『ホクサイと飯』の“土鍋カレーうどん”を再現!

 ドリカムが初のミリオンセラーを記録した名曲・『決戦は金曜日』は、「恋多き女の子が初めて本気になれた大好きな人に、金曜日告白しようとチャンスを伺っている歌」という解釈が一般的ですが、当管理人はどういう訳かずっと『金曜日の妻たちへ』のイメージとごっちゃになっており、つい最近まで「夫と不倫している職場の女が、私が旅行の予定を立てている今週の金曜日に来るらしい。だから、早めに切り上げて二人を玄関で待ってやる。ああ、当日が楽しみ!」という、殺伐としたストーリーの歌だと勝手に解釈していました;(両方とも直撃世代じゃなかった為、こんな現象が起きたのだと思います…orz)。
 歌詞をあまり聞かず、メロディーと雰囲気のみに浸ってぼんやり聞いてそのままにしたからこそこんな恥ずかしい事態になってしまったのだと思いますので、今後は歌詞もしっかり確認しながら聞こうと思います。

 どうも、小さい頃は童謡『紅葉』を歌う度、「照山 紅葉(てるやま もみじ)」という名の謎の美少女を空想していた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ホクサイと飯』にて主人公・山田ブンさんがある雨の日の朝食に食べた“土鍋カレーうどん”です!
土鍋カレーうどん図
 漫画『ホクサイと飯』とは、イマイチ売れない二十六歳の女性漫画家・山田ブンさんが、常に傍に置いて熱愛しているぬいぐるみのホクサイと共に、日々の<食>に対して全力で取り組んでいく日々を描いた、インドア系料理漫画です。
 大抵、自分一人だけのご飯を作る時は「出汁はインスタントでもいいか…」「なるべく手間をかけずちゃちゃっと…」という考えになりがちですが(←当管理人だけでしょうかorz)、ブンさんは一人暮らし、それも原稿提出四時間前という窮地の最中でも炊き立てご飯・豆腐とわかめの味噌汁・サバの一夜干し・玉子焼き・お新香・海苔の佃煮という究極の和定食をわざわざ作って食べるほど、自分の食べる物に対して妥協を許さない性格(←例えるとするなら、「お人好しで庶民的な、女版・海原雄山」だな~という印象;。ただ、所々のぞく熱いノリは、むしろ『吼えろペン』にちょっと似ている気がします)。
 食べる前の幸せそうな表情はもちろん、調理している時の嬉しそうな笑顔は見ているこちらまでつられてついニコニコしてしまう微笑ましさで、ふと昔誰かが言っていた「食べる事を楽しめる人は、生きる事を楽しめる人」という言葉を思い出しました。
 どうやらブンさんは、アシスタントさんを雇わず全て自分で書くタイプの漫画家さんらしく、毎日ほぼ一人で自炊していて外食もせず、迫る来る〆切や厳しい編集さんと戦っているのですが、そんな中唯一心の支えになっているのがおしゃべりするぬいぐるみ・ホクサイ。
 熱血で空想好きなブンさんが時々暴走しそうになったり、目的から脱線しそうになるのを冷静に突っ込んでくれる優秀な相方で、毎回いいコンビっぷりを読者に見せつけてくれます。
 ここだけの話、ホクサイは本当に意思を持って喋っている訳ではなく、心の片隅にいるもう一人のしっかり者なブンさんの別人格が正体なのかな?と思わなくもないのですが(←実際、それを示唆するシーンが三話の終わりにあります)、作中では公表されていませんので、無粋な推理はここまでにしようと思います。

