『華中華』の“賀茂茄子チャーハン”を再現!

 明日のハロウィンに備え、何かカボチャのお菓子を作ろうと思いネットで調べてみたのですが、元はといえばカボチャではなくカブがハロウィン伝説に伝わっている野菜だと知り、驚きました。
 その伝説は、以下の通りになります(諸説ありますが、一番有名な物を…)。


 昔、ある町にジャックというお酒が大好きな青年がいました。
 彼は飲みすぎによる失敗が多く、悪魔を騙して木の上に登らせた挙句十字架を掲げて降りられないようにしたり、酔っ払って町中にいたずらをしたりと、周囲を困らせてばかりいました。
 ある日、とうとうジャックは死んでしまったのですが、酔っ払ってはいたずら三昧の人生だった為天国に受け入れられず、かと言って地獄にもかつて悪魔を騙したという理由で入れてもらえません。
 そんなこんなで火種(これが消えたら、存在自体が消えてしまうのだそう)が尽きかけたのに焦ったジャックは、慌ててくり抜いたカブの中に火種を入れて腰にぶら下げ、よなよな闇の世界をさまよい続けているのです…。
 けれども、そんなジャックを哀れんだ町の人々は、死者の日である10月31日だけは「今夜に限り、子ども達と遊んでいいよ」と人々の輪に入ることを許し、異形の姿に成り果てたジャックに会っても皆が怖がらないよう、子ども達にも異形の姿に変装させ、ジャックが気兼ねなく遊べるようにしたのだそうです。
 ただ、ジャックのいたずら好きは死んでも直らず、「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!」と子ども達を引き連れては、相変わらず皆を驚かせて楽しんでいるのだとか…。


 なお、カブがカボチャに変わったのは特に深い意味はなく、単にカボチャの方が中をくり抜いたり加工するのがより簡単だったからではと言われています。

 どうも、今年のハロウィンはカボチャのプリンやケーキだけではなく、カブの煮物も用意しようと決めた当管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんの師匠・島野さんが京野菜チャイナフェア第一弾のメニューとして考案した“賀茂茄子チャーハン”です!
賀茂茄子チャーハン図
 上海亭からチャーハンレシピの買取りをしようとしたものの失敗した奈可子さんは(詳しくはこちら)、その後「上海亭の真似をしようとするのではなく、逆に上海亭が真似できないような高級感溢れるチャーハンを作ろう」と発想を転換し、満点大飯店の主な客層である女性に受けがいい京野菜を仕入れに京都へ出張します。
 この出張には、チャーハンレシピ買取りのそもそもの発案者・島野さんも同行していたのですが、上海亭に並々ならぬライバル心を抱いていた島野さんは奈可子さんのアイディアにすぐさま賛成し、「あたし、前から上海亭のチャーハンに対抗したかったの!燃えちゃうわ」と浮かれていました;。
 こうして満点大飯店の秋の目玉は京野菜チャイナフェアのランチに決定し、横浜に戻った島野さんは急いで厨房に入って試作に取り掛かるのですが、アシスタントとし詳細を聞かされたハナちゃんは「京野菜を使ったチャーハン…一体どんなチャーハンを作るんだろう?」と大いに心が揺れます。
 ここ数年、お客さんの懐具合を気にしたハナちゃんは低価格の食材で工夫して作る300円チャーハンか、もしくはそれより少し高めの500円チャーハンばかり作ってきましたが、高級な京野菜であえて創作チャーハンを作るという島野さんに対し久々に衝撃を受け、日頃どんな高級料理を見ても「よそはよそ、うちはうち」という風に構えていたハナちゃんが珍しく動揺していたのが印象的でした。
 後に楊貴妃さんから「闘争心が沸いたのかい?」と聞かれても、一応ハナちゃんは「いえ、闘争心なんかじゃありません!」「私も、京野菜を使ったチャーハンを作りたくなったんです!」と強く否定して前向きなコメントを残していましたが、やはりハナちゃん程力量のある料理人なら、出来ればいい食材を使ってより完成度の高いチャーハンを作りたいという願望を持たないはずがないよね…と、普段予算に縛られて思い切った挑戦をしにくい環境なのを気の毒に感じたのを覚えています(´・ω・`)。
上海亭には真似できないチャーハンメニューを作る事で対抗しようとする奈可子さんと島野さん
 こうして、京都から持ち帰ってきた多くの京野菜の中から賀茂茄子をメインに使う事を決めた島野さんが、新幹線の中で練ったレシピで一旦試作したのが“賀茂茄子チャーハン”です!
 作り方はなかなか凝っており、賀茂茄子の中身をくり抜いて揚げた物を食べられる器に仕立て、その中にくり抜いた賀茂茄子の中身と皮・豚ひき肉・長ネギ・卵・荒挽き黒胡椒・醤油で作ったチャーハンを詰め込み(塩味は控えめにするのがポイント)、上から吉野葛でとろみをつけた甘酢餡をかけて万願寺唐辛子とエディブルフラワーを傍に飾ったら出来上がりです。
 さすが一流の料理人が力を入れて考え出しただけあり、完成図も味付けも女性受けの良さそうな要素がてんこ盛りで、確かにこのチャーハンなら目玉商品として大々的に売り出せるだろうな~と初見時はかなり興奮しました(´Д`*)。
 おまけに、島野さん曰くチャーハンの塩気を控えめにするのは甘酢餡との味の足し算を成り立たせるという目的だけでなく、京料理の上品さをイメージしたとの事で、見た目の美しさだけでなく味にも緻密な計算が施されているのにただただ感心の一言に尽きます。
賀茂なすの中身は具としてチャーハンに、外側は器として使う事を思いついた島野さん
 案の定、試食に臨んだ奈可子さん、計太郎さん、陳料理長の三名は「まあ…何て素敵なチャーハンなの!これは美味しいわ!」「まさに、京料理に通じるな!」「全然油っぽさを感じない…」とこれ以上ないくらいの大絶賛で、食べ終わる前に満場一致で京野菜チャイナフェアの第一弾ランチメニューとして採用が決定されました。
 これだけでもすごいのに、どうやら本番では鹿ヶ谷南瓜のスープと水菓子までつけて出す事を決定しているそうで、それだけ奈可子さんは今回のフェアに力を入れているんだな~とこちらまで拳に力が入ります(どうやら、お盆の時に前オーナーであるお父さんから喝を入れられたのが効いたようですね)。
 ただ、お値段の方も料理と同じく3800円とスペシャルで、こういう強気な価格設定でも食べに行けるのはごく一握りのセレブだけなんだろうな…と小市民な管理人はため息をつきました(^^;)。
 この“賀茂茄子チャーハン”の出来栄えと奈可子さん達の反応をドアの外からそっと見たハナちゃんは、尚更京野菜でチャーハンを作りたくなるのですが、ネックはやはり予算の問題。
 楊貴妃さんから「でも京野菜は高いんだろ。300円で出来るのかい?」と突っ込まれたハナちゃん自身、その事を痛いほど分かっているようで、一体どうするべきか苦悩する日々が続きます…。
 果たして、ハナちゃんは京野菜でチャーハンを作る事が出来るのでしょうか(この顛末は、次回ご紹介したいと思います)?
三人共大絶賛で、すぐに京野菜チャイナフェア第一弾メニューとして決定していました
島野さんに刺激されて京野菜チャーハンを作りたくなったものの、予算の問題が…;
 九州の田舎に住む当管理人(雑草を食べに雇われヤギがやって来るほど田舎です)にとっても、賀茂茄子は高嶺の花で悩んでいたのですが、一年奮起して通販でお取り寄せしちゃいました;。
 作中に載っているレシピを参考に、なるべく忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、賀茂茄子の下ごしらえ。流水で汚れを洗って水気を拭き取った賀茂茄子のヘタを適度な間隔で切り取り、表面の皮をストライプになるよう剥きます(皮もヘタも使いますので、捨てないようご注意!)。
 賀茂茄子の断面に包丁で丸く切れ目を入れて、計量スプーン等で中身をくりぬき、側面に穴や亀裂が入らないよう気をつけながら器っぽくなるようにします。
 この時くり抜いた中身は、皮と一緒にチャーハンの具になるので別に分けておきます。
賀茂茄子チャーハン1
賀茂茄子チャーハン2
賀茂茄子チャーハン3
 くりぬいた賀茂茄子の中身と皮は包丁で食感が残る程度に刻み、塩を振ってなじませます。
 賀茂茄子全体に塩気が回ったら、ごま油をひいて豚ひき肉を炒めておいたフライパンへ投入して混ぜ合わせ、荒挽き黒胡椒と醤油で味付けします。
 これで、チャーハンの具は出来上がりです。
賀茂茄子チャーハン7
賀茂茄子チャーハン8
賀茂茄子チャーハン9
 次は、チャーハン作り。
 あらかじめ、以前に作り方をご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りに中華鍋かフライパンで塩気を控えめにした基本チャーハンを作っておき、そこへチャーハンの具を加えてよく混ぜ合わせます。
 その間に、中華スープ、砂糖、醤油、お酢を小鍋で沸騰させ、フライパンで軽く焼き目を付けた甘長唐辛子を入れて少し煮立て、水で溶いた葛粉でとろみをつけた甘酢餡を用意します(あんまり煮過ぎてしまうと、あっという間に茶色く変色してしまうので要注意!)。
 ※原作では万願寺唐辛子なのですが、残念ながら今回手に入らなかった為、当管理人は万願寺唐辛子とピーマンを親にして誕生した品種・甘長唐辛子で代用しました。すみません。
賀茂茄子チャーハン10
賀茂茄子チャーハン12
賀茂茄子チャーハン6
 チャーハンが出来上がったら、器状の賀茂茄子とヘタの表面に竹串をぷすぷす突き立ててあちこちに小さな穴を開け、170度に熱した油で揚げます。
 賀茂茄子がちょうどよく揚がったら、一旦キッチンペーパーに引き上げて余分な油をきります。
 ※この時、賀茂茄子の外だけでなく内側にも火が通るよう、菜箸を使ってクルクル回しながら揚げるのがポイントです。
賀茂茄子チャーハン4
賀茂茄子チャーハン5
 揚げたての賀茂茄子の中へ温めなおしたチャーハンを急いで詰め込み(火傷しないよう気をつけます)、お皿に盛り付けたら上から甘酢餡をかけてお皿にも絵を描くように垂らしておきます。
 仕上げに、チャーハン入り賀茂茄子の傍へ甘長唐辛子(又は万願寺唐辛子)とエディブルフラワーを添えれば“賀茂茄子チャーハン”の完成です!
賀茂茄子チャーハン13
 頑張ってはみてみたものの、ド素人作のせいか作中の絵に比べるとどこかヨレッとした出来栄えになってしまいましたorz。
 しかし、賀茂茄子の品質がよかったおかげで、慣れない手つきで調理したのにもかかわらず形崩れせず揚げあがった為、やっぱりいい素材はすごいな~と感心しました。
 包丁で断面を見てみると、トロッとしつつも揚げる前のしっかりした身質のままだったので(大抵揚げるとナスはへたってしまうのに…恐るべし京野菜!)、いったいどんな味がするのか非常に楽しみです!
賀茂茄子チャーハン14
賀茂茄子チャーハン15
 それでは、茄子もチャーハンも熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーすっ!
賀茂茄子チャーハン16


