『クッキングパパ』の“シーべジトンカレー”を再現!

 先日、母が昔お茶の教室から帰る時に友達と時々寄っていた喫茶店(「店舗」というよりは、個人宅の一部を間借りしたような中途半端な内装だった模様)のナポリタンを再現すべく詳しい記憶を聞いていたのですが、その際「普通のベーコンやハムではなく、鯨のハムを使っていた」という衝撃の事実が分かりました。
 鯨のベーコンなら近所のお店で手に入るものの、母の言う「今ある生ハムみたいな鯨ハムではなく、もっと真四角だった」というような鯨ハムは一向に見つからず、レシピがどうこう以前に幻の食材出現によって早くも挫折しそうですorz。

 どうも、鯨ベーコンの獣肉とも魚肉とも似つかない独特の風味の脂でビールを飲むのがたまらなく好きな管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて江口君の隣に住む独身サラリーマン・原口さんが天体観測の際に作った“シーべジトンカレー”です!
シーべジトンカレー図
 それは、ルリちゃんとちょっと気まずいムードになったものの、少し経って何事もなかったような日常に戻れて江口君がほっとしていた頃の事(その時のエピソードはこちらです)。
 ある夜、江口君は久々に気合を入れてカレーを作って大成功し、ルリちゃんに「食べに来ん?おいしいよ!!」と誘いの電話をかけるのですが、折悪くその日はルリちゃんのパパが遊びに来ていて夕食を一緒にする事になっていた為、残念ながら断られてしまいます。
 これだけでもショックだったというのに、この時江口君は内心「誰だい?友達か?こ、恋人か?ん!?ん!?」と心配していたルリちゃんパパから「もしもし、むすめが大変お世話になってます!今後とも何卒よろしくガハハハハ」と、半ば牽制するかのような野太い大声で挨拶されてすっかり気圧されてしまっており、気の毒でした;(←まあ、お二人が一時期気まずくなった経緯を考えてみると、ルリちゃんパパの心配もあながち杞憂じゃないのが痛い所ですね;)。
 その為、江口君は「しょうがない、あの人でも誘ってみるか」と気を取り直して上司の田中君を誘うのですが(←こんな裏事情を田中君が知ったら怒りそうですが;)、またまた運悪く家族でステーキパーティーをしているからと断られ、仕方なく一人でカレーを食べ始めます。
 しかし、せっかく上出来なカレーが出来上がったというのに誰も評価してくれないのは想像以上に侘びしかったらしく、「うまいのにな~;」とますます落ち込んでしまいます。
 美味しい物はたとえ一人で食べてもやはり美味しい物だと思うのですが、カレーのように量がたっぷりできて、なおかつここ数か月作った中で一番の出来だと胸が張れるような物が作れたら、一人で食べ尽くすより誰かに食べてもらってその成果を認めてもらいたいと願うのはごく自然な心の流れだと思う為、このシーンを見た時は猛烈に共感したものです。
 するとその時、江口君は寂しさのあまり敏感になっていたのか、偶然お隣の独身サラリーマン・原口さんがいつもよりも早く帰ってくる気配を感じ取り、思わず扉を開けて「こんばんはーっ。あっ、あの…カレーをいっぱい作っちゃったんですよ」「よかったら一緒にどうです?」と衝動的に呼びかけてしまいます。
 正直、あまり親しくない間柄だったみたいなので断られてもおかしくなかったんですが、幸い原口さんは気持ちよくOKしてくれ、江口君と共に「うまい!」とカレーを食べてくれていました。
 それにしても、ほぼ初対面だというのにすっかり打ち解けあって「江口さんカレー作り上手ですね」「ありがとうございます!」とスムーズに会話が進むお二人のコミュニケーション能力の高さが、個人的にすごく羨ましいです;。
カレーをたっぷり作りすぎて持て余した江口君は、お隣に住む原口さんを招きます
 元々人懐っこい江口君は、すっかり心を開いて「カレーってほら、ちまちま作るよりも大鍋でドーンと作る方がうまいっていうでしょ。だから材料たっぷり用意して、夕方からじっくり煮込んでばっちりうまく出来たと思ったんですが…」「だけど一人で食べてたらやたら寂しくなって…で、原口さんに声をかけたんです」と素直な胸の内を原口さんに語り掛けるのですが、頷きつつも原口さんは何か思う所があったようで、「では、お返しに明日はボクが夕食おごりますよ」と言って江口君を招待し、翌日の夜九時頃に自分の車でお気に入りの場所へと連れていきます。
 その場所とは、意外な事に星空がよく見える近所の山奥!
