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『クッキングパパ』の“高菜巻き”を再現!

 寒くなってきたせいか、年頃になって別の場所で寝るようになった猫達が布団に集まるようになり、まさに川の字で寝るような事態になっています(←二人と二匹なので、本当は川だと一字足りないのですが;)。
 大抵はカップヌードルに入ってる乾燥海老のようにくるりと丸まって寝ているのですが、体が充分に温まると熱くなる→けど出たら寒い→そうだ空気に触れる面を大きくしよう!という感じで、今度は真っ直ぐ揚がった海老天状態にピーンと体を伸ばして寝る有様で、自然布団から押し出されて風邪気味になっている今日この頃です…。

 どうも、頭から足先まで冬越えの肉がぷっくりついているせいか、寝転ぶ姿が太巻きみたいになっている猫達をほほえましく思う当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任がおすそ分けされた自家製高菜漬けを使って作った“高菜巻き”です!
『クッキングパパ』の“高菜巻き”図
 それは、田中君と夢子さんがまだ結婚する前の微妙な関係だった頃のこと。
 親戚の世話好きなおば様から「とにかく会うだけでも…」と強引に誘われた夢子さんは、お互い意識するようになっていた田中君のデートの誘いを断って休日に鹿児島へ帰り、お見合いをする事になります(←今や婚活サイトや出会い系アプリが「お見合いおばさん」役として活躍している為、本家の方は絶滅寸前ですが、『クッキングパパ』ワールドではまだまだ健在の模様;)。
 こういう場合、婚活漫画だと「異性としてはちょっと…」な方を紹介されてがっくりする展開が多かったりするのですが、夢子さんのおばさんは凄腕の良物件ハンターだったらしく、イケメン・公務員・好青年と三拍子揃った男性が紹介されており、このまま真剣にお見合いをしていたら田中君危なかったのでは…?と心配になる程でした。

 しかしこの時、夢子さんに断られて傷心中だった田中君は、全国温泉巡りの旅に出ていた花田君から「温泉に一緒に行かない?」と誘われて鹿児島温泉巡りに来ており、偶然夢子さんがお見合いしているホテルのレストランで鉢合わせするというミラクルが発生!
 その際、映画『卒業』みたいに夢子さんを連れて逃げていたらドラマチックに盛り上がったかもしれませんが、残念キャラな田中君は既にお酒の飲みすぎでベロンベロンになっており、お見合いの席に泥酔状態で絡んだ挙句「先輩にはオレといういい男がおるやろうが」とテーブルを叩いたはずみにバランスを崩し、テーブルやお料理ごとひっくり返って頭を打って気絶するという、ホテルに向こう五十年は出入り禁止されてもおかしくない失態を演じてお見合いの席をぶち壊すというトンデモ行為に及んでいました(゜д゜;)ポカーン。
 『美味しんぼ』で山岡さんとお見合いしていた元婚約者に、「何てひどい趣味だ。よくそんな服を着て人前に出て来れるね」と言い放った男性に匹敵するレベルのお見合いキラーっぷりです(←むしろ、周囲へのフォローや割れたお皿などの弁償の分も考慮すると、田中君の方がより悪質な気が…)。

 正直こんな醜態を見たら百年の恋も冷めてもおかしくないはずなのですが、天使を通り越してもはや観音菩薩級に心が広く慈愛深い夢子さんは、断りきれなかったお見合いだからいいのよと前置きした上で「だから…ありがとう田中くん」と逆にお礼まで言い、その日の夜には三人揃って円満に博多まで帰っていました;←年下の夢子さんに甘える年上の田中君…まさか最近流行しているバブみを数十年前に先取りしているとはびっくりです)。
 何だか少し腑に落ちないですが、気の合う仲間と一緒に夜中のドライブをしつつ目的地へ向かうというシチュエーションは大人だからこそ出来る青春というイメージで、個人的に好きなシーンだったりします。
偶然鹿児島で再開した奇妙な三人組でしたが、最後は丸く収まってました;
 その後、花田君の車の調子が悪くしょっちゅう止まってしまう為、朝までに到着しなければいけない田中君と夢子さんは途中下車して終電に乗り、花田君だけ走ったり止まったりを繰り返しながらまったり博多方面へ向かう事になります(←余談ですが、アクシデントがあって仲間達が離れ離れになり、それぞれ目的地へ向かうという展開があると何故かワクワクします。ただ、あんまり長く離れ離れだとダレるので、映画『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』の構成がちょうどいいバランスだと勝手に認識してます)。
 そんな中、慣れない道にすっかり迷った花田君は深夜にある山中に迷い込み、運悪く車もエンストして止まってしまった為、今夜は車中泊することに。
 けれども、ちょっと歩いた先にポツンと小さな宿があるのを発見した花田君は気になって敷地内に入り込み、そこで素晴らしく澄んだいい泉質の内湯があるのを発見して疲れていたのもあって入浴し、そのあまりの気持ちよさにお湯に浸かったまま熟睡しちゃってました;。
 携帯なし、一人ぼっち、深夜の山奥、人気のない宿、真っ暗で静かに湯気が立つ温泉…とここまで不気味でホラーな設定が盛り込まれると、『世にも奇妙な物語』『アウターゾーン』に出てくる恐ろしくて奇妙な世界に迷い込んだのでは?と普通なら怯えそうなものですが、花田君は浮世離れ&旅慣れしているせいか全然気後れしておらず、この人ならたとえ本物の幽霊旅館や迷い家でも飄々と攻略できそうだと苦笑したのを覚えています。

 幸い、宿の管理をしているご夫婦はいい方達で、朝までぐっすり寝込んでいたのを発見されて「ははは…そりゃのんきやな」「なんか、はん(訳:あなた)から金もらう気がせんど」と笑って許してくれたのですが、それでは気がすまないと花田君は浴場の掃除を手伝ったり、買い物に行ったり、洗濯や掃き掃除をしたりなど色々手伝い、何だかんだで数日滞在してすっかり宿になじんでいました(←ちなみにこちらは実在する温泉宿で、地元では皮膚病が治るなど知る人ぞ知る秘湯との事。作中に乗っている「入浴料:大人300円」の値段は現在でも変わっておらず、良心的すぎると感動したものです)。
 思えば、先程ご紹介した奇妙な世界系作品に属する『笑ゥせぇるすまん』でも温泉宿に滞在する主人公の話がちらほらあるのですが、そちらは「藤子不二雄Ⓐ先生は温泉地に何か恨みでもあるんだろうか…?」というくらいあんまりなラストが多かった為、花田君はいい環境に恵まれてよかったな~とほっとしました(←日頃から変に自分を抑圧せず純粋な善意だけで行動しているので、仮に喪黒さんに会っても「ドーン!!!」な展開にはならないでしょうが;)。
迷い込んだ温泉ですっかりくつろぎ、そのまま寝ちゃった花田くん;温泉代のお礼にと恩返しで数日滞在し、すっかり信頼されます
 その後、連絡が全く入らずやきもきしていた田中君達の前にやっと花田君は顔を出し、「温泉のおっちゃんおばちゃんが、別れ際にいっぱいくれたんだ!!」という自家製高菜漬けをその場にいた金丸産業社員達に配っていました。
 中でも大量におすそ分けされたのが荒岩主任で、花田君としては「いつも博多にくるたびなにかとお世話になってますから」とお礼のつもりで渡したそうなのですが、もらいっぱなしじゃ悪いという理由でその日の夕食に招待されていました。
 こうして、花田君から貰った高菜漬けを使って荒岩主任が準備した夕食が、この“高菜巻き”です!
 作り方は簡単で、高菜漬けの葉部分を巻きすに敷いて酢飯を薄く広げ、その上に細く切った長芋・練り辛子と醤油で味付けした納豆・細かく叩いた梅肉、わさび醤油に漬けたまぐろ・練り辛子と醤油で味付けした納豆・刻みネギ、焼肉のタレを絡めて焼いた牛カルビ肉・キムチの組み合わせでそれぞれ置いて巻き、一口大に切ったらできあがりです。
 ポイントは、高菜漬けは一旦水で洗ってよく絞ってから使うこと、酢飯は多く乗せすぎないことの二点で、こうすると水っぽくならず高菜にちゃんと酢飯が付いてうまく巻けるとの事でした。

