『風流つまみ道場』の“白身魚のジャガイモ包み焼き”を再現!

 相方さんと当管理人はポテトチップスをつまみながら飲むのが好きで、時々一緒に買い出しに行っているのですが、双方共に味の好みが結構違います。
 というのも、相方さんはピザやコンソメといった濃いめの味が好きなのに対し、当管理人はうす塩か海苔塩みたいなシンプル系が好きだからで、よくもめています;。
 ただ、唯一お互い選んでももめないのは期間限定の新作味で、こればかりはこってり系ポテトチップスにそこまで夢中じゃない当管理人も、「今だけしか食べられない…!」という限定物に弱い日本人心が刺激され、つい手に取ってしまします(←メーカーの方々にまんまと踊らされてる気がしますが、悔いはありません!体重計に乗った時だけ後悔しますがorz)。

 どうも、最近は頑固あげポテトのバリバリした食感にハマっている当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『風流つまみ道場』にて錦ちゃんが余っていたじゃがいもを使って作った“白身魚のジャガイモ包み焼き”です!
白身魚のジャガイモ包み焼き図
 ある日、錦ちゃんを含めた常連たちが<夕月>へ行くと、台所にジャガイモがどっさり入ったカゴが鎮座しており、びっくりします。
 何でも、ママの知り合いから自家栽培した物をドカッと送られてきたとの事で、大家さんと松田さんは「てことはジャガイモ料理があるのかな?」「やっぱり肉ジャガかな、ジャガイモといえば」「そうですねー、肉ジャガですね」と二人して盛り上がります(←肉じゃがはタンパク質とビタミンがバランスよく含まれている健康的なおつまみで、和食系の飲み屋さんでは定番の一品でもありますので、お二人が期待するのも分かる気がします)。

 しかし、そんな中ママが「ハイどーぞ」「誰も肉ジャガがあるなんて言ってないでしょ!?」と言いながら出したのは、何とポテトチップス;。
 ママが言うには、「ないわよそんなめんどくさいもの…ジャガイモの皮をむくのからしてイヤなのに」だそうで、肉ジャガどころか他のジャガイモ料理も作っていないとの事;。
 せめて、このポテトチップスは自家製だと思いたいものですが、生粋の不精者なママが「ジャガイモの皮を剥いて薄くスライスする→水に何度かさらして澱粉を徹底的に取る→一枚一枚水気をしっかり拭いて油で揚げる」という手間のかかる作業をしたとは思い難いので、市販の可能性が高いだろうな~と苦笑しました;。
 確かに煮物は手間がかかる物もありますが、最近では「麺つゆorすき焼きのタレを入れるだけ!」「炒めず煮るだけ!」「スチームケースに入れて電子レンジにかけるだけ!」という簡単でおいしいレシピも続々登場していますので、是非ママにはCOOKP○Dデビューをしてもらい、新しい世界に開眼してほしい物です。

 ちなみに、ジャガイモはママがそのまま放置したおかげで既にあちこちから芽がニョキニョキと生え始めており、ただでさえムスッとしていた松田さんと大家さんからさらに呆れられていましたorz。
 正直、ママに匹敵する程のズボラ女性は、『花のズボラ飯』の花さんくらいだと思います;。
じゃがいもをもらったママは面倒がって料理せず、とうとう芽がでていました;
 そんな時、大家さんとママに起こされて臨時料理人に任命された錦ちゃんが作ったジャガイモ料理の一つが、この“白身魚のジャガイモ包み焼き”です!
 作り方はとてもお手軽で、ラップに敷いたジャガイモの千切りの上へ塩こしょうした鯛の刺身を並べ、それにかぶせるようにしてジャガイモの千切りを乗せて小判型に成形し、油をひいた弱火のフライパンで両面をこんがり焼いたら出来上がりです。
 ポイントは、ジャガイモはひたすら細く切ること(←ポテトスライサーがおすすめです)と、弱火で焦がさぬようゆっくり熱を通すことの二つで、ジャガイモのしゃっきり感を最大限まで引き出すのがコツみたいでした。

 作者のラズウェル細木先生がおっしゃるには、「シャキシャキとしたジャガイモの食感が身上です。じゃがいもというとホクホクといったイメージが強いですが、炒めるとシャキシャキしてキンピラの具材として使えます」だそうで、じゃがいもの違った一面を効果的に引き出す為にこのレシピを考えつかれたようでした。
 千切りにしたじゃがいもと聞くとガレットが真っ先に思い浮かびますが、意外にも中に何かを詰めて焼くタイプのポテトガレットは見当たらず、またしてもラズウェル細木先生の完全オリジナル料理といえそうです。
 皮を剥いて千切りにする作業が大変そうですが、そこさえ除けばあとは丸めて焼くだけですぐに完成しますので、まさにママのようなズボラさん向けのレシピだと思います;。
細い千切り状にしたじゃがいもによって中の鯛が蒸されているのがたまりません
 その後、試食した大家さんと松田さんは「外側のジャガイモはカリッとしてるのに対し、中の白身魚が蒸し焼きのようにしっとりしてるのがおもしろいな」「思った以上に使えるねジャガイモって」と上機嫌で、どんなお酒にも合うオールマイティーな品だと満足していました( ←考えてみれば、ジャガイモと油の組み合わせはフライドポテトやポテトチップスと同じですので、ビールやハイボールに滅茶苦茶合いそうですね;)。
 この他にも二品作ってそこそこ疲れていた錦ちゃんは、「よかったー」とほっとするのですが、そこで「でも…」と水を差してきたのは大家さん。
 というのも、「やっぱり最後は肉ジャガで締めたいな」とかえって肉ジャガ恋しの気持ちが増したからで、それを聞いた松田さんも「そうだね、どうしても食べたいよ肉ジャガ…」と言い出し、結局錦ちゃんはノンストップで肉ジャガ作りに取り掛かっていました;。

 錦ちゃんは「これまでの3品はなんだったんだァ…!?」とへとへとのご様子でしたが、大家さん曰く「肉ジャガは男にとって癒しの食べ物だからな」としみじみ呟いており、その昔お母さんに作られた記憶があるのかな?と思いました(←今ではすっかり「実は肉じゃがは、そこまで男性受けはよくない」という情報は定着していますが、それでも一部には大家さんのように根強いファンがまだまだいるんだろうな~と、煮物好きな当管理人はしみじみしました)。
あれだけ色んなジャガイモ料理を作っても、肉じゃがにはかないませんでした
 先日、ジャガイモが大安売りされていたので再現する事にしました。 
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、じゃがいもの下準備。じゃがいもは皮を剥いてかなり細い千切り状(←包丁でもいいですが、ポテトスライサーの方が確実にいい食感になります)にします。
 このじゃがいもの千切りをラップの上へ平らに広げ、塩とこしょうで軽く味付けした鯛のお刺身を真ん中に置きます。
白身魚のジャガイモ包み焼き1
白身魚のジャガイモ包み焼き2
白身魚のジャガイモ包み焼き3
 その上へ、じゃがいもの千切りをかぶせるようにして乗せてラップでさらに包み、形が崩れぬよう両手でそっと押さえ、小判型に整えます。
 このじゃがいも包みを、油を引いて弱火で熱したフライパンに置き、両面を焦がし過ぎないよう気を付けながらじっくりと焼きます。
白身魚のジャガイモ包み焼き4
白身魚のジャガイモ包み焼き5
白身魚のジャガイモ包み焼き6
 じゃがいもの表面がこんがり焼け、中にもじんわりと熱が通ったらレタスを敷いたお皿へ移し、仕上げにバターを一片飾れば“白身魚のジャガイモ包み焼き”の完成です!
白身魚のジャガイモ包み焼き7
 香りはじゃがバターその物ですが、見た目はまるで番っている為、少々頭が混乱します;。
 千切りにして炒めるのは何度かしたことがありますが、こうやって包み込むのは初めてですので、一体どういう仕上がりか楽しみです。
白身魚のジャガイモ包み焼き8
 それでは、上からレモン醤油をかけて二つに割り、いざ実食!
 いっただっきまーす。
白身魚のジャガイモ包み焼き9
白身魚のジャガイモ包み焼き10


