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『ミスター味っ子』の“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”を再現!

 去年ディズニーシーへ行った際、 蝶ネクタイのスーツを着込んだリアル絵の魚がレストランでワインを片手にローストビーフやパンを食べるという、シュールなワンシーンを描いた広告が某レストランの前にデカデカと飾られているのを発見し、驚きました;(←アメリカンウォーターフロントという、二十世紀初頭のアメリカ合衆国の街を再現した一角にありました。その際撮った画像がこちら)。
 絵の下には「they don't get any fresher」という文が載っていたのですが、後々調べてみると「彼らはこれ以上新鮮な物を食べる事は出来ない(=ここは一番新鮮な食材の料理を食べられるお店です)」という意味があるのだそうで、なるほどレストランの宣伝か~と感心しました(←それにしては魚の絵が写実的すぎて食欲が湧くような代物ではなかry)。
 ちなみに、そのレストランの売りは魚料理だそうで、「魚のお客様を豪華な肉料理で太らせた後、今度はディズニーシーのお客様に食べてもらうという趣向なのかな?」「だとしたら、宮沢賢治の『注文の多い料理店』みたいな不気味さとえげつなさを感じる…」とほんのりホラーな気持ちになりました;。

 どうも、こういうブラックジョークがエッセンスとして効いているからディズニーワールドはやめられないと思う当ブログの管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君のライバル・劉虎峰君が味皇GPで作った“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”です!
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮図
 『ミスター味っ子』では陽一君を筆頭に様々な天才料理少年が活躍していますが、その中で唯一の外国人キャラが中国人の劉虎峰君!
 弱冠十六歳という若さなのに、香港で一、二を争う有名店のトップに君臨している凄腕の中華料理人で、その後もどんどん地位が上がっていき、最終的には中国版味皇ともいうべき「味仙人」の称号を継いでいました←ある意味、作品中最も料理人として出世したのは彼だと思います)。
 陽一君や一馬君よりも一歳年上で、初登場時は「どこの馬の骨かわからないただの子供」といきなりディスってくる程気が強くて喧嘩っ早かったですが、勝負が終わる頃には陽一君をよきライバルだと認め、やや落ち着いた性格になっていました←大人からすれば十五歳も十六歳も似たような物ですが、確かに当時は学年が変わるとたとえ一歳違いでもぐっと大人に見えましたので、陽一君相手に兄貴風を吹かせたくなったのも分かるような気がしたものです)。

