『ひとりぐらしも5年め』の“作りおきトマトスープ”を再現!

 少し前、あるお菓子の再現の為に緑色のドレンチェリーを探そうとし、あちこちのスーパーを探し回った事があったのですが、最後のお店でそれらしい色合いのパックがあったのを遠目で見つけて駆けつけた所、よりによってアンゼリカだったという出来事があり、一気に脱力しましたorz。
 どちらも天然色素が主流となりつつある現在では絶滅寸前の材料ですが、個人的にドレンチェリーの方がまだポピュラーだと考えていた為余計ショックで、「アンゼリカを置くくらいマニアックな仕入れをするのなら、ドレンチェリーもついでに扱ってくれたらいいのに…」と半ば逆恨み的な事を考えながらスゴスゴ帰宅したものです;。

 どうも、夕食を何にしようか迷った時は「○○を入れるだけ」のレトルトが置かれているコーナーへ行ってインスピレーションをもらっている当管理人・あんこです(←ちなみに、アイディアをもらうだけでレトルトは買わないという結構ひどい事をしています;)。


 本日ご紹介する再現料理は、『ひとりぐらしも5年め』にてたかぎなおこ先生がよく作っている料理としてご紹介されていた“作りおきトマトスープ”です!
作りおきトマトスープ図
 『ひとりぐらしも5年め』とは、150㎝という小柄な身長と可愛い絵柄で有名な三重県ご出身のイラストレーター・たかぎなおこ先生が、上京して一人暮らしを始めて5年目の日々をありのままに描かれた、日常系ほんわかイラストエッセイです。
 今でこそ、ごく普通の女性の現実的な一人暮らし生活を赤裸々に綴ったエッセイ本は数えきれないほどありますが、こちらの本が出版された2003年は「今から一人暮らしをする人に」という事前準備の本や、「夢のお洒落な一人暮らし生活」という生活感が全く感じられない本がほぼ主流で、たかぎなおこ先生のように現在進行形でつつましい暮らし方を実践的に描いた本は珍しかった為、当時はかなり衝撃を受けたものです。
 当時まだ高校生で、将来一人暮らしを夢見ていたものの「実際に一人で暮らすとはどういう事か」というモデルプランが全く見えてこなかった当管理人にとって、たかぎなおこ先生の素朴な絵と温かな人柄で丁寧に描かれたリアルな一人暮らし生活の様子は、とても分かりやすくて参考になったのを覚えています。

 あと、節約系の一人暮らしを描いた作品やエッセイは、「そこまでしなくても…」と言いたくなるようなギスギスしたものや、一分の隙もなくて「楽しそうじゃないな…」と息苦しさを感じるものが時々あって敬遠する事が多かったのですが、たかぎなおこ先生は「お金がなくても心細くても、工夫次第で何とかなるよ~」というような、適度に肩の力を抜いてリラックスしたおおらかな生活っぷりが特徴的で、そのいい意味での自由さやゆるさが作品に出ており、読んでいるだけで癒される気持ちになったものでした。
ひとりぐらしも5年め図
 それから約10年経った今、結局色々あって当管理人は一人暮らしする事もなく日を過ごしている為、「へっぽこ防犯」の項に出てくるようなデンジャラスな訪問販売員と対決したり(←ドアポストから誰かが中を覗いてきて目と目があったエピソードは、未だに怖いです…orz)、「うっかり怖いビデオを見た夜」のようにホラービデオを見た後お風呂で恐怖を感じたりした経験はないのですが、自分用の買い物をしに行ったり、一人飯をしたり、お金の管理をするようになったりするにつれ、作中の小ネタにいちいち共感出来るようになった為、いつ読み返しても「あるある!」「それ、分かります!」と新鮮な気持ちで共感しています;。

 中でも激しく共感したのは、「いつものスーパーでお買い物」に出てくるスーパーあるあるネタ!
 嗜好品だらけor「今から一人ビールする気満々」な買い物かごに気付いて思わず赤面したり、面白いネーミングの商品は常にチェックしていてつい買ってしまったり、スーパーでのキャンペーンに影響されて献立を決めたり、一軒目のお店で買った物が二軒目のお店で安く売られていて悔しがったりなど、誰もが一つは当てはまりそうな身近すぎるネタばかりで、このコーナーを読み返す時は拳に力が入ります;。
 また、「女一人の丼飯屋」で描かれている女のおひとり様ならではのちょっとした緊張感や、複数の有名丼チェーン店の細かい感想付きのレポも深く頷くやら面白いやらで、個人的に大好きです←『孤独のグルメ』ブームが来る前で一人飯エッセイが少なかった頃のお話ですので、貴重です)。
嗜好品だらけの買い物かごだと恥ずかしいなど、あるあるネタが多くて共感します今では世間にすっかり定着した「一人飯」も、たかぎ先生は既にネタにされてました
 今回ご作ってみるのは、「わびしく質素なつくりおきごはん」の項(←こちらも、料理をされる方なら一人暮らしをしていなくても共感する事必至な小ネタのオンパレードで必見!)でご紹介されていた、“作りおきトマトスープ”。
 作り方はお手軽で、熱した大きめのお鍋へオリーブオイル・にんにく・輪切り赤唐辛子・肉類(鶏肉、ベーコン、ウインナー等)・玉ネギ・ナス・セロリを入れてざっと炒め、ホールトマト缶を汁ごと加えて木べらで潰しながらコトコト煮込み、最後にお水・コンソメキューブ・塩・こしょうを投入してさらに煮込んだら出来上がりです。
 なお、これはあればでいいそうですが、ローリエ・オレガノ・バジルといったハーブ類を入れるとさらに美味しくなるそうです。

 作り方を見ますとミネストローネに似ているように思いますが、それにしてはミネストローネに付き物なショートパスタ・じゃがいも・にんじんが入ってない上、唐辛子でピリ辛味に仕立てている為、味の想像がつくようでつきません;。
 何でも、この“作りおきトマトスープ”はトマトが大好きだけれども生のトマトが高くて買えなかった当時のたかぎなおこ先生が、安く手に入る材料で二日以上トマト味のスープを楽しみたい時によく作ってらっしゃった一品との事で、クタクタになって帰宅した時にこのスープが入った鍋を見つけると「わっ!!昨日作ったトマトスープがあったんだった」と喜んでいたというエピソードが描かれていました。
  次の日スープにちょっと飽きても、パスタに絡めてスープパスタ風にするか、ご飯を入れて粉チーズを振りかけてリゾット風にすると新しい気分でおいしく食べられたと語られており、初見時は「これはいい…!」と目が釘付けになったものです;。
大鍋にドーンと大量にスープを作っておき、丸二日間かけて飲むと語られていました
 先日、ホールトマト缶が安売りされているのを見つけてこのスープを思い出し、一念奮起して再現してみる事にしました。
 作中には大体の作り方が図入りで書かれていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、炒め作業。大きめのお鍋へオリーブオイル、みじん切りにしたにんにく、種を取った輪切り赤唐辛子を入れて弱火で炒め、香りがたってきたら拍子切りにしたベーコンと小さく切った鶏もも肉を足して混ぜます(←どちらもない場合は、シーチキンを入れてもおいしいそうです)。
 肉類が色づいてきたら、みじん切りにした玉ネギも投入し、ざっと炒めます。
作りおきトマトスープ1
作りおきトマトスープ2
作りおきトマトスープ3
 大体混ざったらみじん切りにしたセロリ、小さく刻んだナスを投入して全体に油がなじむまでよく炒め、あらかた火が通ってきたらホールトマト缶を汁ごと加え、木べらで荒めに潰します。
 ※トマトをつぶす時、乱暴に潰しますと汁が飛び散って大惨事になりますので、優しくソフトにトントンと潰すのがコツです。
作りおきトマトスープ4
作りおきトマトスープ5
作りおきトマトスープ6
 次は、煮込み作業。
 ホールトマトをつぶし終えて野菜にトマトの汁がなじんだら、お水、コンソメキューブ、塩、こしょうを入れて味付けし、味見してお好みの塩加減になるまで調節します。
 途中、ローリエ、オレガノ、バジル(生でも乾燥タイプでも可)も加え、後はフタをしてコトコト煮込みます。
作りおきトマトスープ7
作りおきトマトスープ8
作りおきトマトスープ9
 スープに調味料やハーブ類の風味が行き渡っていい具合に煮えてきたら火を止め、そのままスープ皿へと盛り付ければ“作りおきトマトスープ”の完成です!
作りおきトマトスープ10
 真っ赤なスープに、色鮮やかで種類豊富な野菜がゴロゴロ沈んでいるのがそそる感じで、正直トマトスープにここまで食欲を感じたのは初めてです。
 ハーブを使ったおかげで簡単に作れた割に本格的な香りに仕上がっており、どんな味がするのか楽しみです。
作りおきトマトスープ11
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
作りおきトマトスープ12


