『なんちゃって駅弁』の“小倉のかしわめし”を再現!

 先日、独身OLのすべてという作品をネット上で拝見したのですが、独身OLあるあるネタ・適度に効いている毒・各所に散りばめられたJPOPや漫画(特にジョジョ)のオマージュシーンで久々に涙が出るほど笑い、迷わず一巻を購入しました。
 単なる愚痴シーンだけで終わらず、ちょっとバイオレンスでマニアックなギャグや、様々なネタをモチーフとした痛快なギャグを挟み込んで爽快感をプラスしている為、読後がじめっとしないのがいいです。
 全体的にかわいい絵柄なんですが、その中で最もファンシーに描かれているノブ子さんが「究極の生命体(アルティメット・シイング)」という矛盾っぷりが面白く、目が離せません。
 どこにでもいそうで決してどこにもいないアラサーOL三人組の奇妙な友情(?)が見たい方にはおすすめです。

 どうも、タマ子さんと同じく長期休暇中に『金田一少年の事件簿』第一期全27巻を読破した事がある管理人・あんこです(←ちなみにそのシーンを注意深く観察した結果、タマ子さんの手元にある単行本は18巻19巻だと判明しました)。


 本日再現する漫画料理は、『なんちゃって駅弁』にて宮本さんがある社長さんに食べてもらいたいと思って作った“小倉のかしわめし”です!
小倉のかしわめし図
 宮本さんが丸亀商事に入社して数か月が経過した頃、社長の亀さんから直々に入社案内のラフを作るようにと言われて会社の特徴をまとめようとするのですが、入って日がまだ浅いせいかうまく文章にまとめる事が出来ず、頭を悩ませることになります。
 一度、困り果てた宮本さんは太田先輩に「何かいいアイディアないですか~?」と頼ろうとするのですが、「それがいけないの。あなたこの数か月ここで何をしていたの?何時間かかってもいいから、ちゃんと自分で考えなさい」と正論で説得されてしまい、あえなく撃沈していました;。
 一見厳しいようですが、始めの内は多少きつくとも仕事を頭にも身体にもガンガン叩き込んで鍛えた方が確実に力がつきますし、何より仕事のペースをつかんで効率化できるようになると自分の為になりますので、太田先輩の言う事は至極もっともだと感じました(←その昔、パナソニックの創業者である松下幸之助氏「先憂後楽」という言葉を経営者に必要な理念として話された事は有名ですが、これは経営者だけでなく別の意味で従業員にもあてはめられる言葉だと思います。人から言われるよりも一歩二歩先んじて動けば、周囲は勿論自分自身に大きくプラスすると考えています)。
 そんなある日、亀さんの元へ北九州の老舗菓子メーカー・「つる平」の社長が商談で訪れるのですが、その時お土産で小倉日記を頂いた宮本さんは、つかの間故郷の小倉を懐かしむと同時に、ある思い出がよみがえります。
 宮本さんがまだ幼かった頃、当時お母さんも働いていた事情があって土曜日はよくお婆ちゃんの家に預けられていたみたいなんですが、その時近所にかしわめしのお弁当を作る工場があったこともあり、現地人としては珍しく現地の有名駅弁であるかしわめしを何度も食べていたのだそうで、一旦思い出した途端「社長に食べてもらいたい!」という気持ちが抑えられなくなり、すぐ森口さんに明日のなんちゃって駅弁をかしわめしにしてらもうようお願いしに行っていました。
 亀さんは駅弁好きですので、昔を思い出す前の宮本さんが「食べませんよ、地元の駅弁なんて!」というのにイマイチ納得がいっていない様子でしたが、当管理人自身福岡の駅弁は「いつでも食べられるし、そもそも食べる機会がないし…」とかしわめし以外はほぼ食べた事がありませんし、それどころか地元の観光地すら「気が向いたら気軽に行けるだろうし…(←そのくせ、時間が出来たら県外の方が足が向くという矛盾;)」とほとんど訪れませんので、宮本さんの言う事はかなり共感しました;。
小さい頃、お婆ちゃんが自分の為に買ってきてくれていたかしわめしの思い出が読みがります
 どちらかと言うと、普段は森口さんが提案するのを「ふ~ん」「え、そんな駅弁あったんだ」という感じで受動的に駅弁再現に協力していた宮本さんでしたが、この時初めて能動的に「作りたい。そして食べて欲しい」と主張したのに森口さんは嬉しくなったらしく、善は急げとばかりにその日の夜に一緒に仕込みをしていました。
 この時、宮本さんが書いた絵と情報を頼りに森口さん主導で作られたのが、この“小倉のかしわめし”です!
 実を言いますと、一口にかしわめしと言っても実は作っているメーカーは結構多く、未だにホームで立ち売りしている折尾駅のかしわめし(今年の一月、所用で折尾駅に立ち寄った際「か~しわ!」という呼び声があったのにはびっくりしました;)、日本一早く販売した鳥栖駅のかしわめし、鶏肉を刻まないタイプの珍しい都城駅のかしわめしなど色々あるのですが、どうやら宮本さんの思い出のかしわめしは歴史も古い北九州駅弁当のかしわめしだったらしく、作中ではその駅弁に似せるべく奮闘していました。
 鶏スープの炊き込みご飯の上に、甘辛く煮た鶏肉・錦糸卵・海苔を斜めの線を描くように載せているだけのお弁当なんですが、単純なだけに鶏の出汁の奥深さを堪能する事が出来る一品で、当管理人自身何度か食したことがあります。
 作り方意外とお手軽で、水・鶏手羽先・鶏手羽中・昆布・干ししいたけで取った出汁と調味料でご飯を炊いてお弁当に薄く敷き詰め、その上へ細長く大雑把にきざんだ鶏もも肉と出汁をとった後に骨からはがしてミンチにした鶏手羽先と鶏手羽中の肉を砂糖・日本酒・みりん・醤油で甘辛く煮つけた物、錦糸卵、刻み海苔を乗せ、仕上げに紅しょうがを中央にちょんと飾ったら出来上がりです。
 本当は、炊き込みご飯用の鶏スープを作るには鶏ガラや沢山の香辛料を使って六時間以上(!?)煮込まなければならなかったそうなのですが、今回みたいに作り置きせずに少しだけすぐに使う鶏スープなら上記の材料を二十分そこそこ煮込んで作る即席スープで十分だとの事で、作る側としてはほっと胸を撫で下ろしたものです;。
