『クッキングパパ』の“バンブーグ”を再現!

 たけのこの皮をむいていると、植物というよりはまるで動物の皮をむいているような気になり、複雑な気持ちになる事があります。
 といいますのも、産毛が生えている所といい、植物の皮にしてはまるで獣皮のような手触りといい、表面を撫でていると動物の背を撫でているような気分になったりと、いちいち細かく胸が痛むからで、個人的にはあさりを熱湯に投入する時並に胃がギリギリする瞬間です(←結局食べるんですが;)。

 どうも、実家の影響でたけのこの煮物は甘辛味噌味が一番しっくりくる管理人・あんこです(←ご飯のおかずには勿論、お酒のつまみにもいいのでおすすめです)。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にてみゆきちゃんの友達・一樹君が荒岩係長の為に作った“バンブーグ”です!
バンブーグ図
 ある春の日、もうすぐ小学五年生になるみゆきちゃんとリナちゃんは、博多近郊にある山へたけのこ堀りをしに行きます。
 小さい頃から活発で外を走り回るのが大好きだったみゆきちゃんは興奮し、「犬じゃないんだからー」と言われるほど夢中になってあっちを掘り、こっちを堀りと大はしゃぎしていましたが、力仕事が苦手なリナちゃんは「あたしの分も頑張って!」「みゆきちゃん、あんただけが頼りよ!」と最初からみゆきちゃんにお願いしており、ちゃっかりしてるな~と苦笑しました;(←作中の応援の仕方を見るに、人の心をくすぐるのがかなり上手でしたので、魔性の女になる素質は十分あると思います;)。
 一見正反対でチグハグな組み合わせに見えますが、足りないところをお互い補う友達関係は現実でも結構よくあるものですので、見ていて微笑ましかったです。
 この時、偶然同じ山へ来ていた一樹君(こちらこちらのお話に登場しています)とばったり会ったみゆきちゃんは、少しの間「何本掘れた?」「ざっと10本というところかな」などと立ち話をするのですが、その際に「うちのとうちゃんは何でも好きだけど、たけのこは特に春を感じるから好きだってー」という情報を知った一樹君は、以前荒岩係長には料理を教わって随分助かった事もあり、翌日お礼に美味しいたけのこ料理を作りに行くことを約束していました。

 ちなみに一樹君が去った後、みゆきちゃんはリナちゃんから「あんたこの頃、一樹君と仲がよかねー」と冷やかされていましたが、早熟なリナちゃんに比べてそういう面にはからっきし興味がないみゆきちゃんは「はあ?」と訳が分からない様子で、少しほっとしました;。
 思い返せば、当管理人も友達と「男子の中では誰が好き?」とこそばゆい話をし合うようになったのはちょうどこのくらいの年齢だった為、みゆきちゃんもとうとうそういう話題が上る歳になったか~と、懐かしいような寂しいような不思議な気持ちになります。
荒岩さんに恩返しする意味もあって、大好物のたけのこ料理を作りに来た一樹くん
 そして翌日、約束通り材料を持参した一樹君は妹・ナナちゃんを連れて荒岩家へやって来、「オレもこのごろ腕を上げてさー」「たけのこたっぷりのハンバーグを作るのさ」と言って意気揚々と調理開始するのですが、初心者ゆえのうっかりミスで合挽き肉ではなくステーキ肉を買ってきたり(←正直、かなり大胆な間違いだな~とびっくりしました;)、何故か水っぽくてびちゃびちゃのハンバーグを焼いてしまったりと失敗だらけで、途中何度も「どうしよ~っ、オレのバカッ、バカッ」「ダメだ、うまくないよー」と混乱していました。
 幸い、ステーキ肉は荒岩家にミートミンサーという文明の利器があったおかげですぐミンチに出来ましたが(←荒岩家は調理器具の宝庫だな~とつくづく感心します;)、どうしてベチャッとなったのかはみゆきちゃんにもナナちゃんにも分からず、一樹君はますます落ち込んでしまいます。
 おそらく、お母さんから習い始めて自信がついた料理がハンバーグだったからこそ、たけのこハンバーグというアレンジ料理を選んだんだじゃないかな~?と推測されますが、実際に自分で用意する段になるとあれこれ予想外な事が起きてパニックになっちゃう気持ちは当管理人もよ~く分かる為、読んでいてほろ苦い気持ちになりましたorz。
たけのこのみじん切りをそのまま入れたハンバーグは、水っぽくてベチャベチャしていました;
 しかし、傍には今やすっかり料理に目覚めつつある失敗の達人・虹子さんがいた為、ベチャベチャになったのは水分が多いたけのこをそのまま使ったからだと原因が分かり、軽く炒めて水気を飛ばす事によって簡単に解決していましたので、見ているこちらまでほっとしました。
 それにしても、一巻では鍋を黒焦げにして危うくアパートを火事にしかけた虹子さんが、百一巻目にして的確なアドバイスを出来るようになるまで成長するとは…何やら感慨深いです(つД`)。
 こうして、一樹君が虹子さんやみゆきちゃんのアドバイスを受けつつ色々改良して作り上げたのが、この“バンブーグ”です!
 作り方はちょっと手がかかるものの基本的には簡単で、ゴマ油で炒めたたけのこ・バターで炒めた玉ネギ・しいたけ・牛ひき肉・塩・こしょうを練り合わせて作ったタネを、やや分厚く輪切りにして中をくり抜いて器状にしたたけのこの中へ詰めて両面を焼き、仕上げにハンバーグを焼いた後のフライパンにコンソメスープやケチャップなどを溶かして作ったソースをお皿に広げ、その上へ先程焼いたハンバーグを乗せたら出来上がりです。