 さて、感想はと言いますと…具沢山で口の中が楽しくなるスープ!唐辛子がいい仕事をしてます!
 野菜や肉の様々な旨味エキスがまんべんなく溶け込んだ優しい味のスープに、唐辛子のビリッとくる刺激的な辛さが効いてメリハリのある出来に仕上がっており、癒されるような喝を入れられるような不思議な気持ちになります。
 まるでラタトゥイユとミネストローネを足して二で割ったような美味しさで、例えるとするなら「アラビアータ風ヘルシートマトスープ」という印象の味わいでした。
 ローリエの清涼な風味と、オレガノやバジルの爽やかな風味が全体に奥行きをプラスしているのがナイスで、普通のトマトスープよりも上品な後口になっているのが特徴的です。
 気のせいか、いつも作っているカットトマト缶使用のトマトスープやソースよりも甘味が濃厚で酸味が控え目に感じられ、より深みがあるように思いました←調べた所、何とホールトマト缶に使用されるトマトは煮込み料理に適した甘い縦長トマト、カットトマト缶に使用されるトマトは酸味と甘味のバランスが取れた丸いトマトである事が多いのだそうで、どうやらそれが今回の味の違いに繋がったようでした。今までどっちも同じだと考えていた為反省…orz)。
 ナスのトロっとした口当たりとセロリのザクザク感が、甘酸っぱくてあっさりしたコクのあるスープにぴったりで、スルッと胃袋に収まりました。
 これをパスタに和えてみると「野菜たっぷり!ピリ辛アマトリチャーナ・スープスパ」、ご飯を入れて煮込み粉チーズをかけたら「ふんだん野菜のなんちゃってトマトチーズリゾット」というイメージの立派な一品料理に早変わりで、満足しました。
作りおきトマトスープ・リゾット


 そのまま飲んでもよし、アレンジして食べてもよしと、本当に使い勝手のいい便利で美味しいスープでした。
 他の著作でも、たかぎなおこ先生は簡単に作れるレシピをご紹介されていますので、今度試してみようと思います。

●出典)『ひとりぐらしも5年め』 たかぎなおこ/メディアファクトリー
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『居酒屋ぼったくり』の“おつまみ素麺”を再現!

 先日、スーパーで男前豆腐の絹厚揚げ豆腐が安く売られていたのを見つけて「今日のおつまみはこれ!」と購入したのですが、いざ調理しようとした時、下に小さく「社訓:本物の男前はあなたを裏切ったりしない」と書かれているのを発見し、何故かときめきました;。
 クリーミーで美味しい豆腐といい、その割にお手頃な価格といい、この二枚目なセリフといい、思わずチャンカワイさんのように「惚れてまうやろー!」と危うく台所の中心で愛を叫ぶところでした。

 どうも、絹厚揚げ豆腐はゴマ油で表面をカリッと焼いた後、鰹節としょうが醤油をかけて頂くのが定番な当管理人・あんこです。


 本日作る再現料理は、『居酒屋ぼったくり』にて主人公・美音さんがある夏の日にお店で出していた“おつまみ素麺”です!
『居酒屋ぼったくり』図
 『居酒屋ぼったくり』とは、名前に反して採算ギリギリのお料理とお酒を出している良心的なお店・<居酒屋ぼったくり>を、突然事故死したご両親から引き継いで経営している姉・美音さんが妹の馨さんと共に、個性的な常連さんを気の利いた肴と心の交流でもてなす日々を描いた、短編連作の下町人情系居酒屋小説です。
 お店の広さは、八人がけのカウンターと座卓を二つ入れるのが精一杯という小ささですが、それだけにお客さん同士のふれあいが密接な感じで、読んでいるとこちらもいつの間にか席に座って会話に参加しているような臨場感が出ていてほのぼのします。
 ストーリーの面白さはもちろん、所々で登場する美音さんの創作料理と、それに合う上質の日本酒が細かい描写で書かれているのが素晴らしく、普段は熱烈なビール党の当管理人でも、読み終えた後は日本酒で一杯やりたくなる気持ちにさせられます(←中でもそそられたのは“あつあつ小鯵南蛮”、“豆腐の揚げっぱなし”、“手羽先スペシャル風”で、こちらもいずれ再現したいと考えています)。
 雰囲気は『みをつくし料理帖』に似ているのですが、こちらは澪ちゃんと違って特に大きな事件や難題に巻き込まれる様子はなく、美音さんと<居酒屋ぼったくり>の周りで起こったちょっとした出来事が淡々と語られる日常系エピソードがほとんどですので、一話読んでほんのり癒されたい方にお勧めしたい作品です。

 心優しくて気風がよく、人当たりは柔らかいけれども芯はしっかり強い美音さんの人柄は読んでいてとても好感が持て、こんな店主がいるお店だったら是非通いたいな~と常連さん達が羨ましくなります(←ただ、ちょっと頑固な所が困りもの;)。
 周囲の人達も魅力的で、調理補助として姉を支える明るく行動的な五歳下の妹・馨さん、町内のご意見番として頼りになる薬局屋の主人・シンゾウさん、忙しさのあまり晩酌兼夕飯を済ませに通ってくる陽気なOL・アキさん、昔ながらの江戸っ子で威勢がいい植木職人・マサさん、毎回梅割り焼酎を頼む元芸者の小粋なご婦人・ウメさんが主な固定メンバーとして、時々まざってくるイレギュラーなお客さん達と打てば響く会話をし、様々なお悩み相談を一緒になってワイワイと解決していくさまが微笑ましく、つい夢中になって読み進めてしまいます。
 あと、閉店間際に時々やって来ては美音さんの心を微妙に揺らしていく謎の男性・要さんの存在も、「これから二人はどうなるのか?」と気になる感じで、このお二人の密かな交流も非常に気になる所です(←これまた『みをつくし料理帖』にでてくる澪ちゃんと小松原さんの関係にちょっと似ていますので、それだけに余計興味津々です;)。

