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『銀平飯科帳』の“銀次流江戸あんぱん”を再現!

 皆様、新年明けましておめでとうございます!
 ブログを休んでいた約二年間はちゃんしたご挨拶も出来ずにズルズルと日々をすごしていた為、ずっと心にしこりが残っているようでしたが、今年は無事更新する事が出来てほっとしております。
 今後ともご縁がございましたら、何卒よろしくお願い致します。

 どうも、毎年干支を調べる時「猫年があったらいいのにな…今からでも作れないかな?」と飽きもせず考えている当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『銀平飯科帳』にて銀次さんが江戸時代で食べたある物をヒントにして作り上げたオリジナル料理・“銀次流江戸あんぱん”です!
銀次流江戸あんぱん図
 ある日、銀次さんは数年前から徐々に流行りだしているコッペパン専門店に興味を持ち、早速スタンダードな粒あん&バター味を購入します。
 コッペパン専門店とは、その場でオーダーした種類豊富な具材をコッペパンに挟んで売ってくれる、出来立ての味にこだわったコッペパンサンドのお店で、コッペパン版サブウェイといった感じの新しいファーストフード系パン屋。
 企業によってメニューや具材は微妙に違いますが、どのお店も大体共通しているのは、給食で出てくるようなしっかり焼き目のついたコッペパンではなく、フワフワしっとりした柔らかめのコッペパンを使う・おかず系だけでなくデザート系も充実している・サイドメニューはほぼなく、あくまでコッペパンだけを主役に据えてシンプルに勝負しているといった三点で、他のファーストフード店に比べて価格がかなり安いのも人気の理由の一つではないかな?と思いました(←ほとんどが100円~200円台で、高くても300円台前半!マ○ドナルドのバーガーメニューに匹敵する低価格なのに、サイズはより大きくて具材もしっかり乗ってるなら、正直こっちを選んでも仕方がないくらいお得感があります)。

 かの有名な美食家・海原雄山氏は、ハンバーガーを「味覚音痴のアメリカ人の食べるあの忌まわしい」「あさましい」「下卑た食い物」と言って決して認めようとしませんでしたが、コッペパンサンドは果たしてどのように評価するのか…個人的に気になります(←現在の形のコッペパンは一応日本が発祥ですので、最近すっかり丸くなった雄山タンならギリギリ認めてくれるのでは、と少し希望を持ってます;)。

 その際、商売仲間である神田製パンの店主・小林さんがコソコソとコッペパンを買っているのを目にした銀次さんは不思議に思い声をかけるのですが、何故かそそくさと帰ってしまった為、次の日お店に来た時にどういう訳か尋ねます。
 実は小林さん曰く、近所で開店したばかりの店がコッペパンのおいしいパン屋と評判なのが気になって偵察に行ったらしく、「経営が苦しいので、コッペパンのような何か新しい商品を取り入れようと思ってるんですが…。うちは家族経営なので品数では勝負できないし、何かコレっていう一品が見つかれば…と、必死なんですよ…」と不安そうに語っていました。
 日頃はごく普通の事のように受け入れていますが、従業員数二名・品数○十種類以上・お昼時の出前もOKという『ミスター味っ子』の日之出食堂が、如何に化け物じみた個人経営店かという事を改めて実感させられます。
知り合いのパン屋・神田製パンさんは、コッペパン屋さんを偵察に行っていたとの事
 その後、銀次さんは幼馴染で片思い中の女性・葉瑠さんから「江戸にちなんだアイデア出してみてよ」「神田製パンがなくなったら、あたしがアンパン買うとこなくなっちゃうじゃない!」「そうなったら、銀次にお昼作ってもらうからね!」と言われて焦ったのもあり、江戸時代へタイムスリップして何かヒントになりそうな物を探しに行きます(←初登場時は優しいキャラだった葉瑠さんですが、巻が進むにつれてかぐや姫級の無茶振りをするドSヒロインになっており、まだ告白前だというのにすっかり尻に敷かれている銀次さんが気の毒ですorz)。
 銀次さんとしては単に江戸らしいだけでなく、それなりにインパクトがあって珍しい食材を使いたいと考えていたのですが、江戸時代の珍味は越前の汐うに長崎のからすみ三河のこのわたみたいなパンに合わない&高価なものばかりで、困り果てて心強い助っ人・平蔵さんに何かいい物はないか相談していました(←かつて“寿司サンドイッチ”で生の明太子やいくらをパンにそのまま乗っけた陽一君なら、色々挑戦していたかもしれません。基本、予算や手間は度外視するのが味っ子ワールドの特徴ですし;)。