 さて、味の感想ですが…確かに京料理に通じる物がある上品な旨さ!一口食べた途端、調理中の苦労が一気に報われていきます(^^)。
 さっぱりしてほのかに甘酢っぱい中華あんが、ブラックペッパーがピリッと効いたあっさり醤油味のチャーハンにまったりと絡み、餡かけチャーハン風の優しい味わいになっています。
 賀茂茄子の刻んだ皮と身のシャグシャグした歯触りがいいアクセントになっており、豚ひき肉の肉汁がご飯に染み込んでいる割にはサラッと頂けました。
 甘味と酸味と辛味がバランスよく調和しており、チャーハンというよりはメイン料理として立派に通用しそうな一品です。
 賀茂茄子を食べたのは初めてですが、肉厚でぎゅうぎゅうに詰まった身、キメの細かい肉質、野菜なのにフルーティーさすら感じる汁気が美味で、揚げる事によって活性化した茄子のコクが噛み締めるごとにジュワ~ッと口の中に溢れ返るのがたまりません。
 油を吸うとさらに甘味が増してとろけるような口当たりになるのは普通の茄子と同じですが、最大の相違点はふにゃっと形崩れして縮んだりせず、むっちりジューシーな食感を保っているという所で、おかげで焼き茄子のホロホロシャクッした噛み応えと揚げ茄子のとろけ具合が両立した夢のような味の茄子に仕上がっていました。
 おまけに皮が非常に薄く、舌にいつまでもゴリゴリ残る事もなくすぐに細かくなって喉の奥へ消えて行く為、食べやすかったです。
 面白い事に、賀茂茄子は普通の茄子に比べてあまり油を吸わない為揚げても結構淡泊な味わいで、作中で「全然油っぽさを感じない」と陳料理長が驚いたのも頷けました。


 それまでは「米ナスと賀茂茄子って、そこまで違いがあるんだろうか…」とトンチンカンな事を考えていたのですが、食べてみると全然違っていたので猛省しました。
 米ナスもそれなりにおいしいのですが、賀茂茄子は味は勿論、身の密度からして違っていましたので、非常にいい経験になった再現でした。
 来年の夏は、万願寺唐辛子もお取り寄せしてみようと思います!

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『美味しんぼ』の“小泉局長の中華風スパゲティ”を再現!

