『ヘルズキッチン』の“醤油バニラロールケーキ”を再現!

 最近、パンにかけて食す為の専用醤油・「パンかけ醤油」という商品があると知り、かなりびっくりしました。
それだけでも衝撃ですが、さらに驚きなのがりんご果汁入りだという事実で、パンだけではなくヨーグルトやトマトにかけてもいけると宣伝されていました。
 一体どんな味なのか、気になるあまり購入しようかしまいか迷っています…。

 どうも、卵かけご飯に醤油を多めに入れるタイプな為、ご飯にかける前の卵液は真っ黒にさせるのがほとんどという高血圧まっしぐらな管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ヘルズキッチン』にて主人公・守屋悟君が仲間たちと協力して作った“醤油バニラロールケーキ”です!
醤油バニラロールケーキ‏図

  漫画『ヘルズキッチン』とは、全く料理が出来ない上にハードルが高そうな事は極力避けて生きてきたごく普通の中学三年生・守屋悟くんと、その悟君を「こいつなら本物の料理人として育てられる」と目をつけて一流の料理人に育て上げようと超スパルタな特訓を課す、悪食伯爵との異名をとる地獄一の美食家・ドグマの二人が軸として繰り広げられる、数ある料理漫画界でも異端の部類に入るダークゴシック系グルメ漫画です。
 唯我独尊・毒舌・気分屋・ドSを絵に描いたような地獄の住人・ドグマが、何故初登場時は「無理!」が口癖で挑戦する前からすぐに諦めるような何の接点もない悟君を料理人として鍛え上げようとしているのかというと、ズバリ「本物の料理人に育ててその魂を食らう為」。
 何でも、地獄の世界で最も美味とされているのが<本物の料理人の魂>だそうで、それを知ったドグマはありとあらゆる料理人の魂を食べてきたものの、どれもが驕りと欲にまみれた不味い魂ばかりでいい加減辟易していたとのこと。そこで、こうなったら手っ取り早く「何にも才能がない=何にでもなれる=育て甲斐がある人間」を一から教育し、料理人として百点になった途端に食べてしまおう作戦を思いついて、一見清々しいくらい何も持たない悟君を選んだ…というのがドグマ談でした。
 正直、ここまで「何の資質もない」と言い切られてしまうと結構ショックを受けてしまいそうなので、物語当初は悟君が気の毒になったのを覚えています;。
 『ヘルズキッチン』の見所は色々あり、「独創的なオリジナル料理」「テンポのいいストーリー展開」「食欲をそそる食べ物の描写」「ユニークで魅力的なキャラ」など沢山あるのですが、中でも一押ししたいのはドグマの悟君に対する理不尽なまでの厳しい教育っぷり;。というのも、ドグマの指導&お仕置きは相当にハードかつバイオレンスなものなのですが(例:地獄に生息する奇妙で獰猛な生物をけしかけられる・喋って衝撃波を放ってくる料理本で勉強させられる・体に乗り移られて好き勝手されるなど)、あまりにも非現実的なせいか妙に笑いを誘われるものばかりで、あくまで見ている分には「ここまで容赦なくドSなのに、不愉快に感じるどころか一種のギャグの域にまで達して見える…!」と感心しつつ爆笑してしまいます(^^;)。
 もちろん、料理自体も『大使閣下の料理人』や『信長のシェフ』の原作を手がけられた元・公邸料理人である西村ミツル先生が担当されているだけあり、一見荒唐無稽に見えてちゃんとリアリティがあっておいしそうな物ばかりですので、食事のシーンだけでもグルメ漫画好きにはたまらないものがある出来に仕上がっています。
 その為、料理とキャラのどちらに焦点を当てても十分に楽しむ事が出来て二度美味しい、希有な作品だと初見時は舌を巻いたのを覚えています。
 物語が進むにつれ、最初は当然の如く不満たらたらだった悟君が段々料理にのめりこんで積極的に修行し、それどころか斬新な料理の発想をするようにまで成長して行く過程は、読んでいてとてもワクワクするものがありますので、個人的に大お勧めしたい良作です。
最初はまったく料理と縁がなかった主人公・守屋悟君と悪食伯爵・ドグマ
 今回ご紹介するエピソードは、悟君が料理を本格的に勉強する為に特別編入した国立食農専門学校(通称・食専で、作中では「食の東大」と呼ばれています)で、フランスから留学生としてやってきた高級チョコレートの老舗<ゴルゴダ>の跡取り御曹司・レヴィ君とのデザート対決。
 悟君の友達である内気な中華料理屋の眼鏡っ子・秋山エレちゃんを一目見て気に入ったレヴィ君が、フランスで開店予定のデザートサロン<L☆A(レヴィズ・エンジェル)>で美少女店員として働いてほしいと強引に連れて行こうとしたのを止めようとした悟君が、「勝った方が秋山エレを手に入れる!負けたほうは潔く諦める!」という条件で受けた勝負なのですが、第一戦・第二戦共に魅惑的なデザートが登場して甘い物好きにとっては垂涎の物なシーンが連発される為、思わず本来の目的を忘れて純粋に見とれてしまいそうになります(´Д`*)。
 おまけに、このお話では普段はバラバラで一致団結する事が少ない森崎要君(元気と熱血さでは誰にも負けませんが、少々お馬鹿な一面も。事あるごとに料理を「普通」と評価されるのが悩み;)と、立花京君(スパイスを使いこなす事にかけては天才的な腕を持つものの、実は料理嫌い。無口で嗅覚を守るマスクがチャームポイント)が悟君と珍しく協力してくれるので、そういった意味でも見ごたえのあるお話です。
 中でも、当管理人が一番目を奪われたのが、第二戦目で悟君達三人組が一致団結して作り上げた“醤油バニラロールケーキ”。
 実を言いますと、当初はごく普通のロールケーキを作ろうとしていたのですが、製作途中にお互い反発しあって全く息があっていない三人組に自分の運命を任せる訳には行かない!とムキになったエレちゃんが自分が代わりにケーキを作ろうと乱入し、ロールケーキの生地が入ったボウルへバニラエッセンスと間違えて醤油をぶちこんだ(?!)のがキッカケで生まれた、全くの偶然の産物でした;。
 それにしても、エレちゃん曰く「しまった、チャーハンを作るときの癖で――!」という理由でつい醤油を入れちゃったとのことでしたが、あんな大きな一升瓶にバニラエッセンスが入っているととっさに間違えられるとは、かなりの天然さんだと思います(^^;)。
秋山さん、何とバニラエッセンスと醤油を間違えて生地に入れちゃいます;
 作り方はなかなか手が込んでおり、通常のロールケーキ生地に醤油・刻み海苔・バニラビーンズ・大豆油・バターを混ぜ合わせて焼いたら生クリームをたっぷり挟んで巻き、仕上げに白胡椒を加えて作っておいたバニラアイスとミントを飾り付けたら出来上がりです。
 実は、醤油の香り成分の中にはバニラと同じ香り成分が入っているのだそうで、一緒にあわせると意外な事に相乗効果でお互い引き立てあうという事がドグマの口から語られていました。それどころか、醤油の中には他にも醸造期間中に発生した麹菌、酵母、乳酸菌の働きで生まれたと見られるバラ・ソーセージ・果物・ウイスキー・コーヒーの香りなど三百種以上の香り成分が含まれているようで、まさに無限の可能性を秘めた調味料であると述べられています。白胡椒のバニラアイスもパッと見はキワモノに見えそうですが、白胡椒の香りは牛乳の乳臭さを押さえて上品な風味に仕立てることが出来るとスパイス使いの立花の口から語られていました。
 その為、一見するとゲテ物一歩手前な際どいデザートですがその実は細部に至るまでよく考えられた科学的な一品で、その見た目に寄らず洗練された美味しさには敵側であるレヴィ君まで絶句し、最終的には負けを認めて渋々エレちゃんを諦めていました。
バニラと醤油には、同じ香り成分が含まれています醤油の香りに含まれる香りは、何と三百種以上を数えるのだとか!
 作中の最後で語られていた、「科学や正確さだけでは生まれない美味しさ」という表現が妙に心に引っかかっており、いつか是非再現してみたいと熱望していました。そして、約一年前から様々なレシピを拝見したり、自分なりに試行錯誤した結果、何とか形にする事ができたので今回再現調理に踏み切りました。

