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『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』の“クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン”を再現!

 当管理人が小さい頃、インスタントの中で一番身近だった焼きそばは日清焼そばの袋麺でした(←当時は、麺と海老が躍動感たっぷりに箸で引き寄せられている所が真ん中で四角く囲われているデザイン)。
 カップ焼きそばのUFOマルちゃん焼そば3人前も好きでしたが、甘辛いソースで子どもでも楽々食べられるそれらよりも、少しピリッとくるスパイシーでドライな後味の日清焼そばの袋麺の方が「少しだけ大人」って感じがして、母が夜食で食べているのを分けてもらっている時嬉しかったのを覚えています。
 また、お湯を沸かして入れるだけの袋麺と違い、麺をフライパンの中でじゅくじゅく煮て水分が飛ばしたり、香ばしくなったところに粉状のソースを入れて一瞬にして茶色に染めたりするなど、製作工程に変化があるのが見ていて面白く、大人になった今でも想像するだけでワクワクします(←大人になってからはめっきりインスタント麺を食べなくなった為、多少美化されているかもしれません;)。

 どうも、焼きそばに青海苔や紅生姜をトッピングする良さが分かったのは大人になってからだった当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』にて広田先生が絶賛されていた“クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン”です!
クセになる桜えび焼きそば図桜えびチャーハン図
 実は広田先生のご出身地は静岡で、日本で桜えびが唯一とれる事で有名な県。
 漁獲地である由比地区では、毎年GWになると由比桜えびまつりが開催され、何と生の桜えびや揚げたての桜えびのかき揚げ、桜えび入りラーメン、桜えびクリームコロッケ、桜えびピッツァをお安く食べられるそうで、初見時は「目黒のさんま祭と同じくらい参加したい…!」とお腹がすいたのを覚えています。
 その為、昔から慣れ親しんだ食材でいらっしゃったみたいですが、調理法は長らく王道にして究極の「かきあげ一択」だったそうで、あまり食べることはなかったと仰っていました←作中の絵から察するに、『美味しんぼ』の「桜えび大作戦」に登場したような、つなぎはほんのちょっとのほぼほぼ桜えびの贅沢なかきあげみたいで、羨ましかったです)。

 確かに、当管理人自身明太子で有名な福岡の人間ですが、だからといって「地元の人だからこそ知る真に美味な料理法!」「いつもの明太子がガラッと変わる新しい食べ方」という物は全く知らず、周囲もあまり冒険しない方が多い気がします←「明太子の一番美味しい食べ方は?」と聞かれたら「明太子ご飯!」ともはや料理ですらない返事をする福岡人は、当管理人以外にも結構いらっしゃるのではないかと…え、違いますか;?)。
 何しろ、明太子をとんこつラーメンのトッピングにする事に対しても「あ、こっちではそういう食べ方しませんよ」と表面上はにこやかでも、内心は「亜流としてならともかく、それが地元で当たり前って表現はちょっと…(#^ω^)ピキピキ」となる方が根強い傾向にありますので(注:当管理人の周囲でのみの調査)、地元の人間はむしろ名物に対して保守的になりがちなのかも…と思ったものです←ちなみに、山口出身の母に名物であるシロサバフグの一番おいしい調理法を聞いた所、「から揚げ、次にちり鍋」と至極当たり前な料理名が返ってきました)。
 お店に出てくるような斬新で手間をかけた料理も魅力的ですし、他の方に作って頂く分には大歓迎なものの、家で自分が普段使い用に作るとなると、結局シンプル・イズ・ベストなレシピが一番コスパがよくて充分おいしいのが原因かもしれません;。
地元静岡の名産・桜えびは、いつもかき揚げにされていたとのこと。
 しかし、簡単なのにプロ並に美味しくなるオリジナルレシピが多い芝田先生の手にかかると、王道料理に勝るとも劣らないリピートレシピが生まれるのですごいと思います(←特に、『ママの味♥芝田里枝の魔法のおかわりレシピ』に収録されている“魔法のフワフワハンバーグ&カルボナーラポテトグラタン”と“魔法のポークチャップ”は、当管理人の中で確立されていた定番レシピを揺るがす程すごかったので、宜しければ是非ご一読されてみて下さい!)。
 今回ご紹介するのは、そんな芝田先生が広田先生に教えられていた“クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン”!
 作り方は両方ともお手軽で、“クセになる桜えび焼きそば”はゴマ油を入れて熱したフライパンで焼きそば麺・キャベツ・生桜えび・出汁の素・醤油を炒めたら出来上がり、“桜えびチャーハン”はゴマ油を入れて熱したフライパンでご飯・生桜えび・塩昆布・出汁の素・醤油・小ネギを炒めたら出来上がりです。
 材料も少なく所要時間も僅か五分という短さ、肝心のレシピも文字にすると恐ろしい程簡単で、下手をすれば○美屋の中華の素シリーズを使った料理よりも手間いらずなんじゃ…と感じました。

