『はらぺこ男子飯』の“パリパリポテトから揚げ”を再現!

 先日、久々に『らんま1/2』を読み返していたのですが、ふと夫が好きな女キャラは誰なんだろう?と気になって聞いてみたところ、小太刀が好き」と言われびっくりしました(他は右京だそうです)。
 男性から圧倒的人気を誇るのはシャンプーなので意外だったのですが、夫いわく「小太刀かわいいじゃん、兄貴はあれだけど」だそうで、人の異性への好みは奥深いな~としみじみしました。

 どうも、そうは言いつつも幼い頃に響良牙を見て「残念な三枚目好き」(※愛情表現です)に目覚めたんだから人の事は言えないな~と思った当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『はらぺこ男子飯』にて主人公・米田橙子さんが給料日前でろくに食べていなかった男子大学生たちにふるまった“パリパリポテトから揚げ”です!
『はらぺこ男子飯』パリパリポテトから揚げ図
 『はらぺこ男子飯』とは、実家が所有している学生向けシェアハウスオーナーの女子大生の娘・米田橙子さんが、腰を壊した実母(=寮母)に代わり、常にお腹をすかせている個性豊かな男子大学生たちに一食2000キロカロリー前後の夕飯作りに奮闘する日々を描いた、ハイカロリー系青春料理漫画です。

 こうご紹介すると、巷で鉄板化している逆ハーレム設定の乙女ゲー系恋愛料理漫画だと思われそうですが、全然そういうことはありません(←物足りない方もいらっしゃるかもしれませんが、当管理人は非常に助かってます…甘々展開が苦手ですので;)。
 たま~にほんのりそんな空気が流れないこともないのですが、基本的には真面目で頑張り屋な臨時寮母さんと、その寮母さんを各々違った形ではありつつも「いつもおいしいご飯ありがとう!」と感謝して慕っているかわいい学生さんたちという感じで、恋愛というよりは家族愛に近いのが呼んでいてほんわかします。
 普通の漫画だったらこのままハーレムフラグ立ちまくりなんだろうな~という場面でも、橙子さんの天然さと周囲の突っ込みと食欲でバキバキにへし折られていく様子は一種の爽快感すらありますので、一見の価値ありです(←但し、大家族のお母さんルートのフラグは滅茶苦茶立っています;)。
 
 なお、作者の芳川由実先生が巻末で語られたところによりますと、「残念男子が好きなのでラブ展開に進みませんが」とのことで、初めて読んだ時は「私もまさにそれなんです!そういうムードにならない『動物のお医者さん』的まったりムードが好みなんです!」と食い気味かつ勝手に共感する危ない人になったのを覚えています(…ただ、その後の文章に「前向きに検討します」とも続いていて、どんな風に変化していくのか、ある意味どきどきはらはらしていますorz)。
常におなかペコペコな男子大学生五人に、ご飯をつくることに!日々、大量の食材と時間との戦いが繰り広げられることに…
 ちなみに、作中に出てくる大学生の男の子は全部で五人で、面白いことに全員「料理のさしすせそ」にちなんだ名前を持っています(詳しいプロフィールはこちら)。
 さの砂糖は、内も外も女子っぽくてオシャレとインスタが大好きな佐藤温斗君(19)。
 調味料的に優しげなイメージを持ってましたが、見た目のゆるふわなかわいさとは裏腹に結構辛口なツンデレっ子で、ボケ担当が多い五人組の中では貴重なツッコミ役として活躍しています。

 しの塩は、無口で無表情なせいか一番とっつきにくそうに見えるクールな塩田岩男君(20)。
 塩というイメージそのままの飾りっ気なしな寡黙キャラで、食の好みも「炭水化物のばけもの(by佐藤君)」と称されるほどTHE・漢って感じですが、困っている橙子さんを真っ先にさり気なく助ける優しさもしっかり持ってます。

