクタクタした歯触りが美味で、「やっぱり白菜の葉には僅かながら油分を感じる」としみじみ実感させられる奥深い旨さです。たった二種類の具なのに、満足度が半端ではない一品でした。

 醤油とお酒だけでは味付けが物足りない場合は、砂糖・塩・こしょう・ナンプラー・豆板醤・酢など、お好みの調味料を足してもても様々な味が楽しめていいんじゃないかな~と思いました。水溶き片栗粉でとろみをつけてみてもおいしそうです。野菜も腹具合と相談しながらプラスしていくとさらにボリュームUPしそうですし、作る人の独創性次第でいくらでもばけられそうな基本中の基本料理って感じでした(^^)。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『クッキングパパ』の“とんてん丼”を再現!

 実は私の誕生月は十一月なんですが、小さい頃は自分の生まれた月が十一月だという事を結構微妙に感じていました;。九月や十月みたいに紅葉が綺麗で食べ物がおいしそうなイメージもなく、かと言って十二月みたいにクリスマスや大晦日などのウキウキするような派手な行事も特になし。おまけに、誕生花や誕生石も可もなく不可もなくな感じで、四月のダイヤや五月のエメラルドには羨望すら抱く始末。地味でいてもいなくても同じような存在感がそのまま自分とぴったりな感じすらして、密かに憂鬱でした…(私同様十一月生まれの方、コテンパンに書いてしまい申し訳ございません;)。けれども最近、私の誕生日がかのネロ帝の母・アグリッピーナと一緒だと知り、『拳闘暗黒伝セスタス』に出てくるアグリッピーナ像が好きな私としては初めてこの日に生まれてよかったと思いました。…って、誕生日が同じなだけなので限りなく無関係なんですがorz。
 どうも、だからと言って実の息子に暗殺者を差し向けられ、刃物で腹を刺されて最期を迎える所が似てしまったらさすがに嫌だな~と思う管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて上田守君とひとみちゃんが初めての屋台・「丼ひとみ」を開店するにあたって二人で新しく考え出した“とんてん丼”です!
とんてん丼図
 調理師学校を卒業して以来、守君が大将の人柄に惹かれて勤め続けてきた居酒屋風小料理屋・「松二家」が区画整理地域にあたり、立ち退きする事が決定してしまいます。最初は大将も場所を移転してお店を続けようと考えていたようですが、色々場所を探してもなかなかいい所が見つからなかったり、自分自身十年前にお店を立ち上げる前にしていた日本全国での食べ歩き・料理修行の旅をまた再開したいという血が騒いできた模様で、ある日守君にお店は今月でもう閉めると唐突に話します(それにしても、「旅に出ようかと思ってるんだ」なんてRPGのエンディングくらいでしか見たことのないセリフだったので、ちょっと面食らってしまいました^^;)。
 初めの内は「店続けましょうよ」「もっと勉強したいです、辞めたくないです」と必死だった守君でしたが、大将の決意は固く、最終的には大将が知り合いの料理人達に守君を託す次の職場を探すという話で折り合いがつきます。新しく何かが始まるという事は、同時に何かが終わってしまうという事でもありますが、わかっていてもこういう話は何だかしんみりしてしまうな~と寂しく感じました…(このお話に出る料理は後に再現予定ですので、そのエピソードはまた別の機会にとっておきます)。
 そして「松二家」が閉店して一週間後、守君の元へ大将の口から朗報が舞い込みます。それは、 「おまえ、ひとみちゃんといつか二人で小さな店を持つのが夢だと言っていたな。その夢、意外と早く実現するかも知れんぞ!」という、かなり前向きなもの。守君としては一刻も早くその話を聞きたかったようですが、大将はずっと「今すぐ言う所へ来い!」と繰り返すばかりだった為、守君はとりあえず大急ぎでその指定場所である某公園へ向かいます。けれども、実際にたどり着いた公園にはおでんの屋台に大将と頑固そうな店主がいるだけで、そこで守君はいきなり面と向かって根拠もなしに罵倒を浴びせられます。その内容は、 「松二、駄目だよこんなのはとても、とても~」「おめえみたいなケツの青い若造には勤まらねえよ!」「顔も間抜けそうだし、根性もねえだろう。見るからに頼りなさそうだ!」という、どう聞いても言いがかりに近い物で、最終的には「それに、お前結婚もしてねえくせに同棲までしているそうだな!料理の道はそんなに甘くねえ、女にうつつ抜かすヒマなかろうが!」とまでボロクソに言われてしまいます。
 それらの罵声を浴びつつ、守君は「あ、あの…一生懸命頑張りますから」と小さい声で訴え続けていましたが、最後の話はひとみちゃんに関する事だったせいか唯一「俺、女と一緒に暮らしていますけどうつつは抜かしていません。彼女はとてもいい子で俺を支えてくれています。料理にかける情熱は、誰にも負けません!」と反論し、期待に沿えずすみませんでしたと言って静かに立ち去ろうとします。けれども、そこで初めて店主は本来の顔である人のよさそうな笑顔に戻り、「待ちな、すまなかったな。松二、気に入ったバイ。こいつなら店を任せられる」と、屋台設備すべてと屋台のノウハウの全てを譲り受けるテストに合格したことを告げます。何でも、店主が言うには「屋台やっているとな、料理の腕ももちろんだが―とにかく色んな客が来る。大概の客が酒を飲むか、もう既に飲んでいるか。酔って絡んでケンカふっかけてきたり、そりゃ訳の分からん客も多かとじゃ。我慢に我慢をしなけりゃならん事もある。何を言われてもへいへい言うとかないかん事もある。ばってん、言うべき時はビシッと言わないかん」との事で、守君にはその素質があると大層誉めていました。正直、最後の部分は程度の差こそあれど、どの職業にもいえる心構えなのではないかな~と感心して読みました。
