『大使閣下の料理人』の“ゴーヤの納豆キムチグラタン”を再現!

 先日、医師に「ひどすぎます」と断言されて以来健康を心掛けるようになった相方さんから、とうとう大の苦手だった納豆を食べるようになった聞き、感慨深い気持ちになっています(←やはり身近な人間より、専門家の意見の方が効き目がありますね;)。
 ただ、まだ納豆を美味しいと思うまでには至っていないようなので、豆自体の味が濃くて美味しい大粒納豆を薦めたのですが、近所のスーパーには置いていないと言われ、驚きました。
 試しに当管理人もあちこちのスーパーで探してみたのですが、確かに大粒納豆は全く扱っていないか、あったとしても妙に高い本格派の物が一種類ぽつんとあるかのどちらかで、何だか少し寂しくなりました。
 調べた所、どうやらニーズが少ない上に費用も時間もかかるのが原因でどのメーカーもあまり作っていないとの事で、美味しいのにここまで冷遇されているのを見るとかえって応援したくなります(←と言いつつ、普段は安くて糸が大量に出る糸の力ばかり食べてますが;)。

 どうも、納豆にタレや醤油を入れるのはブクブクに泡立って糸がメレンゲみたいに立ってからが鉄則の当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『大使閣下の料理人』にてかおりちゃんが父・大沢公さんの為に考えたお料理第二弾・“ゴーヤの納豆キムチグラタン”です!
ゴーヤの納豆キムチグラタン図
 前回、祖父の巧さんと共に公さんを元気づける為の特製料理・“オヤジ風サンマ丼”を考え出したかおりちゃんでしたが、料理人としての性なのか、お二人とも「…だけど、これだけじゃ何か物足りねーな」「そうだね、もう一品何か欲しいところだね」と結論付け、さらに副菜を試作する事にします(←カレーにサラダ、焼き魚におひたし、炊き込みご飯に豚汁という組み合わせのように、確かに名脇役が一品プラスされていると、見た目的にも栄養的にも嬉しい気がします)。

 そこで、かおりちゃんが「オヤジっぽい食材が余ってないかな」と冷蔵庫を探して目を付けたのが、ゴーヤ。
 専門書を読んで調べたかおりちゃん曰く、「ビタミンCはトマトの5倍、キュウリの10倍…苦みの成分<モモルデシン>は、胃腸を刺激して食欲を増幅させる効果がある」との事で、それに加えてゴツゴツして見るからに苦そうなものの、実は栄養豊富で美味なゴーヤはオヤジっぽい感じがしないでもないと感じた巧さんは、もう一品はゴーヤを使ったお料理にする事を決めます(←それにしても、洋食屋さんの冷蔵庫にゴーヤとは…どのメニューに使うつもりだったのか、そっちの方が気になります;。案外、閉店後のおつまみ用として私的に保管していたのかもしれませんが;)。

 個人的に、ゴーヤ料理と言えばゴーヤチャンプルーが一番に思いつくのですが、かおりちゃんはゴーヤに含まれるビタミンCをなるべく酸化させずにそのまま公さんに食べてもらいたいと考え、なるべく切らないで調理しようという難しい課題を己に課していた為、「食べる人を思いやるあまり、あえて難しい道を選ぶところはお父さんそっくりだな~;」と苦笑しました。
オヤジ風サンマ丼だけでは物足りないと思ったお二人は、さらに何かもう一品考える事に。
 そこで、巧さんはかおりちゃんに具を何にするのか意見を聞くのですが、この時サラッと提案されたのが、納豆キムチ!
 何でも、公さんは納豆キムチが昔から大好物だそうで、最近自分の好物ばかり作っていた負い目からか、かおりちゃんは「出来ればこれを使いたい!」と決めていたらしく、そこでゴーヤの舟に乗せてグラタンみたいに焼く事を思い付いたようなのですが、今まで見た事も聞いた事もないオリジナリティ溢れる組み合わせに、巧さんは数十秒間苦渋に満ちた表情で考え込んでしまいました;(←サンマ丼ににんにくチップやオクラを合わせる事といい、ゴーヤに納豆キムチを乗せる事といい、もしかしたらかおりちゃんは本当に好みが親父寄りなのかもしれません;)。

 しかし、悩んだ末に「子どもらしい突飛な発想だし上手くいくとも思えんが、何事も経験だからな」と腹を決めた巧さんは納豆キムチの使用をOKし、かおりちゃんから助けを求められない限りは静かに見守ることにします。
 本音としては、プロとして明らかに失敗しそうな調理を黙って見続けるのは結構苦痛な事だったと推測されますので、そこをあえて口出しない巧さんは偉いな~と感じたものです(←小さい頃料理をせず、成人した後「何でこうしたらいけないんだろう?」と実験しまくり、「そうか、だからいけないのか!」と失敗で学んだ身としては、羨ましいです;)。
見た目に寄らずなかなかのチャレンジャーなかおりちゃんは、何と納豆キムチを使おうとします;
 その後、かおりちゃんは悲壮な決意をした巧さんに気づかずマイペースに調理していくのですが、これが意外にも堂に入っており、「こいつはいけるかも…」と考えを改めていきます。
 その際、かおりちゃんが手際よく作った創作料理が、この“ゴーヤの納豆キムチグラタン”です!
 作り方は簡単で、縦に切って種を取った後下茹でしたゴーヤの舟へ納豆キムチを乗せ、上からマヨネーズ・味噌・コチュジャンを混ぜて作ったソースをかけ、高温のオーブンで焼いて食べやすく切ったら出来上がりです。
 
 ポイントは、ゴーヤを茹でる前に塩をふってよく揉むことと(←色味が良くなる上にえぐみがとれるという、まさに一石二鳥な下処理です)、キムチは納豆に合わせる前に刻むことの二つで、こうするとぐっと食べやすくなると作中で語られていました。
 かおりちゃん曰く、「パパとなすの田楽作った時に、お味噌にマヨネーズをちょこっと入れたら美味しかったんだ」「だから逆もまた真なり!マヨネーズ系のソースにお味噌を入れて、和風グラタンて感じにしたほうが美味しいと思うんだ」という考えで思いついたオリジナル料理だとの事で、小学生だというのにここまで理論的にレシピを組み立てられるかおりちゃんに、巧さんは目の色を変えて感心しています。

 ちなみに、コチュジャンを合わせたのは実は巧さんのアイディアで、味噌とマヨネーズだけのソースを使おうとするかおりちゃんを大声で停止させ、「味のまとまりをよくして輪郭をはっきりさせるには、似た要素のものを足すといいんだ。これはキムチと同じ発酵食品だから相性がいいはずだぞ」「合わせ味噌と同じ理屈だ、これで確実に美味しさが増す」と熱弁しており、かおりちゃんから少し引かれちゃっていました;。
 巧さんが言うには「孫だからと言って甘やかすだけでは本人のためにならんからな」だそうですが、正直「もうひと捻りしたらもっと美味しくなる!」という料理人魂が刺激されたからこその行動でもあると思いますので、苦笑いしたものです;。
 幸い、“ゴーヤの納豆キムチグラタン”も“オヤジ風サンマ丼”も公さんに好評で、「ママ顔負けだね」と褒められたかおりちゃんは大喜びしていました。
これはうまくいきそうだと確信した巧さんは、合わせ味噌の原理を持ち出して調味料を足します
 キムチ納豆が体に及ぼす効果のすごさ(こちらにまとめられてました)には前々から興味を抱いていましたので、再現を決意しました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ゴーヤの下ごしらえ。ゴーヤを包丁で縦に真っ二つに切ったら、スプーンで中のタネを丁寧にこそぎ取り、全体に塩を振ってよく揉みます。
 ゴーヤに塩がなじんで色に鮮やかさが出てきたら熱湯で約一分ほどざっと茹で、取りだしたらすぐに冷水入りのボウルへ入れて冷やし、キッチンペーパー等で水気をしっかり拭き取ります(←この時拭き取りが不十分だと、ただでさえ滑りやすい納豆キムチがさらにこぼれやすくなりますので、要注意です)。
ゴーヤの納豆キムチグラタン1
ゴーヤの納豆キムチグラタン2
ゴーヤの納豆キムチグラタン3
 次は、詰め合わせ&焼き作業。
 ボウルにひき割り納豆と小さく刻んだ国産の白菜キムチを加えてよ~く練り合わせたら、先程のゴーヤの舟の中へ均等に流し込みます。
 ※後々の切り分けやすさを考えるなら、白菜キムチはみじん切りがベストですが、ある程度食感があった方が美味しいのでお好みでいいと思います。
ゴーヤの納豆キムチグラタン4
ゴーヤの納豆キムチグラタン5
 このゴーヤ舟の上へ、マヨネーズ、味噌、コチュジャン(←最近は阿蘇で作られている無添加国産物を使用してます)をしっかり混ぜ合わせてソース状にした物をまんべんなくかけ、高温のオーブンに入れて軽く焦げ目がつくまで焼きます。
 ※辛めがお好きな場合はコチュジャン多め、マヨ味がお好きな方はマヨネーズ多め、そして洋風味噌味がお好きな方は味噌多めと、自分好みに加減すると良さげです。当管理人の場合、スタンダードタイプにしたいと思い、全ての味が主張するように調合しました。
ゴーヤの納豆キムチグラタン6
ゴーヤの納豆キムチグラタン7
ゴーヤの納豆キムチグラタン8
 表面が焼きかたまってゴーヤに程よく火が通ったのを確認したらオーブンから取り出し、火傷に気を付けつつ食べやすい大きさにカットしてお皿へ盛り付ければ“ゴーヤの納豆キムチグラタン”の完成です!
ゴーヤの納豆キムチグラタン9
 熱した事で納豆とキムチの匂いがさらに強烈になりましたので、発酵食品が特にお好きではない方にはきついものがありそうですが、癖のある食べ物が大好きな方でしたらたまらない物があると思います;。
 キムチの赤とゴーヤの緑が見るからに食欲をそそる感じで、一体どんな味がするのかとても楽しみです。
ゴーヤの納豆キムチグラタン10
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
ゴーヤの納豆キムチグラタン11