 作者である鈴木小波先生は、珍しい事に『ドラゴンボール』の鳥山明先生と同じくスクリーントーンを一切使わない画風らしく、そのせいか黒と白のコントラストがきいた、まるで昔の映画を思わせるメリハリのある絵が特徴的なんですが、個人的にはスクリーントーンがあまりに多用された漫画は眼がチカチカする為、安心して読めました(何より、料理もちゃんとリアルかつ美味しそうに描けているのに感嘆!)。
 巻末に書かれていた「手間をかけたご飯は、少し美味しくなります。そして、手間をかけた時間はとても楽しくなります」という鈴木小波先生の信条そのままに、日々手を抜かずにご飯作りを全力投球して楽しむブンさんの姿には、共感と好感の両方を抱かされる為、読後感が非常に爽やかな作品です。
売れない漫画家・山田ブンさんと、ぬいぐるみのホクサイはいつも一緒です
 ちなみに、単行本の後ろには「インドア系ご馳走マンガ」と紹介文が書かれていますが、実を言いますとブンさんは家に閉じこもるどころか、外出しているシーンが結構多いです;(←おそらく、自炊ばかりしているので「インドア」と銘打たれたのだと予想しています;)。
 というのも、ブンさんは「歩きながら思案する。体を動かす事によって血の巡りがよくなり、脳が活発になる。集中力も増し、効率が超良い」「しかも街を歩き、買い物もついでにすませ、運動不足の解消にもなる、一石三鳥」「羞恥心さえ捨てされば、ウォーキングハイ ナイス アイディア」というマイルールゆえ、歩きながら漫画の筋書きを考えるのが日課になっているのだそうで、なるほど合理的だな~と感心しました。
 当管理人自身、ブンさん同様体を動かしている時にこそ「これだ!」という前置きや説明文がパッと閃いたりする為、これはかなり説得力のある案だと思います(←ただ、何故か買い物中よりも仕事中の方がよりアイディア遭遇率が高いので、外側では普通に仕事しつつも「今!今書きとめたいのにー!」と内心身悶えしています;)。

 なお、ブンさんが外出中に得たのは食料と構想のみではなく、謎の美人・末吉乙女さんと偶然知り合って仲良くなる事にも役立っています。
 普段会話する人間といえば、ホクサイと鬼編集さんくらいだったブンさんの世界に彩りと広がりを与え、時々悩むブンさんの力になったりもしていますので、そういう意味でも「書を捨てよ、町に出よう」精神は大事だな~と改めて感じました。
「インドア系ご馳走漫画」とご紹介されていましたが、実はブンさんは結構外に出歩いてます;ひょんなことで知り合った末吉乙女さん。ちなみに、左のブンさんとこのブンさんは同一人物です;
 今回ご紹介するのは、七話目に登場した“土鍋カレーうどん”!
 その日の前日、ブンさんは久々にサ○ーダイナーでアボカドタルタルバーガーを食べに行こうと計画を立てていたのですが、翌朝雨が降って外出が面倒になり、おじゃんになります。
 ブンさん曰く、自炊する際に必ず使用する食材は「野菜・タンパク質・炭水化物」の三つだそうなんですが、ここ数日はろくに外に出なかったせいもあり、家にある食材は袋麺や缶詰くらいという惨状で、どうしたものか悩むのですが、数日前から自宅で豆もやしを栽培していた事を思い出すやいなや、“土鍋カレーうどん”を作る事を決めます。
 作り方は簡単で、お湯を沸かした土鍋へポークランチョンミート(いわゆるスパムです)・玉ネギ・マ○ちゃんカレーうどんのスープの素・カレースパイスを入れて二十分煮込み、時間が経ったら麺を入れて七分、麺が茹であがる一分前に豆もやしを入れて軽く蒸すようにして火を通したら出来上がりです。