 しかしこの“クセになる桜えび焼きそば”、広田先生が「何これスゲーうまい!!」とたまらずおかわりされ、編集部の試食タイムでも「何これ、ホテルの中華みたい!!」とちょっとした騒ぎになり、後々他の奥様方に振舞うとレシピを聞かれる程、一味違う美味しさだったと語られていました。
 正直、芝田先生のレシピを一度も作っていない時に聞いていたら半信半疑だったと思いますが、過去に色々再現して「何故この材料で、こんな本格的な味に?!『アウターゾーン』に出てきた魔女狩りの村に迷い込んでたら、即刻捕まるほどの魔法ですよ!」と毎回唸ってきましたので、さもありなんと納得したものです。
出すたびに必ずレシピを聞かれる、なのに非常にシンプルなレシピの桜えび焼きそば!
 “桜えびチャーハン”も芝田先生が「桜えびの素晴らしさを表すもう1品」として作中で教えられていたレシピで、こちらも広田先生は「これも激うま!!」「桜えび焼きそばとの違いは塩こんぶだけど、これが白飯に深みある味わいを与えて」と感動されていました。
 意外にも、こちらは冷めた後もまた違った感じで美味だそうで、「時間がたったほうが味が染みておいしい気がする」「お弁当に向いてるんじゃ…」と考察されていました←握ってしばらく後の、周りのご飯をこっくり茶色に染め上げた濃密な塩昆布おにぎりが好きな当管理人としては、すごくそそる表現でした)。
 『美味しんぼ』で山岡さんがチャーハンの美味しさについて「米の飯のうまさを味わうのが一番の目的」と言っていましたが、こちらのチャーハンも桜えびを堪能しつつご飯の旨さを効果的に楽しめそうなシンプルさですので、そういう意味でもいいな~と思います。
 ネットでも調べてみたんですが、やはりどちらもここまで簡単で材料が少ないレシピは存在しておらず(←野菜や卵も加えて具沢山にしているレシピがほとんどでした)、安定のオリジナル率でした。
 おそらく、美味しさの秘訣は干した物や茹でた物ではなく生桜えびをそのまま使い、熱が通ることで滲みでるエキスを最大限に活用していることにあるのかな?と予想しています。
桜えびチャーハンは熱々でも美味ですが、冷めても美味だそうです
 先日、冷凍した生の桜えびを購入したので作ってみることにしました。
 単行本には詳細な手順と分量がきっちり明記されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、“クセになる桜えび焼きそば”作り。
 ゴマ油を入れて熱したフライパンへ焼きそば麺をほぐしながら入れ、全体に油をなじませたら食べやすいサイズに切ったキャベツを入れて火を通し、生桜えびを投入してざっと炒めます(←焼きそば麺は、電子レンジで一分程温めてから使うとほぐれやすいです)。
 そこへ出汁の素と醤油を加えて味付けし、まんべんなく混ぜ合わせます。
※非常にシンプルな材料ですので、出汁の素は普段使いの物よりちょっといい物を使用される事をお勧めします。さらに味がグレードアップして、文句なしに料理店の味になります。
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン1
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン2
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン3
 次は、“桜えびチャーハン”作り。
 フライパンにごま油をひいて熱し、ご飯を入れて油がなじんでパラッとしてくるまで炒め、生桜えびと塩昆布を投入してしっかり炒め合わせます。
 ご飯に具が行き渡ったら、出汁の素と醤油を加えて全体に味がつくまでさっくり混ぜ、最後に細かく刻んだ小ネギをパラパラッと入れてさらにいためます。
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン4
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン5
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン6
 それぞれ炒め終えたらすぐに火からおろし、お皿へ盛り付けてテーブルへ運べば“クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン”の完成です!
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン7
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン10
 今回、初めて生桜えびを炒めてみてわかったんですが、独特の何ともいえない甘やかな香りがするんですね…これだけでもすごく食欲をそそります。
 近くで見ると、海の宝石と呼ばれる美しさが納得できる鮮やかな桜色で、味の方はどういう感じなのか気になって仕方がありません!
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン8
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン11
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン9
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン12


 さて、味の感想は…生から火を通した桜えびだけが持つ新鮮な甘さや食感が美味!桜えびの甘さが麺とご飯をワンランク上の味わいに仕立ててます!
 焼きそばは、醤油のまろやかな塩気もかすかに活きているものの、基本はシンプルなあっさり海鮮塩焼きそばな味付け。
 優しい旨味の合わせ出汁と、桜えびの香ばしい甘味エキスが効いていて奥行きのある和風塩味に仕上がっています。
 噛むごとに、釜揚げっぽくなった瑞々しい桜えびの汁気がじわじわ弾け、シャキシャキキャベツやシコシコ麺に絡むのが何とも贅沢な後味で、広田先生が「高級中華の味」と例えられたのも頷けました。
 大きい海老が入った焼きそばもおいしいですが、桜えびは小さいので麺と一緒に大量に食べやすく、その分味が濃くなって調和しやすいのがよかったです。
 チャーハンは、焼きそばと材料が同じなのが信じられない程ガラッと違う印象の一品で衝撃!
 合わせ出汁がベースですがそれよりも存在感が強いのが塩昆布で、濃密でガツンと来る昆布出汁の旨味がご飯に溶けて馴染んでいるのでキリリとした出汁醤油味になっています。
 塩気がやや強めな分桜えびの甘味がさらに際立っており、焼きそばが「静」の旨さならこちらは「動」の旨さで力強い印象を受けました。
 桜えびは殻も身も何もかもを丸ごと堪能できるからこそ生まれる複雑な旨さが特徴ですが、この純和風チャーハンはふっくらご飯と共にしっかり噛み締める事でそれらを実感させられる感じです。
 両方とも桜えびの繊細で品のいい甘さを引き出していますが、焼きそばは儚げな口当たりに、チャーハンはプリプリサクサクした小気味良い食感に仕上がっており、正反対な出来映えだったのが興味深かったです。