 大分県日田市の伝統料理“たかなずし”が元ネタだそうで、1986年には当時の食糧庁がふるさとおにぎり百選の一つとして選んだそうです。
 元祖は納豆・山芋・ネギのみというシンプルな作りみたいですが、荒岩主任は試行錯誤したのか色んな具を使っており、ビールのおつまみにしても合うようなバラエティ豊かな味付けにしていました。
 漬物で作るお寿司というと青菜巻きが真っ先に思い浮かびますが、高菜漬けで作るとまたひと味違うようで、どういう味がするのか昔から気になったものです。
別れ際に温泉の奥さんがたくさんくれた高菜漬けで作りました
 地元で評判の高菜漬けが手に入ったので、いい機会だと思い再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、具の下ごしらえ。
 納豆は一旦何もかけずによ~くかき混ぜてから練り辛子と醤油で味付けし、小ネギは小口切りに、梅干は種を取り除いてから細かく叩いてペースト状にしておきます(←納豆は醤油を入れすぎるとゆるくなって巻きにくくなりますので、要注意です!)。
 長芋は流水で汚れ等をしっかりこすり洗いして落とし、皮がついた状態のまま細長く切ります。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”1
『クッキングパパ』の“高菜巻き”2
『クッキングパパ』の“高菜巻き”3
 焼肉用スライスカルビ肉は熱したフライパンで両面をこんがり焼き上げ、お好みの焼肉のタレを回しかけて煮詰めながら絡め、濃い目の味をつけておきます。
 まぐろのサクは細長く切ってからボウルに入れ、醤油と練りわさびを加えて味をなじませて浸け、ヅケ状にしておきます(←小さく切られているまぐろは、再現とは全く関係のないおつまみのまぐろとろろ用ですのでスルーして下さい;)。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”4
『クッキングパパ』の“高菜巻き”5
『クッキングパパ』の“高菜巻き”6
 次は、巻き作業。
 高菜漬けは水で漬け汁を軽く洗い流して水気をしっかりきり、その上手でしっかりと絞っておきます(←あんまり強い力でやりすぎると、葉がぼろぼろに破れますので気をつけて下さい)。
 その間、炊きたてご飯を水分を含ませた飯台(又はボウル)へ移して寿司酢を回しかけ、しゃもじで切るようにしてさっくりと混ぜ合わせて酢飯を用意します。
 この酢飯を、巻きすの上に広げて敷いておいた高菜漬けの上に乗せ、薄く均一に広げます(←上と下の部分に少し空きを作り、のしりろ部分にしておきます)。

※酢飯は、ミスター味っ子のお寿司再現の時にマスターした砂糖抜きの酢飯にしました。昆布・塩・リンゴ酢などのブレンド酢だけなのに、本当に自然な甘さでくどくない美味しさですのでおすすめです!
『クッキングパパ』の“高菜巻き”7
『クッキングパパ』の“高菜巻き”8
『クッキングパパ』の“高菜巻き”9
 中央よりやや下に、長芋、梅肉、納豆を細長く乗せ、強すぎず弱すぎずの力加減でくるくる、キュッキュッと巻き込みます。 
 これで、巻物自体はほぼ出来上がりです。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”10
『クッキングパパ』の“高菜巻き”11
『クッキングパパ』の“高菜巻き”12
 あとは先程と全く同じように高菜漬けと酢飯を巻きすにセットし、続けてまぐろ・納豆・刻みネギ、焼肉・キムチの具の組み合わせでどんどん巻いてきます。
※巻いてすぐに切らない場合は、ラップで全面を覆うと乾燥しません。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”13
『クッキングパパ』の“高菜巻き”14
 全ての巻物を巻き終えたら、一回一回包丁をぬぐいながら程よい大きさに切り分けていき、それぞれお皿へ盛り付ければ“高菜巻き”の完成です!
『クッキングパパ』の“高菜巻き”15
 予想以上に高菜漬けの何ともいえない野趣溢れる香りが強く、色んな意味で海苔巻きよりも自己主張が強いな~と思います。
 高菜と酢飯という組み合わせは地味に初めてなので、どんな味になるのか楽しみです!
『クッキングパパ』の“高菜巻き”16
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いただきま~すっ!!
『クッキングパパ』の“高菜巻き”17


 さて、味の感想は…高菜ご飯好きには間違いのない美味しさ!青菜巻きとは似て非なる味わいです!
 青菜はもう少し葉に歯応えがあり、きゅッとしてしっかりした口当たりですが、高菜はしんなりジャクッとした柔らかい張りのある食感で、よりご飯に馴染んでいるように思いました。
 高菜の方が乳酸発酵させた漬物特有の後引く酸味と、ほんのり油分があるような独特のコクがある為、青菜よりもずっと癖があって合わせる食材を選ぶ感じではありますが、その分旨味も濃く病み付きになります。
 葉自体に適度な塩分がついていて醤油がいらない為、それぞれの味付けの違いがさらに映え、具の個性がはっきり出やすいのが特徴的でした。

 長いも巻きは、シャクシャクした鮮やかな歯触りと次第にトロトロと崩れてくる粘りが心地よい長芋に、爽やかな酸味が効いた梅干しが抜群の相性。
 そのままの組み合わせだと少し物足りない所を、納豆の熟成した味が程よいボリューム感をプラスし、ネバネバパワーも旨さも二倍にしています。
 山かけまぐろ軍艦を連想させる、さっぱり上品な後口が良かったです。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”19

 鉄火巻きは、わさびのピリッとした辛味と濃い醤油味が染み込んだ粋なヅケまぐろが不思議と高菜にマッチしていて、生臭みすら緩和しているのに驚きです。
 納豆もネギのあるなしではこんなに味が違うのかという垢抜けようで、ネギのキリリとした風味が全体を引き締めていました。
 例えるとするなら「あっさり仕立ての爆弾納豆巻き」というイメージの美味さです。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”18
 焼肉巻きは、この中で一番こってりかつがっつりした一品で、「ごま油なしの焼肉とキムチのキンパ巻き」みたいな味付けでした。
 焼肉ダレの力強い濃厚にんにく醤油味と、牛カルビのガツンとくる旨味のコンビが焼肉屋風寿司って感じで、高菜が脂っこさをすっぱり断ち切るのが秀逸。
 キムチの海鮮出汁が効いたピリ辛味が酢飯に染みて、和風の具では出ない深みが出ているのがナイスです。
『クッキングパパ』の“高菜巻き”20


 今まで高菜漬けといえば、ごま油や醤油で炒めてご飯に乗っけるのが一番おいしいと信じていただけに、お寿司風にしても合うんだな~と目からうろこだった再現でした。
 イカ+明太子+納豆+長芋の組み合わせで巻いてみても美味しそうなので、一度試してみようと思います。


P.S.
 kawajunさん、たかなかさん、ノリスケさん、あめふらしさん、コメント・ご要望・ご質問を下さりありがとうございます。
 黄色文字の件、承りました。今後、気をつけてみますね。
 あと、“堺一馬特製チキンカレー”のお水の件ですが…自分の記憶や夫の返事でも、「そういえば、どっちもお水を飲まなくてもおいしく食べられた!」という恐るべき結果でした;(←食後に飲み物は飲みましたが、どちらも量的にそんな変わらなかったような…。では、やっぱり味が濃厚で辛くてもお水を飲まずに済んだ一馬君の方がすごいんじゃry)。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“堺一馬特製チキンカレー”を再現!

