『クッキングパパ』の“ピリ辛春雨豆腐”を再現!

 少し前、あるアプリを携帯から削除して退会手続きも済ませたんですが、何故か未だにキャンペーンメールが来続けていて弱っています。
 何度かメール配信停止手続きをしたんですがそれでもくる為、最近ではもうあきらめの境地に至りつつあります。
 なので、近頃は「ちゃんと別れたはずの相手から、未だ付き合い続けているかのようなメールが来る気持ちって、こんな感じなのかな?」と考える事で気を紛らわせつつあります(←交際歴が相方さん一人でカウントが止まっているので、あくまで想像の範疇でしかないのですが…)。

 どうも、洋画にありがちなセリフ風に例えるとするなら「もうたくさんだ!」(←※玄田哲章さんのシュワちゃん声で再生して下さい;)な気分の管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて工藤君が東京支社で親しくなった直属の上司・島田係長と一緒に作った“ピリ辛春雨豆腐”です!
ピリ辛春雨豆腐図
 田中君との結婚を機に夢子さんが退社した後、その穴埋め人員として営業第二課へやって来た工藤君ですが、後々人員不足が解消されてきた上に営業として見込まれたのもあり、数年後には東京支社へと転勤する事になります。
 工藤君はかなり口下手でヌボーっとした印象を与えるキャラなので、後々この人事異動を単行本で知った当初は「大丈夫かな…?」と心配したものでしたが、幸いにも工藤君は東京の地で心強い味方に恵まれます。
 それは、新しく直属の上司となった島田係長!
 仕事中は眼鏡を光らせながら厳しい口調で話す為、一見とっつきにくく見える男性なのですが、一旦家に帰ると面倒見がよくて奥さん想いな一面が目立つ優しい性格で、おまけに料理上手という嬉しい共通点も。
 工藤君が東京支社へやってきて一週間目に顔色が悪くなっているのを真っ先に気づいたのも島田係長で、帰りに自宅へ招いて疲れた体に効く“かつおのユッケ”をご馳走してくれた事があったんですが、島田係長のエプロン姿を見た工藤君は思わず「あっ。そっくり…」とすぐに荒岩係長を連想していました。
 それまで、工藤君にとって荒岩係長はよい上司であると同時に、歳の差を超えて料理という趣味で分かち合えるほぼ唯一の同士だった為、「やっと趣味について盛り上がれる人を見つけたのに、離れるのは辛いだろうな~」と工藤君を気の毒に感じたものでしたが、島田係長と打ち解けあったおかげで東京でも料理を楽しめるようになり、急に生き生きとし出したので、初めてこのシーンを読んだ時はよかった~と胸をなでおろしたのを覚えています;。
東京にきて心細かった工藤君ですが、荒岩主任に似た島田さんのおかげで何とか持ち直します
 そして、料理仲間を得て張り合いが出たのは島田係長も同様だったみたいで、お二人は会社でもプライベートでも親しくするようになります。
 けれども、普段から人付き合いが悪くてきつい印象を持たれがちの島田係長は東京支社の方々からどちらかというと敬遠されている為、周囲からするとお二人が仲良くなりすぎるのはあまり好ましい状態ではなかったようで、遂には「直属の上司だから仕方ないけど、あんまりべったりだとこの子まで周囲から浮いてしまう」という、複雑な眼差しで工藤君は見られるようになってしまいます(←唯一自由な雑談が出来て、誤解を解く絶好の機会となるお昼時間も、島田係長は愛妻弁当をこっそり食べる為という理由でほとんど一緒に食べなかったので、それも避けられる遠因になったっぽいです)。
 中でもその考えが強かったのは、東京支社でムードメーカー的な中堅の立場にいる社員・堀田さんで、ある日とうとう工藤君は「島田さんて仕事は出来るけど…あんな人だからさ」「あの人、ガンコでとっつきにくいだろ。付き合いも悪いし、苦手な人多いんだよな…」「まっ、ほどほどにしときなよ。でないと君まで浮いちゃうよ」とちょっとした忠告まで受けていました。
 正直、堀田さんも工藤君が早く職場に馴染んでくれるようにと気遣っているからこそ言いにくい裏の部分をわざわざ伝えてくれた節がありますので、単純にお節介と一言で切り捨てる気持ちになれないのですが、こちらとしてもリラックスした島田係長が見せる本当の顔を知っているので、何とも歯がゆくいたたまれない気持ちになります。
 こんな時、田中君やけいこちゃんみたいに社交的なキャラだったらうまく言葉でとりなせると思うのですが、いかんせん工藤君は内気で話下手なので「あ…い…そ…そ…そんなことなくて、島田さんは…」と心の中でしどもどしながらもどかしく口ごもるのが精一杯で、似たシーンに何度も立ち会ってきた工藤君タイプの当管理人は、このシーンを目にするたびに「あーー、分かり過ぎて心臓が痛いorz」と落ち込んでしまいます;。
しかし、島田さんは会社では寡黙で人付き合いが悪いのもあり、誤解されていました
 けれども、初登場時はオドオドするだけだった工藤君も、営業第二課のみんなと過ごした事によって大分成長しており、不器用ながらも「事務の西田さんが婚約したお祝いをする為に、今週の土曜日堀田さんのアパートで集まりがあるって言っていた…」「島田さんは誘っても来ないだろうって何も言われてなかったけど、この機会に島田係長の誤解を解きたい!」と考え、土曜日に島田係長の住むマンションへ行って「い…一緒に、お祝いの料理を、も…持っていきませんか?」と誘います。
 案の定、薄々自分が皆から快く思われていないことに気づいている島田係長は「う~ん、そうだな…俺はちょっと…」と最初は断りかけるのですが、そう言われる事を見透かしていた工藤君は「も…もう材料買って来たんです。春雨の、ぴりっと辛い中華料理…」「ぼ、ぼく考えたんですよ…普通、豆板醤を使う所を、か…韓国のコチュジャンに代えたらどうかなって…」と色んな工夫をそそるように話しだし、最終的に島田係長を「よーし、やってみよう!」とその気にさせていました(←お祝いや職場親交を理由に強引に押すのではなく、料理好きな部分を刺激して自分から動くよう仕向けるとは…見かけによらず、なかなかの策士ですね;)。 
最初は気乗りしない島田さんですが、工藤君の新作料理のアイディアを聞いて気が変わります;
 その際、工藤君が島田係長と協力し合って作り上げた西田さんへのお祝い料理が、この“ピリ辛春雨豆腐”です!
 作り方はそこそこ簡単で、油を入れて熱した中華鍋でしょうが・豚ひき肉・コチュジャン・中華スープ・春雨・醤油・日本酒・こしょう・ごま油を徐々に炒め合わせて煮込み、最後に豆腐を入れて火を通してからネギとお酢を振りかけたら出来上がりです。
 工藤君が言うには、「豆板醤ではなくコチュジャンを使うと、色も鮮やかになるし、味も爽やかさが増していいです」との事で、豆腐を入れる事によってボリューム感も増すすぐれ料理だとレシピ欄で語られていました。
 お酢を入れるのがちょっと意外でしたが、こうすると清涼感のある辛さになるんだそうで、読んでいるだけでお腹がすいてきます(´Д`*)。

