『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』の“さつまいもとチキンの優しいシチュー”を再現!
- Tue
- 18:00
- 再現料理
Lくんは基本無表情なもののとても甘えん坊で、たまに相方さんが帰ってくると床でゴロンゴロン転がってへそ天したり、間近で見つめ合えるよう高い所へ飛び乗っておでこをごつんとするみたいなんですが、密室ならともかく、他の猫(四匹ともメス&年下)がいるリビングだと「オレはこの家唯一のオスなんや。ボスなんや」「他のモンがいる手前、甘えられん!」と言わんばかりにツンとして、撫でてもつれない態度をとるとの事;。
そこで、相方さんはリビングにいる様々なかわいい子に近寄り、素っ気ないLくんの代わりに構ってもらうそうなのですが、その時Lくんをちらっと見るとガン見&高速尻尾ブンブンをし、分かりやすく嫉妬を燃やして不機嫌になっているようで(←しかし、それでもプライドが邪魔して駆けつけられず、やがてストレス解消に爪をバリバリとぎだす;)、「猫版・男はつらいよ」だな~と苦笑しました。
どうも、実家で他の猫を小脇に抱えてうたた寝していた時、ハッと目が覚めると傍でLくんがじ~っと恨めしそうに見ていたというエピソードを聞き、「男の子は複雑だな…」と気の毒になった当管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』にて芝田先生がある冬に考案されていた“さつまいもとチキンの優しいシチュー”です!
十二月~二月は寒いのは勿論、クリスマス・お正月・節分・受験などといった重大イベントが盛りだくさんで、心身ともに大変な時期なのですが、それは広田先生もご一緒でいらしたそうで、ある日「なんかもうね…子供の雑用が多すぎて。働くお母さんてのになんか疲れちゃったんスよ…」と暗い表情になります。
いつもなら芝田先生が「いつもの事よね?」と笑顔で核心を突かれて終了なんですが、この時はご自身も思う所があられたのか「女はいろいろあるのよね…介護とかパートとかママ友トラブルとか嫁姑とか…」と古今東西闇が深い問題を持ち出されており、他人事ではない当管理人は思わず裸足で逃げ出したくなりました;(←あと、個人的には「家計のやりくり」「育児問題」もプラスしたいです。ここまでハードモードだと、もう逃げる気力も失せて呆然と座るしかないですが…;)。
なので、初見時は「もしや、連載始まって以来初の鬱展開…!?」とハラハラしたのですが、読み進めると広田先生は上記のような重すぎる悩みで落ち込まれていたのではなく、あくまで「雑用で疲れた→夕飯の事考えたくない→ご飯作りたくない病が再発」という気持ちでおっしゃっただけのようで、芝田先生から「…なっちゃんはいつもじゃない?」とどこか安心した笑顔で突っ込まれていました;。
今やすっかり定着し、広田先生も認めてらっしゃる「持病・ご飯作りたくない病」ですが、正直このお話の時ほど「こっちの方でよかった~(´Д`;)」と安堵した事はありません;(←最初は明るいのに段々暗くなっていき、気がつけば絶望しかない作品はこちらとこちらでお腹いっぱいですorz)。
今回ご紹介するのは、そんな様々な問題に疲れている冬の女性たちに、癒されたい時やほっこりしたい時に食べて頂きたいと芝田先生が考え出された、とっておきのシチュー。
元々は、芝田先生が現在新人OLとして慣れない仕事に悪戦苦闘し、疲れ切って帰ってきた娘さんに「寒い冬の夜、ほっこりしてもらうために、ひと時の安らぎを与えることができたらと思って考えたレシピ」だそうで、控え目ながらも温かい母の愛にほろりとしたものです(←当管理人自身、落ち込んで帰った夜に母が熱々の鍋焼きうどんを用意して待っててくれて、すごくありがたかった記憶がありますので…)。
調べた所、「人は不安になると温かい食事を求める 」事は既に心理学者の調査によって明らかになっているようですので、芝田先生の的を得た考えに感心したのを覚えています。
その後、レシピの成り立ちに感動した広田先生から「いい!それぜひ教えてセンセ!!」と熱望されて芝田先生が教えられたのが、この“さつまいもとチキンの優しいシチュー”です!
