『ミスター味っ子』の“岡田屋特製クレープ焼きそば”を再現!
- Thu
- 18:00
- 再現料理
例えば、「嫌いではないしそれなりに美味しいけど、率先しては食べないな…」と昔思っていたのは、いなり寿司・砂糖を入れた卵焼き・かぼちゃの煮物・生ハムメロンなのですが、最近むしょうに食べたくなるくらい大好きになり、特に卵焼きは甘い味付けオンリーになりました。
実家の母としては同じいなり寿司好きが増えたのが嬉しいらしく(←実家は母以外辛党)、実家のいなり寿司のレシピを是非教えたいと誘われている今日この頃です。
どうも、妹が地元に帰るたびに醤油や出汁を買い込んでいるのを見て「幼い頃からの味覚って根強いんだな~」と改めて思った当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて岡田屋さんが陽一君へのリベンジをかけて桜祭りで出した“岡田屋特製クレープ焼きそば”です!

ある春の日、ウキウキ気分の法子さんは若いアイドルの歌を歌いながら店先を掃除し、陽一君から「ねえー、母さんやめてくんないかなあ。恥ずかしいったらないよもう…!」と注意されるのですが、「いいじゃない、歌ぐらい誰に迷惑かけてるわけじゃなし。母さんの歌は、この町のうるおいなのよ」と全く反省せずに言い返します;(←ちなみに、この時法子さんが歌っていたのはアニメ『シティーハンター2』のOP曲。結構高めの声なんだな~と想像すると同時に、古きよき昭和レトロの時代を思い出して遠い目になりました…)。
陽一君はそれを聞いて呆れ笑いをしますが、法子さんは初登場時こそほうれい線くっきりの老けた奥様に描かれていたものの、話数が進むに連れてどんどん若返り、一馬君とカレー対決をする頃には二十代くらいのナイスバディな若奥様へとクラスチェンジしていたという、アンチエイジング界のカリスマ美魔女主婦(←一部では「息子・味吉陽一の料理に若返り効果があるのでは?」と根強く囁かれていますが、もしそれが本当なら『ジョジョ』のトニオさんが持つパール・ジャムみたいなスタンド持ちという事になる為、夢のある話だな~と思います)。
現実世界でも、gooで行われた「最高に色っぽいと思う人妻キャラ」ランキングで三位に入賞するという快挙を果たす程人気がありますので、法子さんの言葉もあながち嘘ではないんじゃないかな?と感じたものです。
しかし、陽一君が真に心配していたのは「いつもこの季節になると大きなポカする」事で、それを聞いた法子さんは「浮かれはしても、やるべきことは母さんちゃーんとやってますから」と胸を張るのですが、その直後に桜祭りの出店申請をコロッと忘れていた事に気づき、大慌て!
去年、申し込みが遅れたばかりに岡田屋さんと大揉めし、お好み焼き勝負に発展した苦い過去を思い出した慌てた法子さんはダッシュで公民館へ行き、何故か最後まで残っていた一等地の残り一枠のスペースをゲットします。
正直、この時点で『ミナミの帝王』の「自分で儲かるうまい話を他人に持っていくアホはおらんちゅうこっちゃ」という格言が脳裏をよぎった当管理人は嫌な予感がしましたが、法子さんは「キャーッ、どうしよう!ラッキーだわー!!」と素直に喜んでおり、複雑な気持ちになったのを覚えています;。

しかし、当然そんなギリギリまで残っていたスペースに問題のないはずがなく、まもなく陽一君達は一等地に屋台を出す条件を知って唖然とします。
それは、完全にゴミを出さない工夫をすること!
実行委員である事務長さん曰く、一等地である公園の噴水近くのスペースには空き容器でいっぱいの汚いゴミ箱を置いて景観を損ないたくない為、透明容器・紙皿・串みたいなすぐ捨てたくなる使い捨て容器や道具は一切使わないで欲しいようで、使うとしたら薄手の包み紙くらいにして欲しいと話していました。
ちなみに、日之出食堂が割り振られていた屋台料理はよりによって“焼きそば”…そりゃ普段はバイタリティの塊みたいな陽一君も「容器なしじゃ焼きそばなんて食べられないよっ」「そんなのできっこないよ…」と絶望したくもなると同情しました;(←いっそ開き直って、ベビースター焼きそばソース味や焼きそば屋さん太郎を出してお茶を濁したくなる案件)。
個人的に、焼きそばパンならどうだろう?と思いましたが、考えてみたらお祭り屋台でパン系はアウェイ感がすごいですし、仮にあったとしても「わざわざお祭りまで来て、コンビにでも買える惣菜パンを食べるのはちょっと…」と敬遠されそうですので、これはかなりの難題だと思ったものです(←関係ないですが、漫画で不良が誰かをお使いさせる時に高確率でリクエストするパン一位ですよね、焼きそばパン。「ソースの味って男のコだよな」と語る『孤独のグルメ』の五郎さんにシンパシーを感じているのでしょうか?)。

けれども、実はお隣で出店予定になっている岡田屋さんは既に容器いらずの焼きそばを発明しており、去年の桜祭りの雪辱を果たさんと燃えに燃えていました。
その型破りな新作メニューが、“岡田屋特製クレープ焼きそば”です!
作り方は簡単で、茹でて油をちょっと塗った後に丸く成型したこんにゃく粉入りの中華麺の上にスモークサーモンとホワイトソースをトッピングし、そのままくるっと巻いて包み紙でラッピングしたらもう出来上がりです。
ポイントは、麺は油を塗ったらすぐに使うのではなく少し放置しておくことで、こうすると麺自体の重みと粘りで自然と平たく固まり、まるで本物のクレープ生地のようなキレイな円盤状に仕上がると説明されていました。
岡田屋さんが言うには、二~三時間前から作り置きしてものびないようにし、普通の焼きそば麺よりもさらにコシがあって食感をよくするという一石二鳥効果を狙ってこんにゃく粉を配合したそうで、同じ関西弁キャラである一馬君同様、細やかな計算が出来る人だな~と感心したのを覚えています。
何とも奇抜なアイディアに見えますが、現在カナダではジュレ状のラーメンスープを麺や具と一緒に巻いたラーメンクレープと言う謎の日本食が流行し、「これは面白い!」とお客さんが殺到しているそうですので、それなら焼きそばもありなのかも…と妙に納得しました。
見た目が変わっていて色合いも美しい料理は、インスタ映え狙いのお客様に反響があってすぐにネットで拡散しそうなので、効果的に宣伝できそうなのも有利だな~と思います。



こんにゃく粉入りの中華麺がなかなか見つからず、長い間断念していましたが、先日やっと見つけたので再現する事にしました。
作中には大体の作り方が載っていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、麺の準備。
こんにゃく粉入りの中華麺を用意してやや硬めに茹で上げ、しっかり湯きりしたら油を塗っておいたラップの上に円を描くようにして平らに丸く成型します(←巻くと厚みが出ますので、薄めに敷いたほうがいいです)。
麺を乗せ終えたら表面に薄く油を塗って少し放置し、さらに形を固めます。
※スープは後日、失礼ながら他の中華麺に合わせて頂きました。おいしかったです。



次は、ホワイトソース作り。
バターを溶かしたフライパンへ薄力粉を入れてよく炒め合わせ、とろりとしたペースト状になって粉っぽさがなくなってきたら牛乳を一気に入れ、手早く混ぜ合わせます。
火が通るにつれてとろみが出てきたら、塩と胡椒で味付けをします。


ここまできたら、いよいよ包み作業。
先程の渦巻き麺の中央にスモークサーモンを乗せ、その上からやや冷ましておいたホワイトソースをたっぷりかけます(←スモークサーモンに熱が通って生じゃなくなってもいい方は、熱いままかけてもOKです)。
ソースをかけて適度に広げ終えたら、麺の両側部分をそっと内側に巻いてくっつけます。
※この作業が一番うまくいくのか心配してハラハラしていた所なのですが、拍子抜けするくらいすんなりと巻けてくれました。恐らく、こんにゃく粉入りの麺とホワイトソースの粘りが接着剤代わりになったからだと思います。



具を巻いた麺を形が崩れぬよう気をつけながらクレープ用包み紙に入れ、急いでテーブルへ運べば“岡田屋特製クレープ焼きそば”の完成です!