長く屋台を引いていた先人としての経験と教訓を、守君に教え諭します。
 このご縁がきっかけで守君は屋台を一ヶ月かけて引き継ぎ、無事ひとみちゃんと二人で十月一日に念願のお店・屋台の「丼ひとみ」をオープンさせます。ちなみに下の画像がその時の画像ですが、屋台の方はいたってまともな感じなものの、屋台の外では魚屋のロック息子・伊藤シンゴ君ら率いるバンドが何故か集団でギターやベースなどを一心不乱に弾きまくっており、何だか少々ずれた方向でにぎやかになっている様子が伺えて少し苦笑してしまいました(^^;)。実はこの時、ちゃらんぽらんで大学時代からどうも頼りなかった守君のお兄さんも大阪から屋台オープンの手伝いとして参戦しており、一時期などは会社を無断欠勤してバックレ寸前だった危うげな方も時が移ればここまで成長するものなのだな~と内心感無量でした;。
 その際、守君が「あまり飯物を出す屋台がないので、思い切って丼物に絞ったんです」と言いながら荒岩主任達を始めとする営業第二課の人たちに振舞ったお勧め丼が、“とんてん丼”です!
 作り方は至ってシンプルで、天ぷら粉をつけた豚ロース肉の薄切りとししとうを油でさっと揚げ、天つゆにつけてご飯の上に乗せるだけでもう出来上がります。守君とひとみちゃんがお店のオープンに向けて力を合わせながら作った合作丼とのことで、その場にお呼ばれされていた荒岩主任一家、金丸産業営業第二課、調理師学校時代の恩師達、「松二家」の元大将など、すべての人たちから大絶賛されていました。
既に大盛り上がりな「丼ひとみ」の屋台
 天ぷらは大好物なんですが、前々から何度チャレンジしても散々な出来になっていた為、前々から躊躇していました。ただ、やらなかったらいつまでもうまくいかないので、一念奮起してレシピ通り再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理! 
 まずは、天つゆ風丼つゆ作り。天丼用の天つゆに使う出汁は昆布とカツオの濃いめな出汁が一番向いているので、あらかじめ調理前に作っておきます。その際、少々下品になってもいいくらいの勢いで出汁をグラグラ煮出す事を推奨いたします(←あんまり上品過ぎると、醤油や天ぷらの油分に負けてしまいます)。
とんてん丼1
とんてん丼2
 小鍋にみりんを入れて沸騰させ、アルコール分を飛ばしたら醤油と出汁を加え、好みの濃さに調整します。これで、天つゆ風丼つゆの出来上がりです。この時、醤油味を濃い目にして作るのがポイントです。
とんてん丼3
とんてん丼4
 次は、天ぷら作り。ボウルに卵を入れてさっと溶いた後氷水を加えてよくかき混ぜ、そこへ小麦粉をふるいながらさっくり大雑把に混ぜて天ぷらの衣を用意します。あんまり混ぜすぎると、小麦粉のグルテンのせいで粘りが出てさっくりした衣に仕上がりにくくなるので、要注意です。この天ぷらの衣に、具をくぐらせます。
 ※油と衣の温度差が激しければ激しいほどさっくり軽い衣になるので、徹底したい時は卵・水・小麦粉は数時間前からあらかじめキンキンに冷やしておくことをお勧めします。ここまでしておくと、失敗の可能性はぐっと下がります。
とんてん丼5
とんてん丼6
 豚ロースの薄切り肉(豚バラのスライスでもおいしいです)、ししとうに衣をつけたら高温の油で表面がパリッとするまでタイミングを見計らいながら揚げます。
 ※ししとうはそのまま揚げてしまうと破裂する可能性が高くて危険ですので、ヘタの部分をちょうどよく切り揃え、二~三箇所包丁で側面に小さな切れ目を入れておくことを強くお勧めします。ちなみに、この技法は母に習いました(^^)。
とんてん丼8
とんてん丼7
 中に火が通りつつ表面はさっくり揚がったらすぐに油から食材を引き上げ、すかさず弱火で温めておいた天つゆ風丼つゆの小鍋の中へジュッと浸し、丼ご飯の上へ丼つゆを垂らしつつ天ぷらを乗せます。この時、すぐにご飯の上へ天ぷらを乗せれない時は、キッチンペーパーの上へ一旦引き上げて余計な油分を切っておくのも手です。ただ、どんどん味が劣化していくので長時間の放置は禁物です。
とんてん丼9
とんてん丼10
 天ぷらを満足がいくまで丼の上にどっさり乗せ、さらにご飯へ天つゆ風丼つゆを適量かけてそのまま机の上へ運べば“とんてん丼”の完成です!
とんてん丼11
 天ぷらをあまり揚げなれていない為、天ぷらというよりは天ぷらもどきのようなぺったりした出来になってしましました…orz。やはり素人には天ぷら粉から手作りするのは無謀かもしれませんので、簡単においしく揚げたい時は市販のお手軽天ぷら粉を買って使用するのがベストかもしれません。ただ、ふわっと漂う湯気自体は天つゆの奥ゆかしい典雅な香りがして非常に食欲をそそられる感じでしたので、味の方は何とか大丈夫なのでは…という希望が持ててほっとしました;。
とんてん丼12
 それでは、揚げたてほやほやの内にいざ実食!いっただっきま~す!
とんてん丼13

