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『銀平飯科帳』の“台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り”を再現!

 先日、新しくパソコンを買い替えて既存のプリンターとつないだのですが、やたら時間がかかってヤキモキしました。
 あんまり時間がかかるので、夫に大丈夫か調べてほしいと言ったのですが、「きっとお見合いをしてるんだよ、もうちょっと待とう」と言われ、その発想はなかったと思いました。
 「パソコンさんのご趣味は?」「インターネットです。プリンターさんのお仕事は?」「秘書です。ボスの書類を印刷しています」という擬人化会話の妄想が捗っている内に、インストールは無事終了しました。
 この発想は、手持ち無沙汰な時に使えると思ったものです。

 どうも、新しいパソコンに変えてスキャンした所かなり動作が早くなり、「スキャンをする度に数分固まっていたのは、前の古いパソコンの仕事が遅かったからで、プリンターの仕事が遅いせいじゃなかったのか…ごめんよ」と、まるで出来る部下に許しを請う情けない上司の如くプリンターに謝った当ブログの管理人・あんこです。


 今回再現する漫画料理は、『銀平飯科帳』にて銀次さんが江戸時代で新しく考案した春雨料理を参考にして現代で作った“台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り”です!
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り図1台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り図2
 食のアイディアを得る為、いつも通り銀次さんは江戸時代へタイムスリップするのですが、そこでちょうど台風に遭遇します。
 実は「台風(←本来は颱風という字面)」という呼び名が一般的になったのは明治時代末期で、江戸時代までは「野分」「大風」という風情のある呼び方をされており、何らかの祟りだと本気で恐れられていたとのこと。
 遥か古来より、流行病、飢饉、天災、遂には殺人事件まで「祟りじゃ~っ!八つ墓の祟りじゃ~っ!」とほとんどが祟りのせいにされてきた日本ですが、現代っ子である銀次さんは科学の恩恵で祟り推し解脱世代になっていた為、どんなに空が荒れ狂っていても平然としていました。
 当管理人としても、毎年何度も台風が直撃し、川も道路も人も殺伐とする修羅の島・九州出身なせいか、台風は「ボールはともだち、こわくないよ」的存在で、厄介だけど慣れ親しんだ旧友みたいな節があります。
 何なら、たま~に気まぐれを起こして直撃しない時など、ちょっと寂しくなるくらい危機意識がおかしくなっている為、作中での表現を見て久々に台風の脅威に想いを馳せたものです。
 
