FC2ブログ

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製揚げピザ”を再現!

 先日、ディズニーパーク内のフードについて紹介しているサイトを色々チェックしていたのですが、そこで以前アイス用のコーンにご飯を入れた商品がディズニーランドにあった事が判明し、思わず「時代が陽一君に追いついた!」と心の中で叫びました;。
 おまけに、おにぎり対決時の陽一君が見ていたら「食べやすく、手を汚さずに食べられるおにぎり…そういう手があったか!」と感激していたであろう寿司ロールポークライスロールが公式メニューとして登場しており、味っ子ファンとして興奮しました。
 数年前、未来を予言していた過去の映画や小説が話題になっていましたが、もしかしたら『ミスター味っ子』もその仲間入りをしたのかもしれません…。

 どうも、クアトロフォルマッジに蜂蜜をかけるという肥満まっしぐらな食べ方が気に入っている当ブログの管理人・あんこです(←範馬勇次郎が見たら「上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき思想!!!」と怒りそうですが、チーズ+蜂蜜の組み合わせだけは譲れません)。


 本日再現する漫画料理は、『ミスター味っ子』にて陽一君が味皇GPの決勝戦で一馬君と戦う時に作った“味吉陽一特製揚げピザ”です!
味吉陽一特製揚げピザ図
 第28回味皇GPで第一回戦は小西さん、第二回戦は下仲さんを打ち破った陽一君と一馬君は、いよいよ次の決勝戦でぶつかる事になります(←詳しい経緯はこちらでご紹介してます)。
 実は勝負の五日前、味皇様は負けて誇りを傷つけられた下仲さんが再起をかけてフランスへ失踪した事もあり、「勝利する者は栄光に包まれるが、敗者はその全人格を否定され、屈辱にまみれる」「勝者と敗者の栄光と挫折の歴史が、またひとつくりかえされることになるな」とセンチメンタルな気分になっていたのですが、丸井さんは「大丈夫ですよ、あの二人に限って下仲のようなことは…。明るいもの」とすぐ否定しており、実際当の陽一君はその頃TVを見ながら爆笑していました;。
 さすがの丸井さんも、約二十年後に陽一君が妻子を残して明るく前向きに失踪する大人になるとは予想不可能だったんだろうなと思うと、じわる物があります←一方、破天荒でエキセントリックだった一馬君の方が真面目に社会人していたので、人間分からないものです)。

