FC2ブログ

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ”を再現!

 先週くらいからずっと曇りが続いているせいか、湿度が高くてムシムシした空気なのにも関わらず大分涼しくなっており、「やっと秋が始まろうとしているな~」としみじみ外を眺めています。
 いつもだったら「もう夏が終わってしまった…」と残念に思うところですが、今年は異常な暑さの夏だったのでほっとしました(←唯一今年の夏でよかったのは、暑ければ暑い程弱った体に入るスリランカカレーがとてもおいしかったこと)。
 が、夏が終わって喜んでいるのはやっとの思いで生き残った蚊達もそうらしく、外出すると必ずどこか血を吸われて痒くなっている今日この頃です。

 どうも、泡立てた全卵に冷たいそばを絡めてそばつゆで頂く江戸時代から伝わる創作メニュー・磯雪そばに近頃ハマっている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君がオムレツ勝負の時にメインとして作った“味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ”です!
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ図
 味皇料理会GPで一馬君と初の同時優勝を果たした後(←かなり初期にこちらこちらこちらで一部料理を再現しています…荒すぎて恥ずかしいですがorz。近々リベンジしたいです)、陽一君は二回戦で敗退していたフランス料理部主任・下仲基之さんに都内のフランス料理店へ招かれます。
 「最高級のフランス料理を存分に楽しんで欲しい」という下仲さんの言葉に甘えてやって来た陽一君ですが、そこで待ち受けていたのは、フランス料理界の重鎮にして「世界の腕」との異名を持つ料理人・ジョルジュ=ムスタキさん!
 優秀なシェフである下仲さんが日本の子どもに負けたと知り、久しぶりに血が騒いだムスタキさんは急いで来日したそうで、「小僧、今度はわしと勝負だ。わしはそのためにわざわざフランスからやってきたんだ」といきなり勝負を申し込んでいました(←この若々しい闘争欲と無邪気さ、『三国志演義』に出てくる老将・黄忠を思い出します。老いてなお盛んで「まだまだ若いもんには負けん!」的なキャラとか、まさに「おまえたちのの時代もいよいよ間近じゃな」「だが…それは“今”ではない!!」と言ったムスタキさんそっくりです;)。

 なお準備に与えられた時間は丸一日、明日の正午に勝負を開始するという急展開で、これには勝負慣れしてきた陽一君も急すぎると戸惑っていましたが、最終的には「オレも男だもん。もう後には引けないよ」と引き受けていました。
 『グラップラー刃牙』の名言に「地上最強を目指して何が悪い!!!人として生まれ、男として生まれたからには誰だって一度は地上最強を志すッ」というセリフがありますが、ムスタキさんも陽一君も料理という分野で「地上最強」を目指さずにはいられない、同じ人種なんだな~と因縁めいたものを感じたものです。
 ちなみに勝負のお題は「オムレツのフルコース」で、本場フランスでは一千種のオムレツが存在するから、オードブル・メイン・デザートと全てをオムレツでまかなう事が可能なのだと説明されていました(←何でもフライにして揚げ物のフルコースみたいにした陽一君のフライ定食を彷彿とさせます…)。
 <ポムの樹><おむらいす亭>のようなオムライス専門店でも、アレンジされていたのはソースやご飯の味付けまでに留められていた為、初心者なのに卵や具まで広範囲に工夫しないといけなかった陽一君はさぞ大変だっただろうな~と同情しました(^^;)。
フランスから陽一君と戦うためだけに来日した名人・ムスタキ氏とオムレツ対決!
 そして翌日、フライパンで濡れ雑巾を巻く特訓を徹夜で行い、手を負傷しつつもオムレツ作りの腕を名人級まで仕上げるというスポ根漫画の王道っぽい成長を遂げた陽一君ですが、オードブルのオムレツが「ハマグリの汁がお皿に全部出て食べにくい」という評価を下されてしまい、一敗します(←ナイフとフォークではなく、スプーンを使えば済む話では…)。
 続けてメインのオムレツ対決に移るのですが、そこで陽一君は卵の味付けではなく、卵の食感をもっと改良できないかと考え、卵の卵白をケーキ用の生クリームみたいに泡立てて焼き、この上なくふわトロな舌触りにする事を閃いていました。
 その味わいは法子さん曰く、「本当の生クリームを食べてるみたい」「中身はあくまでふんわり軽く、それでいて外側は充分な歯ごたえを持ってみごとに焼きあがってる」だったそうで、絶賛されていました。
 元々、この焼き方を考案したのは十九世紀にフランスのモン・サン・ミッシェルで宿屋を開いていたアネット・プラールさんで、遠くからやって来てお腹をすかせていた巡礼者達を栄養価の高い卵でもてなす為に出していた秘伝のレシピなのだとか←この超有名料理を、生粋のフランス人であるムスタキさんが「そんなオムレツなど聞いたこともない」と言っていたのは…きっと時差ボケが直らず脳が混乱してたか、北斗神拳の伝承者に記憶を消す秘孔を突かれていたかのどちらかだったんでしょう)。

 こんなに柔らかくてふっくらしたオムレツに合う具材を探すのは至難の業で、陽一君も限られた時間と環境の中苦戦していましたが、そんな時にやっと見つけ出してきたのが、何とウナギの蒲焼き←この時点ではまだウナギを捌けなかった陽一君が、しれっとプロ並に調理しているのは『ミスター味っ子』最大の矛盾シーンです…。個人的に、『キン肉マン』のジェロニモ現象に匹敵するやらかしだと思ってます)!
 日本風に卵焼きにして食べるならともかく、オムレツの具にするのは意外でしたが、ふわふわに蒸し焼きにした柔らかい口当たりといい、ぴりっとしたタレの濃い味わいといいぴったりの相性だと紹介されていました。
 フレンチとウナギという組み合わせは異色に見えますが、実はフランスはウナギの有名な産地で、ワイン煮込み・フライ・ムニエル・テリーヌ・タルタル風など既に色んな料理で親しまれている為、もしかしたらフランス人にも受け入れやすいかも…と思いました。
白身と黄身に分けてふわっふわに仕立てたオムレツには、柔らかいウナギを具に!
 しかし、ウナギの蒲焼き入りオムレツには「想像以上にしつこい一尾分のウナギの脂をどうやって消すか?」という厄介な問題があったのですが、陽一君は具とソースに工夫をこらす事でそれを改善します。
 具の方は、千切りにしたにんじん・ゴボウ・絹さやを大量に入れる事ですっきりしたアクセントをつけ、ウナギのしつこい味を一掃!
 最初は「ウナギにゴボウやにんじんを合わせてさっぱり…?」と思いましたが、考えてみれば八幡巻という料理もありますし、ウナギにきゅうりを和えるうざくの存在が野菜の使い方次第でウナギでもさっぱり食べられるように出来ると証明していますので、いい着眼点かもしれない…と感じました。
 それに対してソースの方は、鰹節で取った出汁に薄口醤油・塩・みりんで味を調えた薄味の和風ソースで全体をさっぱり味にまとめ、脂を中和!
 確かにシンプルな出汁はこれ以上ないくらいさっぱりとした味わいですし、限りなく柔らかい卵主体の生地をお出汁につけて頂く明石の玉子焼という料理もありますので、「さすがにソースはオーソドックスな物にしてくれたんだな」とほっとしたのを覚えています←物語中盤から徐々に豆腐を隠し味にするケースが多くなった為、てっきり豆腐ソースが出るかと…それはそれで結構美味しそうですが)。