 その昔、初めてそばめしを見た時はかなり驚いたものですが、遂には焼ビーフンご飯まで登場したのをスーパーで発見してびっくりしました;。
 ビーフンも元はお米なので、よくよく考えたらそこまでおかしい組み合わせではないかもしれませんが、全く味の想像がつかない為結局挑戦出来ずにいます…。

 どうも、さすがにうどんとご飯の組み合わせはないと思い調べてみると、ご飯を練って作ったごはんうどんという予想の斜め上をいく食べ物がある事が分かりずっこけた管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にて行なわれた「和洋中混淆料理自慢大会」で小泉局長が出した“小泉局長の中華風スパゲティ”です!
小泉局長の中華風スパゲティ図
 栗田さんが臨月間近だった頃、結婚後に写真集の仕事の関係で日本を離れ、ヨーロッパの方に滞在していた近城さんとまり子さん夫妻が東西新聞社へ久々に遊びにきた一幕があったのですが、その際世間話で近城さんが「長い事ヨーロッパで暮らしたけど、食の好みが和食に戻っちゃった」と言った事から話は急激に弾みます。
 近城さん曰く、パリのホテルで朝食を取る時はスーパーで買った小瓶の醤油をこっそり半熟卵にたらし、パンにつけて食べていたとの事で、「卵の黄身に醤油をかけると、突然日本の味になるんです。泣きましたね」と語っていたのが妙にリアリティがあってこちらまで泣けてきました(つД`)。
 外国の方が日本の空港に降り立った時、真っ先に感じた香りは醤油の匂いだったというエピソードから読み取れる通り、日本人にとって醤油はもはや日常的に欠かせない必要不可欠な調味料と言っても過言ではありませんので、「醤油=日本」と連想した近城さんの気持ちは分かる気がします。
 実はこの時、山岡さんの書いた記事に文句を言う為に怒鳴り込みに来た小泉局長(「某新聞社の編集局長は、外国かぶれで粋がっているが、趣味が悪く味音痴」と書かれていたのを見て、すぐに自分の事だとピンときたとの事;)も偶然その場に居合わせていたのですが、局長自身ヨーロッパ暮らしが長かったせいか食の苦労話についてはかなり食いついており、その昔麩の味噌汁がどうしても食べたくてフランスパンを炙った物を入れたらなかなかいけたという思い出をしみじみ語っていました。
 もしかしたら、和洋折衷料理は案外「足りない材料を補う為に色々代用して組み合わせたら、意外と美味しくなった」というなっちゃって料理を作る過程でたまたま発明された物が多いのかも…と考えさせられました。
 ※ちなみに、下の画像は小泉局長と近城さんが顔を合わせた際、山岡さんが「夫婦の危機に陥ったそうで…」とふざけて言ったのをお仕置きされた直後のシーン;。まあ、確かに『美味しんぼ』界では「夫婦の危機をどうにかするよう訴えられる山岡さんご夫婦の図」というのは定番パターン化しているので、もしかしたらこれは雁屋先生なりの自虐ギャグかもしれません(^^;)。
外国暮らしのせいか、近城さんの食の好みは余計和に傾いたとの事
 その後、話は外国での代用日本食から和洋中混淆料理の方に移り、徐々に文化部全体のを巻き込みながら盛り上がっていきます。
 荒川さんは醤油味の焼海苔、三谷さんは細切りにした昆布の佃煮をバタートーストに乗せるとよく合うと言ったり、ある社員さんは「ひき肉とネギのチャーハンに、ケチャップ・ソース・粉チーズをかけて食べると病み付きになる」と主張したりなど、どれもあまり聞いた事がない組み合わせの割には不思議とおいしそうなものばかりだった為、俄然興味が湧いてきた山岡さん達は久しぶりに文化部恒例の料理自慢大会を開催する事にします。
 実を言いますと、この時富井副部長も自信満々に「子ども達に評判が良かった名作創作料理は、ウインナーソーセージ入りの味噌汁と、シューマイ入りの味噌汁!」と発表していたのですが、何故か文化部の面々には不評で、ブーイングの嵐の末に出品は許されてませんでした;。
 確かに当管理人自身「…うーん、ちょっとそれは…」と唸ってしまいましたが、かと言って「うげ、気持ち悪い!」とゲテモノ扱いする程ではないんじゃないかな~?と思ったので、今回ばかりは富井副部長が気の毒でした;(「いや、ケチャップは入れませんよ?」と必死に見当違いのアピールする姿がまた切なかったです…orz)。
 こういう例を目の当たりにすると、やはり自分の家独自の料理をさらすのは相当気心の知れた人だけにしておいた方が無難だと実感させられます;。
予想以上に話が盛り上がったことから、久々に料理自慢大会が行なわれる事になります
 その後、山岡さんと栗田さんが司会となって開かれた「和洋中混淆料理自慢大会」にて小泉局長が出品したのが、この“小泉局長の中華風スパゲティ”!
 作り方はそこそこお手軽で、長ネギ・ニラ・にんにく・しいたけ・豚のひき肉をごま油で炒め、お酒で溶いた八丁味噌で味付けして作った肉味噌ソースをスパゲティの上にかけたら出来上がりです。
 小泉局長が言うには、中華料理のジャージャー麺を食べているときに思いついた料理だそうで、中華麺だけでなくスパゲティにも合うんじゃないかと思って試したらドンピシャだったとの事。
 近城さんとまり子さんを始め、女性陣からの評判が特に良かった一品で、簡単に作れるので定番にしやすいと三谷さんが喜んていたのが印象的でした(^^*)。
 今大会は板山社長の“ビーフシチューうどん”、唐山陶人先生の“パルミジャーノ・レッジャーノ入り鰹の酒盗”、京極さんの“鰻の蒲焼き入りパイ”、栗田さんの“フカヒレの姿煮丼”、山岡さんの“抹茶羊羹入りアイス”などが出てなかなか強敵ぞろいでしたが、一番食欲をそそられたのは“小泉局長の中華風スパゲティ”で、実際どんな味がするのかずっと気になっていました。
ジャージャー麺を食べている時に思いついたそうで、近城さんや文化部の面々も絶賛していました
 レシピこそありませんでしたが、詳細な作り方が載っているのでそれを参考に再現したいと密かに考えていました。
 なるべく忠実になるよう、早速再現してみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、肉味噌ソース作り。ごま油をひいて熱したフライパンへ、みじん切りにした長ネギ、ニラ、にんにく、しいたけを投入してざっと炒め、にんにくの香りが出てきたらすぐに豚ひき肉を入れて混ぜ合わせます。
 この時、何も調味料を入れず全体的にしんなりするまで火を通します。
小泉局長の中華風スパゲティ1
小泉局長の中華風スパゲティ2
小泉局長の中華風スパゲティ3
 そこへ、日本酒でゆるくなるまで溶いたペースト状の八丁味噌を加えてよく混ぜ、味噌の香ばしい香りがたつまで炒め合わせます。
 この時、少し焦がし気味になるように炒めると風味が増します。
小泉局長の中華風スパゲティ4
小泉局長の中華風スパゲティ5
小泉局長の中華風スパゲティ6
 味見を見て塩加減がちょうどよかったら火を止め、茹でてお皿に盛ったスパゲティの上へお好みの量をかければ“小泉局長の中華風スパゲティ”の完成です!
小泉局長の中華風スパゲティ7
 ぱっと見だけなら「やけに茶色っぽいミートソースだな~」という感じですが、匂いは味噌そのものなのですぐ違うと分かります;。
 今は色んなレシピがあるので、結構変わったスパゲティソースもそこそこ食べてきた方なのですが、トマト抜きでニラや味噌を合わせたソースをかけたことはない為、少々違和感を感じました。
 中華のジャージャー麺と、イタリアのスパゲティのコラボは果たして成功するのか…いよいよ確かめるときがきたようです!
小泉局長の中華風スパゲティ8
 それでは、スパゲティとソースをざっと混ぜ合わせていざ実食!
 いただきま~す!
小泉局長の中華風スパゲティ9