 さて、感想はといいますと…半生のハッシュドポテトに近いようで、それ以上に軽くて食べやすいのが不思議なおいしさ!他の切り方では出せない、千切りならでは新食感にびっくりです!
 半分ホクホク、半分カリカリッとした香ばしい表面を噛み破った途端、この上なくしっとりふんわりとした、柔らかい蒸し焼き状態の鯛が口の中でホワッとほどけるのが心地いいです。
 回りが澱粉で固められているせいか、鯛から出た旨味エキスは火を通しても逃げる事なく、箸で割る時までしっかり中に封じ込められていた為、見た目によらず意外とジューシーな一品になっていました。
 但し、外側が「極細のポテトフライ」という感じなのに対し、内側はほっくり感がまるでない、シャキシャキサクッとした爽やかな歯触りで、「芋」というよりは「根野菜のサラダ」と呼びたくなる味わいです。
 例えるとするなら、「和風じゃがバター味の、サクサク鯛包みポテトガレット」というイメージで、内と外の中間にある微妙に熱が入ってムチムチしたじゃがいもも加えた、三種の異なる食感が面白く美味でした。
 このじゃがいもに、さっぱりした酸味と香り高い風味が効いたレモンバター醤油がぴったりで、そこそこ食べ応えがあるのにあっさりした後口が印象的です。


 この食感は出来る限り細く千切りにすることによってしか生まれませんので、包丁よりもポテトスライサーを使用した方がいいと感じました。
 鯛の代わりに、同じく淡泊なスズキの切り身か、もしくはアンチョビを詰めて焼いても合いそうです。

●出典)『風流つまみ道場』 ラズウェル細木/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『華中華』の“晴れの日チャーハン”を再現!

 去年、カップヌードルのCMの題材に使われるほど話題になった壁ドンですが、「いきなり目の前に迫ってきて至近距離の壁を叩かれるのって、恐怖心しか抱けないような…」と前々から違和感を感じていた為、今一つ腑に落ちなかったんですが、最近「あ、一種のつり橋効果だ!」と思ってからはすんなり納得できるようになりました。
 調べた所、ある心理学者の方も「壁ドンの『ドン』というのが、心臓が『ドキッ』とするのと同じように感じてしまうのでしょう」と考察されており、あながち変な考えでもなかったんだな~とほっとしています;。

 どうも、乙女ゲームのCMで男性キャラが「お前、俺の女に決定♪」などと言っているのを聞くと、地獄のミサワが頭に思い浮かぶ当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんがおじいさんとおばあさんの結婚四十周年を祝って作った“晴れの日チャーハン”です!
晴れの日チャーハン図
 それは、ハナちゃんがまだ満点大飯店におり、お昼休みには影ながら上海亭でチャーハンを作っていた頃のこと。
 島野さんに連れられて横浜の卸売市場へ行ったハナちゃんは、市場の刺激的な空気に触れて今まで以上にやる気が生まれ、その日のお昼に上海亭のおじいさんとおばあさんに「見ているだけで色々レシピが浮かんできて嬉しくなりました」と興奮して話すのですが、その際にお二人から「私らはね…市場で出逢ったのよ」と思いがけず馴れ初め話を聞く事になります。
 しかし、最初こそ明るく楽しげに語られていたものの、最後まで聞いてみると、それは心温まると同時にあまりに過酷なお話でもありました…。



 今から、四十年以上も昔のお話。
 おじいさんは横浜中華街の有望な若い料理人、おばあさんは海産物卸売問屋の初々しい事務員で、お互い一目惚れしていながら、奥手な性格ゆえにまともにしゃべる事すら出来ずにいたのですが、ある日卸売問屋の社長がおじいさんに「実はあの娘、来月でうちを辞めて田舎に帰るんだ」「あの娘とデートして、ちょいと横浜の思い出を作ってやって欲しいんだよ」とお願いしたことから、事態は急展開します。
 翌日、横浜港でおばあさんとデートしたおじいさんは、おばあさんが沼津の魚屋の跡取り娘であること、実家へ帰った後はお見合いして婿を取らねばならないことを告白されるのですが、「今日のデート…一生の思い出にして帰ります」と呟く寂しそうな横顔を見て、「田舎に帰しちゃダメだ」「この人を放したくない…帰したくない」と強く思い、その場でプロポーズします。
 この時、一番丸く収まる道はおじいさんがおばあさんの婿になって魚屋を継ぐ事でしたが、おばあさんも料理人の仕事も同じくらい大事だったおじいさんはどうしてもその道を選べず、おばあさんと悩みに悩んだ末苦渋の決断を下し、ある一つの条件を飲む事によって沼津の義両親に結婚の許しをもらいます。
 その条件とは、長男が生まれたら沼津の実家へ養子に出して跡取りにし、二度と会いに来ないこと。
 現代では信じられないお話ですが、当時結婚は「個人」の結びつきよりも「家」の存続が何よりも重視される世の中で、それ以外に一緒になる方法はないと思い詰めたお二人は拒みきれず、とうとう結婚して翌年七月に生まれた生後三ヶ月の長男・太一郎さんを駅で義両親に渡し、断腸の思いで最後の別れを交わしていました。
 特におばあさんの辛さは尋常ではなく、涙ながらにすがっていましたが義両親の心は揺るがず、無情にも汽車は出発し、後には崩れ落ちて泣くおばあさんと、何も言う事が出来ずうなだれるおじいさんが残されるのみでした―。


 …その後、お二人は実の子と生き別れになった辛さを糧にして一生懸命働き、数年後に独立して上海亭を開店するのですが、子どもは二度と出来なかったと、おじいさんは淡々と語っていました←太一郎君の事とは無関係ですが、どうやらおじいさんは心のどこかで「子どもを手放した罰が当たった」と考えているようで、静かな表情の中に何とも言えない哀しみがありました)。
結婚する為、唯一の実子を跡継ぎとして両親に差し出さなくてはいけなかったおじいさんとおばあさん
 おじいさんとおばあさんの出した結論に関しては賛否両論あると思いますが、どうにも抗いがたい「時代」という壁は確実にありますし、それを現代の物差しで一刀両断するのは乱暴だと考えている為、当管理人はお二人が屈してしまった事を、安易に責める気持ちにはなれません。
 唯一、責める権利があるのは太一郎さんお一人のみですが、過去も現在も連絡をとっていない様子を見ると、その理由が「憎しみ」にしろ「悲しみ」にしろ「無関心」にしろ、既にお二人へは十分すぎる程罰を与えていると感じました。

 それにしても、このエピソードを読むたび、人生は本当に紙一重でまるで違う方向に決まってしまうのだな~と思わずにはいられません。
 もしこの時、おじいさんが魚屋になっていたら太一郎さんを含め、一家はそれなりに幸せになっていたはずですが、そうなっていたらハナちゃんは一巻の時点でちょうどいい第二の修行先を見つけられず成長が大幅に遅れていましたし、加えて夫・康彦さんのご両親ともご縁が出来ず、お二人は永遠に接点がないままでした(←農家である康彦さんのお父さんにとっておじいさんは、昔からお付き合いがあるお得意様)。
 おじいさんも夢を諦めたという悔恨を捨てられず荒れていたかもしれせんし、おばあさんも二十年来の友・富永さんと出会えず寂しい身辺だったかもしれません。