 出来る限り、原作から逸脱しないよう頑張ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ロールケーキの生地作り。
 ボウルに卵を割ったら湯せんにかけつつ泡だて器(又はハンドミキサー)でよく混ぜ、何度かに分けながら砂糖を少しずつ加えて根気強く泡立てます。
 途中、卵が人肌くらいの温かさになったら湯せんから外し、泡が細かく白っぽく、そしてかさが何倍にもなるまでさらに混ぜます。この時徹底的に泡立てると、生地がキメ細やかになります。
 醤油バニラロールケーキ‏1
 そこへ、出来るだけ本格的に醸造させた品質のいい醤油を加え、泡だて器で均一になるようよく混ぜ合わせます。
 この時、ボウルの中からは一転して卵かけご飯のあの香りが強く漂うようになった為、頭の中がちょっとしたパニック状態になりました;。
 ※今回はなるべくいい醤油を使って最善を尽くしたかったので、思い切って世界一大きいとギネス認定を受けた木樽で三年間天然醸造させたフンドーキンさんの限定こだわり醤油・世界一木樽醤油を奮発して使用しました!
醤油バニラロールケーキ2
醤油バニラロールケーキ3
 醤油と卵液が混ざったら、今度は包丁でさやからこそぎ取ったバニラビーンズをたっぷり投入し、続けてバター、大豆油、蜂蜜を加えてまた泡だて器でしっかり混ぜます。
 ここまで来ると、元が卵とは思えないほどもったりふんわりした泡になってきます。
 以前作った『ミスター味っ子』の“陽一流納豆卵そば”もふわふわ加減が凄かったですが、もしかしたらこれはその時以上かもしれません。
醤油バニラロールケーキ4
醤油バニラロールケーキ5
醤油バニラロールケーキ6
 この上から、三~四回に分けて薄力粉をふるいにかけながら投入し、その都度ゴムベラでさっくり切るようにまんべんなく奥底から混ぜ合わせます。
 やがて、粉と卵液がムラなく均等に混ざったのを確認したら最後に刻み海苔を入れ、ざっと混ぜます。
 …正直、下の画像といい卵かけご飯の匂いといい、どう見てもロールケーキの生地には程遠いですね(´∀`;)。内心、ご飯にかけたらおいしそう…とちょっぴり心が揺らいだのは内緒です;。
醤油バニラロールケーキ7
醤油バニラロールケーキ8
醤油バニラロールケーキ9

 ここまできたら、いよいよ焼き作業&巻き作業。
 ロールケーキの型へ生地を一気に流し込み、表面に軽く霧吹きを吹きかけたら(こうすると、表面がぼこぼこせず綺麗に焼きあがります)、180度前後に熱したオーブンで約十分~十五分かけて焼き上げます。
 時間が経って生地がムラなく隅々まで焼けたら一度高いところから落として焼き縮みを防ぎ、ラップや濡れ布巾などをかけて生地からしっとり感を逃がさないようにしつつゆっくり冷ましておきます。
醤油バニラロールケーキ10
 生地から荒熱が取れて冷めたら、砂糖を入れてやや硬めに泡立てておいた生クリームをどっさり広げてナイフ等で丁寧に塗り広げ、形が崩れないよう慎重に手前から巻きます。
 巻き終わったらラップでぴっちり包み、そのまま冷蔵庫に入れて一時間以上冷やします。
 表面は普通においしそうに焼けてたのでほっとしたのですが、反対側は刻み海苔が不気味に透けて見える仕様になっていた為、一瞬「ああ、失敗かな…」と猛烈に嫌な予感がしたのは今でもはっきりと覚えていますorz。
 ※おまけクッキング:白胡椒のバニラアイス
 残念ながら、作中では特に作り方が記されていなかったので、オーソドックスなバニラアイスの液を作った後に粉末タイプの白胡椒を少量混ぜて冷蔵庫で冷やし、取り出して混ぜるたびに味見をしつつ微調整で白胡椒の量を変えていくという方法で用意しました。
醤油バニラロールケーキ11
醤油バニラロールケーキ12
 ロールケーキの形が安定したのを見計らったら冷蔵庫から取り出して食べやすい大きさに切り分け、仕上げに白胡椒のバニラアイスとミントの葉と一緒にお皿へ盛りつければ“醤油バニラロールケーキ”の完成です!
醤油バニラロールケーキ13
 当管理人の腕の未熟さがモロに反映され、作中の物に比べるとやや生地が薄めになってしまいましたorz。
 ただ、香りは元が醤油とバニラと海苔で出来ているとは考えられない程華やいだ香りで、食べる前からこってりした味わいを予想せずにはいられない出来栄えです。
 醤油を使ったロールケーキを食べるのは生まれて初めてなので味の想像が全くつかず、一体どんな味わいがするのか非常に楽しみです!
醤油バニラロールケーキ14
 それでは、スプーンでアイスをちょっと絡ませつつすくい、いざ実食!
 いただきま~すっ!
醤油バニラロールケーキ15


 さて、味の感想ですが…何故か猛烈に懐かしくなる不思議な美味しさのロールケーキ!色んな香りが混然となって口の中が一気に華やぎます!

