『紺田照の合法レシピ』の“鮭と小松菜の台湾風炒め”を再現!
- Fri
- 18:00
- 再現料理
夜中に野生のタヌキがうちの犬のドックフードをしれっと食べていたり、夕方カラスの大群がザザザザーッ!とヒッチコックの『鳥』さながら上空を覆いながら飛んでいったり、小学校や公園の草むらを大蛇が逃げていくのを目撃したり、近所の池にアヒルみたいな白い鳥が何故か一羽だけ何年にも渡って住み続けるというミステリーがあったりと、小さい事件には事欠かない日々で退屈しませんでした。
そんな中、心の癒しだったのは時々木の実目当てにやって来ていたすずめで、母と一緒にベランダのイスに赤い実やお米を置いて待っていると、チュンチュン鳴いてちょこちょこ飛び跳ねるすずめを至近距離で観察でき、その愛らしい仕草にうっとりしたものです。
どうも、明け方になるとどこからか聞こえてくる「ギェーッ!ギェーッ!」「ボーボー、ホッホホー」という怪しい鳴き声が恐ろしかった当ブログの管理人・あんこです。
本日再現する漫画料理は、『紺田照の合法レシピ』にて紺田君が仕事中に使った備品をヒントにして作った“鮭と小松菜の台湾風炒め”です!
前回、紺田君の深夜のランニング仲間として初登場した桃嘉十組直営のバーのオネエ系ホステス・豊野華一吾さんですが、それは仮の姿で、とんでもない正体を隠していました。
その正体とは、雄輝八斎組の新しい若頭補佐で、都内連続バラバラ殺人事件の犯人!
何でも、「殺しの腕も戦略も一流」という理由で組長が地方の組から引き抜き、邪魔になった人間を次々に暗殺させているようで、組内でも一目置かれていました(←暴力団の事はよく知らないんですが、そんなサッカー選手みたいにサラッと移籍出来るものなんでしょうか…?一度、『龍が如く』をプレイして勉強してみようと思います)。
暗殺に使う武器は『必殺仕事人』の三味線屋さんみたいなワイヤー状の糸で、それでエッグスライサーの如くターゲットをザシュッと三分間クッキング風に手際よくカットし、「ごめんね~これも仕事なの(CV:IKKOさん)」と言っていました(←それにしても、糸使いの女性キャラって『HUNTER×HUNTER』のマチさんといい、『犬夜叉』の逆髪の結羅さんといい、『ワイルドアームズ2』のアンテノーラさんといい、どこか影のある美女が多いですね。これが男性だと、『ワンピース』のドフラミンゴさんから『るろうに剣心』の外印さんまでバラエティー豊富ですが)。
とはいえ雄輝八斎組も一枚岩ではなく、急な抜擢に嫉妬する人間も少なからずおり、その中の一人であるマッチョ組員にネチネチちょっかいを出されて銃も出されるのですが、「筋肉質型の男は粘着気質。凝り性で自分の思い通りにいかないと激昂する事がある…体型による気質の分類って案外当たってるものね~」と分析し、背中からカマキリみたいな不気味な
銃を突きつけられても軽口を叩けるキャラなんてルパン三世やハリウッド映画の俳優くらいだと思っていたので、びっくりです。
あと、筋肉質な男が粘着気質なんてそんな…と一瞬思いかけましたが、「兄より優れた弟なぞ存在しねえ!!」と屈折したお兄ちゃんとか、強さと筋肉にこだわるシュワちゃん似の弟キャラとか、地上で誰よりも自由である事に固執するアメリカの囚人とか、「勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」といきなり本性を出して全国読者を驚かせた究極生命体とかがすぐに脳裏をよぎった為、妙に納得したものです。
その後、豊野華さんは組長からの依頼で霜降肉組の武器庫襲撃の指揮を執る事になり、何重にも鍵がかけられた武器庫前にある仕掛けをして見回りの組員達を待ち構えます。
その仕掛けとは、扉の前に武器の部品を一つ落としておき、誰かが侵入したと勘違いした組員が慌てて中へ入った隙を狙って突撃するというシンプルな作戦でしたが、その効果は絶大で、豊野華さん達は難なく武器庫に入って見回りの組員達を気絶させていました(←典型的な心理誘導ですが、単純なだけにかえって引っかかりやすいですね。周到な用意により、最小のリスクで最大の成果を得ようとする行動は、孫子の兵法に通じる物があると思います)。
実はこの日紺田君も見回り当番で、用心深く構えていた為一人だけ捕まらずさらに奥の武器庫へ逃げ込めたのですが、「大人しく出て来なさい。早くしないとこの2人の命パックンするわよ」となかなか斬新な脅しにあいます(←懐かしのお菓子・パックンチョを思い浮かべたのは、当管理人の他にも三人くらいいるはずです)。
紺田君も豊野華さんも相手の本当の正体を知らない為、最悪の場合殺し合いの時に初めてお互いを認識するという、『ガンダム』ワールドでは非常にベタな悲劇に見舞われる所でしたが(注:お料理漫画です)、幸い全身を黒く硬く覆う台湾特殊部隊の装備が中にあった為一人でも雄輝八斎組を撤退させる事に成功し、お互い正体を知らずに済んでいました(←「ごん、お前だったのか」的なせつな過ぎるラストにならず、一安心)。
どちらが主人公なのか一応理解してはいるつもりですが、下の絵を見ると「ジェイソンと中世の黒騎士を足して二で割ったような恐ろしい敵と、それに襲われて退却する主人公サイドのオネエキャラ」の図式にしかどうしても思えず、頭が混乱したのを覚えています…。
その日の夜、紺田君は命を救われた台湾特殊部隊の装備に思いを馳せ、「今夜は台湾っぽい料理にしてみるか」と調理に取り掛かります。
こうして出来たのが、“鮭と小松菜の台湾風炒め”です!