 そんな時、銀次さんは平蔵さん経由で町の火消し・治助さんから相談を受けます。
 その相談とは、「火を使わず調理できる料理を教えてほしい」というもの。
 何でも、治助さんは小さい頃、台風の日に雷の中で竜が踊っている姿を見て以来台風が恐ろしくて仕方がなくなり、歳をとってからは気力の衰えもあって、お腹がすいた状態では表に出て火消しをする事もままならなくなったとのこと←個人的に、幼い頃に竜を目撃なんてRPGの主人公っぽくてかっこいいなーと呑気に思いました)。
 けれども、江戸時代では台風の時は火事を防ぐ為火を使った調理は禁止されていたようで、運悪く台風と火事が被ってしまった時でも作れる料理を教えてほしいと平蔵さんや銀次さんにお願いしていました。
 現代なら電子レンジ・電気ポット・インスタント食品という心強い味方がいるので、さほど難しくない問題ですが、江戸時代にはどちらも存在しない為、これはかなりの難題だと思ったものです(←干飯はどうかと考えましたが、あちらは水で戻そうとすると最低でも六時間以上かかってしまうようなので、難しいですね…)。
台風の時は火を使った料理を食べてはいけないというお触れがあるせいで、腹ごしらえができません
 いい案が浮かばず困った銀次さんは一旦現代へ戻り、お店に飲みに来た平賀さんと葉瑠さんに「災害の時、火を使わないでできる料理って、何かあるかな?もちろん電気もなしで」と聞いてアドバイスを求めます。
 すると、葉瑠さんは「一時期話題になった水で戻すパスタってあったじゃない」と言い、乾麺を水で戻して食べる方法をおすすめします。
 水漬けパスタは乾麺のパスタを一~二時間くらい水に漬けて生パスタっぽくするという料理の裏技で、それを聞いた銀次さんは「江戸じゃパスタはないけど、そうめんならきっとあるじゃん、それでいこう!」と内心すっかりその気になるのですが、平賀さんから「ダメだよ、葉瑠。それ水で戻したあと加熱しなきゃならないから」と止められます。
 平賀さん曰く、澱粉には生の「ベータ」と加熱した「アルファ」があるのですが、生の「ベータ」を食べたら腸が消化しきれずお腹を壊してしまうとの事で、水漬けパスタは元々省エネ化の為に考え出されたアイディアなのだと説明していました(←オンラインゲームでよく目にしたせいか、「アルファ」「ベータ」と聞くとどうしても「α版」「β版」が連想されます)。
 大昔、『はだしのゲン』でゲン達が生米を美味しそうにバリバリかじるシーンを見て、人間その気になれば生米でも生麦でもいけるものだと思っていた当管理人は、衝撃を受けました。
 しかし、もし生米が有害でないなら、肉・魚・野菜などあらゆる物を生で食べたがる日本人が調理法を確立していないはずがありませんので、すぐに納得したものです。
一時期、水漬けにすると生っぽくなるパスタが流行しました澱粉にはαとβの二種類あり、βは水に漬けただけだとおなかを壊します
 その後、銀次さんは水漬けパスタの発想をヒントにし、火を使わず作れてお腹も壊さない、画期的な麺料理を発明します。
 それが、この“台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り”です!
 作り方は簡単で、ひきわり納豆・山芋・モロヘイヤ・オクラ・出汁を水に漬けて戻した春雨と合わせてしっかり混ぜ合わせ、中央に温泉卵をトッピングしたら出来上がりです。
 ポイントは、春雨は二時間~三時間水につけて戻すこと、鰹節・昆布・煮干しを一晩水に浸けて作った水出汁を使用すること、材料を全部入れたら台風をイメージしてお箸でよ~~くグルグルかき混ぜることの二点で、こうするとツルツルヌルヌル度がアップしておいしくなるとのことでした。
 ※実は、上記のレシピは銀次さんが現代に戻って東京風にアレンジしたタイプで、江戸時代ではさらに火を使わない事を追求して「ひきわり納豆・山芋・めかぶ・トロロアオイの花・ツルムラサキ・ネギ・みょうが」を具にしており、温泉卵が乗っていません。

 作中の記述によりますと、春雨は製造時に加熱して澱粉をアルファ化している珍しい麺だそうで、加熱せず水で戻すだけでも食べられると書かれていました。
 江戸時代の日本に春雨があったのだろうか…と疑問に思いましたが、調べたところ鎌倉時代には既に中国から伝来していたようで、感心しました。
 日本だと春雨は中華サラダに使うか、もしくはエースコックさんのスープ春雨の印象が強いですが、中国では太平燕、ベトナムでは汁麺など、海外では立派な麺料理の材料として扱われており、案外ネバネバ麺にするのもありなのかも…と感じました。
春雨は澱粉がα化しているので、水につけるだけで食べられるとのこと
 本当に、春雨は水に浸けるだけで食べられるんだろうか…と不安だったので長らく躊躇していましたが、どういう味なのか確かめたいという欲求に抗えず、再現することにしました。
 作中には大体のレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 ということで、レッツ再現調理!
 まずは、水出汁の準備。
 出汁パックに詰めた鰹節と煮干し、昆布を容器へ入れて水を注ぎ、フタをして冷蔵庫で約一晩寝かせます(←出汁がより出やすいよう、煮干しは削り節を使用しました)。
 時間が経ってパック類を取り出したら、水出汁は出来上がりです。
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り1
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り2
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り3
 次は、春雨の下ごしらえ。
 多めに水を張ったボウルへ乾燥春雨を投入し、三時間以上放置して戻します。
 春雨の中心にまで水が浸透したのを確認したらザルにあけ、水切りしておきます。
※作中ではどの種類の春雨か明記されていなかったので、麺の太さから推理して緑豆春雨を使いました。
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り4
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り5
 ここまできたら、いよいよ仕上げ作業。
 ボウルへ皮を剥いてすりおろした山芋、水出汁、醤油、先程の春雨を入れてよく絡めます。
 混ざったらそこへ、茹でて刻んだオクラとモロヘイヤ、ひきわり納豆を加え、グルグルとしっかり混ぜ合わせます。  
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り6
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り7
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り8
 春雨と具と調味料がよく混ざり合ったらお皿へ丸く盛り付け、最後に中央へ温泉卵を落とせば“台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り”の完成です!
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り9
 透明でキラキラした春雨麺と、オクラやモロヘイヤの鮮やかな緑の色合いがきれいです。
 春雨といえば絶対加熱するものと思い込んでいましたが、本当に水で戻すだけでそのまま食べられるのなら画期的ですので、果たしてどんな味になっているのか…とても興味深いです。
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り10
 それでは、温泉卵を崩して混ぜ、いざ実食。
 いただきまーす!
台風春雨ぶっかけツルツルネバネバ五種盛り11