 さて、感想はといいますと…見た目通りガツンときて元気が湧いてくる一品!スタミナ満点な無国籍料理です。
 茹でたおかげでシャキシャキザキュッと爽やかな食感に仕上がったゴーヤに、ひき割り納豆のあっさりしたコクとキムチの奥深い辛酸っぱさが加わる事によって、猛烈にパンチの効いたおいしさに仕上がっています。
 味噌の熟成された塩気、コチュジャンのピリッとくる甘辛さ、マヨネーズのこってりした油分が一つになって生まれたクリーミーで辛甘い味噌マヨソースは、巧さんの言う通り確かに同じ発酵食品であるキムチと相性抜群で、相乗効果で美味さが何倍にも深まっているのがたまりませんでした。
 グラタン風というよりは「ゴーヤの豪快辛旨グリル~発酵マヨソース添え~」というイメージで、おつまみにぴったりです。
 最初は「見るからに苦そう…」と躊躇しましたが、塩もみしたせいか意外とそこまで苦くなく、茹でた効用でシャッキリ感としなやかさが両立した歯応えになったゴーヤはかなり食べやすく、ちょっとボリュームのあるサラダ感覚でパクパクいけました(←イボの部分を噛み締めた途端、まるでりんごを囓った時みたいにカシュッと瑞々しい水分がにじみ出るのがすごくフレッシュでよかったです)。
 とはいえ、物はゴーヤなのでほろ苦さはどうしてもそこそこは残ってしまうのですが、納豆キムチの強烈な辛旨さや、マヨネーズのまろやかな旨味が丸ごと包み込んで緩和してくれる為、ゴーヤが苦手な方でもとっつきやすそうに感じました。


 てっきり反発するかと思いきや、かえって病みつきになる味で虜になりました。
 おつまみとしてだけではなく、ご飯のおかずとしても優秀ですので、ゴーヤが出回る時期にまた作りたいです。

●出典)『大使閣下の料理人』 原作:西村ミツル 作画:かわすみひろし/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『花のズボラ飯』の“ひとり芋煮”を再現!

 その昔、母が某化粧品会社に入社したての美容部員で、デパートの売り場に立っていた頃、憂鬱だった作業の一つに「閉店後のパフ洗い」があったという話を聞きました(←ファンデーションがこってりついて汚れた複数のパフを綺麗にするお仕事で、新人限定だった…というのが母談です;)。
 現在は安価な使い捨てパフがあるので、もしかしたら今は交換するだけでOKなのかもしれませんが、母の時代は従業員トイレの洗面台で毎日手洗いするのが常だったそうで、寒い冬の時期は手がガチガチに冷えたらしく、嫌だったと遠い目で語っていました;。
 ただ、同じ境遇の他メーカーの新人の方々と愚痴りあったり、情報交換するのもそれはそれで楽しかったみたいで、大変そうだけど羨ましいな~と聞いてて思ったものです(←ちなみに、こちらの作品に全く同じ体験談が掲載されていたのを発見して驚きました;。結構ポピュラーな作業だったんだと実感です)。 

 どうも、冬期に皿洗いする時は熱めのお湯&ビニール手袋がデフォという軟弱な手の平を持つ当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『花のズボラ飯』にて花さんが実家のお母さんからアドバイスされて作った“ひとり芋煮”です!
ひとり芋煮図
 それは、“花さん流鮭茶漬けスパゲティ”のお話から少し経ったある冬の日の事。
 いい加減夕食がマンネリ化してきた花さんは、実家にいるお母さんに電話し、「何食べたらいいかわかんない。なんかない?パパッとできる夕食」といつものようにざっくりと質問します(親子丼の時といい、ズボラうどんの時といい、料理の発想に煮詰まった時は最終的に母を頼りにしている花さんですが、当管理人も似たような所がある為、激しく共感したものです;)。
 すると、お母さんも負けず劣らず「そーねぇ、寒くなったから…鍋でもすれば?」とこれまた適当に返し(←このゆるいやり取りが、気楽でいい感じです;)、ご自身の故郷・山形県の芋煮を一人分だけ作ってみたらどうかと助言し、花さんを驚かせていました。

 個人的に、芋煮には河原で大人数を集めて大量に作る」というイメージがある為、一人分だけ土鍋で作るという発想自体存在しなかったのですが、お母さんには作り方にそこまでこだわりがなかったみたいで、軽くお勧めしていました。
 しかしそんなラフなお母さんでも、「里芋は下処理済の物を使わず、必ず土付きの物を買って自分で皮を剥くこと」と強く言い渡していたみたいで、普段はズボラな花さんもこの時だけは真剣な表情で「ここは山形出身の母親を信じる」と言い、大きく無骨な里芋を野菜売り場で選んでいました(←ただ、それでもギリギリまで「皮むき済里芋(文系イケメンに擬人化)」「冷凍里芋(セレブイケメンに擬人化)」に心惹かれており、相変わらず下処理済野菜が大好きなんだな~と苦笑しました;)。

 『まかない君』の浩平君が作った宮城県の芋煮は豚肉+味噌味、『花のズボラ飯』のお母さんが教えた山形県の芋煮は牛肉+醤油味と、地域によって味付けや材料こそ多少は違いますが、不思議と「生の里芋から下処理する」という所だけは共通していましたので、もしかしたら東北地方にお住まいの方は、里芋に何か特別な思い入れを持たれている確率が高いのかもしれない…と、つい勝手な想像をしてしまいました;。
冷凍さといもや、皮むき済みさといもに惹かれるものの、母を信じて皮付きを選んだ花さん
 その後、帰宅した花さんがお母さんからのアドバイスを思い出しつつ作り上げたのが、この“ひとり芋煮”です!
 作り方は簡単で、水をはった土鍋へ里芋・こんにゃく・ゴボウ・しめじ・牛薄切り肉を入れてアクを取りつつ煮込み、日本酒・醤油・砂糖で味付けしてさらに煮、最後に長ネギとセリを乗せてさっと火を通したら出来上がりです。
 ポイントは、里芋は泥を落として丸ごと茹でた後にペりぺりと皮を剥くという「ズボラむき」をすること、こんにゃくとゴボウはアク抜きしてから使うこと、セリは茎だけ汁に沈めて葉は表面にぽさっと軽めに乗せて弱火で二分煮ることの三つのみで、手間がかかりそうな見た目に反して結構お手軽だな~と感心しました。

