『華中華』の“蒸籠チャーハン”を再現!
- Thu
- 18:00
- 再現料理
スケジュールがあわなかったので、結局劇場では見られそうにないのですが、後日DVDで見てみようと考えています。
どうも、「生きねば。」と思うと同時に「働かねば。」「稼がねば。」という想いを胸に図太く生きている管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが火事にあったあるお店の為に考え出した“蒸籠チャーハン”です!
それは、ハナちゃんが上海亭のおじいさんやおばあさんと出会ったばかりで、まだ独身だった頃の事。
満点大飯店のすぐ近所にあり、つい三日前に改装したばかりの小規模な老舗・「新美月楼」が運悪く火事にあい、せっかく綺麗にした店内が台無しになってしまいます。
火事の原因は、二代目店主であるご主人が店の入り口で吸っていてうっかり消し忘れた煙草のせいだった為、ある意味自業自得ともいえるのですが、それだけにご主人は荒れたのかやけくそになり、おかげでお店の後片付けは全て奥さんがひっかぶる事になっていました。
初見時は「やさぐれてる場合ですか?」とご主人に少し呆れたものですが、せっかく新装開店したお店をほかならぬ自分のせいでおじゃんにするという大失態をおかしたのですから、冷静になると頭がおかしくなりそうで必死に自我を保とうと足掻いていた真っ最中だったのかもしれません…。
そして、そんな新美月楼の窮状を偶然目にしたお人よしのハナちゃんと楊貴妃さんはご夫婦を放っておくことが出来ず、一緒に手助けする事を決意します。
幸い、壁やテーブルはすすけているだけで大して燃えておらず、全滅している物といえば食器くらいで厨房はほぼ無事だった為、ハナちゃんは炊き出し風にすぐお客さんへ提供できる中華料理は何か模索します。
※なお、この時楊貴妃さんは貧乏だった幼少期を思い出して、金銭的にさらに苦しくなった店主ご夫妻に同情していたので、初見時はかなり意外だったのを覚えています(←諸説あるものの、幼い頃に両親を亡くして叔父夫婦に引き取られた事はほぼ確実だそうなので、それなりに苦労した事が推察されます)。
しかし、ただでさえ借金して新装開店した新美月楼に中華用の新しい食器を一から買い直す余力はなく、ご主人は新料理を考案するどころか椅子の片づけ一つできない精神状態。
ある物といえば、上海亭のおじいさんとおばあさんが厚意でくれたわずかな野菜類や蒸篭のみで、戦力になりそうなのは料理初心者の奥さん一人だった為、奥さんだけでも簡単に用意できる料理とは何か、ハナちゃんは大いに悩みます。
その際、ハナちゃんが楊貴妃さんの「日本にはわっぱ飯とか、蒸し寿司とかあるじゃない」という言葉をヒントにして思い付いたのが、この“蒸籠チャーハン”です!