 幸い陽一君の読みは当たり、ウナギの蒲焼きの純粋な旨味を引き出した最高のオムレツに仕上がったようで、ブロッコリーソースをかけた仔牛のレバーオムレツを作ったムスタキさんに対し、「卵の柔らかさを極限まで引き出した独創性」を理由に勝っていました(←正直、このアイディアは「フランス版ミセス味っ子」とも言うべきアネット・プラールさんの物ですので、厳密な意味では陽一君オリジナルではないのですが…まあ、いちいち突っ込むのも野暮ですね;)。
うなぎオムレツをあっさりさせる為、ごぼうやにんじんの千切りをいれてました
 ずーっとウナギが高くて再現を躊躇していましたが、最近やっとお手ごろ価格な国産品を見つけたので再現する事にしました。
 文庫本には辻学園様の分量付きレシピがありますし、作中にも大体のレシピが書かれていますので、早速心にルネッサンス情熱を抱きつつその通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、野菜類の下ごしらえ。
 油をひいて熱したフライパンへ極細の千切り状にしたごぼうとにんじんを入れ、全体に火が通るまで炒め合わせます(←結構すぐに火が通ります)。
 火が通ったらボウルへ取り出し、あらかじめ塩茹でして刻んだ絹さやを加えてざっと混ぜます。
 その間、小鍋にカツオ節から取った出汁、塩、薄口醤油、みりんを入れて熱し、水溶き片栗粉でとろみをつけた出汁を用意しておきます。
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ1
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ2
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ3
 次は、ウナギの準備。
 ウナギの蒲焼きの表面を流水でさっと洗い流した後、キッチンペーパーで余分な水気をしっかりふき取り、オーブントースターでじっくり火を通します。
 内側まで熱が通ってきたら蒲焼のタレを塗って照りが出てくるまでこんがりと焼き(←お好みで山椒も振り掛けるとアクセントが効いて美味!)、食べやすい大きさに切っておきます。
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ4
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ5
 今度は、卵の泡立て作業。
 ボウルへ卵白と少量の塩を入れ、泡だて器で卵白がメレンゲ状になって角が立つまでよ~~~~くかき混ぜます(←お酢をほんのちょこっと入れると、泡の持ちがよくなります。味には影響ないです)。
 やがて、生クリームみたいに滑らかに泡立ってきたら卵黄をそっと戻し入れ、ゴムベラで泡を壊さないよう気をつけながらさっくり混ぜ合わせます。
※ボウルや泡立て器に少しでも水滴や油分がついていると泡立ちが悪くなりますので、要注意です。
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ6
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ7
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ8
 ここまできたら、いよいよ焼き作業。
 中火に熱したフライパンへバターを溶かしたらすぐに弱火にし、先程の卵液を流し込んでゴムベラで平らになるようならしながら広げます。
 すぐにフタをして弱火のまま約二分前後蒸し焼きにし、真ん中に荒熱を取っておいた炒め野菜を優しく乗せ、ゴムベラで両側の卵を引き寄せてふんわり巻きます。
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ9
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ10
 手早くオムレツをお皿へ盛り付け、その上から温め直しておいたとろみ出汁をたっぷりかければ“味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ”の完成です!
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ11
 オムレツと言うよりはオムレットやスポンジ生地みたいな焼き上がりで、出汁のはんなりした香りさえなければ、蜂蜜をたっぷりかけたケーキのように見えなくもないです。
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ12
 しかし、オムレツの中央をスプーンで割ると、たっぷりの野菜とウナギがこぼれ出てくる為、「やっぱりオムレツだ…」と頭の中が混乱します(^^;)。
 メレンゲオムレツ自体は大分昔に食べた事がありますが、果たして「和」がマッチするのか否か…食べて確認してみようと思います!
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ13
 それでは、メレンゲがしぼみきってしまう前に急いで実食!
 いただきま~すっ!
味吉陽一特製ウナギの和風オムレツ14


 さて、味の感想は…ふわトロオムレツとウナギの組み合わせが意外に美味!洋菓子みたいにまろやかなメレンゲ状の卵に、和菓子みたいな甘さの蒲焼きタレが不思議にマッチしてます!
 シュワシュワブクブクと口の中で泡が軽く弾けていくような、まるでとろけるスフレを食べているかのような甘くてフワッフワの卵に、和風出汁の淡く優しい風味がよく合っています。
 夢のように柔らかい空気みたいな口当たりの卵なんですが、生地の密度はむしろみっちりと詰まっていてキメ細やかでもあり、おかげでホロリととろけるような舌触りと濃厚な食べ応えを兼ね備えたウナギにも力負けしていませんでした。
 この卵の旨味を凝縮したようなオムレツに料亭風の上品なお吸い物風の出汁が合わさると、「うまき風淡雪仕立ての焼き茶碗蒸し」と呼びたくなるような何とも言えない美味しさに変身します(←蒸し料理のような繊細さと、焼き物みたいな香ばしさが両立してたのでこんな変テコな名が思い浮かびました;)。
 しんなりしつつもザクザクシャキシャキした小気味良い歯応えが残っているごぼうとにんじんに、ウナギのエキスが溶け出てこってり甘辛いタレが絡むと「蒲焼き風きんぴら」と例えたくなるような味付けになり、野趣溢れる味わいが鰻とぴったりでした。
 唯一残念だったのは、ごぼうとにんじんの硬さと卵の極上なフワフワ感が致命的に相性が悪いという事で、これらが合わさった時だけ調和が崩れてチグハグなのが悲しかったです。
 ただ、絹さやのしゃっきり感と爽やかな香気はウナギや卵に合っていましたので、ごぼうとにんじん抜きだったら完璧な仕上がりになると思います。


 何というか、「ウナギの事ばかり考えすぎて、肝心の主役である卵とのバランスをうっかり失念してしまった」料理というイメージで、味自体はいいので非常にもったいないな~と苦笑しました。
 卵とウナギの相性の良さは不動の物だと改めて認識しましたので、今度は絹さやや口当たりの優しい野菜を具にして再チャレンジしたいです。


P.S.
 ゴローさん、ふにゃにゃさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。!

『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”を再現!

 その昔、たらこパスタが誕生したのは老舗パスタ専門店<壁の穴>が、常連客の「キャビアを持ってきたので、これでスパゲッティを作ってくれ」という要望に応えて作り、もっと安価な物で似たようなパスタを作れないかと偶然試したのがきっかけだと知り、「こんなにおいしいのに、最初は代用品扱いだったんだ!」と驚きました。
 まるで、ビーフシチューを日本で再現しようとして代用品で無理やり作ったのが肉じゃがの発祥だったというお話みたいだな~と思います;。
 ただ、どちらも共通しているのは今や本家に勝るとも劣らない定番料理になっている所で、これなら本歌取りされた立場の国の方々にも許していただけるんじゃないかな?と勝手ですが感じました。