単にお皿に盛られているだけだったらそこまでおかしい見た目ではないのですが、やはり包み紙に強引にねじ込まれている麺の図と言うのは結構シュールな絵面で、一瞬頭が混乱します。
材料の相性はよさげなのですが、調理法や盛り方が異色だとここまでギクシャクして見えるのだな~といい勉強になりました(←納豆ご飯を平皿に盛り、フォークとナイフで食べるが如くの違和感)。
とはいえ、『ミスター味っ子』料理は

それでは、出来立ての内にいざ実食!
いただきま~すっ!

さて、感想は…想像していたよりもまともな美味しさでびっくり!啜らず噛むだけでも長い麺ならではの旨さがあって、それでいてちゃんと生地っぽく仕上がっています。

こんにゃく粉入りの中華麺は多少冷めてはいますが、普通の中華麺と違ってのびる事なくしっかりコシが残っており、ぷっつりと噛み切れる歯応えとモチモチした弾力がたまりません。
卵やかん水入りの麺などと比べて癖や臭いがない為淡白なのが特徴的で、細麺同士がほのかな粘りでくっつき合ってもっさりした塊になっているのと相まり、まるでビーフンとカッペリーニを足して二で割ったような味わいだと思いました。
このプリプリしたあっさり麺に、バターの芳醇な風味とコク、そして牛乳の優しい甘味が効いた濃厚なホワイトソースがぴったりで、かぶりつくと麺の間から滑らかなソースがトロリと溢れてくるのが斬新で面白かったです。
味付けは例えるなら「しっとりスモークサーモンのシンプル冷製クリームパスタ」というイメージで、焼きそばというよりはイタリアンみたいでした。
スモークサーモンのほのかな苦味を帯びた香ばしい燻煙の風味とチーズのような旨味が、まったりしたホワイトソースにほどよい塩気のアクセントをプラスし、奥深さを出しているのがよかったです。
元々サーモンとクリーム味は王道の組み合わせなものの、大抵のサーモンパスタは加熱してあの何とも言えないとろけるような舌触りが消えているのがネックでしたが、こちらは冷やす前提なので違和感なく生のスモークサーモンとクリーム味が両立しているのが秀逸で、お酒にも合う為大人向けの一品だと感じました。
持ち上げると自重で形がクニャッと崩れてしまう為、作中にある通り手で持って食べるのが非常に困難で、結局お皿にお箸で食べる羽目になりました;(←但し、円形の形は崩れず固まったままでしたので、上記でご説明した通りただの麺料理とは一線を画しています)。
しかし、意外にもこんにゃく粉の麺とホワイトソースの粘着力は強く、包み紙からポタポタ落ちる事はありませんでしたので、色々と調理法を改良したら大化けしそう…と感じました。
麺の両面をしっかり焼いて、強度を持たせたらうまくいくかもしれませんが、それだとクリーム味に合わなくなりそうなのがネック…難しいですね(
P.S.
キンメさん、ほーりーさん、コメントを下さりありがとうございます。
次回の『ミスター味っ子』再現は陽一君の焼きそばもチャレンジしたいと考えていますので、宜しければご覧になって頂けますと幸いです。
●出典)文庫版『ミスター味っ子』 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『ゆめ色クッキング』の“生ハーブ入りオムレツ”を再現!
- Sun
- 18:00
- 再現料理
それは、2011年に売られていたローソンの和パスタ、牛肉と野菜の和風だし味!
今となってはうろ覚えなのですが、よく煮た牛ばら肉ときのこに、醤油ベースのお出汁と赤唐辛子がピリッと効いた和風味で、後入れで足すしゃきしゃきの水菜がいいアクセントになっており、何度食べても飽きなかったのを覚えています(←ネギや七味といった和のフレーバーが香るのもポイント高し)。
それが一年くらいして売られなくなり、その内リニューアルされて出るのではと思ってずっと待っていたのですが結局それっきりで、再現しようとしてもどうもうまくいかない為幻の味となっています…。
どうも、近所のスーパーがハーブを急に扱わなくなったのにショックを受け、「こうなったら自分で育てるしか…でも、猫達があっという間に荒らしそうな予感に一万ペリカ(←目新しい物が増えたら必ずひっくり返す悪癖あり)」と悩んでいる当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『ゆめ色クッキング』にて主人公・芹香ちゃんが初めて好きになった男性の為に作った“生ハーブ入りオムレツ”です!

後に、第一話以来自分の傍であしながおじさんの如く見守ってくれていた南野さんと結婚する芹香ちゃんですが、実は南野さんを意識するようになる前、ある男性にほのかな恋心を抱いていた時期がありました。
その男性とは、若きカメラマンの卵・浅倉一矢さん。
南野さんへ原稿を渡しにティーンズ編集部に来た時出会ったのですが、十七歳と二十二歳というちょうどいい頃合の年齢差の上、明るく前向きな性格の者同士で気が合った為、どちらからともなく自然と仲良くなっていきます。
そして、二人とも好きだと告白するシーンは一切ありませんでしたが、そういう確認ナシでも僅か数日で徐々にお付き合いがスタートしていました(←ある意味、「じゃ、ケッコンすっか!」「んだ!」というやり取りだけでゴールインした『ドラゴンボール』の悟空とチチ以上に淡白。数年後、色々すっ飛ばしていつの間にか子どもが生まれていたベジータとブルマ状態になっても驚きません。コミュ力おばけすぎて天上人のように思えます;)。
子どもの笑顔が大好きで、過去に撮り集めた多くの写真をアルバムにして持ち歩いており、「世界中まわっていろんな国の子どもたちの写真撮るんや」と語っては芹香ちゃんから微笑ましく感じられていました(
少女漫画でありがちな「好きで好きでたまらない!」という熱情や、「素直になれなくてすれ違い…」というもどかしさはなく、当初から友達の延長線みたいな空気で「付き合っている」というにはあまりに淡すぎる恋でしたが、それだけに二人とも自然体で理解しあえている感じで、正直このままうまくいっていたら南野さんの出る幕はなかったかもしれません;。
実を言いますと、南野さんはこの頃既に芹香ちゃんが気になっていたのですが、ただでさえ恋愛に奥手で地味な上に「俺はあの子より十歳も年上!」と自分を戒めたり、実際芹香ちゃんからも「おじさん」「お父さんを思いだしちゃった」などと言われて保護者役に徹していたので、その結果どうしても社交的で生き生きとした浅倉さんには遅れを取っていました。
『ベルサイユのばら』のオスカルの「血にはやり武力にたけることだけが、男らしさではない」「だれかがいっていた。心やさしくあたたかい男性こそが、真に男らしいたよるにたる男性なのだということに気づくとき…たいていの女はもうすでに年老いてしまっている…と…」というセリフではありませんが、若い頃は大きな目標を掲げて勇ましく進んだり、見た目も性格も華があったり、向こう側からちょっと強引に距離をつめてくる人の方がどうしても異性として魅力的に見える物なんだとしみじみ思います(←浅倉さんも違うベクトルで心優しいので、芹香ちゃんの見る目はどっちにしろ正しいのですが)。