 さて、味はと言いますと…味噌好き日本人のDNAがざわめく美味しさ!フォークより、お箸ですすりたくなるスパゲティです!
 当然の事ですが、やはりジャージャー麺にそっくりな甘辛味噌味で(中華風肉味噌というイメージでした)、スパゲティどころかうどん・中華麺・ご飯・ピザなど何にでも合いそうな、最強に食欲を刺激される味わいが特徴的です。
 味噌独特の熟成されて角のとれた塩気のみで味付けしたせいか、見掛けに比べて全然塩辛くなく、こっくり優しい後味にうっとりしました。
 ごま油の濃厚な香り、にんにくの力強い旨さ、ニラの野趣溢れる風味ががっつり合体して調和しているのが美味で、まるで餃子っぽい親しみのあるこってり味になっているのがよかったです。
 作中で近城さんが「ごま油と肉とネギ、ニンニクの味は強いんだけど、味噌のせいかくどさを感じないんだよ」と言っていた通り、豚ひき肉のこってりしているのにどことなく甘みを感じる脂分を八丁味噌の香ばしくて深いコクがまろやかにまとめあげており、噛むごとに後を引く旨さに仕上がっていました。
 みじん切りにしたしいたけのシコシコした歯触りとネギのシャキシャキ感がいいアクセントになっていますし、食べ応え満点です。
 ただ、八丁味噌の個性の方が強烈なのでスパゲティを使う意味がいまいち分からない仕上がりになっており、それ故に和中折衷料理とは微妙にいいにくいかな~と思いました(スパゲティというより、「コシの強いツルツルストレート麺」と発想をしてしまいます;)。


 『美味しんぼ』の料理は凝ったものばかりなので、なかなか簡単には再現できないものばかりですが、料理自慢大会に出てくる料理は手軽に作れておいしい物ばかりなのでありがたいです。
 最近は、料理自慢大会のメニュー再現もすっかりご無沙汰でしたが、コメント欄にて「この大会に出ていたものだったら、○○も美味しいのでよかったらそれも再現してみてください」というリクエストを何度か頂きましたので、こちらの方も出来るだけ再現していこうと思います(^^)。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『くーねるまるた』の“バカリャウのコロッケ”を再現!

 先週、某所にあるビール園へ満開のコスモスを見に行って来ました。
 その昔、コスモスのヒョロロ~ッと細いのに妙に長すぎる丈が何故だか苦手で、あまり好きな方ではなかったのですが、近頃は嗜好が変わったのか平気になっていました。
 ただ、せっかくの香りが屋台で売られているイカ焼きの匂いによって台無しになっていたのには、少しズッコケました;。

 どうも、ビール園で飲む時はフライドポテトとソーセージ盛り合わせの注文は欠かせないと考えている当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『くーねるまるた』にてポルトガル人の主人公・マルタさんが初登場時に作った“バカリャウのコロッケ”です!
バカリャウのコロッケ図
 『くーねるまるた』とは、ポルトガルから日本にやって来て一人暮らしをしているお茶目で明るい食いしん坊な女性・マルタさんが、慢性的な金欠状態にめげず貧乏暮らしの中でも作れる美味しい物を食べながら気ままな毎日を過ごしていく、国際派庶民系グルメ漫画です!
 暑い時期は部屋の中とはいえビキニ姿で一日を過ごしたり、受け取りのサインをもらい忘れた宅配便のお兄さんが引き返した時には「コロッケを食べに来たんデスネ!?」と笑顔でコロッケを差し出したりと、思わずこちらの度肝が抜かれる程大胆な天然ボケ的発想をするマルタさんですが;純粋で明るい性格と屈託のない子どものような笑顔が見ていて愛らしく、読んでいるだけでほのぼの癒される作品です(^^*)。
 実を言いますと、マルタさんの詳しい身の上話は未だ明らかにはされていない為、所々不明な点が目立つのですが(お金がなさそうな割には大使館のパーティーに出席した事があるみたいなので、「一体何者?!」と謎が深まってます;)、どうやら東京の大学院へ留学したのが日本に来るきっかけだったそうで、卒業後も東京の地が何となく気に入って自然に残る事を決めたと後にマルタさんは語っています。
 現在住んでいるのは、学生時代からずっとお世話になっているというお寺の敷地にある築七十年のおんぼろアパート・<笑明館>で、見る人曰く「…人住んでるのかよ、ココ;」と一瞬ひるんでしまうくらい年季のはいったアパートだそうですが、ベランダでハーブを育てたり、時々お寺で行なわれている子ども教室の手伝いに行ったりと、結構お寺内での生活をエンジョイしているご様子。
 “夏みかんのジャム”や“自家製紅茶豚のチャーシュー”といった正統派料理を作ったかと思えば、近所の河原でバカリャウを餌に釣ったザリガニを泥抜きし、手作りのサワークリームと合わせて夕食を済ませたり(!?)と、オシャレなのかサバイバルなのかよく分からない時もありますが、当管理人的には「グルメ要素<マルタさんの笑顔。よって、マルタさんが可愛ければ無問題」と考えています;。
 基本的には洋食系の再現が多いですが、この間マルタさんは幸田文さんに憧れて作中に出ていた“鶏脂チャーハン”を再現していましたので、今後も「文豪の愛した料理再現」がシリーズ化されたりするのかな~?と思うと、ワクワクが止まりません。
『くーねるまるた』にて活躍中の主人公・マルタちゃんです
 今回ご紹介するのは、記念すべき第一話「バカリャウ」。
 それは、八月のある真夏日の事。
 殺人的に暑い上お金も食料も尽きてしまい、ろくに物を食べられないという危機的状況に追い込まれていたマルタさんは、頭上はパラソル・足元はビニールプール・服装はビキニ一丁という無防備な状態で涼をとっていたのですが(一瞬「見るからにセキュリティーが甘そうなアパートでそんな格好をしたら、危険なんじゃ…」と思いかけましたが、考えてみればお墓方面に面したベランダにいる人間といえば幽霊くらいしかいなさそうなので、別の意味で安心ですね;)、母国・ポルトガルにいるお母さんから救援物資がやっと届いた為、涙ながらに大喜びします。
 ちなみにこの時、マルタさんは「やっぱり、食べ物は心を豊かにしますよね?楽しい気分になりますよね?」と子犬のようにはしゃいだり、喜びのあまり「じゃあ、踊リマショウ!」と宅配便のお兄さんとランラン♪と踊ったりするなど、初っ端から飛ばしまくっています;。
 普段は幸田文先生ファンを自称するくらいの日本文学好きだったり、お寺にやって来る子ども達の面倒をしっかりみたりとちゃんとした大人の面もあるのに、こと食べ物の件になるとまるで少女のように無邪気にはしゃぐ所が非常にほほえましいです(^^*)。
食料が底をついた時、やっとお母さんからの救援物資が届き一安心;
 やっとお兄さんを開放したマルタさんが段ボールの中を開くと、そこには懐かしのポルトガル名物・バカリャウが箱いっぱいに詰まっており、マルタさんは目を輝かせます。
 バカリャウとは、北欧の海で獲れる巨大で肉厚な鱈を塩漬け&干して作る、いわば日本の干し鱈のような保存食で、ポルトガルでは非常にポピュラーな代表的食材との事。
 ポルトガルでバカリャウの調理法はゆうに三百種類以上あるそうで、如何にバカリャウがポルトガルで愛されている食材なのかがよく分かりますが、その中でも一番王道の食べ方・コロッケにして食そう考えたマルタさんは、いそいそと調理にとりかかります。
 こうして、空腹でクタクタになりつつもマルタさんが手早く作ったのが、この“バカリャウのコロッケ”です!
 作り方はかなりお手軽で、水で戻した後に細かくほぐしたバカリャウ(本来は一晩かけて戻すのが理想だそうですが、マルタさんの場合待てないとの事で数時間で引き上げてました;)を茹でたじゃがいもと溶き卵の入ったボウルに入れて混ぜ、二つのスプーンを合わせてラグビーボール状に整形してこんがり揚げたら出来上がりです。
 マルタさんが言うには玉ねぎやパセリを入れるともっと美味しくなるようですが、どちらもない場合はバカリャウ・じゃがいも・卵の三つだけでも充分いいお味に仕上がるとの事で、あまりの素っ気ないレシピでびっくりさせられながらも妙に心惹かれるコロッケでした。
母国ポルトガルから懐かしの食材・バカリャウが来て大喜び!スプーンをうまく使ってラグビーボール状に整形するのがミソ
 そして、味見で一つ口に放り込んだマルタさんは、一呼吸おいた後実にいい笑顔で「美味。」と至福の表情になり、結局また一人で喜びの舞を踊っていました;。
 どうやら、バカリャウはそのままだとややきつい匂いがするみたいなんですが、一旦火を通すと打って変わっていい香り&旨味に変化するようで、その後試食していた日本人のお兄さんも「え…うまい?」「何だこれ…独特の塩味って言うか、旨味?魚の…」と大いに驚いていました。
本当に美味しそうに、幸福そうに食べ物を頬張るのがかわいくて仕方ないです
 以前、『信長のシェフ』内でバカリャウの記述をちょこっとだけ見たものの、食べた事は一度もなかった為どんな味がするのか前々から気になっていました。
 思い立ったが吉日と言いますし、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、バカリャウの下準備。バカリャウは最初身同士でくっついている可能性が高いのでそっと引き剥がし、水をたっぷり注いだボウルに入れて冷蔵庫にしまい、一晩かけて余分な塩気を抜きます。
 気になったので匂いを嗅ぎましたが、そこまでひどくはなかったものの魚系の発酵食品に似た香りが若干したので、確かにこれは生魚じゃないと食べられない人にはきつく感じられるかもしれないな思いました。
バカリャウのコロッケ1
バカリャウのコロッケ2
バカリャウのコロッケ3
 時間が経ったらボウルから取り出してキッチンペーパーでしっかり水気を拭き取り、皮・骨・ヒレを指やピンセットで丁寧に取りのぞき、細かくほぐします。
 その間、茹でたじゃがいもの皮を取ってボウルに入れ、木ベラで大雑把につぶします。
バカリャウのコロッケ4
バカリャウのコロッケ5
バカリャウのコロッケ6
 このじゃがいも入りのボウルへ、先程のほぐしバカリャウと溶き卵を投入し、粘りが出ないよう気をつけながらざっくりと混ぜ合わせます。
 正直、バカリャウとじゃがいもが混ざった段階でもう既に美味で、否が応にも期待は高まりました(←これを軽く焼いた輪切りフランスパンに乗っけて食べると、ワインもビールも進みまくります^^)。
バカリャウのコロッケ7
バカリャウのコロッケ8
バカリャウのコロッケ9
 全体がさっくり混ざったら、スプーン二本を使ってタネをラグビーボール状に整え、高温の油で数分かけてカラッと揚げます。
 表面がほんのりキツネ色になって浮かんできたらさっと取り出し、キッチンペーパーで余計な油分をきっておきます。
 ※スプーンで整形する際、表面がツルッと滑らかにさせたらきれいに揚がります。
バカリャウのコロッケ10
バカリャウのコロッケ11
 油が程々落ちたら冷めないうちにお皿へ一つ一つ盛り付け、作中の絵通りこんもりとした大盛り状態になれば“バカリャウのコロッケ”の完成です!
バカリャウのコロッケ12
 思っていたよりもカラッとした揚げ上がりで、手で割ってみると見るからにほっこほこな出来栄えなのにほっとしました。
 ラグビーボールというにはペッタンコ過ぎる形なのが、心残りといえば心残りorz。
 日本の干し鱈の匂いに近いものがありますが、それもりもずっと強くどこか違った香りで、味の方はどうなのだろうかと激しく気になりました。
バカリャウのコロッケ13
 それでは、熱々ほくほくの内にいざ実食!
 いっただっきま~す!
バカリャウのコロッケ14