 正直、最終的に火を通すなら生桜えびじゃなくてもいいのでは…とも思ったのですが、後日干し海老で同レシピを再現した所、そこそこおいしかったもののやはり決定的に完成度が違っており、「やっぱり生を使ったほうがいい」と実感しました。
 当管理人も夫も両方大好きなのですが、紙一重の差で言うなら“桜えびチャーハン”で、冷めた後でも塩昆布がなじんでさらにおいしくなるという一度で二度おいしい所が決定打となりました。
 また、芝田先生はおまけで“クセになる桜えび焼きそば”にラー油をかけてみてもおいしいと仰っていたので試してみたのですが、癒し系の味が打って変わって「薫り高い四川風ピリ辛海老焼きそば」みたいになりましたので、こちらもおすすめです!
クセになる桜えび焼きそば&桜えびチャーハン13


◯追記
 HALさん、ゑのさん、無記名さん、kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。

 そして、この度北海道地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 北海道は当管理人の妹と母もお世話になった地で、今年から来年にかけて観光に参ろうとしていた矢先での出来事であり、大変心を痛めております。
 被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


●出典)『ママの味♥芝田里枝の魔法のおかわりレシピ』 作者:広田奈都美 監修:芝田里枝/秋田書店
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製フライ定食”を再現!

 今から約十年前、お互い二十歳そこそこだった彼(現夫)と当管理人は、汚いけれど安くて美味しいと評判の定食屋さんに何度か通っていた時期があるのですが、そこでミックスフライ定食を注文した事がありました。
 彼が言うには「前頼んだ時、ミニカツの他にコロッケとかエビフライが入ってておいしいかったよ」との事だったんですが、当管理人の時は何故かハムカツ・コロッケ・かぼちゃコロッケ・ハムで包んだカレーコロッケいうほぼほぼコロッケの組み合わせで、頭の中が「???」となった記憶があります…(←確かにミックスフライですので、言葉は間違ってないですね;)。
 味はおいしかったので今となってはいい思い出ですが、現在その定食屋さんは閉店してしまったので、もう二度と食べられない幻の味です。

 どうも、エビフライはタルタルソースではなく塩か醤油(←完全に『あずきちゃん』の影響)をかけるのが好きな当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君が阿倍一郎さんとのフライ対決で勝負の場に出した“味吉陽一特製フライ定食”です!
味吉陽一特製フライ定食図
 前回、味将軍の懐刀・阿倍一郎さんから社員食堂でフライ定食勝負をするよう挑まれ、それを受けた陽一君は、「社員食堂のメニューとしてのフライ定食」にどんな改善点があるのか調べる為、近辺で一番美味しい社員食堂へ取材をしに行きます。
 そちらも大変繁盛しており、一見フライ自体に問題はないように見えたのですが、お昼時で混んでいる周囲を見渡すと、致命的な弱点があった事に陽一君は気付きます。
 それは、フライの味付け!
 大勢の人が色んなメニューを一気に食べに来る中、個々の好みに合わせたソースをいちいち準備しておく事は不可能、しかし下味が単純な塩こしょうのみだと唯一備え付けている濃口ソースをドボドボかける人が多く、これでは毎日ソースの味を食べているみたいで飽きる人が続出しているのでは…と睨んだ陽一君は、「ソースを使わないでフライにいかにバラエティ豊かな味付けをするか」を追求していました←トンカツ専門店によくある仕切り皿に、あらかじめ色んなソースを入れて出すのも手ですが、それだと「俺、いつものこれでいいや」と結局試してもらえないリスクもありますので、先に味付けしておくのは名案だと思います;)。

 塩とこしょうだけのトンカツでも、上手く揚がっていたら何もつけなくても充分美味しいと思うのですが、ご飯がすすむようにするにはソースの力が必要な時もありますので、勢いあまってドボドボにする方の気持ちもちょっと分かる気がします。
 ただ、とんかつに使うソースは旨味成分が強烈な分、せっかく色んな食材を使っても画一的な味になってもったいない気もしますので、ソース以外にご飯も進んで様々な味付けが楽しめるフライを作る陽一君の姿勢は素晴らしいと感じたものです←これは少し前からのお寿司業界の話になりますが、塩・タレ・ポン酢・シーズニングソルトをつけて醤油一辺倒な味にならないよう工夫したり、ゆず胡椒や柑橘系果汁をかけてアクセントをつけたり、醤油は醤油でも色んな種類を使い分けて味わいを調節したりするやり方が主流になってきていますので、『ミスター味っ子』はまたしても時代の最先端をいっていたんだな~と感心です)。
 そういえば、『美味しんぼ』69巻でも山岡さん達がフライの味付けに工夫をした回があったな~と懐かしくなりました(←その料理は再現していませんが、他の再現や話のレビューはこちらでしています)。
 阿倍さんも使った山椒塩だけではなく、すった納豆に芥子や出汁を加えたソース、すりおろしたホースラディッシュにウスターソースやトマトを足したソースなどこちらも個性的で、陽一君が食べたらどんな反応になるのか興味があります(´∀`)。
ソース一辺倒な味付けになりやすい社員食堂のフライ定食を、改善しようとします。
 陽一君がソースを使わないと聞いた母・法子さんは、材料に直接濃い目の味付けをしたらとアドバイスするのですが、「俺が今考えてるのは、それ以上に効果的でごきげんなアイディアなんだ」と言います。
 その時陽一君が思いついていた方法が、ヒラメに色んな衣をつけた四色揚げ!
 ヒラメに味付けをするのではなく、小麦粉と卵白をつけたヒラメに直接茶そば・黒ゴマ・春雨・スライスアーモンドをまぶして揚げるやり方で、衣自体を大幅に変えて味わいを一変させようという面白いアイディアでした。
 これは日本に昔からある和食の技法「変わり揚げ」を応用した物で、味だけではなく風味や食感まで変化するというまさに一石三鳥の調理法だと思います。