しかし、そんな楽しい時間もつかの間で、ふんわり付き合い始めてまだ一~二ヶ月くらいしか経ってないある日、浅倉さんからしばらくアメリカへ行くと告げられます(←『ローマの休日』ばりに短くも密度が濃い恋ですね)。
何でも数日前、高名なカメラマンから写真を見て気に入ったと言われ、今度の取材旅行にアシスタントとしてついてきて欲しいというオファーがあったのだそうで、最低でも一年間は戻ってこられないとの事(←個人的にアメリカで修行と聞くと、『スラムダンク』の谷沢さんの「アメリカの―その空気を吸うだけで、僕は高く跳べると思っていたのかなあ…」という絶筆を思い出して不吉な気持ちになるのですが;、浅倉さんの場合幸いにも大丈夫だった事が後に判明しました)。
とんでもない大チャンスに浅倉さんは大喜びするのですが、まだ始まったばかりの芹香ちゃんとの仲を一方的に断つ事が出来ず、「芹香ちゃんどう思う?」と聞きます。
当然芹香ちゃんはショックを受けるのですが、かつての浅倉さんが語った夢を思い出してすぐ気を取り直し、心の中では泣きそうになりつつも「おめでとう、やったじゃない!!」「浅倉さんの夢がかなうんだもん」とあえて明るく喜んでみせ、後日お祝いも兼ねて送別会をしようと提案していました。
この時、一年後にまた交際を再開しようと約束する事も出来たはずなのですが、お互い「一年は長すぎる」と思っていたのか、浅倉さんがアメリカに行く時点で一旦リセットするという暗黙の了解が成り立っていた模様。
二十代後半以降になると一年なんてあっという間に過ぎるので、「寂しいけど、ちょっとの辛抱だよね。いってらっしゃい!」くらいの感じで軽く見送れるようになりますが、十代の頃感じていた時間の進みは、今思えば懲役30日の主人公が感じていたスローすぎる速度にちょっと近い物があった為、気が遠くなって別れを選んだお二人の気持ちも分かる気がしたものです。

こうして数日後、自分の手料理で二人っきりの送別会を行う事にした芹香ちゃんは、浅倉さんからプレゼントしてもらったハーブを使ってあるおもてなし料理を作ります。
それが、この“生ハーブ入りオムレツ”です!
作り方は簡単で、卵・塩・こしょう・牛乳・パセリ・チャイブ・チャービル・バジル・トマトをボウルに入れて混ぜ合わせ、バターをしいて熱したフライパンでかき混ぜながら焼いて木の葉形に成型したら出来上がりです。
ポイントは、卵を割りほぐす時泡立てないよう気をつけること、ハーブ類はドライタイプではなく必ず摘み立てのフレッシュタイプを使うことの二点で、こうすることふっくらとした風味のいいオムレツに焼きあがると説明されていました。
通常、ハーブオムレツは一~二種類のハーブのみで、ソーセージ・じゃがいも・ほうれん草などを加えてボリューム満点にする事が多いのですが、芹香ちゃんは極力他の具を省きハーブを倍以上使用する事でよりハーブの香りを活かした味に仕上げており、関西出身で素材の持ち味を引き出す味付けを好む浅倉さんから絶賛されてました。
結局、芹香ちゃんは「浅倉さんにアメリカになんていってほしくなかったの」という本音をポロリと漏らしつつも、「浅倉さんの夢がせっかくかなうのに。そう思ったから」と最後まで物分りよく送り出しており、感謝の笑みを浮かべた浅倉さんから「ありがとう。あんとき芹香ちゃんに止められたら、ちょこっとだけぐらついたかもしれん」とお礼を言われています。
その上、こういう時大人でも別れは湿ったものになりがちなのに、「じゃあ、いまから泣いてすがっちゃおかな。‘いかないで’って」「もお、あかん。切符こおたしもったいないわ」「ひどーい」とコントみたいなやり取りをし、円満にお別れしていました。
この話を読む度、恋愛がうまく進むかどうかは如何に本人達が真剣かどうかという事よりも、「タイミング」と「勢い」の方が重要なのだと改めて考えさせられます(←仮に99%の部分がしっくりきても、たった1%でも何かが足りなかったら簡単に終わってしまうのが恋愛の奥深さだな~と思います。当管理人が付き合ったのは夫だけなので、経験で語れないのが情けないところですが;)。

他のハーブは手に入るものの、チャイブ(←西洋あさつき、エゾネギとも言います)だけがどうしても見つからなくて長年諦めていたのですが、最近近所のお店でやっと見つけて再現する事にしました。
単行本には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、材料の下準備。
チャイブ、チャービル、バジル、パセリ、トマトをよく洗ってしっかり水気をふき取り、それぞれみじん切りにします(←手に入らないハーブがある時は青ジソやあさつきで代用しても可とレシピにはありましたが、これらを使うとどうしても和風の別物になってしまいますので、思い切って手に入るハーブのみで作るのもありだと思います)。
一方、ボウルへ卵を割り入れて軽くほぐし、塩、こしょう、牛乳を投入して泡立てないよう気をつけながらさっとかき混ぜます。
そこへ、先程の刻んだハーブ類とトマトを加え、手早く混ぜます。



次は、オムレツ作り。
強めの中火でフライパンを熱したらバターを入れて全体になじむよう溶かし、全部溶け切らない内に用意しておいた具入り卵液を一気に流し入れます。
卵液の縁が徐々に固まったらざっくりとかき混ぜ、半熟に固まってきてトロリとしてきたらフライパンの片隅めがけて少しずつ折りたたんでいき、形を整えます。


オムレツを成型し終えたらお皿へ盛り付け、傍らにレタス、プチトマト、茹でたアスパラ等を飾り付ければ“生ハーブ入りオムレツ”の完成です!

バターとハーブの芳醇な匂いが湯気となって香るところといい、黄色に緑と赤のカラフルな色合いがちって見るからに美しいところといい、否応にも食欲をかきたててくる一品です。
ハーブと言うと食材の香り付けに使うイメージで、こんな風に主役にして食べるとは思っても見なかった為、どんな味がするのかとても楽しみです!

それでは、熱々の内にいざ実食!
いっただっきまーす!