 さて、味はと言いますと…見た目以上にボリュームたっぷりな味わいで美味しっ!和風というよりは不思議と洋風な印象を受ける、お酒が進む和洋折衷丼です。
みんなで二人の合作・とんてん丼をおいしく平らげます!
 最初の内のさっくりパリパリと香ばしい食感、最後らへんの天つゆを吸ってじっとりフワッと柔らかくなった口当たりのどちらもウマーで、豚肉も衣も薄くヒラヒラしているおかげで予想していたよりも比較的あっさり頂く事が出来ました。薄切りとはいえさすが豚ロースで、ジューシーかつコクのある旨さと肉々した味で非常に濃厚な一品です(とんかつよりもさっぱり、ポークソテーよりもがっつりしたイメージです)。ししとうの天ぷらのサクサクカリカリした歯触りとほろ苦い後味がまたいい箸休めとなっており、豚肉の脂っぽさをすっきりさせるのに一役かってました。ピーマンの天ぷらに似ている感じですが、それよりも噛み応えがあって少し辛味があるので大人っぽい味わいです。
 カツオ節や昆布の香りがしっかり効いてて、甘辛いだけではなくキリッと引き締まった後口の天つゆが染み込んだしっとりふっくら甘いご飯が美味で、正直これだけでもバクバクいけちゃいそうなくらいおいしかったです(天かすご飯や天むすが好きな方には堪らなそうでした)。天つゆだけだと少々ストレート過ぎる程濃いめな味なんですが、天ぷらの衣の脂分や素材の旨味成分が程よく溶け込んでマイルドになっており、それがまたご飯にぴったりです。二種類の天ぷらしか乗っていない大変シンプルな天丼なんですが、それでも十分満足出来る美味しさでした。

 レシピ欄で守君が言っていた通り、他にも野菜の天ぷらや大根おろしを乗せたりするとさらにバリエーションが広がりそうだな~と思いました(豚肉の天ぷらに合いそうなのは、恐らくレンコン・玉ねぎ・舞茸ではと密かににらんでいます)。天ぷらを上手に揚げるのは難しいので最初からプロ級の味を出すのは困難ですが、当管理人の作った天ぷらみたいに焦げたり、硬くなったり、フリッターみたいになったとしても天つゆをたっぷりかけてがーっとかっこむとそれなりにいける為、これからも定期的に挑戦しては練習しようと思いました(^^)。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『なんちゃって駅弁』の“極黒豚めし”を再現!

 相方・マサル君の実家には五匹の猫が住んでいて、どの猫もそれぞれ個性的な性格をしているのですが、中でも一、二を争うほど器量よしでぶりっこなのがKちゃん。もうとっくに成猫なのに赤ちゃんみたいに「ひゃーん」「キャア~ン」という甲高い声で鳴き、知らない人の足元に寄ってお尻を擦り付けながらゴロ~ンと転がったり、相方さんと他の猫が遊んでいるところへ必ず割り込みしに行ったりと(相方さん一人の時は特に来ない模様;)、とにかく媚の技術が芸術的なかわいいメス猫。その為、私達は密かに「玉緒ちゃん」というあだ名でKちゃんを呼んではよく話の種にしています。しかし、信じられない事に前の飼い主さんや前の前の飼い主さんの家では相当な暴れ猫だったようで、一度など前の飼い主さんが相方さん宅で首輪をつけて優雅にくつろいでいるKちゃんの姿を目撃した時は「どうやって調教したと?!」とかなり驚愕したそうです(※何もしてません;)。正直、今のKちゃんの姿を見ていると暴れ猫だった面影は皆無なので、本当に狂暴だったのかな~?と未だに信じられません(^^;)。
 どうも、ただ撫でている時にハッスルして「ガブッ」とギリギリセーフな甘噛みを鋭い瞳でかましてくるKちゃんの姿は確かに堅気ではなさそうだ…と感じている管理人・あんこです。