 また、それだけではなく、陽一君はビールを混ぜた下地とパン粉にヒラメをつけて揚げてしまうというビールフライまで取り入れていました。
 試食した法子さん曰く、「かすかなビールの味わいが不思議感覚の淡いフライ。わずかな苦味が白身魚に絶妙なアクセントを与えて甘さまで感じる、すごい深みを与えているわ」だそうで、パン粉を使いつつも普通のフライとは一味違う味付けになっていたみたいです。
 あと、作中では触れられていませんでしたが、ビールフライは味の変化だけではなく衣のサクサク感を向上するのに絶大な効果を発揮する方法でもあります。
 理屈としては、油の中へとビール入りの衣を投入した際、加熱によってビールに含まれている炭酸から炭酸ガスが発生し、このガスが衣の水分を素早く蒸発させて空洞が出来てサクッとした衣になるという物で、かの有名なイギリス名物・フィッシュアンドチップスの衣にも使われているのだとか。

 なお、揚げる過程でアルコール分は全て飛んでしまいますので、子どもでも安心して食べられます(←それを知らず、作中で「あらっ、ちょっと酔っちゃったみたい」と法子さんが勘違いするお茶目なシーンも;。ちなみに、連載初期から中期にかけて見た目の若返りが激しいと言われている法子さんですが、実はまだ三十二歳の若奥様。一話の老け描写は、むしろやり過ぎだった事が判明しています…)。
ヒラメにパン粉ではなく、茶そば・春雨・黒ゴマ・スライスアーモンドをまぶして揚げます!ビールをフライの下地に加え、ほろ苦さを足しつつカリッと感を出します!

 トンカツの方は、基本的には“味吉陽一特製超極厚カツ丼”と同じで、<日之出食堂>自慢の山芋衣をつけた分厚いカツを使用。
 但し、味付けの方は甘辛い丼つゆではなく、大根おろし・おろし生姜・レモン汁・あさつきを加えた爽やかソースを使い、カツが冷めないようカツ煮の要領でぐつぐつ煮込んじゃいます!
 陽一君が言うには、「肉汁たっぷりのトンカツはそれ自体おいしいけど、フライ定食の一品としては油ものばかりでしつこすぎるんだ」「それに味付けをするとなると、この肉汁の味わいを生かしつつ、なおかつさっぱりと食わせる工夫が必要なんだ!!」という理由でさっぱりした味付けを採用したとのこと。
 実を言いますと、世の中に大根おろしソースのカツやカツ煮のレシピは数多いのですが、陽一君のように出汁などで割らず直接大根おろしソースだけで煮るレシピは今の所見当たらない為、当たり前そうに見えてかなりのオリジナルレシピだったりします。
 正直、衣のさっくり感が残っている内にさっと卵でとじるカツ丼ならともかく、表裏に大根おろしソースをしっかり煮含める調理法は「カリカリの衣大好き派」な当管理人にとって少し抵抗感がありましたが、トンカツをさっぱり食べられるというのは確かに魅力的だと感じたものです。