 何でも、原口さんは天気のいい夜に望遠鏡で地球に接近する星々を眺めるのが趣味らしく、昨日のカレーのお礼として火星、白鳥座のアルビレオ、こと座のリング星雲などを細かく解説しながら見せてくれ、江口君は徐々に星の美しさに魅せられていきます。
 とはいえ、周囲にはお店は一軒もない為「夕食はどこで食べるんだろう?」と江口君は不思議に思うのですが、その疑問に答えるかの如く、原口さんは車の中からアウトドア用の調理器具を取り出し、あるカレーを作り出します。
 その際、原口さんが「ボクもアウトドアでよくカレーを作りますが、天体観測が忙しいしパッパと一人分だけ作ります」と言いながら目の前でちゃちゃっと作り上げた“独りもんカレー三種”の内の一つが、この“シーべジトンカレー”です!
 作り方はとっても簡単で、油を引いたフライパンでミックスベジタブルとシーフードミックスを炒めてとんこつラーメンのスープを注ぎ、塩こしょうで味を調えてカレールーを溶かしたらもう出来上がりです。
 原口さん曰く、「江口さんはタップリじっくりカレーを作るから、食べる時一人だと寂しくなるんじゃないですか?」だそうで、一人なら一人なりのご飯と楽しみ方がある事を江口君に教えていました。
 誰かとご飯を食べるのは確かに楽しいですが、だからと言って一人で食べる=まずい・仕方なし・みじめという訳では決してないと話す原口さんの姿は頼もしく、江口君の言う通り「独りもんの達人」だな~としみじみ感じました(←ふと、同じく独り飯の達人である『孤独のグルメ』の五郎ちゃんを思い出しました;。きっと五郎ちゃんなら、このシチュエーションも「ここでは夜空がおかずだ」と褒めてくれるのでは…?と推測しています)。
一人分だけちゃちゃっと作れる独りもん用のアウトドアカレー作りを目の前で実演します
 なお、このカレーは慣れれば約十分そこそこで作れるお手軽さで、その調理工程を見ていた江口君は「すごいや」と感心していました(←ちなみに、この他にも豚バラ肉とキムチをカレールーで煮て作る“バラキムチカレー”、潰したコロッケを具なしルーへさっとほぐし入れて作る“グチャコロカレー”も作中で紹介されていましたが、どれもお手軽かつ美味しそうでした)。
 おかげで、最初は怪訝そうだった江口君も満足するのですが、困ったことに原口さんは星について様々な説明をしていく内にすっかり火がついたらしく、「おっと、こうしちゃいられない。続きを見ましょう、まだまだ見せたい星がいっぱいあるんですよ」「そうそう、明け方の土星も今、見頃なんですよー」と急に活き活きしだし、「ひゃ~っ、そんなにいるんですか~っ!?」と江口君を驚愕されていました(←この趣味に夢中になると周囲が目に入らなくなる猪突猛進ぶりは、本や料理となると目の色を変える当管理人にとって他人事ではありません;)。
 なお、この時原口さんは「おかげさんで三十五過ぎてもしっかり独身でね」「まっ、こんな男と付き合ってみようと思う物好きはいないだろうしね…」と自嘲的に笑って江口君を慌てさせているのですが、何と後々ルリちゃんの心を知らず知らずの内に射止め、最終的に結婚までしちゃいます。
 思うに、ルリちゃんは日頃から好きだという気持ちをストレートに表すがゆえにどうしても余裕がないように見える同年代の男性達より、十歳以上年上で一人の楽しみ方を知るがゆえに落ち着いた雰囲気を出す原口さんの方がより輝いて見えたのだと予想されますので、もしそうだったとしたら、江口君はこの上なく手強いライバルと隣合わせになったんだな~と気の毒になります;。
独りの楽しみ方に精通している原口さんですが、後々二人で人生を歩むことになります
 とんこつスープでカレーを作ったら一体どういう味になるのか気になって仕方がなかった為、再現を決意しました。