 実を言いますと、当初花さんはセリを入れる予定は全くなかったのですが、野菜売り場で目にした如何にも高貴な見た目にビビッときたらしく、「いいかも!VIPとしてぜひお招きさせて下さいませ」「来賓のご入場。セリー・アントワネット妃!!」と丁重にお鍋組へと迎え入れていました;。
 ズボラ料理と言うと、楽する事ばかりを優先させて味をおざなりにしているような悲惨なイメージがどうも先行しがちで、賛否両論の観がありますが、花さんのズボラ料理は楽さと美味しさと斬新さを両立させているのが読んでいて楽しく、作る側も食べる側も笑顔になれるよう配慮しているのに感心させられます。
里芋のズボラむきに半信半疑だったものの、いざやってみると驚きのずるむき加減で大興奮!
 その後、花さんは念の為セリが煮えた所で“ひとり芋煮”を味見をするのですが、スープを一口飲んだ途端「うっまーい!なにこの体の芯から温まるような遠赤外線的スープ!!」と少女漫画チックな表情で叫び、思わず味見を通り越して台所で立ち食いをしてしまいます(←作る人間だけの特権で悪い事をしている訳ではないのですが、当管理人は味見が過ぎる時、ちょっと後ろめたくて後ろを振り返る癖があります;)。

 さすがに数分立ったところでお行儀悪にハッと気づき、半ば駆け足でテーブルまで土鍋を運んでから本格的に食べ始めるのですが、それでも「ネギの香りとセリの食感が芋煮会を舞踏会に変えたわ!」「生里芋…デカイのウマイ!牛肉がその下にひざまずいて静かに美味しくなってる!!」と大興奮し、最終的には脳内で里芋王子がセリー妃と国境を超えたロマンスをしている妄想を繰り広げ、七味という名の深紅の紙吹雪を散らして二人を祝福していました;(←おそらく、『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネットとフェルゼンをオマージュしていると思うのですが、野菜に扮装しているお二人の姿は犬が擬人化したアニメ・『名探偵ホームズ』を彷彿とさせて何だか可愛らしく、微笑ましかったです)。

 おかげですっかり満足した花さんは、そのままソファーに倒れこんで『孤独のグルメ』の五郎ちゃんのように寝落ちしちゃうのですが、その表情はとっても幸せそうで羨ましかったです。
遠赤外線的醤油スープに感動し、思わずマリーアントワネット調に変身する花さん
 芋煮といえば『まかない君』というイメージがあったのですが(こちらで再現済です)、花さんの提唱する芋煮にも興味がありましたので再現する事にしました。
 作中にはおおまかなレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、里芋の下ごしらえ。流水で里芋についている泥を丁寧にすすぎ洗い、切らずにそのまま水をはったお鍋に入れ、中火にかけます(←水から茹でるのがミソです)。
 十~十五分くらい経過した所でコンロからおろし、里芋にざっと冷水をかけたら指に力を入れ、実から皮をスライドさせるような感覚でペりぺりと剥いていきます。
 全ての皮を剥き終えた、包丁で四つ割りにカットしたら里芋は準備完了です。
 ※茹ですぎたり冷やしすぎたりすると、途端に実がグズグズ&皮がむきにくくなりますので、要注意です。
ひとり芋煮1
ひとり芋煮2
ひとり芋煮3
 次は、煮込み作業。
 水をはって火にかけた土鍋へ、先程の里芋、手でちぎってアク抜きしたこんにゃく、ささがきにした後アク抜きしたゴボウ、石突きを切り落としてほぐしたしめじ、食べやすく切った牛薄切り肉を投入し、アクをすくいながらコトコト煮込みます。
 段々アクが出なくなり、具も程よく煮えてきたら日本酒、醤油、砂糖で味付けし、斜め切りにした長ネギを上に乗せて少し煮ます。
 長ネギが少しだけしなっとしたら、ザク切りにしたセリも加えてフタをし、弱火で約二分程蒸らすようにして火を通します(←茎は汁に沈め、葉は表面にぽさっと軽めに落とす感じにします)。
 ※こんにゃくは下茹でしなくても、塩もみして洗うだけでも味が染みやすくなります。ゴボウは、面倒な場合は花さんのようにささがきゴボウを買って下処理スルーするのもありです;。
ひとり芋煮4
ひとり芋煮5
ひとり芋煮6
 フタを取ってセリがいい具合にしんなりしているのを確認したらすぐに火を止め、鍋敷きをセッティングしたテーブルへ運べば“ひとり芋煮”の完成です!
ひとり芋煮7
 見るからに味が深そうな薄茶色の透き通ったスープに、熱が通ってさらに鮮やかな緑色になったセリが映え、みるみるうちに食欲をかきたてられます。
 土鍋のフタを開けた途端、牛肉とセリと醤油の香りが入り混じった温かな湯気がまとわりつくようにして顔に当たるのが魅惑的で、湯気だけでこんなに美味しいならスープは如何ほどかとワクワクが止まりません!
ひとり芋煮8
 それでは、ぐつぐつの内に小皿へ取り分けていざ実食!
 いただきま~す!
ひとり芋煮9


 さて、感想はといいますと…花さんの言う通り、体の芯から温まるような遠赤外線的スープ!セリを噛み締める度に品のいい柑橘類を思わせる汁気が迸り、素朴な芋煮を一気に華やかにさせるのが素晴らしいです!
ひとり芋煮10
 以前、ゴボウとセリとしめじ抜きの醤油味芋煮を作ったことがあったんですが、たった三つだけ足しただけだというのに何倍にも深みが増しており、びっくりしました。
 牛肉の脂が溶けて表面に膜を張っているおかげで冷めにくく(←中華そばのスープに似た舌触りです)、あっさりした中にじんわりと舌に広がる濃い旨味に仕上がっており、寒い時期には格別の一杯です。
 野生的で荒々しい土の香りを帯びた出汁が出るゴボウと、上品な中に野趣溢れる清々しい香気が活きているセリの組み合わせは、一見正反対なようでかなり相性がよく、ほのかに甘くてちょっぴりすき焼きチックなコク醤油味のスープを、どことなくキリッと洗練させていたのが印象的でした(←二つとも土の影響が大きい野菜で力強い味がするという共通項がある為、そのせいかもしれません)。
 あと、ズボラむきした里芋は下処理をしていないにも関わらず十分ねっとりした口当たりで美味で、気のせいかホコホコとよりはしっとりした粘りのある歯応えが特徴的で、崩れずさっくりと噛み切れる感じがよかったです。
 セリのシャキシャキ、ゴボウのザクザク、ネギのトロトロ、コンニャクとしめじがプリプリと口の中で騒ぐのが小気味良く、つい食べ過ぎちゃいました;。


 本格的な芋煮もおいしいですが、こういう緩い感じの一人鍋みたいな芋煮もいいものだな~と、満足したお腹で考えました。
 個人的に、ここへうどんや卵を落として食べてもシメにいい感じで、ほっこり癒された再現でした。

●出典)『花のズボラ飯 2.5 完全保存版』 原作:久住昌之 作画:水沢悦子/秋田書店
 (エレガンスイブ 2014年 11月号 別冊ふろく)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『風流つまみ道場』の“サンマの肝しょうゆ焼き”を再現!

 先日、恥ずかしながら初めてIKEAへ行ったのですが、商品にそこはかとなく漂う海外っぽさに、「これが海外の家具量販店か…!」とワクワクしました。
 「その発想はなかった」と言いたくなるデザインの野菜ぬいぐるみ(←動物系のぬいぐるみはちゃんとキュートにデフォルメされてますが、何故か豚だけリアル志向なのが衝撃でした;)、ドリンクバーまでついて150円と驚き価格なホットドック、スウェーデン語が勉強できて面白い商品タグなど、色々見所はありましたが、個人的に一番感動したのがあの巨大な商品倉庫
 まるで海外映画のワンシーンに出てくるような広大な倉庫は、ちょっと歩くだけでも冒険気分が味わえ、表面上は普通でしたが心の中では「逃げ込んだ犯人を追いかけた主人公が、静まった空気の中<どこへ隠れた…?>と銃を片手にゆっくりと移動する、あの緊迫感溢れるシーンを再現できそう!」とドキドキしてました;。