 その後、勢いがついた島田係長は工藤君と共に“ピリ辛春雨豆腐”を届けに行き、最初はみんなからびっくりされるのですが、料理を一口食べるや否や「辛い!!」「辛いけどおいしーっ!!」と大喜びし、不信感は一気に消えた様子でホッとしました;。
 とはいえ、みんなお二人が料理上手だと知らないので「出来合いを買って来たんだろう」と納得しかけるんですが、気を利かせた工藤君が島田係長と一緒に作ったと話した途端、「えっ!この料理島田さんが作ったの!?」「島田係長、あたし達の為に素敵な料理をありがとうございます!」と一気に島田係長への「偏屈な人」という誤解はとけ、堀田さんも「へえ~っ、そういう人だったんですかーっ!」と素直に感心してわだかまりをといてくれていました。
 みんなへ内緒にしていた趣味がバレて照れくさそうに笑う島田係長と、「何だ、話せばいい人じゃないか」と急速に打ち解けていく職場の皆さんの歩み寄る温かな空気が微笑ましくて、個人的に大好きなエピソードです。
おかげで、東京支社の皆さんからの誤解はとけ、徐々に打ち解ける事が出来た島田さんでした
 元々ピリ辛春雨は好きだったので、「豆腐を入れたらどうなるんだろう?」と興味が出て、再現を決意しました。
 作中には詳細なレシピが載っていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、炒め作業。油を引いて熱した中華鍋(又はフライパン)へ、皮を取ってみじん切りにしたしょうがと豚ひき肉を投入して強火で炒め、強火でパラパラになるまで混ぜます。
 豚ひき肉の色が変わってしょうがの香りが立ってきたらコチュジャンを加え、よ~く炒め合わせます。
 その間、コシの強い春雨をぬるま湯に役十五分浸けて戻し、水気を切って食べやすい長さになるよう清潔なハサミで切ります。
ピリ辛春雨豆腐2
ピリ辛春雨豆腐3
ピリ辛春雨豆腐1
 次は、煮込み作業。
 コチュジャンが全体に馴染んできたら中華スープを注いで中火で煮込み、沸騰してきたら先程の春雨、醤油、日本酒、こしょう、ごま油を鍋肌に沿わせながら加え、味付けします。
ピリ辛春雨豆腐4
ピリ辛春雨豆腐5
 味見をしてちょうどよく感じたら、絹ごし豆腐をお玉ですくい取りながら入れて荒く崩し、豆腐の中に熱が通るまでじっくり煮込みます。
 やがて、豆腐が温まりきったら刻んだ長ネギをたっぷり投入し、ざっと数回混ぜます。
 ※この時の煮込みが中途半端だと、春雨にも豆腐にも味が浸透せず美味しさが半減しますので、中華スープの量が目に見えて少し減ったと感じるまで約数分煮込んだ方がいいと思います。
ピリ辛春雨豆腐6
ピリ辛春雨豆腐7
 仕上げにお酢をさっと回しかけて軽くひと混ぜしたら火を消し、そのまま大きめのお皿へ移せば“ピリ辛春雨豆腐”の完成です!
ピリ辛春雨豆腐8
 パッと見は麻婆豆腐風ですが、真っ赤に染まったひき肉の間で所々春雨がキラキラと光るので、すぐに違うと分かります。
 半透明というよりはほぼ透明なので、すぐ下の具が透けてしまうのが何とも不思議な感じです(←まるで、雨だれを一つずつ手繰り寄せてそっと固めたようだと思いました)。
 市販の麻婆春雨についてくる春雨とはまた一味違うので、一体どんな味がするのか楽しみです!
ピリ辛春雨豆腐9
ピリ辛春雨豆腐10
 それでは、春雨がのびてしまわぬうちにいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
ピリ辛春雨豆腐11


 さて、味はと言いますと…ちょうどいい辛さが食べやすくて美味し!微妙な暑さをスカッとはね飛ばしてくれます!
 豆板醤を使わずコチュジャンオンリーの為辛味はそこまで強くなく、舌へピリッときた後すぐに引いていく辛さが印象的ですが、それがかえって工藤君の狙った爽やかさを演出している感じでたまりません。
 ちゃんぽん麺みたいに内側まで旨辛いスープを吸い込み、それでも尚しなやかで透明感のあるコシを失わないツルツル春雨も、辛さによって大豆の甘味がさらに引き立っている豆腐も最高です。
 見た目は「麻婆豆腐と麻婆春雨のいい所取りをしました」というイメージですが、味はどちらかと言うと麻婆春雨よりのマイルドな甘辛さが効いており、にんにくや片栗粉が入ってない分さっぱりとキレのいい後口が特徴的だった為、「麻婆春雨の具に豆腐を追加しました」の方がよりイメージに近いな~と感じました。
 脂分が濃い豚ひき肉、香ばしいコクのごま油が奥深いこってり感をプラスしている所へ、しょうがのすっきりした風味や長ネギの清々しいシャキシャキ感が重くなりそうなのを程良く防いでいてよかったです。
 意外にも、仕上げにチョロッと加えたお酢がいい仕事をしており、スカッと後引いて辛酸っぱくしているのが味に広がりを与えていてナイスです(←うまく言えませんが、酸辣湯のあの柔らかい酸味そっくりでした)。


 切れそうで切れないしなやかなコシを持つ春雨に辛い味付けがぴったりで、一度食べると中毒になります;。
 市販のごま油の風味が濃い麻婆春雨の素もおいしいですが、こちらのレシピもまた違った美味しさですので、いろんな方にお勧めしたいレシピです。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『華中華』の“横浜三塔物語チャーハン”を再現!

 大宰府天満宮付近で売られている餅菓子・梅が枝餅は、福岡県民なら知らぬ者はいないと言っていい程有名なお菓子ですが、贔屓店は人によってかなり違います。
 お餅と餡子だけの極めてシンプルな焼餅なのですが、それだけに製法や材料による僅かな差で味に違いが生じますので、食べ比べしてみるとなかなか面白いです。
 ちなみに当管理人は、幼い頃からの馴染みで一番しっくりくるやす武さんと、大学時代に初めて知って以来お気に入りのきくちさんを贔屓にしています(^^)。
 やす武さんはあっさり上品で甘さ控えめな素朴餡&パリッと香ばしいお餅、きくちさんは味が濃くてちょうどいい甘さの餡&もっちり重視で弾力のあるお餅が魅力的ですので、どちらもおすすめです。

 どうも、薄紙で包まれた梅が枝餅を片手に天満宮をぶらぶらした記憶がよみがえって来た管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にて島野さんとハナちゃん達が力を合わせて作り上げた新作ランチ・“横浜三塔物語チャーハン”です!
横浜三塔物語チャーハン図
 それは、パワースポットが少しブームになっていた2010年9月頃のお話。
 キングの塔(神奈川県庁本庁舎)・クイーンの塔(横浜税関)・ジャックの塔(横浜市開港記念会館)と呼ばれている三塔を一望する事ができる大桟橋、赤レンガ倉庫、県庁正面の三か所を巡れば願いが叶うという、通称「横浜三塔物語」と呼ばれる都市伝説の噂が、ハナちゃんの周囲で広まります。
 楊貴妃さんは全く信じていない様子でしたが、ハナちゃんは「世界一の料理人になるという夢を叶うべく、いつか行きたい」と実家宛のお手紙に書いて送るくらい興味津々だったらしく、楊貴妃さんから「パワースポットなんか信じちゃうとは…ハナちゃんも、やっぱり女の子なんだね~」「ハナちゃんの努力とあの才能があれば、そんなものに頼らなくても、世界一の料理人になれるさ!」と微笑ましく思われていました。
 正直、当管理人もこういうお祭り騒ぎに乗るのは嫌いではないのでハナちゃんの気持ちも分からなくはないのですが、どちらかというと島野さんの「あたしが願掛けなんてやる訳ないでしょ!頼るべきは自分のみよ」という考えの方が共感できるので、楊貴妃さんの意見に賛成でした;。
 けれど、島野さんは横浜三塔物語を全然信じていないもののその経済効果には目をつけていたらしく、この流行に乗っかってランチを出さない手はないと思って早速マダム奈可子さんに新作ランチ作成の相談をし、見事了承を得ていました。
 キャッチコピーは「このチャーハンを食べれば願いは叶うかも…」で、仮に叶わなかったとしても神社にクレームをつける人がいないように文句のつけようがないのだから、信じる者こそ救われるメニューとして売り出せばいいと島野さんは強気に宣言していて、思わず苦笑しました;。
 調べてみると、何とあの崎陽軒もかつてオリジナル三塔弁当を売り出していたり(現在は販売終了)、各店でもスティックケーキなどといった様々なお菓子が販売されるようになったり、遂には「3月10日は横浜三塔の日」と決められるに至るなど、横浜三塔物語の都市伝説は地域活性化に役立っており、島野さん同様あやかっていた方はいっぱいいたんだな~としみじみしました;(なお、島野さんみたいに「願いがかなうかも」という大胆なキャッチコピーを使っている所はさすがにありませんでした;。強いて言うと、神奈川県のHPが「この3つのスポットには目印が設けられています。皆さんも探して、少し幸せになりませんか」というほのぼのとした呼びかけがされているくらいでした)。
 元は単なる噂でも、大勢の人が存在を認知するようになると途端に真実に近い力を得るようになるのだという事を、実感させられます。
横浜で噂になっているパワースポットにあやかった新作ランチ作成の、ゴーサインが出ます
 こうして、マダム奈可子さんからゴーサインが出された島野さんは、その日の内に昼食を食べる時間を削ってまで案を練り、残りのお昼時間を使ってハナ・チビ太さん・ノッポさん・ブーちゃんと共に試作品を作り上げます。
 その際、島野さんがハナちゃん達に色んなアドバイスをしながら仕上げたのが、この“横浜三塔物語チャーハン”です!
 作り方は結構手間がかかり、塩こしょうとタイムをはたいたカジキ・四川唐辛子と塩をまぶした海老・カレー粉と塩で味付けした豚ロース肉を砕いたコーンフレークの衣をつけて揚げ、カジキフライは細長く成形した基本チャーハン、海老フライは低めに成形したピリ辛トマトチャーハン、一口カツは中くらいの高さに成形したカレーチャーハンの上に飾り付け、最後に横浜の海に模したサラダと一緒にお皿へ盛り付けたら出来上がりです。
 島野さん曰く、カジキフライ&基本チャーハンはジャックの塔、海老フライ&ピリ辛トマトチャーハンはクイーンの塔、一口カツ&カレーチャーハンはキングの塔をイメージして作ったのだそうで、衣にコーンフレークを使ったのも揚げる事によってカリカリになるだけでなく、見た目もレンガ造りの塔に似るので採用したと語っており、単なるネタ料理にさせない工夫がなされているのに感心します。
 ポイントは、フライに使う具材は塩味を強めにしてソースを使わなくても美味しく食べられるようにする事、揚げ油からフライを引き上げる時に下の方を一ミリだけ浸して数秒待ち、油切れを完璧にしてから引き揚げる事の二つだと作中で語られていました(←何でも、表面張力の作用で余計な油がスーッと下へ流れていくのだとか)。