作り方はとってもお手軽で、白菜を敷いた蒸篭に基本チャーハンを入れて真ん中へ生卵を落とし込み、そのまま数分だけさっと蒸すだけで出来上がりです。
この方法なら、ハナちゃんに作り置きしてもらった基本チャーハンをそのまま詰めてちょこっと手を加えるだけで作れますし、出来て時間が経ったチャーハンでも程よい水分を吸わせて作り立てっぽい美味しさへ生まれ変わらせる事が可能になるので、なかなかうまいやり方だと感じました。
おまけにどうやらハナちゃんは、火事によって暖房が壊れて肌寒い店内を逆手に取り、柔らかで温かな湯気が出る“蒸籠チャーハン”の魅力を効果的にお客さんへアピールしようとしたみたいで、初めて読んだ時は「見た目によらず商売上手!」とハナちゃんを見直したものです。
その後、お店を再開する前日にご主人は“蒸籠チャーハン”を試食するのですが、簡単さに見合わない美味しさにすっかりやる気を取り戻し、コロッと営業再開を手伝っていました;。
ありがたい事に、この新チャーハンは「炊き出しみたいで面白~い!」と寄ってくるお客さんや(←関係ないですが、「炊き出し」と聞くとどうしても石原軍団を思い出してしまいます;)、「改装後に火事にあうなんて気の毒だ…」と同情した常連さんが通ってくることによって評判になり、おかげで新美月楼は往時同様とまではいかなくとも徐々に復活してきていました(^^*)。
最近ようやく蒸篭を購入した為、再現する事を決意しました。
作中には詳細なレシピが載っていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、材料の下準備。あらかじめ、中華鍋(又はフライパン)でハナちゃん流基本チャーハンを作っておき、別皿に取っときます。
その間、白菜を流水で洗って食べやすい大きさに切り、水気をきったら蒸篭へ敷いておきます。
※水分が多いチャーハンだと、どうしても蒸気によってさらにベチャっとしやすくなりますので、極力パラッと仕上がるよう気を付けます。
次は、蒸し作業。
先程の白菜入り蒸篭の中へ粗熱を取った基本チャーハンをよそい、真ん中を少しくぼませて生卵を落としたらフタをし、そのまま沸騰した鍋の上に置いて約三分むします。
※生卵だけでも十分美味ですが、もうちょっと華が欲しかったらむきエビやイカ、豚角煮、チャーシューを追加して蒸すと、さらにおいしく豪華になります。
卵がうっすらと半熟状になったら火からおろし、そのまま蒸篭ごとお皿へ移してフタを取れば“蒸籠チャーハン”の完成です!
フタを開けた途端、きめ細やかで淡く、奥ゆかしい木の香りを帯びた湯気が頬をほわっと優しく包みこみ、思わずほっと癒されます。
ただ単に蒸したりレンジでチンした時と違い、蒸篭によって絶妙な香りづけがなされているのが感動もので、正直「蒸篭がないならないでいいや」と考えていた時代にはもう戻れない感じです;。
半透明になってプルンと蒸しあがった半熟卵と、白菜の瑞々しい色合いの対比がよく、一体どんな味がするのか楽しみです!
それでは、チャーハンに半熟卵を絡めていざ実食!
いっただっきまーす!
さて、味の感想はと言いますと…普通の物とはまた違ったチャーハンで美味し!蒸籠からホカホカ立ち上ぼる湯気がたまりません!
基本チャーハンは、そのまま食べるとある程度水分が飛んでいてパラリとした軽い仕上がりが特徴的なんですが、蒸す事によって蒸気をふんわりまといハラリとした口当たりになっているのが優しい印象で、どことなく蒸し寿司に似た醍醐味があるな~と思いました(←熱々の時間が長い為塩気が薄く感じられ、あっさり頂ける所までそっくり)。
不思議な事に、蒸す前よりも蒸した後の方がご飯がくっつき合わず一粒一粒のパラパラ感が上がっており、かなり食べやすかったです。
蒸されてしんなりジャクッと柔らかい食感になった白菜の瑞々しい甘味が、塩気の効いたチャーハンとぴったりな上後味をさっぱりさせるのに役立っていた為、丁度良い箸休めになっていると思いました。
間接的にゆっくり火を通したおかげで、かろうじて固まった感じのフルフルトロトロな半熟卵の黄身が、濃く甘くとろけてチャーハンにまったり絡み、噛めば噛むほどコクが増していくのがよかったです。
また、蒸籠からほのかに移った清涼感のある木の香りがチャーハンに高級感をプラスしていて感心しました。
卵だけでも十分おいしいですが、豚の角煮や魚介類のボイルを加えると、さらに美味しさがアップしそうです。
とにかく、木のぬくもりを感じる湯気がこんなにも料理の味を跳ね上げさせるとは思っていなかった為、蒸篭の効力について大いに勉強になった回でした。
●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。