 今回再現する漫画料理は、『なんちゃって駅弁』第六話にて主人公二人組・森口ヒロトさんと宮本寿乃ちゃんが社長達の昼食会の為に作った“極黒豚めし”です!
なんちゃって極黒豚めし図
 お二人が在籍している会社・丸亀商事は、頑固な社長である亀さんに似て少々堅苦しい社風が残っていますが(亀さんは会報を作るなどして何とか社員同士の繋がりを強めようと努力しているものの、不器用な性格が災いして当の社員達からは「ワンマン社長」と恐れられています;。亀さんの心、社員知らず^^;)、そんな中でも新しい風は徐々に吹き始めています。その内の一つが、女性初の営業部主任・平島女史。バツイチでまだ幼稚園に通う歳頃の息子さん・ユウト君と二人で多忙な生活を送っていますが、その合間も会社でバシバシ仕事をこなせる有能さをも持っている為、偏屈者なあの亀さんも「ウーマン・リブってやつか?」と茶化しつつ一目置いています。ただ、何かと言えば「女性をターゲットに」「女性客を集められれば、同数の男性客が見込めます」「女性向けメニューを出してアピール」という偏った主張を持ち出して企画案を練ろうとする為、より幅広い客層を狙おうとする専務(亀さんの息子でもあります)とよく衝突しています。個人的には、どちらの案も一概に間違いとは言い切れない辺りがより対立を深刻化させているような気がしました;。
 そんな平島さんが初登場時に掲げていた信条は、「昼ご飯はとらない」というもの。平島さん曰く「仕事の能率の為です。昼食を取る事でモチベーションが中断してしまうんです」「食事は朝と晩ちゃんととってれば昼は不要!」との事で、正直食べる事こそが生きていく中で最大の関心事と化している当管理人は、読んでいて衝撃が走りました。人生の中で最も至福かつ集中力がアップする食事タイムが、一日三回から二回へと減ってしまったら…考えただけで恐ろしくなります(((゜Д゜;)))ガクブル。少なくとも、私の場合は逆に効率が下がってしまうに違いないと確信しました;。どちらが正しいとか間違っているとかではなく、つくづく世の中には色んな主義の方々がいるものだと痛感します。
お昼ごはんをとらないウーマン・リブの女性として社内で有名な平島主任
 けれどもある日、そんな平島さんに何とか広い視野を取り戻して欲しいと思った社長は物は試しと考え、いつも再現度が高いなんちゃって駅弁を作ってもらっている森口さんに人数分の駅弁作りをお願いします。始めは「確かあの人、昼食とらない主義だって…」とそこまで乗り気ではなかった森口さんですが、宮本さんから「でも、森口さんのお弁当なら絶対食べるわよ。社長もそう思ったんじゃない?」とおだてられ、やれやれとばかりに重い腰をあげます。普段はマイペースで面倒くさがり屋な森口さんですが、明るく無邪気で押しの強い性格である宮本さんにはどうにも弱いのが見ていて丸分かりなので、お二人のやり取りを拝見しているとついニヤニヤしちゃいます;。
 その後、森口さんと宮本さんが前日夜に下ごしらえし、翌日朝に仕上げをして完成させたのがこの“極黒豚めし”です!2006年に鹿児島県で誕生した、出荷証明書つきのこだわり黒豚を惜しげなく使って作った贅沢な駅弁で、上質でボリューム感のある味わいを目指して開発されたそうです。内容は鹿児島県産黒豚肉・味つきご飯・たたきごぼう・パプリカの酢漬け・高菜漬け・紅しょうがで、作中で詳しく図解されている説明文によると「あまりにおいしくて、もうこれだけで何もいらないという≪極み≫に達したお弁当」「黒豚は冷めても柔らかくいただけるので、まさに駅弁向けのお肉」「黒豚の肉質は柔らかく旨味と甘さがあり、脂身がべとつかず豚臭さがないのが特徴」との事で、初見時はこの説明文だけでご飯三杯いけるんじゃないかってくらい猛烈に惹きつけられました。確かにこれだったら、宮本さんが「わあ!何だかとってもおいしそう!!」と顔を真っ赤にして歓声を上げるのも頷けます。
 ちなみに、豚肉は焼酎を活かした甘めの味付けのようで、これはご飯に合いそうだと初見時は身もだえしたのを覚えています。それにしても、レシピには主役である豚肉だけでなく、付け合せのたたきごぼうなどの作り方まで親切に載っていたのに感心しました。もはや、なんちゃってではなくプロの仕事だな~と森口さんの料理センスに脱帽です;。
今回、森口さんが選んだ駅弁は鹿児島の極黒豚めしです
 そして当日、少々強引に社長である亀さんから昼食会を誘われた平島さんは当初は渋々参加しながらも、自分の為に用意された“極黒豚めし”を見て驚きます。それは、社長と専務に用意されていた通常版とは中身が少々違う初代版だったことが原因。実は、“極黒豚めし”は初代と現代とではお弁当の中身が多少異なっており、現代版はパプリカと白ゴマが効果的に使われた見るからに豚めしという印象の野生的なお弁当、初代版はそれらの代わりに錦糸卵と粉山椒が詰められた上品で繊細な豚肉重とでも呼びたくなるイメージのお弁当と、相当にリニューアルされているのだそうです(真相は分からない為これはあくまで推測ですが、せっかく「極」とつけるからにはもっと豚を前面に出したインパクトのあるお弁当にしたくて、開発陣は後々中身を替えたんだと思います)。
 実はこの時、亀さんは味のある言葉を平島さんにかけています。それは、「君が女性だから、女性向けのお弁当にしたんじゃないぞ。その方が君が喜ぶと思ったからだ」というセリフ。男性だからあれ、女性だからこれという性別による思い込みや固定観念で物事を考えるのではなく、相手が何を欲し、何を求めているのかをもっと落ち着いて考えて欲しいという言外の意味合いがやんわり含まれた言葉で、亀さんの押し付けがましくない心遣いがそこはかとなく漂っているので妙に気に入っている言葉だったりします(^^)。無論、勘のいい平島さんは即座に気づいたようで、「…私、一番大事な事を忘れていたみたいです。女性向けのメニューがいいとか悪いとかではなくて…大事なのは、どうすればお客様が喜ぶかという事なんですね。もう一度、原点に戻って考え直してみます」と、久方ぶりに笑顔を取り戻していました。
錦糸卵入りの方が喜ぶと思い、初代極黒豚めしを採用
 肉類の中では豚肉がダントツで好物な私にとって、この駅弁は心を鷲づかみにされました;。実際にお取り寄せして食べてみてからは、「やっぱりおいしい…!」とさらに興奮したので、その時の感動を思い出すべく早速作中のレシピ通り再現してみようと思います。