 卵の濃密でリッチなコク、醤油のふくいくとした香り高い塩味が砂糖や蜂蜜の甘味としっかり調和しており、これが生クリームのまろやかな泡と組み合わさると何とも言えない統一感が生み出されます。
 無理やり近い味のお菓子を挙げるとするなら、味噌カステラやみたらし団子といった甘辛系統の和菓子ですが、その一方でまるでキャラメルみたいにほろ苦くて香ばしい大人な甘さが舌の上でブワ~ッと広がったり、どことなく花を連想させる艶やかな風味が漂う感じなので、単に和風という訳ではありません。
 和と洋の要素が複雑に入り交じったイメージが印象に残る生地で、興味深い事にアルコールは一滴も使っていないにも関わらず、お酒をたっぷり使ったお菓子特有の重厚でどっしりした美味しさへと仕上がっていました。
 作中で説明されている通り、まさに「存在感のあるバニラ香に絶妙に合う、火が入った海苔の香ばしさと…甘口のワインを煮詰めたような濃厚な旨味」「醤油の中のバニラの香りと、本家本元のバニラの相乗効果で美味になった」味わいその物で、感動です。
 一般的なロールケーキに比べてややしっとり寄りな生地で、例えるとするなら「フワフワ感のあるカステラ」のような口当たりが特徴的でした。どういう訳か、表面はムチっとしてる為生地が二層状態になっていましたが、その表面部分もモチモチした食感がなかなか美味で、バニラビーンズのプチプチ感と共にいいアクセントになっています。
 このケーキに、白胡椒のスパイシーな刺激と上品な香りが効いたバニラアイスと、ミントの清涼感のある香りがぴったりマッチしていて、未熟な素人である当管理人が作った点を差し引いても、非常に完成度が高いデザートだと感じました。


 正直、醤油とバニラが組み合わさるとこんなに濃厚で華やかな香りのお菓子になるとは思ってもみなかった為、かなり衝撃を受けた再現でした。
 焼く前は卵かけごはんの匂いなのに、一旦火が通ると本当にワイン香やフローラル系を想像させる素晴らしい芳香なので、これは他のお菓子の時にも応用がききそうです。
 あと、白胡椒を入れたバニラアイスクリームは、白胡椒を少量しか入れていなくても口に含んだ途端独特の香りがちょうどいい塩梅でふわりと鼻腔をくすぐる感じだったので、思ったよりもゲテ物ではない正統派な旨さだったのにも驚かされました(調べてみると、こういうのがあったのであながちデタラメな組み合わせではなかったようです;)。
 機会があったらまた再度分量を調節しながら焼き直し、さらに完成度を高めた物を作りたいです!

●出典)『ヘルズキッチン』 原作:西村ミツル 作画:天道グミ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

タチコマのプラモを組んでみました。

 先日、久々にプラモを組んでみたので記念に記事にすることにしました;。
 今回はガンプラではなく、1/24スケールのタチコマのプラモを二体、組んで塗装してみました。
tatikoma
 バン○イのプラモに比べると作りの粗さが気になりましたが、手を加えるとちゃんとそれらしく出来上がったので内心ホクホク顔です(^^*)。
 左は素組み、右はメタリックブルーで塗装して細部もこだわってみたんですが、両方ともかわいいので気に入っています(頭の中はすっかり『タチコマな日々』モードで、見るたびにほのぼのさせられています)。
 また攻殻機動隊の新シリーズがスタートする事を希望しつつ、部屋に飾って愛でようと思います。

 …以上、完全に自分の趣味一色のレポートでした;。

P.S.
 明日の夜は、「再現料理を予定中の漫画」の中から一作品を選んで再現料理記事をアップする予定です。今回も色々と再現に苦労しましたが、ヘタなりに何とか形には出来ましたので、ご縁がありましたが見て頂けますと幸いです(^^;)。

『華中華』の“魚肉ソーセージチャーハン”を再現!

 昨月、この前置き欄にてコロッケそばの事を書いた所、結構な数の助言をいただけたのでびっくりすると同時に喜びの悲鳴をあげました。その為、一時は頬がゆるみまくって大変でした(^^;)。
 コメント欄や拍手欄にて色んな方々から作り方についてアドバイスを頂いたり、周囲から「私が東京に行ったときはこうだった」とメールがきたり、今週の「モーニング」に掲載された『クッキングパパ』にてレシピが紹介されたりと情報に恵まれた為、それらの意見をまとめたコロッケそばを昨日再挑戦しました(^^)!
 おつゆを関東風にやや濃い目に味付けしたり、コロッケは一から作った揚げたてのものを使用したりしたせいか、今回はかなりしっくりくる味でおいしかったです!皆様、情報提供をして下さり、本当にありがとうございました。

