『食べる門には福来る』の“おろしツナバーグ”を再現!

 先日、コメント欄にてさくもさんから頂いたコメントを拝見した時、「そういえば昔、自分にもそういうお店があったな…」と遠い目になりました(さくもさん、そして今まで書き込んで下さった皆さま、いつもコメントを下さり誠にありがとうございます。毎回感謝しつつ拝見しては、次の更新への元気を頂いております)。
 そこは、あるショッピングモールに出来たばかりの小さなビュッフェ店だったんですが、一人1000円だというのに全て手作り料理という気前の良さで、中でもトマトとチーズたっぷりのラザニア、珍しく蜂蜜を使った三種のチーズピザ、パティシエが毎朝厨房で作っているフルーツタルトは絶品で、一時期は毎週末に通う程ハマっていたものです…。
 けれども、さくもさんの思い出のパン屋さんと同じくいきなり閉店してしまい、「何でもっと通わなかった…」という悔いは年々増していっていますorz。
 当管理人もあの日以来、あれほど美味しいラザニアもピザもタルトもお目にかかれておらず、非常に共感いたしましたので、さくもさんの想い出の味のスコーン作りに少しでもお力になれたのでしたら幸いです。

 どうも、前回の長い前置きに反省して短くしようとしたものの結局また長くなってしまい、「ダメだこりゃ」と長さん風に自分に突っ込んだ管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『食べる門には福来る』にてある青年が実家から送られた大根で作った“おろしツナバーグ”です!
おろしツナバーグ図
 今回ご紹介するエピソードは、将来一流の板前になる事を夢見て田舎から上京し、日々下働きとして頑張っている青年・新一さんのお話。
 新一さんは日本料理店<花熊>にて何年も洗い場で皿洗いばかり任されているものの、いつか板場で料理を作る日を夢見て精進しているのですが、最近同時期に弟子入りしたライバル・安雄さんが助手として包丁を握るようになったのを目の当たりにして以来、気が気ではありません。
 ある時など、つい数日前までは普通に話していたはずなのに、板場で安雄さんから「新一!刺身の皿がもうないぞ!」と呼び捨てされるようにまで立場に差が出来てしまい、内心悔しがっていました。
 恐らく、安雄さんは「認められた!」と舞い上がるあまりつい気が大きくなってしまったのかもしれませんが(←出来がいいと期待をかけられてプレッシャーがすごいみたいですので、そのストレスかもと思ったり)、ただでさえ余裕のない新一さんにとってはいいとばっちりで堪えただろうな~と、読んでて気の毒になります;。
 それにしても、職場や職種こそ違えど、出来のいい同期に抜かれて焦ったり落ち込んだりする気持ちはどこの人も同じなんだな~と思うと、つい新一さんに肩入れしたくなりました;。
一緒に入門した同期の方が先に包丁を任され、心中穏やかではありません
 そんなある日の夜、新一さんが職場の不満で持病の神経性胃炎が悪化して苦しんでいると宅急便が来て、実家のお母さんからの荷物を手渡されます。
 中を開けてみると、そこには大量の大根とお母さんからのお手紙が入っており、新一さんは驚きつつも封を切って読み出します(←どうやら新一さんは以前、お母さんへ近況報告のお手紙を出してたみたいで、そのお返事みたいでした)。
 お手紙は「新一へ。手紙読みました。毎日ご苦労さま。お前は胃が弱いので、ストレスで胃炎になっていないか心配しています」という、新一さんの身を案じる出だしから始まり、中盤は「ウチの畑で作った大根を送ったので、大根おろしにして食べて下さい。大根おろしは消化を助け、胃にとってもよい食べ物です」「母ちゃんの考えた大根おろし料理のレシピと材料を入れておきます」という細やかな気遣いが書かれていて、思わず「母ちゃん…つД`)」と読む者の胸を打たずにはいられない温かな文に仕上がっており、新一さんもさっきの胃痛はどこへやらすぐに元気が出ていました;。
 実家暮らしの当管理人ですら、弱っている時に身内からもらう励ましと差し入れは本当に身に染みましたので、一人暮らしで周囲に知り合いがいない新一さんにとってはさぞ心強かったんだろうな~と感じます。
胃を痛くしていたある日、お母さんから手紙と大根、そしてレシピが届きます
 その後、新一さんがお母さんのレシピを見ながら作った料理の一つが、この“おろしツナバーグ”です!
 作り方はかなり簡単で、よく絞った大根おろし・ツナフレーク・卵黄・パン粉を混ぜてしっかりこね、ラップで丸く成形して塩こしょうをふりながら両面を焼いたら、もう出来上がりです。
 「大根おろしがハンバーグ風に…?水気でびちゃびちゃになるのでは…」とか、「水気がほぼなくなるまで絞った大根おろしって、あまり美味しくないのでは…」とか、初見時は色々ツッコミ所がありましたが、ラズウェル細木先生はどんなトンデモレシピでも、いざ作ってみたら「え、美味しい!」と嬉しい驚きを与えてくれる方ですので一概に否定しきれず、正直これほど頭が混乱したレシピはありません(←他の二つのレシピは普通においしそうな料理だった為、余計に;)。
 世の中には卵黄と大根おろしを混ぜて作る黄身おろしもありますので、着想はそこからかな?と思えなくもないですが、パン粉を入れて焼くとなるともはや想像不可能で、改めてラズウェル細木先生の発想力の豊かさに脱帽します;。