 どうも、イタリアに冷製パスタはないと聞いた時、「日本で例えるなら、水で洗った冷やご飯でサラダを食べるような感覚になるからかな?」と空想した当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任がティートさんの彼女・ジョールジャーさんの為に作った“荒岩流冷やしスパゲティ”です!
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”図
 『クッキングパパ』に初期から登場しているキャラは数多くいますが、その中でもかなり初めからいるのが、イタリア人のティート・チョッタさん(←何と、実の妹の味知さんやみつぐ君よりも先に登場しています)!
 単行本二巻で、金丸産業と業務提携しているロメオ・アルフ社の担当者として挨拶をしに来て、ひょんなきっかけで“本場イタリアのスパゲティ”を一緒に作って以来荒岩主任達とは大の仲良しで、家族ぐるみのお付き合いをしています。
 陽気な性格で決して悪い人ではないものの、困った事に超がつく程の女好きで、独身だった頃の夢子さんを「デートシマショーッ!」「心カラ愛シテマース!!」と積極的に口説いたり、クラブのお姉さん達と遊びまわったりとやりたい放題でしたorz。
 けれどもその後、結婚してマリアちゃんという女の子が生まれ、金丸産業にもやっとコンプライアンスの強化という近代化の波が押し寄せた事もあり(←おかげで新入社員だった頃のルリちゃんが助かってました;)、ティートさんの女好きも少しは落ち着いていました。
 ちなみに、虹子さん・けいこちゃん・種ヶ島さんら三人の美女もボディタッチされそうになっていましたが、虹子さんは頭に拳骨して「気安くさわんないのっ!!」と笑っていなし、けいこちゃんは顔はにこやかでも「甘いっ!あたしにゃ亭主も子どももいんの!!」とおぼんを脳天に叩きつけて返り討ちにしたり、種ヶ島さんは「キャーっ!!」と叫びつつ背負い投げで躊躇なくふっ飛ばしたりなどなかなかバイオレンスにかわしており、ティートさんは結構命がけで女性にアタックしていたんだな~とその熱意と根性に感心したものです;。
実はかなり初期から登場していたイタリア人のティート・チョッタさん
 今回ご紹介するのは、後にティートさんの妻となるイタリア人女性・ジョールジャーさんが初登場した時のお話。
 荒岩主任との打ち合わせ中、いつも通り商談そっちのけで夢子さんに言い寄っていたティートさんでしたが、折悪しくまだ婚約者だった頃のジョールジャーさんがアポなしでやって来てその現場を目の当たりにし、泣いて逃げてしまいます←もしかしたら、仕事中のカッコいい姿が見たくて真っ先にやって来たのかもしれませんが、それが『課長 島耕作』ばりに仕事中でも女性といちゃつく場面を目撃したのですから、ショックだったはずです。まあティートさんは島耕作と違って会社の女性に全然モテないので、心配いらないと思いますが)。
 どうやら、ティートさんが結婚前の羽伸ばしとばかりに日本で遊びまわっている事を薄々勘付いていたようで、「私、明日ニデモイタリアニ帰リマス!」「帰ッテアナタノオ父サマニ一部始終報告シマス」「ソシテ、私達の事ナカッタコトニシテイタダキマスッ!!」とすっかり怒り、ティートさんをホテルの部屋から閉め出していました。
 イタリアは家族間の結びつきが非常に強い国で、結婚直前の婚約者と破局&実家の家族激怒の危機は相当深刻な問題だったと思う為、これにはさすがに楽観的なティートさんも落ち込み、翌日荒岩主任に相談します。
 ティートさん曰く、待つ身の辛さで精神的に不安定になったジョールジャーさんはストレス解消でお菓子ばかり食べるようになり、交際当初よりもかなり太って怒りん坊になってしまったようで、それを聞いた荒岩主任は「心のこもったプレゼントでもしなきゃあなっ」とアドバイスし、仲直りに協力する事になっていました←見るからに「ティートの自業自得だ」という表情で渋々話を聞いているのに、女性が困ってるとなると見捨てられない所が優しいです;)。
 それにしても、こんな事態になっても「ジョールジャーハジョールジャー、夢子サンハ夢子サン」「私ハ2人トモシンケンニ愛シテマス!!」とまだ言い張れるティートさんはもはや天晴れとしかいいようがない筋金入りの女好きで、アニメならルパン三世、実在の人物ならパンツェッタ・ジローラモさんに匹敵するな~としみじみ思いました。
まだ独身だった夢子さんをくどいている所を、ばっちり目撃されます;
 こうして、荒岩主任が作ってホテルにいるジョールジャーさんに渡すようティートさんに渡したのが、この“荒岩流冷やしスパゲティ”です!
 作り方は簡単で、茹でた後氷水で洗って水気をきったスパゲティに色んな種類の刺身・海草・青じそ・パセリを盛り付け、その上に白味噌・お酢・砂糖・白ワイン・練り辛子を混ぜて作った酢味噌ソースをかけて海苔を散らしたら出来上がりです。
 ポイントは、酢味噌は通常のレシピよりお酢や白ワインを多めにしてゆるめに作ること、パスタはザルでしっかりと水気をきっておくこと、刺身はタコ・イカ・ホタテ・甘エビなど魚系以外の刺身もたっぷり使うことの三点で、アルデンテに茹でた冷たいパスタには酢味噌ソースが実によく合うと語られていました。
 冷製パスタが一般的になった現在でも、ここまで刺身を豪快に飾った、それもソースに酢味噌を加えた物は見た事も聞いた事もない為、初見時は度肝を抜かれたのを覚えています;。
 しかし、味噌にパスタという組み合わせはこちらの再現をした時案外合う事が分かっており、それなら酢味噌もありなのかもしれません。
 実際、作中でジョールジャーさんは「オーッ、ケ・ブォーノ(なんておいしい)!!」「オイシカッタワ、オリエンタルデファンタスティックデ…」と大喜びしていました(←実は最近、味噌などの日本食材がイタリアでもはや日常化しているようですので、意外と味噌パスタはイタリアでも受けるかも…と思ったものです)。
 幸い、この料理とティートさんの「日本ニイテモ、カタトキモジョールジャーノコト、忘レナイヨ!」という言葉にすっかり感動したジョールジャーさんは仲直りし、一件落着するのですが…この後もティートさんは隙を見ては女性を口説きまわっている事を知っている当管理人は、ちょっと複雑な気持ちになるのでした(^^;)。
何と酢味噌を使ったパスタソースで、荒岩主任がわざわざ作ってました
 いつものスーパーで刺身の特売セールをやっているのを見た時、まず思い出したのがこちらの料理で、勇気を出して作ってみることにしました。
 作中には詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、酢味噌ソースとパスタの用意。
 ボウルに白味噌、砂糖、お酢、白ワイン、練り辛子を入れ、よ~く混ぜ合わせます(←原作の分量通りだと、普通の酢味噌よりもずっとゆるめになりますが、その方が断然いいです)。
 その間、パスタをアルデンテになるまで茹でてザルにあけ、たっぷりの氷水で何回かにわけてしゃっきりするまで洗い、水気をしっかりきっておきます。
※冷製向けパスタとしてカッペリーニが有名ですが、作中では特に指定もされず絵も普通の太さっぽかったのと、酢味噌の味の濃さに負けてしまいそうという理由から、いつも使っているmmのパスタを使いました。
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”1
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”2
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”3
 次は、盛り付け作業。
 お皿へ先程のパスタを高く盛り、そこへ刺身のタコ、イカ、ホタテ、甘エビ、好みの魚数種(←今回は鯛とブリ系の刺身を使用)を丁寧に飾りつけます。
 その傍らに海草サラダ、青じそ、パセリを添えたら上から酢味噌ソースを回しかけ、さらにイクラの醤油漬けをパラリとトッピングします。
※酢味噌ソースは少量でも結構味がするので、最初は刺身メインにかけて後から継ぎ足す方式をお勧めします。
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”4
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”5
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”6
 上から刻み海苔を適度に散らし、ぬるくなってしまわない内に急いでテーブルへ運べば“荒岩流冷やしスパゲティ”の完成です!
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”7
 パッと見はごく普通の冷製魚介パスタに見えなくもないですが、イタリアンにしては違和感がある酢味噌の香りが漂ってくる為、頭が混乱します;。
 パスタと酢味噌という一風変わった組み合わせは試したことがないのでちょっと不安ですが、荒岩主任を信じて食べてみようと思います!
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”8
 それでは、パスタにソースをざっと絡めていざ実食!
 いただきまーすっ!
『クッキングパパ』の“荒岩流冷やしスパゲティ”9


 さて、味の感想は…酢味噌とパスタが不思議なハーモニーを奏でており、衝撃!白ワインと味噌って合うんだな~と目からウロコです。
 酢味噌は白ワインがベースとなっているせいか、普通の酢味噌と違いどことなく爽やかな甘味とフルーティーな風味がついているのが特徴で、淡白な刺身と相性がいい味わいになっています。
 白味噌とお酢が効いてまったりと甘酸っぱい中をシャープな練り辛子の辛味がキリリと舌の上を走り、その後を白ワインのすっきりした香りが追いかけていくのがキレのよさを倍増させており、ひと味違う垢抜けた印象のソースだと感じました。
 冷えたパスタは太くてなめらかな舌触りの中華麺みたいな仕上がりで、そこに酢味噌がゆるめのクリーム状になって少し絡むと、まるで「とろみがほんのりついた噌風味の和伊折衷冷やし中華」と例えたくなるような美味しさになっていました。
 刺身と酢味噌の組み合わせは定番のぬたその物で合わない訳がなく、ほのかな甘さとあっさりした旨味を持つタコやイカ、ホタテ、甘エビを濃厚かつさっぱりとした旨さに仕立て、イクラがプチプチと弾けてコクのある塩気のアクセントをプラスしていたのがよかったです。
 ただ、完全に和風というよりは新しいイタリアン風の前菜みたいな仕上がりになっており、白ワインって大人しいようで実は主張が強いんだなーと意外でした←しかし、魚系の刺身は元々ワインと合わないのもあって生臭さがさらに際立つので、正直やめた方がいいです…。鯛だけは合っていました)。
 中でも一番合っていたのはやはりというか海藻で、白ワインともうまく馴染んでいました。


 酢味噌ソースは新しい冷製パスタソースとして充分いけたので、魚の刺身は事前にマリネにしたり、或いは魚肉に火を入れてから使ったらより酢味噌ソースになじみ、俄然万人受けする旨さに大化けするのでは…と食べていて思いました。
 パスタの調理法は開拓され尽くしたと考えていましたが、考えを改めた再現でした。


P.S.
ミトナリさん、kawajunさん、AKHさん、コメントを下さり、ありがとうございます。


●出典)『クッキングパパ』2巻 うえやまとち/講談社
      『クッキングパパ』4巻 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製幕の内駅弁”を再現!