 当時はもう没落していましたが、元は中国皇帝の食膳を代々司る料理番の家系という由緒正しい名家の跡継ぎだそうで、そのせいかかなりプライドが高く、性格が軟化した後でも「皇帝の料理番、劉家筆頭の劉虎峰」と名乗り続けて「おのれは毎回それを言わんと気がすまんのかい!!」一馬君から突っ込まれていました;。
 金田一少年と同じで、偉大なご先祖をプレッシャーに感じるどころか誇りに感じて武器にする心臓の強いキャラで、頼もしい限りだな~と思います(←名門出身でプライドが高くて好戦的なライバルキャラと聞くと、真っ先に思い浮かぶのはやはりベジータ。一馬君もそんな感じですし、陽一君はさしづめ料理界の悟空という所でしょうか?明るくあっけらかんとして、強すぎるがゆえにうっかり無神経な事をいう所がそっくりで、『ミスター味っ子 幕末編』でとうとう一馬君から「お前のその上から目線の物言いが、ホンマ昔っから腹が立つんや(゜д゜♯)!!」とキレられているくらいですし;)。
先祖代々皇帝の料理番の家系だったという中国版ミスター味っ子・劉虎峰!
 そんな虎峰君が、第29回味皇GPの三回戦で出された課題料理が、お雑煮!
 日本人である自分達ならともかく、中国人である虎峰君に対してあまりに不公平ではないかと抗議をする陽一君や兵太君でしたが、「君たちの思いやりには感謝する」「しかし中華はそれほど底の浅い料理ではない。たとえどんな料理、どんな材料であろうと最高の美味に仕上げる自信がある」と言い切った虎峰君は、そのまま課題を受け入れて勝負に挑む事を宣言します。
 初見時は「一度決まった事をグズグズ文句言わないなんて、潔いな~」と思っただけでしたが、よくよく考えれば中国は「四つ足のものは机以外何でも食べる」という言い回しがあるくらいどんな未知の食材でも貪欲に研究する国ですので、それに比べたら一応はノウハウがあるお雑煮作りくらい、本当に大した事ではなかったのかもしれません;。
 その後、独自にお雑煮についてリサーチした虎峰君は、「雑煮というのは聞けば聞くほどおもしろい料理だ。同じ名前がついていながら、日本全国、極端には一つ一つの家にまったく違う料理法、材料が当たり前のように存在している」「つまり、決まった型がなく日本人にすら統一的な料理のイメージがない。そこに異邦人であるこの僕にも、新しい工夫を加える余地がある」と認識し、圧倒的不利なはずの立場を逆にチャンスだと捉えます。
 確かに、お雑煮の分布図を見ていると「戦国時代の武将勢力図か!」と突っ込みたくなる程個性豊かで多種多様レシピが全国各地に点在しており、「こんなお雑煮は邪道だ!」という言いがかりはつけられないカオスな状態になっている為、虎峰君の考えも一理あると感じました。
 地域によって味や形が全く違う所はカレーやラーメンに通じる物がありますが、両者よりも遥かに歴史が長い所がお雑煮の最大の特徴といえそうです。
短期間でお雑煮を調べ上げ、自分なりのオリジナル雑煮を作ろうと取り組みます
 そんな中、「もちの味わいが勝敗を決する最大のポイント、工夫と技術を生かす鍵となる」「ならば僕はこのもちを、もち米をまったく使わない独自の製法で作りあげる!!」と考えた虎峰君が生み出したオリジナル雑煮が、この“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”です!
 作り方はそこそこ簡単な方で、大根おろしとくわいの粉末を練って蒸して焼いて作った大根もち・鮭の切り身・鶏手羽先を辛い豆板醤スープで煮込んだら出来上がりです。
 ポイントは、大根おろしに加えるのはくわいの粉末だけで他には一切何も加えないこと、お雑煮は熱持ちのいい鉄鍋でじっくり煮込んでそのまま出すことの二点で、こうするともち米で作ったお餅よりもはるかに口当たりがよくて出汁がよく染みた仕上がりになると語られていました。
 通常、大根もちは千切りにした大根に片栗粉や米粉を和えて粘りを出し、干し海老・干し椎茸・中華ソーセージ・青ネギなどを足して風味付けするのがポピュラーのなレシピみたいですが、虎峰君はあえてシンプルに作る事で大根の甘みを引き出し、おいしくて消化にいい医食同源の考えにのっとった大根もちに仕立てた模様。
 実際に食べた審査員曰く、「こりゃーうまい!!」「サクッとやわらかい歯ごたえが実にさわやかですね!!」「この豆板醤の辛いスープが、意外とこのもちに合うわね」な味わいだったらしく、「外国人だからこそひらけた、この味覚の新次元。劉虎峰や恐るべし!」と満場一致で絶賛されていました。
大根おろしとくわいの粉末を使ってさっぱりもちもちの大根もちを実現!豆板醤をベースにとびっきり辛くしたスープに、鮭と鶏手羽先をトッピング
 先日、なかなか見つけられなかったくわいの粉末を手に入れることが出来ましたので再現する事にしました。
 作中には大体の作り方が記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、大根もち作り。
 皮を取ってすりおろした大根おろしの水気を適度にきり、くわいの粉末(=馬蹄粉)を投入してよく練り上げ、団子状にまとめられるまで硬さを調節します。
※粉は多すぎるとカチカチ、少なすぎるとデロデロになりますので、一口大に丸めた物をその都度蒸し上げて確認してから作ると失敗しにくいです。
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮1
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮2
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮3
 この生地を両手でキャッチボールみたいに叩きつけて表面を滑らかにしつつ平たく伸ばし、蒸気が出るまで熱した蒸し器に入れて約十分かけて蒸し上げます。
 蒸し上がったらラップを敷いたまな板の上に取り出し、角餅の形になるよう整えながら包丁で切り分けます(←この切れ端がまたおいしいので、そのまま食べたり、一緒にスープで煮てもOKです)。
※厚さは好みが分かれるところですが、普通のお餅の半分くらいの厚みにした方がスープが絡みやすく、硬さもちょうどいいように思いました(←普通のお餅と同じサイズでもボリューム満点で美味ですが…)。
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮4
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮5
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮6
 全て切り終えたら、ごま油を薄く敷いて熱したフライパンへ並べて両面をこんがり焼き上げます(←出来れば切断面も焼いたほうがカリッとしていいです)。
 これで、大根もちは準備完了です。
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮10
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮11
 次は、お雑煮のスープ作り。
 油を薄くしいて熱したフライパンへ、塩をすり込んで下味をつけた鶏手羽先と、紹興酒を少量かけてなじませた甘塩鮭を並べ入れ両面を軽く焼き、紹興酒を振り入れてしっかり香り付けします。
 そこに豆板醤を加えて炒め、唐辛子の風味が増してきたら中華風鶏がらスープ、醤油、紹興酒、塩、こしょうを投入し、具材に味が染みるまでグツグツ煮込みます。
※今回、こちらのレシピを参考にしました。ありがとうございます。
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮7
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮8
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮9
 煮えてきたら大根もちを加えてさらに煮込み、あらかじめ熱して温めておいた鉄鍋(又は石鍋)にスープごと具材を移してさらにじっくりと火を通し、テーブルへ器ごと運べば“劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮”の完成です!
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮12
 火力がなくなってもグラグラとマグマのように湧き上がるスープが迫力満点で、テーブルの上でもますます具が煮えていくのが頼もしいです。
 作中では「いかによく練りこまれた大根もちといえど、普通のもちに比べその粘度は低い」「それを熱持ちのいい鉄鍋でじっくり煮込みすぎたために、もちが煮くずれてしまったのです」という理由で負けてしまった虎峰君ですが、思ったよりも大根もちは強度があり、鉄鍋以上に熱持ちがいい石鍋でも全然煮崩れていませんでした(^^;)。
 しかし、一番肝心なのは味がどうなのかという点ですので、実際はどうなのか食べて確かめてみようと思います!
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮13
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
劉虎峰特製大根もちと豆板醤スープの雑煮14