パクッ。
ギシ、ミシ、ポキ、ポキ…。



・・・・・・・。
・・・・・・・・・。



 …うーん、残念ながらお世辞にもおいしいとは言い難い一品。他の材料の味がいいだけに麺の残念さが際立ち、約八年ぶりに夜神さんが降臨しました。
 まず、水出汁はとてもいいです。
 雑味が一切ない、魚の旨味がすっきりとクリアに出た淡麗な出汁で、後口がとてもあっさりして涼やかなのが特徴。
 煮出した出汁に比べるとやや薄く感じますが、その分今回みたいに冷たい料理やお吸い物みたいなさっぱり系料理に向いているイメージです。
 いりこ出汁の素朴で強い魚の風味が効いた、鰹と昆布のみの上品な組み合わせでは出ないしっかりした合わせ出汁で、どことなく甘やかな余韻がついている味でした。
 具もそれぞれ味はよく、モロヘイヤのジャクジャクトロリとした歯応え、ひきわり納豆の旨味、山芋のまったり感、オクラのサクサクした食感が春雨にネバネバと絡み付き、ぴったりの相性(←「マグロ抜きの爆弾納豆麺」という印象)。
 温泉卵の黄身の濃厚なコクがまたいいアクセントで、たったこれだけでもちょっとした贅沢感がプラスされているのにほっこりしました。

 しかし、それだけに目立つのが、水で戻した春雨の想像を絶するモソモソ感…。
 一応水で完全に戻しているはずなのに、調理していない生麺と言いますか、釣り糸を食べているような感覚が半端なく、食事中ずっと胸騒ぎがとまりませんでした。
 せっかくネバネバメンバーが「仲良くしよーぜ!」と絡もうとしているのに、春雨は「あ、自分そういうのいいんで」と身を固くして払い除けている有り様。
 つるつる感はかろうじてありますが、「パキパキ」「ポキポキ」「ギシミシ」「ボソボソ」という異質な噛み心地しかなく、一口目から飲み込むまでずっと「今の環境が不本意で、最後まで嫌々従っている反抗的なクラスメイト」みたいな感じなのに苦笑しました。
 けれども、途中我慢しきれず電子レンジで約二分加熱してから食べてみたところ、さっきまでのツンツンぶりは一転!
 麻婆春雨くらいの程よいコシに変化し、ネバネバメンバーを拒否するどころか「キャッチボールしよーぜ!」と言わんばかりに自分から柔らかくなって絡み付き、一体感のある味になっていました。
 とはいえ、また作りたくなる程おいしいかと言えば微妙で、一言で言うなら「失敗」でした。


 実はこの再現後、じゃがいもやサツマイモの澱粉で作られている春雨でも試しに作ってみたのですが、結果は全く同じでした。
 麺を水に漬ける時間を六時間・一日・二日にしても、それぞれ失敗…。
 もしかしたら、緑豆やイモ系の澱粉ではない別の澱粉の春雨を使用し、調理法をもっと工夫したらおいしいのかもしれませんが、未熟者の当管理人にはこれが限界でしたorz。
 ちゃんと再現できるよう、もっと精進しようと思います(TдT)。


P.S.
 ゆゆさん、さしみさん、銀猫さん、kawajunさん、コメントを下さりありがとうございます。
 当管理人だけでは得られない情報をたくさん頂けて、とても参考になりました(←『みんなの食卓』…チェックしてみます!)。
 それにしても、『どんぶり委員長』が実写ドラマ化とは、予想できませんでした!
 ニコ動アプリでチェックしようと思います、教えて下さり感謝いたします。


●出典)『銀平飯科帳』 河合単/小学館
      『DEATH NOTE』 原作:大場つぐみ 作画:小畑健/集英社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『どんぶり委員長』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『ミスター味っ子』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『BAR・レモンハート』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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