 さて、味の感想はと言いますと…鱈とじゃがいもの相性抜群で美味し!一口食べたらあと一つ、もう一つと止まらなくなる名作コロッケです!
 当初は「衣をつけずに揚げるから、油にまみれてギトギトになるのでは…」と心配だったんですが、溶き卵を混ぜ込んだせいか外側に極薄でしっかりした膜状の衣が自然と出来て中をガードしており、歯を突き立てるとサクサクパリッとあっけなく砕けて中の具と一体になるので意外とあっさりしています(もちろん、じゃがいもに油は全く染みていませんでした)。
 全く調味料を入れていないものの、バカリャウからじんわりにじみ出た鱈の旨味たっぷりの塩気がじゃがいも全体にしっとりとなじみ、程よい味付けになっていた為十分おいしかったです。
 それも単なる塩味ではなく、魚醤や塩辛系の熟成された感じの複雑な塩味なので、シンプルなのに奥行きがあるという不思議な美味しさでした。
 肉厚でシコシコした歯触りの上、噛み締めるとジュワ~ッと濃密なエキスがしみ出てくる鱈の身が、粗く砕かれてふんわりホコホコした食感のじゃがいもとよく合っていて、噛めば噛む程味わい深くなる大人向けのコロッケという感じです。
 肝心のバカリャウの味はというと、日本の干し鱈よりもプリプリした弾力の強い肉質で脂分がやや多いのが印象的で、結構塩分も濃い為少し食べただけでもお腹にどっしりくる迫力満点な味が最大の特徴でした。
 一言で例えるならば「フィッシュアンドチップスの旨さを濃縮させたコロッケ」というイメージで、ビールのお供に最適な一品です。


 家族や相方さんにも「おいしい!」と好評でしたし、確かにこれは老若男女問わず愛される味だと強く納得した再現でした。
 コロッケは勿論、スープにしてもいけそうですし、ご飯と一緒に炒めてチャーハンっぽく仕立てても合いそうだったので、近い内にまた挑戦してみようと思います!

●出典)『くーねるまるた』 高尾じんぐ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『美味しんぼ』の“はる風豚カツ”を再現!