 どうも、今度は同じコロッケとおつゆでうどんバージョンを試してみようと考えている管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが陳料理長の昔話をヒントにして作り上げた三百円チャーハン第五弾・“魚肉ソーセージチャーハン”です!
魚肉ソーセージチャーハン図
 島野さんのアシスタントとして直に指導されるようになったハナちゃんは、中華料理のコツを分かりやすく教えてもらったり、目の前で最先端の調理技術を学ばせてもらったりしたせいか、単なるフリーの雑用係だった頃よりも急激に成長していきます。
 ハナちゃんが言うには、指導自体は厳しいもののその方がかえって集中できて勉強になるとのことでしたので、やはり人を育てる為には優しいばかりではなく、それなりに厳しい環境で鍛えさせる事も必要なのだな~と改めて頷かされます。
 しかし、その代わり以前から何かと面倒を見てくれた陳料理長と話す機会が少なくなって行き、徐々に疎遠な間柄になってしまいます。ハナちゃん自身はそれを少し残念がっていましたが、陳料理長は良く言えば「控えめでお人よし」、悪く言えば「保守的で教え下手」な方なので、新しいアイディアを次から次へと考え出せる才能に恵まれて向上心に溢れるハナちゃんには、色んな意味で刺激を与える島野さんの方が相性的にはいいのでは…と読んでいて思いました。
 そんなある日、島野さんがTV出演する為にランチの実演調理を欠席するのですが、たまたま手が空いていた陳料理長とハナちゃんが久々に組んでランチ作りをする事になります。この時期、陳料理長は派手な島野さんの陰に隠れて段々軽んじられていっていた矢先だったのですが、それでも後から来た島野さんの代理として料理をする事を「部下の穴埋めも、上司の仕事ですから」と言って淡々と引き受けていました。正直、その心境を考えると読み返すたびに胸が痛みます(´・ω・`)。
 この時、ハナちゃんは陳料理長にかつてどのようなオリジナル料理を考えた事があるのか尋ねているのですが、その際に陳料理長はまだ前オーナーがいてお店が小さかった頃に安い食材で様々な創作料理を作ったことを打ち明け、中でも魚肉ソーセージの炒め物が好評だった事を話しています。
 とは言っても単なる魚肉ソーセージの炒め物とは違っており、陳料理長は一旦揚げて中華風の香り付けをしてから炒める工夫をしていたとの事で、これは前オーナーから直々に誉められた想い出があると懐かしそうに言っていました。
 ただその時、前オーナーから「この料理は確かに旨いが、家庭的な味だから店には出すな」と忠告されていたようで、それをきっかけに陳料理長は「お客様は、家庭では味わえない物を求めていらっしゃる」「以後は、オーナー譲りの中華しかこしらえまい」と心に決めたとハナちゃんに漏らしていました。
 確かに、家庭的な料理を売りにしていないお店で普段食べられるような料理はなかなか注文されにくいと思いますので、前オーナーの注意も陳料理長の決意も、あながち的外れではないように感じて思わず唸ってしまいました。単に美味しいだけではなく、お店のイメージに合った料理を考え出さないといけない料理人の方々は大変だな~と思います。
めっきり影が薄くなった陳料理長と久々に語り合うハナちゃん
 けれども、満点大飯店とは違って上海亭は家庭的で身近なチャーハンを売りにしているお店ですので、ハナちゃんは陳料理長の話す魚肉ソーセージの炒め物のアイディアを元にしたチャーハンを作ろうと閃きます。こうしてその日の昼、ハナちゃんが安売りされていた魚肉ソーセージを使ってお客さんに三百円で提供したのが、この“魚肉ソーセージチャーハン”です!
 作り方は揚げ油を使用する手間はあるもののお手軽で、表面が膨らむまで素揚げした魚肉ソーセージに醤油・日本酒・ごま油をまぶして香り付けし、基本チャーハンへ混ぜ合わせたら出来上がりです。ハナちゃん曰く、「魚肉ソーセージには味がついているから、香りをつけるだけでいい」のだそうで、そこまできつく下味をつけ過ぎないのがポイントみたいでした。
魚肉ソーセージに、中華風の香り付けをたっぷりしてあげる事がポイント!
 その後、陳料理長はたまたま上海亭の前を通りかかり、“魚肉ソーセージチャーハン”の張り紙を見て「中華街にも、俺と同じような考えをする料理人がいるんだなぁ…」と、その料理人がハナちゃんであるとは夢にも思わず上海亭を眺めます。
 そして、「たかが魚肉ソーセージのチャーハンなのに、みんないい笑顔をしているなぁ」「そうだ!今度の休みの日は子どもと女房の為に俺もこしらえてみるか!魚肉ソーセージの中華風野菜炒め(^^)」と、いい気分転換が出来たような笑顔を浮かべていたので、何だかほっと一安心しました。
 大きくて本格志向のお店にももちろん色んなメリットがあると思いますが、家庭的なお店で自分のアイディアをのびのびと生かすことが出来るというのは、やはり創作する側にとっては何物にも変えがたい喜びとやりがいがありそうです。基本的な料理をマスターするのも大切ですが、こういう独創的な試みからまた新たな定番料理が誕生すると思いますので、ハナちゃんには今の調子でがんばって言ってほしいと感じた清々しいエピソードでした。
魚肉ソーセージという質素な食材でも笑顔のお客さんを見つめる陳料理長
 うちの近所でも魚肉ソーセージが安売りされていた為、即座にこのチャーハンを思い出して再現しようと決めました。早速、巻末のレシピコーナーを参考に作ってみようと思います。


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、魚肉ソーセージの下準備。魚肉ソーセージを縦四つに切り分けてさらに五ミリ幅になるよう切り、それを170度前後に熱した揚げ油に投入し、表面がプク~ッとまるでお餅のように膨れてくるまで揚げます。
 よく揚げる事によって食感もよくなり、同時に下味や香りも染み込みやすくなります(但し、揚げすぎも注意です!)。
魚肉ソーセージチャーハン1
魚肉ソーセージチャーハン2
 魚肉ソーセージが程よく揚がったら一旦キッチンペーパーにとって軽く油をきり、その後すぐにボウルへ入れて日本酒と醤油をかけて軽く混ぜ合わせます。
 全体に調味料が絡んだと思ったら間髪入れずにごま油をたらし、よく混ぜてしっかり香り付けを施したら数分放置して馴染ませておきます。これで、魚肉ソーセージの下ごしらえはOKです。
魚肉ソーセージチャーハン3
魚肉ソーセージチャーハン4
 その間、中華鍋(又はフライパン)で以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに作った基本チャーハンを用意し、仕上げに先程の香りつき魚肉ソーセージを加えてざっと炒め合わせます。
 ※ちなみに、作中の完成図を見ると今回に限り基本チャーハンに入っている長ネギは細かく刻むのではなく大雑把な輪切りにしているようでしたので、当管理人もそれに見習いいつもよりも少し大振りな輪切りにしてみました;。ただ、輪切りネギはちょっと…という場合は、通常通り刻みネギを使用しても大丈夫です。
魚肉ソーセージチャーハン5
魚肉ソーセージチャーハン6
 基本チャーハンと魚肉ソーセージが混ざり合ったら火からおろし、そのままお皿へ丸く盛りつければ“魚肉ソーセージチャーハン”の完成です!
魚肉ソーセージチャーハン7
 魚肉ソーセージ特有の淡いピンク色がチャーハンに彩りを与えており、少し可愛らしい印象を受ける一品です。油で揚げて少し膨れたせいか、思ったより食べ応えがありそうでした。
 ごま油の香ばしい匂いと、火の通った魚肉ソーセージの親しみ深い香りが食欲をそそります。
魚肉ソーセージチャーハン8
 それでは、出来たて熱々の内にレンゲで一口分すくい、いざ実食!
 いっただっきまーす!
魚肉ソーセージチャーハン9


 さて、味の感想はと言いますと…揚げられた魚肉ソーセージのムチムチした歯触りが美味し!初めて食べるはずなのに親しみを感じる、家庭的な味のチャーハンです!