 その昔、『課長バカ一代』で携帯型炊飯器・<持てるんジャー>という架空の商品を見た時は「さすがにこれを発明する人はいないはず」と思っていたのですが、2017年に全く同じコンセプトの商品が発売されていたことを知り、びっくりしました。
 個人的には洗濯バス・<洗えん坊将軍>やマッサージカサを本当に発明したらかなりヒットしそうだと思っている為、<持てるんジャー>のように実現化の奇跡が起きる事を密かに待ち望んでいる今日この頃です。

 どうも、足腰が弱る前に『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』に出てくるホバーボードに一度は乗ってみたい当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君があるお弁当屋さんを救う為に考え出した“味吉陽一特製幕の内駅弁”です!
味吉陽一特製幕の内駅弁図
  それは、小西さんとのステーキ対決が終わって少し経った頃のこと。
 今は亡き陽一君の父・隆男さんの知り合いで、青森で駅弁屋を営む菊池さんから、新しく出来たばかりのライバル店にお客さんをとられて閉店間際まで追い詰められていると聞いた陽一君は、新しい駅弁を開発してお客さんを取り戻すお手伝いをすることにします。
 今回のライバルである駅弁屋の店主・及川さんは、お客さんの前で「ンな店の弁当といっしょにせんでくださいよ」「あと十日であの店もつぶれる。そしたらあそこにも店を建てて売り上げも倍増スよ」とあからさまな悪口を言ったり、わざわざ菊池さんに電話して「三日後から新しい弁当を出すんだって!?てめえも往生際の悪いヤローだな!!」「てめえみたいな味オンチがいくら頭をひねったってうちの弁当にかないっこねえよ」と喧嘩を売ってくるなどなかなか香ばしい方ですが、資金不足だったのかこちらでご紹介したような悪質な妨害工作をされる事はありませんでしたので、まだマシだったな~としみじみ感じました。
 どちらかといえばお客さん達の方が酷く、如何に味の差が歴然でも「オレも以前は菊池屋の弁当を食ってたけどさ」「ああ、ここのを食ったらもうあんなもん食えねえよ」「(及川さんの売上倍増発言を聞いて)あはは、すごい鼻息だぜ!」「気に入ったァ!もう一つ買っちゃおう!!」と本人の目の前で言いまくるなんて残酷物語過ぎて、修羅の国在住の当管理人でも言葉がありませんでした…(^^;)。
 この露骨なまでの弱肉強食を良しとするファイトスタイル、『北斗の拳』に出てくる武装バギー集団に通じるものがあると思います。

 そんな中でも、負けん気の強い陽一君はめげずにお弁当作りに取り組むのですが、いつもの出来立てをお皿に出して提供する料理とは違い、ある程度時間が経ってからお弁当箱に詰めて出す駅弁ならではの問題点が山積みで、さすがに苦戦していました。
 ご飯の炊き方一つとっても単においしく炊ければいいという訳ではなく、お弁当に詰めて数時間経過しても水滴がたまってびちゃびちゃにならず、口当たりふっくらなご飯にさせなきゃいけないという厄介な問題が立ち上がっていた為、お弁当屋さんっていつもとはひと味違う精密な計算が要求されるお仕事なんだな~と思ったものです←お皿に盛るんだったら余白を作った方が高級料理店っぽくオシャレに見えるのに、お弁当だと一気に侘しい感じになるのも最大の違いですね…)。
 ちなみに、陽一君はもち米をブレンドすることで水気が少なくても柔らかいご飯を炊くのに成功していましたが、菊池さんは一切アドバイスせず「困ったな~」と初めて壁にぶち当たったような顔をしていましたので、それまで一体どんなご飯を炊いていたのか激しく気になります…;。
性格は難アリですが、料理の腕はいい駅弁屋の及川さん。
 こういうお弁当作りのターンだと、通常の料理漫画はお弁当の中身を考えるだけで終わるはずなのですが、陽一君は何とお弁当箱自体を一から開発するという冒険をします!
 というのも、第二のメインである鮭料理を作る際、陽一君はバター・和風出汁・玉ねぎ・しめじ・椎茸を使った鮭のホイル焼きを考案するのですが、冷めるとバターが固まってガビガビになるという致命的な弱点を発見し、「なんとか熱いままホイル焼きを出す工夫を考えるんだ!」と考えたのがきっかけ(←冷めてもおいしい鮭料理を考えるほうが遥かに簡単では…という突っ込みはなしでお願いします;)。
 当然、あちこちでそんな物は無理と断られるのですが、菊池さんの知り合いである女性理科教師さんが、現代でもたまにみかける生石灰の化学反応を利用した加熱式のお弁当箱を思いつき、見事ホイル焼きをいつでもおいしく食べられるようにしていました。
 おそらく、『孤独のグルメ』の五郎さんも食べたジェットボックスシウマイを参考にされたと思うのですが(←『ミスター味っ子』が連載されている1987年に誕生)、菊池さんが「冷たいのが常の駅弁の革命になるぞ!」と言った通り、今でもコアなファンがいるのかちらほら加熱式お弁当は売られていますので、『ミスター味っ子』でさらに知名度が上がったのは意義ある事だったのではと感じています。
 …但し、専門知識も道具もなしに個人で再現しようとするとこちらの記事のように失敗する可能性大、まさに「ジェットのせいで歯車がズレたか…」状態になりますので、自宅で試すのはやめておいた方がいいですね;。 
 下に生石灰のお弁当箱を入れて二重底にし、いつでも温かく食べられる工夫!
 この他にも、陽一君はトンカツ・卵焼き・サラダに工夫を凝らし、及川さんの完璧な幕の内弁当に対抗できるおかず作りをしてしていました。
 お弁当の中で油が染み出して台無しにならないよう少ない油をひいたフライパンで焼き、ソースなしでも食べられるよう様々な出汁を配合した溶き卵につけて味付けした、揚げないトンカツ(←フライ対決の時もそうでしたが、陽一君は揚げ物にタレをたっぷりつけるのが余程イヤな模様。串カツみたいにタレにどっぷり浸ける食べ方を見たら、「あんなにソースかけちゃカツの微妙な味わいもぶっとんじゃって、ほとんどソースの味しかしなくなるぞ」とかぼやいちゃいそうで、ハラハラします;)。
 さっぱり味主体のお弁当にも合うように、濃厚かつ爽やかに食べられるアボカドのスライスを混ぜて焼いた、オムレツ風のアボカド卵焼き(←いまやすっかり定番料理ですね)。
 中身をくり抜いたトマトの器にサラダを入れ、野菜の汁気が流れ出ずドレッシングもよく染みるようにさせた、一石二鳥のアイディアのトマトサラダ←トマトのファルシがモデルでしょうか?中身はサラダだけではなく、挽き肉・魚介類・ご飯・フルーツ・ムースなど色んなバリエーションがあり、イカと同じく世界中の「何か詰めたい」欲を刺激する食材のようです)。
 これらボリュームたっぷりなおかずを熱々(←サラダだけは底に発泡スチロールを詰めて冷たいまま)にして食べさせる菊池屋のお弁当は及川さんのお弁当よりも大人気になり、無事お店は閉店せずに済んでいました。
 なお、冒頭で散々菊池屋のお弁当をこき下ろしていた常連さん達は、「オレたちもたまにはおいかわ以外のやつも食ってみるか」と手の平をくるくるさせて及川さんの元を去ってました(←峰不二子ぶりぶりざえもんを彷彿とさせる変わり身の早さ)。
 「所詮この世は弱肉強食。強ければ生き弱ければ死ぬ」という志々雄真実のセリフを久々に思い出したラストでした。
トンカツには塩コショウやソースではなく、出汁で味付けしてましたアボカド入りの卵焼きで、爽やかなこってり感を演出しますトマトをくりぬいて器にし、中にサラダを詰めます!
 加熱式のお弁当箱は自作できませんでしたが、中身のおかずだったら当管理人でも何とか出来そうだったので再現してみることにしました。
 作中には大体のレシピが載っていますので、ルネッサンス情熱を抱きつつ早速作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、サラダ作り。
 トマトの下の部分を少し切り取って中身をスプーン等でかき出し、中に千切ったレタス、スライスしたきゅうり、薄切りにした後水にさらして水気を絞っておいた玉ねぎを詰めます(←くり抜いた実や種はそのまま食べました)。
 この中へドレッシングをまんべんなくふりかけ、数十分放置して味を浸透させておきます。
※作中の描写だと陽一君は市販品を使っているようでしたが、せっかくなので塩・こしょう・お酢・マスタード・オリーブ油を混ぜて作った洋風ドレッシングを使用しました。
味吉陽一特製幕の内駅弁1
味吉陽一特製幕の内駅弁2
 次は、鮭のホイル焼き作り。
 キャンディー型にアルミホイルをねじって入れ物にしたら、中に薄くバターを塗ってスライスした玉ねぎ→日本酒を振って臭み消しをした生鮭→薄く切った椎茸→ほぐしたしめじの順に具を入れます。
 その上へ白だしや麺つゆを合わせて作った味つき出汁をかけ、バターを乗せたらしっかりアルミホイルの口をとじ、そのままオーブントースターで鮭に火が通るまで蒸し焼きにします。
味吉陽一特製幕の内駅弁3
味吉陽一特製幕の内駅弁4
味吉陽一特製幕の内駅弁5
 今度は、アボカドの卵焼き作り。
 まず、皮と種を取り除いたアボカドを薄いいちょう切りにします。
 油をひいて熱したフライパンへ、塩とこしょうで軽く味付けした溶き卵を一気に流し込んでぐるぐるに混ぜ、半熟状になったら先程のアボカドを乗せて手早く巻きます。
 小さいオムレツ状に成型できたらすぐに火からおろし、お皿に取り出します。
味吉陽一特製幕の内駅弁6
味吉陽一特製幕の内駅弁7
味吉陽一特製幕の内駅弁8
 ここまできたら、いよいよトンカツ作り。
 カツオと昆布の合わせ出汁に鶏ガラスープを混ぜ、塩で濃い目に味付けした混合出汁を用意し、それに筋切りした豚ロース肉を加えて二時間以上漬けます。
 時間がたって味が染みこんだらキッチンペーパーで水気をきっちりふき取り、全体に小麦粉を薄くまぶしてはたきます。
 余分な粉を落としたら、先程の混合出汁を多めに混ぜておいた溶き卵にくぐらせ、たっぷり卵液をまとわせたらパン粉をしっかりつけて密着させます。
味吉陽一特製幕の内駅弁9
味吉陽一特製幕の内駅弁10
味吉陽一特製幕の内駅弁11
 この衣をつけたお肉を、やや多めに油をひいたフライパンへ並べて焼き、片面にこんがりと焼き目がついたらひっくり返してさらに焼きます(←油の量はフライパンをヒタヒタ覆うほどではなく、半ば焼くような感じになるくらいの量で大丈夫です)。
 肉の内部にまで火が通ったらキッチンペーパーへ取り出し、余分な油分をきったら食べやすい大きさにカットします。
 その間、おちょこに入るくらいのもち米を混ぜ合わせたお米を水で研ぎ、少な目の水加減にして炊飯器で普通に炊いておきます。
味吉陽一特製幕の内駅弁12
味吉陽一特製幕の内駅弁13
味吉陽一特製幕の内駅弁14
 全てのおかずが準備出来たらお弁当箱へ詰め、炊き上がったご飯も別のお弁当箱に詰めて梅干しを飾れば“味吉陽一特製幕の内駅弁”の完成です!
味吉陽一特製幕の内駅弁15
 赤・緑・茶・黄の鮮やかな色の取り合わせが見るからに美しく、想像していたよりもまとも(←失礼)で美味しそうなお弁当に見えます。
 作中の表記どおり汁漏れや油漏れもないのがよく、一体どんな味わいかワクワクします!
味吉陽一特製幕の内駅弁16
 それでは、お箸を割っていざ実食!
 いっただっきまーす!
味吉陽一特製幕の内駅弁17