 無職の漫画キャラというと『ドラゴンボール』の悟空が真っ先に頭に思い浮かびますが、最近どうやら『アンパンマン』のカレーパンマンもそうらしいと知って驚きました(←アンパンマンは街のパトロールをする警察的役割、しょくぱんまんは食パン工場で給食用のパンを焼いたり配達したりしているのですが…)。
 公式の設定によると、近年たま~にしょくぱんまんの配達を手伝うこともあるそうですが、基本カレーが丘で昼寝したり気ままにすごしているとかで定まった仕事はないらしく、「ピリッとした江戸っ子的性格で頭にも中辛カレーが詰まっているのに、それとは相反して甘口な生活を送っているな~」と苦笑したものです。

 どうも、最近カツカレーパンという新商品が出つつあると聞いて「その発想はなかった!」と衝撃を受けた当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』で陽一君とカレー対決で初めて戦った一馬君が作った“堺一馬特製チキンカレー”です!
“堺一馬特製チキンカレー”図
 後に味皇GPへ関西代表として出場して有名になる一馬君ですが、初登場時はまだ十五歳くらいのあどけない少年で、陽一君とはお互い第一印象は最悪だったものの、勝負後は同い年という事もあってすぐに仲良くなっていました。
 携帯どころかネットもない時代、「中学生で気が強い勝負好きな天才料理人」という狭すぎるジャンルでここまでピンポイントに気が合う仲間を見つける事は至難の業だったはずですので、今考えれば貴重な出会いだったと思います←現代なら、マッチングアプリやSNSで気の合う仲間を探す事は簡単そう…と想像しましたが、よくよく考えれば陽一君も一馬君もそういうのに疎くて向いてないので、やはり難しかったかと。お二人の性格上、すぐ炎上しそうですし;)。
 また、原作には登場していない裏設定ですが(←詳しくはこちら)、作者の寺沢先生曰くどうやら一馬君はいいとこのぼんぼん育ちで、小さい頃から美人で上品なお姉さんに見守られつつ好きな料理をして過ごしていたのだとか。
 永田さんの援助があるとはいえ、最新式の機材に囲まれた厨房で最高級食材を湯水のように使い、ばんばん気前よく料理する姿を見ては「すごい度胸だな~;」と感心していましたが、そういう生まれだからこそ物怖じしなかったんだろうな~と思うと、妙に納得したものです。

 このように、才能や実力のみならず生まれもサラブレッド級という嫌味なくらい恵まれている一馬君ですが、それでも昔から根強い人気があるのはその明るい性格だけでなく、高い能力を持っていながら陽一君には後一歩及ばず勝てない、永遠の引き立て役で三枚目のライバルともいうべき立場が定着しているからで、見ていると歯がゆくてつい応援したくなるからでは?と推測してます(←いわゆる判官贔屓ですね。あんまり強すぎてもつまらないのは、どの世界でも同じみたいです)。
 他の作品で似ているキャラを挙げるとするなら『ドラゴンボール』のベジータがしっくりくる感じで、「主人公に次ぐ能力の高さゆえ、パワーアップした主人公や新しい敵の強さを示す為に敗北する」というかませシーンがある所までそっくりな為、そういう不遇さが陽一君よりも肩入れしたくなる理由の一つだったりします;。
お互い初めて出会う同年代の料理人だったせいか、すぐに仲良くなってました
 ちなみに、実家がお金持ちの割に初期の一馬君は「夢が…一軒の店やて?小さすぎるでっさん…!オレの夢はまだまだ始まったばっかしやで」「一軒の店を持つのはその夢のほんのとっかかり!悪いがおっさんもそのための足がかりにしかすぎんのや」となかなかの野心家で、人のいい永田さんを利用する気満々でした(←中学生の身でパトロンに一流店をプレゼントされるという、銀座の高級クラブのママもびっくりなサクセス話を持ちかけられているというのに、さらにその先を見ている一馬君の発想が壮大すぎてもう…。一瞬、<美食倶楽部>一店舗で満足している雄山氏がつつましく見えるという恐るべき錯覚を起こしかけました;)。
 しかし、『ミスター味っ子Ⅱ』で再登場したアラサーの一馬君は、現在体調を崩している永田さんを「昔から世話になってる人」だと語り、会社を乗っ取るには絶好の機会にも関わらず息子のように支えていたのでほっとしました(←最初はドライな考え方をする性格だったのに、段々悪になりきれない一面が目立ってくる所がまたベジータっぽいです;)。
 大人になってからは料理人としてでなくゼネコン会社の社長代理として働き、国内外含め飲食店関連の建設工事を行い経営者の視点で料理界を変えようとしているのが意外でしたが、思い返せば『ミスター味っ子』時代から料理を多角的な視点で捉えたり、コオロギ君を始めとする弟子達の教育や指示が非常に上手だった印象がありますので、ある意味当然の帰結だったのかもしれません。
 とはいえ、そんな中でも一馬君は料理人としての自分も忘れておらずたまに料理をする描写もあるのですが、大人になって身につけた得意料理は焼きそばや関西風うどんなど故郷・大阪の料理ばかりで、人間グローバルな視点を持つようになると『美味しんぼ』の日本全県味巡りのように原点回帰したくなるのかな?と感じたものです。
初登場時はなかなかの野心家で、永田おじさんを利用する気満々でした
 そんな一馬君が“味吉陽一特製パイナップルカレー”に対し、「最後に勝つのはこの堺一馬や!!味吉陽一が日本一の天才なら、オレは世界一の天才やで!!」と絶対の自信を持って出したのが、この“堺一馬特製チキンカレー”です!
 作り方は相当に手間がかかっており、玉ねぎ・にんじん・にんにく・しょうが・三十六種類のスパイスなどを炒め、二日ヨーグルトに浸けた軍鶏のもも肉を汁ごと投入して煮込み、サフランライスの上にかけたら出来上がりです。
 薬味は陽一君と同じく三種類で、刻んだキウイを混ぜたカッテージチーズ、マーマレードジャム、きゅうりのピクルスという比較的凝った物を用意していました(←調べた所、何とハウス食品様のサイトでも「カレーに合う薬味」として全て紹介されてましたので、その正当性は折り紙付きです!)
 今では常識となっているヨーグルトに硬い鶏肉を浸けて柔らかくする方法も、昔は斬新かつ画期的な下処理法で、「こんなやり方を知っているなんてすごいな~」と小さい頃感心したのを覚えています。
 残念ながら、三十六種類のスパイスが何なのか作中には明記されていないのですが、一馬君が言うには「インドから直輸入した三十六種に及ぶスパイス。だが、そいつも配合をひとつ間違うとブタのエサにもならん」「そのスパイスの…膨大な組み合わせの中のたった一つの黄金配合…そいつを決める舌がオレにはある!!」だそうで、気合を入れて調合したみたいでした(←あまりにも途方がなさ過ぎて頭がくらくらする表現な為、このシーンを読むたび「ことばの意味はわからんが、とにかくすごい自信だ!」で最終的には片付けてしまいます;)。
三十六種類もの黄金比率のスパイスを、自分のセンスだけで用意してました硬い軍鶏肉も、ヨーグルトに浸ければ簡単に柔らかく美味に!
 スパイスの調達や配合がとにかく難しくてずーーーっと再現できなかったのですが、この度やっと三十六種類のスパイスを手に入れることが出来たので、一念奮起して再現してみることにしました。
 作中には大体の作り方が書かれていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、カレーにつける薬味の準備。
 小鍋に牛乳を入れて60度くらいの温度に熱し、レモン汁(又はお酢)を入れて木べらでかき混ぜ、ほわほわと固まって分離してきたら調理用ガーゼ等を敷いたザルで越して適度に水切りをします。
 この白い固形の物体がカッテージチーズですので、少量の塩を入れてほんのり味付けし、いちょう形切りにしたキウイを加えてざっと混ぜたら薬味のは出来上がりです。
※今回、マーマレードジャムは国産の無添加でホームメイド風の市販品を、ピクルスは小型のきゅうりが使用された外国産の市販品を使用した為、薬味は一種類しか手作りしておりません。再現度が低くてすみません。
堺一馬特製チキンカレー1
堺一馬特製チキンカレー2
堺一馬特製チキンカレー3
 次は、スパイスの調合と炒め作業。
 一馬君のような黄金配合が出来る天才ではない、あくまで一素人が四苦八苦して行うものですので完全とはいいがたいですが、一応三十六種類は使用してバランスもその都度確認するよう気をつけてみました(^^;)。
 基本のスパイス二十種類は、GABANのカレーキットを使用し、ターメリック、クミン、コリアンダー、みかんの皮、フェネグリーク、フェンネル、シナモン、カイエンペッパー、ガーリックグラニュー、ジンジャー、ディル、オールスパイス、カルダモン、クローブス、スターアニス、セイジ、タイム、ナツメグ、ブラックペッパー、ベイリーブスのパウダースパイスをミックスしました。
 これだけでも充分スパイシーで香り高く、まさに完璧と言っていい風味のよさでした。
堺一馬特製チキンカレー4
堺一馬特製チキンカレー5
堺一馬特製チキンカレー6
 次は、同じパウダースパイスであるセボリー、ステビア、アニス、キャラウェイ、セロリシード、アムチュール、マジョラム、ローズマリー、レモングラス、オレガノ、パセリの十一種類を己の野生の勘と、「GABANで類似スパイスはこれくらいの調合だった」という根拠のないい予想だけを頼りにブレンド。
 これら三十一種類のスパイスを一旦ざっと混ぜ、油をひいて弱火に熱したフライパンで五分程度炒めて香りをさらに引き出し、よく冷ましてから消毒した密閉容器等に移して一晩寝かせます。
堺一馬特製チキンカレー7
堺一馬特製チキンカレー8
堺一馬特製チキンカレー9
 翌日、残りのホールスパイスであるカレーリーフ、アジョワンシード、カロンジ、ブラウンマスタードシードを多めの油を入れたフライパンへ入れて弱火でじっくりと熱を通して香りを活性化させていきます。
 やがて、種タイプのホールスパイスがパチパチと音を立てて香りを出してきたら、みじん切りにしたにんにくとしょうがを入れて炒め、続けてみじんきりにした玉ねぎを投入してしんなりするまでさらに炒めます。