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、付け合せ・味つきご飯・タレの準備。一番目は、たたきごぼう作り。ごぼうは清潔なたわしでよくこすりながら泥を洗い流し、包丁で五センチ前後の長さに切ります(太いものは真っ二つ~四等分くらいに縦割りにします)。このごぼうを酢水につけて放置し、水の色が変化したらザルにとって沸騰させた熱湯が入った鍋に投入し、数分茹でます。
なんちゃって極黒豚めし1
なんちゃって極黒豚めし2
 ごぼうにまだ歯ごたえが残っている内にお湯から取り出し、ラップを巻いた瓶やすりこぎ等で適度に叩きます。程よい割れ目がついたら醤油、砂糖、酢、お酒を調合して作った調味液にまだ温かいごぼうを加えてフタをし、一晩冷蔵庫で冷やしておきます(ごぼうがすっかり冷めてから入れると、味が染みにくくなるので注意)。これで、たたきごぼうは一丁上がりです。
なんちゃって極黒豚めし3
なんちゃって極黒豚めし4
 二番目は、パプリカの酢漬け作り。赤と黄色のパプリカを洗ったらヘタと種を取って一センチ幅の細切りにし、耐熱瓶にぎっちり詰めます。その上から、ワインビネガー、水、砂糖、塩、ローリエ、粒クローブ、粒こしょうを鍋に入れて数分煮立てて作った熱々の漬け汁をスパイスごと勢いよく注ぎます。フタをして冷まし、そのまま冷蔵庫に入れて約三日間寝かせたら出来上がりです。この漬け汁はきゅうりやにんじんを漬けるとピクルス風になるので色々応用がききます。
なんちゃって極黒豚めし5
なんちゃって極黒豚めし6
なんちゃって極黒豚めし7
 三番目は、味つきご飯とタレ作り。味つきご飯は普通にといだお米を炊飯器に入れ、白だしと水を投入してそのまま数時間~一晩寝かせ、やや硬めに炊き上げればOKです。タレは容器に醤油、オイスターソース、蜂蜜、みりん、焼酎、にんにくの薄切りを加えてよーく混ぜたら出来上がりです。
なんちゃって極黒豚めし8
なんちゃって極黒豚めし9
 ここまできたら、今度は豚肉を焼く作業。黒豚のブロック肉を六~七ミリ程度の厚さに切り、油をひいていないフライパンで焼きます(マーブルコーティングのフライパンがお勧めです)。この時、よく焼けていないうちにいじるとせっかくのお肉がボロボロになってしまいますので、肉から油が染み出てフライパンとの間に隙間が出来るまで触らないほうが無難です。やがて、自然にお肉がフライパンからはがれてきたらひっくり返してさらに焼き、両面こんがり焼けたら別皿に取り出しておきます。その際、フライパンに溜まった油をキッチンペーパーできれいに拭き取る工程を忘れずに。こうすると脂っこさが最低限まで押さえられますし、タレの切れがよくなります。
なんちゃって極黒豚めし10
なんちゃって極黒豚めし11
なんちゃって極黒豚めし12
 そのフライパンに、先ほど調合しておいたタレを入れて中火で煮立て、タレにとろみが出始めたらすかさず黒豚のブロック肉を戻し入れ、両面にタレをじっくり絡ませながら香ばしく焼き上げていきます。表面にタレがしっかりなじんだら、スタンバイOKです! 
 ※あんまり火を通しすぎると硬くなってしまうので、最初に豚肉の表面だけ焼き固めてからすぐに取り出し、タレを絡める段階でじっくり火を通していくと失敗しにくくてやりやすいかもしれません。
なんちゃって極黒豚めし13
なんちゃって極黒豚めし14
なんちゃって極黒豚めし15
 お弁当箱(出来れば、本物の“極黒豚めし”の空き箱が望ましいです)に炊き立ての味つきご飯をよそい、その上へ焼いた黒豚を乗せて白ゴマをパラリと散らし、さらにパプリカの酢漬けの赤と黄色を一片ずつ飾りつけます。仕上げに、たたきごぼう・高菜漬け・紅しょうがをバランスよく盛り付ければ“極黒豚めし”の完成です!
なんちゃって極黒豚めし16
 醤油色にこってり染まったツヤツヤした照りが非常にそそられる感じで、思わず生唾をごくっと飲み込んでしまいました;。タレの染みた味つきご飯の色合いがたまりません。パプリカの赤と黄色が鮮やかでいい彩りになっていますし、これは期待が持てそうです。それにしても、本物の容器を使うと当管理人みたいな不器用人間でもそこそこそれっぽく似せて作れたので、内心ほっとしました(^^*)。
なんちゃって極黒豚めし17
 それでは、味つきご飯と豚肉を豪快にガバッと掘り出していざ実食!いただきまーすっ!
なんちゃって極黒豚めし18