 作中には詳細なレシピが載っている事ですし、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、炒め作業。油をひいて熱したフライパンへ、ミックスベジタブルとシーフードミックス(イカとエビが入っている物でしたら何でもOKです)を入れてざっと炒めます。
 その間、とんこつラーメンのスープを袋に書いてある指定の量の水で溶いておきます。
 ※とんこつラーメンのスープは袋麺についている粉状のものではなく、スーパーのスープ売場に置いてある液体状の物を使用するのが鉄則です。
シーべジトンカレー1
シーべジトンカレー3
シーべジトンカレー2
 全体的に荒っぽく解凍されてきたら塩とこしょうを軽くふって味付けし、そこへ先程のとんこつラーメンのスープを注いで煮ます。
 途中、沸騰してきたら一旦火を止めてお好みのカレールーを加えてまんべんなく溶かし、再度火にかけてよく混ぜながら煮込みます(←中辛でも辛口でも合いますが、あんまり甘口すぎると合わない気がしました)。
シーべジトンカレー4
シーべジトンカレー5
シーべジトンカレー6
 カレールーとスープが完全に一体化してとろみがついてきたら火を止め、器に盛られたご飯の上へたっぷりかければ“シーべジトンカレー”の完成です!
シーべジトンカレー7
 香りはカレーの方が圧倒的に勝っているんですが、よ~く匂いを嗅いでみると、とんこつスープ特有のこってり臭がどことなく感じられるのでちょっと面白いです;。
 ミックスベジタブルとシーフードのカラフルな色合いのおかげで、さっと作れた割にはそこまで手抜き感がないのがいいです。
 とんこつとカレーという組み合わせは試したことがありませんので少し不安ですが、実際の所どうなのか食べて確かめてみようと思います!
シーべジトンカレー8
 それでは、いざ実食!
 いただきま~すっ!
シーべジトンカレー9


 さて、味はと言いますと…短時間で適当に作ったはずなのに、キリッと旨さが決まっていてびっくり!即席でこれなら十分満足です!
 野菜もお肉も一切入れていないのに、まるで一晩寝かせたかのような奥行きのあるルーで、全体的にまろやかにまとまった味わいが特徴的でした。
 恐らくとんこつスープの濃厚な脂分とこってりした旨味出汁のおかげで、マイルドながらもここまでメリハリのある味付けになったんだと思いますが、その割にはとんこつ独特の臭みや癖が残っていませんので、とんこつが苦手な方にもお勧めです!
 また、とんこつスープに含まれる濃いめの塩気が効いている為、よりご飯との相性がよくなっているのがいいな~と感じました。
 このがっつり系のルーに、イカやエビの淡泊な味わいとプリプリ感、ミックスベジタブルの瑞々しい汁気とプチプチ感がぴったりで、どれも突出せず調和しているのがよかったです(←普通のカレーに使うようなお肉を具にしていた場合、やや重くてくどい仕上がりになっていた可能性が高いですので、ちゃんと考えているな~と感心しました)。
 ミックスベジタブルが溶ける時に出た甘い野菜エキスがルーに深みを与えているのもいい感じで、和風っぽく見えますが実はそうでもなく、しっかり洋風系のカレーに味がまとまっているのがナイスでした。


 ラーメンスープがこんなにカレーと合うとは思っていなかった為、いろんな意味で感心した再現でした。
 とんこつラーメンでこんなに合うなら、塩ラーメンや味噌ラーメンのスープを使っても合いそうですので、他にも応用が利きそうです。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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