作り方は簡単で、バターと鶏もも肉を入れて炒めたお鍋へお水・コンソメキューブ・さつまいもを投入し、火が通ってきたら小麦粉を溶いた一部の豆乳を注いで煮て、沸騰してきたら残りの豆乳を入れてまた煮込み、最後に蜂蜜・マスタードを入れてさっと煮たら出来上がりです。
ポイントは、鶏肉の皮がカリッとするまで焼けてからお水を加えること、豆乳は小麦粉を入れた物と何も入れていない物を二回に分けて注ぐこと(←小麦粉を合わせた方は、ダマにならないよう泡立て器でよーく撹拌するのが大事!)、小麦粉入りの豆乳を加えてぷつぷつと泡が出てきたら一旦混ぜるのをやめて一分ほど弱火で煮る(←小麦粉の粉っぽさが消えます)の三つで、一見単純でも実はあちこちで細かい手間がかかっている所に愛を感じます。
材料から薄々予想した通り、ご飯よりもパンに合うシチューだとご紹介されていました(←シチューライスが苦手な方にとっては、あまり関係ない情報かもしれません;)。
蜂蜜もマスタードもソテーの味付けになら使った事がありますが、両方ともシチューの味付けに使用した事は皆無だった為、当初は広田先生と同じくギョッとしましたが;、芝田先生は「大丈夫よ、本当においしいのよ!!」と必死に説明されていました。
この度のレシピも、ネットや本で探しても類似料理は一切見つかりませんでしたが(←マスタードシチューとか、蜂蜜入りシチューならありました;)、これまで芝田先生のレシピを約二十種類再現してきてがっかりした事は一度もないせいか疑いの気持ちは全くわかず、「へ~。この材料でどんな風においしくなるんだろう、楽しみだな~」とかえって期待をそそられ、まるで新たな錬金術のレシピを渡されたかのようにワクワクしたものです;。
後に、ご試食された広田先生がおっしゃるには、「おいひーー!なにコレ!初めての味!クリームなのにはちみつとマスタードって合う!!」「そこにバターのコクが加わって味に深みが増している!」「豆乳のこっくり感、チキンの焦げた香ばしさ、さつまいものほくほく感すべてがベストマッチ!」ともいうべき美味しさだったようで、非常に驚かれていました。
なんでも、「シチューなのにほんのり甘い!!でも違和感なし」「ほんのり甘いスイーツみたいなシチューというと抵抗感ある方もいらっしゃるかもしれませんが、女子には大ウケだと思います」な一品だそうで、事実広田先生の長女さんと次女さんには「これいける!」と大評判だったと書かれていました。
正直、当管理人も「スイーツみたいなシチュー…」と反応に困った口なのですが;、考えてみればコーンクリームスープも甘々味でスイーツ仕立てと言えなくもないので、そう置き換えるとすんなり納得したものです。
…しかし、女性陣の反応と反比例するかの如く、男性陣には「正直ぼやけた味だなー」「めしが進まねー」とまずまずな反応を示されたみたいですので、残念ながら疲れた冬の男性たちの救いになりそうにないのが、このレシピの唯一の弱点かもしれません;。
今年の冬、伯父から自家栽培の美味しいさつまいもを大量に頂きましたので、再現する事に会いました。
作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
という事で、レッツ再現調理!
まずは、材料の下準備。サツマイモは皮をむいて一センチ程度の半月切りにし、一旦水に浸けてアクを抜きます。
その間、バターを加えて熱したお鍋へ黄色い脂肪を切り取って一口大に切った鶏もも肉を入れ(←最初に皮を下にして入れ、後々ひっくり返します)、両面がカリッとなるまで焼きます。
鶏もも肉の皮がカリカリになって中にも火が通ってきたら、お水とコンソメキューブ、そして先程のさつまいもを投入し、さつまいもが少し煮崩れるまでコトコト煮ます。
やがて、さつまいもに十分火が通って色が変わってきたら火を止め、あらかじめ小麦粉をよ~く溶いておいた豆乳を注ぎ、再度火にかけて木べら等で丹念に混ぜながら煮込みます。
※小麦粉と豆乳の混ざり具合がよくないと、ダマになったりシチューに滑らかさが出ない原因になりますので、完全に溶け込むまでしつこいくらい混ぜるのがコツです。
豆乳とスープが混ざって表面に泡がぷつぷつ出るようになったら弱火にして混ぜるのをやめ、小麦粉に熱が通りきるよう一分くらい火を通します。
時間が経ったら残りの豆乳を加えて混ぜて中火程度で加熱し、沸騰する直前になったらまた火を止めてマスタードと蜂蜜を入れてぐるぐると混ぜ合わせ、再び火にかけてひと煮立ちさせます。
沸騰しかけてきたら素早く火からおろし、そのままスープ皿へ具ごと盛り付ければ“さつまいもとチキンの優しいシチュー”の完成です!
写真ではちょっとくすんで見えますが、ぱっと見は本当に「黄金色のシチュー」という感じでワクワクします(←しかし、一瞬「とろみが強いコーンクリームスープ」にも似て見えました;)。
さつまいもや蜂蜜よりの甘い匂いよりも、マスタード独特のスパイシーな香りが強いので、どういう味なのか楽しみで仕方がありません。
それでは、冷めない内にいざ実食!
いっただっきま~す!
さて、感想はと言いますと…食べた事がない不思議な味なのに、すごくしっくりくる温かなおいしさ!焼きたてバゲットにぴったりな、100%洋風な旨さです!
香ばしく焼けた鶏肉の旨味と、バターの芳しい風味が溶け込んだシチューはシンプルながらも奥行きのある王道な味わいで、豆乳がベースとなっているせいか意外とあっさりしているのが特徴的です。
正直、これまではおかず系スープにさつまいもが入るのは苦手で、塩味の中で甘さが浮いてちぐはぐになると感じていたんですが、これは蜂蜜の自然で滋味深い甘味がさりげなく仲立ちとなっていてよく合っており、相性抜群の組み合わせになってました。
なので、下手すれば甘々なデザート風スープになる恐れがあったんですが、それをマスタードのマイルドですっきりした酸味と、鼻を抜けるような爽やかな香りが全体を程よく引き締めたおかげで辛うじておかず系の味付けになっており、ほっと一安心;。
こっくりとまろやかなコクの中に、一本筋が通ってキリッとした後口なのが印象的です。
一口目は「ハニーマスタード仕立てのクリームシチュー」というイメージですが、何口か食べていると「スイートポテト味のシチュー」にも「鶏肉の悪魔風ソテー味のシチュー」にも思え、面白い気持ちになりました。
広田先生の仰る通り、「女子には大ウケなほんのり甘いスイーツみたいなシチュー」で、さつまいものホクホクほろりとした優しい口当たりに癒されます。
確かに男性にはあまりピンとこない類の美味しさのシチューかもしれませんが、甘党かそれに近い方ならきっと気に入っていただけると思います。
ほんわかした味ですが決してぼんやりした味ではなく、むしろ美味さの輪郭ははっきりしているように感じました。
●出典)『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』 作者:広田奈都美 監修:芝田里枝/秋田書店
(月刊フォアミセス 2015年3月号掲載分)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。