 すの酢は、真面目系眼鏡男子好きにはたまらないものがありそうな鈴木玄一郎君(20)。
 性格も見た目通り堅くていい加減なことが許せない優等生タイプですが、いつも肝心なところで抜けたことをしてしまう真性のボケタイプで、器用そうに見えて実はとんでもなく不器用なのが放っておけないキャラです。

 せの醤油は、これぞTHE・思春期男子な暴走を隠し切れず苦労している正野友介君(19)。
 とにかく女の子が好き、モテたい、彼女欲しいというある意味清々しい程青春しているお調子者な彼ですが、その包み隠さずまっすぐ突き進む様子は見ていてほほえましく、時折落とす衝撃発言からは目が離せません
(←初対面の橙子さんに「生の鶏肉も好きだけど、生の女の子はもっと好きだから…」と言ったシーンは、一を聞いて十を知るといった感じでした;)。
 その味噌は、ノリの軽さと女の子慣れしたスマートな振る舞いで五人の中で唯一モテている美薗麦君(20)。
 調味料の味噌のようにどんな場所、どんな人でも仲良くなじむ器用さを持っている上コミュ力抜群で、女の子に優しい事から常に取り巻きがいますがどこかマイペースで、一番掴み所がないキャラは彼かもしれません。


 こうして並べてみると、一応イケメンなのもあってそれなりにモテそうに見えるのですが…いかんせん面倒臭そうな残念イケメンなのが伝わるのか、一切モテません。
 大昔、「顔ではなく中身が大事」という言葉を幼な心に「嘘だ!」と思ったものでしたが、ある意味それは正しかったんだな~と今更ながら思います(←と、内も外も残念なアラサー女が言ってみます;)
初対面からぶっとばして引かれていた、惚れっぽい正野君初見時はてっきり僕っ子かと思っていました、女子系の佐藤くん
 あと、実はこちらの作品、あの有名なオレンジページがメニューの原案・監修をしている珍しい漫画で、作中に登場する料理は分量・手順・コツに至るまでとても詳しく明記された親切設計なのが特徴。
 料理雑誌は世の中に数多いですが、中でもオレンジページは主婦向けの堅実で完成度が高いレシピや魅力的な応用技、そしてオーソドックスながらも遊び心や新たな発見がある料理の特集が多く、個人的に好きでしたので、大いに好感度がアップしたものです(←子どもの頃、母と一緒によく読んでいました^^)。
 そのせいか、作中に出てくる料理は家庭の匂いを残しつつもちゃんと裏づけのあるアレンジをきかせた抜群の安定感で、どんな超特大破天荒料理(豚の角煮を丸ごと一本乗せた丼とか、食パン一斤使ったパングラタンとか、ハンバーグに見えない巨大ハンバーグとか…)のお話でも、安心して読むことができます。

 それにしても、かわいいけれど地味で、毒舌佐藤君から「初期アバターみたい」と評されるほど大人しそうな外見の橙子さんが、ぱっと見は教科書通りのようで実際ははるか上空を行くアグレッシブな料理を作り、男子達をどよめかす様は痛快そのもの。
 こう見えて意外に攻める女子なのかな~と、未だ見えてこない橙子さんの裏の顔を色々想像してしまいます…。
見た目はちょっと地味目ですが、作る料理は大胆かつ破天荒!

 今回取り上げるのは、第一話目で橙子さんが初の五人分調理に悪戦苦闘しながらも何とか作り上げていた“パリパリポテトから揚げ”!
 作り方はそこそこ手間がかかり、酒・塩・醤油で味付けした鶏もも肉に小麦粉と水溶き小麦粉をまぶし、千切りにしたじゃがいもでまわりをくるんで二度揚げし、最後に二種の手作りディップを添えたら出来上がりです。
 ポイントは三つで、鶏肉は厚い所を包丁で切り開いて厚さを均一にしてから一口サイズに切ること、鶏肉に下味をつける時はしっかり揉みしだくこと、揚げ油へ鶏肉を入れる時はヘラでそっと滑らせるようにして落とすことで、いつもの揉んで揚げるだけの唐揚げと違い小技が光るレシピだと思いました。