 森口さん曰く、「このそいだような細かい肉と、手で刻んだ大きな肉が混在するのがこの駅弁の特徴なんだ」だそうで、正直そういった事を全く意識せず「おいし~なー♪」とのん気にパクパク食べていた当管理人は大いに反省しましたorz(←まるで使い古されたJ-POPの歌詞みたいですが、あまりに近すぎてその重要性に全く気が付きませんでした;)。
かしわめしの肉は、そぼろっぽいのと少し大きい切り身が混ざっているのが特徴です。
 その後、宮本さんは亀さんと、東京のホテルに止まっていた「つる平」の社長さんのお二人にこの“小倉のかしわめし”を届けるのですが、その際宮本さんは亀さんからどこのかしわめしだと聞かれて答えていく内、「昨日昔を思い出したら、急に懐かしくなっちゃって…是非社長にも私の中の<かしわめし>をお届けしたくなったんです」と正直な心の内を打ち明けて、亀さんから微笑されていました。
 どうやら、亀さんは太田さんからこっそり「宮本は社内案内作りに苦労しているようです」と報告を受けていたらしく、その言葉を聞いて「それじゃよ。君に頼んだ会社案内は」「うちの仕事も、それと同じという事だ。商品、企画、アイディア…これらを心を込めてクライアントに届けるのがワシらの仕事だ。君のこの<かしわめし>のようにな」とさりげなく仕事のヒントを与えており、宮本さんをハッとさせていました。
 誰かに何かを伝える…それも、文章だけで正確に表現する事の難しさは当管理人自身が常に直面している事態ですので、宮本さんの悩みと焦燥と苦しみはすごく分かります。
 度々、その難しさに「もう無理です!ギブアーップ…!と『賭博黙示録カイジ』の藤野さんばりに叫びたくなりますが(今もそうです…orz)、それと同時に、過去に胸へ染み入るような名文を残された幾人もの方々は才能だけに胡坐をかかず、努力と労苦を惜しまなかったからこそ書けたというのもまた事実であると思う為、誰の心にも響く名文レベルとまでは一生いかなくとも、いつかごく一部の方にでも僅かながら伝わる文章が書けられたら…という必死の思いで、恥を忍びながらも諦めず細々と書き続けている次第です。
かしわめしを作って届ける事により、思いがけず仕事に役立っていた宮本さん
 先日、機会があって久々にかしわめしの駅弁を食べられたため、再現を決意しました。
 幸い、作中には分量つきの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、特製スープと鶏出汁炊き込みご飯作り。大きめの鍋へ水、鶏手羽先、鶏手羽中、昆布、干ししいたけを投入して強火で煮たて、次から次へと大量に出てくるアクを丁寧に取り除きます(←手羽先の方は、肉が分厚い所に隠し包丁を入れておきます)。
 アクがほぼ出なくなったら中火にして煮込み、段々スープが澄んできたら弱めの中火に火力を切り替え、二十分以上コトコト煮込みます。
 水の量が当初の半分くらいになったらペーパータオルで漉し、冷めたら特製スープの出来上がりです。
小倉のかしわめし1
小倉のかしわめし2
小倉のかしわめし3
 このスープと、醤油、日本酒、砂糖、塩、生米を炊飯器にセットして少し時間を置き、そのまま普通に炊いたら鶏出汁炊き込みご飯は準備完了です。
 炊けたら、忘れずしゃもじでさっくりと切るように混ぜておきます。
小倉のかしわめし4
小倉のかしわめし5
小倉のかしわめし6
 次は、お肉の準備。
 スープをとった後に残った鶏手羽先と鶏手羽中の骨からお肉をはがし取り、フードプロセッサーで細かいミンチ状にします(←「大体細かくなったかな?」というくらいで機械を止めてOKです)。
 このミンチ肉と、包丁で小さく細長いそぎ切りにしておいた皮付き鶏もも肉をボウルに入れ(←宮本さんが言っている通りかなり切りにくくて泣けますので、よく研いだ包丁で根気強く切った方がいいです)、日本酒をふってなじませます。
小倉のかしわめし7
小倉のかしわめし8
小倉のかしわめし9
 このお肉を、砂糖、日本酒、みりん、醤油を沸騰させておいた小鍋へ加え、四本の菜箸でまんべんなくかき混ぜながら煮詰めていきます(←汁気が少し残るくらいがちょうどいい煮加減です)。
 煮えたら一旦お皿へ取り出し、人肌にまで冷ましたらお肉は用意万端です。
小倉のかしわめし10
小倉のかしわめし11
小倉のかしわめし12
 ここまできたら、いよいよ盛り付け作業。
 四角いお弁当箱に鶏出汁炊き込みご飯を薄く平たくよそい、三か所に煮た鶏肉、刻み海苔、錦糸卵を飾り付けます(お箸を二か所に橋渡ししてから盛ると綺麗に盛れます)。
 この時、なるべくまっすぐになるよう慎重に仕上げた方が美しい出来栄えになります。
小倉のかしわめし13
小倉のかしわめし14
小倉のかしわめし15
 具を全部盛り終えたらお箸をどけ、最後に中央へ汁気を切った紅しょうがをちょこんと乗せれば“小倉のかしわめし”の完成です!
小倉のかしわめし16
 残念ながら、モデルとなった「小倉のかしわめし」は掛け紙も中身もリニューアルされてビジュアルがガラッと変わってしまっていた為、本物となんちゃって駅弁を並べても別物にしか見えないという悲しい事態になってしまいましたが;、ご飯の色合いだけは酷似していました。
 黄金の鶏スープで炊かれてそそる香りに仕上がった薄茶色のご飯に、薄焼き卵の黄色、海苔の黒、紅しょうがの赤が映えています。
 ちょっとお肉の大きさに誤差がでていますが、果たして味の方はどうなのか、食べて確かめてみようと思います!
小倉のかしわめし19
小倉のかしわめし17
 それでは、ご飯とお肉を一緒にお箸でつかんでいざ実食!
 いただきま~すっ!
小倉のかしわめし18


