『クッキングパパ』の“荒岩流うまイカライス”を再現!

 熊のゆるキャラというと、熊本県のくまもんと北海道のメロン熊が有名ですが、同じ熊とは思えない程ギャップが激しいのが面白いです。
 思うに、本物の熊と顔を合わせるのは阿蘇カドリー・ドミニオンくらいな熊本県と、ヒグマとの遭遇率が半端なく高くて日頃から警戒している北海道の、熊に対する危機意識の差がゆるキャラへもろに反映されているのでは?と考えている為、両者を同時に見るとちょっと複雑な気持ちになります;。

 どうも、節分の日に幼稚園を襲撃したメロン熊が、最初は子ども達を襲っていたはずがある時を境に逆にフルボッコされたという一報を知り、「子どもってたくましい!」と感心した管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて荒岩主任が虹子さんからお願いされて作った取材用のお弁当・“荒岩流うまイカライス”です!
荒岩流うまイカライス図
 それは、まこと君がまだ小学校三~四年生くらいだった頃のお話。
 ある日、虹子さんは部長から懇願されて気難しい作家・西村さんと一緒に、浮羽町の山奥で毎年行われているという「粥占い」(一月十五日にお粥を儀式用のお皿へ盛り付け、三月二十日までにお粥に生えたカビの付き具合で農作物の出来を占うのだとか)の取材へ行くことになります。
 何でも、西村さんは九州のお祭りや伝統芸能について書かせると右に出る物はいない程優れた文を書くようなんですが、ちょっとでも気に食わない事があると取材の途中でも遠慮なく帰ってしまうと有名で、前回他の人が担当した時はわざわざ大分県まで行ってそれをやらかされ、大変な騒ぎになったとの事(←予算もスケジュールも限られている中こんな事をされたらと思うと、考えただけで頭痛と胃痛がすごいです;)。
 その為、部長は誰を同行させるべきか悩み抜いたそうなんですが、どんなに頑固な人でも最終的には心を許してしまうと社内でも評判のベテラン・虹子さんがその役に適任と決断した模様で、選ばれた虹子さんは「私、頑張らなくっちゃ!」とニコニコしていました。
 こんな大役を仰せつかったら、大抵の方は不安と緊張でつい気張ってしまいそうなものですが、虹子さんは普段通りリラックスして臨んでいる所がさすがで、極度な責任感は返って足枷になってしまう事を熟知しているのだな~と感心しました。
 とはいえ、初対面の西村さんへ「何だ、おじいちゃんじゃないの!有名な作家の先生っていうから、どんな素敵な男性かしらと期待してたのに;」と本音をズバッと言ってしまって早速怒らせたり、また車中で「昨夜、先生のご本を読ませて頂きました。とても素晴らしい本でした、あたし感動しました」と言ったはいいものの、おかげで睡眠不足がたたった虹子さんは西村さんの肩に頭をデンと乗せて爆睡してしまったりと、いつも通り過ぎてヒヤヒヤするシーンが連続で、読者としては生きた心地がしませんでした;。
 しかし、当初は「何て記者だ!」と不機嫌になっていた西村さんも、変に卑屈になってご機嫌取りをしたり、かと言って分かった風な口を聞いて尊大な態度になったりしない虹子さんの自然体な人柄に徐々に惹かれ、心を許していきます(←何せ、トイレに行きたくなったら「お○っこ~!」と大声を出して車を止めさせ、皆の目の前でワイルドに草むらをかき分けて場所探しをしていたくらい大らかなお人柄なので、西村さんはすっかり毒気を抜かれたみたいです;)。
 その昔、真に天真爛漫な人間は何もしなくてもそこにいるだけで周囲の人々を素直にさせ、生来持っているいい所を引き出す力があると本で読んだことがありますが、それはまさに虹子さんの事ではないだろうか?と読んでいて思いました。
虹子さんも作家さんも、お互いファーストコンタクトは最悪の状態で始まってました;
 こうして、何だかんだ言いつつ次第に空気が和やかになって二時間経過した頃、ようやく車は「粥占い」の行われる神社へ到着し、虹子さん達はすぐに取材に取り掛かります(←と言っても、虹子さんは三十そこそこの若さで九州の山間部にある山には大抵行っていた為皆さんとは顔見知りで、早くも溶け込んでいました)。
 虹子さんの取材は半ば雑談と言ってもいいくらいのざっくばらんなものだったんですが、それでいて村の人々の素直で貴重な意見を引き出しており、西村さんは見た目によらず経験豊富で凄腕な虹子さんを密かに見直します。
 そうこうしている内に、「粥占い」の今年の結果はこれ以上ないくらいの大豊作という結果が出てその場は大盛り上がりし、宴会へと突入します。
 その際、虹子さんが村にあった大型蒸篭の片隅へ入れてもらって温め直し、皆へ振る舞ったのが、この“荒岩流うまイカライス”です!