 さて、味はと言いますと…やっぱり黒豚は激ウマーーーッ!冷めた後も十分ジューシーな肉質で、思わず身悶えする旨さです!
頑なだった平島主任も、思わず笑顔に(^^)
 カリッと焼き上がった豚肉の表面をガブリと噛み千切って咀嚼した瞬間、ザクザクジュワッとした歯触りと共にこってり濃厚で香ばしい肉の旨味がストレートに口の中へ広がり、思わず溜め息がでてきます。お肉は冷めると大抵硬くくどい後味になりやすいですが、黒豚だと通常よりも確かに柔らかめで程よい弾力が楽しめる上、非常にすっきりしていてサラサラした品のいい後口の脂が楽しめるのに感動しました。この豚肉に、蜂蜜の素直な甘味と焼酎のキリッとした風味が効いた甘辛醤油のタレがよくあっており、おかげでがっつり濃ゆい味わいの割には箸が止まらなくなるくらい癖になる一品に仕上がっています。基本的に自然の材料だけで甘口にした味付けなので全然くどくないですし、白ゴマのプチプチした感じがいいアクセントになっているのがなかなかでした。個人的に、北海道名物・帯広豚丼のタレを鹿児島風にアレンジしたイメージを抱きました。
 白飯のようで白飯ではないほんのり和風出汁が効いたご飯にタレがちょこっと絡み、コクたっぷりな醤油味の豚肉をしっかり受け止めています(意外なようですが、冷めた場合に限って言うなら白ご飯で食べるよりも味付きご飯で食す方がより美味さが引き立ちます)。上に乗っているパプリカの酢漬けのスパイシーな酸味とサクサクした食感がまたいい仕事をしており、甘辛い豚肉と交互に食べると一向に飽きませんでした。甘酸っぱいたたきゴボウのほのかな土の香りやバキバキした食感と、高菜漬けの病み付きになるしょっぱさがいい箸休めになっていて、馴染みの食材だらけな為九州人の私としては大満足なお弁当です。

 お弁当の具として詰め込むのはもちろん、夕食のおかずとして出しても喜ばれそうです(特に、食べ盛りな年頃のお子さん達は特に気に入ってくれるのでは…と密かに予感しています)。熱い内はもちろん、冷めてからも十分美味しいので作り置きしておくのもありだと思いました。ご飯の上に乗っけて丼風にしてもよさ気です。

○おまけ
 せっかくですので、作中でご紹介されていた“初代極黒豚めし”も作ってみました。とは言っても、ゴマの代わりに粉山椒をふり、豚肉と同量くらいの錦糸卵を敷くだけなのであっという間に再現できちゃいました(^^)。
なんちゃって極黒豚めし19
 錦糸卵が甘辛く香ばしく味付けされた豚肉と抜群の相性で、比較的さっぱりと頂く事が出来ます。見た目通り、上品で落ち着いた感じのおいしさって感じでした。粉山椒ならではの和風で鼻腔にスッと染みとおっていくような爽やかな香りと、後から「…ピリピリッ!」と余韻が響いてくるイメージの辛さがちょうどいい具合に全体を引き締めており、正直こちらも同時販売したら女性人気が出るんじゃないかな~と思いました。
なんちゃって極黒豚めし20

●出典)『なんちゃって駅弁』 原作:守靖ヒロヤ 作画:上農ヒロ昭/実業之日本社
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『クッキングパパ』の“チンジャオハムスー”を再現!

 最近、にわかに興味を抱き始めた歴史上の人物がいます。それは、後醍醐天皇の第八皇子・懐良親王。まだ幼児の頃に九州へ勢力確立の為に派遣されて以来、没するまで中央政府から完全独立していると言っても過言ではない南朝勢力を築きあげています。幼い頃より置かれた環境のせいか、それとも生来の気質のせいか懐良親王は皇子とは思えないほど豪胆な性格だったようで、一度など当時中国を統べていた明の太祖・洪武帝から「服従するか、反発するか選べ」という威嚇文書が届けられた際は返書で「この世界にはいろいろな国があり、それぞれの国に元首がある。それらの国が自分の分を守っていれば、世界は安定する。世界は世界の世界であって、決して一人のものではない」「もし、明国が我が国に対して戦を挑むならば、我が国は小国なりといえども防備の手段を持っている。国境に追ってくれば、迎え撃つ用意がある」「お望みならとあらば中国の鬼門・賀蘭山前で決戦勝利し、一つ博打を打ってもいいぞ」という啖呵をきってます(原文が史書に残っています)。おまけに、足利氏よりも先に「日本国王」として明といち早く貿易をしていたという事実も分かっており、おかげで足利氏はしばらくの間「良懐」という名義を使わないと貿易に応じてもらえなかったそうです。正直、大河ドラマに取り上られてもおかしくないくらいドラマチックな人生を送った人物です。
 どうも、歴史物が大好きで時代小説を読んではすぐに影響を受けてしまう管理人・あんこです。