 今回ご紹介するのは、夏の時期にマサさんが喜んで注文する“おつまみ素麺”!
 作り方は簡単で、ボウルへ茹でて切った素麺・刻み海苔(又はバジル)・ピザ用チーズ・塩・こしょう・オリーブ油を入れてザクザク混ぜ、熱したフライパンに乗せて両面をフライ返しでぐいぐい押し付けながらこんがり焼いたら出来上がりです。
 美音さん曰く、如何に亡き父が「誰でも買えるような酒や、どこの家庭でも出てくるような料理で金を取るうちの店は、もうそれだけでぼったくりだ」(←これが店名の由来です;)とよく言っていたとはいえ、さすがに素麺をそのまま出すのはぼったくりが過ぎるという理由で試行錯誤を重ねて生み出したのがこの料理だそうで、「素麺でビールなんか飲めるか」と言っていたお客さんの価値観を180度変えていました。
 コツは、焼く時に遠慮せずフライ返しで生地をギュ~ッと何度も押し付けまくって美味しいおこげを作る事くらいですが、作中のお客さんが言うには、多少料理に慣れている方でないと「レシピがあっても同じになんて作れないって確信した!」という出来ばえになるみたいですので、ある程度の失敗は覚悟した方がいいのかもしれないと思いました;。


 前々から「茹でる以外の素麺の活用法を増やしたい!」と考えていましたので、再現する事を決意しました。 
 正直、ちょうどよく作業という物が苦手ですので自信がありませんが、作中には詳細なレシピが記載されていることですし、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、素麺の下準備。素麺は袋の裏に書いてある時間通りに茹でて流水でよく揉み洗いし、ザルでしっかり水切りします(←水切りが不十分だと焼く時にベチャッとして香ばしく焼けませんので、水滴が出なくなるまで根気強くした方がいいです)。
 水気をきったら、麺同士がくっつかないようすぐに包丁で大雑把に切ります。
おつまみ素麺1
おつまみ素麺2
 次は、混ぜ作業。
 海苔バージョンは、ボウルへ切った素麺、ピザ用チーズ、刻み海苔、塩、こしょう、オリーブ油を入れ、菜箸でザクザクとまんべんなく混ぜ合わせます。
 一方バジルバージョンは、別のボウルに切った素麺、ピザ用チーズ、小さく千切ったバジル、塩、こしょう、オリーブ油を入れ、同様によ~く混ぜ合わせます(要は、刻み海苔をバジルに置き換えるだけです;)。
 ※意外と混ぜにくいので難儀しますが、具が隅々まで行き渡らないと味にムラがでてしまいますので、ちょっとしつこいくらい混ぜた方がいいです。
おつまみ素麺3
おつまみ素麺4
おつまみ素麺8
 ここまできたら、いよいよ焼き作業(海苔バージョンもバジルバージョンも、ここの工程は全く同じですので、まとめて紹介します。ただ、フライパンは同じ物をそのまま使わず、必ず洗ってから使用するようご注意ください)。
 中火に熱したフライパンの中央へ先程のタネを一気に入れ、均等かつ平らになるよう広げます。
 最終的に厚みは半分以下になりますので、外と中の対比を楽しまれない方はやや多めに、ペラッとした感じがお好みの方は少な目に入れる事をおすすめします。
おつまみ素麺5おつまみ素麺9
 広げ終えたら、フライ返しでギュッギュッと押し付けながら香ばしく焼いていき、裏面がきつね色に焼けたのを確認したらひっくり返し、また強く押し付けながら焼きます。
 ※器用な方はフライ返しの二刀流でひっくり返していいですが、当管理人のようにそういう作業に自信がない方は、一旦フライパンのフタに移してから「そいや!」とひっくり返した方がいいと思います;。
おつまみ素麺6
おつまみ素麺7
 やがて両面に焦げ目がついたら火からおろし、格子状にサクサクと切れ目を入れてお皿へ移して、仕上げにポン酢入りの小皿を添えれば“おつまみ素麺”の完成です!
おつまみ素麺10
おつまみ素麺11
 実を言いますと、海苔バージョンの方はチーズの量を程々に、バジルバージョンはやや多めに入れて焼いてみたんですが、思っていたよりも見た目が違っていて驚きました;。
 海苔バージョンは炙りたての磯辺焼きみたいに焼き海苔の香りが濃厚、バジルバージョンはハーブの清らかな香気が上品に漂う感じとどちらも美味しそうなので、食べる前から味に期待が持てます!
おつまみ素麺12
おつまみ素麺13
 それでは、ポン酢につけていざ実食!
 いっただっきま~す!
おつまみ素麺14
おつまみ素麺15


 さて、感想はといいますと…その名通りおつまみにぴったりで、ビールとの相性よし!チーズがつなぎとなって、素麺がおやきっぽい仕上がりになってます!
 表面はやや焦げた極薄のチーズの膜が出来ていて、「カリカリ」「パリパリ」「ザクッ」と軽くて香ばしい食感なのですが、中は茹でたて素麺本来の滑らかなピチピチツルツル感と、チーズや素麺をじっくり熱を通す事によって生まれたモチッとした歯触りが活きており、噛めば噛む程賑やかな三重奏を楽しめます。
 言うならば「素麺版かた焼きそば」というイメージで、ポン酢でさっぱり感がプラスされたおかげで、チーズの味が濃い割にはスルッと頂けるのがナイスでした。
 不思議にも、あれだけ刻んだり火にかけたというのに麺は伸びておらずちょうどいいコシが残っていて、ちゃんと「麺を食べてる」って感じがします。
 外側のチーズは極限まで水分が抜けた結果、チーズスナックみたいにサクパリッと仕上がりに(←ピザからはみ出て焼け過ぎたチーズに似た味わいです)、そして内側のチーズはこってり濃厚なコクのある塩気が効いてとろける美味さで、塩とこしょうのみのシンプルな味付けなせいか、後口が妙にあっさりしているのが印象的でした。

 海苔バージョンは、ただ振り掛けるだけでは生まれない海苔の濃厚な磯の風味がブワッと口の中に広がるのがいい感じで、単純な材料しか使っていないのに深みのある旨味で驚きです(←何故か、明太子スパを思い出す味わいでした;)。
 一方バジルバージョンは、フレッシュバジルの爽やかな香りとチーズが組み合わさる事で「トマト抜きのイタリアン風ピザ味」というイメージの美味しさに仕上がっていて、ハーブ特有のほんのりした甘味が後に残るのが特徴的です。


 チーズは多めにして焼くと、パリッとした膜がうまく張るのでよりおつまみ向けになる感じですが、あんまり多く入れ過ぎるとくどくなってしまいますので、何度か作って自分にちょうどいい分量を見つけた方がいいと思います。
 個人的に、シソで作ってみても合いそうだと感じましたので、近々試してみる予定です。


P.S.
 コメント欄にて色々な情報を下さったり、ご指摘やご感想を教えて頂いたり、その後のご報告をして下さる皆様、誠にありがとうございます。
 この『居酒屋ぼったくり』も、以前非公開コメント欄にてご一報して下さったある方のおかげで出会い、今回有意義な再現を出来た為、ご返信を休止している身としては心苦しくも、毎回とても勉強となり、身になっています(←休止の理由は、けじめをつける為にも右のプロフィール欄に掲載する事にしました。重ね重ねご迷惑をおかけし、申し訳ございません)。
 改めて皆様に、感謝の気持ちを表明致します。いつもありがとうございます。


●出典)『居酒屋ぼったくり』 秋川滝美/アルファポリス
●参考サイト)『居酒屋ぼったくり』特設サイト
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『華中華』の“大葉と干し海老のチャーハン”を再現!