さて、感想は…三つ星ホテルのブレックファーストに出てきそうな品のある味わい!見た目はフレンチですが、中身はがっつりイタリアンで親しみやすいです!
バターのリッチで芳しい風味が浸透したフワフワのとろける半熟卵から、細かく刻まれても尚シャキシャキジャクッとした張りのある食感のハーブが溢れ出て、噛むごとに様々な香りがス~ッと立ち上ります。
味付けは基本塩のみでシンプルなんですが、トマトのジューシーで瑞々しい甘酸っぱさがオムレツ全体に出汁みたいに効いているせいか、何とも言えない深みがいるのが特徴的でした(←ピザのマルゲリータをぐっとあっさりさせ、ハーブ香をより鮮烈にして卵に包んだような旨さ)。
バジルはハーブの女王の名に恥じない華やかな爽やかさ、チャービルは甘味を帯びてほのかに苦い清涼感、パセリは野趣のある清々しさがキリッと舌にくる風味で、それぞれに香気が強いのにまろやかな卵で中和されているおかげでバランスよく調和しており、例えるとするなら「香りが開花するオープンガーデン風オムレツ」というイメージです。
チャイブはほんのりあさつきみたいな匂いがするのですが、ネギよりも癖や独特の臭みがない為他のハーブにもすんなり馴染む感じで、上品な香りの芽ネギみたいだなと思いました。
時折、ホワイトペッパーの淡白な辛味がわずかにピリッと効いて後口を引き締めるのが味がダレるのを防いでおり、よかったです。
生ハーブだと匂いがきつすぎないかと心配していましたがそんな事はなく、程よく鼻腔をくすぐって爽快な気持ちになるのがとても心地よかったです。
そのままでも満足ですが、作中にある通りバターを塗ったバゲットに乗せるとぴったり合う上にお腹も満たされる感じで、休日のお昼に食べるといい気分になりそうだと感じました。
ただ、後日調子に乗ってレシピにある分量以上のハーブを使ったら、途端に調和が壊れてハーブハーブしすぎてしまった為、欲張らずに程ほどの量に抑えるのがコツだと思いました;。
P.S.
MoonLightさん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『ゆめ色クッキング』 くりた陸/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『なんちゃって駅弁』の“有田焼カレー”を再現!
- Wed
- 18:00
- 再現料理
一瞬、昔マクドナルドにあった「スマイル ¥0」みたいなものかな?と思ったのですが、こちらは¥7,800(税込)という妙に強気な価格設定で、ネタで頼むにはリスキーな分ものすごく気になりました…。
結局、その日は勇気が出なくて注文出来なかったのですが、今度行ったら「今日、松田さん来てますか?」と夜のお店で指名するかの如くスマートに問いかけてみるつもりです。
どうも、某漫画のように「“笑顔”ですね…かしこまりました、こちらへどうぞ」と合い言葉的に別室へ通されたら面白いのにな~とちょっとワクワクしている当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『なんちゃって駅弁』にて森口さんと宮本さんが元気をなくしている亀さんの為に作った“有田焼カレー”です!

それは、主人公の一人である宮本寿乃さんがまだ入社してまもなかった頃のこと。
七十歳になったばかりの亀さんは、周囲で不幸が重なったり、胸焼けや食欲不振といった体の不調のせいでイマイチ気分が優れない日々を過ごしており、とうとう息子である専務から病院での検査をすすめられます(←頑丈そうに見えますが、こう見えて歯痛・ぎっくり腰・胃潰瘍でひと騒動起きた事あり。一度など、家族団欒の夢を幸せ気分になっている隙に亡くなった奥さんからあの世へ連れて行かれそうになるという、いい話風に見えてホラーな臨死寸前体験までしています;。あやうく、「奥様は魔女」ならぬ「奥様は死神」になる所でした (((( ;゚Д゚)))ガクブル)。
しかし、あまり深刻に考えていなかった亀さんは「そんなヒマはない!まあそのうちいくよ」と適当に返すのですが(←本当は行く気がない時の常套句;)、内心心配していた専務は「…お父さん!そろそろ引退を考えられたらどうですか?」「あなたはもう年だ、老人です。会社も若返る必要があるんです!」とついきつい言葉で引退を迫り、その結果「お前にはまだ無理だ!」「無理なのはそっちでしょ」「会社は譲らん、クビだ!」「次の取締役員会で引導をわたしてやる!」と喧嘩になってしまいます。
会社の今後が関わっている話なので深刻かつ壮大な内容に見えますが、言い合いの内容は「お前の母ちゃんでべそ!」レベルの他愛ない家族喧嘩で苦笑します;(←専務は推定四十代~五十代くらいなので充分頼りになると思うのですが、亀さんからしたらいくつになっても「まだまだ頼りない子ども」という存在なんでしょうね…)。
リアル系バトル漫画界やスポーツ選手界だと、体力や持久力が若い頃と同じではないと数値や感覚で分かりやすいせいか、実際に戦って負けた時に「後は頼んだ!」とすっぱり引退出来る方が多い印象ですが、亀さんの場合は現場を駆けずり回る体力勝負がない分衰えが実感しづらく、それで「まだ引退しなくても大丈夫!」となるのかな?と思います(^^;)。

その時、宮本さんと森口さんは「このところ社長、まるで元気がないのよ。お昼に駅弁を食べるのが唯一の楽しみだって言ってたのに…」「確かに心配だな。あの食い意地の張った人が食欲がないなんて…」と話し合っており、珍しくお弁当をいらないと言い出した亀さんを心配していました(←駅弁大会があると、まるで大量の戦利品で崩壊寸前の紙袋を両手に持って帰るコミケ参加者状態になる亀さんですので、そう言いたくなる気持ちは分かります。同人誌と違ってお弁当は日持ちしないのに、一人であれだけ買い込むなんて天晴れと言う他ありません;)。
どうやったら亀さんの食欲が出るのか、二人して考えるのですが、その時宮本さんが妙案を思いつきます。
それは、特製カレーの差し入れ!
宮本さんが小さかった頃、ウイルス性胃腸炎にかかって治ってるんだか治ってないんだか分からない程苦しんだ時期があったようなのですが、そんな時お母さんがカレーを作ってくれたそうで、匂いを嗅ぐ内に食欲が湧いてやっとご飯を食べられたとのこと(←病気で意識が朦朧としている時にやっとの思いで食べる温かな食事って、特別感があるせいか妙に印象に残る気がします。当管理人の場合、治りかけると出てくるご飯入りの鍋焼きうどんが好きでした^^)。
一番きつい時だったらかえって逆効果かもしれませんが、確かにカレーは病み上がりで食欲不振をズルズル引きずっていても一気にお腹をすかせるパワーがありますので、ナイスアイディアだと思いました(←とても存在感のある香りの為、食べる場所によっては新幹線でジェットボックスシウマイを温めた五郎さんの如く「ジェットのせいで歯車がズレたか…」状態になりかねない危険性がありますが)。
実際、薬膳料理でもあるカレーは刺激や油脂に気をつけさえすればいい回復料理になるみたいで、最近では喉の痛みを和らげる効果まであるのが判明しているのだとか。