 作り方は結構手が込んでおり、もち米・イカゲソ・イカ墨・醤油・みりんをボウルで混ぜた物、中火にかけたフライパンでもち米・イカゲソ・ミックスベジタブル・バター・塩・こしょう・コンソメキューブを炒めた物の二種類のご飯を用意し、それぞれイカの胴体へ詰めて爪楊枝でしっかり止め、蒸篭で約三十分蒸したら出来上がりです。
 取材前夜、「食堂もお店も何にもない所だから、みんなの分のお弁当も用意してほしいの」と虹子さんからお願いされた荒岩主任が、急遽冷蔵庫に残っていた冷凍のイカを使って拵えた料理なのですが、有り合わせで作ったとは思えないくらいご馳走感のある華やかな一品です。
 普通は煮て味付けするのを、荒岩主任はあえてイカに味付けなし&蒸すという手法を取り、イカの旨味を引き立たせているのが特徴的。
 コツは、イカに味がない分もち米へやや濃いめの味付けを施す事で、こうする事で味のバランスが取れると作中で説明されていました。
 結局、西村さん達だけではなく村の方々も食べる事になったのですが、山奥に住んでいて日頃新鮮な海産物を食べる機会がないせいか大変喜んでおり、宴会はさらに賑やかになっていました。
山奥にある村の人々は海産物自体が珍しかった為、大喜びでいかめしを食べてました
 その後、仕事中はお酒を飲まない主義の西村さんを尻目に、虹子さんは村の方からすすめられるお酒を全部飲んで酔っぱらいつつ、完全に村人の輪の中へ溶け込んでいい取材をします(←お酒が苦手な方もいますので、一概には決めつけられませんし強要もできませんが、同じ環境で同じ物を飲み食いすると心の距離がぐっと縮まるのは間違いないと思います)。
 おかげで、虹子さんは帰るころになるとへべれけに酔っぱらってまた西村先生の肩で安心しきって眠るのですが、自分とは全然違うタイプなものの、周囲へ太陽が光を投げかけるが如く温かい笑みを絶やさず仕事をしている虹子さんを西村さんはすっかり気に入り、「たいしたもんだ」と優しく微笑んで受け入れていました。
 思うに、虹子さんは仕事を生活の糧として割り切り「やらなければならないから、やる」と受動的にするのではなく、「やりたいからやる、というかやらせて!」と能動的に取り組み、建前ではなく本気で楽しんでやっているからこそその気持ちが周囲に伝わっていい連鎖反応が起き、それが反映していい結果が出せているんじゃないのかな~?と感じました。
行きの時とは打って変わり、酔って眠る虹子さんを優しいまなざしでみていました
 九州ではやりイカばかりが扱われている為再現を諦めかけていましたが(←やりイカでも出来ないことはないのですが、墨袋が小さめですのでイカ墨味が出来ないのではないかと不安でした)、やっとするめイカを入手できましたので再現する事にしました。
 作中に載っている詳細なレシピ通り、忠実に作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、イカの下ごしらえ。新鮮なイカから内臓と中骨を取り出して胴体の中を丁寧に洗い、しっかり水気をきってから中へ日本酒をふっておきます。
 一方、取り出した内臓からは墨袋を取って別皿へ取り置き、ゲソは吸盤についている軟骨をしごき取ってから細かく刻んで二等分にします(←今回イカワタは使いませんが、塩辛のベースに使ったり、ゲソと一緒に醤油などで炒めて濃いめのワタ焼きにしても美味です)。
 この時、前日から一晩水に浸けておいたもち米をザルにあけて水気をきり、二等分にして分けます。
荒岩流うまイカライス1
荒岩流うまイカライス2
荒岩流うまイカライス3
 次は、味付けと詰め込み作業。
 ボウルへ半分のもち米、半分の刻んだイカゲソ、墨袋から絞り出したイカ墨、醤油、みりんを入れてよ~く混ぜ合わせ、イカの胴体へ軽く七分目くらいになるよう詰めて爪楊枝で止めます(濃いめに味付けした方がいいですが、あんまり入れ過ぎてもサラサラになりすぎて詰めにくくなります)。
 ※調味料を控え目にしすぎても薄味になりますので、ギリギリの量まで加減して味付けし、小さめの器へ止めた方を上に傾けるようにして並べて蒸し器に置いたら、うまい具合に蒸しやすいです。
荒岩流うまイカライス4
荒岩流うまイカライス5
荒岩流うまイカライス6
 もう半分のもち米と刻んだイカゲソは、バター、砕いたコンソメキューブ、ミックスベジタブルと共にフライパンへ投入して中火で炒め、塩とこしょうで味付けしてもち米が透き通るまで火を通します。