作り方は簡単で、ごま油をしいたフライパンでザーサイ・にんにく・生姜を炒めて香りを出し、しめじ・小松菜・あらかじめごま油で焼いておいた鮭を加えてざっと混ぜ、オイスターソース・お酒・醤油で味つけし、最後にごま油をかけたら出来上がりです。
ポイントは、塩鮭ではなく生鮭を使うこと、鮭を焼く時は塩・こしょう・薄力粉をまぶしてからにすること、ザーサイの塩気に注意しながら調味料を調整することの三点で、こうすると鮭は柔らかくて生臭くない仕上がりになるのだとか。
通常、台湾風炒めは挽き肉や豚肉といったお肉をメインに使ったり、唐辛子や鶏がらスープを加えてエッジをきかせた味にする事が多いのですが(←台湾ラーメンとか、まさにその筆頭のピリ辛料理ですよね)、こちらは鮭を使って少し和風寄りに仕上げているように感じました。
ザーサイはそのまま食べる派なので、刻んで炒める使い方は珍しかったですが、本場中国ではいい出汁がでるという理由でスープ・炒め物・麺料理などに広く使われているとの事で、なるほどと思いました。
紺田君曰く、「焼いた鮭の香ばしい皮…溢れる旨味。身はふっくらと軟らかい」「ザーサイやニンニクの主張の強い味つけと予想以上に合う!」「小松菜とご飯も一緒に食べると…これはもはや…昇天ものだ」だそうで、うっとりしていました(
季節柄、生鮭がどうしても見つからなくて諦めかけていたのですが、先日やっとあるスーパーで見つけたので再現する事にしました。
作中には大体の作り方が載っている上、紺田君のクックパッドには分量付きのレシピが公開されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
ということで、レッツ再現調理!
まずは、鮭の下ごしらえ。
生鮭の切り身を一口大に切り分け、塩と胡椒を振って下味をつけたら全面に薄力粉をまぶします(←鮭の身は形崩れしやすいので、そっと作業したほうがいいです)。
※うろこが皮に残っていたりする事もよくありますので、確認しながら包丁で丁寧に落とすと口当たりがよくなります。
ごま油をしいて熱したフライパンへ先程の鮭を並べて両面を焼き付け、全体がこんがり焼きあがったら一旦別の容器へ移しておきます。
次は、炒め作業。
鮭を取り除いたフライパンへ再度ごま油を足し、みじん切りにしたザーサイ、にんにく、生姜を投入し、弱火で焦がさぬようじっくり炒めます。
いい香りがしてきたら中火にし、軸を取ってほぐしたしめじ、ザク切りにした小松菜を加えて炒め合わせます。
野菜類に油が回ってしなっとしてきたら焼いた鮭を戻し入れ、オイスターソース、醤油、お酒を加えて味つけし、手早く炒め合わせます。
調味料が全体に行き渡ったらごま油を回しかけてざっと混ぜ、すぐに火からおろしてお皿へ盛り付ければ“鮭と小松菜の台湾風炒め”の完成です!
鮭の紅色、小松菜の緑、しめじの焦げ茶色の取り合わせが色鮮やかで美しく、見るからに「ザ・中華」って感じで、中華料理店で出てきても違和感がない風格があります。
ちょうど夫が帰って来たタイミングでできたんですが、「お、今日は焼肉?」と言われたくらい猛烈に食欲をそそる香りで、これは味の方にも期待が持てます。
それでは、熱々の内にいざ実食!
いただきまーすっ!
さて、感想は…あっさり系かと思いきや、にんにくや生姜がガツンとくるパワフルな一皿!紺田君の言う通り、壮絶な味わいです!
鮭は小麦粉の薄衣に包まれているおかげでタレがよく絡み、外はふんわりトロリ、中はしっとりホロホロとした口当たりの凝った味わいになっており、ヘルシーな餡かけ唐揚げ風といった仕上がりなのが特徴的。
オイスターソースのまったりと甘辛い海鮮の旨味が効いたコクの強い香味醤油味は、上海風焼きそばの味付けにかなり近い物がありますが、ザーサイ由来の酸味を帯びて熟成された風味が独特の後引く食後感をプラスしており、ぐっと奥深いエスニック仕立ての美味しさにしています(←高菜のピリ炒めを隠し味にしているような感じで、古漬けの漬物を使うと塩辛みたいな癖になる塩味や出汁が出て、調味料っぽくなるんだな~と感心)。
炒める時も仕上げる時も細めにごま油を足したせいか、全体に濃厚な香ばしさが行き渡っており、噛むごとにゴマの芳しい香りが鼻を抜けていくのが何とも贅沢な気分にさせます。
多めの油でしっかり炒める事によって油分が染み込んだ小松菜は、しんなりしつつも張りのあるザクザクした歯触りが、まるでチンゲン菜の中華風にんにく炒めみたいな食べ応えのある旨さに仕上げており、より本場風な味になっているのがたまりません。
プリプリツルツルした舌触りのしめじ、細かく刻まれても尚コリコリした食感が楽しいザーサイがまたいい箸休め兼アクセントになっており、食べていて飽きませんでした。
ご飯のおかずとしても、単品料理としても、お酒のおつまみとしても優秀な一品です(←茹でた中華麺と合わせてもいけるのでは…と感じました)。
使っているのは魚ですが、衣をつけてごま油で焼き付けているせいか肉料理っぽいどっしりした満足感もそれなりにあり、ボリュームがあっておいしかったです。
P.S.
キンメさん、コメントを下さりありがとうございます。
●出典)『紺田照の合法レシピ』 馬田イスケ/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。