 自分が当事者だと全く分かりませんが、今が不幸でもそれがきっかけで後々幸運が転がってきたり、今は幸せでも後から振り返ると一生の汚点でしかなかったりする事も度々ありますので、案外人生には最善も最悪もないのかもしれない…と思います。
上海亭でおじいさんとおばあさんに出会わなければ満点大飯店の下働きのままだったハナちゃんは、大恩を感じています
 こうして一部始終を聞いたハナちゃんは、「毎日チャーハンをこしらえる事が出来るのは、おじいさんとおばあさんのおかげです!」という想いから、翌日に迎えるお二人の四十回目の結婚記念日の為、感謝とお祝いの気持ちを込めて特別なチャーハンを作ります。
 その際、ハナちゃんがおじいさんとおばあさんの為に生み出した新しいチャーハンが、この“晴れの日チャーハン”です!
 作り方は簡単ですがやや手間がかかり、前日の夜にあらかじめ下茹でした小豆・その茹で汁・塩・お米でご飯を炊き、熱して油をひいた中華鍋で溶き卵と共にパラパラになるまで炒め合わせ、塩で味を微調整して仕上げににしきごまを振りかけたら出来上がりです。
 ポイントは、小豆は一度ひと煮立ちさせた後にもう一度水を注ぎ直して沸騰させること、ご飯を炊く茹で汁は二回目の物しか使用しないこと、小豆は炊いたり炒めたりする時グチャッとしないよう少し固めに茹でること、お米は必ずうるち米を使うことの四つで、単純に見えて実は奥深いレシピだな~と感じました。

 ちなみに、にしきごまとは京都の島本海苔乾物株式会社様が生産されている製品で、人参・カボチャ・ホウレン草・トマト・梅・抹茶・青海苔の粉末がまぶされた、栄養満点のごま。
 ハナちゃん曰く、徳島にいるご両親が京都旅行へ行った際にお土産として送ってくれた品だそうで、小豆とご飯だけで栄養的にも彩り的にも乏しいチャーハンにアクセントを付け足したくて使ったみたいでした(←何でも、お赤飯には直接野菜を入れず、シンプルに仕上げたかったそうです)。
  
小豆とは言っても砂糖は一切いれず、お赤飯のように炊いてから塩味のみで味付けします錦市場にある島本海苔乾物株式会社にて販売されている、錦ごまを使用します
 開店前におじいさんとおばあさんに試食してもらい、嬉しさのあまり目を潤ませなられがらもOKをもらったハナちゃんは、「本日は店主夫婦の結婚40周年記念の<晴れの日チャーハン>。お代はお客様のお気持ちだけ頂戴します」という張り紙を表に貼って開店します。
 すると、常連さんは皆「いつも安くて旨いチャーハンを食べさせてもらっているからさ!」「それに今日は二人の特別な記念日なんだから」「そうそう!お二人のお祝いだもんね」と言いながら千円~二千円と高額なお代を払っており、おばあさんをさらに涙ぐませていました;(『ミスター味っ子Ⅱ』の中の、「ランチの価格はお客様が決めてください」という企画の最中に登場した「だって、いくらでもいいんだろ?」と十円玉を払うおじさんのような人が登場しなくてよかった~と一安心しました;)。

 そして営業時間後、お二人はハナちゃんと康彦さんと楊貴妃さんの連携があって初めて成り立ったあるサプライズをされ、今度こそ号泣してしまいます。
 それは、四十年間一度も会わなかった息子・太一郎さんとの再会。
 実を言いますと、幸いにも太一郎さんは父と母を少しも恨んでいなかったんですが、義両親に気兼ねして長年会わない内、「今さら会うのは気恥ずかしい」と思うようになって訪ねるきっかけを完全に見失っていたそうで、それで会いに行けなかったと話していました(←この素直なお人柄から察するに、どうやら義両親は、根はいい人達だったのではないかと思います)。
 しかし、前日夜に枕元に立って「一人の男が横浜からお前を訪ねてくるだろう」「そして、お前を別れた両親の下へ連れていくだろう。お前はただ、ついて行けばいいのだ…」と囁き続けた楊貴妃さんと、当日朝にやって来て説得した康彦さんのおかげでやっと決心がつき、こうしてお二人の元へ来たとの事でした(←今回も、楊貴妃さんの幽霊ならではの機動力の高さが大いに役立ってます;)。

 「こんな両親でごめんなさい」とやっと謝る事が出来たおばあさん、「…本当に来てくれてありがとう!」と万感の想いを込めて言えたおじいさん、「お父さん、お母さん。結婚40周年おめでとうございます!」と初めて二人を祝う事が出来た太一郎さんら三人の邂逅のシーンはとても温かく、こちらまで自然とほっとしたエピソードでした。
長年会う事が出来なかったご両親の結婚四十年を祝う為、わざわざ駆け付けてくれてました
 先月、京都でにしきごまを購入してきましたので再現する事にしました(←レシピ欄では「ない場合はゴマ塩で」とありましたが、これはにしきごまでないと!と思い、ずっと後回しにしていました)。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、小豆の下ごしらえ。流水で小豆の表面についている汚れを洗い流したら雪平鍋へ移し、お水を入れて沸騰するまで煮ます。
 小豆がひと煮立ちしたらお湯を全部捨てて新しい水を加え、コトコト煮ます(←一回目のお湯は灰汁がいっぱいですので使いません)。
 やがて、小豆が少し固めに煮えたら火からおろし、小豆と煮汁の二つに分けておきます。
 ※あんまり小豆を柔らかく煮すぎてしまうと、チャーハンにする時にボロボロになりますので、要注意です!
晴れの日チャーハン1
晴れの日チャーハン2
晴れの日チャーハン3
 次は、チャーハン用のご飯作り。
 炊飯器へさっきの煮小豆、冷ました煮汁、塩を入れてしばらく吸水させ、時間が経ったら炊き込みご飯モードでじっくり炊きます。
 ご飯が炊けたら混ぜすぎないよう気を付けつつ、底からすくい上げるようにしてさっくり混ぜ合わせ、ご飯全体に小豆を大体行き渡らせたら、ご飯は準備完了です!
 ※煮汁が余るほど大量にあったら、最初にお米をとぐ際のとぎ汁に使うと、より小豆の味がお米の内部にしみますのでお勧めです。
晴れの日チャーハン4
晴れの日チャーハン5
 ここまできたら、いよいよチャーハン作り。
 油をひいて十分に熱した中華鍋(又はフライパン)へ、溶き卵→先程の小豆入りご飯の順に材料を投入してざっと炒め混ぜ、味見をしながら程よい塩加減になるよう味を調整します。
 この間、後ですぐに振りかけられるようににしきごまを手元に用意しておきます。
晴れの日チャーハン6
晴れの日チャーハン7
 チャーハンに小豆と炒り卵がまんべんなく混ざったらお皿へ丸く盛り付け、その上ににしきごまをたっぷり振りかければ“晴れの日チャーハン”の完成です!
晴れの日チャーハン8
 おじいさん達が言っていた通り、赤・緑・黄・オレンジに染まったカラフルなごまはとても色鮮やかで、どうしても地味になりがちな赤飯の色合いをパッと明るくしていました。
 油で炒めても小豆の昔懐かしい香りは健在で、味はどんな風に変化しているのか非常に楽しみです!
晴れの日チャーハン9
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
晴れの日チャーハン10


 さて、味の感想はと言いますと…想像以上においしくて衝撃!小豆と油は意外に相性がいいんだとびっくりしました!
 味わいは「もちもち感と粘りが少ない赤飯」その物ですが、もち米を使っていないおかげでお腹にそこまでずっしりこず、比較的あっさり頂けるのが特徴的でした。
 うるち米を用いて小豆が合間に入っているせいか、むしろ一般的なチャーハンよりもパラパラしてベタつきが皆無なのが印象的で、軽い口当たりなのがよかったです。
 煮豆よりも少し固めでホコホコほっくりした、まるでむかごや小芋みたいな食感に仕上がった小豆は地味ながらも飽きのこない優しい味わいで、癖になりました。
 小豆特有のほのかに甘く、胸をすくような芳しい香りの出汁をたっぷり吸い込んだ上品な炊き込みご飯の旨味を、卵のエキスがなじんでさらにコクが増した炒め油がぐっと引き立てているのがバランスよく、普通の赤飯よりいつまでも噛んでいたくなるような深みがあるのが特徴的です。
 正直、チャーハンだけだったら今一つ物足りない出来だったと思いますが、ここに鮮やかなアクセントをプラスしているのがにしきごまで、パウダーとなってまぶされた青海苔の磯風味、にんじんやかぼちゃの甘味、梅やトマトの酸味などがパリパリに香ばしい煎りごまと共に弾け、素朴なご飯をパッと華やかな旨さに変化させているのに感心しました(←パウダーの味はあくまで控えめでそんなに強くはないんですが、注意深く味わうとわかります)。
 味つけは極めてシンプルなのに、ここまで美味さがはっきり濃いのはにしきごまと小豆の茹で汁の力で、甘味処でこっそり隠れメニューとして出されていてもおかしくないくらい完成度が高い一品でした。


 作中で言われていた通り、小豆は多めに使った方が出汁が効いて美味しくなります。
 また、炒める前の小豆ご飯が余ったら、水を足して煮て小豆粥にしてもよかったので、そちらもおすすめです(←上からにしきごまをパラリと散らしてもナイス!)。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ごほうびごはん』の“半熟煮たまご”を再現!