 最近、ひょんな事で明治時代におけるコロッケの値段がわかったんですが、「トンカツ13銭、ビフテキ15銭、コロッケ25銭」と、むしろトンカツ以上に高価だったらしい事にびっくりしました(ソースはこちら)。
 今となっては、トンカツとステーキはそこそこ高い料理・コロッケは庶民の味方を地でいく安い料理とその差は歴然なので、思わず「鳴り物入りで入社したものの、他の同期に追い抜かれまくりの窓際会社員」にイメージを重ねてしまい、悲しくなりました。

 どうも、お店で買った手作りコロッケから時折顔を出すじゃがいもの皮に「ちゃんと自分のところで蒸しているんだな~」と愛着を感じる管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にてはるさんが山岡さん一家の為に作って出した夕食“はる風豚カツ”です!
はる風豚カツ図
 『美味しんぼ』後期に新登場した重要キャラクターというと、山岡さんと栗田さんが取り組んできた「究極のメニュー」の次期後継者である飛沢周一さんが真っ先に思い浮かびますが、そのよき相談役(もしくは悪友)としてジワジワ登場回数が増えてきた難波大助さんも忘れられない所です。
 難波さんはコテコテの関西弁を使う大阪生まれの大阪育ちで、信条が「押しの一手」という程強引な性格な為、あの一筋縄ではいかない小泉局長ですら「あいつは苦手だ」とまで言わせしめてしまう、ある意味すごい人物;。 
 転勤したばかりの頃に東京の食事が合わないと先輩相手に当たったり、ボツ原稿を回収する為に小泉局長へ突進してすごい剣幕で迫ったり、結婚資金を貯める為に飛沢さんと昼ごはんを社内外でたかりまくったりと、正直よくクビにならないな~と感心するほど無茶ぶりで、当管理人自身傍にいたら「関わりたくない社員NO1」だと認識するだろうな~といつも苦笑しながら見ています;。
 しかし、山岡さんの後継者としての重圧や責任感で押し潰れそうになっている飛沢さんを力いっぱい励ましたり、嘘偽りのないストレートな本音のアドバイスで飛沢さんの迷いを打ち消したりといい所も沢山あるので、何だかんだ言ってこの二人は将来いいコンビになって東西新聞社を引っ張っていきそうな予感がしています(^^)。

 そんな難波さんが、飛沢さんと仲良くし始めた時に起こした一騒動が今回ご紹介するエピソード;。
 ちょうどその頃、美人な料理研究家・紺野なか子さんという将来の結婚相手が見つかってやっと凶暴さが収まって来ていたのですが、突如「評論家になって独立し、TV・出版・公演で有名になりたい」というはた迷惑な野望目標で頭が一杯になり、押して押して押しまくるのがデフォな難波さんは各方面へ自分を売り出しにいきます。
 小泉局長に若手が書くコラム欄を「自分に書かせろ」と詰め寄ったり、山岡さんの知り合いのTV局関係者に「討論番組に出演したい」と三日に一度は押しかけたり、いくつもの出版社へ自分の自慢話を書き連ねた原稿を出版しろと迫ったり(その中の一つには、ちゃっかり「小学○」もありました;)と、見過ごすには目に余りすぎる行状に呆れた山岡さんは難波さんを諌めようとするのですが、「そんな弱気じゃ何事も成就せん!押しの一手でいてこましたるんや(゜Д゜#)!」の一点張りで埒が明かず、山岡さんは途方に暮れます。
 …正直、主張は分からなくもないですが、「いてこますって何を?」「もし本当にいてこましてしまったら、話自体ぽしゃってしまうんじゃ…」と突っ込みが滝のように喉元まで出かかり、初見時は本気で山岡さんが気の毒になったのを覚えています;。
てっとり早く有名になりたいと押しの一手な難波さんに、山岡さん達はタジタジ
 頭が痛くなった山岡さんと栗田さんは、その日の夜に馴染みの料理屋<はる>へ夕食を食べに行くのですが、その時はるさんは偶然とはいえ、いいヒントになる新料理を山岡さんご一家にご馳走します。
 それが、至る所に工夫が凝らされているこの“はる風豚カツ”です!
 作り方は拍子抜けするほど簡単で、トンカツ用として売られている豚肉よりも遥かに薄いロース肉を醤油・日本酒・おろししょうが・おろしにんにくを混ぜた調味液に少し浸けて下味をつけ、衣をつけてカラッと揚げたら出来上がりです。
 作中ではるさんが説明した食べ方によると、子どもにはそのまま食べてもいいそうですが、大人は醤油・赤ワイン・すりごま・柚子胡椒で作ったオリジナルの特製タレをつけて食べてもらうと一層美味しく食べられると話しており、「はるさんの飽くなき向上心はすごいな~」と尊敬しました。
 ポイントは「しょうが焼き用くらいに薄くスライスされた豚肉を使う」「揚げる前の段階でしっかり下味をつける」の二点だそうで、下味をつけて揚げるだけでも普通のトンカツとは一味違った味になると大好評でした(まだ幼い陽士君と遊美ちゃんが「おいちー」と無心に頬張っている様子が愛らしかったです^^)。
はるさんが考案したトンカツは、普通のトンカツより大分薄いのが特徴
 そして数日後、会社が休みの日のお昼に山岡さん達は難波さん(他にもなか子さん・飛沢さん・その恋人のすみ子さんまで来ていました;)を自宅に呼び出し、前述の“はる風豚カツ”と普通のトンカツ、下味付きの肉野菜炒めと普通の肉野菜炒め、下味付きの豚肉常夜鍋と普通の豚肉常夜鍋をそれぞれ食べさせ、下味を付ける事の重要性を実感させます。
 全てを食べ終えた後、山岡さんが難波さんに感想を求めると当然「いやあ、下味は大事ですなぁ」と答えるのですが、そこで山岡さんと栗田さんは「待ってました!」といわんばかりに力説します。
 山岡さん達曰く、「下味をつける作業は確かに表に出ない地味な作業だが、全体の味をまるで別物のように高める」「それは人間も同じ。強引に自分を認めさせようとするより、自分自身の下味(=実力)をつける事が大事」との事で、正直やや無理やりな観はあるもののうまい事話を繋げたな~と山岡さん達に感心しました。
 さすが長年大岡越前ばりに色んなカップルの名仲裁をしてきたご夫婦、歳を重ねるごとに言いくるめ説得の腕前が上達してきているように感じます;。
 その後、難波さんは素直に納得し、「山岡さん、栗田さん、よう分かりました。これから僕は、下味の心を教訓として頑張ります」とまるでキレイなジャイアンのように澄んだ瞳で誓われるのですが、「下味をつけるぞ!→なら、経験を積まねばならんぞ!→じゃあ、尚更仕事をもぎ取るぞ!」と難波さんフィルターがかかってしまった為結局事態は変わるどころか悪化してしまい、チョーさんのギャグ並に「だめだこりゃ!」な結末に終わってました;。