 から揚げにかけるディップもまたおいしそうで、カレー粉を隠し味に入れたカレータルタル、タバスコで刺激的な味に仕上げたスパイシーケチャップが食欲をそそる感じで、から揚げはいつもそのまま直食いしていた当管理人は「こういう気遣いって女性らしいな、見習わないとな~」と反省しました;。
 正野君が言うには、「このディップたとえるならば」「おっとり後輩女子とセクシー先輩女子に言い寄られていた時の感覚に似ている…!!」「選べるわけねーじゃん」だそうで、「お前その経験ないだろうが…」というみんなのツッコミに同調しつつも、何となくわかるような…と心の中でうなづいたものです。
タルタルは裏切りません…何に掛けてもおいしい万能ソースですスパイシーケチャップとカレータルタルをこのように表現;
 近所のスーパーでじゃがいもが大安売りされていたのを見た時、真っ先にこのレシピを思い出して再現してみることにしました。
 単行本に詳細なレシピが載っていることですし、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、肉の下準備。
 鶏もも肉は筋切りをしつつ身を均一な厚みになるよう切り開き、食べやすい大きさに切り分け、ボウルへ入れます。
 そこへ、塩、醤油、お酒を加えてがっつり揉みこみながら混ぜ、調味料が鶏肉になじんだらそのまま放置して室温に戻します(優しく揉んだら味の染みこみが悪いので、遠慮なくグニグニして下さい)。 
パリパリポテトから揚げ1
パリパリポテトから揚げ2
 次は、じゃがいもの下ごしらえ。
 流水で泥を落としたじゃがいもの皮をむいたら、スライサーなどを使って極細の千切り状になるようスライスしていきます(スライサーは構造上、ぎりぎりまですったら血を見る器具ですので要注意!!これくらいかな?で終わらせ、後は素揚げして分厚いポテトフライにして頂くことを推奨します)。
パリパリポテトから揚げ3
パリパリポテトから揚げ4
 今度は、包み作業。
 先ほどの鶏肉に小麦粉をごく薄くまぶし、さらに濃い目の水溶き小麦粉をまんべんなくつけ、千切りじゃがいもで全面をコーティングするようにしてしっかりくるみます。
パリパリポテトから揚げ5
パリパリポテトから揚げ6
 ここまできたら、いよいよ揚げ作業!
 160度に熱した揚げ油へ、ヘラか木ベラを使いながら鶏肉を滑らせるようにしてそっと投入し、たまにひっくり返しながら約五分くらい揚げて引き上げます。
 全部揚げ終えたら、揚げ油をさらに高温にして揚げた鶏肉を戻しいれ、一分かけて二度揚げします。
パリパリポテトから揚げ7
パリパリポテトから揚げ8
 その間、二種のソースの用意。
 一方のボウルへ粗く刻んだゆで卵、微塵切りにした玉ねぎ、カレー粉、マヨネーズ、レモン汁、塩、こしょうを入れてよく混ぜたらカレータルタルの出来上がり。
 そして、もう一方のボウルへトマトケチャップ、タバスコ、粗引き黒こしょうを入れてぐるぐる混ぜ合わせたらスパイシーケチャップの出来上がりです。
パリパリポテトから揚げ13
パリパリポテトから揚げ14
 鶏肉を全部揚げてキッチンペーパー等で余分な油をきり終えたらお皿へ高く積み重ねるようにして盛り付け、最後に二種のソースと一緒にテーブルへ運べば“パリパリポテトから揚げ”の完成です!
パリパリポテトから揚げ9
 写真から見るとそこまで大量に見えないかもしれませんが、間近で見るとなかなか迫力があります…。
 出来上がった時、ちょうど夫がただいまーと帰宅したばかりだったのですが、一目見て「すごい!何これ?!」と興奮していました。
 これにご飯や汁物、サラダ、副菜を一品つけて並べると、三十代前半夫婦の食卓と言うよりは育ち盛り&食べ盛りの十代兄妹の食卓みたいでした;。
パリパリポテトから揚げ10
 ちなみに、真横から見た図がこちらです↓(こちらの方が高さが分かりやすいですね)。
 今回作ったのは作中レシピの倍量である20個だったのですが、それでこのボリュームなのなら、原作通り30個作っていたらどうなっていたのか…胃袋的に想像したくありません(笑)。
パリパリポテトから揚げ11
 それでは、ソースをそれぞれのから揚げにかけていざ実食!
 いっただっきまーす!
パリパリポテトから揚げ12