 そしてご飯ですが、陽一君は新しいフライ定食にふさわしい創作ご飯を出したいと考え、何とケチャップ味のグリーンピースピラフに衣をつけて揚げたフライをつけています。
 初見時は「いや~…流石にこれは油っこいのでは(´д`;)」となかなか受け入れ難かったですが、ピラフに青じそを巻いてから揚げる事により、いくらでも食べれる程さっぱりになると作中で説明されていました…本当かな?『孤独のグルメ』の五郎さんの「うーん…豚肉ととん汁でぶたがダブってしまった」「あちゃあ、またしくじったぁ。イモだらけになってしまったぞ」がかわいく思えるレベルの揚げ物かぶり)。
 けれどよくよく考えてみれば、そのまま揚げたら結構こってりしている鰯フライとかも、青じそを挟んで揚げる事によってびっくりするくらいあっさり味になったりしますので、あながち無茶な話ではないのかもしれません。
大根おろし・レモン汁・あさつき・しょうがで煮込んだ極厚トンカツ!グリンピース入りケチャップライスを青じそで包んで揚げちゃいました
 トンカツ・五種のヒラメフライ・ピラフフライの組み合わせだと、フライだらけで胃もたれしそう…という懸念もあるにはありましたが、考えてみれば年々油物がきつくなっているのだから今の内にしておいた方がいいのではないか?と思い、再現することにしました(←聡明な『ミスター味っ子』ファンの皆様でしたら、「あれ?トマトと南部せんべいの味噌汁が抜けてるよ」と既にお気づきの事と思いますが…すみません!過去から現在までネットで溢れている失敗談を見て怖気つき、回避しましたorz。守りに入ってしまい、申し訳ございません)。
 作中には大体のレシピが乗っていますので、早速心にルネッサンス情熱を抱きつつその通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、四種類のヒラメフライ作り(油が汚れにくい順、キレイな油の内に揚げたいフライを優先して作る為、こまめに分けて作ります)。
 ヒラメの身を指くらいのサイズに切り、小麦粉を薄くはたいてから溶いた卵白にくぐらせます。
 これらに、それぞれ調理用はさみで小さくカットした茶そばと春雨、黒ゴマ、アーモンドスライスをまぶしてしっかりくっつけ、中温の油でヒラメに火が通るまで揚げます(←衣の色合いを美しくするのと、後々作るピラフフライを癖なく仕上げる為に、油は絶対新品を使った方がいいです)。
 揚がったらキッチンペーパー等に引き上げ、余計な油分を切っておきます。
※原作通りなくてもおいしいですが、強い味付けの方がお好きな方は、切ったヒラメに塩とこしょうをふりかけてから衣をつけた方がいいです。
味吉陽一特製フライ定食1
味吉陽一特製フライ定食2
味吉陽一特製フライ定食3
 つぎは、ピラフフライ作り。
 バターを中火で溶かしたフライパンへケチャップを入れて軽く熱を通し、全体がとろりと馴染んできたらご飯と塩こしょうを投入してまんべんなく炒め合わせます。
 ご飯に味がついたらグリンピースを加えてざっと混ぜ、お皿へ移して冷まします。
味吉陽一特製フライ定食4
味吉陽一特製フライ定食5
味吉陽一特製フライ定食6
 ピラフが完全に冷めたら厚めの小判形に成型し、青じその葉で全体を包み込みます(←これが結構大変ですが、ラップを使って密着させ、冷蔵庫で少し時間を置くと何とかなります)。
 これを小麦粉→卵液→パン粉の順に衣をつけ、高温の油でさっと揚げます。
 揚がったらキッチンペーパー等に引き上げ、余計な油分を切っておきます。
味吉陽一特製フライ定食7
味吉陽一特製フライ定食8
味吉陽一特製フライ定食9
 今度は、ビールフライ作り。
 ボウルへ小麦粉、卵白、ビールを加えて泡だて器でよく混ぜてフライの下地を作り、そこへ指くらいのサイズに切ったヒラメの切り身をくぐらせてまんべんなく下地をつけます。
 このヒラメにパン粉をつけたら、中温~高温の間に熱した油でカラッと揚げ、キッチンペーパー等で余計な油分をきっておきます。
味吉陽一特製フライ定食10
味吉陽一特製フライ定食11
味吉陽一特製フライ定食12
 ここまできたら、いよいよ大根おろしソースのトンカツ作り。
 “味吉陽一特製超極厚カツ丼”の時と同じように、分厚い豚ロース肉を包丁の背などで全面を軽く叩き、筋に軽く隠し包丁を入れて塩とこしょうで下味をつけます。
 豚肉全体に小麦粉と山芋粉をブレンドしておいた物をまんべんなくまぶして軽く粉をはたき、続けて山芋粉を混ぜておいた溶き卵にくぐらせ、パン粉をつけます。
 衣がなじんだら、高温に熱した油へ入れてさっと揚げ、続けて低温に熱した油でじっくり揚げます(←後でしっかりめに煮ますので、完全に火が通るまで揚げなくても大丈夫です)。
※下の薄いトンカツは、比較用に揚げたものですので無関係です;。
味吉陽一特製フライ定食13
味吉陽一特製フライ定食14
 フライパンへ大根おろし、おろし生姜、レモン汁、刻んだあさつきを入れて中火にかけ、沸騰してきたらトンカツを加えて中にソースが染みこむまでグツグツ煮込みます。
※香り付けに少しだけ醤油をたらしてみてもいいです。
味吉陽一特製フライ定食15
味吉陽一特製フライ定食16
 五種類のヒラメフライ、ピラフフライ、大根おろしソースのトンカツをお皿へ盛り付け、キャベツの千切りを傍らに添えれば“味吉陽一特製フライ定食”(味噌汁スルー版)の完成です!
味吉陽一特製フライ定食17
 春雨の白、黒ゴマの黒、アーモンドスライスの黄色、茶そばの緑が茶色になりがちなフライ定食をカラフルに彩っており、「一体どういう味がするんだろう」と見ているだけでも楽しい気分にさせます(←ピラフフライを崩すと、中から鮮やかな赤色が飛び出るのがまたキレイ!)。
はっきり言って、「フライだらけで胸やけするんじゃ…」とアラサーとしては一抹の不安を感じずにはいられませんでしたが、いざ出来てみると思ったよりも食欲をそそる感じでしたので、ほっとしました;。
味吉陽一特製フライ定食18
 それでは、トンカツを切り分けていざ実食!
 いっただっきまーすっ!
味吉陽一特製フライ定食19