 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて金丸産業きってのムードメーカー・けいこちゃんが作った“チンジャオハムスー”です!
チンジャオハムスー図
 もはや『クッキングパパ』には欠かせない存在となっている初期からのレギュラーキャラ・広田けいこちゃんは、営業第二課の空気を明るく盛り上げる職場の花であると同時に、仕事も家庭も手際よく両立してしまうある意味荒岩主任なみに最強なキャラクター。ユーモアな性格とチャキチャキした語り口でみんなから慕われており、いくつになっても若々しくバイタリティー溢れる様子なので私にとっては理想の女性の一人です(^^)。後々、荒岩主任が課長にまで昇進した際にはその手腕と人柄を見込まれて営業主任という地位にまで昇進しており、いっそう仕事に打ち込みつつ周囲の人たちをうまくまとめていました(本当は係長になるはずだったそうですが、家庭を尊重したいという意思で田中君をその立場に推薦してます。恐らく、田中君はこれまで以上にけいこちゃんには頭が上がらなくなったはずです^^;)。
 そんな無敵なけいこちゃんですが、唯一てこずってしまう相手が一人息子・まさし君。幼い頃はやんちゃで甘えん坊な性格、長じてからは反抗期でけいこちゃんを散々悩ませますが、色々ありつつも最終的には仲良く笑いあっていたりするので微笑ましいです。虹子さんとまこと君みたいな譲り譲られ合いみたいな関係とはまた違っていて、どっちかというとけいこちゃんとまさし君の方がより等身大な親子関係に近い感じなので大変だな~と読んでいて思うのですが(あるお話など、けいこちゃんの作った夕食を無視し続ける思春期丸出しなまさし君の様子が描かれていますし;)、いざ分かり合えた時に放つけいこちゃんの笑顔を見ていると「母親だからこそ味わえる醍醐味」と言いたくなるような温かな物が伝わってくるので、最終的には羨ましくなってます;。
仕事も出来て家庭も両立できている、まさに超人な職場の花・けいこちゃん
 そんなけいこちゃんが、ある日の深夜に事前の連絡もなく同僚を連れ帰ってきた夫・信夫さん達の為にありあわせの食材をうまく使いこなして即座に用意したのが、今回当ブログが再現する“チンジャオハムスー”。よりによって買い物に行く暇がなく、めぼしい物はほとんど使い切ってしまって冷蔵庫がすっからかんな状態の時に、酔っ払ってつい気が大きくなった信夫さんが「みんなうちへ来ーい!」と家へ同僚二人を連れてきたのだからさあ大変!一応ビールとグラスを先に出して場を持たせるものの、お客さんに出せるようなおつまみが思い浮かばないけいこちゃんは「こんなんじゃねぇ…なんにも」と悩みます。ちなみにこの時、お客さんの一人は「あ、もうな~~~んもかまわんで下さい、奥さん(´∀`)」というお決まりのセリフを言っていますが(出川哲郎の「押すなよ!絶対押すなよ!」や、ダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ!」くらい定番ですよね;)、後ろを向いたけいこちゃんが困り笑いをしながら「かまおうにもなんにもないんだも~ん;」と舌を出しているのに妙に共感しました;。
 けれども、けいこちゃんは冷蔵庫から辛うじて見つけ出したピーマン、プレスハム、たけのこの水煮、長ネギを見て、突如“チンジャオハムスー”のレシピを閃きます。作り方は下ごしらえを除けば簡単スピーディーで、油通しをしたピーマン、ハム、たけのこを長ネギで作った即席ネギ油で炒め、仕上げにあらかじめ合わせておいた特製調味ソース(オイスターソースがベース)を加えて混ぜたらもう出来上がりです。けいこちゃん曰く「この料理は歯ごたえがポイント。強火で一気に炒めて、火を通しすぎないことね!」とのことでした。
残り物をとっさのひらめきでご馳走にするけいこちゃんはすごいです!
 その後、この料理はとっさに思いついた料理の割には同僚の方々に大好評で、夫である信夫さんは「広田、お前いいなぁ~っ」「あんなに気が利いてかわいい奥さんがいて…羨ましいぜ」とべた褒めされており、それをドアの外でこっそり聞いていたけいこちゃんは「ウプププ(゜∀゜)」と人前では見せられないようなデレ顔でご満悦になっていました;。
なんだかすごい顔で悦に入っているけいこちゃん;
 けいこちゃんが中華鍋を華麗に操る様子や、鍋の中で踊っているしゃっきり野菜が何だかとてもおいしそうだったので、小さい頃に初めて読んだ時から気になっていました。せっかくレシピが手元にあることですし、早速再現してみようと思います!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下ごしらえ。ピーマンはヘタのついた上部分と下部分を切り取って種を取り、縦に一本切れ目を入れて一枚の板状にしてから千切りにします(もちろん、上部分と下部分はヘタ以外全部食べれます!私の場合、大雑把に切ってゴマ醤油味に味付けしたきんぴらへ再利用しました)。たけのこも繊維にそって細長く千切り、プレスハムもそのまま真っ直ぐ千切りにします。長ネギは、一旦千切りにしてから横切りにしてみじん切り状にします。
 ※作中の描写だと、ハムはどう見ても四角いプレスハムでしたのでそちらを使いました。もちろん、普通のハムや高級ハムでも調理可能ですが、この料理はプレスハムのチープな感じが一番しっくりきたのでそちらを推奨します。
チンジャオハムスー1
 プレスハムは切った後にボウルへ入れて片栗粉、塩、こしょうをまぶしてなじませ、卵、お酒、醤油、サラダ油を加えてざっと混ぜ合わせます。これで、プレスハムの下味は準備完了です。こうするとプレスハムは硬くなりにくくなる上に、味もしっかりつくので食べやすくなります。
チンジャオハムスー2
 120度前後に熱した油鍋の中へ、先程のたけのこ→プレスハムの順に材料を入れて軽く火を通しながらほぐし、そこへピーマンを投入したらさっと取り出して油をよくきります(高温の油に入れてもOKなザルかザーレンなどでスピーディーにすくった方がいいです)。キッチンペーパーの上に取り出して余分な油を落としたら、これで材料の下準備はおしまいです。
 この時、余熱も計算して八割方野菜に火を通す事を意識するのと、のんびり構えていると野菜がすぐへにゃへにゃになるので、普段の何倍も素早く動いて作業をする事をおすすめします(でも、当管理人みたいに火傷しないようご注意を;)。
チンジャオハムスー3
 その間、別のボウルに砂糖、お酒、醤油、オイスターソース、こしょう、水溶き片栗粉を投入して泡だて器でよく混ぜ、特製調味ソースを用意しておきます。個人的に、オイスターソースはやや多めにした方がなお美味しくなるような気がしました。
チンジャオハムスー4
 次は、炒め作業。中華鍋(又はフライパン)に油とみじんぎりにした長ネギを入れてさっと炒め、いい香りがしてきたらたけのこ、プレスハム、ピーマンを投入して強火で一気に炒めます。その際、あまり火を入れすぎないようご注意を!
チンジャオハムスー5
チンジャオハムスー6
 材料にネギ油がコーティングされたら、間髪入れずに特製調味ソースを回しいれ、あおりながら手早く混ぜ合わせていきます。もたもたせず、数秒で材料全域にソースを絡めるくらいの勢いで混ぜた方がいいです。
チンジャオハムスー7
 水溶き片栗粉に熱が通って全体にとろみが出てきたらすぐに火からおろし、熱々の状態のままお皿へ移せば“チンジャオハムスー”の完成です!
チンジャオハムスー8
 オイスターソースの心とろかす香りが何とも食欲をそそり、匂いをかぐだけでお腹がすいてきます。にんにくを一切使っていないのに十分こってりしてそうな感じで、これは食べる前から期待が持てます(おまけに、平日でも口臭を気にせず安心して頂けます)。本場のチンジャオロースーは牛肉使用なのでいかにもご馳走という風格を感じますが、こちらはこちらで「一般市民の良心!」とも言いたくなる輝きが見える…ような気がします(^^;)。 
チンジャオハムスー9
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!いっただっきま~すッ!
チンジャオハムスー10

