『クッキングパパ』の“スナックえんどうと豚肉の炒めもの”を再現!

 先日、近所のショッピングモールで偶然物産展が開かれていたのを発見し、少し見て回ったのですが、途中イカの塩辛が小山のように積み上げられていた一角を発見し、びっくりしました。
 確かに、大抵の物は高く盛り付けると美味しそうに見えるものですが、赤紫色でヌメヌメしたイカの塩辛が「これでもか!」とばかりに大量にせり上がっていても購買意欲は一向にわかず、かえって川口浩探検隊がアマゾンの奥地で遭遇したあの生物を連想して食欲が失せたものですorz。

 どうも、お茶漬けならワタ入り塩辛、白いご飯&おつまみなら透明な塩辛が好きな管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて大平課長の奥さんが晩酌用に作った“スナックえんどうと豚肉の炒めもの”です!
スナックえんどうと豚肉の炒めもの図
 今回ご紹介するのは、穏やかな性格で連載初期より金丸産業の皆に慕われていた大平課長が定年退職を間近に控えた頃のお話。
 ある日、打ち合わせの為に荒岩主任や田中君と一緒に博多リバレインへ訪れた大平課長は、それまでひっそりしていたはずの下川端町が賑やかになっているのを見て驚きます(この回が掲載された1999年当時は新築したばかりで、確かに騒がしかったように思います。あれから十五年経った現在はさすがに沈静化しましたが、歴史のある街特有の落ち着いた雰囲気は蘇っており、個人的には今の方が好きだったりします)。
 まだ若かった田中君は町が活性化したことを単純に喜んでいましたが、大平課長は同時期に七十年以上の歴史を持つ老舗・福岡玉屋が閉店した事に「世は移ろい変わりすすんでいく。残念だが、仕方がないことかもしれないな…」と一抹の寂しさを感じ、新しい建物ばかりと思いきや何十年も続いている名店がまだぽつぽつと残っているのを「変わることも大事だし、変わらずに残っていくこともまた…」という感慨を抱いて眺めていました。
 残念ながら、田中君は今一つ大平課長の持つ複雑な心境が分からず「何だか今日の大平課長、感傷的ですね…。定年が近いから…ですかね?」とポカーン状態でしたが、遠くも近くもない位置から変わりゆく博多の街を「今後も変わらず残る建物は、神社くらいかな?」と諦めを持って見てきた当管理人は、大平課長の在りし日を怒りも悲しみもなく淡々と水のように懐古する姿は、胸に迫るものがありました。
 ただ、大平課長は「人は新しい店、何かイベントをやってる店にすぐ飛びつく」「近所のコンビニに行けば新発売、新商品と銘打って大して変わり映えのしない物を売ってる」とおっしゃっていましたが、個人的に同じ日々の繰り返しだと身近で簡単に手に入る「おっ、何かやってる。気になるな~、行ってみよう!」「また新しい味を出したんだ、頑張ってるな~」という一種の張りと言いますか、刺激みたいなものはありがたいので、そこまで責められると切ないな~と苦笑しました;(←確かに数年前まではあまり珍しくない物も「新商品」とされる事が多かったですし、今も決してない訳ではないのですが、最近はメーカーの方も力を入れて柔軟な発想で面白い物をぼちぼち出されている印象がありますので、長い目で見て頂けたらと思います)。
定年退職直前、大平課長は少し感傷気味になってあちこちの馴染みのお店へ通います
 その夜、大平課長は馴染みのお店で飲んでから遅くに帰宅するのですが、変わっているようで変わらない、ただ一つの確かな存在を見つけます。
 それは、大平課長の妻・幸子さん。
 新婚当初は一滴も飲めない大人しいお嬢さんだった幸子さんですが、妻として母として過ごしていく内、時には一人で晩酌を楽しみつつ夫が帰ってくるのを心待ちにするしっかりした女性へと成長しており、思いがけない発見に大平課長は喜んでいました(←一人の時間を余裕を持って楽しめるようになれたという事は、それだけ互いを信頼し合えるようになれたという事ですので、喜ばしい変化だと思います)。
 けれども、一番肝心な大平課長への愛情はかわらないままで、「お前俺が定年したら…どうする?」と聞かれても、「別に…何も変わらないわ。あなたはあなたなんだから――これからも楽しくやっていきましょう」と揺るがず答えており、大平課長をほっとさせていました。
 定年間近にこんなセリフを言われるという事は、どちらも納得できる形で二人三脚が成功していた何よりの証拠ですので、静かながらも感動的なシーンです。
大平課長が定年退職しても、何も変わることはないと語っていた奥さん。 
 おかげでお二人は定年後の生活について話が盛り上がり、このまま寝てしまうのは勿体ないといういい雰囲気になれた為、何かつまみながら一杯飲む事になります。
 その際、幸子さんが大胆な手順で作り上げたのが、この“スナックえんどうと豚肉の炒めもの”です!
 作り方はそこそこ簡単で、豚バラ肉の塊を大きくブツ切りにしたものをお鍋でこんがり焼いてからお水・醤油・砂糖・お酢を入れて煮込み、そこへキャベツを加えて煮えたら一旦キャベツだけお皿へ取り出し、煮詰めてからスナックえんどうを投入してさっと火を通して、キャベツの上へ汁ごと盛り付けたら出来上がりです。
 ポイントは三つあり、一つ目は豚バラ肉をよく焼いて脂分を落としたらその脂を全て捨てる事(←煮物には使わないという意味で、もちろん捨てずともラードとして別の料理に転用可能です)、二つ目はキャベツもスナックえんどうも一切切らずに丸ごと使う事、三つめはスナックえんどうは火を通し過ぎない事です。
 時にはこってり過ぎる豚バラ肉の脂を捨てる事により、豚肉特有の濃厚な旨味を活かしつつ野菜の爽やかな味や食感を堪能できるようにした炒め物だそうで、これはお酒が進みそう…とそそられたのを覚えています。