 当管理人はあんまり記憶力がよくないのですが、当ブログの過去記事を読んでいると、その日にあった出来事、記事を書いている時に聞いていた曲、再現料理を作った時に見ていた番組も自動的に連鎖して細かく思い出す為、ちょっとしたタイムトラベル気分を味わいます。
 ドラマチックな内容ばかりだったら素晴らしいんですが、情けないことにくだらない内容がほとんどで、「この日は、仕事で大失敗して落ち込んでいたな…睡眠時間は毎日四時間くらいで帰りも遅くて(ry」「この高いお肉は、スーパーで六割引きになってて買ったんだった…本当はもう一つの方がよかったけどタッチの差で買われて(ry」「この時は、近所で新しいスーパーがオープンしたんだった…近所が活気づいたけど、お気に入りのお店がどんどん潰れて(ry」など、見れば見るほどしんみりしたものですorz(←たまたまマイナスな出来事ばかり書いちゃいましたが、もちろんいい思い出もたくさんありましたので大丈夫です;)。

 どうも、この記事を書いて以来冬になると大好物のイクラ丼を食べて英気を養っている当管理人・あんこです(←但し、手作りは時間がかかるのでお店で手っ取り早く醤油漬けを買ってます;)。


 本日再現する漫画料理は、『ごほうびごはん』にて主人公・池田咲子さんが三日間浸けて仕込んだ“半熟煮たまご”です!
半熟煮たまご&プレモルビール図半熟煮たまご図
 『ごほうびごはん』とは、就職を機に上京して一人暮らしをしている食いしん坊な眼鏡っ子OL・池田咲子さんが、社会人一年生で慣れぬ仕事に慌てふためく日々の中、週に一度だけの「ご褒美ごはん」を楽しみに頑張っている様子を描いた、ささやかな口福系グルメ漫画です。
 一言で「ご褒美ごはん」とはいってもその内容は様々で、お金に余裕がある時は思い切って「伊勢海老カレー」や「ローストビーフ」のような贅沢メニューを食べるのですが、給料日前でお金がそんなにない時は「ミートボールスパゲティ」や「桜えび入りカップ焼きそば」のようなお手軽メニューにしたり、実家からの頂き物と時間がある時は「筍の天ぷら」や「栗ご飯」のような丁寧メニューにしたりとその幅は広く、毎度何らかの変化があって飽きません。

 基本、一人飯をメインに描いた作品だと、大抵は自宅の台所とテーブルが舞台の「自炊型」か(←例:『花のズボラ飯』『くーねるまるた』)、飲食店の食べ歩きがテーマの「外食型」か(←例:『孤独のグルメ』『食の軍師』)で大きく二つに分類されるのですが、『ごほうびごはん』の場合は自炊と外食がちょうど半々になっている「混合型」で、ちょっと新しいタイプの一人飯作品だな~と感じました(←意外にもきっちり「混合型」になっている作品は少なく、強いて挙げるとするなら『酒のほそ道』くらいかな?と感じました。但し、こちらは自炊よりも外食の比率がやや多めですが…;)。

 普段はおっとり内気でやや天然系な、ごく普通の目立たない会社員の咲子さんですが、食べ物の事となると一気に行動力が増して表情がパァッと輝き出し、顔全体を使って「美味しい」を表現するのが見ていて癒されます。
 どうやら実家ではそこそこ料理をしていたみたいで、今の所ひどい大失敗はしていないのですが、河原で燻製を作るほど専門知識があるにも関わらず、タコの足の毒性が怖くて実家のおばちゃんに電話して聞くなど料理知識の偏りが激しく、そのアンバランスさにはずっこけました;(←とはいえ、生来の素直さで「アドバイスは真っ直ぐ聞く」「人のせいにせず反省する」「分からない事はあやふやなままにせず聞く」を実行してますので、経験を積めば自然と解決しそうです)。

 元々この「ご褒美ごはん」の習慣は、故郷から東京へ引っ越したばかりで心細かった頃、来週への活力をもらう為に咲子さんが何となく始めた自分ルールなんですが、現在では「これがないと一週間終わった気がしなくて」と断言するくらいどっぷりハマっていました;←趣味の域を超え、もはや「NO GOHOUBI、NO LIFE」になっちゃってると思います;)。
週に一度のごほうびごはんが当面の生き甲斐になっている社会人一年生OL・咲子さん
 正直、仮に出てくるのが咲子さん一人だけだとしても十分魅力的な漫画なんですが;、他にも面白いレギュラーキャラが続々登場します。
 いつもは隣で突っ込み役ですが、大好きなパン&もんじゃ焼きの事となると急にお茶目になる同僚・小湊さん。
 普段はクールで少し怖そうに見えるものの、実は気配り上手でかっこいいクールビューティーなお姉さん・青柳主任。
 厳しくて気難しそうな外見とは裏腹に勇気があって優しく、本当は甘党なのを内緒にしてる上司・森ヶ崎部長。

 癖はありますがみんないい人ばかりで、咲子さんを中心に巡るちょっとした人間模様や心の交流も見所の一つです(←ちなみに、三人とも同じ会社で同じ部署の方。一見不自然かもしれませんが、毎日同じコースを往復している社会人の身からすると、妙にリアリティがあって苦笑です;)。

 また、もう一つの見所は、ズバリ「オーバーリアクションで独創的な旨さの感動表現」
 今や伝説となった『中華一番!』ほど奇想天外で派手ではなく、全て空想の中での出来事なのですが、見切り品の刺身で海鮮丼を作った時に「素敵だな。好きな具だけをたくさん食べれるおうち丼」といくらまみれのプールではしゃいだり、焼き鳥の屋台で初めてぼんじりを食べて「すごくジューシーで、食感がぷりぷり!舌の上で…踊ってます!」とスーツ姿の鶏とタンゴを踊ったり、中華街で肉まんにかぶりついて「体の中からじんわりあったまるなぁ。おなかの中にほかほか肉まんカイロ貼ったみたいだ」と一緒に来た従兄弟と巨大肉まんの上に転がったりと、その表現は的確であると同時にほのぼのした絵も相まって愛らしく、一話読むごとに「今日はどんな空想の世界に行くの?」とワクワクした気持ちになります(←例えがどことなく彦摩呂さんチックなのも、当管理人にとってはツボです;)。

 あと、これは個人的な意見ですが、咲子さんはご飯を食べている時の顔がとても幸せそうで、ついこちらまでつられてニコニコさせられるのですが、その際食べ方にどことなく品があるのが印象的。
 どんなにお腹が空いていても一定の節度を守って口に運び、食材にも周囲の人にも感謝しつつゆっくりと味わいながら噛み締める姿は、読んでいてすごく気持ちがよく、すぐに好感を抱いたものです。