※これでやっと三十五種類!しかし、最後のスパイスであるゴラカは柔らかく戻してペースト状にした上で煮込み作業の時に入れないと意味がないので、この段階では入れていません;。その時、初めて「三十六種類のスパイス入り」と銘打てます。なお、GABAN以外のスパイスは、「どの資料にも、どのネットページにも、三十六種類もスパイスを調合してその内容を詳しく書いている人がいないorz!」「というより、カレーに使うパウダースパイス自体三十六種類もないから、ホールスパイスで数合わせするしかない!」「実際は同じスパイスなのに、こっちとあっちでは名称が違う?!また調合表の見直しだ!」という絶望的な状況から、青息吐息で資料をかき集めて自分なりにメチャクチャに合わせたものですので、プロの方からすると失笑物だと思います…。
堺一馬特製チキンカレー10
堺一馬特製チキンカレー11
堺一馬特製チキンカレー12
 段々玉ねぎが飴色に近くなってきたらさいの目切りにしたにんじんを入れて混ぜ合わせ、にんじんに火が通ってきたら前日から熟成させていた三十一種類のカレー粉とペースト状にしたゴラカを加え、しっかり炒めます。
 これで、三十六種類のスパイスをあわせたカレーの具の準備は完了です。
堺一馬特製チキンカレー13
堺一馬特製チキンカレー14
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 次は、煮込み作業。
 前回同様、軍鶏の血統を継いでいるはかた地鶏の骨付きもも肉から肉を切り出し、骨は煮込みやすいよう調理用ガーゼに包んで袋状に、肉は無糖ヨーグルトに漬け込んで二晩寝かせます。
 これらの骨と肉を、先程のスパイス入り具材と僅かな水を入れて煮立てたお鍋へ投入し、じっくり中火で煮込んでいきます(←水分は水を注いで補うのではなく、無糖ヨーグルトを入れることで調節して下さい。その方が味に深みが出ます)。
堺一馬特製チキンカレー16
堺一馬特製チキンカレー17
堺一馬特製チキンカレー18
 カレールーに自然なとろみが出てきたら、塩とマスタードを加えて味の微調節を行ったり、足りないスパイスを確認しながら補ったりしてさらに煮込みます。
 最終的にトロッとして味もスパイスも決まったら骨袋を取り出し、用意万端です。
堺一馬特製チキンカレー19
堺一馬特製チキンカレー20
 その間、サフランライス作り。
 炊飯鍋(又は炊飯器)へ研いだお米、ぬるま湯に十五分くらい浸けて色を出したサフラン、お水を入れて一時間水を吸わせ、やや硬めに仕上がるよう気をつけて炊きます。
 炊き上がったら全体をさっくり混ぜてすぐにフタをし、蒸らしておきます。
堺一馬特製チキンカレー21
堺一馬特製チキンカレー22
 蒸されてふっくらしたサフランライスをお皿に盛り、その上から先程のカレーをたっぷりかけ、三種類の薬味と一緒にテーブルへ運べば“堺一馬特製チキンカレー”の完成です!
堺一馬特製チキンカレー23
 台所だけではなく部屋中がもう「カレー!本格カレー!」という感じ、それもお店みたいな香気が隅々まで漂っており、思わずうっとりします。
 ここまで本気を出してスパイスを調合して事がないので、どういう仕上がりになっているのか全然想像がつきませんが、一馬君を信じて食べてみようと思います!
堺一馬特製チキンカレー24
 それでは、出来立て熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
堺一馬特製チキンカレー25


 さて、味の感想は…スパイスが効いてるとか本場風とかを超越し、もはや香りの大洪水!三十六種類分のスパイスの力って、暴力的なまでに五感に訴える力があるんだな~と実感です!
堺一馬特製チキンカレー27
 陽一君の鶏肉は弾力がまだある感じでしたが、一馬君のはヨーグルトによってさっくりホロリとした角煮に近い柔らかさに仕上がっており、それでいてジューシーなのが特徴的。
 カレーの個性が強いので並のご飯だと存在が食われるところでしたが、サフランライスの高貴な香り高さががっちり受け止めていた為、バランスよく調和していました。
 ベースに野菜がほとんど入っていない分、ドライな辛さが舌へストレートに効いてきますが、甘味を出すスパイスや炒め玉ねぎの風味、マイルドなヨーグルトのおかげでいつまでも残らずスッとキレよく引き上げる大人の味という印象で、癖になります(←欧風カレーの濃密なコクとインドカレーの本格的なスパイシーさをミックスさせたような、不思議な美味しさ)。
 辛味、甘味、酸味、苦味、渋みなどが複雑に入り交じり、そのどれもがはっきりと主張してくるのですが、ヨーグルトのまったりした濃い脂肪分がそれらを中和してまとめあげつつ一体化させており、結果凄まじく奥深い旨味の塊のようなルーになってます。
 加えてすごかったのが膨大な量の匂いが一つになって生まれた豊潤な香りで、重くて癖があるのに軽やか、素朴なのに華があって甘やか、むせかえるようにワイルドな匂いと思いきや爽やかなど、様々な風味が矛盾しつつも口の中で混然とした渦となって果てしなく続くのが恍惚ものでした。
 よくカレーは香辛料のオーケストラと言われますが、このカレーはそんな品よくまとまっておらず、あえて言うなら「荒々しい古代の炎の祭典」みたいなイメージのカレーです。
 一つ難点をいうなら、あまりにも多いスパイスがルーに少しざらつきをだしている事ですが、ご飯と一緒だとすぐに絡んで気にならなくなるので然程深刻ではありません。
 薬味類は本当にカレーの味わいをそれぞれ引き立ててくれる名脇役という感じで、強烈なパワーのあるカレーから一時休みたい時に最適でした。
 ピクルスはサクサクした甘酸っぱさで舌の上をさっぱり洗い流し、マーマレードはほろ苦い甘さでマンゴーチャツネを足したかのようなフルーティーな味わいにし、キウイのカッテージチーズ和えはあっさりしたチーズのフレッシュでクリーミーな塩気とキウイの甘さがカレーの刺激を和らげて優しい後口にするのに成功しており、感心です。
堺一馬特製チキンカレー26


 陽一君のカレーも勿論美味しかったんですが、一馬君のカレーを食べた後だとスパイスの奥深さと言う点では話になりません(←京極さんの「なんちゅうもんをくわせてくれたんや…」というセリフが頭をよぎるほど。いえ、陽一君のカレーは決してカスではありませんよ!?)。
 実際、夫も一馬君のカレーを数口食べて「一馬君の勝ちだろ?」と断言していました;。
 正直、スパイスに重点を置くなら確かに一馬君の勝ちかもしれませんが、野菜や果物が鶏肉とまったりした旨さを生み出しているトロピカルな陽一君のカレーも全く別の旨さがあり、単純に比べられるものではないと当管理人は感じましたので、卑怯かもしれませんが引き分けにしたいと感じた再現でした。


P.S.
 ミントさん、コメントしてくださりありがとうございます。
 ご質問とご要望をお受けしていたスマホ用テンプレートの件ですが、先日やっとカスタマイズが完了しましたので変更いたしました。これで少しでも読みやすくなっているといいのですが…(^^;)。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『クッキングパパ』の“パン丼”を再現!