 ちなみに、千切りキャベツを海に、そしてきゅうりやカラーピーマンを船型に仕立てたサラダを考案したのはハナちゃんで、彩りと口直しを一挙に解決するこの名案に島野さんは「まあ、それはグッドアイディアね!」とすぐに取り入れていました(美味しいだけではなく、見る人の気持ちがパッと華やいで食欲もそそられるような料理を作れるのは、ハナちゃんならではの強みだと改めて思いました^^)。
パン粉の代わりに、何とコーンフレークを衣にしてカラッと揚げていました!カジキマグロ、海老、豚ロースの揚げ物、それに三種類のチャーハンを合わせて作ります
 その後、島野さん達は出来立てほやほやの“横浜三塔物語チャーハン”を急いでオーナー室へ運び、マダム奈可子さんに食べてもらうのですが、「まあ素敵!食べるのが勿体ないくらいだわ」「美味しい!ピリ辛で見た目よりも大人の味ね」と大絶賛で、皆ほっとした表情になっていました。
 実を言いますと、その場にはマダム奈可子さんだけでなく夫・計太郎さんもおり、「私の大好きな海老フライは残しておいてくれよ」とお願いされていたのですが、マダム奈可子さんは「ダメ!海老フライは私がもらうわ。だって私は、このお店のクイーンですから」(←妙に説得力があります;)とすげなく断っていて、計太郎さんをがっかりさせていたのですが、何と楊貴妃さんが一瞬の隙をついて海老フライを掠め取っていったものだから、大騒ぎ!
 楊貴妃さんの存在など知る由もないマダム奈可子さんは、唯一近くに立っていた計太郎さんを当然の如く疑って「計太郎さん、私に黙って食べちゃったのね!」「お、俺は知らないぞ!そんなことを…;」「ホント、あなたって人は…子供みたい!」と他愛ない夫婦喧嘩を繰り広げ、島野さん達を苦笑いさせていました(←ただ、ハナちゃんだけは薄々勘付いていて「もう…楊貴妃さんったら…!」と困っていました;)。
 一方、楊貴妃さんは満点大飯店の屋上で下の騒ぎなどどこ吹く風でニコニコ海老フライを頬張り、「この海老フライ、カラッと揚がってて本当に美味しいわ~♪」と高笑いしていました(^^;)。
 美味しい物を目の前にすると、つい見境がなくなる横浜中華街影のクイーン・楊貴妃さんのお茶目さが際立ったエピソードです。
満点大飯店のクイーンたる自分が、クイーンチャーハンの海老フライを食べるべきと主張する奈可子さん;楊貴妃さんは海老フライをこっそり取った後、屋根の上でのんびりつまみ食いをしていました;
 作るのに相当時間と労力がかかりそうだったので躊躇していたのですが、一体どんな味がするのか気になって仕方がなかった為、再現を決意しました。
 作中にも巻末のレシピにも作り方が詳しく乗っていましたので、なるべく忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、フライの下準備。カジキの切り身ととんかつ用豚ロース肉を二等辺三角形に切りわけ、カジキはタイム・塩・こしょう、豚ロース肉はカレー粉・塩で味付けして、そのまま放置します。
 一方、海老は殻と背ワタを取ってから塩と四川唐辛子のみじん切り(←種を取ってから刻まないと、激辛になりますので要注意!)をまぶしておきます。
 ※ソースをつけずにいただくので、塩味は強めがいいです。
横浜三塔物語チャーハン1
横浜三塔物語チャーハン2
横浜三塔物語チャーハン3
 その間に、チャーハン作り。
 最初に、ハナちゃん流基本チャーハンを作って三等分にし、一つはそのままでジャック用チャーハン、もう一つはトマトピューレと細かく刻んだ四川唐辛子を混ぜて炒めてクイーン用チャーハン、さらにもう一つはカレー粉を振りかけながら混ぜ合わせてキング用チャーハンにし、三色のチャーハンを用意します。
横浜三塔物語チャーハン4
横浜三塔物語チャーハン5
横浜三塔物語チャーハン6
 ジャック用チャーハンは細長い容器、クイーン用チャーハンは背の低い容器、キング用チャーハンは中サイズの容器に入れて塔の形になるよう形作り、白くて大きなお皿に乗せます(左からキング→ジャック→クイーンの順に、トライアングル状になるよう並べます)。
 一方、キャベツは千切り、きゅうりは包丁と飾り串で船型に細工、カラーピーマンは種とヘタを取って斜め切り、プチトマトは小さなくし型切りにし、三つのチャーハンの中央へ横浜の海を模すようにして盛り付けます。
横浜三塔物語チャーハン7
横浜三塔物語チャーハン8
 次は、いよいよフライ作り。
 先程準備したカジキ、豚ロース肉、海老へ小麦粉→溶き卵→細かく砕いたコーンフレークの順に衣をつけ、170度に熱した揚げ油でカラッとなるまで揚げます。
 引き上げる時に数秒だけフライを揚げ油に一ミリだけ浸けて油きれを完璧にし、キッチンペーパーに置いて余分な油分を吸い取らせます。
 ※ノンシュガータイプのコーンフレークがスタンダードな美味しさでいいですが、シュガータイプを使っても何とも言えない甘塩っぱさが絶妙なアクセントになりますので、甘味のある揚げ物に抵抗がない方はそちらで試してみてもいいと思います。
横浜三塔物語チャーハン9
横浜三塔物語チャーハン10
横浜三塔物語チャーハン11
 カジキフライをジャック用チャーハン、海老フライをクイーン用チャーハン、一口カツをキング用チャーハンの上に乗せてしっかり固定すれば、“横浜三塔物語チャーハン”の完成です!
横浜三塔物語チャーハン12
 コーンフレークをつけて揚げたせいか、やや固めの衣に仕上がったのですが、おかげでチャーハンの塔にしっかり刺さったのでほっとしました;。
 千切りキャベツの海にきゅうり、カラーピーマン、プチトマトの小船が浮かんでいるのがとてもきれいで、見ているだけで心癒されます。
 三種の揚げ物とチャーハンの組み合わせが、それぞれどのような味わいを生み出すのか…楽しみで仕方がありません。
横浜三塔物語チャーハン13
 それでは、出来立ての内にいざ実食!
 いっただっきま~っす!
横浜三塔物語チャーハン17