ある時は、お家で好きなだけ具を乗せられる海鮮丼を食べ、いくらプールに入る妄想またある時は、焼き鳥の屋台で初めてぼんじり串を食べ、鶏とタンゴを踊る妄想;またまたある時は、従兄弟と一緒に行った中華街で肉まんを食べ、巨大肉まんに乗る妄想;
 今回ご紹介するのは、#2「3日越しのお楽しみ」にて咲子さんが今週分の「ご褒美ごはん」として用意していた“半熟煮たまご”!
 作り方は簡単で、合わせ出汁・日本酒・醤油・みりん・蜂蜜を小鍋でひと煮立ちさせて作った漬け汁へ、中が半熟になるよう火を通しておいた卵を入れて漬け込み、冷蔵庫に入れて三日寝かせたら出来上がりです。
 ポイントは、卵の黄身がいい塩梅にトロトロになるよう単行本レシピの手順をしっかり守ること、卵は茹で上がったらすぐに冷水に浸けて余熱で中が固まらないようにすること、漬け汁も卵も完全に冷ましてから合わせること、卵を切る時は黄身がグチャッとしないよう糸を使用することの四つで、単純そうで実はそこそこ手間がかかる一品だな~と感じました。
 “半熟煮たまご”自体はよくある料理ですが、材料自体はごく普通でも五種類も一緒に使ったり、分量も他のレシピと異なっていて若干薄めになってたり、尚且つ卵用の漬け汁に蜂蜜を使うのは珍しかったので、味の想像がつかず「どういう仕上がりになるんだろう…」と初見時は首を傾げたものです;。

 実を言いますと、当初咲子さんはこの“半熟煮たまご”をお米か豚肉のどちからかに合わせようとしていたのですが、もうすぐ終業という時に会社の先輩から「いただきものでビールあるんだけど、欲しい人じゃんけんしよー」と呼びかけられ、直感で「合うかも!!」と思って手を挙げ、見事プ○ミアムモルツ一本を勝ち取っていました。 
 卵とビールの相性の良さは、海外でエッグ・ビールというカクテルが生まれているくらい確かなものですので、偶然とはいえ咲子さんの勘はなかなか鋭いな~と思わずニヤリとした記憶があります;。
こればっかりは切らないと分からないので、成功した時は三日間我慢した甲斐があります
 その後、咲子さんは冷凍庫で速やかに冷やしたプ○ミアムモルツをグラスに注いで飲み、すかさず“半熟煮たまご”のトロンとした黄身をちゅるっと吸うのですが、その美味しさたるや格別だったらしく、一面の麦畑へ鶏と共に駆けだす空想を脳裏で繰り広げていました;(←しかし、テーマソングは何故か金○のあの曲。最初は不思議でしたが、後々プ○ミアムモルツのCMと見比べてみると、金○は「茶目っ気のある無邪気な女性」が登場するのに対し、プ○ミアムモルツは「しっとり落ち着いた大人の女性」が登場するというイメージでしたので、もしかしたら前者の方が咲子さんのイメージにより近いと思い、あえてそちらの曲を採用したのかもしれません;)。
 咲子さん曰く「んーっ、半熟だから黄身までしっかり味がしみこんでる」「たまごとビールがこんなに合うなんて知らなかったぁ」だそうで、最終的には感極まって「これぞまさにごほうびごはんだよぉ!!」と叫んでいました。

 この時、咲子さんは六個の“半熟煮たまご”を仕込んでいましたので、「明日はご飯にのせて~明後日は豚肉とからめて~」と夢が広がる計画を立てるのですが、あまりの旨さに手と口が無意識に動いてパクパク食べてしまい、ハッと気がついた時には残り一個になってて愕然としていました;。
 …この「常備菜として数日食いつなぐつもりでいたのに、気がつけば一日目に全て消費していた現象」、恥ずかしながら当管理人も何度も経験している謎現象ですので、いつかその全貌を明らかにして学会で発表出来たらな~と考えていますorz。
こういう「作り置きOK」なお惣菜に限って、あっという間に食べ尽してしまうんですよね…
 先日、半熟卵が食べたくて仕方がなくなった時に再現しました。
 単行本には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、卵の下準備。お湯を沸騰させた小鍋へ殻が割れないよう卵を静かに入れ、中が半熟になるまで火を通します。
 この時、黄身が真ん中に来るよう菜箸で時々転がしてやります。
 時間が経ったらすぐに冷水入りのボウルへ入れて冷やし、そのまま完全に冷めるまでしばらく水を替えながら放置し、白身にひびが入らないよう気を付けながらそっと殻を剥きます。
 ※単行本には茹でる時間や細かいポイントもきっちり載っており、その通りに火を通すと、必ず黄身はベストなトロトロ具合に仕上がります!
半熟煮たまご1
半熟煮たまご2
 次は、漬け汁作り。
 別の小鍋へ昆布と鰹節の合わせ出汁、日本酒、醤油、みりん、蜂蜜を加え、さっとひと煮立ちさせて冷まし、漬け汁を用意します。
 やがて漬け汁の粗熱が取れたら、ジップロック(又はタッパー)へ先程の半熟卵を一緒に入れて冷蔵庫に保存し、三日間寝かせます。
 ※今回は作中で咲子さんが使っていた本格コースの漬け汁を作りましたが、レシピにはより簡単に作れるお手軽コースの漬け汁もご紹介されています。
半熟煮たまご3
半熟煮たまご4
 三日後、漬け汁の中から半熟卵を形が崩れぬよう慎重に取り出してまな板の上へ置き、糸を使って真っ二つに切断します。
 その際、油断していると意外に早く黄身が断面からトロ~と溢れ出てきますので、要注意です。
半熟煮たまご5
 切った半熟卵を小鉢へ移してテーブルへ運び、その横に猫の箸置きとお箸、そしてグラスに注いだばかりのキンキンに冷えた生ビールを添えれば“半熟煮たまご”の完成です!
半熟煮たまご6
 …作中で描かれていた通り、悶絶して喜びたくなる程ドンピシャな半熟加減で、原価は安くともこれは十分「ごほうびごはん」だと思います(´Д`*)。
 ほんのり薄茶色に染まった白身と、オレンジがかった黄金色に輝く黄身の色合いが最高で、奮発して買った生ビール共々早く食したいと喉が欲します。
半熟煮たまご7
 それでは、ビールの泡が消えない内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
半熟煮たまご8


 さて、感想はと言いますと…三日我慢したからこそ味わえる、黄身の旨みの真骨頂!いい塩梅の塩加減になってます。
 ゆっくりと中に塩分が染みたおかげで、白身の外側は少し引き締まってぷりぷり感が増し、黄身もほんのり水分が抜けて味噌漬けみたいなねっとり感が若干出ています。
 しかし、元がかなりの半熟卵なせいかトロトロした柔らかな舌触りは十分残っており、温泉卵をさらにゆるくしたような官能的な口当たりになっていました。
 火を通すことによってさらに濃厚で甘味がぐっと際立った黄身のコクが、様々な調味料によって効果的にドレスアップしているイメージで、卵好きにはたまらない一品です。
 当初は「こんなに薄い漬け汁で浸かるかな」と心配だったんですが、食べてみるとラーメン屋の味玉みたいには濃くないものの決して薄くなく、しっかりと上品な和風出汁醤油味が染みていて食べやすかったです(←料亭か高級飲み屋さんで突き出しに出されそうな印象を受けました)。
 みりんと蜂蜜を一緒に使うので結構甘めかと思いきやそんな事はなく、鰹と昆布の磯風味漂う強烈な旨味成分と、ちょうどいい塩気が来てからじんわりと優しい甘さが後を追う為、心地よいです。
 意外にも蜂蜜は自己主張しなかったものの、噛めば噛むほどゆったりと舌に響く奥深い甘味は蜂蜜だからこそ出せる味わいで、まるで春のさざ波のように穏やかな後口に仕上がっていました。
 この余韻が消えない内に生ビールをゴクゴク流し込むと、麦のいい香りとすっきりした苦みが卵のコクをさらに高めつつ口中を爽やかに洗い流す感じで、まさにゴールデンコンビだと思いました。


 念の為、一日目と二日目の卵も食べて味を比べてみたのですが、やはり三日目の方が程よく調味料が染みて黄身の固まり具合もちょうどいいので、おすすめです(←ほとんど味がしなくてもタラ~ッと黄身が垂れるのがいい方は漬け汁と共に一日目に、やや薄味で黄身が固まりかけたとろとろ加減がお好きな方は二日目に食べられることを推奨します)。
 レシピの後ろにあるおまけページでは、「ピリ辛好きなら鷹の爪、爽やかな風味なら柚子の皮、こってりいきたいならにんにくを入れても」と書かれていましたので、近々試してみようと思います。

P.S.
 kawajunさん、本日はコメントとリクエストをして下さりありがとうございます。『甘々と稲妻』は以前、こちらの記事にてお一つ再現させて頂いてますので、よろしければお目を通して下さりますと幸いです。つむぎちゃんと小鳥ちゃんがご飯を食べるシーンは本当に美味しそうでそそられますので、当管理人も好きです!