 さて、味の感想は…今までに食べたことがない斬新な美味さの唐揚げ!スナック風に見えて結構厳重な衣で守られているせいか、とてもジューシーです!
 まるで揚げ春雨やフレンチのカダイフ包み揚げに似た、口の中でザクザクカリカリバリバリッと儚いようで豪快に砕け散っていく極細ポテトの食感が、柔らかで肉汁たっぷりな鶏肉の口当たりといい対比になっており、非常に凝った仕上がりになってます。
 一口目ではあまり存在を主張しませんが、二口三口と食べ進むうちにポテトのホクホク感と甘味が徐々に溢れていく感じで、フライドポテトと唐揚げを一度に食べている気分になりました。
 肉自体にはあっさり醤油味がついているのみでしたので物足りなくないか不安でしたが、鶏肉の深いエキスも内側で吸い込みつつ、外側では揚げ料理特有の芳しい香ばしさもついた最強のポテト衣自体が旨味の塊みたいなものなので、そのまま食べるだけでも全然美味しかったです。
 むしろ、下味が強めでない分鶏もも肉のコクがよりストレートに伝わるイメージで、こういう素朴な味付けもありなんだなーと目から鱗でした。
 ガッツリ系肉料理的なパンチの強さもありつつ、計算された繊細なお菓子みたいな印象も受け、面白い一品だと思います。
 カレータルタルはカレーの風味がほんのり効いた上品な酸味のレモンマヨがチキン南蛮風に、ケチャップはサルサソースを思わせるスパイシーでビリッとくる辛甘い味わいがちょっと大人なナゲットソース風にさせる感じで、相互に食べると飽きません。


 一見かわいい系ですが、じゃがいもを使用しているだけあってボリューム感満点で、数個だけでもそこそこお腹にたまるので「やるな~!」と感心しました。
 案の定、当日には全部食べ切れませんでしたが、翌日トースターを使って温めなおしたらちゃんとおいしさは復活していましたし、お弁当にも良いかもしれません。
 ソースの方も他の唐揚げと相性がよさげでしたし、有意義な再現でした。

P.S.
 キンメさん、銀猫さん、Sullaさん、kawajunさん、おもちさん、鯛さん、こなゆきさん、無記名さん、なぎささん、ゆずぽんずさん、無記名さん、山の幸さん、雪猫さん、rikkoさん、椅子さん、あめふらしさん、もちさん、ほーりーさん、恭さん。
 前回はコメントを下さり、誠にありがとうございました。


●出典)『はらぺこ男子飯』1巻 芳川由実/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『夜廻り猫』の“貧むす”を再現!