 少し前からコッペパン専門店ブームが来ていると「ガイアの夜明け」で知り、世の中何が流行るか分からないものだな~と面白く思いました。
 個人的にコッペパンは給食に出てくるレトロなパンというイメージでしたので、大掛かりに取り上げられているのを見ると、学生時代は地味だった近所の子が上京して有名になったのを聞き、「あの目立たなかった子が、立派になって…」と目をしばたたかせるおばあちゃんのような気持ちになります。

 どうも、その昔隠れキリシタンが小麦粉とイースト菌を混ぜた生地を蒸して作った蒸しパンを「ふくれもち」と称して食べたと聞いて感心した当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任の息子・まこと君の友達であるオサム君が用意した料理を元にして作った“パン丼”です!
パン丼図
 それは、まこと君がまだ中学校に進学したばかりの頃。
 日曜日の朝早くに少し遠い競技場でサッカーの試合が行われることになったまこと君は、当日にバタバタ集まるよりはと、土曜日から荒岩家に少年サッカーチームの仲がいい友達を泊める事になります。
 ちなみに、その面子は皆さんご存知のトラブルメーカー・みつぐ君、無邪気な大家族の五男・ヒロ君、料理博士と呼ばれる秀才・ヒロユキ君、ちょっとニヒルな一面があるマイペース少年・オサム君の四人で、小学生の時よりも背丈が伸びている描写に「大きくなったな~」としみじみしました←親戚のおばちゃん的発想で恐縮ですが、自身も周囲も時が経つごとに老化する世代ばかりで、数年経過しても衰えるどころかより良く成長する世代って生命の神秘を感じる貴重な対象な為、そうとしか言いようがないんですよね;)。
 しかし、荒岩主任や虹子さんは土曜日の夜に屋台BARえびちゃんのホームパーティーに呼ばれてたのもあり、気を使ったまこと君の提案もあって、土曜日の夕食は自分達で用意する事になっていました。

 正直、普通の中学生の子なら「大丈夫かな…?火事は極端でも、ちゃんと作れるかな?」と不安になる所ですが、まこと君は小学生の時から荒岩主任の監督の下とはいえ、大好きなさなえちゃんに“フルーツ春巻き”“荒岩流雪いちご”を作ったり、風邪をひいた荒岩主任に“荒岩流ポパイシチュー”を作ったり、野外で道具まで用意して“スペアリブ炊き込みカレー”を作ったり、ホワイトデーのお返しに“スープハンバーグ”を作ったりと、女子力がカンストしてもはや主婦力まで身につけようとしている料理の極み中学生ですので、心配するだけ野暮って感じなのが頼もしいです(←こんなに料理上手で完璧な彼氏だと彼女としては肩身が狭そうですが、共働き夫婦になるんだったらこんなに有難い存在はないと思います。社会人になったさなえちゃんを見ていると、東京でキャリアウーマンになりそうな気配が濃厚ですので、荒岩家のようにまこと君がバリバリ働くさなえちゃんを支えながら兼業主夫する未来もありですね)。

 ほぼ同年代である『ミスター味っ子』の陽一君も料理上手ではありますが、採算度外視で食費と手間のかかりそうな料理ばかり作ったり、バレンタインにチョコをくれた後輩女子(←後の妻;)に「何だこのチョコレート!!オレならもっとうまいチョコが作れらい!!」とすごい暴言を言ったり、大人になってからは味修行で七年行方不明になったりとかなりの問題児で、母・妻・家を預ける身のどの立場でも激しく不安になる為、そういう意味でもオールマイティーに信頼できるまこと君最強だな~と感じます。
 子どもの頃は「まこと君って真面目でいい子過ぎて、身近に感じにくいな…」と思っていましたが、親世代になると「理想の息子NO1」という感じに見る目が変化しており、我ながら遠くへきたものだ…と苦笑したものです。
まこと君の同級生で友達でもある名物四人組!
 こうして当日を迎え、夜になって出かける荒岩主任達を見送ったまこと君達は「さーて夕食は何作ろうかね」とむしろウキウキしながら話し始めるのですが、オサム君だけはマイナス思考で「めんどうくさいな~っ。ボク、料理なんか好きじゃないのにー」「ちゃんとおいしいものできる?ボクまずいの食べたくないよ。家で食べてくればよかったな~っ」と嫌がり、「やる前から文句言うなよ、なんでもやればできるってー」と励ますみつぐ君に対しても「そうかなーっ。みつぐの作ったへ~んな料理食べておなかこわしたりしたらいやだからな」と言い返し、あわや喧嘩に発展しそうになってました(←オサム君もあんまりな言い様ですが、確かにみつぐ君の料理スキルはえっちゃんも「全然だめだったじゃない、大丈夫?」と心配するレベルで、あの『OH!MYコンブ』に出てくるデンジャラスな料理よりは何とかマシかな?状態でしたので、そう言いたくなる気持ちも分からなくはないかな…と思いました;)。
 けれども、幼くして既に人格者なまこと君が「まっまっ;」「とにかくやってみようよ」と何とかなだめ、昨夜の残りの肉じゃがをさらに煮込んでご飯にかけた“肉じゃが丼”を作った事をきっかけに、みんなオリジナルの丼作りの楽しさに目覚めて色々と作り出します。

 料理博士の血が騒いだヒロユキ君は、ポテトチップスにキャベツやソーセージなどを足して溶き卵でとじた“ポテチ丼”(←大分前に作りましたが美味しかったです!)。
 みつぐ君が最近一つだけマスターしたと言ってこしらえた立派なジャンボ卵焼きに、醤油やみりんで作った餡をかけて仕上げた“卵焼き丼”。
 ヒロ君が大好物だと話して作ったうどんたっぷりのすき焼きを、さらに甘辛く味付けし直して三つ葉を散らし、溶き卵でとじてさらにゴージャスにした“う・丼”。
 料理と言うよりは調理実験みたいなカオスさで、オサム君も「なんだかメチャクチャになってきたな~っ」と呆れていましたが、こういう「トリビアの種」的な、「世間ではバカバカしくてやっていないけど、実際に試したらどうなるんだろう」という疑問を解決する為に料理をするのはくだらなくもテンションが高くなるので、読んでいるこちらまでワクワクしたものです。
子ども達だけで料理を始めますが、段々カオスなことに…!
 その後、オサム君は「つき合いきれんからボクはパンにするよ!!オシャレーにフレンチトースト作るから」とやっと重い腰を上げて料理します(←料理なんか好きじゃないと言いつつ、インスタ映えしそうなかわいい料理をさっと作れるなんて、何気に女子力が高くてびっくりします;。新しい萌えジャンル・無愛想デレを開拓するつもりでしょうか?)。
 が、一連の面白丼作りですっかりハイになったみつぐ君達が乱入して「よーし、それも丼にするぞーっ」と手を加えた為、哀れにもオシャレ女子からモテモテのフレンチトーストは、ゲテモノ扱いされかねない異色の丼へと魔改造されてしまってました…orz。
 この時出来上がったのが、“パン丼”です!
 作り方はとても簡単で、卵・牛乳・砂糖・塩を混ぜた液に耳を切った食パンを浸けてバターで両面をこんがり焼き、塩とこしょうで炒めた玉ねぎ・出汁・砂糖・醤油を入れて煮立てた丼鍋へ移して溶き卵をかけて蒸らし、ご飯の上に乗せて刻みネギを散らしたら出来上がりです。