 最近、誰かから注意を受けたのか、又は担当者が変わったのか、魚屋さんの宣伝文句がごく普通になってきており、「買い物時のひそかな楽しみが…」と少し残念だったのですが、壁に貼られているポップをふと見ると、「あ~、暑いね!」「お父さん、お母さん、魚食べてスタミナつけんね!」「魚捌き〼(但し六時まで)」「もうすぐ夏休みも終わりやね~」(←※夏休みが終わってもそのまま)といつも通りのテンションで、安心しました。
 もうすぐ、サンマの塩焼き・サバフグのお鍋・イワシのつみれ汁・サバの味噌煮・イクラの醤油漬けが美味しくいただける夢のような季節が始まりますので、内心「そろそろお世話になります」と思いながら売り場を通り過ぎている今日この頃です(←今買うのは、せいぜいちりめんじゃこくらいです;)。

 どうも、“イワシの炊かずメシ”が自分の中ですっかり定番になった当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが島野さんが市場で買ってきた材料で作った“大葉と干し海老のチャーハン”です!
大葉と干し海老のチャーハン図
 前回、初対面の明さんからいきなり宣戦布告をされたチビ太さんはすっかり気が動転し、「明菜ちゃんとか気安く呼ぶんじゃねえよ」「俺の恋人に黙って近づきやがって…」と怒るのですが、明菜さんから一部始終を聞いている上に「チビ太さんは友達以上恋人未満」と直接聞いていた明さんは全く動じず、最終的には取っ組み合いの大喧嘩にまで発展してします。
 この時、ハナちゃんより先に楊貴妃さんが到着していたんですが、止めるどころか「お~っ、やってるやってる♪」と何故か楽しそうで見学モードに突入しており、頼りになりませんでした;(←大昔、恋が原因で命を落としたにも関わらず興味津々なご様子で、懲りてないな~と苦笑しました;)。

 幸い、喧嘩が始まってすぐにハナちゃんと明菜ちゃんが到着しましたので、その場は一旦落ち着くのですが、困った事に明菜ちゃんはチビ太さんと明さんのどちらも憎からず思っているものの、誰を彼氏にするか判断するには今一つ決め手が足りなかったようで、しばらく黙り込みます。
 おかげで慌てたチビ太さんと明さんは、「俺、本気なんだ…いつか明菜ちゃんと結婚して、実家の長崎の中華料理店を継ぐんだって…」と死亡フラグのような求婚をしたり、「うちは網元だ、結婚しても苦労はさせないぜ」といっそ清々しいほど経済力をアピールしたりなど、まるでお見合い番組の告白タイムのように猛烈なPR合戦をし始め、爽やかな早朝のビーチハウスは一転してカオスな修羅場になってしまってました;。

 初見時は、散々気を持たせた挙句「そんなつもりは…」と逃げ出す明菜ちゃんの事を、「恋愛に奥手だから仕方ないけど、男性陣が気の毒だな…」と頼りなく感じたものでしたが、よくよく考えれば急にモテ期がきたら誰だって戸惑いそうですし、むしろ「いい加減に決めたら失礼だし後悔するから、真剣に決めよう」と熟考する明菜ちゃんの姿勢は、誠実で好感が持てるな~と後々思い直したのを覚えています(←まあ、楊貴妃さんのように「そこにいるだけで争いが起きる傾城の美女」という天性のお騒がせ気質である可能性も、ゼロではありませんが…;)。
まだ誰とも付き合った事がないのにいきなり二人から求婚され、パニックになる明菜さん
 困った明菜ちゃんは、一旦ハナちゃんに「華子先輩、どうすればいいのか教えて下さい」「華子先輩は、どうして今のご主人と結婚されたんですか?」と助け舟を求めるのですが、ハナちゃんはそれを知ってか知らずか「どうしてって…それはもちろん、康彦さんが好きだったからよ」とシンプルに答えます(←ハナちゃんラブの楊貴妃さんは、明菜ちゃんに「…ったく、困ったバカ女だねぇ…自分で決めろって!」とご意見番大物女優のようなツッコミを入れてましたが、楊貴妃さんみたいに波乱万丈の人生を送って鍛えられた女性のような判断力を、二十歳そこそこの女の子に求めるのは、少々酷なように感じます;)。

 ハナちゃん曰く、「康彦さんが貧乏であれ、お金持ちであれ、わたしは彼と結婚したわ。一緒に幸せな家庭を創っていける人と結婚しないと、自分を殺す事になりかねないしね。だから、結婚に迷いはなかったわ」「現実的には収入とか見た目とか、色々と条件を設けた方がいいのかもしれないけど…わたしは自分の理想を信じることにしたの」という理由で康彦さんと結婚したと語っており、明菜ちゃんに感銘を受けさせていました。

 正直、ハナちゃんは先を見据えて慎重に行動する方ですので、直感を信じて結婚したという言葉には最初はちょっとびっくりしましたが、一見穏やかそうに見えて実はかなりの情熱家でもあることをすぐに思い出し、妙に納得したものです(←こう見えて、「私のチャーハンを食べたいって言わせてやるんだ」とオーナーに闘志を燃やしたり、「いつか故郷の徳島で食堂を開いて、世界中からお客さんがくるようにしたい」と結構な野心を抱いていたりと、結構負けん気が強い方;)。
ハナちゃんにとって康彦さんは理想の相手で、それはお金持ちでも貧乏でも変わらなかったとの事
 すると、そこへ話を立ち聞きしていた島野さんが「その通りよ、お華。人は、夢や理想を追わなくなった瞬間から生きる屍なのよ!」「それは料理人にも言えるわ。自分の料理はこれでいいと思った瞬間から崩壊が始まるのよ。だから、あたしは常に理想を追ってるの」と突如乱入し、なし崩し的に話し合いに参加します(←言ってるシチュエーションがあれなので見落としがちですが、いい事おっしゃってます;)。
 どうやら、市場へ買い物に行った帰りに試作しようと厨房に立ち寄った時にこの現場に遭遇した模様で、当初は野次馬根性で聞いていたものの、途中からじれったくなって入ってきたみたいでした;。

 結局、明菜ちゃんはハナちゃんの話を聞いて尚更すぐに決められなくなったようで、「自分にとっての理想の男性が、どんな人なのかすら分からなくて…」と島野さんに相談するのですが、この時島野さんは、驚くべき提案をします。
 それは、「いっそのこと、片っ端から付き合ってみたらいいのよ!今は結婚を急がず、二人とお付き合いなさい!」という、男性側からすれば生殺しに近い案;。
 島野さんが言うには、明菜ちゃんが誰と付き合ったらいいのか分からないのは付き合った経験が少ないのが原因なので、今はとりあえず恋愛経験を積んで自分の理想が何なのか見出せるようにしなさいとの事。
 はっきり言って、奥手な明菜ちゃんが受け入れるかどうかは一つの賭けだったと思うんですが、明菜ちゃんは喜んでそのアイディアを採用し、「というわけでチビ太さん、明さん…これからもよろしくお願いします」と半ば一方的に同時交際をスタートさせ、お二人を困惑させてました;。