 すると、江戸ではなく水戸の名産にはなるものの、「三鳥二魚」と呼ばれて珍重されている食材があると教えられます。
 三鳥は「鶴(ツル)」、「雲雀(ヒバリ)」、「鷭(バン)」、二魚は「鯛(タイ)」と「鮟鱇(アンコウ)」で、江戸時代には既に五大珍味として有名になっており、中でもアンコウは水戸徳川家が将軍家へ献上する程重要な食材だったとの事(←現在、鶴と雲雀は国が保護動物として指定しているので食べられませんが、鷭だけは食べてもOKみたいです)。
 通常、将軍家に献上されるような食材は庶民だと滅多に食べられないケースが多かったのですが、意外にもアンコウは江戸っ子達にも広く親しまれていたようで、あん肝をベースにお酒や味噌で味つけしたどぶ汁が人気だったと作中で語られていました(←それにしても、「どぶ」汁…なかなか衝撃的な名前で、いつも違和感を感じます。はんごろしべろべろ穴の中のヒキガエルに負けない響きで、一発で覚えます;)。
水戸には三鳥二魚という言葉があるそうで、昔は雲雀も食べられていたのだとか昔は鮟鱇鍋を溝汁と呼び、味噌などでこってり味つけしていたみたいです
 こうして平蔵さんの案内でどぶ汁を食べに行った銀次さんは、アンコウだけは珍味の中で唯一コッペパンに合いそうだと思うものの、「パンにははさめないしなあ…」という致命的な弱点に悩むのですが、ひょんな事でナイスな調理法を思いつきます。
 それが、この“銀次流江戸あんぱん”です!
 作り方は簡単で、卵黄・和辛子・一味唐辛子・塩・お酢を混ぜて作った自家製マヨネーズに刻んだスイカの奈良漬けを投入して合わせ、下味をつけた後にフライの衣をつけて揚げたあん肝やレタスと共に、コッペパンへ挟んだら出来上がりです。
 ポイントは、あん肝はお酒で臭みを抜いてラップで巻いて蒸してから使うことで、こうするとフォアグラっぽいガツンとした濃い旨さになり、香ばしい衣と相まってパン相手でもしっくりくる美味しさになると説明されていました。
 あん肝と言うと、夜にポン酢醤油で頂く居酒屋風おつまみというイメージが根強いので、お昼にフライにしてマヨネーズをかけてコッペパンに挟んでカジュアルにかぶりつくというイメージがあまり想像つかないのですが、考えてみれば似た味のレバーもカツやサンドにされてよく売られているので、むしろ今までなかったのが不思議なくらいかもしれません。
 奈良漬けとマヨネーズというのもびっくりな組み合わせですが、これが意外に和風ピクルスみたいになって合うらしく、複数の奈良漬け屋様のサイトや奈良県公式サイト様でもお勧めされており、その懐の深さにびっくりしたものです。 
あん肝のフライとすいかの奈良漬のタルタルソースで「あんぱん」を作っちゃいました!
 セールで思いがけずカナダ産あん肝を安く仕入れることが出来たので、いい機会だと思い再現することにしました。
 作中には大体の材料とレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、自家製タルタルソース作り。
 ボウルへ常温に戻した卵黄、和辛子、一味唐辛子、塩、りんご酢を入れて泡だて器でよくかき混ぜ、完全に液体状になったら菜種油を少しずつ加えながら丹念に攪拌していきます。
 やがて全体にもったりとしたとろみがつき、色が白っぽくなってツヤが出てくるまで混ぜたら、手作りマヨネーズは準備OKです。
銀次流江戸あんぱん1
銀次流江戸あんぱん2
銀次流江戸あんぱん3
 この手作りマヨネーズに、酒粕をキッチンペーパー等でしっかり拭い取った後細かく刻んだスイカの奈良漬けを投入し、塩加減やお酢の酸味の微調整をしていったら、自家製タルタルソースは出来上がりです。
※スイカの奈良漬けがない場合は、普通の瓜を使った奈良漬けでも可だそうです。
銀次流江戸あんぱん4
銀次流江戸あんぱん5
銀次流江戸あんぱん6
 次は、あん肝のフライ作り。
 血合いや筋を取り除いてお酒に浸けたあん肝を、ラップで筒状に包んで形を整えて蒸し器で蒸し、固まったらそのまま冷水につけて冷まします。
 全体が冷えて形が崩れにくくなったら、やや分厚めにスライスして醤油、お酒、みりんを混ぜ合わせた調味液につけ、何度かひっくり返しながら約一時間ほど味を染みこませます。
銀次流江戸あんぱん7
銀次流江戸あんぱん8
 味がついたらキッチンペーパー等で水分をしっかりふき取り、小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣をつけ、高温の油でさっと揚げます(←既に火は通っていますので、表面がキツネ色に色づいたくらいで取り出して大丈夫です)。
 揚がったらすぐに引き上げ、余計な油分をきっておきます。
銀次流江戸あんぱん9
銀次流江戸あんぱん10
銀次流江戸あんぱん11
 その間、少し温め直したコッペパンの横にパン包丁で切れ目を切れてレタスを挟み、その上に自家製タルタルソースをかけておきます。
銀次流江戸あんぱん12
銀次流江戸あんぱん13
 油分をきり終えたあん肝フライを先程のコッペパンに挟んでお皿に乗せれば、“銀次流江戸あんぱん”の完成です!
銀次流江戸あんぱん14
 パッと見ただけだとすぐにあん肝フライだとは分からなく、どちらかといえばホタテフライか小さめのメンチカツ、もしくはフォアグラのフライにしか見えません。
 あん肝といえば酒の肴というイメージでしたので、パンに合うのかどうかいまいち想像がつきませんが、見た目は如何にもおいしそうなので期待して食べてみようと思います!
銀次流江戸あんぱん15
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~す!
銀次流江戸あんぱん16