 ポイントは、卵液を作る時は越し器にかけてなめらかにすること、食パンを浸ける時は長時間かけて中央にまで卵液を染み込ませること、たっぷりのバターで焦がさぬよう弱火でじっくり焼くことの三点で、そうすると薫り高くて美味しいフレンチトーストになるのだとか。
 甘いおかずでご飯を食べるという事だけでも敬遠されやすいのに、パンでご飯を食べるという現代においても前代未聞な組み合わせに、初見時は「うわ~…(´д`;)」とドン引きしたのを覚えています。
 しかし、よくよく考えればお好み焼きライス・ラーメンライス・焼きそばパン・コロッケうどん・そばめしなど、炭水化物+炭水化物の組み合わせはハマれば意外に美味しい事も確か。
 それに、作中でヒロユキ君が言っている「カツ丼のトンカツもまわりはパン粉と卵!パン丼は肉のないカツ丼と思えばいいんだ」という理論はごもっともですので、オサム君が「うん、うまい…」「なんだかだんだんたのしくなってきたよ」と喜んでいたのも、不思議と説得力があるように感じたものです。
何だかんだ言いつつフレンチトーストを作れるおさむ君は女子力高いです!
 頭では理解していたものの、「フレンチトーストをご飯に乗せる」という響きに長年怖気付いてずっと試せずにいましたが、十数年以上迷うのも段々飽きてきたので、思い切って再現することにしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、フレンチトースト作り。
 ボウルに卵、牛乳、砂糖、少量の塩を入れて泡だて器でよく混ぜ合わせ、漉し器で越して滑らかな卵液に仕立てます(←普通のレシピの分量通り砂糖を入れちゃって大丈夫です)。
 この卵液に耳を切り取った食パンをまんべんなく絡めて浸し、卵液がパンの隅々まで浸透するまで冷蔵庫で寝かせます。
※柔らかくてそこまで厚くないパンだったら、数時間寝かせるだけでも充分染みこみますが、一晩寝かせたら確実に浸透するのでそちらの方をお勧めします。
パン丼1
パン丼2
 弱火にしてバターを溶かしたフライパンへ、先程の卵液でヒタヒタになった食パンをそっと入れて焼き、こんがりとした焼き色がついたらひっくり返して両面とも焼きます(←弱火じゃどうしてもカリッとしない時は、焦げないよう気をつけながら中火でさっと焼くのもありです)。
 これで、フレンチトーストは準備完了です。
※耳もフレンチトーストにすると美味しいので、関係ないですが一緒に焼いちゃいました;↓。
パン丼3
パン丼4
 次は、丼作り。
 フライパンへ薄く切った玉ねぎを加えて炒め、塩とこしょうで軽く味付けしたら、合わせ出汁、砂糖、醤油を投入してそのまま煮ます。
パン丼5
パン丼6
 玉ねぎに丼つゆの味が染みてきたら、食べやすい大きさに切ったフレンチトーストを上に並べてなじませ、その周りに溶き卵を回し入れてフタをし、卵が半熟状になるまでさっと蒸し焼きにします。
パン丼7
パン丼8
 溶き卵がいい加減の半熟になったらすぐに火からおろし、ご飯をよそっておいた丼へ汁ごと移して仕上げに刻んだ小ネギを散らせば“パン丼”の完成です!
パン丼9
 香りはほぼほぼ卵丼って感じですが、よーく注意して嗅いでみるとほんのり甘いバターの香りが立ち上る感じで、普通の和風丼じゃないというのが分かります。
 パッと見はカツ丼風でそこまで不自然ではないですが、味の方は一体どうなっているのか…ちょっと怖いですが、食べて確認してみようと思います!
パン丼10
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
パン丼11


 さて、味の感想は…炭水化物同士なのに、まるでそばめしみたいにそこまで違和感がなくて衝撃!本当に肉抜きのカツ丼って感じの旨さです!
 外側はほんのり丼つゆを吸って和風の塩気があるのですが、内側はギリギリまで卵液を含んでいるせいか全然染みておらず、フレンチトーストその物の優しい甘さが活きています。
 しかし、その甘さは丼で浮く所か丼つゆの奥深くて甘辛い出汁醤油味を程よく引き立てる役割を果たしており、フレンチトースト自体にそこまで強烈な個性がないおかげですんなり具として馴染んでいました(←めんつゆ風味のバターご飯っぽい味がするので、初めて食べる気がしないのも抵抗感を感じない理由の一つ)。
 ふわんふわんでしっとりシュワシュワととろけるように柔らかいフレンチトーストを噛みしめると、芳しいバターの香りとリッチなコクがふわっと溢れるのが少し洋風で、揚げ衣ではないせいかカツよりもあっさりしてる印象すら受けます。
 物はパンですが、元の食感は皆無で別物のようなほんわりした口当たりになっている為、肉抜きとは言っても肉が外れて情けなくなった衣の固まりとは違い、「複雑な甘味のある疑似肉風お麩入り玉子丼」というイメージで、それ単体で充分美味なのが特徴でした。
 くったり煮えた玉ねぎのしんなりシャキシャキした歯触りと、小ネギの爽やかな風味がちょうどいいアクセントを足して単調さを防いでおり、パクパクいけちゃいます。


 パンとご飯というのは今でもそうそう見られる組み合わせではないので半信半疑だったのですが、実際に試してみるとすんなり受け入れられてびっくりしました。
 食に対してチャレンジャーな訳でもない夫も「おいしい」と言っていましたので、食べてみないと分からないものだな~と感心した再現でした。


P.S.
 ねじさん、ノリスケさん、ふにゃにゃさん、たきあさん、コメントして下さりありがとうございます。
 非公開コメントでねじさんから頂いた件ですが、当ブログでよろしければどうぞご使用されて下さい(←当管理人の作品ではありませんので、こう書くのもおこがましく恐縮ですが…)。わざわざご連絡頂き、ありがとうございます。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製パイナップルカレー”を再現!

 辛くてスパイシーなカレーが大好きな為、お店でも辛口で注文することが多いのですが、そんな自分でもなかなか試せずにいるカレーがあります。
 それは、レトルトカレーの「18禁カレー 激辛」で、みるからに危険そうな忠告文もさることながら、1,944円という強気な価格設定が挑戦を躊躇させています(←うちの近所にあるスリランカカレー屋さんだったら、二人前カレーを食べてサラダやデザートもついてくるお値段です…)。
 とはいえ、タバスコの200倍辛く、調理の際はマスクとゴーグルが必要な程で、「幽霊のトウガラシ」という別称が与えられたブットジョロキア入りカレーを怖いもの見たさで試したい気持ちもなかなか捨てきれず、悩んでいる今日この頃です。

 どうも、某中華料理屋さんのランチメニュー(全て同価格)で、エビチリセットや八宝菜セットなどは全て普通サイズなのに、何故か麻婆豆腐セットだけは大皿でドカンとくるのが不思議で仕方ない当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君が一馬君と初対戦した時に作った“味吉陽一特製パイナップルカレー”です!
味吉陽一特製パイナップルカレー図
 丸井さんとのスパゲティ対決が終わって少し経った頃、陽一君は生涯を通じて深く関わりあう宿命のライバルであり、同時に最良の友にもなる人物に出会います。
 その名は、皆さんご存知の天才料理少年・堺一馬君!
 事の発端は<日之出食堂>の立ち退き騒動で、一馬君の支援者でもある地主・永田さんが長年の夢でもある大型飲食店ビルを建てようとして陽一君達を追い出そうとし、それを抗議しに行った陽一君は、偶然昼食を届けに来た一馬君と初めて顔を合わせていました。
 が、はっきり言ってお二人のファーストコンタクトは散々で、「その子こそ正真正銘の天才と呼ぶにふさわしい」と永田さんから一馬君を紹介されて陽一君は「まったく見えないね」と言ったり(←今も昔も社交辞令という言葉は陽一君にはありません;)、一馬君渾身のカレーを試食して半ば悔しさから「馬鹿にするない!!これくらいの料理オレにだって作れらあ!!」と挑発したりと、なかなかに刺々しいスタートをきっていました。
それにしても、「お互い第一印象は最悪なのに、いつの間かいい関係になってた」ってまるで少女漫画の王道パターンっぽくて、苦笑いします;。