 お久しぶりです、あんこです。
 大変ご無沙汰してしまったので肩身が狭いのですが、今月末からまったり更新を再開できそうですので、こっそり戻ってまいりました(^^;)。
 本当はもっと早く戻りたかったのですが、スマホの液晶を転んで割ってしまい全データ消失の危機→マウスを接続して何とかデータをPCに移したかと思ったら、今度はそのPCが壊れて夫共々データ消失の危機→データを外付けHDDに移すことに成功して人心地ついていたら、職場から退職時期の異議申し立て&ドロドロ人間模様に消耗して一休み→諸々がやっと一段落ついた矢先、今度は私のうっかりミスで猫が脱走→料理どころではなく食事も喉を通らず、毎夜猫を探しにほぼほぼ不審者状態で近辺を徘徊したり、休日はビラ配りや情報収集に費やす→諦めかけていた矢先、奇跡的に脱走していた猫を無事保護してやっと落ち着くという、まるで厄年の厄が一気に降りかかってきたような暗黒期がつい最近まで続いていた為、今日まで遅れてしまいましたorz。
 人生何が起こるかわかりませんので断言できませんが、今の所は再現数1000をとりあえずの目標としてコツコツ続けていく予定ですので、ご縁がありましたらお付き合いいただけますと幸いです!
 ちなみに次回は、波多野鵡鯨さんリクエストの『はらぺこ男子飯』と、友人Yリクエストの『1日外出録ハンチョウ』から一品ずつ再現予定です(しばらく遠ざかっていた『ミスター味っ子』再現も徐々に再開していきます)。

 どうも、猫がパソコン画面のど真ん中に座っている為、こまめに視点を変えながらブログを書いている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『夜廻り猫』にて遠藤さんがある料理が苦手な女性に教えていた“貧むす”です!
『夜廻り猫』貧むすリアル画像
 『夜廻り猫』とは、人の言葉と心が分かるちょっと不思議な猫・遠藤平蔵さんが、夜毎に町を歩いて涙を流す人々の元へ現れ、共に泣いたり笑ったり励ましたりすることで心を癒していく姿を描いた、8コマ猫漫画です。

 遠藤さんは涙の匂いを辿って悲しみを持つ人々の所へ駆けつけるのですが、涙とはいっても実際に泣いていることはむしろ稀で、心の中で静かに流されている涙であることがほとんど。
 その上涙の理由も様々で、単に悲しいだけではなく心の傷にしみるような切ない涙、憂いを帯びた悩みの涙、追い詰められて苦しむ涙、はたまた感極まった嬉し涙まであり実に多種多様で、色んな人生に触れているようなリアルさに満ちており、どれもこれも人事に思えません。
 
 泣こうにもストレートに泣けない、解決しようにもすっぱり解決できない事例が大半を占めているのですが、遠藤さんが話を聞き、正直な感想を言い、そして寄り添うだけで不思議と救われていく感じで、ある人は覚悟を決め、ある人は「これでもいいか」と開き直り、ある人は慰められていくのが読んでいてほっとします。

 こういったら元も子もないかもしれませんが、切羽詰った悩み相談をされた時に必要なのは、解決案のアドバイスも無論大事だとは思うのですが、一番大切なのは話をしっかり聞いて気持ちに添い、「自分は最終的にどうしていきたいのか」という芯の部分を引き出すことなのではと個人的に感じています。
 話を聞いてもらっている内に安心して落ち着くので徐々に現状把握をしやすくなりますし、何より自分一人じゃないと思えることが精神の余裕につながるので、そうする事によって最善の結論をご本人に気づかせる遠藤さんのスタイルは実に理想的だと思いました。
 以前、作者の深谷かほる先生のインタビュー記事「悩み相談された人が、悩んでる本人より考えてるわけがない」「自分の力で解決しないと意味がない」「読んでいる人を寂しくさせない」という一節があったのがすごく心に残っていて、だから『夜廻り猫』は押し付けがましくもなく話がすとんと受け止められるのだと感じたものです。
子猫の重郎ちゃんと一緒に、夜中涙を流す人の元へ現れます
 また、『夜廻り猫』で特徴的なのは、登場する人々の年齢層が幅広く、三十代~六十代の方のお話が結構多いこと(←もちろん若年層の方やご年配の方のお話もありますし、それどころか犬猫動物が主人公のお話もあります)!
 私が今まで見た限りでは、動物漫画は極端に若いか極端にご年配の方が主要登場人物であることが多かったのですが、こちらではちょうどその中間の年齢層が数え切れないくらい出てきて、それぞれの年代ならではの悩みを話すため、三十二歳の当管理人としては内容的に非常に共感しやすいです。
 例えるとするなら「猫漫画界の黄昏流星群」というイメージで、いくつになっても悩みはあるし、逆に言えばどの時点でも自分を変えようと思えばいくらでも変われるんだと実感できて、勇気付けられます。