 どうも、いつもこんな妄想ばかりして過ごしている当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『風流つまみ道場』にて主人公・錦ちゃんがサンマの肝が苦手な恵梨花さんの為に作った“サンマの肝しょうゆ焼き”です!
サンマの肝しょうゆ焼き図
 それは、錦ちゃんが恵梨花さんに一目惚れして少し経ったある夏の日の事。
 行きつけの和風居酒屋・<夕月>(←やる気のないママが名物で、料理上手で人のいい錦ちゃんは、時々無償でオリジナル料理を作ったりしてます;)へ行った錦ちゃんは、お酒が弱いのに懲りずに飲み、カウンターで突っ伏して寝てしまうのですが、そこへ偶然恵梨花さんが来店します。
 この日は珍しくママが少しやる気を出しており、わざわざ新サンマを仕入れて塩焼きをおすすめメニューとして紹介していた為、興味を持った恵梨花さんは新サンマの塩焼きを注文しようとするのですが、そこでママはあるお願いをされます(←ママの料理に対するズボラさはなかなかすごく、用意が楽という理由で真冬でも鮭のルイベ・もろきゅう・べったら漬け・わかめ酢といった寒々しいメニューを平気で出す程;。但し、何故かお酒だけはいつもいい物を迅速に仕入れていますので、「いいお酒が飲めるのに、おつまみが侘しいというこの矛盾!」と尚更惜しく感じます;)。

 それは、「肝を抜いていただけますか?」というもの。
 何でも、恵梨花さんにとってサンマの肝は「苦くてちょっと苦手なんです」としか感じられない代物だそうで、ママは内心「ちょっと面倒だけど…」と思いつつも了承するのですが、そこで黙ってられず待ったをかけたのが常連・松田さん。
 松田さん曰く、「オレに言わせれば肝のないサンマなんて、巨人の抜けたセ・リーグみたいなもんだよ」だそうで、せっかくのいい肝を無駄にしない為にはどうすればいいのかと考えた結果、錦ちゃんを起こす事にします;。
 個人的に、サンマの塩焼きに潜んでいるほろ苦くて濃厚な肝は大好きなのですが、それでも結構な確率で入っている大量のウロコには閉口してそのままじゃ食べられないタイプですので、恵梨花さんの気持ちも松田さんの気持ちも両方分かる気がしたものです。
肝の苦さが苦手なので取ってほしいというえりかさんと、隅っこで居眠りする錦ちゃん;
 最初は寝ぼけ眼だったものの、愛しの恵梨花さんがいるのに気づいた錦ちゃんは瞬時に目が覚め、一部始終を聞いてすぐに料理を始めます(←学生時代、先生に居眠りが発覚して一気に眠気が吹き飛んだあの感覚を思い出しました;)。
 その際、錦ちゃんが「苦くなくて、なおかつ肝の風味の生きたサンマを焼いてあげるから」と言って作ったのが、この“サンマの肝しょうゆ焼き”です!
 作り方はとても簡単で、肝を抜いて塩を振った後二つに切ったサンマをグリルで焼き、その最中にサンマの肝・醤油・日本酒・みりんを混ぜて用意した肝醤油を何度も塗り、表裏に火を通したら出来上がりです。
 
 ポイントは、肝を抜く時お腹の中をしっかり洗って水気を拭き取ることと、肝醤油を塗って焼く時に焦げないよう短い間隔で何回もチェックすることの二つで、塩焼きとそんなに手間が変わらないのに、目先がかなり変わるのがいいな~と思いました。
 一見、どこにでもありそうなレシピだったのでネットで調べてみたのですが、意外にも肝醤油+サンマのお刺身という組み合わせか(←カワハギの肝あえ見たいな物でしょうか?)、もしくは開き状にしたサンマへ仕上げる時だけ塗って焼くというやる方が多く、錦ちゃんみたいに鰻の蒲焼きっぽく丹念に塗り焼きするレシピはあまり見かけなかった為、驚きました。
 この方法ならサンマの肝の嫌な癖や苦みが弱まる上、普通の塩焼きの時みたいにウロコが口に障るのを気にしなくていいので、画期的な調理法だな~と感心したのを覚えています。
サンマの肝が苦手な人でも、苦くなくておいしいサンマ料理があると豪語する錦ちゃん
 その後、焼きたての“サンマの肝しょうゆ焼き”を食べた恵梨花さんは「ホント、ただの塩焼きと違って複雑なおいしさがありますね」とサンマの肝の美味しさに目覚める事が出来、これなら食べられると喜んでいました。
 正直、肝がどうしてもだめな場合はどういう食べ方をしても無理だと思うのでハラハラしたんですが、どうやら恵梨花さんは食べ方さえ変えれば大丈夫なタイプだったようで、ほっと一安心です。
 錦ちゃんが言うには、「苦みはほとんどないのに、それでいて肝の香りが醤油の香ばしさと混じって食欲をそそる」のが肝醤油の特徴で、これなら肝が苦手な方だけではなく、お子さんに「サンマの肝・入門編」として試してもらうのに向いた料理なんじゃないかな~と感じました。
肝の苦味が大分軽減され、旨味が濃縮された出来になるようで、えりかさんも食べられてました
 先日、鮮度のいい生サンマが安く手に入ったので再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、サンマの下処理。生のサンマを流水でさっと洗ったら、包丁でエラの下から肛門付近まで切り開き、肝を取り出します(←肝は大まかな汚れを取った後、別皿に入れます)。
 内臓類を全て除いたらまた流水でお腹を洗い流して綺麗にし、キッチンペーパーで外側も内側も水気をよく拭き取ったら、二つに切って上から塩を薄く振っておきます。
サンマの肝しょうゆ焼き1
サンマの肝しょうゆ焼き2
 次は、焼き作業。
 ボウルへ先程取っておいた肝、醤油、日本酒、みりんを入れてしっかり溶き合わせ、肝醤油を用意します(←レシピだとこれでOKですが、より醤油と肝の一体感を高めて仕上がりを美しくしたい場合は、漉し器で漉してすり合わせるとよりナイスです)。
 この肝醤油を、グリルか網でサンマを焼く時に刷毛で表裏に隅々まで塗り、何度も塗っては焼き、塗っては焼きを繰り返します。 
 ※肝醤油を塗った途端、急にサンマが焦げやすくなりますので、一~二分おきに注意深く観察しておいた方がいいです。
サンマの肝しょうゆ焼き3
サンマの肝しょうゆ焼き4
サンマの肝しょうゆ焼き5
 サンマ全体に肝醤油がよくなじんでふっくら焼きあがったらお皿へ盛り付け、仕上げに大根おろしとすだちを添えれば“サンマの肝しょうゆ焼き”の完成です!
サンマの肝しょうゆ焼き6
 肝醤油の香ばしい匂いがそこら中に広がり、思わず喉がごくりと鳴ります(←醤油をつけるとすぐに焦げる為、皮がやや黒くなってしまいましたが、不安になって皮だけ味見したら不思議と苦くなくてほっとしました;)。
 いつもは単に塩を振って焼くだけなので全く味の想像が尽きませんが、見るからに美味しそうですので期待して食べてみようと思います!
サンマの肝しょうゆ焼き7
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
サンマの肝しょうゆ焼き8


 さて、感想はといいますと…ただ単に焼いたとは思えない奥行きに衝撃!肝の風味と焦げた醤油の香りが合体して生まれる複雑なおいしさにうっとりです。
 塩焼きにしたサンマはパリパリに香ばしく焼けた身と、あっさりした中にある濃い美味さが特徴的ですが、これはまるで照り焼きにしたようなホワリと柔らかな身と、肝醤油を吸ってパリッとすると同時にほんわりジュワ~と練れた旨さになった皮、そして最初から脂がガツンと効いてこってりした深い味わいが印象的で、ここまでガラッと旨味の質が変わるとは驚きです。
 肝醤油は磯の風味が若干強いものの、魚類の肝特有のじんわり響く大人っぽいホロ苦さや、フォアグラに匹敵するようなどこまでも舌に絡み付いてくる濃厚な油分が醤油に溶け込んで、トロリと滑らかな口当たりのソース状になっており、それがサンマの内側にあるさっぱりした身をパンチのある上級者向けの旨味に変化させていました(←例えるとするなら、塩焼きは料亭の女将・肝醤油焼きはクラブのママって感じで、ハマったら抜け出せなくなる中毒性があります;)。
 青魚ならではの癖のあるコクはちゃんと残っているのに、あの嫌な生臭さは一切ありません。
 とはいえ、ゆっくり火を通したり皮にぬって炙るだけにしたせいか、先にくるのはあくまでも魚醤やアンチョビに似たしょっぱさの方で、好き嫌いが分かれる苦旨さは後からちょっぴりくるくらいに緩和されているので、錦ちゃんの言う通り肝が苦手な方の入門編にするにはまさにうってつけなんじゃないかな?と感じました。
 途中、大根おろしの優しく甘い汁気や、すだちのフレッシュで爽やかな果汁が口の中をキレイに洗い流して目先を変えるので全く飽きませんし、これはよく出来たサンマ料理だな~と感嘆です。


 実は、最近サンマが安いのもあり、既に三~四回はリピートしました;。
 軽く塩を振って焼いてすだちを絞ったエリンギに、この肝醤油をつけるとまた一際美味ですので、いろんな方にお勧めしたい食べ方です。

●出典)『風流つまみ道場』 ラズウェル細木/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『美味しんぼ』の“たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび”を再現!