こうして、森口さんと宮本さんが亀さんの食欲を取り戻そうとして二日がかりで作ったなんちゃって駅弁が、この“有田焼カレー”です!
作り方は手が込んでおり、玉ねぎ・牛スジ肉・赤唐辛子・にんにく・生姜をホール状のスパイス類と一緒に圧力鍋で約二時間煮込んで特製スープを作り、そのスープに赤ワイン・砂糖・カレールー・デミグラスソースを入れて一晩寝かせ、翌日に紫ウコン・クミン・コリアンダー・チリパウダー・山椒・インスタントコーヒーを加えてさらに煮込み、ご飯にチーズと一緒に乗せてこんがり焼いたら出来上がりです。
ポイントは、カレールーもチーズも二~三種類ブレンドして使うこと、ホールスパイスは割ったり潰したりしてから入れること、ご飯を盛る時はふんわりではなく少し固めるようにしてよそうことの三点で、こうするとより本物に近くなると作中で語られていました。
有田焼カレーとは、2007年に地域活性化を願って有田駅で発売されて以来、年間約10万個を売り上げる人気ぶりで様々な賞を受賞している、日本初にして唯一のカレーの駅弁。
28種類のスパイスをブレンドして一週間煮込んだ本格的な味わいが特徴で、ついてくる器も本物の有田焼なのでお得感があります(←毎年新しいデザインの器に変わるのがコレクター心をくすぐります)。
特筆すべきは、欧風カレーなのにちっとも胸焼けしないところで、マクロビと薬膳の知識を活かして「おいしい」と「体にいい」を両立した味に仕上げ、薬効の高い紫ウコンやレモングラスの力で健康食といっていい程のカレーを実現されたのだそうで、まさに弱っている亀さんにぴったりな駅弁だと感じました。
おかげで、体調不良と喧嘩が重なって不機嫌だった亀さんは、「いやーっ、うまい!熱くて辛くてスパイシーで!!」と一転して食欲を取り戻し、やっと元気になっていました。
ちなみに、この時使った器は有田焼カレーの器ではなく、専務が一晩中車を飛ばして実家へ取りに行った、幼き日の亀さんが使っていたキレイなカレー専用のお皿。
亀さんにとっては、今は亡き母との思い出が詰まった特別なお皿で、その話を覚えてわざわざ取りに行ってくれた専務に感謝し、無事仲直りするのでした(←憎まれ口ばかりで素直にごめんを言えない分、行動で思いやりを示したんだろうな~と思うとほっこりします)。



ずっと気になっていたものの、色々と材料が不足していて作れなかったのですが、最近やっとスパイスや調理器具が揃ったので再現する事にしました。
作中には詳細な分量つきのレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、ルーのベースとなる特製スープ作り。
圧力鍋へホールのシナモン、カルダモン、クローブ、ローリエ、ローズマリー、ケッパー、レモングラスを入れてきっちり縛った小袋とお水を加えて火にかけ、少し煮込んでスパイスの香りをお湯に移します。
※ホールスパイスは手で適当な大きさに割ったり千切ったりしてから入れた方が、より鮮烈な香りがにお湯に溶け出るようになります。



いい香りが漂ってお湯が色づいてきたら、縦に薄くスライスした玉ねぎ、下茹でして洗った後ザク切りにした牛スジ肉、赤唐辛子、みじん切りにしたにんにくと生姜を投入します。
こまめにアクを取りながらさらに煮込み、アクが出なくなったら圧力鍋のフタをしっかり閉じて加圧していき、二時間以上かけてじっくり煮込みます。



時間が経ったらフタをあけてザルでスープと肉&玉ねぎ片に分け、スープは計量カップで正確な量を計り、肉&玉ねぎ片はなるべく小さくなるようざっくりほぐしてから再度お鍋に戻し入れてまた火にかけます。
これで、特製スープは準備完了です。



次は、カレー作り。
特製スープへ赤ワインと砂糖を加えて煮溶かし、沸騰してきたら一旦火を止めてカレールーを少しずつなじませながら合わせていき、デミグラスソースも投入してよく混ぜ合わせます。
調味料が行き渡ったら火をつけて約十五分程煮込み、荒熱が取れたら冷蔵庫に入れて一晩寝かせておきます。
※作中のレシピでは、カレールーは市販の物を二~三種類ブレンドして使う事を推奨されていました。ですので今回、ネットでお勧めされていたハウスのザ・カリー(辛口)&グリコのZEPPIN(中辛)の組み合わせを採用してみました。普段はジャワカレー派ですが、たまには他の味も試してみたかったので…;。



翌日お鍋を火にかけ、煮立ってきたらパウダー状の紫ウコン(←別名:ガジュツ。生薬として使われることが多いスパイス)、クミン、コリアンダーを少しずつなじませながら合わせ、インスタントコーヒーを加えてかき混ぜます。
この時、辛味が物足りなかったらチリパウダーと山椒をお好みで投入して味の微調整を行い、コトコト煮込みます。



ここまできたら、いよいよ焼き作業。
やや硬めに炊いた白ご飯をお好みの有田焼カレーの器へよそい、優しく形を整えながら丸く固めて盛り付け、上から熱々のカレーをまんべんなく注ぎます。
この中央に二~三種類ブレンドしたとろけるチーズを乗せ、高温に熱したオーブン(又はオーブントースター)へ入れて三分前後かけて焼きます。
※当管理人の場合、ごく普通のピザ用チーズに、スライスタイプのモッツァレラチーズをブレンドしてみました。濃い目のカレーなので、淡白で癖の少ないチーズが向いていると思います。


こまめに焼き具合をチェックしてチーズがとろけてきたらすぐに取り出し、そのまま急いでテーブルへ運べば“有田焼カレー”の完成です!

チーズの色合いが微妙に違ってしまいましたが、それ以外は見た目といい香りといいほぼ同じ感じに仕上がり、ほっとしました。
本物の有田焼カレーは既に五回以上食べていますが、一向に飽きないというすごい魅力の美味しさですので、なんちゃっての方は一体どんな感じなのか非常に楽しみです!


それでは、チーズがトロトロの内にいざ実食!
いっただっきまーす!

さて、感想は…かなり本物に近い美味しさで感動!プロのカレーと遜色のない出来映えで満足です!

格式高いレストランで出される本格欧風カレーという感じのこれ以上ないくらい濃厚なコクが特徴的で、牛肉の旨味がたっぷりと贅沢に効いたこってりした王道の味付けにうっとりします。
具はコンビーフみたいに柔らかい繊維状になり、簡単に舌でほどける程ホロホロになった牛すじ肉と、ほぼ溶けてトロトロのペースト状になった玉ねぎのみですが、両方ともしっかりした味なのでむしろこれがちょうどいいくらいで、口の中で白ご飯と合わさって噛み締めると程よく中和し、渾然一体となって絡み合うのがたまりません。
本物を食べる時、まるで老舗洋食屋のビーフシチュー風カレーと言いたくなるような圧倒的に深い甘辛さと、重厚なのにとろけるようなまろやかさに圧倒された物でしたが、それは牛すじ肉の骨太な出汁とデミグラスソースの熟成された旨さのおかげだったんだなと実感しました。
ここにまったりとした酸味と複雑な塩気が効いたこんがりチーズが加わると、これ以上ないくらいリッチでスパイシーなビーフカレードリアになる感じで、ルーの濃さがやや緩和する為そのまま食べるよりもかえって甘味や美味さが引き立つのがナイスです。
こんなにも濃い味わいなのに、紫ウコンを始めとする漢方薬チックなスパイスや油を極力控えた調理法のせいか不思議と胃にもたれない為、見た目によらず体に優しい後口なのが印象的でした。
焼いて表面から水分が飛ぶと、少し煮詰められる分ルーがキリリと締まって味がぐっと凝縮される感じで、何とも言えない香ばしさがプラスされているのがよかったです(←お皿のハンバーグと鉄板ハンバーグの違いみたいなイメージ)。
よーく味わうと、個々のスパイスの割合が少しずつ異なって微妙に違う風味になっていたり、こちらの方がやや辛めだったりと細々した差異はありましたが、家でここまで肉薄した物が作れるならたいしたものだと思います(←改めて、レシピを作り上げた原作の守靖ヒロヤ先生を尊敬!)。
正直、近頃は濃い欧風カレーを食べるとやや胃が重くなっていたのですが、こちらのカレーはびっくりするくらい負担がかからず、最後までおいしく頂く事ができました。
夫にも確認した所、「本物とそっくりで旨い」と喜んでいました。
手間と時間と費用がかかるのでそう頻繁には作れませんが;、時々無性に食べたくて仕方がなくなる味です。
P.S.
ましろさん、鯵仙人さん、無記名さん、無記名さん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『なんちゃって駅弁』 原作:守靖ヒロヤ 作画:上農ヒロ昭/実業之日本社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『どんぶり委員長』の“くん製づくしの香り高きネオ親子丼”を再現!
- Sat
- 18:00
- 再現料理
我ながら食い意地が張っていて情けないのですが、一見するとただの料理写真でも「これを食べてる時、こんな番組をみてたな」「このお店では、あんな出来事があったな」など、意外と細かい事を連鎖して覚えている感じで、文章なしでもここまで記憶って残るものなんだな~と人間の脳の仕組みに感心しました。
どうも、時々全然撮った覚えがない謎の画像が残っているのを発見しては推理に没頭している当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて吉田君が林間学校へ行った際に委員長の為に作った“くん製づくしの香り高きネオ親子丼”です!