 さて、味の感想は…甘い辛い酸っぱいのバランスがとれた組み合わせで旨し!見た目よりもヘルシーで胃にもたれない、体に嬉しいお弁当です!
 サラダはヘタの周辺がちょっと手こずりますが、ドレッシングがトマトの内側の隅々までしっかり染み込んでトロンとしているのが食べやすくてよかったです。
 普通のサラダよりもトマトの比率が大きくリッチな感じで、甘い汁気が他の野菜になじんでしっとりしているせいかとてもフルーティーな仕上がりのサラダで、ほんのり甘酸っぱい後味が印象的でした。
 きゅうりやレタスのシャキシャキした心地よい瑞々しさと、玉ねぎのシャリッとした僅かな辛味の相性もナイスで、トマトの器と一緒にかじると一体感がすごかったです。
 卵焼きは作中で言われていた通りあっさりかつこってりした味わいで、一口食べた途端豊かなコクが広がります。
 熱が入って青臭さが消えた上トロトロになったアボカドと、半熟状のシンプルな塩味の卵が舌の上で何も引っかかる事なくフルフルととろけて渾然となっていくのがたまりません。
 マグロのトロというよりはくどさと脂っこさが全くない、ボリューム感のあるさっぱりしたバターオムレツみたいな美味しさだと感じました。
 濃厚で膨らみのある味ではありますが、口溶けがさらっとしているのでパクパクと食べられちゃいます。
味吉陽一特製幕の内駅弁19
 ホイル焼きは和風出汁が効いた甘辛いバター醤油味が蒸し焼きにされた鮭にばっちり合っており、ご飯のいい友という出来映え。
 バターのふくよかな風味と鮭の濃いエキスを芯まで吸い込んでホロリと甘くなった玉ねぎ、プリプリシコシコした野趣溢れるしめじと椎茸が脇役とは思えぬ存在感です。
 ホイルの底に溜まった出汁に全ての旨味が溶け出してギュッと濃縮されているのが美味で、それだけで立派な汁物になっているのが格別でした。
 鮭は身がパサつきやすい難しい魚ですが、ホイル焼きだとスープに浸ってずっと美味しさが持続するのがいいです。
味吉陽一特製幕の内駅弁18
 トンカツは普通の物とほとんど変わらないジューシーな揚げ上がりで、衣はカラッとしてザクザク砕けるというよりは、ふんわりサクサクとした口当たりの優しい軽やかな食感でした(←油分はそれなりにありますが、確かにいつもよりも淡白で油切れのいい衣です)。
 残念ながら合わせ出汁の細かい風味はよく分かりませんでしたが、じっくり噛んでいるとまるで万華鏡のように色んな出汁の旨味が口の中でキラキラと移り変わっていく感じで、塩こしょうだけでは絶対出ない不思議と奥深いコクがあるのに驚きました。
 あと、肉と衣全域に程よい塩味が行き渡り、何故か肉がいつも以上にふっくらと柔らかい噛み応えなのが特徴的でした。


 ご飯は通常よりもやや水を少なく加減して焼きましたが、炊き上がりが少し餅っぽい香りがした以外は普段とほぼ同じ炊き上がりで(←冷めた後は匂いが消えてました)、粘りがあってちゃんとおいしいご飯だったです。
 ホイル焼き問題があるので駅弁には難しいと思いますが、トースターで温め直す前提で個人が持っていくならすごくいいお弁当だと思いました。
味吉陽一特製幕の内駅弁20


P.S.
 無記名さん、kawajunさん、おもちさん、たくみんさん、無記名さん、コメントを下さりありがとうございます。
 kawajunさん、コメント重複の件了解しました!ご連絡ありがとうございます(^^)。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『クッキングパパ』の“荒岩流月見ザクラ”を再現!

 春にはお花見、夏にはビアホール、冬にはお正月という絶好の宴会イベントがあるのに、秋には紅葉という格好の題材と、冬に備えて日々旨味を増していく旬の食材が数多くあるにも関わらず、皆で大盛り上がりできるグルメイベントがないのが昔から残念でなりません。
 平安時代だと紅葉狩りの時でも貴族の間で宴会があったそうですが、紅葉は見て騒ぎたくなるというよりは心を落ち着かせる作用があるのか、現代ではとっくに廃れているのが無念です。
 もしかしたら、ある程度「そろそろ今年も終わる」という覚悟ができている冬と違い、秋は「もうそんな季節か…一年終わるの早すぎる」としみじみしてしまって、飲んで騒ぐ気にはなれない方が多いからこれといったイベントがないのかもしれない…と密かに推測しています。