 なかなか乱暴な奇策に思えますが、これなら「結論を出すのに慌てなくて済む分、冷静に判断ができる」「ちょっとでも気を抜いたら相手が有利になる為、強引に迫られる危険性が激減」「経験を積むことで、自分の中の理想が分かるようになる」という、明菜さんにとってはいい所尽くしの作戦ですので、とっさにこんなアドバイスが出来る島野さんは頭の回転が速いな~と感心しました(←きっと昔、色んな大人の恋愛を経験したんだろうな~と予想;)。
 ただ、常に比較されてハラハラドキドキしっぱなしになるであろうチビ太さんと明さんは災難以外の何物でもない為、内心島野さんをさぞ恨んだことと推測されます;。
途中から参戦してきた島野さんのおかげで、明菜さんはようやく考えがまとまったようでした
 その後、「あ~あ、おバカさん達に付き合ってたらお腹空いちゃったわ」とお疲れの様子の島野さんを気遣い、ハナちゃんが腕を振るって作ったのが、この“大葉と干し海老のチャーハン”!
 作り方は簡単で、フライパン(又は中華鍋)に太白胡麻油と干し海老を入れて火にかけ、カリッとしたら干し海老だけ取り出して醤油をかけておき、フライパンに残ったエビの香味油で基本チャーハンを作ります。
 そして基本チャーハンを仕上げる際、先程の干し海老と刻んだ大葉と投入し、ざっと混ぜたら出来上がりです。


 生海老を使ったチャーハンは、“嫁と姑の愛情たっぷり海老チャーハン”の回で再現済みですが、干し海老で香味油を作ったり、チャーハンに入れたりしたことはなかった為、初めて読んだ時はどういう仕上がりになるのか予想がつきませんでした;。
 干し海老と大葉という、日頃主役になる事がない食材がメインという珍しい一品ですが、作中の表現によりますと、熱で活性化した干し海老と大葉の「これでもか!」というくらい香ばしい匂いが引き出されたチャーハンとの事で、俄然興味が湧いて来たのを覚えています。
今回は、何と干しエビから作った香味油で基本チャーハンを拵えていました。
 先日、国産干し海老を安く手に入れる事が出来ましたので再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピが分量つきで記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、干し海老の下ごしらえ。フライパン(又は中華鍋)へたっぷり太白胡麻油をひいて弱火~中火の間に熱したら干しエビを投入し、焦げないよう軽く混ぜながら火を通します。
 やがて、干し海老の色が変わってカリカリになり、太白胡麻油に香りが移ってきたら干しエビのみボウルへ取り出し、醤油をかけて一旦置いておきます。
 この時、フライパンに残っている干し海老の香味油は基本チャーハンを作る際に使いますので、そのまま取っておきます。
大葉と干し海老のチャーハン1
大葉と干し海老のチャーハン2
大葉と干し海老のチャーハン3
 次は、チャーハン作り。
 先程の干し海老の香味油入りフライパンを使って、以前ご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りチャーハンを作ります(←干し海老の塩分もありますので、塩気はやや控えめがおすすめです)。
 そして仕上げる直前、カリカリになった干し海老と、洗って水気をきっちり拭いた後細目に刻んだ大葉を加え、ざっと混ぜ合わせます。
 ※大葉がしんなりし過ぎると美味しさが半減しますので、混ぜる時はもう火を消して置いた方がいいです。
大葉と干し海老のチャーハン4
大葉と干し海老のチャーハン5
大葉と干し海老のチャーハン6
 チャーハン全域に干し海老と大葉が行き渡ったらコンロからおろし、丸く形作ってお皿へ盛り付ければ“大葉と干し海老のチャーハン”の完成です!
大葉と干し海老のチャーハン7
 大葉の鮮やかな緑色、干し海老の薄い紅色、卵の優しい黄色の組み合わせがとてもきれいで、見るだけでも楽しめます。
 干し海老の香ばしい風味が食欲をそそりますので、一体どんな味がするのか楽しみです。
大葉と干し海老のチャーハン8
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
大葉と干し海老のチャーハン9


 さて、感想はと言いますと…見た目によらずかなりパンチのある美味しさ!干し海老と大葉が意外に合う事を知り、びっくりです!
 最初は「干し海老できちんと香味油になるんだろうか…」と半信半疑だったんですが、生海老に負けるとも劣らないギュッと濃縮されたコクと、焦げる寸前まで火が通った殻のむせ返るような香ばしさがガツンと効いており、噛めば噛む程海老の芳醇な旨さが口の中いっぱいに広がります。
 生海老のようにジューシーな瑞々しさがない代わりに旨味に奥行きが生まれ、何十匹分もの凝縮された海老エキスが油に溶け込んでご飯に染み込んでいる為、何か特別な材料でも使ったかのような高級感がでているのが特徴的でした(←その一方で、海老せんにも似た独特の香りが強烈だった為、一瞬「かっ○えびせん風チャーハン」という超庶民的なイメージも頭に思い浮かびました;)。
 このなかなかに味が濃いチャーハンを、大葉のすっきり爽やかな和の風味がキリッと引き締め、ギリギリ重さを軽減させているのがよかったです。
 具が極端に少ないので一見物足りなく見えますが、油でカラッと揚がったおかげでサクサクパリパリのスナック菓子並に軽い食感になった干し海老と、海老の香味油を吸ってなんちゃって海老玉風に仕上がったフワフワ卵の相性の良さをかえって際立たせていましたので、シンプルイズベストだな~と感じました。


 正直、干し海老がここまで強烈な個性を発揮するとは思わなかったので、色々と勉強になった再現でした。
 太白胡麻油ではなく、純正胡麻油を使ってこってり風味にしても合いそうですので、今度また試してみたいと思います。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『まかない君』の“サバのトマト煮‏”を再現!

 先日、コンビニでヨーグルッペという乳酸飲料を初めて見かけたのですが、山崎製パンのスージーちゃんに通じるものがあるレトロでかわいらしいパッケージにやられ、一個購入しました。
 てっきり飲むヨーグルトみたいな乳白色の飲み物かと思いきや、少し褐色を帯びていたのにギョッとしたものの(←注:タンパク質と糖質が反応して変化しているだけで、品質には問題ないとの事)、しっかりしているようでマイルドな酸味が美味しくてほのぼのしました。

 どうも、グリコのHPに載っている白沢パピ子さんのデザインの中では、社員Cさんのデザインが一番好きだった当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君が二年目の秋に旬のサバを使って作った“サバのトマト煮‏”です!
サバのトマト煮‏図
 それは、少し肌寒くなってきた十月のある日の事。
 浩平君は出しガラの煮干しを炒って味付けした物を弥生ちゃんと佳乃さんへおやつ代わりに振る舞い、意外にも好評を得るのですが、その喜び方が対照的でちょっと苦笑。
 というのも、弥生ちゃんは煮干しの白くて硬い目玉を「真珠だー」と無邪気に見せびらかしながら(←当管理人も小さい頃やってました;)、お茶と共に無心に噛み締めていたのですが、佳乃さんはお酒好きの飲兵衛なせいか「うん、うんうん、あーこれはお茶よりビールだわ~」「でも仕事中だからお茶でガマン~」と惜しそうな顔で食べており、お酒好きかそうでないかでここまで感想に差が出るんだな~と変に感心しました。