 ちょっぴりぷ~っと膨らんだ魚肉ソーセージのふっくらモチモチした食感が歯に心地よく、日本酒風味の醤油味とごま油の香ばしい香りが組合わさった和中折衷の下味が表面にしっかり染み込んでいるのもあり、単なる魚肉ソーセージとは思えない程完成度の高い具に仕上がっています。
 揚げると大抵の具は外側だけがさっくりと固まりますが、魚肉ソーセージの場合は外側がカリッとなってはおらず、逆にソーセージ全体のなめらかな弾力が数段向上している印象の珍しい揚がり方でした(スパムっぽい歯応えと言えなくもないです)。
 魚由来のほっとする優しい旨さがほのぼのする感じで、あっさりヘルシーな後口なのが気に入りました。魚肉ソーセージは基本的に淡泊な味わいであまり油なじみがいい方ではありませんが、一回揚げる事によって絶妙なコクが中まで浸透してチャーハンともしっくり合うようになっていた為、なかなかよく考えられた調理法だと思います。
 大ぶりな輪切りにした長ネギのジャキジャキした食感がいいアクセントになっており、それがまたこのチャーハンとぴったりマッチしていました。華のある美味しさではないのですがその分安定感のある飽きない美味しさで、時折無性に食べたくなりそうな味わいが特徴的です。

 魚肉ソーセージでも十分おいしいですが、この分だと同系統であるベビーハムで作ってもいけるかもしれません(もうちょっとこってりさせたい時は、スパムがベストかも…)。
 個人的に、ごま油はやや多めにしてしっかり香り付けするのがポイントなように感じました。
 お酒がOKな方でしたら、ビールとも合うので晩酌兼おつまみとしてもおすすめです!

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『クッキングピープル』の“ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば”を再現!

 昔から今にかけて、源氏物語の登場人物で一番好きなキャラは紫の上なのですが、最近紫の上に匹敵するくらい好きなキャラとして浮上してきているのは朧月夜です。
 実を言いますと、今以上に堅物だった学生時代は朧月夜の事を「周囲の迷惑を考えずに奔放に生きている割には、最後までうまく世渡りをしているなぁ」と何となく好きになれなかったのですが、ふと思い立って彼女に関する部分を読み返して行間をじっくり深読みしてみると、実は全然違っている事が分かり驚きました。
 確かに自由で明るい性格なのですが、自分の気持ちだけを優先する勝手な性格どころか逆に相手に対する情を重んじるタイプで、だからといって流されるばかりではなく自分の意思はしっかり貫く芯のある女性。時間が出来たら一度源氏物語の原文を一からを訳しつつじっくり読み返してみたいな~と考えています。

 どうも、今の時代だったら葵上はツンデレキャラとしてそこそこ人気が出るんじゃないかな~と思っている管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングピープル』にて旦那さんの浮気相手の家に乗り込んだ少々行動的な奥さんが我が家流の焼きそばとして作った“ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば”です!
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば図
 今回ご紹介するエピソードは、結婚後も浮気心が騒いで何かと腰が落ち着かないごく普通の男性・柏木さんと、その都度ご主人を超人的な身体能力で連れ戻しにやって来る、まるでターミネーターみたいな奥さんのお話。
 どれくらい柏木さんの奥さんが凄いかと言うと、結構なスピードで走っている車を自分の足で追跡できたり、チェーンソーやクレーン車を駆使して浮気現場のドアや壁を破壊して強行突破したり、相手を一時的にあの世(?!)のお花畑へ送り込んで夕食用の菜の花を摘ませたりと、もはや人間を超越した能力の持ち主で、おかげで毎回懲りずに新しい女性の元でくつろごうとする柏木さんはそのたびに家へ連れ戻されるというのが『クッキングピープル』の中ではお約束化しています;。
 ある意味、こんなにすごい奥さんがいるのに何度も浮気が出来る柏木さんはとてつもなく勇気のある人なのかもしれませんが、事情を知らずに奥さんの超人的なおしおきタイムに巻き込まれる浮気相手の方々はたまったものではないだろうな~とも思いますので(大抵の女性はもれなく自宅を半壊&トラウマを植えつけられています;)、柏木さんの浮気心が一日でも早く収まる事を祈るばかりです。