 正直、初期の陽一君はまだまだ子どもで血の気が多いせいか、結構な失言が所々で目立っており(←まあ、相手側も大概なケースが多いのでどっちもどっちですが;)、相手の料理を最初はそれなりに誉めても最後にちゃぶ台返ししてディスる場面もしばしばなので、一馬君は間が悪い時に出会っちゃったな~と気の毒に思います。
 阿倍さんの煮込みハンバーグをフォークでわざわざ崩して「表面のべたつきといい、見た目の悪さといい、本来のハンバーグの味わいを大きく失っているってことさ!!」と親指を下げたり、TVに出た友達のお母さんのいわしグラタンを「小骨の多い小魚は、子供のもっとも嫌いなもんのひとつさ!!いくらやわらかく煮たって小骨は小骨―子供がおいしいと思って食べるわけがない!!」とヤラセだと決め付けたり、日頃から「こんなうまいおでん食べたの初めてだよ!」と食べていた知り合いのおでんを「歯ざわりに弾力がなくしっとりした粘りもない。香りも薄く魚介類の臭みが鼻につき、色合いも悪く粉っぽくて…」とぼろくそに評価したりなど、『美味しんぼ』初期の山岡さんばりに尖ってブイブイ言わせていたものです(←京極さんの「これに比べると山岡さんの鮎はカスや」程の暴言はないので、まだマシですが;。でも、まずいと思った料理をすぐ捨てて無駄にする所は初期の海原雄山氏に通じるものがあり、似なくていい所が似ちゃってるな~とため息をついたのを覚えています)。
 考えてみれば、料理漫画界で一、二を争うほど傍若無人かつ極悪非道な主人公として名高いあの『鉄鍋のジャン』のジャンも、相手の料理の欠点を的確に見抜いては弱点を突いたり、口喧嘩で相手を煽ったりするのはすごくうまかったので、陽一君はジャンはそういう面で似た者同士なのかもしれません(←とはいえ、ジャンは『ミスター味っ子』にいたらお仕置き確実の勝つ為には手段を選ばない鬼畜料理人ですので、相容れることはないでしょうが…)。
陽一君の欠点は、たまに相手の料理をけなしがちなことですね;
 その後、陽一君の言葉にカッとなった一馬君は「これくらいの料理…確かにそういうたんやな!!」「そしたら作ってもらおうやないか!!」と勝負を持ちかけ、それを面白がった永田さんのとりなしにより、一週間後にカレー対決をする事になります。
 その際、陽一君が一馬君のカレーを参考にしつつ色々試行錯誤して作ったのが、“味吉陽一特製パイナップルカレー”です!
 現在、カレー料理を凝るとなるとスパイス重視になる事が多いですが、何と陽一君はスパイスよりも野菜や隠し味の方に力を入れるタイプで、プロのカレーというよりは家庭のカレーに近い印象を受けました←お母さんがカレールーの箱のレシピ通りに作らず、体にいいからと野菜をたっぷり入れたり、独自の隠し味を入れてオリジナルの家の味を作るようなイメージ)。
 意外でしたが、調べてみるとカレーのスパイスは基本の色・辛味・風味を出す三~四種類のスパイスさえ入れておけば充分本格的に出来るのだそうで、ベースさえしっかり作っておけばちゃんと美味しくなるのだとか(←詳しくはこちら)。
 あまりにシンプルすぎてびっくりですが、『美味しんぼ』24巻にあったカレー勝負の話でもインドの一般家庭で日常使いされていると紹介されたスパイスは十種類くらいで、多ければ多いほどいいという考え方はなかったみたいなので、陽一君みたいなやり方も逆に斬新でいいかもしれない…と一周回って思ったものです。