 先日、『絵でみる江戸の食ごよみ』を拝読したのですが、その中にあった「握り飯」のページに、江戸のおむすびは直径五センチ弱・厚さは約二センチ・形は円形か三角形が多かったと書かれているのを見つけ、「意外と小さめだったんだな~」と驚きました。
 他にも、黒ゴマをおむすびにまぶすのは元々大阪や京都の文化だったとか、火事見舞いには大根やナスの漬物を薄く切って握りこんだおむすびを渡すのを薦められていたなど(←『名飯部類』という、れっきとした書物に残っている記述との事)、興味深いデータが満載で、ついつい見入ってしまいました。

 どうも、江戸時代には既に卵かけご飯が存在していて「生たまご 醤油の雲に きみの月」という川柳があったと知り、風流だな~と思った当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』のおむすび対決の際に登場した“たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび”です!
豪快丸ごとたらこおにぎり図ゆかりをまぶした唐揚げおにぎり図最後のお楽しみおにぎり図
 それは、「日本全県味巡り」が始まってしばらく経った頃のお話。
 山岡さんと栗田さんは、もう単行本三巻からの長いお付き合いである社員食堂の料理長・相川さんから、「おむすびを売りたいんです」と相談を受けます。
 相川さんが言うには、近所のコンビニにおむすびを買いに行く人が多いのを見て思い付いたとの事で、「それなら社員食堂でもっと美味しいおむすびを作って食べさせてあげたい」「お弁当として近くの公園に持って行って食べたりできるし、夜、残業する人にとっては腹ふさぎにもってこいじゃないかと思うんです」と力説し、山岡さん達にも何かいいおむすびを考えて欲しいとお願いしていました(←こういうゴージャスな社員食堂もいいですが、設備は敵わずとも工夫で勝負する相川さんみたいな料理人がいる食堂も羨ましいです)。

 実を言いますと、山岡さんと栗田さんはその頃「日本全県味巡り意外の題材の対決も見たい!」という読者の要望に応える為、今度は一体何を主題にして対決しようか悩んでいる最中だったんですが、大原社主と山岡さんがいつもの如く「今度こそ勝てそうな主題を選ぶんだ、分かったな!」「ふんっ、勝てばいいんでしょう勝てば!見てろって!」と喧嘩別れしたり、栗田さんは栗田さんでそんな山岡さんに頭を痛めた大原社主と小泉局長から「あいつが勝ちますと言って、勝ったことがない」「栗田君、何とか頼むぞ」と言われて少し憂鬱になったりと、お二人とも気分転換を求めていたせいか、まだお題が決まっていないにも関わらず相川さんの依頼を受け入れていました;(←面倒で時間のかかる作業をしていると、別件の片付けや世間話で現実逃避をしたくなる時がままありますが、お二人の心境はまさにそれだったのではと推測してます;)。

 その後、文化部に戻ったお二人はおむすびと聞くやいなや周囲が予想以上に盛り上がったのを見て、「いっそ社員食堂運営委員を集めて意見を聞いてみよう!」と考え、急遽会議室に委員を招集して「どんなおむすびを食べたいか?」という議題で話し合っていました。
 正直、仕事中にここまでフリーダムに動けるのは『美味しんぼ』の山岡さん夫妻と、常務まで巻き込んで卵かけご飯大会を開いた『クッキングパパ』の田中君くらいなものだと思います;←この事態が大原社主に知られたら、「おむすびより主題はどうした、山岡ー!!」とまた大きな雷が落ちそうですね;)。
社員食堂でおにぎりを出す事を相談された時、ちょうど究極のメニューとの対決が打診されてました
 その冷や汗ものな話合い中、政治部記者の松川さんが「うまいのうまくないの、もうすごいぞ」と自信満々に紹介していたのが、“たらこおむすび”です!
 作り方は簡単ですが豪快で、ほぐしたたらこをたっぷり混ぜ込んだご飯へ、大ぶりに切ったたらこ一塊を埋めて三角形に握り、海苔を全面に巻いたら出来上がりです。
 高価なたらこをご飯に混ぜるだけでもすごいのに、さらにたらこを一塊入れるというのがまさに贅沢の極みで、初見時は「魚卵好きには夢のようなおむすびだ…」と喉が鳴ったのを覚えてます(←塩分やカロリーもえらい事になりそうなので、そういう意味でも規格外のおむすびです;)。
 松川さんが言うには、「うちのおふくろの得意のおむすびでな、思い出がたっぷりこもっていて…ああ…」との事で、確かにこんな思い切ったおむすびはお店ではそうそう置いていないので、社員食堂に置いたらいい名物になるのでは…と感じました。

 結局この他にも色んなアイディアおむすびが提案され、同席していた相川さんは「いろいろ出て面白いですねえ」とホクホク顔になるのですが、「おむすびは日本の食生活の縮図とも言うべき大きな意味を持つものだ」と話し合いを聞いていく内に確信した山岡さんと、「ご飯の中に入れるもの、まわりを包む食材、どれひとつを取っても日本の食文化にとって大事な物よね。確かにおむすびは大きな意味を持つ食品だわ」と同調した栗田さんは、<究極のメニュー>と<至高のメニュー>の対決の主題をおむすびに決定し、その場は大盛り上がりしてました。
 ただ一人、相川さんだけが「ひえええ、大変なことになってきました」と慌ててましたが、山岡さんから「対決の結果を取り入れれば、社員食堂のおむすびはいいものになりますよ」と言われるや否や、「あ!それはすごい!ぜひおむすびで対決をして下さい!」とすぐに意見を変えていました(←恐らく、今回の対決で一番得をしたのはこの方だと思います;)。
たらこを混ぜ込んだごはんでさらにたらこを握りこむという、贅沢極まりないおにぎり;
 こうして後日、周囲が「何でおむすびなんてしょぼいものを…」と不満気にいう中、海原雄山氏は「むすびは奥が深い」「安易な面白半分の気持ちでむすびを取り上げたのなら、その浅はかさを死ぬほど後悔する事になるだろう」という意味深な言葉を呟き、おむすび対決は幕を開けます。
 その際、<至高のメニュー>側が出したおむすびの内の一つが、“鶏唐揚げのおむすび”です!
 作り方はお手軽で、“鶏唐揚げのおむすび”はしょうが・にんにく・醤油で下味をつけて揚げた鶏の唐揚げを芯にして白いご飯で丸いおむすびを握り、外側にゆかりをたっぷりまぶしたら出来上がりです。

 初めて読んだ時は、厳格な海原雄山氏にジャンクな唐揚げのイメージが合わず、かなり意外でしたが、雄山氏としては「現在の日本はさまざまな外国の食文化を取り入れて、世界でもまれな多様で豊かな食文化を作り上げている」と考え、現代の日本だからこそ生み出せるおむすびは何かとイメージして作ったおむすびだったとの事で、確かにこれは大受けしそう…と感心したものです。
 実際、試食した<究極のメニュー>側の相川さんも自分の立場を忘れ、「こ、これはいい。社員食堂に使える」と興奮してメモに取っており、敵の優勢を悟ってピリピリしていた山岡さんから睨まれ、あたふたしていました;←「海原雄山考案!至高のおにぎり」と銘打って売ったらかなり人気が出そうですが、山岡さんが大反対しそうですorz)。
唐揚げをまるごと握った雄山タンのおにぎりは、「社員食堂にいい!」と早速注目されてました
 それに対し、<究極のメニュー>側がラストにデザート的一品として出したおむすびが、“お楽しみおむすび”です!
 作り方は呆気ないほど簡単で、すった黒ゴマ・くるみ・蜂蜜を混ぜた物を芯にして白いご飯で丸いおむすびを握り、外側にきなこをまんべんなくまぶしたら、出来上がりです。
 デザートおむすびと言うとゲテモノ風に聞こえますが、日本に古来から伝わるおはぎも考えてみれば「もち米を使ったデザートおむすび」といえなくもありませんので、これは案外いけるのでは…と興味を抱いたのを覚えています。