 さて、味の感想ですが…どのチャーハンもフライも相性抜群で旨し!ソースなしでも十分満足出来ます!
 パン粉の代わりにコーンフレークを使ったせいか、サクサクというよりはカリカリザクッとした軽くてクリスピーな香ばしい食感が特徴的で、脂っこさをあまり感じさせないのに感心しました。
 パン粉だと時間が経てばへしゃげますが、コーンフレークだといつまでもポテチに似た小気味良い歯触りが持続するのがいい感じです。
 海に模した千切りキャベツのサラダが後味をさっぱりさせているのがナイスで、見た目も味も楽しめるお得なプレートでした。

 ジャックの方は、タイムの清涼感と気品を兼ね備えた華やかな緑の香りが、ただのフライをまるでハーブパン粉焼きのような洒落た味わいに変身させており、それがシンプルな基本チャーハンとよく合っていました。
 カジキの癖がないあっさりした白身も、フライにする事によって適度な油分がついて食べ応えのある味わいになってて、バランスのとれた美味しさになっていると思います。
横浜三塔物語チャーハン14
 クイーンの方は、普通の唐辛子よりも香りがさらに複雑で痺れるような辛味が効いた四川唐辛子が、いい仕事をしています。
 チキンライスともちょっと違う独特なトマト味のチャーハンによって、エビチリのような味に変身しているプリプリの海老フライがまた秀逸です。
 アラビアータ風の辛いようでじんわり甘酸っぱい、刺激的な味付けのチャーハンが海老フライとぴったりでした。
横浜三塔物語チャーハン15
 キングの方は、三種の中で最もパンチの効いたスパイシーな仕上がりのカレーチャーハンが、濃厚な一口ロースカツの旨味に負ける事なくぴったりマッチしています。
 カレーの心とろかす風味が豚肉特有の臭みをかき消し、パン粉よりも少し硬めなコーンフレーク衣がカツに絶妙なアクセントを付け足していました。
 ピラフでなく、チャーハンにする事によりガツンとコクが増したご飯がよかったです。
横浜三塔物語チャーハン16


 作る前は「コーンフレークだとボロボロに崩れそう…」と少し心配でしたが、実際に揚げると意外にしっかりくっついて揚がったので驚きました。
 大人でも楽しめそうですが、どちらかというとお子様ランチに似た可愛らしい印象を受けたので、周りにハンバーグやオムレツなども添えてお祝いごとの日に作ってみるのもありだと思います。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
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『築地魚河岸三代目』の“イワシの炊かずメシ”を再現!

 今年の夏、イサキを塩焼きにしたものを実に十年ぶりに食べたのですが、皮のぱりぱり感や、塩とこれ以上ないくらい合う癖がなくて上品な白身が美味で、一気に虜になりました(←これまで、塩焼きはさんまが一番だと考えていましたが、イサキは全く別のベクトルで最高でした)。
 見た目もスタイリッシュな縞模様といい、真ん丸な目といい、優しい愛嬌のある顔といい印象的でしたので、来年もまた時期が来たら食べたいな~と思います、

 どうも、真鯛並に成長したイサキの成魚姿を見た時、思わずポケモンのゼニガメとカメックスの違いっぷりを思い出して切なくなった管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『築地魚河岸三代目』にて主人公・旬太郎さんが異色の役人である織田さんから教わった“イワシの炊かずメシ”です!
イワシの炊かずメシ図
 『築地魚河岸三代目』は多種多様な魚の特徴や食べ方を色々紹介してくれる為、「この魚はどんな特徴が?」「今日は魚のおかずを食べたい!」という時の心強い味方ですが、時折現代における魚河岸や漁場の問題、漁獲高、新しい流通形態など、魚に関するあらゆる課題を分かりやすく説明してくれる回もありますので、勉強になります。
 今回ご紹介するのは、最近本誌にて取り上げられていた「魚食文化崩壊序曲」というお話。
 ある日、旬太郎さんは老舗<新宮>の三代目・秀一郎さん(←築地では一目も二目も置かれているサラブレッド的存在で、旬太郎さんのライバルであると同時によきアドバイザー。当初は「認識が甘過ぎる…」と旬太郎さんを鬱陶しがっていた節がありますが、最近ではツンデレしつつも内心認めているようです;)の好意により、「このままでは、日本の魚文化が滅びてしまう」という危機意識を持って魚食を復活させようと全国を飛び回る男性・織田さんと引きあわされます。
 織田さんは仲卸でも漁師でもなく、何と水産庁のれっきとした役人なんですが、普段は背広を着ず私服同然の姿で「日々の家庭料理に魚料理を再度根付かせ、魚の消費量を増やしたい」「魚食文化を復旧させるためなら、全国の漁業組合の婦人部、青年部…どこへでも駆けつけるんだ」という信念の元、あちこちの家庭で魚料理に馴染んでもらう為の活動を行っている異色の役人で、その活動はRe-Fish食堂の立ち上げから料理教室の講師役まで幅広く、旬太郎さんを圧倒します(←どうやら、Re-Fishの代表・上田勝彦氏がモデルのようです)。
水産庁の異色職員・織田さんが繰り広げる魚食推進運動に、感銘を受ける三代目
 このように書きますと、織田さんはガチガチの理想主義者のように思われてしまいそうですが、実際は「俺は肉を否定してる訳じゃない。牛や豚、鶏、羊も大好物だ」とも話す柔軟さを持つ方で、魚食を盛んにさせたいのも単に昔から食べ続けられてきたからという理由だけではなく、「日本に限らず、その国に生きるという事は、その国で穫れる物を食べる事だと俺は思うんだ。日本では、約五百種類の魚介類が周囲の海から手に入る」「国土が狭い日本で、今の人口を賄えるほどの牛や豚は育てられない。飼育に必要な土地だけでなく、与える飼料を考えてもそうだ」という現実面でも魚の文化を蘇らせる利点が数多いと説明しており、読んでいて納得しました。
 確かに、魚料理は美味しいし調理法も豊富なので織田さんの意見には大賛成だったんですが、(これは当管理人の田舎だけかもしれませんが)魚の値段は肉の値段に比べるとやや高めにつきやすいという事も魚食の敬遠につながっていると個人的に考えている為、豚の切り落とし感覚で安く手軽に魚を手に取れるようになったら、尚広まるのでは…と素人考えで妄想したものです;。