ある夏の日、吉田君と委員長は林間学校に参加します。
自由行動の際、ほとんどの生徒は周囲の探索へとアグレッシブに出かけたようでしたが、委員長は大自然の中で静かに読書、吉田君は炊事場で燻製作りとバリバリインドアな過ごし方をしており、一見正反対でも本質的には似たもの同士だな~と苦笑しました;。
通常、こういう時学校側は「登山だ!」「カヌーで川下りだ!」「天体観測だ!」「キャンプファイアーだ!」とパリピやリア充ばりにを賑やかなスケジュールを詰め込んで生徒に息つく暇も与えないのがデフォなはずなのですが、よくも悪くも吉田君達の高校はのんびりしているみたいで、こういう生徒の個性に特化した遊びをさせる林間学校もありかも…と感じたものです。
それにしても、燻製器があるなんて珍しい宿泊施設だと思いましたが、何とこの燻製器は吉田君がお父さんから誕生日にプレゼントしてもらった自前の物で、林間学校で思いっきり試したいと考えてわざわざ持参したとの事(←小学三年生にして都々逸が得意なちびまる子ちゃん並に渋い高校生ですね)。
おかげで当初は引いていた委員長ですが、出来立てのスモークチーズを食べた途端、 「な…何これ!?すっごく美味しい…!!」「アタシが今まで食べてたあのチーズと全然違う…!!」と一気に燻製の虜になり、熱い手の平返しをしていました;。
普段は自他共に学校の規則に厳しいクールキャラなのに、おいしい料理を食べると「ふああああ!」とすぐに食欲の暗黒面落ちするその様は、さながらバイクに乗ると人格が変わる『こち亀』の本田速人さんのようです。

実を言いますと、吉田君は自分用にスモークチキンを作っている最中だったのですが、それを聞いた委員長は「チキンもさっきのチーズのように美味しく進化するというのかしら…!?」とロマンティックが止まらない状態になり、燻煙が立ち上る中「アタシのためにスモークチキンでどんぶり作ってくれる!?」と喪黒福造ばりのドーン!なポーズをして依頼していました(←関係ないですが、煙の中から登場するキャラって強キャラ感が凄い気がします。例えば『ドラゴンボール』のギニュー特戦隊編で、ベジータが連続エネルギー弾を山程食らわせても、爆煙の中から「ハーイ!」とかわいいポーズで現れたリクームさんとか)。
とはいえ、丼に必要なお米も器もないので難しいと吉田君は断りかけるのですが、何でも委員長はお米もマイどんぶりももしもの時の為に持ってきていたそうで、あまりの準備のよさに今度は吉田君が引いていました;。
「聞くな! 俺は文具屋だ」と言ってセロテープ・特殊ワイヤー・スタンガン・豚肉・味噌をドラえもんの如くポッケから取り出していた『彼岸島』の西山君かと心の中で突っ込んだものです。
ちなみに、この時吉田君は「これで作りたいどんぶりには卵が必要なんだ~」と言って尚も断ろうとしていたのですが、「さっきここに来る途中に養鶏場があったからお願いしてもらってくる!!その間に飯盒でお米炊いといて!!」とさっきまで日焼けを嫌がって室内にいたのが嘘みたいに行動的になっており、吉田君を呆れさせていました。
食にこだわる事では定評のある『ミスター味っ子』の陽一君ですら、林間学校中は周囲からせっつかれるまで大人しくしていましたので、ある意味委員長の丼愛は陽一君を超えるものがあるな~と妙に感心させられました;。

こうして、委員長がわざわざ養鶏場で分けてもらった(←
作り方はとても簡単で、サクラチップで鶏もも肉を燻して作ったスモークチキンを食べやすい大きさに切って丼ご飯の上に乗せ、同じくサクラチップで燻製にした生卵と醤油をトッピングしたら出来上がりです。
ポイントは、鶏もも肉はなるべく水分をきっちり拭き取ってから燻すこと、卵は半熟状に仕上げる為燻しすぎないよう注意する事の二点で、こうするとジューシーで香り高い燻製に仕上がると書かれていました。
鶏肉や卵ならともかく、醤油を燻すなんて初耳でしたが、仕上げの際にちょっと使うだけで味が激変する魔法の調味料として前から有名だそうで、スモーキーな香り付けが出来る上、味醂のような甘みや照りを料理につけられて便利なのだとか。
事実、このオール燻製尽くしの丼は今までに類を見ない味わいだったようで、感動のあまり委員長は「芳醇な香りと、濃厚な旨みが加わった至極の味に!!」「そして、このじっくりといぶされたたまごと醤油が、ごはんとチキンを丸ごとくん製の香ばしさで包み込んでくれる架け橋になっている…!!」「アタシはこの味に…どんぶりの未来を感じずにはいられないっ…!!」と『孤独のグルメ』の五郎さんみたいなナレーションで絶賛していました。

近所のホームセンターへ行った際、燻製用のサクラチップを発見して再現する事にしました。
作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、鶏肉の燻製作業。
中華鍋の底にアルミホイルを敷いてサクラチップを乗せ、その上にアルミホイルを空気の逃げ道ができるよう適度に隙間を作りながらかぶせ、さらに網をセットします(←生の肉類を燻す時、下に肉汁等が滴って非常に焦げ臭い匂いがつきやすいので、アルミホイルでガードする作業は不可欠です)。
この網の上へ、塩を軽く振って水分を少し抜いた後に水気をしっかり拭いておいた鶏もも肉を乗せ、一旦強火で煙をおこしてすぐにフタをして弱火にし、二十分以上かけて燻します。



時間が経ち、肉の内部まで熱が通ってしっかり燻せたら取り出し、包丁で鶏もも肉を食べやすい大きさにカットします。


次は、醤油と卵の燻製作業。
中華鍋に新しくアルミホイルとサクラチップと網をセットし直したら(←今度は上にアルミホイルをかぶせなくてOKです)、それぞれ小皿に入れた醤油と生卵をこぼさぬようそっと乗せます。
材料を乗せ終えたら、さっきと同じように一旦強火で煙をおこしてフタをし、弱火で約二十分かけてじっくり燻します。
燻し終えたらすぐに取り出し、熱が通り過ぎないようにします。
※下の画像だとプロセスチーズが一緒にのってますが、これは


炊き立てご飯を丼容器によそったらその上に先程のスモークチキンを並べ、真ん中に燻製した半熟卵を落として燻製醤油を回しかければ“くん製づくしの香り高きネオ親子丼”の完成です!