●出典)『ごほうびごはん』 こもとも子/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『せやしだし巻京そだち』の“うりの味淋漬入り卵かけご飯”を再現!

 京都で食べた外食の中で一番気に入ったのは、冨美家の冨美家鍋(←具だくさんの鍋焼きうどんです)で、あまりに好きすぎて二日連続で食べに行った程でした;。
 えび天の衣が分厚いのに最初は少し驚きましたが、あの衣を少しずつ溶かして食べるとお出汁にどんどんコクが増していくのが分かってからは、すっかり虜に。
 和菓子にも使われているという、くったりしなやかに伸びるお餅が二個も入っていると知った時は、「670円で、この満足感!」と衝撃を受けたものでした;。
 ふんわり柔らかいうどんに、ちょっぴり甘いお出汁がぴったりで、京都へ再訪した折はまた立ち寄りたいな~と考えています。

 どうも、おかげ様で帰宅してしばらくは晩ご飯が鍋焼きうどん続きだった当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『せやしだし巻京そだち』にて著者・小林明子先生が昔から食べられている“うりの味淋漬入り卵かけご飯”です!
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯図
 小林明子先生の幼い頃の姿である小学生・アッコちゃんを主人公にして描かれた、1960年代京都の活き活きとした世界と独特の風習は、前回お伝えした通りとても面白いのですが、話の合間合間に挿入されている、ちょっとしたイラストと文章でまとめられたコラムもまた必見。
 京都では七五三よりも重視されているという十三詣りや、江戸時代から一昔前までは夏になるとあちこちで行われていた衛生掃除のお話も興味深かったですが、そんな中でも当管理人が特に注目したコラムは、やはり食に関するもの;。

 だし巻・鯖寿司・水羊羹といった食欲をそそる食べ物の絵もさることながら、長らく京都に住まわれている小林明子先生だからこそご紹介できる数々の名店も詳細に書かれており、参考になります←もちろん、他の京都本にもいいお店は沢山載っているのですが、地元の方が普段使いしているお店よりも観光客向けのお店がほとんどで、当然お値段も高め;。しかし、『せやしだし巻京そだち』では「普段家族で食べる物を買うお店」と「お祝い事orお客さんの為にここぞと買いに行くお店」の二種類がちゃんと分かりやすく書かれており、京都初心者には大変ありがたい構成になっております)。

 京都ならではの四季に合わせた和菓子もワクワクして眺めたものでしたが、個人的に読んでいて一番「京都らしいな~」と感じたコラムは、ぶぶあられに関するもの。
 なんでも、ぶぶあられはお茶漬けだけではなく昆布茶にも浮かべても合うみたいで、小林明子先生はお湯をかけてすぐのカリカリしたあられよりも、ふやけてグニグニになったあられがお好きだとおっしゃっていました。
 なお、今ではほとんどの方がご存知だと思いますので完璧な余談なのですが、有名な「ぶぶ漬けでもどうどす?」を実際に使う京都人はまず存在しないそうです;(京都ご出身のグレゴリ青山先生がおっしゃるには「語尾にどすって使うん、デビュー前の舞妓はんかデビュー当時の三田寛子ぐらい」との事で、「言葉にしろ風習にしろ、誤解されるともやっとすることってありますよね」と思いました←以上、「福岡県民は豚骨ラーメンに明太子をトッピングする」という地味なデマにびっくりした一市民よりorz)。
ぶぶあられはお茶漬けにかけるのは勿論、普通のお茶に浮かべて飲んでも美味だそうです
 今回ご紹介するのは、秋の章のコラムで小林明子先生が「わたしの好きな食べ方」として書かれていた“うりの味淋漬入り卵かけご飯”!
 作り方はとても簡単で、醤油をちょっとだけ垂らした卵かけご飯へ、みじん切り状に刻んだ味淋漬を加えてよく混ぜ、隣に八つ切りサイズの焼き海苔を添えたら出来上がりです(←頂く時、この焼き海苔に一口分だけくるんで食べます)。
 ポイントは、黄身の味を邪魔しないよう最小限の醤油に留めることと、なるべくふんわりとした混ぜ加減にすることの二つで、たったこれだけなのに随分特別感があるように見えるな~と感じました。

 小林明子先生がおっしゃるには、「漬けもの好きの私ですが、特に好きなのは、烏丸綾小路にある田中長の桂うりの味淋漬」「普通に5ミリほどにスライスしてもおいしいのですが、うちではさらに細かく刻んで小鉢に盛られて食卓に並ぶ」だそうで、この卵かけご飯は田中長の味淋漬の良さを100%堪能される為、幼い頃独自に生み出されたみたいでした。
 調べた所、田中長奈良漬店の味淋漬は「高級な奈良漬に自家製みりんの風味を加え、まろやかな香味を醸す、手間をかけた京都らしい奈良漬」として江戸時代に誕生したようで、往来の奈良漬けよりもぐっとまろやかな味がするのが特徴的なのだとか。
 この香り高い味淋漬に、醤油を控えた卵かけご飯が合わさると「卵の甘みと味淋漬のうまみが調和して」何とも言えない美味しさになるのだそうで、初見時は「こ、これはいつか食べてみたい…!」と喉を鳴らしたのを覚えています;。
漬け物好きな小林明子先生が特にお好きだったのが、田中長の桂うりの味淋漬小林明子先生のご実家では、奈良漬けはみじん切りにして供されていたとの事。
 先月、京都へ旅行した折に味淋漬をお土産として購入してきましたので、再現する事にしました(←感じのいい店員さん、その節はありがとうございました)。
 作中には大体の作り方が記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、漬け物の準備。 田中長奈良漬店うりの都錦味淋漬を用意し、袋から取り出して酒粕をさっと程度に拭き取り、薄めにスライスします。
 ※取った酒粕は味噌汁に入れて粕汁風にしたり、味噌に足して魚を漬けたりするなど、色々再利用できます。
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯1
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯2
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯3
 スライスした味淋漬をさらに細かく刻んでみじん切り状にし、使いやすいよう小鉢等に取り分けておきます(←このまま白ご飯にかけて食べても美味です)。
 その間、お茶碗へ炊き立てご飯を軽くよそい、お醤油をほんの少しだけ入れてかき混ぜた溶き卵を上からかけてさっくり混ぜ、出来るだけふんわりした卵かけご飯を作っておきます。
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯4
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯5
 この卵かけご飯へ先程の細かく切った味淋漬を多めに入れてよくかき混ぜ、仕上げに適度に炙っておいた焼き海苔を傍らに添えれば“うりの味淋漬入り卵かけご飯”の完成です!
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯6
 鼻を近づけると、酒粕由来の芳しい香りがふわりと優しく漂い、ただの卵かけご飯とは思えない程高級感が出ています。
 実を言いますと、醤油をあまり入れない卵かけご飯も、奈良漬けも、そこまで好きな方ではないのですが;、こちらは見るからに美味しそうな予感がプンプンしますので、己の勘を信じて食べてみようと思います!
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯7
 それでは、焼き海苔に一口分くるんでいざ実食!
 いっただっきま~す。
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯8