 一瞬だけ辛さを感じさせるマスタードと、ずっと辛いチリペッパーを組み合わせる事で、最初は辛くても後を引かずに消える理想的な辛さに(←これは元はといえば一馬君のアイディア)。
 スイカに塩をかけたら余計甘くなる原理を応用し、ルーには砂糖の他に玉ねぎ・にんじん・かぼちゃ・トマト・ナス・りんごなどの甘味が出る野菜をいっぱい入れ、ご飯にはすりおろしたにんじんとバターを炊き込み、刺激的でもスイスイ食べられる味わいに。
 そして、カレーを仕上げる時にインスタントコーヒーを注ぎ、スパイスをいっぱい使わなくても渋みや苦さを出して本格派カレーに匹敵するコクを出しており、一馬君と永田さんを驚かせています。
 今となってはすっかり定番隠し味になっているコーヒーですが、あるプロによりますと「本格的にブイヨンを取った味にかなり近づきます」だそうで、飴色玉ねぎのような苦味や香ばしさをも手軽にプラス出来るとお勧めされていました。
甘味が出る野菜を大量に使うことによって、辛くてもパクパクいけるルーを作っていましたコーヒーでカレーに深みを出す技術は、ここ数十年で一気に浸透しました
 肉はいい出汁が出る老軍鶏のもも肉で、そのままだと硬くて味が損なわれるのを、パイナップルをくり抜いて作った器に入れてオーブンで焼き、パイナップルの酵素を活かして柔らかくしつつ風味をよくするという一石二鳥の案を採用していました。
 フルーツにお肉の組み合わせは好き嫌いが激しく分かれる所で、例えるなら酢豚にパイナップル、メロンに生ハム、鶏肉の煮込みにマーマレードなど、未だに結論が出ない議題ではありますが、こちらなら直接パイナップルを使わないので、より幅広い層に受け入れられそうです(←ちなみに当管理人は昔反対派でしたが、大人になってお酒を飲むようになり、必ずしもご飯を合わせる訳ではなくなってから平気になりました。元々、から揚げについているパセリや海老天の尻尾など、あるなら何でも食べる雑食性なのも大きいと思いますが;)。
 カレーの付け合せは、玉ねぎに小麦粉をまぶして揚げ焼きにしたフライドオニオン、かぼちゃを薄くスライスして揚げたかぼちゃチップス、りんごを厚くスライスして軽くソテーした焼きりんごの三種類!
 薬味と言うよりはカレーに振りかけるトッピングのようですが、どちらにしてもカレーの旨さがアップしそうな事には変わりなく、何より余ったカレーの食材でさっと準備できるのが経済的でいいな~と感じました←『ミスター味っ子』再現は基本お財布に優しくない仕様ですので、こういうのはすごく有難いです)。
 スパイス強化したインド風カレーも素晴らしいですが、カレー界のお子様ランチと呼びたくなるような見た目といい、野菜と肉と果物の力を活かした日本風の素朴なカレーっぽいところといい、「こういうのでいいんだよ、こういうので(by五郎さん)」という魅力に満ちていますので、永田さんが一馬君も商売も忘れて「うまい!!」と言ったのも分かる気がしたものです。
パイナップルの器に入れてオーブンにかけ、鶏肉を柔らかく仕上げます!ありあわせの材料でとっさに作ったとは思えない程、よくできた薬味
 丸ごとパイナップルや軍鶏肉、その他諸々の食材がタイミングよく揃ったので、やっと再現することにしました。
 作中には大体のレシピと材料が記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、薬味類の準備。
 玉ねぎは薄くスライスして小麦粉を軽くまぶし、多めの油を敷いて熱したフライパンへ投入し、表面がキツネ色がかってカリッとするまで弱火~中火の間揚げ炒めにします。
 リンゴは皮や種を取り除いてから少し厚めの一口大にスライスし、薄く油を敷いたフライパン(←テフロン加工ならノンオイルでも可)へ並べ、表裏を強火でソテーします。
味吉陽一特製パイナップルカレー1
味吉陽一特製パイナップルカレー2
 カボチャは種を取り除いてから極薄にスライスし、高温の油で大体の水分が抜けるまでさっと揚げ、キッチンペーパー等で余計な油分をきっちり取っておきます。
 これで、薬味類は準備OKです。
味吉陽一特製パイナップルカレー3
味吉陽一特製パイナップルカレー4
 次は、野菜炒め。
 油を敷いたフライパンへ、みじんきりにしたにんにく、しょうが、玉ねぎを入れ、全体がしんなりして深い飴色になるまで弱火でじっくり炒めます。
 やがて玉ねぎの色が変わって嵩が減ってきたら、小さめのザク切りにしたカボチャと、さいの目きりにしたにんじんを投入し、ざっと混ぜ合わせます。
味吉陽一特製パイナップルカレー5
味吉陽一特製パイナップルカレー6
 そこへ、ざっくりとさいの目きりにしたナスとトマトを加え、さらに炒め合わせます。
 全体に油が回ったら、一旦そのままにします。
味吉陽一特製パイナップルカレー7
味吉陽一特製パイナップルカレー8
 今度は、鶏肉の下ごしらえ。
 原作では骨付きの鶏もも肉をそのまま煮込んでいましたが、それだとさすがに食べにくくてしょうがないので、加熱前に包丁で骨から肉を切り取り、肉は通常通り調理、骨は布袋に入れて煮込むことにしました(←違いがあるか確かめたかったので、最初から骨なし状態の鶏もも肉も用意しました)。
 鶏肉は、軍鶏の血を引くはかた地鶏を使用しています。
 切り取った鶏肉は、油を敷いたフライパンで軽く炒め、表面がこんがりと焼けて肉汁を封じ込めたら別皿へ移します。
味吉陽一特製パイナップルカレー9
味吉陽一特製パイナップルカレー10
味吉陽一特製パイナップルカレー11
 骨はフライパンで全ての面を香ばしく焼いたら取り出し、調理用ガーゼ等で作った布袋に入れてひもできつく口をしばっておきます(←布が薄くないと出汁がうまく出ないので要注意です)。
味吉陽一特製パイナップルカレー12
味吉陽一特製パイナップルカレー13
 その次は、いよいよ煮込み作業。
 大鍋へ先程の炒め野菜、焼いた鶏肉、骨袋、皮を剥いてすりおろしたりんご、お水(←肉類を焼いた後のフライパンにお水を入れて肉汁を溶かしてから入れると尚良し)を入れ、コトコト煮込みます。
 段々具が煮えてきたら、カレー粉、ターメリック、クミン、レッドチリペッパー、塩を入れてさらに煮込みます。
※作中では特にスパイス強化はしておらず、「あいつのカレー粉は基本的な二、三種類のスパイスだけ…」と一馬君が説明していましたので、ごく一般的なカレー粉と、カレースパイスの基本中の基本であるターメリック・クミン・レッドチリペッパーを加えるだけに留めました。
味吉陽一特製パイナップルカレー14
味吉陽一特製パイナップルカレー15
味吉陽一特製パイナップルカレー16
 続けて、マスタード、砂糖、コーヒーを加えてざっと混ぜ合わせ、そのまま時間をかけてゆっくり煮詰めていきます。
 全体的にまとまってきて少しとろみが出てきたら、カレーは用意万端です(←この時、骨袋は忘れず取り出しておきます)。
味吉陽一特製パイナップルカレー17
味吉陽一特製パイナップルカレー18
 その間、ご飯の支度も進めます。
 炊飯器に研いだお米、お水、バター、皮を剥いてすりおろしたにんじんを投入していつもよりも少し硬めにご飯を炊き、炊き上がったらさっくりと切るようにして混ぜ合わせておきます。
味吉陽一特製パイナップルカレー19
味吉陽一特製パイナップルカレー20
 ここまできたら、いよいよ仕上げ!
 丸ごとのパイナップルを流水でよく洗った後キッチンペーパー等で水気をふき取り、包丁で真っ二つに切って中の芯と果肉を取り出しておきます(←果肉はデザートとしておいしく頂きました。こんな美味しいものを捨てるなんて…陽一君、恐ろしい子!)。
 このパイナップルの器へカレーを注ぎ、上にパイナップルのフタをかぶせて全体をアルミホイルで包み、高温に熱したオーブンに入れてカレーもパイナップルも温まるまで熱します。
味吉陽一特製パイナップルカレー21
味吉陽一特製パイナップルカレー22
味吉陽一特製パイナップルカレー23
 時間が経ってカレーもパイナップルも熱々になったらオーブンから取り出し、平皿に盛ってルーをかけたにんじんライスや三種類の薬味と一緒にテーブルへ運べば、“味吉陽一特製パイナップルカレー”の完成です!
味吉陽一特製パイナップルカレー24
 丸ごと熱されたせいか、パイナップルの甘やかな香りがカレーの香りと負けず劣らずふわ~と漂い、どことなくリッチな気分にさせてくれます。
 普段は福神漬けからっきょう、もしくはサラダしか添えないので、こんな本格的な薬味を添えるのは本当に久々ですが…何だかテンションが上がります!
味吉陽一特製パイナップルカレー25
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
味吉陽一特製パイナップルカレー26


 さて、味の感想は…パイナップル果汁がたっぷり溶け出して力強く効いている、王道的美味さのカレー!確かにほんのり鶏肉が柔らかくなっててびっくりです!
 パイナップルのフルーティーな甘酸っぱさがベースとなった、非常に贅沢な仕上がりのトロピカルカレーで、スパイスよりも野菜や果物が主役になっていました。
 鶏肉や骨から出た旨味の濃い出汁に、コーヒーやマスタードなどの隠し味が効いてスパイスだけでは絶対に出ない奥行きがありますが、パイナップルの個性が強いので本場風というよりは南国風のライトなカレーというイメージです。
 ルー自体はレッドチリペッパーがはっきりめに出たやや辛めのカレーなんですが、かぼちゃのねっとりした素朴な甘味、りんごのあっさり優しい甘味、なすやにんじんや玉ねぎの炒められて奥深くなったまろやかな甘味が複雑に入り組んで生まれたコクのおかげで大分緩和されており、辛口と甘口が交互に行き交う味の移り変わりが特徴的でした。
 この不思議な辛さを持つカレーを、にんじんライスのホクホクした自然な甘味と、バターのとろけるように芳しい風味が芯まで染み込んだご飯がぐっと引き立てており、甘い辛い酸っぱいのメリハリがしっかり利いた味付けにしていて良かったです。
 薬味類は箸休め役というより、カレーの深みを増幅させてさらに本格的な味にさせつつ、 ガラッと味変させて新たな三種類の味を楽しめるようにする「箸進ませ役」という攻めの印象を受けました。
 フライドオニオンを食べるとほろ苦いコクが表に出たハードボイルドな大人カレーに、焼きりんごを食べるとバーモンドカレーを極甘口にしたようなスーパー甘々フルーツカレーに、かぼちゃチップはほっくりカリッとした香ばしい甘味が効いたお洒落なベジタブルカレーに変身する感じで、癖になります。
味吉陽一特製パイナップルカレー27


 パイナップルに熱を加えたら酵素のパワーはなくなるので、本当に柔らかくなるのか心配でしたが、パイナップルに加える前と加えた後とではちゃんと違うことが分かったので、ほっとしました。
 軍鶏の血統のせいか、はかた地鶏は結構な時間煮込まれても濃厚な旨みが残っているのに感心しました(←煮込んだ鶏肉は出し殻になっているケースが多いので、尚更そう思います)。
 丸一個のパイナップルもそんなに高くなく、拍子抜けするくらい簡単に切れたので、意外とお手軽かもしれないな~と思った再現でした。


P.S.
 kawajunさん、コメントして下さりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
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プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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