 とはいえ、おっとりした幸子さんが考え出したとは信じられない程豪快な手順なのが初見時にはすごく意外で、事実大平課長も「お前、意外と思い切った料理をするんだねー」と驚いていましたが、幸子さんは「そうよ、私は結構思い切った人間よ」「もう昔の大人しいお嬢さんじゃありませんからね」と茶目っ気たっぷりに答えており、人は見た目では分からないものだな~と微笑ましく感じました。
 当管理人自身、「あんこさんって真面目で大人しそうだな~」とよく言われるものの、少し経った後に「あんこさんって意外と行動的だね~」と言われる事も時々あり、その都度ちょっぴり得意気になりますので(←まあ、「というか大雑把だね」「鈍いね」「むしろ何も考えてないっぽい」とやんわり指摘される機会の方が圧倒的に多いのですがorz)、幸子さんが意外な一面を見せられて誇らしげになる気持ちは分かる気がしました。
新婚当初は大人しいお嬢さんだった奥さんは、いつの間にか大胆な性格になってました
 その後、“スナックえんどうと豚肉の炒めもの”で日本酒をあっという間に飲みきった大平課長は、「こんなうまいつまみがあると、ますます酒が進むなー」と次第に乗ってきて、最終的にはとっておきのウイスキーまであけて幸子さん共々遅くまで飲んでいました(←お酒だけだとあまり飲み過ぎるという事はありませんが、いいおつまみがあると倍以上杯を重ねてしまうのは当管理人も同じですので、激しく共感;)。
 案の定、飲み過ぎてしまったお二人は翌朝二日酔いになるのですが、昨日の幸せな余韻が未だ残っていた幸子さんはこれ幸いとズル休みをすすめ、普段は真面目一筋な大平課長も興に乗って「そうだな…勤続三十云年、初めてズル休みしてみるか」「お前が元気だと嬉しいよ」とその気になり、二日酔いがマシになってから久々に幸子さんと散歩をして過ごしていました。
 相変わらずラブラブなご様子で、こちらまで熱くなってきたエピソードでした。
ご夫婦そろって二日酔いになり、顔を見合わせて苦笑いしていました;
 近頃、スナックえんどうがお店で売られるようになってきましたので、これをいい機会だと思い再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピが載っていますし、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、豚肉の調理。豚バラ肉の塊を大きめの一口サイズへとブツ切りにし、油を多めにひいておいた厚めのお鍋へ脂身を下にしながら並べ、中火で全面をしっかり焼きます(←お肉が柔らかくて立たない場合は、なるべく脂が多い方を下にする&お箸で一個一個順番にお肉を強引に立たせ、脂身を焼く時間を長めにするよう調整する事を意識しながら火を入れます)。
 この時、どの面にもまんべんなく火が通るよう、こまめにひっくり返した方がいいです。
スナックえんどうと豚肉の炒めもの1
スナックえんどうと豚肉の炒めもの2
スナックえんどうと豚肉の炒めもの3
 豚肉に火が通りきったら油を取り除き(←これはラードとして再利用できますので、取って置いて後々他の料理に使う事をおすすめします)、洗わずそのまま豚肉を戻し入れたら水、砂糖、醤油、お酢を加え、約二十分煮込みます。
 これで、豚肉単体での調理は終了です。
 ※焦げる直前まで火を通して余分な油を取ると、かえって油の旨味が濃縮されて美味になりますので、惜しまずガンガン油を出す事をお勧めします。
スナックえんどうと豚肉の炒めもの4
スナックえんどうと豚肉の炒めもの5
スナックえんどうと豚肉の炒めもの6
 次は、仕上げの煮込み作業。
 引き続き中火にかけている先程のお鍋へ、キャベツの葉を切らずにそのままドサッと大胆に重ねて煮ます(←最初は鍋から出る蒸気をふさぐようにしてキャベツを乗せ、段々しんなりしてきたら破かないよう気をつけながら煮汁に浸します)。
 キャベツに火が通ってきてくったりし、少し歯ごたえが残っている状態にまで煮えたら一枚一枚取り出して、器へ飾ります。
スナックえんどうと豚肉の炒めもの7
スナックえんどうと豚肉の炒めもの8
スナックえんどうと豚肉の炒めもの9
 煮汁が若干減るまでコトコト煮詰めたら、流水で汚れを落として筋を取っておいたスナックえんどうを上に乗せ、くっきり色よくなるまで煮ます。
 ※スナックえんどうは一分経つか経たないかですぐ煮えますので、注意深く火の通り加減を観察しておいた方がいいです。
スナックえんどうと豚肉の炒めもの10
スナックえんどうと豚肉の炒めもの12スナックえんどうと豚肉の炒めもの11
 スナックえんどうが彩りよく煮上がったらすぐに火からおろし、さっきのキャベツが乗っているお皿の上へ具を全て豪快に盛り付け、最後に煮汁を少しかければ“スナックえんどうと豚肉の炒めもの”の完成です!
スナックえんどうと豚肉の炒めもの13
 色濃く煮上がった豚肉と、鮮やかな緑色のスナックえんどうの対比が美しく、食欲がそそられます。
 炒め物と言うよりはどちらかというと煮物風の仕上がりでしたが、しっかりした味付けですのでむしろ炒め物以上に濃厚そうな味が予想され、思わず喉が鳴りました。
 これまでスナックえんどうは茹でてマヨネーズをつけて食べるくらいでしたので、煮物だと一体どんな味になるのか、味が楽しみです!
スナックえんどうと豚肉の炒めもの14
スナックえんどうと豚肉の炒めもの15
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきまーす!
スナックえんどうと豚肉の炒めもの16