 さて、感想はと言いますと…極めてシンプルながらも、類をみない複雑なおいしさに衝撃!味淋漬の新しい魅力に病みつきになります!
 今まで食べてきた奈良漬は、あんまり品質がよくないお弁当の片隅にあるような物ばかりだったのもあり、グシュッとしたどことなく粘りのある歯触り、アルコール臭がギンギンに残った癖のある匂い、ひたすら甘々な味つけで苦手だったのですが、これはまさに「格が違う」といった風情。
 小さく刻んでもなお、カリカリパリパリシャキッと小気味良く歯を刺激する爽やかな食感、上等な日本酒の如く典雅なのにアルコール臭さが全くない香り、塩気と甘さがバランスよく入り交じった奥深い旨味が印象的で、一瞬ではまりました。
 強引に例えるとするなら、「塩をぐっと抑え目にした酒かす風味の高貴な味噌漬け」みたいな味わいで、二年間じっくり漬けたとは思えないくらいフレッシュな口当たりは、古漬けというよりはまるで浅漬けのようだと感じました(←味淋の香味は勿論、少しだけ醤油にも近い味もします)。
 不思議なことに後口が若干フルーティーで、それでいてキレがよく、はっきり濃いのに控え目で押し付けがましくなく、矛盾しているのに成り立っている混然とした旨さにうっとりします。
 黄身のまろやかな甘味が効いた淡い卵かけご飯に、味淋漬の上品かつ甘じょっぱいアクセントが効いているのがたまらなく美味で、焼き海苔をくるんですかさず食べると、香ばしい磯の風味がバリッと砕けて全体としっかり調和するのが絶妙で、まさに三位一体でした。


 おかげ様で今ではすっかり奈良漬が大好きになり、田中町奈良漬店の味淋漬けは当然、他のお店の奈良漬もお取り寄せしたいな~と思うようになりました(←それと同時に、もっと沢山買っておけばよかったと激しく後悔…orz)。
 但し、これは卵かけご飯が醤油多めだと途端にちぐはぐな味になりますので、本当にちょろっと香りづけ程度にのみ垂らす事を推奨します。


◎追記
 他にも、小林明子先生が作中にて「おかずにしては高価な品」とご紹介されていた永楽屋の一と口椎茸も購入し、アッコちゃん流に食べてみました。
 思ったよりも小ぶりだったんですがそれが愛らしく、最初は食べるのがもったいなくて迷ったくらいでした;。
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯9
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯10
 こちらもまた予想を上回るお味で、高級な一品なのにご飯がバクバク進みます(←現在、実家には三人しかいないので、一人一人に十分分配できました;)。
 濃厚な昆布のお出汁と、こっくりと甘辛い醤油味が芯までジュワ~ッと完全に染み込んでおり、それはお茶漬けの中でどんなに激しくすすいでもびくともしませんでした。
 市販の椎茸の旨煮よりも甘さはやや弱めなんですが、決して甘くないという訳ではなく、噛むごとにじんわりと強すぎず弱すぎず浮かび上がる品のいい甘味で、ご飯にぴったりです。
 また、大抵椎茸は煮込み過ぎると固くなる傾向にありますが、こちらはどこを食べても見た目通りかわいいプリプリ感で、しっとり柔らかく食べやすいのが特徴的でした。 
桂うりの味淋漬入り卵かけご飯11

●出典)『せやしだし巻京そだち』 原作:小林明子 作画:ハンジリョオ/140B
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『薬膳仙女マダム明』の“えだ豆のスープ”を再現!

 先月京都に行った時、錦市場にある某店にて鱧の骨からとったお出汁をサービスで飲ませてもらったんですが、一口飲んで「本当に骨のみ?!色んな旨味が乱反射して、まるで七色のスープだ!」と衝撃を受けた思い出があります。
 なお、そちらでは鱧の照焼き串も食べたのですが(←本当は天ぷら串も食べたかったんですが、鍋焼きうどんと豆乳ドーナツ一袋を食べてお腹パンパンだった為断念;)、食べ終わってしばらくした後も出汁を飲んだ時のように様々な旨味が舌に残っており、感動したものです。

 どうも、「SIZUYA」さんで購入したカルネとカスクートも「コーンの風味がしておいしい!」「玉ネギもチーズも、このパンに合ってる!」と気に入った当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『薬膳仙女マダム明』にて王チーフが常連客の野々宮先生の為に作った“えだ豆のスープ”です!
えだ豆のスープ図
 今回ご紹介するのは、<桃源楼>の常連の一人でもある著名な画家・野々宮先生のお話。
 野々宮先生は人物画専門の画家で、特に裸婦の画を得意としているのですが、ご本人曰く「わたしは、モデルの肉体とたたかいながらイメージを生むタイプなんだが…」との事で、毎回モデルさんには事情を話した上で愛人契約も同時に交わし、心身ともに創作意欲を刺激してもらって名作をものにしてきたみたいでした(←まるでクリムトのような、モデルと陶然とした関係を持つ事によって甘美な絵を描いてきた、かつての有名画家達を彷彿とさせるお話ですね;)。

 しかし、最近野々宮先生は徐々に行為が出来なくなってきており、それによって絵の完成が遅れがちになっているそうで、マダム明に「つくづく年だな…情けない。まだまだ意欲はおとろえてないつもりだが…」「肉体のおとろえが絵筆のおとろえにつながるのではないかと…このごろ絵を仕上げるのがこわくなってきた…」と悩ましげに語っていました。
 当管理人にとって、画家という職業は健康な体とある程度の若さが必要不可欠なスポーツ選手とは違い、自分のペースで晩年まで続けることができるお仕事という印象を抱いていたのですが、このシーンを見て「まるでアスリートのような画家さんだな…大変だ…」としみじみ思ったのを覚えてます。

 正直、関係を持たなければいい絵を描けないというのも一種の思い込みでは…と、思わなくもないのです;(←個人的に、映画『タイタニック』におけるジャックが裸になったローズの絵を描くシーンは、二人がまだ結ばれる前の緊張感をはらんだ仲だったからこそ、あそこまで官能的な作品になりえたと推測していますので…)。
 が、これまで何十年も抱いてきた「モデルと色んな意味でぶつかり合ったからこそ、絵に魂がこもった」という信念は、もはや強烈な暗示となって野々宮先生に実力以上のインスピレーションを与えてきたという可能性も無きにしも非ずですので、これは意外と深刻な問題なのかもしれない…と感じた物です。
今回のお客さんは、精力と創作意欲の減退に悩む高名な画家・野々宮先生
 ちなみに、この時野々宮先生が雇っていたモデル兼愛人のさやかちゃんは二十歳そこそこ(←というより、下手をすればまだ十代の可能性も…;。かの有名な写真家も、度が過ぎると容赦なく通報されるご時世ですので、先生も法律には気を付けて欲しいです;)で、芸術方面はちんぷんかんぷんな軽い女の子。
 おかげで、マダム明からも王チーフからも「?」という顔をされるのですが、野々宮先生が言うには「人柄とか性格じゃあなくて、女というものは私にとってエネルギーの源で…」「この感情は理性とは背中合わせのものなんです。女体そのものという存在がいい」という理由でのめりこんでいるらしく、彼女を悦ばせる事=名画を生み出す原動力になるので協力してほしいと、マダム明に特別室の予約を入れていました。

 当管理人は凡人ですので、初見時は「性格が残念だと、外見の良さも半減して見える方だからよく分からないな…」と思ったのですが、後々ある作家さんが随筆で「中身が空っぽな美形ほど、自分の願望と欲望をまっすぐ投影しやすい存在はない」と書かれていたのを読み、何となく納得した記憶があります(←真に「空っぽ」な人はいませんので、あくまで「空っぽに見えやすい」という意味で)。
 おそらく野々宮先生は、モデルの良さをそのまま引き出して描くタイプではなく、良くも悪くもモデルは「自分」を表現する一種の憑代としてしか見ないタイプなんだろうなと、一方的な結論を出したものです。