 それにしても、かつて「日本の食通と呼ばれる人間は滑稽だね!!」「スーパーのパックの寿司の方が、よっぽど美味いぜ」「かわいそうに、貧しい吸い物しか飲んだことないんだな」と見境なく噛み付いた山岡さんが、会社の後輩に「だが難波、世間の印象も考えろよ」と諭すようになるとは夢にも思わなかったので、色んな意味でじわじわきたなかなか面白いエピソードでした(´∀`;)。
人間、急激に認められようとして慌てるより、「自分に下味をつける」方が大事と諭します
 『ミスター味っ子』を読んで以来、トンカツの肉は分厚いのがおいしい条件だとずっと考えていた為、薄い肉のトンカツをお勧めされたのはびっくりしました。
 真偽の程を確かめる為、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、豚肉の下準備。しょうが焼き用として売られている薄めのロース肉を用意し(筋きりする場合は、ちょこちょこ程度にしないと揚げる時ボロボロになるので要注意)、醤油、日本酒、おろししょうが、おろしにんにくを混ぜて作った調味液に一時間くらい漬けます。
 一時間以上漬けると醤油味が濃くなりすぎてしまうので、漬け過ぎは禁物です。
はる風豚カツ1
はる風豚カツ2
 時間が経って味が程々染み込んだら調味液から取り出し(漬け汁は炒め物の味付けに使えます)、キッチンペーパーで余分な調味液を拭き取ったら小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣をつけ、高温の油でキツネ色になるまで揚げます。
 その間、ボウルに煮切ってアルコール分を飛ばした赤ワイン、醤油、すりごま、柚子胡椒を入れて混ぜ、バランスが整うまで味見をしながら微調整しておきます。
 ※豚肉が薄い分、火の通り加減を気にする事なく引き上げられるので非常に簡単です(^^*)。
はる風豚カツ3
はる風豚カツ4
はる風豚カツ5
 キッチンペーパーで軽く油分を切ったトンカツを食べやすい大きさに切り、千切りキャベツとくし切りトマトを飾っておいたお皿へ盛り付け、傍らに特製ソースを添えれば“はる風豚カツ”の完成です!
はる風豚カツ6
 出来上がってみると、本当にこれ以上ないくらい薄くてペラッペラに軽かったのでびっくりしました;。
 ただ、衣の方は普通のトンカツ同様しっかり揚がっており、はがれそうではがれない絶妙のバランスでお肉にくっついていたので思わず感動しました。
 作中にてご紹介されていた大人用の特製ソースも、個性的な組み合わせの割には一応まともな出来栄えですし、両方ともどんな味がするのか楽しみです!
はる風豚カツ8
はる風豚カツ7
 それでは、揚げたての内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
はる風豚カツ9


 さて、味の感想ですが…こんなにペラペラなのに、分厚いトンカツに匹敵する程濃厚で旨し!下味がいい仕事をしています!
はる風豚カツ10
 ハムカツどころか紙カツよりもさらに薄いので、一見ボリュームがなさそうに見えるのですが、サクサクと軽い衣を噛み破った途端こってり濃いにんにく醤油味が口の中へ一気に広がる為、かなり食べ応えがあります。
 肉には勿論衣にもしっかり味がついており、衣だけでも十分美味しく頂けたので、これはもはや衣の旨さを楽しむカツなんだな~と思いました。
 結構塩気が強い為、付け合わせのキャベツを大量にバリバリやりながら食べると、キャベツの瑞々しい甘味と張りのある食感によっていい具合に揚げ物特有の脂分が中和されるのがよかったです。
 薄い豚肉を使うとかえって肉や脂肪の旨味が際立つ上、何故か時間が経っても衣がカラッと香ばしいままなので冷めても美味で、薬味や日本酒によって臭みが完全にかき消えているのに感動しました。
 一方特製ソースの方は、赤ワインの酸味と柚子胡椒の爽やかな香りが程よく存在を主張しあううっすら辛い醤油ソースで、すりゴマのコクが効いてそこそこパンチのあるにも関わらず非常に気品溢れる味わいだったのに驚きましたうまく言えないんですが、西洋の貴婦人が大正時代の女学生のコスプレをしているイメージのような…って、変な例えですみません;)。
 このソースをつけると男性的でがっつりした味の食堂風トンカツが、キリリと引き締まった後口の上品和風味に変化し、一転してあっさりするので面白いです。


 時間が経っても揚げたてみたいなサクサク感が持続するので、普通のトンカツよりもお弁当に詰めるのに向いている気がします。
 辛子マヨやポン酢をつけてもおいしいので、色々なソースを試してみると面白そうです。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『美味しんぼ』の“カキの唐揚げキムチ丼”を再現!

 母の実家から、自家菜園で採れたさつまいもとかぼちゃが大量に送られてきている為、毎晩おやつに焼き芋を食べる生活を送っています。
 かぼちゃの方は母によって煮物に変化するのですが、昔から食べるたび「これはご飯のおかずにするべきなのか…それとも、そのまま間食代わりに食べるべきなのか…」と無駄に悩まされます(←甘いのに醤油味というおかずには、いつもそうです;)。

 どうも、年齢を重ねるごとに「食欲の秋」という単語が恐ろしくなってきている当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にて山岡さんがアパートの大家・尾沢さんの古くからの友人である蒲田敏夫さんからご馳走された“カキの唐揚げキムチ丼”です!
カキの唐揚げキムチ丼図
 それは、山岡さんと栗田さんの間に双子の赤ちゃんが生まれた時のこと。
 周囲からはお祝いの声が溢れ、一時は非常に和やかでほのぼのとした平和的ムードになるのですが、数日が経過すると「双子の名前は何にするか?」問題で早くも山岡さんご夫婦はややこしい事態に巻き込まれます…。
 というのも、栗田さんの祖母・たま代さんとその彼・大柱さんが「男の子は努で、女の子はとし子が卦でいいと出ている」と言ったのを皮切りに、栗田さんの父母、栗田さんのお兄さんも各自考えてきた名前をそれぞれ主張して一歩も引かず、山岡さんと栗田さんが「もう名前は自分達で決める事にしたから…」と言っても、「あらそう…でも、この名前がいいと思うわ!」と猛烈にプッシュしてきた為;。
 最初は山岡さんも、善意から熱心になっているのだと控えめな態度でやんわり否定していましたが、先日友達の辰さんと食事した時に得た「人間は<遊び>が出来る時点で他の動物とは違うと考えたホモ・ルーデンスの説は、その通りだと思う。人間にとって一番大切なのは<遊び>だと思うんだ」「俺は、<遊び>の心が人間の心を如何に豊かにするのかという事を、辰さんから教わった。だから、俺は<遊>という一字を子どもの名前に使う事に決めた」と話した途端、栗田家一同から「不謹慎!」と猛反対された時にはさすがに怒り、かっとなった山岡さんはその場から逃げ出してしまいます。
 正直、当管理人は極端に読み辛いキラキラネームや、一部の人間に由来を知られたら激怒される名前(例:相方さんのお姉さんはお父さんの初恋の人の名前だったそうで、それが判明した時はちょっとした騒動になった模様…)でないのならそこまで反対しなくてもいいのではと思うのですが、子どもの名前は一生ついて回る物な分、周囲の近親者もつい口うるさくなってしまう物なのかな…と考えると、何ともいえない気持ちになります。
 特に山岡さんの場合、遠慮がなくて気の強い親戚がわんさかいる分、今後も子ども関係で頭の痛い問題は絶えないだろうな~とつい同情してしまいました;。

 その後、山岡さんは自宅アパートの一階にある馴染みの料理屋・<はる>へ駆け込み、大家の尾沢さんとはるさんについ愚痴をこぼします。
 山岡さんとしては。自分の意見に賛成して欲しかったんだと思いますが、日頃の行いが不真面目なせいか「しかし、ゆう子ちゃんのお母さんやお祖母さんの気持ちも分かるな~。だって、山岡君の日常の生活態度ときたら、ちゃらんぽらんでいい加減でだらしない。そんな山岡君が、<人生は遊びが大事>なんて言うと、普通の人は考えてしまうよ」と尾沢さんからきつい一言を浴びせられ、余計落ち込んでいました;。
 残念ながら、相談相手を間違えてしまったようです(^^;)。 
周囲から散々な言われようで、どうやって説得した物か悩む山岡さん;
 そんな時、隣で話を聞いていた尾沢さんの古くからの友人で根っからの料理好き・蒲田さんが、山岡さん達の為に店内にあった新鮮なカキと手作りキムチを使って作ったのが、この“カキの唐揚げキムチ丼”!
 作り方は結構お手軽で、小麦粉だけつけてカラッと揚げたカキの唐揚げに醤油・すりゴマ・ごま油・みりん・唐辛子作ったタレをつけて味付けし、最後にキムチを乗せた丼ご飯の上へカキの唐揚げを飾り付けたら出来上がりです。
 蒲田さん曰く、前々からレパートリーに会ったレシピではなく、キムチとカキという組み合わせにはどういう調理法が合うかと考えを巡らせて行く内に思いついた即興料理との事で、とっさに閃いた割には「カキの唐揚げと、キムチの取り合わせが泣かせるよ!」と大好評でした。
 カニやカキといった甘みのある魚介類はキムチの辛さとよく合うので、「確かにこれはありだ!」と読んでて山岡さん達が羨ましくなったのを覚えています。