  さて、味の感想は…バラエティー豊富で、次に何を食べようかワクワクする定食で美味し!フライのお子様ランチという印象です!
味吉陽一特製フライ定食20
 茶そばフライは、意外にも口の中でパキパキッと砕ける程よい歯応えがあり、見た目より結構ボリュームがありました。
 緑茶由来のすっきり爽やかな香りが効いており、上品な和風仕立てのほんのり塩味なのがさっぱりしてよく、フライというより天ぷら風です。
 アーモンドフライは、香ばしい香りと甘いコクを帯びた旨味がリッチな感じで、まるで高級で繊細な洋風細工菓子を食べているみたいでした。
 ザクザクホロホロした優しい食感のアーモンドとしっとり柔らかいヒラメは予想外に相性がよく、フレンチを思わせる優雅な仕上がりにうっとりします。
 黒ゴマフライは、プチプチ弾ける濃密な油分があっさりしたヒラメをこってり奥深い味わいに変身させており、なかなか食べ応えがありました。
 黒ゴマのくっきりとした豊かな風味が淡白なヒラメによく映え、例えるなら中華風ゴマ団子仕立ての白身天ぷらというイメージです。
 春雨フライは、バリバリとやや硬めで噛み応えのある歯触りがワイルドな感じですが、その割に味はほとんどないのが特徴的。
 おかげでヒラメの旨味を極力そのままにし、食感だけ変化をつけてシンプルなコクを引き出すのに成功していました。
 ビールフライは、苦味も癖もなく食べやすいですが、その代わり華やかな小麦の風味が鼻をスーッと抜けていくのが爽快で、ヒラメの臭みを消して純粋な旨さだけを引き立てていました。
 一番衣がさっくり軽やかで薫り高く、少しフリッターに似ている気がします。
味吉陽一特製フライ定食21
 トンカツは、衣がしんなりしているのがどうしようもないとは思いつつちょっと悔しかったです。
 しかし、その分揚げ物特有の油っぽさが消え、フライでこれ以上は望めないくらいスカッとしたさっぱり味に仕上がっていました。
 レモンのキューッとくる清涼な酸味と、しょうがのキリッとした鋭い辛味を大根おろしがしっかり受け止めてトンカツに絡め、塩分控えめのおろしポン酢味になっているのがトンカツとよく合っており、単品としてもご飯のおかずとしてもナイスです。
 食べ進むにつれ、大根おろしソースを吸ってふんわり柔らかな衣も、これはこれで豚肉の肉汁と相まってジューシーさがアップしてておいしいと思いましたので、最終的には満足しました。

 ピラフフライは…おかずと一緒に食べると正直バランスが崩れる感じで、主食としては考えられませんでしたが、単品としてみるなら全然あり(←そもそもお肉が入ってない&新しい油使用のせいか、そんなにくどくなかったです)!
 むしろ、かなり高レベルな出来の和風ライスコロッケでした!
 サクサクに揚がった薄皮の衣をカリッと噛み破った途端、バターの香りが芳しくて甘酸っぱいケチャップライスがふんわりとほどけていくのが最高で、馴染み深く間違いのない美味しさに頬が緩みます。
 グリンピースの甘い汁気と、コーンみたいにぷっちりした食感がちょうどいいアクセントになっていました
 青じそは劇的にという程ではなかったものの若干後口をキレよくさせており、和の香りが効いてそれなりに油分を洗い流していたので効果的だったです。
味吉陽一特製フライ定食22


 陽一君のフライ定食(味噌汁は欠けてますが)と“阿倍一郎特製フライ定食”を両方食べ比べた結果ですが…当管理人も夫も、「甲乙つけがたし!」と唸りました。
 それくらい、どちらも完成度が高かったです。
 阿倍さんの山椒塩のフライが刺激的で問題というなら、そもそも陽一君のフライも主食が不在という問題を抱えていますし、正直どちらも独創的でおいしいので上下とかつけられなかったです。
 個人的には両方ともすごくよかったので、負けた方が退店とかもったいない事はせず、二店ともそのままで切磋琢磨した方がよかったんじゃないかな?と思いました(^^;)。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”を再現!

 最近、ドイツでは生食用豚の挽き肉が売られていると知り、驚きました(←もちろん、厳重に管理した衛生環境で加工・販売している商品です)。
 安全に食べられるよう法律で細かい規定まで定められており、香辛料や生玉ねぎなどを練りこんでパンに塗るのが一番ポピュラーな食べ方だそうで、味は癖がなくてまろやかなネギトロみたいなのだとか。
 日本人は魚介類、ドイツの方々は豚肉と対象こそ異なりますが、生でも安全によりおいしく食べられるよう長年努力し続けてきたのは双方同じだと考えると、とても親近感を感じました。

 どうも、猫用生肉は実は健康にいいと知って取り寄せようとしたものの、茹でたささみに興味を示さずカリカリまっしぐらな野生の欠片もないうちの猫にはハードルが高いかも…と諦めた当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『美味しんぼ』にて山岡さんと栗田さんが社員食堂の命運の為に考え出した“中華風炊き込みご飯”です!
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”図
 まだ山岡さんと栗田さんが結婚前で微妙な関係だった頃、久々に社員食堂運営委員会の会議に出席することになります。
 今回の議題は「社員食堂の利用率」についてで、責任者の一人である相川料理長は「今の世の中不景気だから、外のレストランで食べるより、安上がりですむ社員食堂の利用率が上がって当然なのに、逆なんですよ。うちの食堂がよっぽど魅力がないんでしょうかねぇ、自信喪失に陥りますよ」と嘆いており、利用率アップの為に何かいいメニューの案を出して欲しいとお願いしていました。
 それを聞いた山岡さんは色々意見を出すのですが、「俺は北京ダックと願いたいね」「ちょうど新米の季節だし、新米で松茸ご飯なんて最高だね」と冗談なのか本気なのか分からない提案をしており、みんなから「真面目にやってよね!」と袋叩きにされます;。
 山岡さんが言うには「何かいい案を考えるときは、最初から枠を決めたら駄目だってば!自由な発想で次々に出して、実現出来るかどうかはあとで決めればいいんだよ!」との事で、意外と核心をついているかも…と思いました(『中間管理録トネガワ』でも会議は「発言しやすい空気づくりが肝要」って言われてましたし、山岡さんはあえて場を和ませて会議を盛り上げようとしたのかもしれません…多分)。