 どうも、ハロウィンが一大宴会イベントになったら洋食&怖いネタメニューが主流になりそうだからそれはちょっと遠慮したいと考えている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が夜のお花見へ出かけた際に作って持って行っていた“荒岩流月見ザクラ”です!
荒岩流月見ザクラ図
 それは、荒岩主任の息子・まこと君がまだ小学三年生だった頃のこと。
 当時、同学年の生徒達の間で「オレたちのあこがれ」「筑紫小のマドンナ」「なんかおじょうさまつう感じ」として密かに有名だった別のクラスの女子・さなえちゃんに、まこと君は淡い恋心を抱きます。
 物語が進むにつれて明るく前向きになっていくさなえちゃんですが、当時はまだ内気でおしとやかな女の子で、九歳とは思えないほど儚げで色っぽい雰囲気が印象的な正当派美少女でした←えっちゃんも同じクラスの女子として初登場していますが、照れ隠しでギャグっぽい行動をしたり騒々しい所がイマイチ異性として見れなかったのか、不憫にも「一緒にいると楽しいけど友達としてしか見れない」的ポジションとして既に固定されてました…つд`)。
 接点が全くなかったので厳しい片思いでしたが、ある日下校途中だったまこと君が転んで怪我したさなえちゃんに応急手当をしたのをきっかけに一目惚れされ、翌朝スヌーピーの便箋に「おつきあいしてください。それとも、もうスキなひとがいますか?あしたへんじ、まってます」と書かれたラブレターを渡されるという、フリーフォール並の急展開を迎えていました←キャラクター付きの便箋で告白とか文通をする世代だったので、読み返してて滅茶苦茶甘酸っぱい気持ちになりました。今だったら、LINEのIDを交換してスヌーピーのスタンプで告白って感じでしょうか;?)。
 口数少なくて大人しそうに見えるものの、実は大胆で肉食系なさなえちゃんの行動力に、ほぼ同年代だった初見時は「すごい勇気!おませさんだな~!」とびっくりしたのを覚えています。
 昔から大好きなのに遠慮して中学三年の夏までずーっとまこと君に告白できず、その後もうまく自分の気持ちに折り合いをつけられずにいた恋愛下手のえっちゃんに比べると、僅か一日で見極め・決心・告白と流れるように的確な判断を下したさなえちゃんはまるで一流の仕事人のように鮮やかなお手並で、女子力スカウターを通したら一体どんな数値を叩き出すのか非常に気になったものです。
小学三年生とは思えぬさなえちゃんのこの色気、未だにすごいな~と思います…
 当然まこと君は大喜びしており、このままだとお二人は順調にカップルになれたはずなのですが、思わぬ悲劇が訪れます…。
 その日の夜、荒岩一家は近所の神社へお弁当を持ってお花見をしに行くのですが、そこで偶然えっちゃん一家と出会って一緒に宴会をする事になります。
 えっちゃんパパと虹子さんはお酒を飲んですっかり意気投合し、賑やかなムードになるのですが、騒がし過ぎて大人達の目が離れた隙にえっちゃんは何と少しだけ飲酒してしまいます『グラップラー刃牙』で未成年の花山薫がワイルドターキーをラッパ飲みするシーンに比べればかわいいものですが、現在は規制があるのでそれでも問題になりそうですね;)。
 おかげですっかり酔っ払ったえっちゃんは、まこと君に密着して積極的に絡みまくるのですが、そこへ間の悪い事に両親とお花見をしに来ていたさなえちゃんにばっちり見られてしまい、かなり気まずい空気のまま立ち去られていました…。
 恋愛シュミレーションゲームだったら、このまま修羅場に突入してもおかしくない失態です(←まだ告白の返事前なので、そこまで荒れていませんでしたが;)。 
 異変に気付いて「どーしたまこと?」と心配する荒岩主任に、「ううん、なんでもない…」と返し、切ない気持ちを無理やり押し隠しているまこと君の様子がいじらしく、大体の初恋はこういうほろ苦い感じで終わるのが普通なんだろうな~としみじみしました。
 それにしても、好きな男の子に絡み酒している自分を見られるなんて結構な黒歴史ですので、このお話を読むたび後々誤解が解けて順調に交際しているさなえちゃんやまこと君よりも、えっちゃんの方が気の毒になります;。
酔ったえっちゃんに絡まれているところを、ばっちり目撃されてました…
 今回ご紹介するのは、荒岩主任が「大人は酒のつまみにコレはどうですか」とえっちゃんのお父さん達に差し入れしていた“荒岩流月見ザクラ”です!
 作り方は簡単で、玉ねぎ・ピーマン・セロリの葉・小ネギ・にんにく・しょうがを二本包丁で細かくみじん切りにし、同じく二本包丁で刻んで塩とこしょうで軽く下味をつけた生食用馬肉へ混ぜ込んでお皿へ丸く盛り付け、仕上げに刻んだ小ネギと卵黄を乗せたら出来上がりです。
 ポイントは、野菜をみじん切りにする時はいつも以上にかなり小さく切り刻むこと、反対に馬肉は刻みすぎてドロドロにならないよう注意しながら縦横に叩き切りすることの二点で、こうすると口当たりと味がよくなるみたいです。
 荒岩主任曰く、「これを牛肉でやるとタルタルステーキ、つまり馬肉に応用したってわけ」だそうで、ユッケとは違うと説明されていました。
 長年、こちらは基本のレシピで変わった所はないだろうと思い込んでいたのですが、材料をよく見るとユッケやタルタルステーキには絶対に入っていないセロリの葉やピーマンが入っており、逆にごま油やハーブは一切使っていないなどオリジナルの点が多く、興味深いと感じました。
 野菜も程よく取れるのに、肉料理らしい満足感もちゃんとありそうなレシピで、何よりヘルシーなのにお酒にぴったりそうなのが嬉しい料理です。
月見をしながら花見もするのにかけ、月見ザクラを持ってくるなんて風流ですね
 近所のスーパーで刺身用の新鮮な馬肉が入荷されていましたので、これは試してみなくてはと思い再現することにしました。
 作中には詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、薬味や野菜類の下ごしらえ。
 ピーマン、玉ねぎ、セロリの葉、小ネギ、にんにく、しょうがをそれぞれみじん切りにし、それを二本包丁を使ってさらに細かくなるまで丹念に刻みます。
※この時の作業が雑だと荒い食感になり、馬肉にもうまくなじまず全体的にバラバラな味になって非常にもったいないことになりますので、要注意です。
荒岩流月見ザクラ1
荒岩流月見ザクラ2
 次は、馬肉の用意。
 生食刺身用の馬肉を横にスライスした後縦にも刻み、ざっくりとしたみじん切り状にしたら二本包丁で細かくなるまで叩き切ります(←あんまりやりすぎるとドロッとして美味しくなくなりますので、「もっと叩けるけど、大体細かい粒になったかな?」「そぼろくらいの大きさっぽい」くらいを目安にやめておいた方がいいです)。
 そこへ塩とこしょうを軽く振り、先程の刻み野菜を加えたら混ぜ合わせながら適度に叩きます。
荒岩流月見ザクラ3
荒岩流月見ザクラ4
荒岩流月見ザクラ5
 馬肉に野菜類が充分行き渡ったらお皿へ丸く盛り付け、中央をくぼませた後に卵黄を乗せ、上から刻み小ネギをパラリと散らし、傍らに汁気をさっときった大根おろしを添えれば“荒岩流月見ザクラ”の完成です!
荒岩流月見ザクラ6
 鮮やかな紅色の馬肉に小ネギの緑と卵黄の黄色が映え、見るからに食欲をそそります。
 今回大根おろしは原作の記述通り横に乗せましたが、淡い白色がどことなく雲を連想させますので、卵黄の隣にちょこんと乗せてみても面白いかもしれません。
荒岩流月見ザクラ7
 それでは、九州ではおなじみのやんわりとろみがかった刺身醤油を回しかけ、つぶした黄身に馬肉をねっとり絡めていざ実食!
 いただきま~すっ!!
荒岩流月見ザクラ8


 さて、味の感想は…お店で食べるユッケに近いクオリティで美味し!それでいて、ちゃんとオリジナリティのある「新・すっきり和風仕立てのユッケ」という味わいで衝撃です!
 こっくりとして少し甘い濃いめの九州刺身醤油、がっつりくるにんにく、キリリとしたしょうがが合わさって生まれた、香味野菜風味のこってり醤油味の味付けがあっさりした旨味の馬肉にぴったりで、ゴマ油がなくてもちゃんとユッケ風になっていました。
 ゴマ油やコチュダレがない分最初の一口にパンチがなくなっているものの、そのおかげで口当たりがさっぱりし、馬肉のほとんど癖がない気品すら感じる甘味と、サラッと溶けていく繊細でくどさがまるでない脂分が引き立っていてよかったです。
 通常、ユッケは細い拍子切りにされている物が多いのですが、細かく微塵切りにする事により、専門店の上級品に比べるとどうしても鮮度や質が落ちてしまう市販の馬肉でも、筋張ってる感じがまるでない舌に沿うようなひたすら柔らかい食感に仕上がっており、極力お店で食べるような旨さになっていたのに感動しました(←正直生肉に限るなら、こんなにしなやかで美味しい赤身はないと断言できます)。
 サクサクしてちょっぴり苦いピーマン、ほのかに清涼感のある香気をプラスしているセロリ、シャキシャキして瑞々しい小ネギと玉ねぎが、決して主張しすぎずあくまでもさりげなく全体を爽やかにまとめているのが秀逸で、馬肉ってこんなに色んな野菜とあうんだな~とびっくりしました(←ユッケには付き物な味の単調さも防いでいるのが地味にすごいです)。
 意外にも、大根おろしのふんわりジュワ~とした甘苦い汁気と、僅かにツンとくるドライな辛味が肉料理の口直しに最適で、刺身のツマみたいな役割を果たしているのがナイスでした。


 以前、カルパッチョ風に仕立てた馬肉料理も作りましたが(←詳しくはこちら)、こちらは純和風で全然違った印象になっていました。
 全然強烈な匂いとかがないのに、それなりに存在感が強いピーマンやセロリの葉が加わってもびくともしない旨味の濃さに、改めてすごい肉だな~と思いました。


P.S.
 無記名さん、はせがわさん、親父.comさん、ゴローさん、AKHさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製おにぎり三種”を再現!