 後々、旬太郎さんは織田さんが講師として招かれた「大地を愛でる会」の魚料理教室へ参加するのですが、織田さんは時間がない時でも簡単に作れる料理だけではなく、旬太郎さんすら知らなかったという「イワシはよく洗う。昔からイワシ七度洗えばタイの味って言われていてね、こうするとイワシも臭みが取れて一層うまくなるんだよ」「スーパーで売ってる魚の切り身も、調理前にさっと洗って拭くと表面の雑菌がとれて臭みが取れ、旨味はそのまま」など効果的な下処理法まで丁寧に教えるなど、家庭でも手軽に美味しい魚料理が作れるという事を明るく楽しく啓蒙しており、旬太郎さんにいい刺激を与えていました。 
あちこちの料理教室や集まりに呼ばれては、魚を簡単に美味しく頂ける食べ方をレクチャーします
 そして、料理が出来上がった後旬太郎さんは試食会でお相伴にあずかるのですが、中でも一番気に入っていたのがこの“イワシの炊かずメシ”です!
 作り方はかなり簡単で、みじん切りにして塩と日本酒をまぶしたイワシを、炊いて保温にしたご飯が入っている炊飯器に入れて三分近く放置し、仕上げに薄口醤油・しょうが・青ジソを加えて少し蒸らしたら出来上がりです。
 最大のポイントは「炊かないこと」で、<新宮>三代目の秀一郎さん曰く「魚の炊き込みご飯は温かい内はいいのですが、冷めると酸化した脂分が鼻について味が落ちてしまいます」「炊き上げた後のお熱で蒸らす方法だと、低温・短時間の加熱で済むので、参加するほど脂が出ない」との事で、旬太郎も「今までに食べた炊き込みごはんとは一味違う」と目が生き生きしていました。
 入れて炊いて、後は直接薄口醤油を垂らして混ぜるだけという超楽ちんメニューで、奥様方も「本当に臭みが消えるのね!」と大好評でした。
 正直、魚は炊き込みご飯にするにしても、混ぜご飯にするにしてもしっかり火を通してから、という考え方が合った為、低温で火を通し過ぎない“イワシの炊かずメシ”の発想には意表を突かれたものです。
 しかし、考えてみればお肉も保温調理や低温調理にした方がむしろ風味を失わず肉汁たっぷりに仕上がるという実績がありますので、魚の方もそうだとしても、何ら不思議はないように感じました。
炊くのではなく、余熱で短時間だけさっと蒸らすだけで作れるので楽ちん!炊き込みご飯と違い、冷めても油が酸化せずに香りが爽やかなのが特徴的だそうです
 本誌で見て数日間、ず~っと気になっていた為、再現する事を決意しました。
 作中には詳しいレシピが載っていたことですし、新鮮なイワシを使って早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、イワシの下準備。三枚おろしにしたイワシに粗塩を振ってしばらく置き、表面に水分が浮いてきたら流水で軽く洗ってキッチンペーパーか清潔な布巾でしっかり拭き取り、包丁でみじん切りにした後お酒を振って混ぜ合わせます。
イワシの炊かずメシ1
イワシの炊かずメシ2
イワシの炊かずメシ3
 次は、混ぜ込み作業。
 通常よりもやや固めの水加減の白ご飯が炊けたら、その上へ先程のイワシを広げて乗せてすぐにフタをし、約三分蒸らします(下の画像だとちょっと偏り過ぎですので、気持ち広げた方がいいです)。
 時間が経ったら、みじん切りにしたしょうがと千切りにした青ジソを投入してさらに一分蒸らし、薄口醤油で味付けしながらしゃもじでさっくりふんわり混ぜ合わせます。
 ※薄口醤油は塩分が濃いめですので、こまめに味見をしながら混ぜた方がいいです。あと、イワシを入れても蒸らすだけで、炊飯厳禁です!!
イワシの炊かずメシ4
イワシの炊かずメシ5
イワシの炊かずメシ6
 塩加減が決まり、ご飯全域に具が行き渡ったらお茶碗へよそい、そのまま味噌汁などと一緒に食卓に運べば“イワシの炊かずメシ”の完成です!
イワシの炊かずメシ7
 見た目だけだと魚の炊き込みご飯というより、「ひき肉の混ぜ込みご飯?」と戸惑ってしまいますが、イワシの脂特有の甘やかな香りが漂う為、すぐにイワシだと気づきます。
 イワシ臭さはなく、逆にしょうがのすっきりした香気が強い為、爽やかな印象を受けました。
 蒸らすだけ、混ぜるだけ、味付けの薄口醤油だけという魚ご飯は初めてなので、一体どんな味がするのか興味津々です。
イワシの炊かずメシ8
 それでは、出来たてほやほやの内にいざ実食!
 いっただっきま~っす!
イワシの炊かずメシ9


 さて、味の感想ですが…びっくりするくらい柔らかな口当たりで美味!「こんな涼やかなイワシって初めて」と言った奥さんの気持ち、よく分かります!
 炊かずに蒸らしたおかげでイワシの身が全くぱさつかずジューシーに仕上がっており、噛めば噛む程さざ波のようにイワシの濃厚なエキスがはちきれんばかりに溢れ出してきます。
 魚を炊き込みご飯の具にすると、出来たては最高でも一旦冷めると急に臭みが強くなり、脂が酸化するせいでどことなくぎっとり感が出るのが難点でしたが、炊かず飯にすると冷めた後も臭って嫌な味にならず、ふうわりと優しい味わいのままなのに感動しました。
 香りと色は薄いものの塩気は濃口以上にキリッと効いている薄口醤油が、イワシ特有のこってりしつつも爽やかな脂分を殺さず引き立てているせいか、シンプルながらもしみじみ奥行きのあるコク塩味に仕上がっており、癖になります(←魚醤系の、舌へ直接ガツンと響いてくる強烈な旨味成分に通じる物がありました)。
 しょうがのすっきりした風味やわずかな辛味、青ジソのサクサク感がいいアクセントになっていて、例えるとするなら「純和風・イワシのジューシー香味そぼろご飯」というイメージです。
 何と言いますか、イワシがフレッシュなままご飯に活きて浸透しているという印象で、刺身にしたり焼いたりしたイワシとはまた違った魅力がありました。


 炊き込みご飯ももちろん美味ですが、冷めても臭みがなく、変質した脂に悩まされませんので、お弁当やおにぎりにはこちらが断然いいと感じました。
 魚はイワシじゃなくても、アジ・鮭・マグロを使ってもおいしく出来るとの事でしたので、その内いろいろ試してみようと思います。

●出典)『築地魚河岸三代目』 作画:はしもとみつお 原作:九和かずと 原案:鍋島雅治/小学館
   (週刊ビッグコミック NO19 2013年10月10日号掲載分)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『花のズボラ飯』の“女子力満々美人焼きそば”を再現!

 最近、大人のたけのこの里を冷蔵庫で冷やして食べるのにはまっています。
 こうすると、常温だと普通の口解けなのが、チョコアイス並にパッキパキの食感になって口当たり面白くなる為、一度で二度おいしいです。