 さて、感想は…想像以上に正統派な味わいで食べ応え満点!ごつい見た目とは裏腹にヘルシーな美味しさのお雑煮です!
 大根もちは普通のお餅のようなむち~っと伸びる弾力や滑らかな粘りはないのですが、ざっくりもちもちした不思議と爽やかな歯触り、表面のツルンとした透明感のある舌触り、ふんわりトロリとした口当たりが特徴的。
 細切りタイプとは違いすりおろしにして練ったせいか、表面が少しほわっとしてざらついているですが、このざらつきが鹿の子包丁の如くスープを絡めて染み込ませるのが食べやすくてよく、まさに煮込み料理向きの大根もちだと思います。
 強いて言うなら、やや荒い噛み応えの浮き粉生地の蒸し餃子みたいな食感で、例えるとするなら「艶やかな食べ味のさっぱり水晶大根もち」というイメージでした。
 大根特有の優しい風味と強い甘味が噛むごとに口の中で膨らんでいくのが体を癒す感じで、いくら食べても胃に重くのしかからないのが有り難く、やや辛めのスープとも非常に相性がよかったです。
 作中では粘性が低い為煮崩れやすいと指摘されてましたが、こちらは柔らかに見えて実はしっかりとコシがあるせいか結構煮込んだのに全く崩れておらず、逆に鮭や鶏手羽の出汁がじっくり浸透して鍋の締めのお餅のように味わい深いのが印象的でした。
 スープの味付けは「激辛鶏ガラ澄まし汁」という感じで、辛さの中に鶏のコクや大根の甘さがじんわり響く旨辛い味わいで、意外にも後口はあっさりしています(←大根と鶏の煮物の煮汁を四川風にしたような味っぽくて、どこか馴染みのあるおつゆ)。
 こんな癖の強いスープですが、こってりジューシーな鶏手羽先ととろけるような脂分を持つ鮭は力負けするどころか逆に辛さで旨さが倍増して癖になる仕上がりになっており、大根もちがご飯代わりになってよく合って調和していました。


 片栗粉や小麦粉を使っていないせいか粉っぽさがほぼなく、粘りも前者使用の大根もちよりも大分強めのように感じました(←おかげで調理が難しかったですorz)。
 一応はお雑煮の汁ですが、旨味が濃いので中華麺やマロニーちゃんを入れて締めにするとまた最高で、いっそのこと餅入り中華鍋として倍量作ってもよさげだと思いました。
 個人的に、このスープには豚バラ・肉団子・水餃子・海老・白菜・長ネギ・豆もやし・豆腐・きのこ類が合いそうだとにらんでいます。


P.S.
 ほーりーさん、ノリスケさん、コメントを下さりありがとうございます。


●出典)文庫版『ミスター味っ子』8巻 寺沢大介/講談社
     文庫版『ミスター味っ子』10巻 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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