 ちなみに、お手紙のラストには「毎日皿洗いでも明るい前向きな気持ちで頑張ってください。そうれすれば、きっと道は開けるからね 母より」という、思いやりのこもった言葉が書き綴られていたようで、新一さんは“おろしツナバーグ”を食べながら「うまいよ母ちゃんこれも…」「ありがとう母ちゃ~ん」と涙を流していました。
 母のありがたみを実感させられるシーンです。
お母さんの温かな言葉と美味しい大根に、やる気がよみがえってくる新一さん
 …と、ここまでだったら大変いい話で終わりだったんですが、残念ながらずっこけたくなるオチが最後に付け足されています。
 実を言いますとその翌日、新一さんは師匠の板前さんから「長い間ごくろーだったな。今日で洗い場は卒業だ」と言われ、最初は大喜びするのですが、続けて「おまえは明日から大根おろし係だ」「焼き魚、和風ハンバーグ、みぞれ鍋に大根おろしは欠かせないものだ。しっかりやってくれい!」と命令されてしまい、思わず呆然;。
 皿洗い以上に腕を酷使する大根をおろす作業によって新一さんは再び胃を痛くし、お母さんにお礼を言いつつも「大根おろしのせいでまたストレスが…」とお手紙で嘆く…という場面で幕を下ろしていましたorz。
 胃を癒すはずの大根おろしが原因で胃を痛めてしまうとは、何とも皮肉なラストだな~と苦笑しました;。
皿洗い係から大根おろし係に昇格(?)した新一さんは、また胃を痛くします…;
 長い間、作るべきかスルーすべきか迷っていましたが、このブログは元々そういう「どんな味か全く想像できない漫画料理」を作るのが目的だったことを思い出し、勇気を出して作ってみる事にしました。
 作中には大体の作り方が図入りで書かれていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。大根おろしをザルにあけて水気をよく切り、余分な汁気が残らぬよう手でもきゅっと絞っておきます(←大根の汁は今回の料理には使いませんが、体にいいので全部飲みました;)。
 ほんの少し汁が残っているくらいにまで絞ったらボウルへ入れ、続けてツナフレーク、卵黄、パン粉も投入し、よくこね合わせます。
 全体的にまとまってきたら、タネは出来上がりです。
 ※もしあまりにもパサパサになった場合は、全卵使用でもいいと思います。
おろしツナバーグ1
おろしツナバーグ2
おろしツナバーグ3
 次は、焼き作業。
 先程のタネをラップでくるんで小判型に成形し、油をひいて中火に熱したフライパンへ並べて焼き、上から塩とこしょうをふって味付けします。
 片面が焼けたらひっくり返し、もう片面もこんがり焼きます。
おろしツナバーグ4
おろしツナバーグ5
おろしツナバーグ6
 両面が焼けたら火からおろしてレタスやトマトなどを飾ったお皿へ盛り付け、仕上げに上から醤油をジュッとかければ“おろしツナバーグ”の完成です!
おろしツナバーグ7
 パッと見は「パン粉をつけずに焼いたコロッケのタネ」という感じですが、香りはツナの匂いが強い為、すぐに違うと分かります;。
 フライパンで火を通すと、大抵の物は「じゅーっ!」とか「ジャワワ~」とか「バチバチっ」と反応を返してくれるものですが、こちらは軽く焼ける音が鳴る以外は全く反応せず、これに比べたらいりこを乾煎りしている方がまだ張り合いがあるくらいでした;。
 どんな味がするのか全く分からない、例えるとするなら「未知の物体X」ともいうべきハンバーグもどきですが、勇気を出して食べてみようと思います!
おろしツナバーグ8
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いただきまーす。
おろしツナバーグ9