 どうも、板チョコ型のアイスを食べていると外側のチョコ部分があっちこっちに飛び散って砕けるのが非常に食べにくいと感じている管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『花のズボラ飯』にて花さんが女子らしい焼きそばを追及して作った“女子力満々美人焼きそば”です!
女子力満々美人焼きそば図
 それは、花さんがいつも通りパート先から電車に乗って帰宅していた時の事。
 運悪く席に座れなかった花さんは吊り革を握って立っていたのですが、正面の席に座る大学生グループが焼きそばについて妙に盛り上がっているのが気になり、思わず耳をそばだてます(←“ハナさん流明太子丼”の時と同じシチュエーションですね)。
 赤の他人の会話をこっそり聞くのは、後ろめたいような悪いような気がしてどうも気が咎めるのですが、不意に興味のあるワードが耳に入ると「え、何なに?」「中途半端だと、かえって続き気になる」と全意識が耳に集中してダンボになり、そのくせ顔だけはおすましで知らんふり状態になるのはよくあるパターンですので、つい共感してしまいました(^^;)。
 そのグループは男の子一人、女の子二人だったんですが、お互い恋愛感情らしきものは全くなさげで(←友達っぽく見えても、実際は昼メロ真っ青な相関図は日常茶飯事と共学の大学に通っていた知人から聞いていた為、ほのぼのしました)、「ほんっとコースケ校内で見るたびカップ焼きそば食べてない?」「そんなに食ってねーよ」「でも焼きそばって<男の子>ってイメージよね」「子じゃねーし」などと最初は他愛ない会話をしていた為、花さんもその時は「確かに、焼きそば男の子だわ」『孤独のグルメ』の名言・「ソースの味って男のコだよな」と微妙にリンクする発言を心の中でするだけでした。
 しかし、コースケ君が「俺の決め手はウスターソースじゃぶじゃぶがけ」「いや、これがウマいんだって、最後おかかドカがけ」と独自のこだわりを話し出すや否や女の子たちは一気に色めきだち、「ねぇねぇ、作ってよ女子にウケる焼きそば」「ね、女子力高い焼きそば食べさせてもらおうよ」とムチャぶりを出してコースケ君を困らせ、密かに話を聞いていた花さんをも「女子力高い焼きそばぁ?」と怪訝にさせつつ「挑戦してみるか」という気にさせていました;。
 そもそも女子力という概念自体が曖昧なので、結構な難題だと思うのですが、それでも何の気負いもなく(そして、女の子達に試食してもらえる訳でもないのに;)頑張れる花さんは、相変わらずすごいな~と感心します。
電車の中で大学生三人組が、「女子力満々な焼きそば作ってよ~」という話題で大盛り上がり
 こうして女子力の高い焼きそばを作る事にした花さんは、電車から降りてすぐスーパーへ直行し、「女子力には何が必要?」という哲学的に見えなくもない自問自答をしながら買い物を開始します。
 キャベツやもやしはすぐに即決していましたが、にんじんは「皮むき細切りめんどくさい」、ニラは「女子力低い」という理由で却下しており(←ニラはともかく、にんじんの理由は逆に女子力を大いに下げているのでは…と突っ込んでしまいました; )、代わりにカイワレと赤ピーマンが採用されていました。
 花さんの推理によると、「ソース焼きそばが女子っぽくないのは色味が全部茶色系なトコよ!!」「それをトッピングの紅ショウガと青ノリでごまかしてるのがまた男子なのよ、野暮ったいのよ」だそうで、その野暮ったい部分を打破する為に選んだとの事でした。
 正直、これには当管理人まで「それだ!」「ソース味が男の子なんじゃない、ソース味にチョイスする具材の組み合わせに男の子っぽさが出るんだ!」とすっきりさせられたので、花さんにちょっぴり感謝です(←勿論味の相性で決めた所もあると思うんですが、彩りにあえて野菜ではなく、直球な色で栄養も微妙な紅しょうがや青ノリを使っちゃう所が、如何にも男の子っぽいなぁ…と頷いてしまうのです;)。
 ※↑上記の文の意味が分からない方、安心してください。当管理人も書いててそんな気がしていたので、勢いで読み飛ばしてくださると幸いですorz。
焼きそばが男子で野暮ったいのは、色味を紅しょうがと青のりに頼ってるからと予想するはなさん
 実を言いますと、家に帰って調理開始した花さんはサラダ油が切れかけているのをみてやる気が萎え、仕方なくオリーブ油を使おうとするのですが、突如料理の神様が舞い降りて怒涛のようにアイディアが思い浮かび、「ここから始まる女子焼きそば!」「勝利は見えた!」とさらにモチベーションアップしています。
 その結果、燃えに燃えた花さんがたった七分で作り上げたのが、この“女子力満々美人焼きそば”です!
 作り方は簡単で、キャベツ・玉ネギ・赤ピーマン・もやし・豚バラ肉・おろししょうが・オリーブ油を塩こしょうで炒め、途中で焼きそば麺(どう見てもマ○ちゃんの三人前焼きそばでした;)、付属の粉末ソース、ウスターソースを加えて混ぜ合わせてお皿に移し、最後にカボスを絞ってかつお節とカイワレを飾り付けたら出来上がりです。
 ポイントは、野菜を丁寧かつ細めに切りそろえる事(←「ズボラで、カット野菜を愛用する花さんが…?!」と衝撃を受けました;)と、ウスターソースをジャブジャブ使う事(←コースケ君のこだわりに惹かれた花さんが採用)だとか。
 今回、花さんは珍しい事に各食材をメイクに例えて「豚バラ肉=大胆なベース」、「カボス=ファンデ」、「カイワレをふる=お粉をはたく」と表現しているのですが、不思議と抵抗感はなく、かえって「焼きそばが美味しくメイクアップされていく…!」と妙にそそられました(←もしかしたら、『シルシ○ミシルさんデー』の工場見学でよくある擬人化レポに慣れていたからかもしれません;)。

 試食した花さんの感想は、「サワヤカ!焼きそばとしてちゃんとおいしいっ」「カボスがこんなにソースに合うとは!!ウスターのせい?」「やだオイシィ、電車の女子に食わせたい~」「カフェで出せるわこれ。焼きそばというより、ヤキソヴァ」で、カボスのいい仕事っぷりを絶賛していました。
 浮かれるあまり「じょ~し!じょ~し!アラサーだけどじょ~し!!」と宣言して“女子力満々美人焼きそば”を頬張る花さんが微笑ましかったです(^^*)。
かぼすをファンデ、カイワレをお粉と表現していますが、妙にかわいくて美味しそうな気がしましたこんなに爽やかな焼きそばは食べた事がない!と絶賛し、思わず泣いてしまうはなさん;
 花さん同様、とっくにアラサーの当管理人(二十七歳)ですが、勇気を出して再現する事にしました。
 作中に載っている詳細なレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。キャベツは茎の部分を取り除いてからやや細めにザク切り、玉ネギは薄めのくし形切り、赤ピーマンは種とヘタを取って薄く輪切り、もやしは水洗いし、カイワレは種の部分を切り落としておきます。
 その間、オリーブ油を引いて熱したフライパンへすりおろしたしょうがを入れ、弱火で熱してゆっくり香りを立てたら食べやすい大きさに切った豚バラ肉のスライスを加えて炒めます。
女子力満々美人焼きそば1
女子力満々美人焼きそば2
女子力満々美人焼きそば3
 豚バラ肉が軽く炒まって香ばしくなったら、先程のキャベツ、玉ネギ、赤ピーマン、もやしをどっさり投入し、さっと塩こしょうをふって炒め合わせます。
 野菜類から水分が出てきた所へマ○ちゃんの焼きそば麺をほぐしながら加えて混ぜ、続けて付属の粉末ソースを半分と、ウスターソースをジャブジャブ入れて味付けします。
 ちなみにウスターソースを注いだ時、火を強めて少しだけ水気を飛ばすようにして炒めた方が、香りも味も凝縮されるのでおすすめです(←ただし、やり過ぎは禁物です)。
 ※ウスターソースは軽めに入れるとよりあっさり、多めに入れるとよりこってりになりますので、お好みで量を調節します。
女子力満々美人焼きそば4
女子力満々美人焼きそば5
女子力満々美人焼きそば6
 ウスターソースが麺や具材に行き渡ったらすぐに火からおろしてお皿へ盛り付け、その上からかつお節をざっとふりかけて、さらにカボスの果汁をギュ~ッと絞りながら回しかけます。
女子力満々美人焼きそば7
女子力満々美人焼きそば8
 焼きそば全体にカボスの果汁をかけ終え、仕上げにカイワレを彩りよくなるよう気持ち多めに散らせば“女子力満々美人焼きそば”の完成です!
女子力満々美人焼きそば9
 普通の焼きそばは紅しょうがと青のりとキャベツくらいしか彩りがないので、どことなく殺風景ですが、この焼きそばは赤ピーマンやカイワレのおかげでどことなく明るい色合いになっており、心なしか華やいで見えます。
 絞りたてのかぼす果汁から香る鮮烈な香気がソースと同じくらい存在感を主張し、清涼感を出しているのにうっとりしました。
 今までに全く食べた事がない組み合わせなのでちょっぴり不安ですが、花さんが美味しい物に発揮する勘はどれも確かでしたので、信じて食べてみようと思います!
女子力満々美人焼きそば10
 それでは、麺がのびない内にいざ実食!
 いっただっきまーすっ!
女子力満々美人焼きそば11


 さて、味の感想ですが…かなり爽やかで旨し!確かにこれは焼きそばではなく、ヤキソヴァです!
 ウスターソースのスパイシーでフルーティな甘辛さと、カボスの瑞々しいフレッシュな甘酸っぱさが見事に調和し、ソース焼きそばとは信じられないくらい爽快な味わいになっています。
 水気の多い調味料ばかり使っているので思ったよりもソースがサラッとして麺に少しジャブッと絡んでいる印象で(←横手焼きそばに少し似ています)、細めのシコシコ麺とソースを一緒に啜り込むと、焼きそばというよりは「あっさりヘルシーなソース皿そば」、又は「ソース味の温野菜サラダ麺」という印象を受けました。
 野菜から出た汁気が凝縮したエキスで炒め煮したせいか、ソースのこってり濃厚な美味さが効いている割にさっぱりした後味なのが特徴的で、従来の焼きそばが麺を楽しむ食べ物だとしたら、こちらは野菜が主役の焼きそばというイメージです。
 カツオ節がお好み焼きにおける出汁粉みたいな役目を果たし、濃密な旨味エキスをプラスして味に深みを与えているのもいい感じでした。
 キャベツの歯に心地よいザクザクした歯触り、もやしの張りのあるシャクシャク感、玉ネギのシャキッとくる甘じょっぱさ、赤ピーマンの苦みが全くない甘味が果汁の効いてスカッとしたソースとばっちりの相性で、中でもカイワレはそのまま噛むとピリッとくる辛味がソースによってかき消え、後でツンとくる独特の香りだけが活きていた為、普通のサラダ感覚でどっさり頂けたのがよかったです。