 浩平君としては、ヨっちゃんの陽気な性格上お酒をかっくらいながら原稿を書いてそうなイメージを持っていたらしく、「実は真面目だね」と少し失礼な事を言っていたのですが;、意外にも佳乃さんは無頼派どころか仕事に関しては常識派だったみたいで、そんな事はしていない模様でした(←昭和の文豪にそういう人が多かったせいか、当管理人もロックな純文学を書いてそうな方には、勝手ながら未だにそういうイメージを持ってます。まあ、飲酒しながら『細雪』のように華麗な小説を書いた谷崎純一郎みたいな作家もいますので、作品だけでは何とも判断がつきにくいのですが…;)。

 但し、弥生ちゃんの証言によりますと「飲まないかわりにロールケーキ丸々一本食べてたりするよね」だそうで、これはこれで武勇伝だな~と恐れ入りました;。
 佳乃さん曰く、「糖分が執筆活動のエネルギー源だからね」「ある程度ぷよぷよしてた方が男ウケはいいんだよ!」(←浩平君はノーコメントでしたが、実際佳乃さんは『まかない君』の中で相方さんから一番好かれていますので、妙に信憑性があります)との事で、一瞬「なるほど!実践してみようか」と思いかけましたが、三次元の当管理人がそれをしたら脳みそよりも二の腕や腰回りの方へ栄養がいきそうだと気づき、諦めましたorz。
お酒を飲みながら小説を書く事はしないものの、ロールケーキを食べながらは執筆するとの事
 その後、夕食時になって浩平君と弥生ちゃんが秋サバを使って作ったメインディッシュが、“サバのトマト煮‏”です!
 作り方はそこそこお手軽で、サバの切り身に塩・こしょう・小麦粉・カレー粉をまぶしてオリーブオイルで両面を焼き、途中にんにくと赤唐辛子を加えて香りづけしたらピーマンも入れて炒め、最後にトマト缶・白ワイン・塩・こしょうで味付けして煮込んだら出来上がりです。
 ポイントは、「くさみ消しのおまじない程度」のカレー粉をサバにはたく事で、大量につけ過ぎたらあっという間にトマトソースがカレー風味になってしまう為、要注意との事。
 調べた所、イタリアではアンチョビに使うカタクチイワシを除いて「青魚は下等な魚」という意識が残っているせいか、そこまで積極的に料理に使わないとの事でしたので、もしかしたらこの“サバのトマト煮‏”は、ナポリタン同様日本にしか存在しないイタリアンなのかもしれません。

 骨を取らないまま煮ますので、食べている時に骨がちょっと気になるのが唯一の欠点みたいでしたが、佳乃さんが「きれいなバラにはトゲがあるように、おいしい魚に骨があるのは世の習いだよ」と含蓄のある事を言っていたせいか大して気にならなくなりましたので、物は言いようだな~と感じます;(←『美味しんぼ』の山岡さんが忘年会の幹事になった時に言った、「安い予算でそんな料理が出せるか!究極のメニューを用意するには金がかかる!」というセリフを、ふと思い出しました;)。
 日本人の性で、サバといえばどうしても味噌煮か酢締めか塩焼きか…と和食が思い浮かびますが、作中でトマトとサバは合うと紹介されていた為、興味がそそられます。
きれいな花にはとげがあるように、美味しい魚には骨がある…これは身になる新ことわざですね
 この“サバのトマト煮‏”をきっかけに、佳乃さんと浩平君は「<おいしいサバ>を、フランス語でなんて言う?」「<サバビアン>」(←日本語の「サバ」と、フランス語の「サ ヴァ」をかけた、一種のジョークです)と言い合ったり、「エイプリルフールの事をおフランスではポアソン・ダヴリル、<四月の魚>って言うね」「その魚ってサバのことらしいよ」と豆知識を披露しあったりと、いつも通り知能指数が高そうな会話をするのですが、毎回お二人から聞くもっともらしい冗談に振り回されている弥生ちゃんは、「ものしり二人がまたあたしをダマそうってコンタンだな」「ああっ、また二人して煙に巻くようなこと言ってる!どこまでが本当のことか全然分からないよ!」とすっかり疑心暗鬼になっており、少し不憫になりました;(←当管理人もすぐ真に受ける性格が災いしてよくからかわれますので、弥生ちゃんの屈折した気持ちは理解出来ますorz)。

 佳乃さんは「虚実皮膜の妙を楽しんでほしいね」と語ってましたが、「<秋ナスでサバを釣る>ってことわざあったよね」「<秋ナスとサバを食べるな>って言い伝えはなんだろ」という天然な思い込みをする弥生ちゃんには難しい注文だと思いますので、弥生ちゃんの懊悩の日々はまだまだ続く事になりそうです…。
弥生ちゃんはすぐに騙されやすいので、お二人の丁々発止のやり取りについて行けない事もしばしば;
 先日、スーパーでピカピカの秋サバがセールで安くなっていましたので再現する事にしました。
 作中には絵入りで詳細なレシピが書かれていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、サバの下準備。サバの半身を半分に切ったら両面に塩とこしょうをふって味付けし、全面に小麦粉を薄くはたいてカレー粉を少し振りかけます(←浩平君の言う通り、「くさみ消しのおまじない程度」がいいです)。
 ※サバは味付けする前に、流水でドリップを軽く洗い流してしっかり水気をふき取ってから使うと、味がアップします。
サバのトマト煮‏1
サバのトマト煮‏2
サバのトマト煮‏3
 次は、焼き&煮込み作業。
 オリーブオイルをひいて熱したフライパンへ、先程のサバを皮が下になるよう並べ入れ、両面をこんがり焼きます(←後々煮込みますので、表面に焼き目がついたらいいかくらいの感覚で大丈夫です)。
 身の方も大体焼けたら刻んだにんにくと輪切り唐辛子を投入し、焦げないよう弱めの中火で火を通します。
サバのトマト煮‏4
サバのトマト煮‏5
サバのトマト煮‏6
 やがてにんにくの香りが立ってきたら、フライパンの脇へ種を取って縦に細切りにしたピーマンを加えて油をなじませ、トマト缶をつぶしながら投入します。
 この時、トマト缶の中に白ワインを入れて残ったトマトをゆすいでおいた汁もフライパンに注ぎ、しばらく煮込みます(←ピーマンの色や食感の変化が気になる場合は、一回取り除いて煮詰まってから再度戻し入れて煮るのも手です)。
 途中、塩とこしょうをふって味見をしながら塩加減を調節します。
サバのトマト煮‏7
サバのトマト煮‏8
サバのトマト煮‏9
 トマトソースが段々煮詰まってサバやピーマンに味がなじんできたら火からおろし、そのままお皿へソースごと盛り付ければ“サバのトマト煮‏”の完成です!
サバのトマト煮‏10
 サバの皮が焼けた香ばしい風味、にんにくの胃袋を鷲掴みにするワイルドな匂い、トマトのフルーティーな香りが湯気と共にふわりと漂い、食欲が湧きます。
 作中で言われている通りおまじない程度にしか使っていないものの、カレー粉のパワーは強力なのでぐいぐい押してこないか心配ですが、そこの所は食べて確認してみようと思います。
サバのトマト煮‏11
 それでは、サバにトマトソースを絡めていざ実食!
 いただきま~す!
サバのトマト煮‏12