 <至高のメニュー>が「過去・現在・未来」という縦の線でおむすびを深く表現したのに対し、<究極のメニュー>は全国の食文化をおむすびを結び付けて横の線で表現するという、いわば「おむすび入門編」みたいな内容になってしまった為(←おむすび対決を思い付いたのが、「食べ物自慢大会」のノリの会議上だったのも影響していると思いますorz)、審査は<至高のメニュー>がやや有利になってしまったのですが、最後に雄山氏が「おむすびについての基本的な考えのほとんどは、<究極のメニュー>側が語ったとおりだろう。しかし、ひとつだけ忘れていることがある」と決定打を打ったことで、勝敗は決してしまいます。
 それは、おむすびの固さ。
 実は、雄山氏は前々から「女性独特の柔らかな握力が口の中で心地よくほぐれる、ちょうどよい固さのおむすびを作る」「本職の調理人は、形を整えることに気がいってしまって、おむすびを固く握りすぎる傾向がある」という考えを持っていたようで、今回の対決にはごく普通の家庭の奥様方におむすびを握ってもらってベストな固さのおむすびを実現したと語っており、何の注意も払わず料理人にそのままおにぎりを握らせていた山岡さんを激しく後悔させていました(←おにぎり専門店のプロを雇ってたら、まだ結果は違ったかもしれませんが…またしても雄山氏が一枚上手でした;)。

 おかげで審査員は完全に<至高のメニュー>側に心が傾き、残念ながら<究極のメニュー>は負けてしまいましたが、個人的には色んなおむすびを楽しく知る事が出来、とても勉強になったエピソードでした。
おにぎりの未来や、おにぎりを結ぶときの手の柔らかさまで考えていた究極のメニューが勝利
 実は、大分前に一度だけこの勝負で登場したおむすびを再現した事があったのですが(こちらに記載してます)、当時から「これも食べてみたいな~」と気になっていたおむすびがあった為、四年ぶりに再現を決意しました;。
 作中には大体の作り方が載っていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、“たらこおむすび”作り。ボウルへ炊き立てのご飯と、皮からしごき取ったたらこを投入してしゃもじでさっくり切るように混ぜ合わせます(←混ぜすぎると、普通のご飯よりも粘りが出やすいので要注意です!)。
 このご飯をおむすび一個分だけ手に取ったら、真ん中に大きめのたらこ一切れを埋め込み、三角形にふんわり握ります。
 握り終えたばかりのおむすびへ素早く海苔を巻き付けたら、用意完了です。
 ※ラップで包んだ上から握るとやりやすいので、おすすめです。
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび1
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび2
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび3
 次は、“鶏唐揚げのおむすび”作り。
 ボウルへ一口大に切った鶏もも肉、おろししょうが、おろしにんにく、醤油を入れて揉んで濃いめに味付けし、少し置いて味をなじませたら卵や片栗粉を混ぜて衣をつけ、揚げ油でさっと揚げます(←調味液から引き上げ、片栗粉をまぶして竜田揚げっぽく仕上げるのもありです)。
 唐揚げが揚がったらキッチンペーパーで余分な油をしっかりきり、白い炊き立てご飯で包み込むようにして丸く優しく握ります。
 このおむすびの全面にゆかりをまんべんなくまぶしたら、準備万端です。
 ※唐揚げに油がべったりついたままだとご飯がはがれやすいので、気を付けた方がいいです。
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび4
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび5
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび6
 今度は、“お楽しみおむすび”作り。
 炒って香りを立たせた黒ゴマをすり鉢に入れて細かくなるまですり、そこへ適度に砕いたくるみと蜂蜜を加えてよく混ぜ合わせます。
 この甘い具を、一個のおむすび分だけ手に取った炊き立ての白いご飯の中央へ埋め込み、力を入れずに丸く握ります。
 全体の形が整ったところできなこを全面へたっぷりまぶしたら、これでOKです。
 ※くるみを別に砕くのが面倒な場合は、黒ゴマをすった後にすり鉢へ入れ、すりこぎでゴツッゴツッと砕いちゃって大丈夫です;。
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび7
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび8
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび9
 おかず系のおむすびは一緒のお皿へ並べ、おやつ系のおむすびは別の丸い皿へ盛り付れば“たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび”の完成です!
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび10
 “たらこおむすび”は海苔を巻くとあのかわいらしいピンク色がほとんど隠れて見えなくなり、「しまった、食べる寸前に巻くんだった!」と少し後悔しました;。
 ただ、“鶏唐揚げのおむすび”は作る前に想像していた通り食欲をそそる香りがご飯越しに漂い、“お楽しみおむすび”も意外としっくりくる佇まいだった為、食べる前から「これはおいしそう…!」とワクワクしました。
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび11
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび12


 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 一番目は、“たらこおむすび”!
 いっただっきま~す。
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび13
 さて、感想ですが…食べた瞬間、口の中がピンク一色のプチプチたらこ祭り会場に早変わり!魚卵好きだったら歓喜する味わいです!
 売られているたらこおにぎりは入っているたらこの量が少ない事が多く、ご飯の味ばかりが目立って(´・ω・`)となる場合が多いんですが、これはどこを食べても安定したたらこまみれっぷりで、最後までホクホク顔で食べ進められます。
 お弁当用というよりは、夜に大人が日本酒片手に食べるのが向いている気がしました。
 たらこ単品だとしょっぱさが強調されますが、これだとご飯のほのかな甘味や海苔の磯風味がクッションとなり、たらこ特有のねっとりしたコクや熟成された旨味がより引き立つ為、噛めば噛む程色んな味がして夢中になります。


 二番目は、“鶏唐揚げのおむすび”。
 いただきまーすっ!
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび14
 さて、感想ですが…大人にも子どもにも大受けしそうなおかずおむすび!要は天むすの唐揚げバージョンなんですが、どこで売ってもヒットしそうです!
 あまりにも正反対な組み合わせなので合うか半信半疑だったんですが、にんにくしょうが醤油のガツンとくるこってり味が効いたワイルドな唐揚げを、ゆかりの酸味がしっかり受け止めて後口をさっぱりさせるのが絶妙で、これ以上ないくらいぴったりでした。
 ボリューム満点かつ王道な美味しさで飽きませんので、相川さんの言う通りお昼に社員食堂で食べられたら最高です。
 ゆかりのしょっぱ酸っぱい味わいと、梅酢独特の上品な香りが唐揚げのジューシーでコクのある肉汁をかえって際立てているのがよかったです(←唐揚げの回りについてるご飯の、鶏の旨味が染みてる部分が何とも良し)。


 三番目は、“お楽しみおむすび”!
 いっただっきまーす!
たらこおむすび&鶏唐揚げのおむすび&お楽しみおむすび15
 さて、感想ですが…想像していたよりもずっと正当派な旨さで一安心!きなこの豆々した風味が郷愁を誘います。
 もち米がうるち米に代わってモチモチ感が控え目な事を除けば、味付けはまんまきな粉のおはぎ風で、ここにあんこが入ってないのが不思議なくらいです。
 すってさらに香ばしさが出た黒ゴマや、木の実ならではの滋味に富んだ油分とザクザク感がたまらないくるみが、蜂蜜の奥深い甘味によって仲良く一つにまとまっており、派手さはないもののしみじみ美味でした(←例えるとするなら、「口溶けがすごくいい蜂蜜の和製ヌガー」というイメージです)。
 おむすびというよりは和菓子の一種という印象で、きな粉のポフポフした感じが噛むごとにねっとりし、段々きなこ団子っぽくなるのにほのぼのしました。


 どのおむすびも甲乙つけがたい程おいしくて、今更ながら『美味しんぼ』の審査員たちに同情してしまいました;(←基本、自分の頼りない感性だけを根拠にあまり優劣をつけたくないタイプですので…orz)。
 ただ、最後の“お楽しみおむすび”の中身は他のお菓子にも応用できそうな可能性を感じましたので、近々また作ってみたいな~と思いました。

●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
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※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『まかない君』の“秋のソウルフード芋煮&おにぎり三種”を再現!