 そんな柏木さんと奥さんが登場してくるエピソードの中で、当管理人が一番印象に残ったお話は焼きそばのお話。
 この時柏木さんが密会していたのは、ハートのエプロンというベタな服装で見るからにキャピキャピしたリナさんという若い女性の方で、お二人は暢気に「柏木さん大の焼きそば好きだって聞いたから、リナ頑張って作っちゃった~」「おー、うまそ~」というラブラブな会話を展開していたのですが、いつもの如く『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス風にチェーンソーを振り回して奥さんが乱入してからは様子が一変、まるで銀行強盗に身柄を拘束された人質たちのような重い雰囲気になります;。
 それにしても、能面のような無表情で「柏木がいつもお世話になっております」「前から存じておりました」と言われるのはかなり恐怖だったろうな~と呼んでて背筋が凍りました(´Д`;)。
 和服にチェーンソー姿で愛人宅へ襲撃をかける、すごい奥様登場;
 この時、奥さんは冷静にリナさんが作ったソース焼きそばを見て「ベチャベチャ…」という駄目出しをし、料理心が騒いで急遽リナさんの台所で我が家流の焼きそばを作り出します。その際に奥さんが「主人は焼きそばは塩味で麺は固めが好みですの」「お肉は控えておりますの」とお話しながら持参の材料で用意したのが、この“ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば”です。
 作り方は普通の塩焼きそばとほぼ同じで、味付けもごま塩・レモン汁・塩のみという単純さなので大変簡単ですが、作中では奥さんが提唱する家庭焼きそばの三つの秘訣が紹介されており、とても勉強になります。
 一つ目は、「具は具、麺は麺で別々に炒めて下味をつけて、後で混ぜ合わせる」、二つ目は「麺は温めてから炒める」、三つ目は「麺は麺だけでよーく炒める」との事で、この法則を守るだけで麺も具もベストな仕上がりになると奥さんは話していました。
ベチャベチャな焼きそばに不満を持った奥様は、急遽料理にとりかかります
 その後、奥さんが“ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば”を作っている隙に柏木さんとリナさんは車で逃げようとするのですが、出来立ての焼きそばを片手に追いかけてきた奥さんに追いつかれて「あなたー、出来ましたよ」と車窓に逆さで張り付かれたショックから柏木さんはハンドル操作を誤って車を大破してしまい、弱ったところを奥さんに連れられ渋々お家に帰っていました;。
 一方、リナさんはと言うと事故車・壊れた家のドア・冷めた“ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば”が手元に残されて「で、あたしはどうすればいいのよ…」とやりきれない思いで悶々としていましたが、正直あの奥さん相手に命が助かっただけでもラッキーだと思いますので、強く生きて行って欲しいと思います(^^;)。
まるでターミネーターのようにおってくる、塩焼きそば好きの奥様;
 塩焼きそばを手作りした事は実は数えるほどしかなく、それも「何か味が決まらないな…」と感じた微妙な記憶ばかりだった為、これをいい機会に塩焼きそばをマスターしたいと考え再現してみる事にしました。
 作中に細かいレシピがある事ですし、なるべく忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の準備。ニラと油揚げは約五センチの長さの細切りに、もやしは軽く水洗いしてザルで水気をきっておき、焼きそばの麺は袋のまま数十秒電子レンジにかけて少々温めておきます(加熱することにより、麺はほぐれやすくなって火の通りが均等になるのだそうです)。
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば1
 次は、炒め作業。フライパンに油揚げを入れて中火で炒め、表面がカリッとしてきたら塩を振って混ぜてから一旦取り出します。続けて、このフライパンへ油を引いて再度火にかけたらニラともやしを投入して炒め、少ししんなりしてきたら塩で味付けして別に取り出しておきます。
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば2
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば3
 もやしとニラを取り出した後のフライパンへまた油を足して火にかけ、先程の焼きそばの麺を加えたらほぐしながらよ~く炒め、ごま塩(黒ゴマと味塩でもいいそうです)とレモン汁で自分好みに味付けします。
 ※麺はしっかり炒めれば炒めるほど、プリッとした食感になるそうです。
 あと、お好みでヘラなど使って麺をギュ~ッと押し付け、おこげを作ってみてもまた美味しいとのことでした。
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば4
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば5
 麺がいい具合に炒められてきたら、とっておいた油揚げ、ニラ、もやしをフライパンへ戻しいれ、よく混ぜ合わせます。
 その際、炒め過ぎてしまうともやしがシナシナになって旨さが半減しますので、具が麺にざっと混ざった所ですぐに火からおろした方がいいです。
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば6
 具と麺が混ざりきったら火からおろし、そのまま冷めないうちにお皿へ盛りつければ“ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば”の完成です!
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば7
 ニラ、もやし、油揚げ、黒ゴマしか入っていないせいか、やはり普通の焼きそばよりも地味な印象を受けます;。ここまで具がない焼きそばは、生まれて初めてかもしれません。
 ただ、香りの方は油揚げと黒ゴマの香ばしい匂いが食欲をそそる感じなので、味のほうは十分に期待が持てそうです。 
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば8
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!いっただっきまーす!
ニラとモヤシと油揚げのごま塩焼きそば9


 さて、味はと言いますと…これ以上ない単純な味付けなのに、妙に中毒になる旨さ!夏場に最適な塩焼きそばです!

 作中でたけだみりこ先生は「この味が分かるようならもう大人」と紹介されていましたが、確かにこれこそ大人の焼きそば決定版というイメージです。お肉もソースも濃い味の物は一切入っていないので非常に地味な印象を受けますが、食べ進めるごとにさっぱりキレのよい塩レモン味が舌へジワジワ効いてくるのが単純ながらも癖になり、さらに麺を噛み締めるたびに黒ごまが香ばしい風味と共にプチプチと弾けて控え目ながらも絶妙なアクセントを与えてくるのがたまりません。
 意外にもレモンの酸味は結構抑えめで、後からほんのり主張してくるだけにとどまっている為想像していたよりも後味がきつくないのに驚きました。荒削りで凝った仕掛けは特にありませんが、ヘルシーで食欲がない時でもあっさりスルッと頂ける和風焼きそばです。
 最初に麺へ均等に火を通してよく炒めたせいか、どこを食べても焼き加減にムラがなくモチモチぷりっとした歯応えなのが美味で、ちぎれた部分やもつれた部分がどこにもなくしなやかな出来栄えだったのに感心しました。表面はパリッと中はふんわりと焼けていてコクのある油揚げ、シャキシャキした食感が小気味良いモヤシ、ザクザクしていて野性味のある香りのニラがこのシンプルな粗塩味の麺にぴったりで、味のバランスがうまく取れていて飽きのこない一品です。


 焼きそばといえばソース味のものか、もしくは醤油味のものを食べていた当管理人にとって、このシンプル過ぎるほどシンプルな焼きそばはある意味画期的でした。黒ゴマのぷちぷち感が癖になる感じで、お箸が次から次へと進みます。油揚げを厚揚げに代えて作ってみてもいけそうでした。

●出典)『クッキングピープル~使えるカンタン料理コミック~』 たけだみりこ/実業之日本社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『かぎばあさんの魔法のかぎ』の“パイナップル乗せ特大ハンバーグ”を再現!