 作中に登場する他の猫たちも魅力的で、遠藤さんがカラスに襲われているところを救って育てて以来ずっと夜廻りについていく仔猫・重郎ちゃん、重郎ちゃんを何かと気にかける兄貴分の野良猫・ニイ、夜廻り見習いで少し図々しいけどどこか憎めない猫・ワカルなど、書いていたらきりがなくなります。
 中でも、当管理人が最も好きなのは遠藤さんと旧知の仲であるサバ白柄の猫・宙さんと、その飼い主である先生のコンビで、お二人ののんびりしたユーモアあふれるやり取りが好きで今後も目が話せません(←昭和の文豪と書生チックな雰囲気なのが好みです^^)!
年齢層が高いゲストが頻繁に登場するので、すごく共感しやすいです先生と宙さんと、庭の野良猫(?)一家がすきです
 今回ご紹介するのは、第百八十一話で登場した“貧むす”!
 作り方はものすごく簡単で、炊き立てご飯に刻んだ三つ葉・めんつゆ・揚げ玉を混ぜ込み、ラップでくるんで海苔やしそを巻いたらもう出来上がりです。
 ポイントは二つで、一つ目はご飯が炊き立て熱々のうちにつくること、二つ目は揚げ玉にめんつゆをしみこませてからご飯を混ぜ込むことで、ちょっとした一手間ですが、シンプルな分これで味がだいぶ変わるみたいでした。

 彼氏と同棲中なものの、料理が出来ないのを理由にお弁当で晩御飯をすませていたある女性が、彼氏から「うちの台所はキレイだな…つかわないもんな」言われて心の中で涙を流していたのを発見した遠藤さんが教えてくれたレシピで、これくらいだったらとすぐに作っていました。
 遠藤さんいわく、「人間は温かい料理を作ってもらうと元気が出るそうだ」だそうで、確かに仕事でクタクタになった肌寒い夜、こんな手軽につまめてほかほかのおにぎりを出されたらありがたいだろうな~とほっこりしました。
 どういう訳か、『夜廻り猫』に出てくる猫たちはそそるご飯を作るのが得意な猫たちが多く、あちこちに飯テロな料理がちりばめられている罪な作品ですので、夜中の読書には注意が必要です;。
『夜廻り猫』“貧むす”図
 前々から試してみたかった料理なのと、再現料理記事を書くのが久々な自分でもこちらなら何とか書けるのでは?という思いが重なり、再現してみることにしました。
 作中には詳しいレシピが載っていますので、早速そのとおりに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。三つ葉は流水で洗った後に水気をよくきって刻み、揚げ玉はめんつゆを加えてよくなじませておきます(←とても簡単な料理な分、素材の良し悪しがはっきりでますので、いいものを使われることをおすすめします。特に揚げ玉は、天ぷら屋さんで入手した方が絶対にいいです)。
貧むす1
貧むす2
 次は、混ぜ込み作業。
 揚げ玉にめんつゆが染みたら、そこへ炊き立ての白ご飯、刻んだ三つ葉を投入してしゃもじでさっくり混ぜ合わせ、ラップで三角形のおにぎりの形になるよう握ります。
貧むす3
貧むす4
 全て握り終えたら一部のおにぎりにしそや海苔を巻きつけ、そのままお皿へ盛り付ければ“貧むす”の完成です!
貧むす5
 お出汁や三つ葉のいい香りが温かな湯気と一緒に立ち上ってくるのが何とも食欲をそそり、空腹時にはたまらない仕上がりになっています。
 見た目はあっさりしていそうですが、揚げ玉パワーでツヤッツヤになっているご飯を見るとこってりしてそうにも見え、いったいどんな味かわくわくします。
貧むす6
 それでは、冷めないうちにささっといざ実食!
 いっただっきまーす!
貧むす7