 最近では社員食堂を重視する企業は増加傾向にあり、早くて安いだけではない、健康に良くて味もおいしいメニューや、レストラン並に贅沢な高級メニューを取り揃えて利用率が増加している所は多いそうですので、自由な発想で目新しいメニューを入れるのはいいアイディアだと感じました(←有名なタニタ食堂を始め、国際薬膳師による薬膳料理・自社農園栽培の有機野菜ランチ・各国料理のビュッフェを出す社員食堂などが人気が高いのだとか。詳しくはこちらこちら)。
 ちなみに、さすがに北京ダックや松茸ご飯を出している所は見つかりませんでしたが、目の前でカッティングするローストビーフのランチやマグロの解体ショー付き海鮮丼といった桁外れのメニューを出す社員食堂は実在しましたので、山岡さんは先見の明があったんだな~と感心しました。
社員食堂の利用率がなかなか上がらず、会議を開くことになった相川料理長
 こうして山岡さんが体を張って盛り上げた結果、「ファストフードの店で、ご飯もののメニューが人気だって聞いたわ」という栗田さんの発言がきっかけで、新しい炊き込みご飯と混ぜご飯を社員食堂に取り入れる事が決定したのですが、そこに待ったを入れたのが大原社主!
 大原社主曰く、「ご飯に何か炊き込んだり混ぜたりするのは不純であるし、その精神がよくない」「そういうふうに何もかもいい加減に混ぜこぜにする精神が、日本人を駄目にしているのだ」「混ぜご飯を食べてると、精神まで混ぜこぜのデタラメになるから、いい加減な紙面作りになって帝都新聞に勝てないのだ!」だそうで、社員食堂で炊き込みご飯と混ぜご飯を出すのは禁止にすると強引に決めていました。
 これまで大原社主は、女性は家庭を守るべきだと託児所を認めなかったり、新巻鮭を贈った山岡さんに「塩分過多で殺す気か!殺人未遂だ!」と怒ったり、無茶な指令を出す時「社主という字はな、人偏に無茶と書くんだ!」と宣言したりなどワガママなシーンがちらほらありましたが、今回の炊き込み&混ぜご飯禁止令はその最たる物で、大抵の事には慣れっこの山岡さんも「そんなおかしな理屈、聞いたことがないよ!」と叫んでいました;。
 こんなに釈然としない気持ちになったのは、『キン肉マン』でウォーズマンの「100万パワー+100万パワーで200万パワー!!いつもの2倍のジャンプが加わり、200万×2の400万パワー!!そして、いつもの3倍の回転を加えれば、400万×3のバッファローマン!お前をうわまわる1200万パワーだーっ!!」という謎理論を見た時以来かもしれません。
 個人的に、大原社主には「卵かけご飯は、混ぜご飯に入るでしょうか?」と恐る恐る質問したいところです(←「バナナはおやつに入りますか?」のノリで)。
混ぜ込みご飯や炊き込みご飯は不純として、大原社主から禁止令がでてしまいます
 けれども、山岡さんはピンチをチャンスに変える秘策を思いつき、翌日社内掲示板で「大原社主の横暴を許すな!炊き込みご飯と混ぜご飯を我らの手に!」という手作り新聞を貼り付け、来週の月曜日に団体交渉をするという意思表示をします(←とはいえ、本気で怒っている人は誰もおらず、「ま~た大原社主と山岡が何かやらかすぞ」的な空気だったのが地味に笑えました;)。
 当然、槍玉に挙げられた大原社主は激怒して山岡さんを呼び出すのですが、「あれは洒落だってこと、みんなわかってますよ。社主は人気がありますからね」とごまかし、結局社員一同に詳しい事情をする場として団体交渉を許可していました。

 そして月曜日、団体交渉で集まった面白半分の野次馬社員の方々に、山岡さんと栗田さんは「皆さん、社主は実にしぶとい。このような手強い敵を相手にするのに、空きっ腹では勝ち目がない」「ここらで栄養補給といきたいと思います」と言い、様々な炊き込みご飯と混ぜご飯を配ります。
 その際、出てきた内の一つがこの“中華風炊き込みご飯”です!
 作り方は簡単で、もち米とうるち米を混ぜていい具合に水加減した炊飯器へ、ういきょう(八角)を利かせて味濃く煮た鶏肉、中華風ソーセージ(台湾腸詰)、銀杏を入れてフタをし、炊き上げたら出来上がりです。
 ポイントは、もち米7:うるち米3の割合になるよう調合することで、こうすると癖の強い具を相手にしてもがっちり受け止めるご飯に仕上がると作中で語られていました。
 中国や台湾では、腸詰をご飯に入れて炊き込む菜飯がポピュラーみたいで、山岡さんや相川料理長はそれをモチーフに生み出したのかな?と思ったものです。