 最近、「あれは誰の作品だったんだろう…」とずっとモヤモヤしていたものの作品名が分からなかった児童書の名前が、ようやく判明しました。その名はずばり『大ぼろぼうのクッキング』シリーズ(こちらは一番印象深いサンドイッチのお話)。どこか憎めないユーモラスな泥棒が、ひょんな事で料理に目覚めて泥棒をやめて料理人に転職(?!)するのが書くわの基本構成なのですが、出てくる料理が面白くておいしそうで、いつかまた久々に読んでみたいな~と思っています。
 どうも、作中のあるお姫様がお気に入りだと言っていた大きくて何種類も具が入ったおにぎりが未だに忘れられない管理人・あんこです。

 本日作る再現料理は、『かぎばあさんの魔法のかぎ』にて主人公・広一君がかぎばあさんと再会した時に作ってもらった“パイナップル乗せ特大ハンバーグ”です!
パイナップル乗せ特大ハンバーグ図
 児童書『ふしぎなかぎばあさん』シリーズとは、小学三年生の主人公・広一君(広一君が主人公ではないお話もあるのですが、登場回数がダントツで多いのでメイン主人公と呼んでいいと思います)を始めとするかぎっ子の子ども達が鍵をなくして家に入れず途方に暮れている時に、どこからともなくやって来て鍵を開けてはかぎっ子の遊び相手になってくれる不思議なおばあさんが登場する、現代のおとぎ話というべき温かなストーリーが特徴的なシリーズです。黒尽くめの洋服・大きな手さげかばん・ピンクの傘が目印で、かばんには何百という鍵の束が入っている…と聞くとなにやら胡散臭くて怪しい人物に見えてしまうかもしれませんが(^^;)、かぎばあさんは正真正銘の子ども達の味方ですので心配ご無用です。それではどうしてどんなドアでも開けられる鍵の束を持っているかと言うと、何でもかぎばあさんがまだ小さかった頃、体が丈夫ではないというのにあまりにも食いしん坊過ぎる幼き日のかぎばあさんの食欲に呆れたお祖母さんが食べ物の入っている戸棚に鍵をつけたのを猛烈に悔しがり、「絶対開けてみせる!」と燃えて勉強した結果、この世で開けられない鍵は一つもないくらい鍵を開ける技術が上達したから…だそうです。正直、かぎばあさんが泥棒になっていたら世界中の宝物庫がエラいことになっていたと思いますので、初見時はかぎばあさんが悪の道に目覚めなくてよかったと心底ほっとしたのを覚えています;。
 そんなかぎばあさんが子ども達の家に入って何をするかと言うと、手の込んだ数々のおいしい料理を作ったり(実は、作中で「歳のせいか料理をするのも一苦労」だとかぎばあさんは話しているのですが、お腹をペコペコに空かせたかぎっ子達にとてもじゃないがインスタントは出せないという理由で、全部一から用意するのをモットーとしているのだとか。その心意気やよし!)、面白い紙芝居やクイズで好奇心を刺激させながら遊んだり、一緒に愉快で洒落っ気のきいた歌を歌ったり、時には誰にも話せない悩み事を聞いて相談に乗ってあげたりと、下手をすればちょっとした家政婦さん並に至れり尽くせりなおもてなしの限りをつくします。実を言いますと、かぎばあさんは作品のあちらこちらで「もしかしたら、人間じゃないかもしれない」という描写がなされているのですが(雪の上に足跡が残らないなど)、鍵をなくして親が帰ってくるまで家に入れない子ども達にとっては、かぎばあさんがたとえ幽霊や幻、もしくは妖精(?!)だったとしても頼れる優しい存在である事には変わりはないので、詮索するだけ野暮なのかもしれません。
 さて、今回ご紹介するエピソードは、前作『ふしぎなかぎばあさん』と同じく広一君がテストの点数によって憂鬱な気分になってしまう第二作『かぎばあさんの魔法のかぎ』からのお話。少し前に三十五点を取って落ち込んだ広一君は反省し、次のテストで頑張って勉強した甲斐あって百点を取るのですが、テストを返される時に先生から「よくやったな。まさか、かくれて答え合わせしたんじゃないのか?」とカンニングを疑われる言葉をかけられ、大ショックを受けます。その上、同じクラスで成績抜群なたかし君からカンニング疑惑をからかわれた事から広一君は帰り道の道中すっかり落ち込み、家に帰ってもお母さんがお仕事でいない事から、もう一度かぎばあさんに会って話をしたいと思うようになります。その為、かぎばあさんの「鍵をなくして困っているかぎっ子の味方だよ」という発言を思い出してわざと鍵をなくしたふりをし、雪が降り続く中初めてかぎばあさんと出会った事を思い出しながら広一君は近所をしばらくうろつくのですが、一向にかぎばあさんがやって来る様子がない事から「なんてばかげた事をしてるんだろう」と苦い気持ちで諦め、家へ戻ろうと走り出します。お恥ずかしいですが、この時の広一君の心細い心境を思うと未だに涙ぐみそうになります(´・ω・`)。気のせいかもしれませんが、誰一人味方がいないような気持ちになっている時に一人だと、孤独が倍以上に跳ね上がる気がしてなりません。
 けれども、鍵をなくしたふりをしている事も悩みを抱いている事も全てを承知の上でかぎばあさんは広一君の前へ姿を現し、一緒に家へ帰って少し早めの夕食をとることにします。その時かぎばあさんが手際よくちゃちゃっと作り上げたのが、この“パイナップル乗せ特大ハンバーグ”です!作り方はごく普通のハンバーグとほぼ同じですが、「まるでラグビーボールみたいに特大なサイズ」「ナツメグを香り付けとして加える」「合挽き肉ではなく、牛ひき肉のみでタネを練る」「両面をソテーしたパイナップルを上に乗せる」のがかぎばあさんのポイントで、普通のハンバーグよりやや大人っぽいイメージだと感じました。作中で広一君は「こんなに大きなハンバーグ、食べきれないよ!」とびっくりしていましたが、いざ実食となると全部ぺろりと平らげてしまっていたのでついニヤニヤしてしまいます。ちなみに、付け合せはきゅうり・ラディッシュ・レタスのサラダと温かいコンソメスープで、一見偏っていそうでその実は栄養バランスがとれた献立なのに感心させられました。
 その後、広一君は全てお見通しなかぎばあさんにテストの事を相談するのですが、話を最後まで聞き終わったかぎばあさんからお守り代わりとして人の本心が三回まで分かる魔法の鍵を渡されます。この鍵のおかげで、広一君は先生やクラスメート達に自分なりの形で決着をつけることが出来るのですが…この続きは、是非原作の方で楽しんで下さい(^^)。
パイナップル乗せ特大ハンバーグ図
 ラグビーボールと匹敵するほどビックサイズ、しかもナツメグやパイナップルを使ったハンバーグは今までに焼いた事がなかった為、一体どんな感じなのか小さい頃から気になっていました。詳細なレシピはないのでほとんどが想像になるとは思いますが、勇気を出して作ってみます!

