『居酒屋ぼったくり』の“おつまみ素麺”を再現!

 先日、スーパーで男前豆腐の絹厚揚げ豆腐が安く売られていたのを見つけて「今日のおつまみはこれ!」と購入したのですが、いざ調理しようとした時、下に小さく「社訓:本物の男前はあなたを裏切ったりしない」と書かれているのを発見し、何故かときめきました;。
 クリーミーで美味しい豆腐といい、その割にお手頃な価格といい、この二枚目なセリフといい、思わずチャンカワイさんのように「惚れてまうやろー!」と危うく台所の中心で愛を叫ぶところでした。

 どうも、絹厚揚げ豆腐はゴマ油で表面をカリッと焼いた後、鰹節としょうが醤油をかけて頂くのが定番な当管理人・あんこです。


 本日作る再現料理は、『居酒屋ぼったくり』にて主人公・美音さんがある夏の日にお店で出していた“おつまみ素麺”です!
『居酒屋ぼったくり』図
 『居酒屋ぼったくり』とは、名前に反して採算ギリギリのお料理とお酒を出している良心的なお店・<居酒屋ぼったくり>を、突然事故死したご両親から引き継いで経営している姉・美音さんが妹の馨さんと共に、個性的な常連さんを気の利いた肴と心の交流でもてなす日々を描いた、短編連作の下町人情系居酒屋小説です。
 お店の広さは、八人がけのカウンターと座卓を二つ入れるのが精一杯という小ささですが、それだけにお客さん同士のふれあいが密接な感じで、読んでいるとこちらもいつの間にか席に座って会話に参加しているような臨場感が出ていてほのぼのします。
 ストーリーの面白さはもちろん、所々で登場する美音さんの創作料理と、それに合う上質の日本酒が細かい描写で書かれているのが素晴らしく、普段は熱烈なビール党の当管理人でも、読み終えた後は日本酒で一杯やりたくなる気持ちにさせられます(←中でもそそられたのは“あつあつ小鯵南蛮”、“豆腐の揚げっぱなし”、“手羽先スペシャル風”で、こちらもいずれ再現したいと考えています)。
 雰囲気は『みをつくし料理帖』に似ているのですが、こちらは澪ちゃんと違って特に大きな事件や難題に巻き込まれる様子はなく、美音さんと<居酒屋ぼったくり>の周りで起こったちょっとした出来事が淡々と語られる日常系エピソードがほとんどですので、一話読んでほんのり癒されたい方にお勧めしたい作品です。

 心優しくて気風がよく、人当たりは柔らかいけれども芯はしっかり強い美音さんの人柄は読んでいてとても好感が持て、こんな店主がいるお店だったら是非通いたいな~と常連さん達が羨ましくなります(←ただ、ちょっと頑固な所が困りもの;)。
 周囲の人達も魅力的で、調理補助として姉を支える明るく行動的な五歳下の妹・馨さん、町内のご意見番として頼りになる薬局屋の主人・シンゾウさん、忙しさのあまり晩酌兼夕飯を済ませに通ってくる陽気なOL・アキさん、昔ながらの江戸っ子で威勢がいい植木職人・マサさん、毎回梅割り焼酎を頼む元芸者の小粋なご婦人・ウメさんが主な固定メンバーとして、時々まざってくるイレギュラーなお客さん達と打てば響く会話をし、様々なお悩み相談を一緒になってワイワイと解決していくさまが微笑ましく、つい夢中になって読み進めてしまいます。
 あと、閉店間際に時々やって来ては美音さんの心を微妙に揺らしていく謎の男性・要さんの存在も、「これから二人はどうなるのか?」と気になる感じで、このお二人の密かな交流も非常に気になる所です(←これまた『みをつくし料理帖』にでてくる澪ちゃんと小松原さんの関係にちょっと似ていますので、それだけに余計興味津々です;)。

 今回ご紹介するのは、夏の時期にマサさんが喜んで注文する“おつまみ素麺”!
 作り方は簡単で、ボウルへ茹でて切った素麺・刻み海苔(又はバジル)・ピザ用チーズ・塩・こしょう・オリーブ油を入れてザクザク混ぜ、熱したフライパンに乗せて両面をフライ返しでぐいぐい押し付けながらこんがり焼いたら出来上がりです。
 美音さん曰く、如何に亡き父が「誰でも買えるような酒や、どこの家庭でも出てくるような料理で金を取るうちの店は、もうそれだけでぼったくりだ」(←これが店名の由来です;)とよく言っていたとはいえ、さすがに素麺をそのまま出すのはぼったくりが過ぎるという理由で試行錯誤を重ねて生み出したのがこの料理だそうで、「素麺でビールなんか飲めるか」と言っていたお客さんの価値観を180度変えていました。
 コツは、焼く時に遠慮せずフライ返しで生地をギュ~ッと何度も押し付けまくって美味しいおこげを作る事くらいですが、作中のお客さんが言うには、多少料理に慣れている方でないと「レシピがあっても同じになんて作れないって確信した!」という出来ばえになるみたいですので、ある程度の失敗は覚悟した方がいいのかもしれないと思いました;。