 最初の内は我慢していた大原社主ですが、あまりに美味しそうなご飯の数々を前に堪えられず「ばかもん!昔は何か願を立てたら願がかなうまで、お茶を断ったり塩を断ったりしたのを知らんのか!」「いかにもうまい炊き込みご飯と混ぜご飯を断って、帝都新聞打倒のために社員全員力を尽くしてもらおうと思って、心を鬼にして社員食堂のメニューに加えることを禁止したんじゃないか!」(←社員一同「エゴだよ、それは!」とアムロ・レイばりにツッコミたかったと思います)と訴えますが、「美味しいものをたっぷり食べたほうが闘う気力は湧いてくるはずだ。茶断ち、塩断ちの精神は、時代遅れだな」と華麗に手の平返しをし、炊き込みご飯と混ぜご飯を食べていました;。
 おかげで大原社主の禁止令は解け、新メニューの炊き込みご飯と混ぜご飯を食べた社員の口コミで社員食堂の利用率が上がり、まさに一石二鳥に終わって満足した山岡さんでした。
隣で炊き込みご飯を食べまくり、散々大原社主と小泉局長を煽ります;
 中華風ソーセージ(台湾腸詰)が手に入らなかったので長年放置していたのですが、先日やっと買えたので再現することにしました。
 作中には大体の作り方が書かれていますので、それに『美味しんぼDSレシピ集』にあった炊き込みご飯のレシピを組み合わせつつ、自分なりに作ってみようと思います。


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、鶏肉の準備。
 強火のフライパンで両面をこんがり焼いた鶏もも肉、お酒、砂糖、醤油、八角(ういきょう)を小鍋に加えて弱火~中火の火加減で煮込み、中に八割方火が通ったら鶏肉を取り出して冷まします(←後で煮ますので、フライパンで焼く時はさっと程度で大丈夫です)。
 その間煮汁は少し煮詰めておき、冷めた後に小さく切った鶏肉と一緒にボウルへ入れ、そのまま漬け込んでおきます。
※煮物は冷める最中に味が染みますので、出来る限り柔らかく味濃く仕上げる為に漬け込み方式を採用しました。しっかりした歯応えでいい場合は、最初から鶏肉を切って煮詰めてそのまま冷ましてもOKです。
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”1
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”2
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”3
 次は、炊き込み作業。
 もち米7:うるち米3の割合で研いだ後、水気を切っておいたお米を炊飯器に入れます。
 そこへ、斜めに薄くスライスした台湾腸詰(中華風ソーセージ)、先程の鶏肉(八角と煮汁ごと入れます)、銀杏、お水、塩、みりんを加えます。
 風味が足りない場合は醤油を足して味の微調整をし、フタをして普通に炊きます。
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”4
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”5
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”6
 炊き上がったら八角を取り出し、全体をしゃもじでさっくり切るように混ぜ合わせ、冷めない内にお茶碗へよそえば“中華風炊き込みご飯”の完成です!
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”7
 炊飯器を開けた途端、一瞬蒸篭か何かを開けたのかと勘違いする程、何ともいえない異国の香りが湯気と共に舞い上がり、混ぜながらうっとりしました。
 野菜系の具をほとんど入れない、肉々した炊き込みご飯は珍しいのでちょっと心配でしたが、個人的にいい香りの時は99%の確率で当たりでしたので、山岡さんたちを信じて食べてみようと思います!
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”8
 それでは、炊きたてほやほやの内にいざ実食!
 いただきま~すっ!!
『美味しんぼ』の“中華風炊き込みご飯”9


 さて、味の感想は…和中折衷ではなく、完全に中華っぽい本格的な仕上がりになってて美味し!八角ともち米がいい仕事をしてます!
 台湾腸詰は普通のウインナーと違ってやや甘く、炊き込んだ後だというのに十分ジューシーで肉の旨味が抜けきっておらず噛めば噛むほど味が出てくる感じで、例えるとするなら「チャーシュー味のソーセージ」というイメージでした。
 この台湾腸詰の濃厚な脂を帯びた肉汁と、鶏肉から出た滋味深い出汁がご飯にこれでもかというくらい染み込んですごいコクが出ており、一口食べると止まらなくなる魅力があります。
 中華版かしわ飯ととも言うべき優しく甘辛いご飯と、シナモンをちょっと連想させる甘やかでスパイシーな芳香がハマると病み付きになる旨さで、日本人好みの味付けなのにどこまでもエキゾチックな仕上がりなのに感心しました。
 うるち米を混ぜ込んだからかおこわに比べて少し粘りがないですが、おかげで「もちもち感が強くてほんのりおこわ風の炊き込みご飯」という若干軽い味わいで、かえって食べやすかったです。
 それでいてもち米ならではのどっしりした食べ応えはちゃんと残っている為、個性の強い八角や台湾腸詰にも負けない力があり、全部一つにまとまって調和していました。
 銀杏のホコホコした食感やわずかな苦味がもっちりした中華風のご飯と相性がよく、中華ちまきをあっさりシンプルにさせたような味だからどこか懐かしく感じるのかな~と思いました。


 大げさですが、目をつぶれば台湾や中国の飯店で食事している気分に浸れるくらい本場っぽい美味しさで、わざわざ台湾腸詰を指定したのも分かった気がしました。
 冷めても柔らかくおいしいので、おにぎりにしてお弁当にしてもいいんじゃないかな?と思った再現でした。


P.S.
 kawajunさん、たまさん、コメントを下さりありがとうございました。
 ご指摘されて単行本を読み、「確かにしてる…!やっぱり悪いお兄さんだったか、阿倍一郎さん(←流れるような手の平返し)」と今更ながら気付きましたので、感謝致します;。
 皆様の、再現を楽しみにして当ブログを読んで頂いているとのコメント、大変励みになっております。
 この場にて、改めて御礼を申し上げます。


●出典)『美味しんぼ』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/小学館
●参考資料)『美味しんぼDSレシピ集』 原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ/ナムコ
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

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あんこ

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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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