 とはいえ、味皇様の心配も少しは当たっており、「あいつが工夫してくるなら、オレも徹底的にその上いって研究して世界最高のピザを作ってみせるよ」松岡修造さんばりに燃える陽一君に対し、一馬君は「勝つんはオレやで」と一見燃えつつも、「あいつ…陽一には、まさか…まさかがあるんや」「つぶせる時は二度と立ち上がれんようにする。ピザソースでも具でも完全に奴を乗り越えんと勝機はないんや」とどこか焦りがある感じで、失踪とまではいかなくても崩れたら危うそうな一面が垣間見えました(←この強さと脆さが両立したアンバランスな魅力は、『新世紀エヴァンゲリオン』アスカに近い物があるかと)。
 『ガラスの仮面』で例えるなら、荒削りながらも天性の才能と創造力を持つ主人公・北島マヤ=陽一君、血の滲むような鍛錬を重ねて一流の能力を維持している努力派ライバル・姫川亜弓=一馬君というイメージで、あらゆる意味で対照的なキャラだな~と感じます。
味皇GP決勝戦の最終課題は、イタリア料理のピザでした相手がよきライバル・一馬君なのもあって、気合充分でした
 そんな親の心子知らずな陽一君が思いついたのが、この“味吉陽一特製揚げピザ”!
 当初、陽一君は一般的な円形のピザに、通常の倍以上チーズを乗せたボリューム満点なピザを作ろうとしていたのですが、チーズを溶かそうと高い温度で焼いた結果、トマトの風味が消し飛んでしまうという弱点に直面してしまいます。
 それではと反対に火力を抑えて焼いてみたものの、今度はチーズが溶け切らずに残ってしまい、頭を抱えます(←根性のない当管理人はこういう時、OK Googleに頼りそうです)。
 しかしそんな時、法子さんが外を飛んでいたちょうちょを見て「<二つ折りの恋文が…お花畑で届け先を探してる>…か」とフランスの詩人・ジュール=ルナールの詩を口にした事で、陽一君はあっという間に解決法を思いつきます(←相変わらず、コナン君ばりに超人的な連想力です)。
 それは、土台を二つ折りにして揚げてしまうこと(←要はカルツォーネですね)!
 トマトとチーズをピザ生地で包んで直接火に当てずに調理する事により、トマトの風味を殺さずチーズも完全にとろけさせるという画期的なアイディアで、見事難問をクリアしていました。
※ちなみに、連載されていた1980年代当時はまだ生地の厚いアメリカンクラストが主流だったそうですが、陽一君と一馬君は作中で早くも生地が薄めのイタリアンクラストを土台にしていました←さすが「オレの料理は常に革命や!」と岡本太郎の「芸術は爆発だ」風に言い切った一馬君、すごい先見性です)。
フランスの詩を何気なく歌い上げる法子さん、教養ありすぎです今では広く知られていますが、当時はすごく画期的なアイディアでした
 次は具ですが、陽一君は「ドゥの油っこさを消す新鮮なさわやかさを持った具」という理由で、肉は生ハム・野菜は生パイン・魚介類は生ウニを選びます。
 生ハムと生パインはともかく、生ウニはさすがにゲテモノ冒険しすぎでは…と個人的には思うのですが、陽一君が言うには一緒に生卵を入れる事によって全ての具が渾然となって調和するとの事で、大胆な発想だと感じました(←確かに、卵が強烈な味を中和させるのは「自由軒」さんのカレーが立証済みです)。
 なお、陽一君は「これだけのボリュームあるピザには…何かのアクセントが欲しいんだ!!」「やわらかい味わいの中にピリッと刺激的な全体の味をひきしめる味さ」と考え、さらにかぼちゃの花を刻んで炒めたものを加えています。
 普通だと、ピザのアクセントはバジル・オリーブの実・タバスコなどが考えられますが、陽一君曰く「どれもこれも刺激と風味が強すぎ」だそうで、もっとデリケートで繊細な刺激を与えたくてかぼちゃの花を選んだと語っていました。
 調べた所、本場イタリアではかぼちゃの花を「フィオーリ・ディ・ズッカ」と呼んでおり、ピザやパスタの具としては勿論、チーズを詰めてフリットにしているようで、実はかなり本場風の工夫だったんだな~と感心しました(←ただ、どちらにしてもオイル系やクリーム系としか合わせていないのが気になりましたが…)。
当時としては斬新な事に、生ハム・生パイン・ウニを具にしていました個性の強い具を、半熟卵で一つに纏め上げていました繊細なアクセントをつけるため、かぼちゃの花を刻んで入れてました
 一番重要なかぼちゃの花が手に入らなかったので、半ば諦めかけていたのですが、先日偶然手に入れる事が出来ましたので再現する事にしました。
 作中に載っている大体の手順や、文庫版の単行本に記載されている再現レシピを参考に、早速作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、生地の用意。
 ボウルに強力粉、薄力粉、塩、ドライイースト、お水、オリーブオイルを入れて全体を混ぜ合わせ、手で生地が一つにまとまるまでしっかり練り上げます。
 生地が滑らかにまとまってきたらラップをかけて五十分程放置して発酵させ、二倍くらいに膨れ上がったらガス抜きをしながら何等分かに切り分けて丸め、麺棒で薄くのばします。
 のばし終えたら底の深い器へ生地を広げながら入れ、トマトソースをたっぷり塗ります(←かぼちゃの花と具の相性をはっきりと確かめたかったので、トマト・玉ねぎ・塩・にんにくなどをシンプルに煮込んだ物を使用)。
“味吉陽一特製揚げピザ”1
“味吉陽一特製揚げピザ”2
“味吉陽一特製揚げピザ”3
 次は、具を乗せる作業。
 先程の生地の上へ、食べやすいサイズに切った生ハム、小さくスライスした生パイン、生ウニを順々に入れます(←悪あがきですが、生うにと生パインを直接触れないよう生ハムでガードしてました;)。
“味吉陽一特製揚げピザ”4
“味吉陽一特製揚げピザ”5
“味吉陽一特製揚げピザ”6
 そこへ、細かく刻んで軽くさっと炒めたかぼちゃの花を投入します。
※かぼちゃの花は炒め過ぎるとシナシナになりすぎて香りも飛んでしまいやすいので、ほんの数秒だけの気持ち程度しか火を通さないか、もしくは生のまま使われることをおすすめします。
“味吉陽一特製揚げピザ”7
“味吉陽一特製揚げピザ”8
“味吉陽一特製揚げピザ”9
 これらの具を覆うようにして生卵を落とし、加熱用チーズをたっぷりふりかけ、生地を重ね合わせて縁をギュッギュッとくっつけてふさぎます。
※見た目が大きな餃子っぽくなってしまいますが、揚げている最中に中の具や汁気が漏れると大変なことになりますので、これぐらい力強くくっつけた方がいいです。
“味吉陽一特製揚げピザ”10
“味吉陽一特製揚げピザ”11
“味吉陽一特製揚げピザ”12
 次は、いよいよ揚げ作業。
 160度くらいに熱した揚げ油へ先程の生地をそっと滑らせるようにして入れ、全体がこんがりキツネ色になるまでじっくりと火を通していきます。
 この時、何度かひっくり返して熱が均等に行き渡るようにします(←入れてすぐに触ると破けやすいので、表面が固まるまでは絶対に触らない方がいいです)。
※イタリア風なので、揚げ油はオリーブオイルとキャノーラオイルをブレンドした物を使いました。
“味吉陽一特製揚げピザ”13
“味吉陽一特製揚げピザ”14
 全体がキレイに色づいてきたらキッチンペーパーへ取り出して余計な油分をきり、そのままお皿へ移せば“味吉陽一特製揚げピザ”の完成です!
“味吉陽一特製揚げピザ”15
 陽一君が作った物よりも大分ごつくて不恰好になってしまいましたが、香りの方はとてもおいしそうで、胃袋を激しく揺さぶります。
 試しに包丁で真っ二つに切ってみると、作中の表現通り半熟卵とトマトソースに包まれた具がドバッとあふれ出し、内心「おお~!」と歓声を上げました(←一見具が少なく見えますが、中を見ると固形の具は中に留まったままで、ずっしりしてました)。
 果たして、味の方はどんな感じなのか…食べて確認しようと思います!
“味吉陽一特製揚げピザ”16
“味吉陽一特製揚げピザ”17
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきま~すっ!
“味吉陽一特製揚げピザ”19