 実を言いますと、蒲田さんは料理をしながら「人間にとって<遊び>は大切だ」という山岡さんの言葉を自分なりに考えていたそうで、その際に「自分が料理をして楽しいのは、遊びだから。仕事だったら、楽しむゆとりはなかった」「遊んでいる時に、人間の心は一番生き生きする。そして、遊ぶ事が出来るのは人間だけだ。遊びこそ、人間の本質だって悟ったんですよ」という結論に至ったと話し、<遊>という字を名前に使う事を賛同してくれていました。
 この時、栗田さんを含め山岡さんの意見に面と向かって賛成してくれたのは蒲田さんだけだったので、この言葉を聞いた山岡さんはさぞ嬉しかった事と思います。
揚げたカキを特製タレにすぐつけ、キムチ乗せご飯に乗せるのがミソ山岡さんの意見に賛成し、料理でそれを表現した蒲田さん
 しかし、山岡さんの気持ちを尊重した栗田さんが「名前は自分達で付ける。士朗さんの付けたい名前を付ける」と栗田家一同にピシャリと言った事から双子の名付け騒動はあっという間に鎮火していました(おかげで山岡さんは栗田さんにますます頭が上がらなくなっており、夫婦間の格差はさらに大きくなりました;。物語初期の尖ったナイフみたいな山岡さんが懐かしいです)。
 こうして、山岡さんによって女の子は「遊美」、栗田さんによって男の子は「陽士」と名付けられ、多少の波乱はありつつも無事新生活はスタートしました。
 <美食のサラブレット>ともいえるこの双子の兄妹が、将来どのような進路をとるのか非常に気になる所です。
 両親&東西新聞社べったりで成長するのか、それとも父・山岡さん同様すれ違いの果てに「お前は敵だ!」と別陣営に分かれて戦うのか、というよりそれまで連載は続くのか…色んな意味で、目が離せません;。
こうして山岡さんと栗田さんから生まれた双子は、陽士君と遊美ちゃんと命名されました
 やっと生カキがスーパーに出回り出したので、再現を決意しました。
 大まかながらも調理行程は漫画内で説明されていますし、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、カキの唐揚げ作り。表面の汚れをさっと洗い流した生食用の新鮮なカキをキッチンペーパー等で水滴を拭き取り、小麦粉をまんべんなくつけます。
 余分な粉をはたき落としたら高温の油に投入して揚げ(一分前後で充分です)、まだ中が半熟なくらいですぐ取り出します。
カキの唐揚げキムチ丼1
カキの唐揚げキムチ丼2
 この揚げたてカキを、すかさず醤油、すりゴマ、ごま油、みりん、唐辛子(荒挽き・中挽き・粉末のどれでもいいですが、個人的には中挽きくらいがおすすめです)をよく混ぜ合わせて作ったタレに入れて表面に染み込ませます。
 その間、丼容器によそっておいた炊き立てご飯の上へ、三センチ幅程度に切り揃えたキムチを乗せておきます。
カキの唐揚げキムチ丼3
カキの唐揚げキムチ丼4
カキの唐揚げキムチ丼5
 このキムチご飯の上に先程のカキの唐揚げを盛り付け、タレをちょこっとだけたらせば“カキの唐揚げキムチ丼”の完成です!
カキの唐揚げキムチ丼6
 キムチとカキ唐揚げという組み合わせは初めてですが、こうして見るとしっくりくる仕上がりなのでほっとしました。
 カキのキムチ炒めやカキキムチ漬けはよく聞きますが、丼にするとは思いも寄りませんでした。
 キムチから漂うにんにくの匂いといい、カキ唐揚げから香るごま油のふくよかな香りといい、これは味のほうにも期待が持てそうです。
カキの唐揚げキムチ丼7
 それでは、出来たてほやほやの内にいざ実食!
 いただきま~す!
カキの唐揚げキムチ丼8


 さて、味の感想ですが…確かに「おお!」と目を見張りたくなる衝撃的な旨さ!キムチとカキのコンビネーションが最高です!
 半生で、中からミルキーな磯風味のエキスが溢れ出してくるカキ唐揚げの甘味が、ほんのり甘塩っぱいピリ辛タレでぐっと引き立てられており(←ちょっと焼肉のタレに似ています)、単品で食べるよりも味の輪郭がくっきり浮かび上がっているように感じました。
 小麦粉のみでシンプルに揚げている為、フライ物というよりは素揚げに近く、カキその物を楽しめる美味しさに仕上がっていて意外とさっぱり頂けます。
 この極薄衣にしっとり浸透している醤油の塩気、すりゴマの香ばしいコク、唐辛子の辛みがカキの旨味成分にボリューム感をプラスするのに成功していました。
 作中で山岡さんが「カキが柔らかくて、噛むと中から美味しい汁がぴゅっと飛び出して、そのカキの味と、キムチの酸っぱさ、辛さが絡み合って、複雑な味の構造を作り上げる!」と言っていましたがまさにそんな感じで、あまりご飯のおかずにはならないカキを見事に丼として調和させているのに感心しました。
 また、キムチの酸味が後口をすっきりさせて引き締めているのがいい感じで、見た目よりはあっさりした味なのが特徴的です。
 白菜の茎部分のザクザク感が小気味良く、柔らかい食感のカキといい対比になっていました。。
 キムチからご飯に染み込んでいる漬け汁の複雑な出汁成分が、トロッと口の中でとろけていくカキをしっかり受け止めてよく合っており、単純なようで結構奥行きのある丼です。


 今までずっと気になっていたものの、ずっと作れなかった料理だったので感慨もひとしおでした。
 これまで前置きにて再現予定としてご紹介した『美味しんぼ』料理は、“女性向けのデザートカクテル”、“アワビのしゃぶしゃぶ”、“パンケーキのスープ”、“はるさんの贅沢牛鍋”、“中華風ソーセージの炊き込みご飯”、“八百屋のスープ”ですが、実を言いますと最近“小泉局長の中華スパゲティ”と“はる風豚カツ”の方を先に再現してしまったので;、今月はそちらの方を記事にまとめてアップしようと思います。

P.S.
 内容の間違い、アドバイス、誤字などをコメント欄にてお知らせして下さる皆様、毎回誠にありがとうございます。
 ここ数年ほとんどご返信が出来ておらず心苦しい気持ちになっておりますが、頂いたコメントは全て目を通させて頂いており、その都度ブログ運営の励みとなっております。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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