 さて、味の感想ですが…たったあれだけの工程なのに、何故?!と唸る旨さ。もう少しアレンジしたらお店に出せそうな完成度です。
 カツオの風味がきりりときいた天つゆ風の甘辛い出汁味のほかほかご飯をかみ締めると、しゃっきりした小気味よい食感の三つ葉と、サクサク感としっとりふんわりした口当たりが絶妙に入り混じった揚げ玉がほろりと口の中でほどけ、本当に具のない天丼を食べているような気分になります。
 最初は天むすと似ているのかな?と予想していたのですが、揚げ玉からにじみ出る何ともいえないコクと香ばしさがご飯全体に染みて一体感が高まっているところは天むすとはまた一風違った感じで、天むすを「上品で女性的」とするならこちらは「がっつり男飯!」という印象を受けました。
 海苔を巻いた方は天丼っぽさがぐっと増す上、磯の風味が加わってさらに味わい深くなるのに対し、しそを巻いた方は生のしそ特有の強烈な和のアロマが後口を極力さっぱりさせるのがよかったです(←レタス巻きの原理で、油を丸ごと包み込んでこってり感をちょうどよく緩和させるのがナイスです)
 あと、油分がまんべんなくいきわたっているせいか、時間がたってもご飯粒がもっちりふっくらしたままで冷めても硬くならずおいしいままなのが特徴的でした。
 たっぷり揚げ玉が入っているのに後引く味わいしている重要な立役者はやはり三つ葉で、要所で清々しい香気と、ザクザクシャキシャキキュッとしたアクセントを加えているおかげで結構な量でもパクパクいけちゃいます。


 冷めると揚げ玉がしなってしまうので食感の楽しみが減ってしまうのが難点ですが、出来立てをパクッといくのならこれ程簡単で美味な混ぜご飯おにぎりはそうないと思います。
 思い出したらまた食べたくなる、そんな料理でした(←但し、食べすぎには要注意です!当管理人のように調子に乗って何個も連続して食べると、後々胃もたれしてしまいますので…orz)。


 P.S.
 きくじろさん、kawajunさん(何度もコメントくださり、感謝です!)、ROMさん、ママさん、あんこさん大好きさん、キンメさん、おもちまるさん、銀猫さん、波多野鵡鯨さん、ささみさん、無記名さん、まなかさん、BUBUさん、鯛さん、かるまさん、無記名さん、西村順二さん、もちさん、きら。さん、Sullaさん、らむねさん、小野さん、たきあさん、アイコさん、無記名さん、あめふらしさん、椅子さん、小枝さん、杏さん、磯さん、無記名さん、無記名さん、ななさん、まろーねさん、三世さん、ゑのさん、エイカさん、さこさん、そらまめさん、無記名さん、マニさん、恭さん、雪猫さん、あぷりさん、無記名さん、くいいじももんさん、マロニーさん、十子さん、けんたっきーさん、無記名さん、ほりさん、無記名さん、ゆゆさん、無記名さん、kackyさん。
 いつ再開するか不透明だった当ブログに、励ましのお言葉やご感想を下さり、誠にありがとうございます。
 今後も状況が変わらない限り、細々と続けていくつもりですので、何卒よろしくお願いいたします(←リクエスト頂きましたうちの猫たちの写真や日常のブログは、タイミングがあったらその内アップしようと思います^^)。


●出典)『夜廻り猫』1巻 深谷かほる/講談社
     『夜廻り猫』2巻 深谷かほる/講談社
     『夜廻り猫』3巻 深谷かほる/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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