 予想以上に野菜がたっぷりとれますので、意外にもスルスルっと軽く食べる事が出来ます。
 野菜がソース焼きそばの重さを軽減していますので、飲んだ後のシメとして食べるのにも向いていそうだと感じました。


P.S.
 kawajunさんからご指摘された荒岩一味さんの役職名ですが、おっしゃる通りあの時点では「主任」ではなく、性格には「係長」が正しい役職名になります;。
 その為、本来なら「係長」と表記するのが正しいのですが、小学生のころから「主任」で親しんできた上、使い分けて書くと後々(当管理人が)混乱するという理由があったため、荒岩一味さんには大変申し訳なく感じつつも、物語を説明するうえで不都合を感じない限りはそのまま「主任」で通そうと考え、現在までレビューを書かせていただいております。
 当管理人のいい加減な性格によってややこしい文章になってしまい、誠に申し訳ございませんでした。
 今後は「係長」の時は「係長」と正しく表記させて頂きますので、恐れ入りますがご了承の程何卒よろしくお願いします(これまでアップした記事も、時間が出来た時に「係長」と訂正する予定です)。

●出典)『花のズボラ飯』 原作:久住昌之 作画:水沢悦子/秋田書店
   (季刊「もっと!」 VOL.4 エレガンスイブ11月1日増刊号掲載分)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『クッキングパパ』の“小倉駅ホームのかしわうどん”を再現!

 食べ物と料理が出てくる漫画は大好きですので、基本的に好き嫌いせず何でも読むタイプなのですが、実を言いますと、一種類だけ苦手意識を克服できないジャンルがあります。
 それは、「お色気要素が食べ物を圧倒するほど過剰に描かれたグルメ漫画」。
 最初の二~三話は面白く読めるものの、どういう訳か読み進めば読み進むほどこちらの元気が吸い取られていくような心境になってしまう為、単行本一冊を読み終えるまでには至れなかったりします;(←ただ、アクセント程度に色気が効いている『おせん』タイプや、色気むんむんに見えて実は全くエロく感じない『中華一番!』『天使のフライパン』タイプ、エロ漫画に見えて実は健康料理やストレッチの比重が大きい『薬膳仙女マダム明』タイプといったグルメ漫画は、むしろ大好きです)。
 自分でも不思議で、一度何故なのか突き詰めて考えてみた時、最終的に「ユニットバス状態が苦手なんだな」という結論に至りました。
 我ながら神経質だと思うのですが、ユニットバスのように体を綺麗にする場所(お風呂)と、生理的欲求を満たす場所(トイレ)が同じ場所に隣合せている状態が昔からどうも苦手で、それでユニットバスが未だに平気になれないままこの歳になっているのですが、どうやら当管理人は料理漫画も上半身と下半身を連想させる要素が同程度入り交じってゴッチャになっているのがユニットバス並にモヤモヤするらしく、それがこのタイプのグルメ漫画を素直に評価できない深層心理的原因になっているのだな~とやっと気づきました。
 漫画の評価は公平にしたいと日頃から思っているのですが、なかなか難しいものです;。

 どうも、お手洗いの隣にある席についただけで食欲が三~四割程減退してしまう根性なしの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩班の新人・江口君が社長におすすめした“小倉駅ホームのかしわうどん”です!
小倉駅ホームのかしわうどん図
 それは、新人の江口君がまだ入社したてだった頃の事(ちなみに、江口君のエピソードはこちらこちらこちらにあります)。
 荒岩係長・田中君・江口君の三人が残業にとりかかろうとしていた時、出張から帰ったばかりの金丸産業の社長が、営業第二課へやって来ます。
 社長が言うには、大阪の出張帰りに立ち寄った四国で食べたぶっかけうどんの美味しさを誰かに話したくてたまらなかったらしく、帰る際に「そうだ、荒岩君なら分かってくれるはず」と思って真っ先に立ち寄ったとの事でした(←社長は大のうどん好きで、日本各地へうどんの食べ歩きをするのが趣味。『クッキングパパ』初期に荒岩係長からうどん打ちを習った時など、何と自宅の敷地内にうどん用の庵まで建てており、皆をびっくりさせていました;)。
 本来なら、社長が一通り讃岐うどんの魅力を語って話は終わるはずだったのですが、いい意味でも悪い意味でも物怖じしない江口君は唐突に社長の元へ歩み寄り、いきなり「社長さん、うどんなら美味しいとこ知ってますよ」と、まるで親戚のおじさんに世間話でもするかのごとくフランクに話し出します。
 まだ新人の顔を全員把握していない社長は少し「おや?」という顔になるのですが、江口君は構わず「やだな、社長さん。新人研修の時挨拶したじゃないですかー」と、見ているこちらが冷や汗を流すような言葉をズケズケと言っていました;。
 社長は心が広かったので「変わった新人だな~」程度の反応で済んでいましたが、ちょっと古い体質の会社や怒りっぽい社長が相手だったとしたら、この時点でもうクビへの道が確定して詰んだも同然になっていたと思われる為、初見時は「ひえ~!」と震えあがったのを覚えていますorz。
 案の定、教育係の田中君は慌てて「おいおい、あんまり慣れ慣れしく社長、社長言うんじゃねえって」と注意するのですが、江口君と社長の奇妙な会話は続き、途中江口君が「社長さんは電車通勤ですか?え、車?じゃあ絶対知らないと思うな~♪」と言ったのに社長が「私の知らないうどん?」と興味を示し、残業を残してすぐさま四人で新幹線に乗ってその場所へ向かっていました。
 残業放置もそうですが、どうやらこの時の新幹線の費用は経費として社長が出すのを確約したらしいので、心底おおらかな会社だな~と苦笑しました;(←勤め先としてならいいですが、取引先にしたら色々と苦労させられそうな予感がします;)。
いきなりうどん好きの社長に「うどんならおいしいとこ知ってますよ」と話しかけるえぐっち;
 そして、新幹線に乗り込んだ江口君達が着いた先は、JR小倉駅
 広々として新しい駅ビル(この話が載った1998年当時、JR小倉駅は新しく改装したばかりだった為、光り輝いて見えたに違いありません)に社長達は感心して見惚れ、いい気分のまま「じゃ、行こうか」と外に出ようとするのですが、その瞬間江口君がすぐに待ったをかけ、駅の中へ戻るよう指示します。
 当然社長達は怪訝そうな顔になり、頭の中がはてなマークで埋め尽くされつつも江口君の後をついて行くのですが、江口君は構わずドンドン奥へ進み、最終的には何と八番ホームに入った先にある立ち食いうどん屋さんを指して「じゃあ~ん、ここでーす!!」と誇らしげに案内していました。
 まさかお店どころか屋台でもない、一見売店風のうどん屋さんが江口君の目的地だとは予想もしていなかった社長達はあっけにとられて言葉を失い、田中君は「おまえなー!」「社長が食う訳ないだろ!」と怒りかけるのですが、社長は江口君の口から洩れた「おばちゃん、かしわうどんおくれ」というセリフに反応してかえって好奇心が刺激され、ワクワクしながらうどんが出来るのを待ちます。
 正直、上司兼教育係の田中君が「社長への失礼に当たりかねないぞ」「何より、お前へのマイナスイメージにもつながるぞ」と双方を思いやってたしなめる気持ちも分からないでもないのですが(←ただ、作中の様子を見るとちょっと言い方がきつ過ぎるので、そこは改めた方がいいと思います;)、江口君の「ここは絶対美味しいから食べてください!」という100%善意からきている素直な気持ちは普通に読んでいるだけでも伝わってきて心地よく、社長もそれを感じて嬉しそうにしていたのは明白だったので、そこまでハラハラする必要はなかったんじゃないかな~?と思いました。
江口君がおすすめする隠れ名店は、何と小倉駅のホームに存在しました!
 こうして、僅か一分もたたない内に作られて社長達の元へ運ばれてきたのが、この“小倉駅ホームのかしわうどん”です!
 作り方はそこまで難しくなく、かつお節・昆布・鶏もも肉をベースにしたうどんスープに、砂糖や醤油で甘辛く煮詰めた鶏もも肉(←これがかしわうどんの「かしわ」です)、刻みネギ、かまぼこ、うどんを合わせたらもう出来上がりです。
 江口君や荒岩係長曰く、福岡県内のJR駅ではよくみかけるものの、どういう訳か街中にある普通のうどん屋さんで見る事は滅多にないという、有名なんだか有名じゃないんだかよく分からない変わったメニューだそうで、作中では「駅のホームの隠れた名品」と表現されていました。
 幸い、社長は“小倉駅ホームのかしわうどん”をいたく気に入って「この細かくスライスされた甘辛いかしわと、あっさりしたスープがよく合って実にうまい」「四国でも観光客がいっぱいいくような大きくて有名な店よりも、安くて小さい地元のおじさん、おばさんが行くお店の方がうまくてな。うどんやそばは、元来そんなものじゃよ」と絶賛し、荒岩係長達をほっとさせていました;。
うどんやそばはガイドブックに載る大きい店よりも、地元の人が通う店の方がうまいと話す社長
 ちなみに、“小倉駅ホームのかしわうどん”は江口君の思い出の味だったみたいで、荒岩係長が「かしわうどんなら、他の駅にもあるだろう」と言っても、「ええ、でも俺は小倉駅のが一番うまいんですよ。それも、八番ホームのね!」と自信満々に返していました。
 何でも江口君は就職する前、意外にも福岡ではなく関西にある大学へ通っていたそうで、九州へ里帰りするのは夏休みと冬休みの時くらいだったみたいなんですが、その際列車から駆け降りて真っ先に食べに行っていたのが八番ホームのかしわうどんだったとの事で、この時が一番「ああ~、九州に帰って来たんだなーっ」と実感できたと語っていました。
 当管理人の場合、江口君のように旅行から帰る度「福岡に帰って来たんだなー」と実感するのはかしわうどんではなく、ごぼう天うどん&かしわおにぎりのセット、シンプルな博多とんこつラーメンなので、江口君とはちょっと違うのですが、同じ故郷の味がある者として、その気持ちは痛いくらい共感しました(なお、山口県出身の母は地元のクリーミーなラーメンと、<桃太郎>のうどんがそれに当たるとの事)。