 どういう訳か、昔から市販のおにぎりは白いご飯の部分がどこかパサついていて、具がないと食べにくいと感じるタイプなのですが(←たまたま保存状態が悪いおにぎりに当たっていただけなのかもしれませんが;)、手作りおにぎりのご飯は何故かどこを食べてもふっくら甘くて美味で、具がなくても表面についている塩味だけでパクパク食べられます。
 「市販のおにぎりは、工場のレーンに乗って運ばれるうちにどうしても乾燥するのかな?」とも思ったのですが、それにしては味が違いすぎなので試しに母に聞いてみたのですが、「それはハンドパワーよ!」と思いっきり非科学的な返答をもらってしまいました;。
 しかし、自宅で手作りしたものでも型にはめて作ったおにぎりと、手で握ったおにぎりとでは不思議と味が違いましたので、少しは関係あるのかも…と思いつつある今日この頃です。

 どうも、好きなおにぎりの具は明太子と鮭と梅干しな当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君が「季節に一度は食べたい」と言って作った“秋のソウルフード芋煮&おにぎり三種”です!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種図
 それは、一家のまとめ役的存在のお姉さん・凜さんが、まだ浩平君達と一緒に住んでいた一年目の秋頃のお話。
 テレビで日本一の芋煮会フェスティバル(←年に一回、直径六メートルの大鍋やショベルカーを使って三万食分の芋煮を作るという、色んな意味で規格外なイベント;)が開催されている様子を見た東北出身の浩平君は、「もうそんな季節か…」と呟きます。
 浩平君曰く、「東北では秋になると河原で芋を煮て食わねばならない血の宿命があるんだよ!」「今頃だとコンビニで芋煮会用のマキが売られてるよ」だそうですが、他県出身の凜さん達は今一つピンとこないようで、「まだ難儀な宿命だな」と返していました;。

 ちなみに、この時浩平君の背後には『北斗の拳』に出てくるような「ヒャッハー!」な方々が鍋を囲む様子が描かれていた為、「外に紹介される事が多い牛肉&醤油味の芋煮は<陽>の南斗聖拳、一見目立たぬようで広く愛されている豚肉&味噌味の芋煮は<陰>の北斗神拳みたいな関係で、各地で色々流派が分かれつつ熾烈な争いが繰り広げられているのだろうか…」と、つい勝手な妄想に浸ってしまったものです;。

 当管理人は福岡育ちですが、正直身近でそこまで浸透しきっている共通習慣は見た事がない為、「その土地ならではの行事があるって、なんだかいいな~」と羨ましくなったのを覚えています(博多山笠博多どんたくも燃える方より燃えない方の方が大半な印象ですし、『美味しんぼ』で有名になったアラ鍋も食べた事がある人の方が珍しいくらいで、ここまで地域で熱狂する何かがないのは少し寂しい物があります;。コンビニの地域性も、明太子やイカ明太が置いてある確率が異様に高い事くらいしか思いつきませんし;)。
秋になったら河原で芋煮をする血の宿命…美味しい物の予感がして羨ましいです
 こうして翌日、「宿命にはあらがえないし」と半分冗談で言いながら浩平君が弥生ちゃんと一緒に作ったのが、この“秋のソウルフード芋煮&おにぎり三種”です!
 “秋のソウルフード芋煮”の作り方は結構大掛かりで、里芋・白菜・椎茸・舞茸・大根・ゴボウ・にんじんを食べやすい大きさに切ったら、お湯を沸かした大鍋へ投入して煮込み、火が通ってきたら豚肉・こんにゃく・木綿豆腐を加えてあくを取りつつまた煮込み、肉が煮えたら最後に味噌・長ネギ・ゴマ油を足して出来上がりです。
 
今回ご紹介するのは浩平君の故郷・宮城の味である豚肉&味噌味タイプですが、作中の記述によりますと山形では牛肉&醤油味タイプが主流で、他にも鶏肉&味噌味タイプの所もあると語られており、奥が深いな~と思いますこちらに芋煮の発祥や、興味深い考察が記載されています)。
 ポイントは、木綿豆腐は包丁で切らず手でモロモロに崩しながら投入することで、こうするとこんにゃくを手でちぎって入れるのと同様、味がよく染みて美味しくなるのだとか。
 正直、芋煮だけでも根菜たっぷりでメインの貫録十分ですので、普通の白ご飯でもよかったのでは…とズボラな当管理人は思ったのですが、浩平君がいうには「普通にお茶碗に盛ると、単なる豚汁定食になっちゃうだろう?」という理由でおにぎりを組み合わせたとの事で、瞬時に「なるほど!」と納得しました;。
それだけパッと見だと豚汁っぽいのだな~と苦笑しましたが、このおにぎりさえあったら完璧ですね!
 一方、“おにぎり三種”は“梅とわかめのおにぎり”、“鮭と柚子胡椒のおにぎり”、“昆布佃煮とマヨネーズのおにぎり”の三つで、“梅とわかめのおにぎり”はわかめ・梅干し・わさび・いりゴマ、“鮭と柚子胡椒のおにぎり”は鮭フレーク・しょうが・大葉・柚子胡椒、“昆布佃煮とマヨネーズのおにぎり”は昆布佃煮・マヨネーズ・ネギ・七味唐辛子をそれぞれご飯に混ぜ込んで丸く握り、海苔で巻いてしっとりなじませたら出来上がりです。

 ポイントは、ご飯が熱い内にラップで手早く握る事で、こうすれば手も汚れない上に美味しいおにぎりに仕上がるみたいです←なお、弥生ちゃんは「やっぱりおにぎりは手で握らなきゃ」といきなり素手をご飯に突っ込んでましたが、案の定火傷しかかって涙目になってました;。ラップおにぎりは、こういう不慮の事故も防げるのでありがたいですね)。
 基本的に浩平君が考え出したおにぎりみたいですが、“昆布佃煮とマヨネーズのおにぎり”だけは本で見たのを参考にぶっつけ本番で作ったと話しており、試行錯誤をしてから食卓に出す慎重派の浩平君にしては珍しいな~と感じたのを覚えています。
普通のご飯と芋煮だけだと豚汁定食になってしまうとの事で、三種のおにぎりを用意ていました;
 その後、浩平君は弥生ちゃんからご飯粒がくっついた指を差し出されて「自分で作ったんだから味見くらいしなよ」と嬉しい申し出をされて口をつけたり(←一瞬、「それなんてギャルゲ?」という言葉が頭を駆け巡っちゃいました;)、その現場を凜さんに目撃され「失礼、邪魔してしまったな」と言われてメチャクチャ恥ずかしい気持ちになったりと、半ばお約束的なほのぼのしたイベントが展開された為、初見時は思わずニヤニヤと眺めたものです。

 また、当初は“秋のソウルフード芋煮&おにぎり三種”を「豚汁だな」「うん、豚汁だね」「あたしもそう思ったよ」と生温かい反応を示していた弥生ちゃん達ですが、実際に食べてみると「あ、おいしい」「芋煮がまたおにぎりに合うこと」「根菜類がいっぱいで安心する味だ」と好評で、どうやら芋煮に思い入れがあるらしい浩平君は、「気に入ってもらえて嬉しいよ」と頬をちょっと染めて笑っていました。
 これは大学時代、他県から来た友人に郷土料理を食べてもらって「おいしい!」と言われたのを見て初めて分かった事なんですが、自分の地元の味を好きになってもらえるという事は、(例え無意識だとしても)自分の一部を受け入れられる事と個人的に同義だと思う為、浩平君の喜びはすごく分かる気がしたものです。

 ちなみに、この回は凜さんがドイツにある研究所へ二年間移る事になったのを最後に報告するという、結構重要なお話。
  意外にも弥生ちゃんと佳乃さんは「行ってらっしゃーい」と軽いノリで返していたのですが、一番クールに見えた浩平君は日頃から「無理しなくていいんだよ」と気遣われたり、「浩平が来てくれたおかげで、ここを離れる前においしいご飯が食べられてよかった。ありがとう」とお礼を伝えられたせいか、なんと涙を流していました。
 もしかしたら、浩平君は三人の従姉妹達の中で凜さんを一番「お姉さん」だと感じていたのかもしれない…と感じたエピソードでした。
凜姉さんが日本を出、二年間ドイツの研究所で仕事をすると告白したのはこの回
 結構つくるのに時間がかかりそうな上、芋煮シーズンが過ぎた後だったので迷ったのですが、どうしても食べてみたくなって作る事にしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、“秋のソウルフード芋煮”作り。大根とにんじんは皮を剥いていちょう切り、椎茸は石突きを切ってスライス、舞茸は手で粗くほぐし、白菜はザク切り、長ネギは斜め切り、里芋は皮を剥いて半分に切り、こんにゃくは一口大にちぎり、豚こま肉は大きかったら食べやすくカットし、ゴボウはささがきにしておきます。