 さて、味の感想ですが…サバがちゃんとイタリアンになってて美味し!白ワインの香りが洒落た後口にしています!
 サバは癖があるので調理法を選ぶ魚ですが、赤唐辛子とにんにくがガツンと効いて刺激的に辛旨いアラビアータ風のトマトソースは、青魚ならではのどっしり重厚なコクを持つサバに一歩もひけをとらず、かと言って殺し合う事もせず、相乗効果で旨味がさらに濃ゆくなっていました。
 味を馴染ませる為やや長めに煮たんですが、表面に小麦粉をはたいたおかげでしっとりホロリと柔らかいままで、パサつきがないのがよかったです。
 最初は「トマトの甘酸っぱさがサバに合うかな?」と半信半疑だったんですが、実際に食べるとサバ特有のこってりした脂を程よく中和し、純粋な旨味だけを引き立てている印象でぴったりでした(←考えてみれば、サバに酸味が合うのはしめサバで既に立証されてましたね;)。
 あと、さり気なく使ったカレー粉はほとんど表に出てこず臭みだけを消しており、注意して食べると後からわずかにスパイシーな風味が漂うんですが本当にそれだけで、量さえ間違えなければこんなに奥ゆかしい名脇役になるのか…と感心です。
 この濃厚なサバとトマトソースの合間に、ほろりと苦甘いピーマンをシャグシャグ噛み締めるといい箸休めになり、口の中がリフレッシュするのがナイスでした。


 サバとトマトが本当に合うのかちょっと不安でしたが、意外としっくりする味でしたのでほっとしました。
 骨は少々面倒でしたがすぐ取れるので気になりませんでしたし、ここにナスを入れてみても合いそうですので、また次回試してみようと思います。


P.S.
 無記名さんから非公開コメントにてご質問頂きました、『わかったさん』シリーズの“レモンドーナツ”の記事がリンクに繋がっていない件ですが、実はこの記事は指定した日時に投稿されるよう予約している下書き記事の為、現時点ではまだ表示されないようになっております(ちなみに、この記事は10月上旬にアップするよう指定しています)。誠に申し訳ございません。
 詳しい経緯はこちらの過去記事にてご説明させて頂いておりますので、お手数ですがご一読して下さりますと幸いです。
 恐れ入りますが、ご了承の程何卒よろしくお願い申し上げます。


●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

『残月―みをつくし料理帖』の“麗し鼈甲珠”を再現!

 毎年暑い時期になると、大学時代に仏教学の教授(若い頃にインドでジャイナ教の師に弟子入りしたり、パチプロで生計を立てていた時期があったりなど、なかなか波乱万丈な半生をお持ちでした)から聞いた、インドのマンゴーの話を思い出します。
 教授曰く、当時は売られている水すら「腹を下す」と信用できなかった為、喉が乾いたらジュース代わりにいつもマンゴーを買って水分補給をしていたようなのですが、そそられたのはその表現。
 水を張ったたらいの中に小ぶりなマンゴーがぷかぷか浮かんでいるのを、適当に指さして一個5円くらいで購入し、持参したナイフで手早く皮を剥いてかぶりつき、ぬるいけれども濃厚に甘くて瑞々しい果汁によって喉を潤した…のだそうですが、日本のお店では味わえそうにないワイルドな快感が容易に想像できて、授業そっちのけでうっとりしたのを覚えています(←何しろ約八年近く前に聞いたお話ですので、もしかしたら聞き違いしている箇所があるかもしれません;。その時はすみません;)。

 どうも、一度お店で買ったマンゴーでかぶりつきにチャレンジしたものの、自宅の薄暗い台所というシチュエーションだったせいか今一つピンと来なかった当管理人・あんこです。
※注意:今回はいつもにも増してネタバレがひどい回です。未読の方は、あらすじ部分を飛ばすことをお勧めいたします。




 本日作ってみる再現料理は、『残月―みをつくし料理帖』にて澪ちゃんがあさひ太夫の髪飾りにインスピレーションを受けて生み出した“麗し鼈甲珠”です!
『残月―みをつくし料理帖』
 先月、とうとう最終巻『天の梯』が発売された為、その前巻『美雪晴れ』と前々巻『残月』をまとめてじっくり読み返したのですが、『残月』の時点で既にあちこちに伏線が散りばめられていた事に気づき、舌を巻きました(←特に、四千両をどうやって用意するかのくだり)。
 これはあくまで個人的な見解ですが、一巻『八朔の雪』が全てにおける<起>、二巻『花散らしの雨』~七巻『夏天の虹』までが長~~い<承>、八巻『残月』~九巻『美雪晴れ』が怒涛の<転>、十巻『天の梯』がギュウギュウに詰まった<結>という印象で、こうして改めて見直してみますと、澪ちゃんは人によってはもう一生分かというくらい密度の濃い苦労の連続だったんだな~と、気の毒になります;(←同じく<承>の比率が非常に長かった名作を挙げるとするなら『うしおととら』ですが、こちらは要所要所で明るい展開が点在していたせいか、そこまで絶望的な気持ちにならないのがありがたかったです;)。
 その為、約四年もの間一向に逆転の気配がない澪ちゃんの不幸の数々を見ては「いつになったら<雲外蒼天>の青い空を拝めるのだろう…」と気をもみましたが、完結した今からすると、苦難が大きかった分ラストの爽快感が倍増したように感じた為、やっとほっとしたものです。

 今回ご紹介するのは、あさひ太夫こと野絵ちゃんを救い出す重要なキーパーソンとなった起死回生の一品・“麗し鼈甲珠”。
 作り方は意外と簡単で、白味噌・赤味噌・こぼれ梅・日本酒・みりんをすり鉢ですったものを味噌床にして卵黄を漬け、三日後に取りだしたらもう出来上がりです。
 当初は「う~ん、卵黄の味噌漬け…この時代でも既に珍しくない料理だったような」と今一つ釈然としなかったものでしたが、二種類の味噌とこぼれ梅の配合によって全く異なる旨さになると表現されていたことと、作者の高田郁先生が「こぼれ梅を生地にすることで、奥行きのある甘さが生まれます」とおっしゃっていたことで、俄然興味がわいてきたのを覚えています。
 ポイントは、味噌床へ直に漬け込むのではなく、卵黄を破かないように晒しかガーゼを使って慎重に漬け込む事で、それさえ守ればまず失敗はないように感じました。

 元々この料理は、数々の営業妨害をしてきた卑劣なライバル・采女宗馬から「お前を新しい吉原店の板長にしたい」とこれまでの態度を豹変させて誘われた時、半ば冗談で「この私を引き抜かはるんなら、値は四千両だす」と啖呵をきったのを逆手にとられ、「吉原で商うにふさわしい料理を、来月十八日まで持ってきたら考えぬでもない」「お前さんはこの勝負、受けるよりないのだよ」と脅されて考えた料理なのですが、着想に役立ったのは吉原のイメージではなく、むしろ野絵ちゃんとの思い出。
 こぼれ梅は、澪ちゃんと野絵ちゃんがまだ幼くて幸せだった頃、習い事の帰りに酒屋さんの店先で買い求めて天神橋でよくおやつ代わりに食べていた、懐かしい過去の記憶。
 卵は、関西の味が江戸でなかなか受け入れられず四苦八苦していた澪ちゃんが茶碗蒸しで好評を得て、その評判を聞いた野絵ちゃんが又次さんを介して茶碗蒸しを買い、思いがけずお互いの無事を知ったありがたい記憶。