 炒め終えたら火からおろして別皿へ取り出し、粗熱が取れたらイカの胴体へ軽く七分目くらいになるよう詰めて爪楊枝で止めます。
 ※あんまり混ぜすぎますと粘りが出てきますので、要注意です。なお、具を七分目しか入れないのは中の具が膨らみ、イカが縮む事によってイカが破裂して台無しになるのを防ぐためです。
荒岩流うまイカライス7
荒岩流うまイカライス8
荒岩流うまイカライス9
 ここまできたら、いよいよ蒸し作業。
 濡らしてギュッと固絞りした清潔な布巾を敷いた蒸篭(又は蒸し器)へ、先程の詰め具をしたイカを置いてフタをし、最初は強火で十五~二十分、最後は弱火で十五~二十五分蒸します。
 蒸篭から洩れ漂う、イカの香りを帯びた湯気が台所中に充満するのがほっこりする感じで、個人的に餃子の焼き上がりを待つ時間と同じくらい心躍るひと時でした(^^*)。
 ※蒸し器の癖によって蒸し時間が変わってきますので、時折様子を見ながら時間を調節した方がいいです。
荒岩流うまイカライス10
荒岩流うまイカライス11
荒岩流うまイカライス12
 イカともち米に熱が通ったら蒸篭から取り出して少し熱を落ち着かせ、包丁で食べやすい大きさに切って大皿へ並べれば“荒岩流うまイカライス”の完成です!
荒岩流うまイカライス13
 台所でむせ返るほどに香ったイカの風味が濃厚な湯気は、切り口からまだほんのり立ち上っており、テーブルの上もイカの匂いが漂います。
 綺麗なあずき色へと蒸しあがったイカの身からのぞく、ゲソによって桜色に染まったご飯に映える黄色・オレンジ・緑の華やかな色合い、そしてイカ墨によって漆黒色へと染められたご飯のシックな色合いが美しく、見た目だけでも十分に楽しめます。
 煮るタイプのいかめしはよくみますが、蒸すタイプは初めて食べますので、一体どんな味がするのかとてもワクワクします!
荒岩流うまイカライス14
 それでは、蒸したてほやほやの内にいざ実食!
 いっただっきまーすっ!!


 さて、味はと言いますと…両方ともイカの旨さが活きててうっとり!煮イカとはまた違った魅力があります!
 プリンプリンに柔らかくシコシコした弾力に仕上がったイカの身と、むっちりと食べ応えのあるもち米が最高のコンビネーションで、時折ゲソのコリコリ感によってちょうどいいアクセントが加わるのがたまりません。
 煮るタイプだと多少は煮汁にイカの出汁が逃げてしまうものですが、蒸すとほとんどが内部に残る為、二割増しで味わいが濃くなっているのがよかったです。
 イカ自体に味がついていないのでイカ本来の甘味が分かりやすくさっぱりした後口で、意外と軽く頂けるのがナイスでした。
 ゲソから出た旨味エキスを芯まで吸い込んだもち米を噛むと、外側の身とあいまって口の中がイカの旨味でいっぱいになります。
 バターライスの方は、コンソメの奥深いあっさり出汁とバターの上品な脂分が効いた洋風で品のある美味しさで、例えるとするなら「モチモチしたゲソ入りバターピラフ」というイメージ。
 コーンやグリーンピースの瑞々しいプチプチ感、バターの香り高い風味が華やかな味わいをプラスし、平凡なはずのイカ飯をバター炒め風のリッチな一品へと変身させていました。
荒岩流うまイカライス15
 イカ墨ライスの方は、インパクトの強い見た目に反してあっさりシンプルな塩味で、その分イカ墨が醸し出す独特の爽やかな香り、甘やかなコク、凝縮されたイカの旨味エキスがよく分かります。
 全く塩辛くないのに、まるで芳醇な海の恵みをそのまま封じ込めたような格調高い奥深さを感じる事が出来、いつまでも噛み締めたくなるような滋味を感じました。
荒岩流うまイカライス16


 普通のイカ飯はもち米に味がついていない為、煮汁があってもやや単調で食べにくいのが難点ですが、この"うまイカライス"だともち米にしっかり味がついていますので、最後まで飽きずに食べられます。
 何より、ゲソが入っている方が美味さが何倍にも膨らみますので、イカ好きの方には是非一度は試して頂きたい味です。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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