 さて、味はと言いますと…はっきり言ってあまり美味しくありませんが、決して不味くもないという反応に困るお味orz。「新一さんのお母さん、試作しなかったのかな…」と半ば疑いたくなる味わいです。
 絞った大根おろし特有のもっさりキシキシした歯応えにやや閉口しますが、つなぎで入っているパン粉がふんわりクッション代わりになり、思ったよりも変な噛み心地になっておらずほっとしました。
 ただ、硬いとまではいかなくても繊維たっぷりでパサパサしている為、結構噛むのに苦労します;。
 大根おろしの甘苦い味はほとんどせず、優しい風味だけが残っている感じで、何だか不思議な気持ちになりました。
 卵黄のまろやかなコク、ツナの出汁が効いた缶汁の油分、ツナ本体の強い旨味が危うくバラバラになりそうなこのハンバーグを辛うじて一つにまとめています。
 正直、これはツナが入っているからこそ何とか食べられる味になっていると言っても過言ではないのですが、悲しい事にツナの美味さをもってしてもイマイチさは抜けきれていないのが辛い所で、何故か「その場しのぎの延命処置」という単語が思い浮かびました←完全に不味かったらネタにもなり諦めがつくものの、微妙に食べられるのでネタにも出来ず「ひょっとして自分の腕のせい?」「あれをこうしたら美味しくなるんじゃ…」と諦めがつかない思いをこう表現してみました;)。


 もしかしたら改良すれば化けるのかもしれませんが、それでもあの何とも言えない歯ざわりは残りそうですので、残念ながら再挑戦はしないと思います;(はっきり言って、夜神さんが光臨する三歩前でした)。
 これまでラズウェル細木先生のレシピで外れた事は一度もなかった為、いろんな意味でショックを受けた再現でしたorz。

●出典)『食べる門には福来る』 ラズウェル細木/ぶんか社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.06.10 Tue 14:17  |  珍しいですね

初めてコメントさせていただきます、
いつも楽しく拝見しています。
わたしはあんこさんと同世代の女なのですが、
料理上手でいつも凄いなぁと関心しきりです。
このブログきっかけで読み始めたマンガもありますし
試した再現料理もあります!
(先日はうっかりオニオンアドボを焦がしました)

珍しいですね、(あまり)美味しくない再現料理…
これ、パン粉を片栗粉にして、大根餅にしたほうが
素直に美味しくなりそうな気がします。
まあ、それだと意外性も無いですが・・・。笑

これからも楽しみにしてます!

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
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