 余談ですが、その後江口君は「あっ、ここ俺がおごりますね。俺が連れて来たんだから」と言って一杯290円のうどんを全員分おごっており、「久しぶりだなー、人からおごってもらったりするのはー!はっはっはっ、愉快じゃー」と社長を子どものように喜ばせていました。
 のちに、江口君はこの事がきっかけで社内では「社長にうどんをおごった男」として噂になり、クビどころか社長の覚えがめでたくなるというラッキーな展開を迎えています;。
 当管理人が某銀行に勤めていた頃、当時噂になったのは「入行式でロ○ックスの時計をしていった新入行員」だったんですが、「社長にうどんをおごった男」の方が微笑ましくていいな~としみじみしたエピソードでした。
小倉駅8番ホームでかしわうどんをかっこむたび、「九州に帰って来た」と実感していたそうです
 福岡県民として、地元の隠れた名品を知らないのはそんな気がして再現を決意しました。
 作中には詳細なレシピも記載されていることですし、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、うどんスープ作り。あらかじめ昆布とかつお節でとっておいたお出汁が入ったお鍋へ、熱湯をふりかけて余分な脂を抜いておいた鶏もも肉の切り身と塩を投入し、アクや脂を丁寧に取り除きながら弱火~中火で約三十分煮ます。
 時間が経ったら鶏もも肉を別皿へ取り出して冷まし、お鍋に残ったスープを薄口醤油で味付けして、みりんと濃口醤油で隠し味程度に味を調節したら、うどんスープは出来上がりです。
小倉駅ホームのかしわうどん1
小倉駅ホームのかしわうどん2
小倉駅ホームのかしわうどん4
 次は、味付きかしわ作り。
 先程の鶏もも肉を包丁で細かく刻んでさっきとは別の小さい鍋へ入れ、うどんスープ、砂糖、濃口醤油、薄く切ったしょうがを加えてやや甘辛く味付けし、十分以上かけて煮詰めます。
 やがて、水分が飛んできて鶏肉全体に調味料の味が染み込んだら、味付きかしわは準備OKです。
 ※冷蔵庫で一晩寝かせて味をじっくりなじませると、より本格的に仕上がります。
小倉駅ホームのかしわうどん3
小倉駅ホームのかしわうどん5
小倉駅ホームのかしわうどん6
 丼容器へ茹でたてのうどん、汁気を切った味付きかしわ、薄~くスライスしたかまぼこ、刻んだネギを入れ、その上から熱々のうどんスープを注げば“小倉駅ホームのかしわうどん”の完成です!
小倉駅ホームのかしわうどん7
 一見とても素っ気ないですが、よく煮込まれた鶏肉の茶色、刻みネギの緑、かまぼこのピンクの組み合わせが妙に懐かしく、そそられます。
 うどんスープというよりは純和風チキンスープと呼びたくなるような心とろける香りで、思わずのどが鳴ります。
 白状しますと、福岡県民だというのに一度もかしわうどんを食べた事がない為;、一体どういう味か非常に気になります…。
小倉駅ホームのかしわうどん8
 それでは、うどんがのびない内にいざ実食!
 いっただっきまーすっ!
小倉駅ホームのかしわうどん9


 さて、味はと言いますと…鶏のいい出汁が隅々まで行き渡ってて旨し!再現でこれなら、本物はどれだけ美味なんだろうとワクワクします!
 かしわの味付けはうどん屋さんによくある肉うどんとほぼ同じで、しょうが風味のこってり甘辛い砂糖醤油味が芯までじんわり染み込んでいるのがたまりません牛の時雨煮ならぬ、鶏の時雨煮と例えたくなります)。
 ただ、肉うどんと唯一違うのはあっさりと軽い食後感で、牛肉のようにガツンとくる濃厚な味わいがない代わり、こちらは結構濃いめな味なのにも関わらず体に優しい美味しさで、胃にもたれずすっきり頂けるのが特徴的でした。
 意外な事に、あんなに煮詰めたというのに身はパサパサにならずふっくら柔らかい噛み応えのままで、まるで地鶏の炭火焼きのような、噛んでも噛んでも肉汁がジワジワと溢れだしてくる仕上がりになっててよかったです。
 一方、出汁の方はカツオ節や昆布からにじみ出た上品な魚介エキスと、もも肉ならではの奥深い鶏スープが合わさって複雑かつ力強い旨味になっている感じで、ほんのり甘じょっぱいせいか甘辛かしわと抜群に合っていました(不思議な事に、白だしを使ったおつゆと味が似ています)。
 また、鶏皮から浮かんだ脂分が鶏油っぽい役割を果たして独特のコクをプラスしているのもナイスでした。


 肉やうどんは勿論、とにかくお出汁が美味で、一気に飲み干してしまいました;。
 県内のうどん屋さんではあまり置いておらず、家庭でも作られる事はそうない地味なうどんですが、鶏好きの方には是非ともおすすめしたい一品です!


P.S.
 昨夜、『アンパンマン』の原作者であるやなせたかし先生が亡くなられた事を知りました。
 速報を耳にした時、自分でも想像していなかった程動揺し、悲しみを抑える事が出来ませんでした。
 当管理人が生まれて初めて見たアニメも、「あんこ」というHNの元になったのも、漫画料理に対する憧れの原点となったのも、全て『アンパンマン』です。
 (「あんこ好き=中でもあんパンはもっと好き=あんパン好きになったきっかけは、アンパンマンを見た幼少期からパン屋さんでは必ずあんパンを買ってもらっていたから」という繋がりがあったので、『アンパンマン』は思い入れが人一倍強い作品です)
 返す返すも、残念でなりません。

 やなせたかし先生のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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