部屋中に色濃く漂う燻製特有の芳しい香りがたまらなく、この空間が既に料理の一部となっているな~と感じました。
具は鶏肉と卵のみ、味つけも醤油だけという硬派さですが、果たして本当に親子丼として成り立つのか…早速食べて確認してみようと思います!

それでは、半熟卵を絡めていざ実食!
いっただっきまーす!

さて、感想は…予想の斜め上を行く美味しさで感動!燻すという一手間だけでここまで味がガラリと変化するとは、びっくりです!

鶏皮はコリコリシコシコとした歯触り、肉はふっくら柔らかでさっくりと簡単に噛みきれる食感で、まるで醤油系の下味をつけて蒸し焼きにしたようなこってり濃厚な味わい。
ある程度油分が落ちているので基本あっさりとしているのに、濃厚な脂が舌の上でじゅわっと溢れ出すのがワイルドな印象で、肉の回りにほんのり燻しのベールをまとっているせいか、蒸した時よりも肉の旨味が濃く封じ込められているように思いました。
市販のスモークチキンだと、保存の問題かどうしても水分が抜けて硬い食感になりがちですが、こちらはチキンステーキばりに肉汁が残ってジューシーでよかったです。
噛むごとにスモークチーズにそっくりな深みのある香ばしい旨さがじわじわとにじみ出てくるのが酒の肴っぽく、ご飯にもビールにももってこいな仕上がりでした。
燻製醤油は火を通す前よりもぐっと甘さが増し、塩気は大分抜けてまろやかになっているのが特徴的で、たまり醤油や刺身醤油に近い熟成されたコクのある甘味と、燻香の香り漂うほろ苦さが合体して生まれた複雑な塩気が絶品です。
燻製卵は、白身トロトロで黄身ねっとりのちょっとやわめの温泉卵で、卵自体にがっつり匂いが染み込んでいる訳ではないのですが、後口でふわりと優しく香る程度なのが上品な感じで、燻製の風味が強い食材の中、ほっと癒される箸休め的な存在になっていました。
例えるとするなら「焼き鳥屋さんが作った醤油ベースの燻製照り焼き風親子丼」というイメージで、炭火で焼いた鶏肉に近い香ばしさが出ているのにうっとりです。
想像していたよりも燻製するのは簡単だった上、味も市販品を越える美味しさだったので大満足しました(←個人的には、醤油でもちゃんと燻すことができるのにびっくり)。
夫も「お、ちゃんと燻製になってる!味が深い!」とパクパク食べながら感心していました。
下味はせいぜい軽く塩を振るくらいなのに、燻すだけで調味料ではつかない複雑な奥行きが生まれるのが衝撃で、しばらくハマりそうです。
P.S.
ねこさん、kawajunさん、ご指摘とご説明のコメントをして下さり感謝です。
当管理人は未だ料理や食材の事は勉強中で知識不足な為、教えて頂けて大変ありがたいです。
いつもありがとうございますm(_ _)m。
●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。
『ミスター味っ子』の“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”を再現!
- Tue
- 18:00
- 再現料理
絵の下には「they don't get any fresher」という文が載っていたのですが、後々調べてみると「彼らはこれ以上新鮮な物を食べる事は出来ない(=ここは一番新鮮な食材の料理を食べられるお店です)」という意味があるのだそうで、なるほどレストランの宣伝か~と感心しました(←
ちなみに、そのレストランの売りは魚料理だそうで、「魚のお客様を豪華な肉料理で太らせた後、今度はディズニーシーのお客様に食べてもらうという趣向なのかな?」「だとしたら、宮沢賢治の『注文の多い料理店』みたいな不気味さとえげつなさを感じる…」とほんのりホラーな気持ちになりました;。
どうも、こういうブラックジョークがエッセンスとして効いているからディズニーワールドはやめられないと思う当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君のライバル・劉虎峰君が味皇GPで作った“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”です!

『ミスター味っ子』では陽一君を筆頭に様々な天才料理少年が活躍していますが、その中で唯一の外国人キャラが中国人の劉虎峰君!
弱冠十六歳という若さなのに、香港で一、二を争う有名店のトップに君臨している凄腕の中華料理人で、その後もどんどん地位が上がっていき、最終的には中国版味皇ともいうべき「味仙人」の称号を継いでいました(←ある意味、作品中最も料理人として出世したのは彼だと思います)。
陽一君や一馬君よりも一歳年上で、初登場時は「どこの馬の骨かわからないただの子供」といきなりディスってくる程気が強くて喧嘩っ早かったですが、勝負が終わる頃には陽一君をよきライバルだと認め、やや落ち着いた性格になっていました(←大人からすれば十五歳も十六歳も似たような物ですが、確かに当時は学年が変わるとたとえ一歳違いでもぐっと大人に見えましたので、陽一君相手に兄貴風を吹かせたくなったのも分かるような気がしたものです)。
当時はもう没落していましたが、元は中国皇帝の食膳を代々司る料理番の家系という由緒正しい名家の跡継ぎだそうで、そのせいかかなりプライドが高く、性格が軟化した後でも「皇帝の料理番、劉家筆頭の劉虎峰」と名乗り続けて「おのれは毎回それを言わんと気がすまんのかい!!」一馬君から突っ込まれていました;。
金田一少年と同じで、偉大なご先祖をプレッシャーに感じるどころか誇りに感じて武器にする心臓の強いキャラで、頼もしい限りだな~と思います(←名門出身でプライドが高くて好戦的なライバルキャラと聞くと、真っ先に思い浮かぶのはやはりベジータ。一馬君もそんな感じですし、陽一君はさしづめ料理界の悟空という所でしょうか?明るくあっけらかんとして、強すぎるがゆえにうっかり無神経な事をいう所がそっくりで、『ミスター味っ子 幕末編』でとうとう一馬君から「お前のその上から目線の物言いが、ホンマ昔っから腹が立つんや(゜д゜♯)!!」とキレられているくらいですし;)。

そんな虎峰君が、第29回味皇GPの三回戦で出された課題料理が、お雑煮!
日本人である自分達ならともかく、中国人である虎峰君に対してあまりに不公平ではないかと抗議をする陽一君や兵太君でしたが、「君たちの思いやりには感謝する」「しかし中華はそれほど底の浅い料理ではない。たとえどんな料理、どんな材料であろうと最高の美味に仕上げる自信がある」と言い切った虎峰君は、そのまま課題を受け入れて勝負に挑む事を宣言します。
初見時は「一度決まった事をグズグズ文句言わないなんて、潔いな~」と思っただけでしたが、よくよく考えれば中国は「四つ足のものは机以外何でも食べる」という言い回しがあるくらいどんな未知の食材でも貪欲に研究する国ですので、それに比べたら一応はノウハウがあるお雑煮作りくらい、本当に大した事ではなかったのかもしれません;。
その後、独自にお雑煮についてリサーチした虎峰君は、「雑煮というのは聞けば聞くほどおもしろい料理だ。同じ名前がついていながら、日本全国、極端には一つ一つの家にまったく違う料理法、材料が当たり前のように存在している」「つまり、決まった型がなく日本人にすら統一的な料理のイメージがない。そこに異邦人であるこの僕にも、新しい工夫を加える余地がある」と認識し、圧倒的不利なはずの立場を逆にチャンスだと捉えます。
確かに、お雑煮の分布図を見ていると「戦国時代の武将勢力図か!」と突っ込みたくなる程個性豊かで多種多様レシピが全国各地に点在しており、「こんなお雑煮は邪道だ!」という言いがかりはつけられないカオスな状態になっている為、虎峰君の考えも一理あると感じました。
地域によって味や形が全く違う所はカレーやラーメンに通じる物がありますが、両者よりも遥かに歴史が長い所がお雑煮の最大の特徴といえそうです。