 結婚してまもない頃、スーパーで夫用のお弁当箱を購入した事があるんですが、表面には何故か「pranzo piacere」というよく分からない英単語が記されていました。
 それから数年、夫も当管理人も特に気にせず使っていたのですが、先日ふと好奇心がわいて調べてみた所、イタリア語で「ランチの喜び」という大層な意味である事が判明しました。
 こんな言葉が似合うような華々しいおかずを詰めた記憶はない為(←ハンバーグ・唐揚げ・肉巻き野菜などありきたりな料理ばかり)、それ以来夫にもお弁当箱にも少し後ろめたい気持ちになっている今日この頃です。

 どうも、とりあえずイタリアにちなんでラザニアとかピザとかカツレツとかカプレーゼを入れたスペシャルイタリアン弁当(←デザートは生ハムメロン)を作ろうか考えている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、 『ミスター味っ子』にて陽一君がハイキングでくたくたになっている子ども達の為に作った“味吉陽一特製おにぎり三種”です!
『ミスター味っ子』の味吉陽一特製おにぎり三種図
 陽一君が「ミスター味っ子」としてすっかり有名になった頃、「陽一お兄ちゃんのお弁当が食べたい」という子ども達の希望で子ども会からハイキング用のお弁当の注文が舞い込み、陽一君は大喜びします。
 しかし、それを聞いて黙っていられなかったのが、毎年ハイキングの仕出し弁当を作っていた仕出し屋チェーン大河内組二代目・大河内栄二さん!
 ハイキング前々日になっていきなり日之出食堂に現れ、「うちは県下で最大手の仕出し屋チェーンだ。それがガキの言うこときいてハイそうですかと引けねーんだよ」「オレの親父は県会議員なんだ。おめーの店一つつぶすのは、わけねーんだよ。ここはひとつ穏便にすまそーぜ、辞退しろよ、な!?」と陽一君の髪を掴んで脅していました((( ;゚Д゚)))ガクブル。
 こんなヤ○ザまがいのやり方をされたら、厄介事はごめんとばかりに辞退する方もいると思うのですが、陽一君は怖いもの知らずで「ふざけんなっ。弁当は作る!!」と一刀両断で断っており、大河内さんから「どのみち弁当は作れないことになるぜ」と怖い事を言われていました(←正直、県会議員の方は住民の支持がないと選挙で選ばれませんので、多くの地元住民から好かれている陽一君をこんな風に扱ったと知ったら、お父さんはかえって激怒すると思うのですが…大丈夫なんでしょうか;?)。
 こういう時、『将太の寿司』だと家族が乗った船を沈められたり、わざと車のドアで指を挟まれて負傷させられたり、希少な海苔畑を燃やされたり、線路に突き落とされて電車に跳ねられたりという恐ろしい妨害行為に晒される危険性があるのですが、陽一君の場合はハイキング前日に大河内さんが町中の卸売業者を大宴会に招いて臨時休業させ、仕入れを不可能にするという比較的平和(?)な妨害で済んでおり、ちょっとほっとしました(^^;)。
 なお、大河内さんはその際「所詮世の中は金と力。子供は家でおとなしくしていること 大河内」という貼り紙をご丁寧に日之出食堂に残しており、逆に陽一君の闘志に火をつけています(←煽り煽られ慣れている陽一君が、思わず返す言葉もないくらいに煽られた貴重なシーンです)。
いきなりやってきて、ハイキングの仕出し弁当を作る権利を返せと脅す大河内さん;
 こうしてハイキング当日、陽一君は調味料・お米・ワカメ・炊飯釜という最低限の材料だけ持って現地に駆けつけ、周囲に住む親切な農家の方にお願いしてカボチャ・キャベツ・タケノコ・ほうじ茶を分けてもらい、法子さんと一緒に急いでおにぎり作りに取り掛かります←百人分もの野菜を厚意で分けて下さるなんて、本当に仏のような方々だと思います…。芸能人が取材先で親切な地元の方々に色んなものをおすそ分けされる展開の番組は昔からありますので、もしかしたらその感覚で分けてくれたのかもしれませんね。陽一君、一応有名人ですし)。
 その結果、用意できたのが“味吉陽一特製おにぎり三種”です!
 一つ目の“タケノコおにぎり”は、一見ただのタケノコの丸ごと煮に見えますが、中には刻みワカメを混ぜてほうじ茶で炊き込んだご飯が詰められているというユニークな仕掛けが施されていました。
 タケノコにご飯を詰め込むとは前代未聞だと思いましたが(←肉詰めはありました)、大分県竹田市には焼きタケノコに煮た鶏肉やシイタケ入りの酢飯を詰めた“焼きタケノコ姿ずし”、高知県には出汁で煮たタケノコにゴマ・シソ・ワサビ・山椒を混ぜた酢飯を詰めた“タケノコ寿司”が実在していますので、意外とありなのかもしれません。
 あと、ほうじ茶でご飯を炊くという手法も奈良の郷土料理・“奈良茶飯”が既にあり、遠い昔から親しまれていたお墨付きの調理法みたいで、何とあの『東海道中膝栗毛』にも記載がある料理とのこと。
 行き当たりばったりに見えて、実は陽一君かなりのインテリ料理人なのかもしれません。
 運よく近辺に住む農家の方々から食料を分けてもらった陽一君何と、たけのこの中にほうじ茶とわかめの炊き込みご飯を詰めていました!
 二つ目の“カボチャおにぎり”は、柔らかく煮たカボチャを混ぜたご飯をソフトクリーム用のコーンに乗せて食べる、現代においてもかなり奇抜な発想のおにぎりで、初見時は「えー!本当に合うのそれ!?」と困惑したのを覚えています;。
 コーンの調達も、展望台にある土産物屋の隣のソフトクリーム屋で買って済ませていたものの、「コーンだけ売ってくれるなんて、そんな事出来るのかな…?」と長年疑問でしたが、何と少なくともサーティワンアイスクリームでは可能みたいで驚きました←なので、こちらもその系列だったと考えれば、かなり無理やりですが一応はOKだった事になります…問題は、百個もいきなり売ってくれるか?って事ですが)。
 法子さん曰く、「コーンの味がカボチャおにぎりの自然な甘味にとってもよくマッチして…」だそうで、食べやすさにも味にも満足していました(←ふと、ドラマ版『孤独のグルメ』の五郎さんが言っていた「買い食いに最適、おもちゃっぽい味」という表現を思い出しました)。

 そして、三つ目の“ロールキャベツおにぎり”は、茹でたキャベツの葉にドライカレーを包んで竹串に刺したアイディアおにぎりで、これは今も昔も素直に美味しそうだな~と思います。
 辛いカレーと甘いキャベツという合わない訳がない組み合わせで、これはもう作ってレシピにしている方もいるんじゃないかな~と思ったんですが、意外にもネットでは一件もヒットしませんでした。
 野菜が不足しがちなおにぎり弁当においては、貴重な葉物野菜がたっぷり取れる素晴らしいレシピだと思いますので、陽一君のさり気ない心配りに未だ感心する一品です。