 さて、味はと言いますと…多少誤差はあるものの、なかなか似ていて旨し!鶏の風味をギュッと封じ込めたご飯が秀逸です!
 煮た鶏肉は、薄い色合いであっさり上品な味付けの本物より、色も味も大分濃いめでしっかり煮含められた感じの甘辛醤油味でしたが、これはこれでご飯が進むおかずになっていて美味でした。
 骨の回りについているお肉や鶏皮も使用したせいか、正肉だけ使った鶏そぼろよりも鶏の旨さが濃厚でコクがあり、食べ進めていくごとにどんどん味が膨らんでいくのがたまらなかったです←改めて、骨から出るエキスや鶏皮の脂分は強烈な旨味成分なのだと再確認しました)。
 本物同様、細かいフレーク状になってしっとりホロホロした優しい口当たりのそぼろ部分と、やや大きめで鶏もも肉ならではの張りのある噛み応えが特徴的なそぎ肉部分にちゃんと分かれ、バラバラな食感なのが返って飽きを防いでいてよかったです。
 一方ご飯は、鶏の出汁を隅々まで吸ってシンプルながらも味わい深い出来栄えになっており、噛めば噛む程鶏の滋味が淡くもはっきりと広がっていくのにうっとりしました。
 福岡名物のかしわめしをさらに品よく、丁寧に仕上げたイメージで、鶏好きには堪えられない一品です。
 ふんわりした口当たりの錦糸卵や、磯の風味が強い海苔によって目先が変わったり、舌にキュッとくる酸味の紅しょうがが味を引き締めるのがナイスでした。


 正直、大抵の駅弁は「冷めてても美味しいけど、温め直した方がもっと美味しいだろうな…」と感じやすいのですが、これはむしろ冷めた方が美味ですので、お弁当に最適な一品です。
 お肉はともかく、ご飯は本物そのものと言っていい程そっくりに出来上がりましたので、今後も気が向いたら作ろうと思った再現でした。

●出典)『なんちゃって駅弁』 原作:守靖ヒロヤ 作画:上農ヒロ昭/実業之日本社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.04.24 Thu 02:58  |  

これは作り方を変えれば食戟のソーマの化けるふりかけごはんにもなりますね。
食戟のソーマも料理が出揃ってきたのでネタがなければお願いします。

2014.04.25 Fri 09:47  |  

りょうりつくるのうめーー。
料理がきれいですね。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
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 …『夢色パティシエール』


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※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
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