 さて、感想は…これ以上ないくらい抜群の相性で美味し!全く新しい純和風のサンドで、ジュースよりもビールが欲しくなる一品です!
 揚げたてのカリッと香ばしい衣を噛み破ると、まるで絹ごし豆腐をさらに滑らかで密にしたような舌触りのあん肝がクリーミーにふわっととろけ、重厚かつあっさりしたコクが口の中一杯に広がるのが最高で、この醍醐味はカキフライにちょっと似ているな~と感じました。
 醤油の下味もあって結構濃いめな味付けですが、シャキシャキと瑞々しいレタスや、しっとりふんわりしてほのかに甘いコッペパンがしっかり受け止めて程よく中和させており、あん肝だけ浮くことなくちゃんとした「フライサンド」になっています。
 フォアグラや白レバーと非常に似ている洋風味のフライですが、揚げて水分が抜けるとさらに味が凝縮するせいか、魚由来の強烈な脂の旨味がよりはっきりと強調される感じで、カニミソのクリームコロッケをもっと濃厚にしたような美味しさだとも思います。
 自家製のマヨネーズは練り辛子のキリリと凛々しい和の辛さがほのかに効いた、まろやかでサラリとした口溶けの上品な出来映えで、いつまでも舌にべっとり残らずすっきりした淡い酸味が濃い味のフライとぴったりでした。
 すいかの奈良漬けは瓜よりも食感がさりげない感じで優しく、ボリボリというよりはサクサクコリコリとしたしなやかな口当たりで、独特の癖もマヨネーズでうまく和らいで程よい香り高さになっており、他の具と衝突する事なく馴染んでいるのが印象的。
 これが普通のタルタルソースだと、余計くどくなる上にあん肝の個性の前に味がかき消されていたと予想されますが、こちらは奈良漬けの爽やかかつ熟成された強い甘酸っぱさと、極上の日本酒に近い雅やかな風味があん肝に負ける事なく存在感を主張し、あん肝の脂分をすっぱり断ち切ってさっぱりした後口にしていたのがよかったです。


 市販のマヨネーズよりも淡白でしつこくない自家製マヨネーズはとても食べやすく、久々に作りましたがこれはハマりそうです。
 奈良漬けとマヨネーズが合うとは考えてもみなかった為、他にも色々合わせてみたいな~と思いました(←カマンベールチーズフライみたいに濃い味のフライとか、魚系のフライにあいそうです)。


P.S.
 味っ子とクッキングパパ大好きさん、kawajunさん、コメントとご質問を下さりありがとうございます。
 再現料理のリクエストは、可能な範囲内でタイミングがあった時にお受けする形をとっております。
 うちの猫達は、とても元気です!kawajunさんのお宅の猫さん達は、お元気でしょうか?
 むしろ、まだ二〜三歳でやんちゃ盛りの子猫達の方が元気すぎて、めっきり疲れがたまりやすくなった30代の人間達はついていくのがやっとの毎日です(苦笑)。
 最近、やっと写真写りがよくてぶれてなくて眠り顔じゃない写真が撮れてきたので、機会があったらぼちぼちアップしようと思います。


●出典)『銀平飯科帳』 河合単/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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