 ※作中には特に書かれていませんでしたが、里芋は皮むきした後塩をまぶしてこすって流水で洗い流したり、ゴボウはささがきした後水に浸けてアク抜きしたり(←炊き込みご飯や煮物の時はアクを抜かずに使いますが、汁物の場合はくどくなる場合があるので要注意です)、こんにゃくは塩をまぶして揉み洗いしたりすると、ぐっとおいしくなります。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種1
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種2
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種3
 大鍋にお湯を沸かしたら里芋を投入して少し煮、再沸騰したら大根・にんじん・椎茸・舞茸・白菜・ゴボウを入れて煮込みます。
 野菜類全般に火が通ってきたら、豚こま肉を加えます(←一気に入れてもいいですが、広げながら入れた方が後々食べやすいです)。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種4
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種5
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種6
 豚こま肉を入れ終えたらこんにゃく、手でモロモロに崩した木綿豆腐を投入し、アクを丁寧に取りながら煮込んでいきます。
 やがて、豚こま肉にしっかり火が通りきったら味噌を溶き入れて味付けし、長ネギも入れ、ゴマ油をひとたらししてさらにひと煮立ちさせます。
 味見して塩加減がちょうどよかったら、“秋のソウルフード芋煮”の出来上がりです。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種7
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種8
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種9
 次は、おにぎり作り。
 作るのは、“梅とわかめのおにぎり”、“鮭と柚子胡椒のおにぎり”、“昆布佃煮とマヨネーズのおにぎり”の三種ですので、ボウルを三つ用意します。
 一つ目のボウルには、水で戻して刻んだわかめ・種を取って刻んだ梅干し・わさび・いりゴマ。
 二つ目のボウルには、鮭フレーク・皮を剥いて千切りにしたしょうが・細切りにした大葉・柚子胡椒。
 三つめのボウルには、昆布佃煮・マヨネーズ・小さく刻んだネギ・七味唐辛子。
 それぞれ別の菜箸で、よ~く混ぜ合わせます。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種10
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種11
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種12
 それぞれ混ぜ終えたら、三つのボウルへ炊き立てほやほやのご飯を投入し、しゃもじでザクザクと切るようにして混ぜ合わせます(←ちょっと面倒ですが、しゃもじはその都度洗って水気を拭いてから使います)。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種13
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種16
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種17
 これらのご飯は、大きめに切ったラップを敷いた小鉢へおにぎり一つ分だけ入れ、ラップの上からきゅっきゅと丸く握って全体を海苔で包みます(←海苔は自然とおにぎりにくっつきます)。
 これで、“おにぎり三種”は準備完了です。
 ※↓写真では三角になっていますが、この後間違いに気づいてすぐに丸型に握り直しました;。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種14
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種15
 芋煮は温め直して具ごとたっぷりお椀へと注ぎ、おにぎりはお皿へ並べれば“秋のソウルフード芋煮&おにぎり三種”の完成です!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種18
 浩平君達の言う通り、芋煮は見た目が豚汁そっくりで、「これは確かに、初めてだと見分けがつかないかも…」と苦笑しました;。 
 正直、おにぎりは混ぜご飯タイプではなく埋め込みタイプばかり食べているのであまりなじみがありませんが、見るからにそそるビジュアルを信じて食べてみようと思います!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種19


 それでは、冷めない内にいざ実食!
 一番目は、“秋のソウルフード芋煮”。
 いただきまーす!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種20
 さて、感想はといいますと…確かに豚汁にやや似てますが、少し異なる美味しさ!豊潤な秋野菜が活きた「食べる」汁物です!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種21
 個人的に豚汁は、「出汁や油揚げが使われてしっかり濃いめに味付けされた汁物」というイメージがあるんですが、これはたっぷりの野菜から溶け出てギュッと濃縮された滋味のある旨味出汁と、豚肉の甘い脂が素直に活かされたほんわか優しい味わいが特徴的で、それぞれの素材の個性をストレートに堪能できるのがよかったです。
 例えるとするなら「さっぱり仕立ての豚汁風」ともいうべき仕上がりですが、決して味が薄いという訳ではなく、むしろ和製コンソメといっていいくらい完成度が高くて奥行きがあり、澄んだ後口に癒されます。
 ただ、豚肉が入っていたり、ごま油で香ばしい風味とあっさりしたコクがプラスされているにしてはやや淡泊な美味しさなので、豚汁そっくりというよりは豚汁とけんちん汁を足して二で割ったような味という印象を受けました。
 ねっとりホクホクと腰のある粘りが美味な里芋に、ゴボウのザクザク感、舞茸と椎茸のプリプリ感、ネギのトロシャキ感、コンニャクのぶりぶり感、にんじんや大根のサクサク感が歯に心地よく、食べるごとに生命力を分け与えられているような気持ちになります。
 手で千切った豆腐は見た目が悪いものの内部までしっかり味が染みている上に柔らかい口当たりなのがよく、味噌系スープには珍しい白菜も、独特のミルキーなエキスが芋煮にぴったりでほっとしました。

 二番目は、“梅とわかめのおにぎり”!
 いただきま~すっ!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種23
 さて、感想はといいますと…給食のわかめご飯に似てますが、それより工夫されてて旨し!わかめのプリプリコリッとした歯触りがたまりません!
 最初は磯の香りがする塩味がくるだけなので随分シンプルに感じますが、次の瞬間梅干しのすっきり爽やかな酸味と、わさびのツンとくる辛味がすぐに後を追いかける為、見た目以上に凝った味わいです。
 単純なのに、意外と癖になって飽きないしょっぱ酸っぱいおにぎりでした。
 白ごまがプチプチ弾けて香ばしいアクセントを足しており、さっぱりした中に奥深さがでているのがいいです。

 三番目は、“鮭と柚子胡椒のおにぎり”。
 いっただっきまーす!
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種24
 さて、感想はといいますと…鮭おにぎりにしてはかなり清々しい美味さで感動!香味野菜がいい仕事してます!
 鮭フレークはこってりした油分と旨じょっぱい塩気が特徴な為、そこそこ味付けが濃いおにぎりに分類されるのですが、これはしょうがのキリッとした辛さと、青じその爽快な風味が魚臭さを完全に封じ込め、お腹一杯な時でもスルッと入りそうな程軽い味わいにしているのがナイスです。
 しょうがのシャリシャリした食感が、地味に効いてて病み付きになりました。
 柚子胡椒の和を感じさせる香りが、後口を引き締めてていいです。

 四番目は、“昆布佃煮とマヨネーズのおにぎり”!
 いっただっきま~すっ。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種25
 さて、感想はといいますと…個人的に大ヒットな新しいタイプのおいしさ!どれも味が似てしまうマヨ系おにぎり界において、全くキャラが被らない期待の新人です!
 昆布佃煮は、単品だとよくも悪くも醤油と砂糖ががっつり表にくる強い甘辛さが特徴的ですが、これはマヨネーズが塩気をぐっと抑えて口当たりをまろやかにし、ちょうどいいクリーミー甘辛醤油味に仕立てています。
 プリプリコリッと程よい歯応えの細切り昆布と、シャキシャキと鮮やかな食感のネギが絶妙な合いの手を入れ、最後に七味唐辛子の香り高い辛味がビリッと効いて単調を防いでくれるのがたまりません(←居酒屋にある七味マヨ付きあたりめを彷彿とさせる味付けなので、おつまみ代わりになりそうです)。
 マヨネーズに昆布の旨味が入り交じって深みが生まれたせいか、いつも食べるマヨ系おにぎりよりもメリハリがあり、昆布も佃煮というよりは塩昆布みたいな味わいになっていて面白かったです。


 お茶碗によそったご飯だったら一杯でお腹いっぱいなのに、おにぎりだと何故か三個ペロリと平らげてしまう…改めて、おにぎりは魅力的な食べ物だな~と感じました;。
 これまでは醤油味の芋煮しか知りませんでしたが、味噌味の芋煮も心温まる味でいいな~とほっとした再現でした(^^*)。
秋のソウルフード芋煮おにぎり三種22


P.S.
 非公開コメント欄にて、大変参考になるご指摘とアドバイスを下さった返信不要さん、ゆきさん、生姜好きさん、この度は誠にありがとうございました。
 具体的な事を教えて頂いて勉強になった事は勿論のことですが、ある意味自業自得なのにも関わらず、当ブログと管理人をご心配して下さっているお気持ちが文面から伝わってきたことが何よりも嬉しく、恐縮しつつも非常に励みになりました。
 このような場で失礼ですが、重ね重ねお礼申し上げます。


●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
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プロフィール

あんこ

Author:あんこ
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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
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 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
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