 カレーうどんの袋麺はいくつか種類がありますが、ブンさん一押しなのは1966年の発売以来五十年近くも日本で愛されてきた「和とアジアの奇跡の味」「NO マ○ちゃんカレーうどん、NO LIFE」「汁も最後の一滴までゴクゴク」マ○ちゃんカレーうどんだそうで、作中でブンさんはいつも五袋常備していると書かれており、よほど大好物なんだな~と思いました;。
 ホクサイが言うには、「洗い物が一つですむように土鍋」を選んだとあり、ここだけ見るととても物ぐさなように見えるんですが;、それでも市販のカレースパイスを追加して風味を強める・必ず二十分以上煮込んで具に味を染み込ませる・豆もやしは一分軽く蒸すだけでシャキシャキ感を残すなど、細やかなポイントがあちこちに散りばめられており、袋麺といえど食にこだわるブンさんの姿勢が垣間見えます。
 残念ながら、ブンさんはあるハプニングが元で自家製豆もやしを食べ損ねてしまうんですが、何と既に豆もやし腹になっていたブンさんは麺が茹で上がる約六分の間までに近所のお店へ豆もやしを買いに走り、時間内ギリギリに土鍋へ豆もやしを投入するという荒業に出ていました;。
 当管理人も食欲に関しては人並み以上という自負がありましたが、正直ブンさんには負けるな~と苦笑した回でした(^^;)。
マルちゃんのカレーうどんは、五十年以上も愛されてきたインスタント麺。ブンさんも常備してます。このカレーうどんは、自家製豆もやしがよく合うのだそうですが、残念ながらこの時は腐ってました;
 近所のスーパーで珍しく豆もやしが安く売られていましたので、再現を決意しました。
 早速、作中に載っていたレシピ通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下準備。中火にかけて徐々に沸騰してきた土鍋へ、薄くスライスした玉ネギと、やや大きめの短冊切りにしたポークランチョンミートを入れます(もちろん、傍らに用意しておくべき袋麺は旧式のマ○ちゃんカレーうどんです!)。
土鍋カレーうどん1
土鍋カレーうどん2
 そこへ、カレーうどんに付属しているスープの素と市販のカレー粉(ガラムマサラでも可)をすぐに投入して極弱火にし、約二十分煮込みます。
 ※これだけ時間をかけて煮ると具には十分カレー味が染みますが、きっちり密閉してから煮ますとより風味が凝縮されますので、ちゃんとフタをして煮る事をおすすめします。
土鍋カレーうどん3
土鍋カレーうどん4
 時間が経ったら袋に入っていたうどん麺を加えてフタをし、袋の裏面に明記されているよりも少し長い七分かけてゆっくり煮込みます。
 その際、六分経過した時点で、流水で洗った後にザルで水気をきっておいた豆もやしを手早く後乗せしてフタをし、軽く蒸す事をお忘れなく!
土鍋カレーうどん5
土鍋カレーうどん6
 豆もやしを入れて残りの一分が過ぎたら火からおろし、そのまま鍋敷きを敷いたテーブルの上へ急いで運べば“土鍋カレーうどん”の完成です!
土鍋カレーうどん7
 土鍋のふたを開けた途端、スパイシーなカレーの香りが湯気と共にブワッと溢れ、鼻腔と胃袋を激しく刺激します。
 試しに中をざっとひと混ぜしてみると、美しい透き通った乳白色の豆もやしとやわく茹で上がったうどんが魅惑的に仕上がっており、否応にも食欲が湧いてきます。
 直箸は楽々クリアできましたが、三~四人前はゆうに入りそうなでかい家族用土鍋を器代わりにして食べる事はちょっと躊躇された為、一旦別器によそいましたが、勢いだけは原作通りに食べてみようと思います!
土鍋カレーうどん8
土鍋カレーうどん9
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
土鍋カレーうどん10


 さて、味の感想ですが…五十年愛され続けた理由が分かる美味しさ!本当に、一滴残さずスープが飲めます!
 玉ネギを贅沢に丸一個分入れて煮たせいか、土鍋全体にしみじみと滋味深い甘さが溶けだしており、それがカレー粉をプラスしてもっとスパイシーで香り高くなったスープをぐっと奥行きのある仕上がりにしてインスタントっぽさを打ち消していました。
 作中でブンさんが言っていた通り、レトロなインスタント平打ち麺は硬めに茹でるよりもむしろ長めに茹でた方が生麺っぽいしなやかさとヤワヤワした噛み心地で旨さが倍増し、カレーの風味がさらに染みて美味になっててよかったです。
 ポークランチョンミートは、隅々まで熱を浸透させてじっくり煮た方が焼いた時よりも肉汁や脂の旨味が十分に引き出され、フワフワホロリと優しい口当たりに変身している印象で、甘辛いカレー味と抜群に合っていました。
 トロトロになった玉ネギを麺にねっとり絡ませて啜ると、スープ麺というより汁気たっぷりのカレー和え麺と例えたくなるような濃密な味わいが口に広がり、ほっと癒されるイメージで、調理次第でインスタント麺もここまで本格的になるんだな~と感心です。
 軽く蒸されて根はシャキシャキ、豆はコリコリに仕上がった豆もやしの張りのある食感が、柔らかい歯触りのカレーうどんの中で絶妙なアクセントになっており、最後までバクバク頂けました。


 豆もやしなしでも確かに作れなくはないですが、これはあった方が何十倍も美味しくなります。
 玉ネギだけではなく長ネギで作ってみてもまた違った風味と甘さになりそうですし、お餅を足してみてもいけそうですので、色々とバリエーションが広がるメニューだな~と思いました。

●出典)『ホクサイと飯』 鈴木小波/角川書店
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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2014.04.12 Sat 13:19  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #

2014.04.14 Mon 16:54  |  

久しぶりに読みに来ました。毎回本当に美味しそうですね。
信長のシェフってマンガもなかなか面白いのでおすすめです。再現よろしくお願いいたします。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
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