 余談ですが、大河内さんの所は部下ではなく社長自らレシピを考案していたそうで、スモークサーモンとレモンでおにぎりを巻いた赤色おにぎり、卵の黄身をまぶして大徳寺納豆を握った黄色おにぎり、アナゴと数の子を握ったおにぎりを笹の葉で包んだ緑おにぎりをセットにした三色おにぎりで勝負を挑んでいました(←スシローの元社長である豊﨑さんは現場好きで、数年前までエビアボカドを筆頭に数百種類の創作メニューを生み出していたそうですが、大河内さんもそういう根っからの職人タイプだったのかもしれませんね)。
 三色おにぎりは大人好みの贅沢なおにぎりで、それはそれで好評だったんですが、女の子達が陽一君サイドのおにぎりを「すってきー」「おっしゃれー」と口コミで素早く情報を流し、「手洗い場が充分にない場所でも飯粒で手を汚さずおにぎりを食べられる」という決定的な利点を見出してアピールしていた為、あっけなく陽一君に敗れていました;。
 たとえ子ども達相手の商売でも、歩く食べ○グみたいな女子達のネットワークを甘く見てはいけないと痛感したお話でした。
ソフトクリーム屋さんでコーンを買い、カボチャおにぎりを乗っけちゃってました茹でたキャベツの葉でドライカレーを包み込んだ、名づけてロールキャベツおにぎり!
 『ミスター味っ子』文庫本の特別企画で辻学園様が既に再現されていましたので、安全性は保証されていると考え再現してみることにしました(←失礼すぎる発言)。
 作中にある大体の作り方や材料、文庫本にある再現レシピを参考にしつつ、心にルネッサンス情熱を抱いて作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、“タケノコおにぎり”作り。
 タケノコを丸ごと水煮にした物を、合わせ出汁、塩、醤油、みりん、砂糖をあわせて沸騰させたお鍋に入れ、中火で何十分かかけて煮込みます。
 何度か火入れと冷ます工程を繰り返して中にまで味をしっかり浸透させ、煮上がったら完全に冷めるまで放置しておきます。
 その間、炊飯器へほうじ茶と研いだお米を入れて浸水させ、塩を加えて普通に炊いたら刻んだわかめを投入し、しゃもじでさっくり切るようにして混ぜます(←ほうじ茶で炊いたご飯は、炊き上がりがすごく香ばしくていい匂いです…)。
 先程のタケノコの中身をナイフ等で円形になるよう慎重にくりぬいたら、中に付着しているアクを取り除き、ほうじ茶とわかめの混ぜご飯をふんわりかつきっちりと詰め込みます。
※くりぬいた中身はアクを洗い流した後また煮汁にくぐらせ、残った混ぜご飯に加えて食べるとおいしいです。
味吉陽一特製おにぎり三種1
味吉陽一特製おにぎり三種2
味吉陽一特製おにぎり三種3
 次は、“カボチャおにぎり”作り。
 種を取って一口大に切ったカボチャを合わせ出汁、砂糖、醤油を入れたお鍋に入れて、中火で三十分以上かけてじっくりと煮ます(←カボチャ本体に旨味が残るよう、煮汁は普段より少なめに設定して煮た方がいいです)。
 カボチャが簡単に崩れるくらい柔らかく煮えたら火からおろし、カボチャの皮を取り除いて実だけ炊きたてご飯に合わせ、さっくりと混ぜ合わせます(←もしカボチャがそのままだと崩れないようだったら、漉し器にかけてペースト状にしてから混ぜて下さい)。 
 ご飯にカボチャのペーストが行き渡ったら丸く成型し、アイスクリーム用のコーン(シュガーコーンタイプがおすすめ)にそっと乗せて一体化させます。
※かぼちゃの皮の部分もおいしいので、そのまま食べちゃって下さい。
味吉陽一特製おにぎり三種4
味吉陽一特製おにぎり三種5
味吉陽一特製おにぎり三種6
 今度は、“ロールキャベツおにぎり”作り。
 熱したフライパンへバターを入れて溶かし、ご飯を投入してざっと炒めます。
 ご飯全域に油分がなじんできたら、カレー粉、トマトジュース(又はケチャップ)、醤油、中濃ソース、ウスターソース、コーヒーを加え、手早く混ぜ合わせます。
※残念ながら、原作にはドライカレーの詳しい味付けは記載されていませんでしたので、想像が多分に入ります;。
 ただ、対決時の状況や料理の絵から察するに具は一切入ってなさそうなのと、カレー勝負の時にインスタントコーヒーを隠し味に使ったり、お好み焼き勝負の時にふりかけを複数ミックスさせて味付けしたりと調味料で工夫するシーンが多数見受けられましたので、それらのシーンを参考に味付けしてみました。

味吉陽一特製おにぎり三種7
味吉陽一特製おにぎり三種8
 このドライカレーを、塩を入れたお湯で数分茹でて水気をしっかりふき取った後、塩とこしょうを軽くふっておいたキャベツの葉で丸い形になるよう包みます。
 包んだら、三個セットにして竹串に刺しておきます(←キャベツの継ぎ目を串で縫い止めるようにして刺すと、出来栄えがキレイで崩れにくくなります)。
味吉陽一特製おにぎり三種9
味吉陽一特製おにぎり三種10
 出来上がった三種類のおにぎりをお皿(又はお弁当箱)へ盛り付ければ、“味吉陽一特製おにぎり三種”の完成です!
味吉陽一特製おにぎり三種11
 ぱっと見はとてもじゃないですがおにぎりには見えませんが、文庫本で見た辻学園様の再現図と同じく、そこまで「うわぁ~;」となる見た目ではありません。
 心配していたタケノコからのおにぎり崩落は全くなく(←しばらく持ち上げてもスポッと抜けることはありませんでした。切った後はあっけなくはがれますが)、カボチャおにぎりの大きく横に傾けたりはしない限り落っこちたりもなく、実際にやってみるもんだな~と感心しました。
 ただし、肝心なのは味そのもの…試食してアリかナシかを判断しようと思います!
味吉陽一特製おにぎり三種12
 それでは、食べやすく切っていざ実食!
 いっただっきま~すっ!
味吉陽一特製おにぎり三種13


 さて、味の感想は…どれも個性的すぎて、「やっぱりおにぎりではないな~」と苦笑しましたが、普通に旨し!確かにお弁当向きだとは思います!
 タケノコおにぎりは、正直タケノコの存在感が強すぎてたけのこ7:ご飯3の割合になっており、一緒に食べるとご飯の繊細な味わいは消し飛んでしまってました;。
 しかし、和風出汁でほのかに甘い醤油味に煮付けられたあっさり仕立てのタケノコの煮物と、ほうじ茶の品がよくてキリッと香ばしい風味(←麦茶に近い焦がし風味ですが、あちらより凛とした後味が特徴的)が活きたさっぱり塩味のわかめご飯は相性がよく、タケノコを一口大にしてご飯に握りこんだら大化けしそうです。
 出汁をたっぷり吸ってサクサクジュワ~としたしっとり歯応えのタケノコに、適度な磯の香りとコリコリした歯触りのわかめの取り合わせは若竹煮の味わいに似ており、料亭風の純和風な仕上がりになってました。

 ロールキャベツおにぎりは、このままお店で出してもおかしくない程完成度が高い創作洋食。
 クタクタに煮えてジャクッと柔らかくなりつつも、しなやかな張りがある茹でキャベツにかぶりつくと、中からピリッと刺激的でスパイシーな本格派ドライカレーがはらりとほどけ、キャベツのミルキーな甘さと一体化していき、何とも言えない甘辛い味わいになっていくのがたまりません。
 具なしではありますが、コーヒーのほろ苦さ、ウスターソースや中濃ソースのフルーティーな甘酸っぱさなど様々な調味料が効いてびっくりする程奥深い旨味が生まれており、肉なしでも十分コクがあってボリューム満点になっていました。
 ご飯料理に鉄則の「お米が主役」というテーマにきっちり沿ってる一品です。

 カボチャおにぎりは、ペースト状になってもなおホクホクしているカボチャの煮物がご飯一粒一粒をしっかり包み、噛むごとにねっとりとろけ、濃厚かつ自然な甘味が口の中で二重に溢れるのが幸せな気持ちになります。
 最初はゲテ物に思ったコーンとカボチャご飯の組み合わせですが、実際に試すとカボチャの強い風味が災いして単調になりがちなおにぎりに、サクサクカリッと小気味良く砕け、素朴で香ばしいアクセントをプラスしているクッキー風コーンがすごく合っていて、次の一口をさらにおいしくさせていました(←カボチャパイを食べる時の醍醐味に近いです)。
 イメージ的には砂糖控えめのカボチャアイスを連想させるデザート風おにぎりで、主食というよりは本当にお菓子みたいな美味さでした(←よく言えばカボチャが主役でご飯ありでも違和感ナシ、欠点を言うならご飯は二の次になっており、純粋に「おにぎり」とはいい難い仕上がりなのが惜しかったです…まあ、味的にはそれでよかったかもしれません)。
味吉陽一特製おにぎり三種14


 無難とか万人受けとは対極にある料理ですので、大多数の方に受け入れられるとは言いにくいですが、少なくとも当管理人と夫は「おいしい」と感じました。
 最も男性受けしにくそうな“カボチャおにぎり”も、夫はコーンとカボチャおにぎりの相性のよさに驚いており、好みの問題もありますが決して不味くはありません。
 この中で調理的にも味的にも試しやすいおにぎりは“ロールキャベツおにぎり”だと思いますので、色んな方に食べて頂いて判断してもらえたらいいのにな…と思った再現でした(←キャベツの鮮度を保つのが難しいかもしれませんが、コンビニで商品化とかも狙えると味かと)。
 あ、ちなみにあまったカボチャご飯は塩気を強くしたふわふわ卵でオムライス状にし、ケチャップをかけて食べても合ってておいしかったです。


P.S.
 おもちさん、コメントして下さりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