 これらの恩と縁のある食材を組み合わせ、決戦直前に切ない再会を果たした野絵ちゃんの髪に挿されていた豪奢な鼈甲の簪に模して仕上げたのがこの“麗し鼈甲珠”で、後々この料理のおかげで澪ちゃんと野絵ちゃんの間に打ち込まれたくさびが解き放たれた事も合わせて考えると、色々な感情がこみ上げてきます。
 一見バラバラで、何の役にも立たないように見える思い出の欠片がまとまって一つの武器となり、失った物全てを奪還して未来を切り開いていく様はなかなか胸に迫るものがありますので、余計カタルシスがすごかったものです。

 結局、最初から四千両を払う気などなく、澪ちゃんの新作料理を真似て新しいお店で出すつもりでいた采女宗馬は、“麗し鼈甲珠”のこれまでに類を見ない味わいの深さに絶句し、内心の動揺を隠すために「この程度で四千両とは恐れ入った」と罵倒します。
 しかし、澪ちゃん自身始めから引き抜かれる気は全くなく、四千両を手に入れるつもりもなかった為、「お気に召さずに済んで、安堵しました」「どのみち、またすぐに真似をして、登龍楼の献立に取り入れるのでしょうね」と挑発し、さらに「ですが、同じ味に仕上げることは無理です。紛いは紛い。決して本物を凌ぐことは出来ません」と言い、ただでさえ敗北感にまみれた采女宗馬の神経を逆撫でします(←正直、読んでて「もっともだけど、こんなヤ○ザすれすれの人をあんまり刺激しないで~!」とビクビクしたものです;)。
 案の定、采女宗馬は大分勘に障ったようで、「大した自惚れようだな」「たかが女料理人、捻り潰すことなどわけもないことだ」と吐き捨てるのですが、澪ちゃんは即座に「潰されたりしません」と言い返し、続けて敢然と宣言します。

 ―「これまでがそうだったように、これからも、決してあなたの思うようにはなりません」

 …このシーンを見ると、ほんの数年前は采女宗馬の老獪な対応にしてやられ、唇を噛んで引き下がるより他なかった少女が、よくぞここまでたくましく成長したものだと感慨深い気持ちになります。
 確かに、女性は色んな意味で「捻り潰す」ことが難しくない身体的に弱い生き物ですが、だからこそ長じるにつれ、力がなくとも竹のようにしなやかに、高く立ちふさがれても風のようにすり抜け、何度痛手を負わされても雑草のようにしたたかに生き抜く強さを身につけていくようになるのだろうか…と思わずにはいられません(←もちろん、当管理人のような例外はいつの世にもいますが…orz。今からでも、澪ちゃんを見習いたいと思います)。


 先日、やっとこぼれ梅をお取り寄せする事が出来ましたので再現する事にしました。
 作中に詳細な作り方が記され、巻末にも分量つきのレシピがきっちり記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!



 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、味噌床作り。すり鉢へ白味噌、赤味噌、こぼれ梅、日本酒、みりんを投入し、すりこ木で全体が滑らかなペースト状になるまで丁寧にすり合わせます。
 こぼれ梅には餅米の粒がちらほら入っていますので、出来ればそれも逃さずするようにします。

 ※実は調理前、こぼれ梅を一口試食したんですが、本当に甘くて柔らかくて香りもよく、これはいいおやつになるだろうな~とうっとりしました。食感はちょっとざらついたカッテージチーズみたいな感じですが、味は日本酒と甘酒を凝縮して固形化したようなイメージです。ただ、子どものおやつにするには結構お酒の風味が強すぎる感じで、少し食べただけでも危うく酔っちゃいそうになりましたので、澪ちゃん達は大人な子どもだったんだな~と妙に尊敬しました;(←どれくらいお酒っぽかったかといいますと、運転前の大人に食べさせたら飲酒運転を疑われそうなレベルです;)。
麗し鼈甲珠1
麗し鼈甲珠2
麗し鼈甲珠3
 材料がよく混ざって細かくすれたら、しっかりフタが出来る別の容器へ半分~三分の二くらいの量を移し、上に清潔なガーゼ(又は晒し)を乗せて卵黄用のくぼみを作ります。
 このくぼみへ、卵白を取り除いておいた卵黄を崩さぬようそっと落とします。
 ※卵白は使いませんので、他の料理に流用します。当管理人の場合、卵黄を足してガーッと泡立ててモコモコにして焼いた、ビックオムレツを作りました。
麗し鼈甲珠4
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 卵黄を全て入れ終えたら、残りの味噌床を塗り付けておいたガーゼをそっと優しく乗せ、冷蔵庫に入れて三日間漬けます。
 なお、時間が経って取り出す時は菜箸ではなく、あたりの柔らかい木製のさじか陶器のスプーンを使い、形を壊さないように取った方がいいです。
麗し鼈甲珠7
麗し鼈甲珠8
 三日後に卵黄がよく漬かっているのを確認したら容器からそろ~っと取り出し、小さな器へ盛り付ければ“麗し鼈甲珠”の完成です!
麗し鼈甲珠9
 当管理人の腕が未熟な為、残念ながら作中にあるように完全な球型には仕上がらなかったのですがorz、色合いはまさしく鼈甲色そのもので、澪ちゃん同様思わずごくりと喉が鳴りました。
 一般的な味噌漬けとは違って回りに黄金色のとろみをまとっているのが意外で、一体どんな味がするのかすごくドキドキしています。
麗し鼈甲珠10
 それでは、お箸で一口大に切っていざ実食!
 いっただっきまーす!
麗し鼈甲珠11


 さて、味の感想はといいますと…普通の味噌漬けとは一風異なる、不思議なおいしさ。想像していたよりも、こぼれ梅の存在感が大きいです!
 通常、味噌漬けにした黄身は結構塩気が強く、歯にくっつと容易に剥れない程粘りがすごいのが特徴なんですが、これは味噌を使っているのが信じられないくらい塩分がぐっと控え目な上、箸でスッと簡単に押し切れて口の中でねっとりトロリと溶けていく繊細な柔らかさが同居しており、驚愕しました(←どちらかと言えば、醤油に長く漬けた黄身がより近い口当たりです)。
 もちろん味噌特有の複雑な塩気もちゃんと活きていますが、それよりもこぼれ梅が持つ濃密でどこか懐かしい奥行きのある甘味と、上等な吟醸酒を思わせる雅やかな香気の方が圧倒的に前に出ており、味噌というよりは粕に漬けた感じだった為、「奈良漬け風黄身の甘味噌漬け」と呼びたくなるような味わいでした。
 実は赤味噌と白味噌はほぼ半量ずつ配合されてるんですが、こぼれ梅によって個性が際立っているのは似た系統の白味噌の方で、おかげでおつまみというよりはちょっとしたお菓子感覚で頂けます。
 こぼれ梅の原料がもち米と米糀のせいか、ふかしたもち米や甘酒を彷彿とさせる品がよくて優しい「和」の甘さというイメージで、味噌はいわばスイカにかけた塩みたいな役割を果たしているな~と感じました。


 その後、黄身以外にも白身魚や茹で卵を漬けてみたんですが、どれも味噌漬けとは思えぬまろやかな塩気と甘味によって一段も二段も上の味に仕上がった為、感心しました。
 江戸時代はもちろん、現代でも十分通用する味ですので、おすすめです。

●出典)『残月―みをつくし料理帖』 高田郁/角川春樹事務所
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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