そんな中、「もちの味わいが勝敗を決する最大のポイント、工夫と技術を生かす鍵となる」「ならば僕はこのもちを、もち米をまったく使わない独自の製法で作りあげる!!」と考えた虎峰君が生み出したオリジナル雑煮が、この“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”です!
作り方はそこそこ簡単な方で、大根おろしとくわいの粉末を練って蒸して焼いて作った大根もち・鮭の切り身・鶏手羽先を辛い豆板醤スープで煮込んだら出来上がりです。
ポイントは、大根おろしに加えるのはくわいの粉末だけで他には一切何も加えないこと、お雑煮は熱持ちのいい鉄鍋でじっくり煮込んでそのまま出すことの二点で、こうするともち米で作ったお餅よりもはるかに口当たりがよくて出汁がよく染みた仕上がりになると語られていました。
通常、大根もちは千切りにした大根に片栗粉や米粉を和えて粘りを出し、干し海老・干し椎茸・中華ソーセージ・青ネギなどを足して風味付けするのがポピュラーのなレシピみたいですが、虎峰君はあえてシンプルに作る事で大根の甘みを引き出し、おいしくて消化にいい医食同源の考えにのっとった大根もちに仕立てた模様。
実際に食べた審査員曰く、「こりゃーうまい!!」「サクッとやわらかい歯ごたえが実にさわやかですね!!」「この豆板醤の辛いスープが、意外とこのもちに合うわね」な味わいだったらしく、「外国人だからこそひらけた、この味覚の新次元。劉虎峰や恐るべし!」と満場一致で絶賛されていました。


先日、なかなか見つけられなかったくわいの粉末を手に入れることが出来ましたので再現する事にしました。
作中には大体の作り方が記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、大根もち作り。
皮を取ってすりおろした大根おろしの水気を適度にきり、くわいの粉末(=馬蹄粉)を投入してよく練り上げ、団子状にまとめられるまで硬さを調節します。
※粉は多すぎるとカチカチ、少なすぎるとデロデロになりますので、一口大に丸めた物をその都度蒸し上げて確認してから作ると失敗しにくいです。



この生地を両手でキャッチボールみたいに叩きつけて表面を滑らかにしつつ平たく伸ばし、蒸気が出るまで熱した蒸し器に入れて約十分かけて蒸し上げます。
蒸し上がったらラップを敷いたまな板の上に取り出し、角餅の形になるよう整えながら包丁で切り分けます(←この切れ端がまたおいしいので、そのまま食べたり、一緒にスープで煮てもOKです)。
※厚さは好みが分かれるところですが、普通のお餅の半分くらいの厚みにした方がスープが絡みやすく、硬さもちょうどいいように思いました(←普通のお餅と同じサイズでもボリューム満点で美味ですが…)。



全て切り終えたら、ごま油を薄く敷いて熱したフライパンへ並べて両面をこんがり焼き上げます(←出来れば切断面も焼いたほうがカリッとしていいです)。
これで、大根もちは準備完了です。


次は、お雑煮のスープ作り。
油を薄くしいて熱したフライパンへ、塩をすり込んで下味をつけた鶏手羽先と、紹興酒を少量かけてなじませた甘塩鮭を並べ入れ両面を軽く焼き、紹興酒を振り入れてしっかり香り付けします。
そこに豆板醤を加えて炒め、唐辛子の風味が増してきたら中華風鶏がらスープ、醤油、紹興酒、塩、こしょうを投入し、具材に味が染みるまでグツグツ煮込みます。
※今回、こちらのレシピを参考にしました。ありがとうございます。



煮えてきたら大根もちを加えてさらに煮込み、あらかじめ熱して温めておいた鉄鍋(又は石鍋)にスープごと具材を移してさらにじっくりと火を通し、テーブルへ器ごと運べば“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”の完成です!

火力がなくなってもグラグラとマグマのように湧き上がるスープが迫力満点で、テーブルの上でもますます具が煮えていくのが頼もしいです。
作中では「いかによく練りこまれた大根もちといえど、普通のもちに比べその粘度は低い」「それを熱持ちのいい鉄鍋でじっくり煮込みすぎたために、もちが煮くずれてしまったのです」という理由で負けてしまった虎峰君ですが、思ったよりも大根もちは強度があり、鉄鍋以上に熱持ちがいい石鍋でも全然煮崩れていませんでした(^^;)。
しかし、一番肝心なのは味がどうなのかという点ですので、実際はどうなのか食べて確かめてみようと思います!

それでは、熱々の内にいざ実食!
いっただっきまーす!

さて、感想は…想像以上に正統派な味わいで食べ応え満点!ごつい見た目とは裏腹にヘルシーな美味しさのお雑煮です!
大根もちは普通のお餅のようなむち~っと伸びる弾力や滑らかな粘りはないのですが、ざっくりもちもちした不思議と爽やかな歯触り、表面のツルンとした透明感のある舌触り、ふんわりトロリとした口当たりが特徴的。
細切りタイプとは違いすりおろしにして練ったせいか、表面が少しほわっとしてざらついているですが、このざらつきが鹿の子包丁の如くスープを絡めて染み込ませるのが食べやすくてよく、まさに煮込み料理向きの大根もちだと思います。
強いて言うなら、やや荒い噛み応えの浮き粉生地の蒸し餃子みたいな食感で、例えるとするなら「艶やかな食べ味のさっぱり水晶大根もち」というイメージでした。
大根特有の優しい風味と強い甘味が噛むごとに口の中で膨らんでいくのが体を癒す感じで、いくら食べても胃に重くのしかからないのが有り難く、やや辛めのスープとも非常に相性がよかったです。
作中では粘性が低い為煮崩れやすいと指摘されてましたが、こちらは柔らかに見えて実はしっかりとコシがあるせいか結構煮込んだのに全く崩れておらず、逆に鮭や鶏手羽の出汁がじっくり浸透して鍋の締めのお餅のように味わい深いのが印象的でした。
スープの味付けは「激辛鶏ガラ澄まし汁」という感じで、辛さの中に鶏のコクや大根の甘さがじんわり響く旨辛い味わいで、意外にも後口はあっさりしています(←大根と鶏の煮物の煮汁を四川風にしたような味っぽくて、どこか馴染みのあるおつゆ)。
こんな癖の強いスープですが、こってりジューシーな鶏手羽先ととろけるような脂分を持つ鮭は力負けするどころか逆に辛さで旨さが倍増して癖になる仕上がりになっており、大根もちがご飯代わりになってよく合って調和していました。
片栗粉や小麦粉を使っていないせいか粉っぽさがほぼなく、粘りも前者使用の大根もちよりも大分強めのように感じました(←おかげで調理が難しかったですorz)。
一応はお雑煮の汁ですが、旨味が濃いので中華麺やマロニーちゃんを入れて締めにするとまた最高で、いっそのこと餅入り中華鍋として倍量作ってもよさげだと思いました。
個人的に、このスープには豚バラ・肉団子・水餃子・海老・白菜・長ネギ・豆もやし・豆腐・きのこ類が合いそうだとにらんでいます。
P.S.
ほーりーさん、ノリスケさん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)文庫版『ミスター味っ子』8巻 寺沢大介/講談社
文庫版『ミスター味っ子』10巻 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。