 前々から「茹でる以外の素麺の活用法を増やしたい!」と考えていましたので、再現する事を決意しました。 
 正直、ちょうどよく作業という物が苦手ですので自信がありませんが、作中には詳細なレシピが記載されていることですし、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、素麺の下準備。素麺は袋の裏に書いてある時間通りに茹でて流水でよく揉み洗いし、ザルでしっかり水切りします(←水切りが不十分だと焼く時にベチャッとして香ばしく焼けませんので、水滴が出なくなるまで根気強くした方がいいです)。
 水気をきったら、麺同士がくっつかないようすぐに包丁で大雑把に切ります。
おつまみ素麺1
おつまみ素麺2
 次は、混ぜ作業。
 海苔バージョンは、ボウルへ切った素麺、ピザ用チーズ、刻み海苔、塩、こしょう、オリーブ油を入れ、菜箸でザクザクとまんべんなく混ぜ合わせます。
 一方バジルバージョンは、別のボウルに切った素麺、ピザ用チーズ、小さく千切ったバジル、塩、こしょう、オリーブ油を入れ、同様によ~く混ぜ合わせます(要は、刻み海苔をバジルに置き換えるだけです;)。
 ※意外と混ぜにくいので難儀しますが、具が隅々まで行き渡らないと味にムラがでてしまいますので、ちょっとしつこいくらい混ぜた方がいいです。
おつまみ素麺3
おつまみ素麺4
おつまみ素麺8
 ここまできたら、いよいよ焼き作業(海苔バージョンもバジルバージョンも、ここの工程は全く同じですので、まとめて紹介します。ただ、フライパンは同じ物をそのまま使わず、必ず洗ってから使用するようご注意ください)。
 中火に熱したフライパンの中央へ先程のタネを一気に入れ、均等かつ平らになるよう広げます。
 最終的に厚みは半分以下になりますので、外と中の対比を楽しまれない方はやや多めに、ペラッとした感じがお好みの方は少な目に入れる事をおすすめします。
おつまみ素麺5おつまみ素麺9
 広げ終えたら、フライ返しでギュッギュッと押し付けながら香ばしく焼いていき、裏面がきつね色に焼けたのを確認したらひっくり返し、また強く押し付けながら焼きます。
 ※器用な方はフライ返しの二刀流でひっくり返していいですが、当管理人のようにそういう作業に自信がない方は、一旦フライパンのフタに移してから「そいや!」とひっくり返した方がいいと思います;。
おつまみ素麺6
おつまみ素麺7
 やがて両面に焦げ目がついたら火からおろし、格子状にサクサクと切れ目を入れてお皿へ移して、仕上げにポン酢入りの小皿を添えれば“おつまみ素麺”の完成です!
おつまみ素麺10
おつまみ素麺11
 実を言いますと、海苔バージョンの方はチーズの量を程々に、バジルバージョンはやや多めに入れて焼いてみたんですが、思っていたよりも見た目が違っていて驚きました;。
 海苔バージョンは炙りたての磯辺焼きみたいに焼き海苔の香りが濃厚、バジルバージョンはハーブの清らかな香気が上品に漂う感じとどちらも美味しそうなので、食べる前から味に期待が持てます!
おつまみ素麺12
おつまみ素麺13
 それでは、ポン酢につけていざ実食!
 いっただっきま~す!
おつまみ素麺14
おつまみ素麺15


 さて、感想はといいますと…その名通りおつまみにぴったりで、ビールとの相性よし!チーズがつなぎとなって、素麺がおやきっぽい仕上がりになってます!
 表面はやや焦げた極薄のチーズの膜が出来ていて、「カリカリ」「パリパリ」「ザクッ」と軽くて香ばしい食感なのですが、中は茹でたて素麺本来の滑らかなピチピチツルツル感と、チーズや素麺をじっくり熱を通す事によって生まれたモチッとした歯触りが活きており、噛めば噛む程賑やかな三重奏を楽しめます。
 言うならば「素麺版かた焼きそば」というイメージで、ポン酢でさっぱり感がプラスされたおかげで、チーズの味が濃い割にはスルッと頂けるのがナイスでした。
 不思議にも、あれだけ刻んだり火にかけたというのに麺は伸びておらずちょうどいいコシが残っていて、ちゃんと「麺を食べてる」って感じがします。
 外側のチーズは極限まで水分が抜けた結果、チーズスナックみたいにサクパリッと仕上がりに(←ピザからはみ出て焼け過ぎたチーズに似た味わいです)、そして内側のチーズはこってり濃厚なコクのある塩気が効いてとろける美味さで、塩とこしょうのみのシンプルな味付けなせいか、後口が妙にあっさりしているのが印象的でした。

 海苔バージョンは、ただ振り掛けるだけでは生まれない海苔の濃厚な磯の風味がブワッと口の中に広がるのがいい感じで、単純な材料しか使っていないのに深みのある旨味で驚きです(←何故か、明太子スパを思い出す味わいでした;)。
 一方バジルバージョンは、フレッシュバジルの爽やかな香りとチーズが組み合わさる事で「トマト抜きのイタリアン風ピザ味」というイメージの美味しさに仕上がっていて、ハーブ特有のほんのりした甘味が後に残るのが特徴的です。


 チーズは多めにして焼くと、パリッとした膜がうまく張るのでよりおつまみ向けになる感じですが、あんまり多く入れ過ぎるとくどくなってしまいますので、何度か作って自分にちょうどいい分量を見つけた方がいいと思います。
 個人的に、シソで作ってみても合いそうだと感じましたので、近々試してみる予定です。


P.S.
 コメント欄にて色々な情報を下さったり、ご指摘やご感想を教えて頂いたり、その後のご報告をして下さる皆様、誠にありがとうございます。
 この『居酒屋ぼったくり』も、以前非公開コメント欄にてご一報して下さったある方のおかげで出会い、今回有意義な再現を出来た為、ご返信を休止している身としては心苦しくも、毎回とても勉強となり、身になっています(←休止の理由は、けじめをつける為にも右のプロフィール欄に掲載する事にしました。重ね重ねご迷惑をおかけし、申し訳ございません)。
 改めて皆様に、感謝の気持ちを表明致します。いつもありがとうございます。


●出典)『居酒屋ぼったくり』 秋川滝美/アルファポリス
●参考サイト)『居酒屋ぼったくり』特設サイト
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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