 さて、味はと言いますと…野菜と肉の食感の対比が見事で美味し!ボリューム満点なのにいくらでも入る軽さが特徴的です!
 噛むごとに実が「ザクザクッ」「シャキッ」「バリバリ」と小気味よく砕けるのが歯に嬉しい感じで、瑞々しくて甘い汁気がふき出すスナップエンドウの爽やかさな味わいが、ガツンとくる豚バラ肉の濃厚な脂分をほんのり和らげているのがバランスがよくてナイスでした。
 お酢を加えたおかげで肉に柔らかな弾力がついてジューシーになり、脂がまるで角煮っぽいとろけるような舌触りになっているのがよかったです。
 お肉の味付けに砂糖と醤油をたっぷり使うと、パンチの効いた旨さになる代わりに後味が大抵ズシッと重くなるのが難点なんですが、これはお酢が後々かすかに効いて清々しいさっぱり感をプラスしている為病み付きになりました←例えるとするなら、鶏の甘酸っぱ煮の酸味をぐっと控えた味に近く、照り焼きのタレにも似ています)。
 豚肉特有のこってりした旨味が溶け込んだ、甘辛酸っぱい煮汁を吸い込んだキャベツのしんなりジャクッとした歯応えも堪えられません。
 最初は「キャベツを切らずに煮たら食べにくそう」と不安でしたが、クタクタなようで十分張りのある葉を引き千切る時のワイルドな快感や、濃い美味しさの豚肉をレタス巻きみたいにすっぽり包んでマイルドに食べられるようになっているのがよく、感心しました。


 この煮汁は、実はごま油を抜いた酸っぱくない冷やし中華のタレといえなくもない味ですので、中華麺を絡めてみてもなかなか美味でした。
 もちろんご飯にかけてもさっぱりして食が進みましたので、いろんな方にお勧めしたいレシピです。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.03.26 Wed 22:10  |  久しぶりにきました。

ひさしぶりにきました。
スナックエンドウと豚肉の炒め物、いいですねぇ
丼にしてもおいしそうです。
クッキングパパといえば、去年「サラメシ(NHKの番組)」で
取り上げられてました。
「ホットプレートでホイル焼きの回」ができるまでを密着取材していのですが、クッキングパパの料理は「写真をトレースするのではなくアシさんが全部写真を見て描いていた。」ということでしょうか。
あれには驚いたなぁ。
最近読んだ料理漫画では
Futa先生の「3人分クッキング」
内容は世にも珍しい「包丁を殆ど使わない」料理漫画。(全12話中1回しか包丁を使わなかったという。)タイトルが「3人分」となっているのは
設定が女三人暮らしのルームシェアだからなのです。
珍しいついでにこの漫画「原価計算」も書かれています。

雨隠ギド先生「甘々と稲妻」
こんなタイトルですがれっきとした料理漫画です。
妻を亡くし小さい娘がいる料理のできない高校教師と料理研究家の母を持つが幼い頃包丁で怪我をしたトラウマで包丁が持てず料理のできない教え子の女子高生が「あーでもない、こーでもない」と料理をつくる
漫画です。
どちらもおもしろいですでは。


  • #7G3akKzs
  • 波多野鵡鯨
  • URL
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2014.03.26 Wed 22:16  |  いーけーねー

料理漫画もう1作忘れてました。
現在発売中の別冊漫画ゴラクでラズウェル先生の連載が始まりました。その名も「課長レシピ」主役は宗達の上司の課長さんです。
第1話は課長が「青柳と分葱のぬた」づくりに挑戦しています。
では。

  • #7G3akKzs
  • 波多野鵡鯨
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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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