 さて、味ですが…意外な事にかなりおいしくてびっくり(←失礼)!予想していた油っこさは全然なく、クリスピーな皮からジューシーな具がドロリと溢れて絶品です!
この揚げピザは、須原椎造さんもブラボーと絶賛していました
 生地はピザというより極薄のピロシキやナンっぽい味わいで、そこまで油を吸っておらず、揚げ物特有のギトギト感がない軽やかな味わい。
 表面はカリカリザクッとした硬めの食感、内側はシコシコモチッとした弾力で、焼いたピザにはない脳に直撃する香ばしいフレーバーがたまりません。
 縁の部分も硬くて噛みにくいという事は一切なく、軽いカリカリ感が逆にいいアクセントになっています(←アメリカンドッグの棒の根元についてるあの部分に近い旨さかと)。

 具で一番ガツンと来たのはウニとチーズとトマトで、イタリアンで定番の「ウニとトマトのクリームパスタ」みたいなこってりした味付けになっていました。
 ウニの甘くて濃厚なコクと磯の香りが、チーズの熟成した旨味やトマトのフレッシュな甘酸っぱさと三位一体になって調和しており、非常に贅沢な仕上がりになっています。
 生パインはトマト味と不思議に相性がよく、独特の強い甘味はすっかり影を潜めてマイルドな引き立て役となっており、全体にフルーティーな風味をプラスして味を深めていました(←生ハムともよく合っていて、まるで「生ハムメロン」のような組み合わせだと感心)。
 陽一君の言っていた通り、トロトロのソース状になった半熟卵が全体をまろやかにまとめてホクホクした食べ味になっており、バラバラにならずに済んでいました。
 例えるなら「港町のとろけるご馳走カルツォーネ~トマトとウニの特濃仕立て~」というイメージで、リッチな気分になりました。

 ただ、残念ながらかぼちゃの花は全く存在感がありません…。
 たま~に噛み当てるとちょびっとだけかぼちゃの優しい香りと、僅かにほろ苦い刺激が舌に伝わるのですが、他の個性的な具によってすぐかき消されます。
 「そういえば、何か忘れているような…?」とお約束的に放置される、影の薄い漫画キャラみたいだと思いました。
“味吉陽一特製揚げピザ”18


 これだけよくまとまった旨さだと、下手にアクセントがあるとバランスが壊れそうでしたので、かぼちゃの花が目立たなくて結果オーライだと思いました。
 夫も「うまい!これ一つでご馳走だな」とかぶりついていましたので、気に入ったようです。
 儚いかぼちゃの花ではなく、もっと主張が強いハーブを隠し味にしてまた試してみようかな?と色々考えさせられた再現でした。


P.S.
 ここさん、無記名さん、ほーりーさん、コメントとご質問をしてくださりありがとうございます。
 乾燥黒胡椒を水で戻す…のは、まだ試した事がないですが、相当硬いので難しいんじゃないかな?と思っています(^^;)。
 機会があったら、実験してみます!


●出典)文庫版『ミスター味っ子』3巻 寺沢大介/講談社
     文庫版『ミスター味っ子』4巻 寺沢大介/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