 さて、味はと言いますと…口の中がとても賑やかになるワイルドな和製中華料理!安いハムなのに、かなり本格的なおいしさでびっくりです!
舌鼓を打つけいこちゃんの旦那さんと同僚達
 ほろ苦いピーマンのシャキシャキとリズミカルな食感、ハムのクニクニシコシコした適度な歯触り、長ネギのシャリシャリした鮮やかな口当たり、汁気たっぷりなたけのこのゴリゴリパキッとくる歯応えが何とも心地よく、最後まで一向に飽きませんでした。オイスター風味でこっくり深いコクの醤油味が全域へトロリと絡んでいるのがウマーな上に食べやすく、ビールのおつまみとしてもご飯のおかずとしてもとっても優秀な出来栄えです。油通しをしたおかげで全体が油でちょうどよくコーティングされている感じで、旨味エキスががっちり内側に閉じ込められて噛んだ時にぱっと溢れるのが堪えられませんでした。ネギ油の香ばしい旨さやほのかな甘味が具材へまんべんなく絡んで結構濃いめな味わいなんですが、すっきりとしたキレのある後口なので全くくどくないのが嬉しかったです。
 プレスハムはパサつき感が目立つ食材なので正直最初はあまり期待していなかったんですが、片栗粉でしっとり感、卵でふんわり感、酒で独特の匂い消し、そして塩こしょうや醤油で下味がばっちりついていた為、相当に底上げされた味に変身していました。牛肉使用の本家よりボリューム感と重厚さは欠けていますが、その分濃くなり過ぎるギリギリ寸前で押さえられているバランスのいいこってり加減、プロっぽい調味なのにお惣菜感覚でざっけなくいける不思議な軽さが特徴的な料理です。

 とにかく、ビールとこの上なく抜群な相性ですのでたくさん冷やしておく事を推奨いたします(^^*)。材料費が安く済む割にはお得感溢れるおいしさで、これからも是非定番にしたいな~と思いました。子どもというよりは、大人向けな料理です。また、この料理は面白い事に高いハムよりもプレスハムみたいな非常に安価なハムの方がらしく仕上がるので、そういう意味でまさに庶民の心強い味方なレシピだと感じました(高いハムを使っても美味しい事はおいしいんですが、妙にちぐはぐした味なので苦笑します;)。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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