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ハンバーグのタネ作り。弱火~中火で熱したフライパンにバターを多めに入れて溶かし、みじんぎりにした玉ねぎを投入してしっとり色づくまで炒め、途中火を止めて荒熱をとっておきます。この時、同時に牛ひき肉のみをボウルの中で白っぽくなるまで混ぜておきます。
 ※長時間練ると手の熱が伝わってしまいすぎるので逆効果ですが、手早くかつ白っぽく混ぜる分には肉汁がぎゅっと閉じ込められたハンバーグになるので、お勧めな一手間です。
パイナップル乗せ特大ハンバーグ1
パイナップル乗せ特大ハンバーグ2
 次は、混ぜ作業。先程の牛ひき肉が入っているボウルへ、バターで炒めた玉ネギ、卵、牛乳でふやかしたパン粉、塩、こしょう、ナツメグ‏を投入し、粘りが出てくるまでよ~く練ります(尚、かぎばあさんはハンバーグにソースをかけていませんでしたので、作中で明記されていなかったもののしっかり味がつくケチャップを隠し味として入れちゃいました;)。ひき肉全体に調味料が行き渡り、お肉がよく混ざってふわっと軽くなってきたら、ハンバーグのタネは混ぜ終わりです。
パイナップル乗せ特大ハンバーグ3
パイナップル乗せ特大ハンバーグ4
パイナップル乗せ特大ハンバーグ5
 ここまできたら、いよいよ焼き作業。バター(もしくは油)を引いて熱した大きなフライパンに、これまたでっかいラグビーボールみたいな形にまとめて空気を抜いたハンバーグのタネを入れ、中心を指でへこませたらそのまま焦げ目がつくまでこんがり焼きます。やがて下の部分が焼けてきたらひっくり返し、フライパンの隅に水を入れてすぐにフタをして蒸し焼きにします。こうする事により、中心にまで火が通りやすくなります。
 一方、別のフライパンでは缶詰のパイナップルを両面とも軽く焼いておきます。
パイナップル乗せ特大ハンバーグ6
パイナップル乗せ特大ハンバーグ7
パイナップル乗せ特大ハンバーグ8
 ハンバーグの中心まで火が通ったのを確認したら、そのまま茹でたじゃがいもとにんじんが飾ってあるお皿へ盛り付けて仕上げにソテーしたパイナップルを乗せ、最後にサラダとコンソメスープを傍らに添えれば“パイナップル乗せ特大ハンバーグ”の完成です!
 ※サラダの方はラディッシュときゅうりをスライスしてレタスの上に飾りつけ、少しだけドレッシングをかけたら準備OK。そしてコンソメスープは、市販のコンソメキューブに塩、こしょうで味付けをして感想パセリを散らせば出来上がりです。
パイナップル乗せ特大ハンバーグ9
 パイナップルを乗せたハンバーグを目の前にする事は生まれて初めての為、思わずまじまじと見つめてしまいました(^^;)。ハンバーグをナイフで切ってみると、予想以上に肉汁がジュワ~ッと出てきたので思わず「よしっ!」と内心ガッツポーズをとりましたが、パイナップルが乗っているせいか妙に不安感がぬぐえません;。その昔、マクドナ○ドでは期間限定でパイナップルバーガーが置いてあったそうですが、定着せずに販売終了したのはやはり「肉+フルーツ」の組み合わせは日本人にはまだまだ抵抗感のある組み合わせだからだろうな~と感じました。
パイナップル乗せ特大ハンバーグ10
パイナップル乗せ特大ハンバーグ11
 それでは、一口大に切り分けていざ実食!いっただっきまーす!
パイナップル乗せ特大ハンバーグ12

 さて、味はと言いますと…ガツンとくる濃厚な味わいで美味し!どちらかといえば大人向けの気がする一品です!
 100%牛ひき肉で作られているせいか、基本的には中までふっくらした口当たりではあるものの合挽き使用のハンバーグよりもがっしりとした噛み応えのあるパテで、牛肉の重厚で強いコクと溢れんばかりの肉汁がたまりません(その為、これに限っては「ハンバーグ・ステーキ」という正式名称で呼びたい気分にさせられます)。ナツメグのエキゾチックで甘やかな香りが牛肉の臭みを押さえていて、炒め玉ねぎの甘味やバターの旨味が全体をまろやかにしているのが印象的でした。柔らかさと口の中でほどけるような舌触りには欠けているかもしれませんが、しっとりしたパテで心配していたぱさつきは全く出ておらず、「肉をがっつり食べている」という満足感が味わえます。
 意外な事に、この濃い味わいの牛肉ハンバーグと火を通す事によってよりジューシーになったパイナップルがぴったりの相性で、パイナップルのフルーティな甘酸っぱさが後味をすっきりさせているのに感心しました。パイナップルの甘い果汁が一種のソース代わりとなっており、牛肉料理特有の癖やくどさを和らげてくれています。どうやらナツメグの爽やかでスパイシーな風味が、パイナップルとハンバーグという異質な物同士をうまい具合に調和させる役割を果たしてる模様で、食べていても特に違和感を感じませんでした。
 
正直、当管理人は酢豚にパイナップルの組み合わせが苦手なタイプなので「ハンバーグと本当に合うのかな…」と心配だったんですが、実際に食べるとご飯のおかずにはならないものの単品で十分おいしいメインでほっと一安心;。料理法次第ではびっくりするような組み合わせでも美味しくなる事をしみじみ実感しました。

○追記:kawajun様、無記名様、ソムナムナー様、rikko様、前回記事では率直なご意見を下さり誠にありがとうございます。皆様のご意見を参考にした結果、今後は「ご返信は、お答えできる時にぼちぼちとお返しして行く事」「コメントは非公開のままにせず、その都度承認して皆様にご確認していただけるようにする事」という形でコメント欄は管理していこうと決定しました。これからも細く長く地味に更新していきますので、宜しければお手隙の時に遊びに来ていただけますと幸いです(^^*)。

●出典)『かぎばあさんの魔法のかぎ』 原作:手島悠介 作画:岡本颯子/岩崎書店
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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