 どうやら、野々宮先生は物理的に何とかする方法を中国四千年の叡智で教えてくれると予想していたようなのですが、マダム明は体に悪影響な物を使って無理に何とかするよりも、「目に映るものや言葉はかならず肉体的な反応をもたらします。実際に体が接触しなくても、目の刺激や言葉の刺激によってある種の感動を与える事もできるものです」「お互いにもっと理解しあうの」という事に気をつけさえすれば、仮に達せずとも十分女性は満足すると語っており、「一番禁物なのは、<あせり>ですわ」と鋭い指摘をしていました。
 結局、男性と女性の性差なのか、マダム明から教わったテクニックでさやかちゃんは「今日はすっごく感じるぅ」と満ち足りるのですが、野々宮先生は「もの足りない」「もういいから…って言われると、とたんに創作意欲をなくしてしまう…」と落ち込んでおり、マダム明同様「複雑」とため息が出てきました;。
「あせりは禁物」と何度もアドバイスされつつも、創作意欲の減退に悩む先生なのでした
 なお、マダム明が野々宮先生を特別室へ招いた際、「消化が良くてバランスのとれたものです」と言って出したお食事が、この“えだ豆のスープ”。
 作り方はそこそこ簡単で、玉ネギ・鶏もも肉・塩を入れて茹でたお湯をそのままミキサーにかけて液体状にしたスープと、茹でてさやから取り出した枝豆を牛乳と一緒にミキサーにかけて液体状にしたスープを大鍋で合わせて火にかけ、塩で味を調整した後にクコの実とあさつきをかけたら出来上がりです。
 ポイントは、鶏もも肉は皮付きの物を切らずに丸ごと茹でて使うこと、枝豆は出来るだけ薄皮も取り除いて使用すること、最後に煮る時は決して沸騰させないことの三つで、手順自体は単純ですが「結構時間がかかりそうだな~;」と苦笑したのを覚えています。

 マダム明曰く、「鶏肉は老化防止にもなり、えだ豆は豆の性質と野菜の性質を両方持ったすぐれた素材です」「玉ネギなどのネギやらっきょうの仲間は精力にも効果があります」だそうで、組織を若返らせるのに相応しいスープだと説明していました。
 調べた所、枝豆には大豆に含まれるたんぱく質・ビタミンB1・食物繊維、野菜に含まれるビタミンA・β-カロテン・ビタミンCを併せ持っている上、カロリーは大豆の三分の一程しかないスーパー食材との事で、ダイエットしつつ栄養もバランスよく取りたい方にはまさにうってつけだと感心しました。
鶏肉も枝豆も玉ネギも、それぞれ健康には欠かせない栄養素が含まれています
 意外な事に、枝豆スープは洋風な物がほとんどで、鶏肉や玉ネギを合わせて尚且つ味付けが塩のみというシンプルなレシピはどこにも存在しなかった為、どういう味か知りたくて再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、スープのベース作り。塩を入れたお湯が入った大鍋へスライスした玉ネギと、固い筋を取った皮付きの鶏もも肉を投入し、丁寧にアクを取りながら中に火が通るまでゆっくり煮ます(←強火で一気に火を通すと鶏肉が固くなりますので、煮立たせないよう気を付けます)。
 やがて、鶏肉も玉ネギもクタクタに煮えてアクが出なくなってきたら火からおろし、鶏肉と玉ネギをさらに細かく刻んでミキサーへ入れます。
えだ豆のスープ1
えだ豆のスープ5
えだ豆のスープ6
 そこへ、先程のスープも注ぎ加えてフタをし、ミキサーを起動して全体が細かい液体状になるまで丹念に回し続けます。
 最終的に全体がドロドロになり、スープと鶏肉と玉ネギがほぼ一体化したら、鶏肉スープは準備完了です。
 ※見た目は豚骨スープみたいですが、味はれっきとした鶏肉です;。
えだ豆のスープ7
えだ豆のスープ8
えだ豆のスープ9
 その間、塩茹でした枝豆はさやから取り出して薄皮を全て取り除き、牛乳と一緒に別のミキサーで滑らかな液体状になるまで回し続けます。
 これで、枝豆スープは出来上がりです。
 ※薄皮は剥いた方が舌触りがとてもよくなりますが、どうしても時間がない時はさやから取り出してそのままミキサーにかけちゃってもOKです。
えだ豆のスープ2
えだ豆のスープ3
えだ豆のスープ4
 次は、煮込み作業。
 さっき作った鶏肉スープと枝豆スープを大鍋に入れてよく混ぜ合わせ、弱火にかけてもう一度じっくりと火を通します(←沸騰すると分離しやすくなりますので、要注意です)。
 この時、味見をしながら塩加減を調整します。
えだ豆のスープ10
えだ豆のスープ11
 鶏肉スープと枝豆スープがしっかり混ざって煮えてきたら火からおろしてスープ皿へ注ぎ、仕上げに水で戻したクコの実と小さく刻んだあさつきを散らせば、“えだ豆のスープ”の完成です!
えだ豆のスープ12
 鶏スープを入れたら茶色く濁るのでは…とハラハラしていたのですが、枝豆の緑色は予想以上に強く、綺麗なエメラルドグリーンを保っていました。
 しかし、スープの香りは鶏肉の風味が色濃くてサッパリ風とはお世辞にも言えず、一体どんな味がするのか想像もつきません。
えだ豆のスープ13
 それでは、温かい内にいざ実食!
 いただきますっ!
えだ豆のスープ14


 さて、感想はといいますと…生命力溢れる味わいで旨し!飲むスープに見えて、実はがっつり食べるスープです!
 最初は枝豆の力強い爽やかな豆の旨味が立ち上ぼるのですが、少しすると段々もも肉のこってりしたコクと、鶏皮の品よく香り高い脂分が混然と入り交じって口の中にゆっくり広がり、シンプルな塩味にも関わらず重厚な後口が残る為、非常に奥深い味付けになっていました。
 鶏も枝豆も機械では完全に均一な細かさにならないので、ほんのりとろみがついてスルスル飲めるミルクスープ部分と、モロモロになってギュッとした噛み応えのあるペースト部分の二種類に分かれているのですが、かえってそれがおかず感のある不思議なスープに仕上げ、後引く美味しさになっています(←まるで、ざらつきのあるポタージュみたいな舌触りが印象的でした)。
 例えるとするなら「ガツンと濃厚な中華風鶏ベースのずんだスープ」というイメージで、どことなく白湯スープに似た味なのが特徴的です。
 時折、甘酸っぱくてフルーティなクコの実と、シャキシャキして鮮やかな風味のあさつきが程よいアクセントをつけ、平坦になりやすいというスープの弱点を防いでいたのがナイスでした。
 特筆すべきは、結構ボリューム感のある旨味なのに、牛乳が下地となっているせいかどこか優しいクリーミー感がスープにプラスされている所で、面白いな~と感じました。


 前菜としてお出ししたり、パンと一緒に食べたり、体調が悪い時に最低限の栄養を取る為食べるのもありだと思います。
 ただ、実際に作ってみると予想以上に手間と時間がかかる事が判明しましたので、余裕がある時に多めに作って冷凍保存する事をお勧めします;。


P.S.
 あゆみさん、先日は非公開コメントをして下さり、ありがとうございます。ご希望して頂いた『エプロンまま子』の電子レンジで作るピラフなんですが、先日全五巻をひっくり返して該当するお話を探した所、残念ながらそのお話は未収録な事が判明しましたorz。調べた所、どうやら雑誌には載ったものの単行本化にまで至らなかったお話がいくつかあるそうで、恐らくあゆみさんが仰っているお料理はそちらに分類されるのでは…と思いました。お力になれず、申し訳ございません。


●出典)『薬膳仙女マダム明』 原作:楊愛蓮 作画:花小路小町/メディアファクトリー
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