 ごま油とバターの両方を使うとは意外でしたが、こうするとかえって風味が高まるのだそうで、読んでて感心したものです。
 実を言いますと、たけのこを器にして使うのはみゆきちゃんの発案で、一見破天荒ながらも的確なアイディア力は虹子さん譲りなのかな?と思いました。
 実はこの頃、荒岩係長は琉国大学(琉球大学がモデルと思われます)へ進学したまこと君を訪ねて沖縄に滞在していたのですが、“バンブーグ”が完成したちょうどその時に帰宅しており、部屋へ入るや否やすぐに一口食べて「うまいっ、うまいゾ一樹君」と大喜びしていました。
 味が美味しかったのはもちろん、ちゃんと自分の事を覚えていてくれてお礼をしてくれた、一樹君の心が嬉しくて余計喜んだろうな~とほのぼのした回でした。
失敗続きだった虹子さんも、料理のアドバイスが出来るくらいに成長しましたつД`)たけのこの器を使ってハンバーグを焼くのは、実はみゆきちゃんのアイディアでした。
 先日、自宅でたけのこを大量に下茹でしましたので、いい機会だと思い再現する事にしました。
 作中には詳細な分量付きレシピが記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、たけのこの下準備。皮をむいて汚れを洗い流し、穂先の部分へ縦一文字に切れ目を入れた生のたけのこを(イボの部分はこの時に切り取ってOKです)、米ぬか、赤唐辛子、お水を入れた大鍋に入れて強火にかけ、沸騰したら弱火にして一~二時間煮ます。
 時間が経ったら火を消して茹で汁に浸したままたけのこを冷まし、人肌程度になったら冷水入りのボウルに浸けておきます。
 これで、たけのこは調理出来ます。
 ※米ぬかや赤唐辛子がない場合は、生米か重曹を入れて煮ても可です。
バンブーグ1
バンブーグ2
バンブーグ3
 次は、ハンバーグのタネとたけのこの器作り。
 先程のたけのこの中央部分を厚めにカットし、底が抜けないよう慎重かつギリギリに中身を切り取るかくり抜くかして、たけのこの器を作ります。
 その時に取り出したたけのこの中身と、上部分と下部分のたけのこは全てみじん切りにし、ごま油をひいた中火のフライパンで水分が飛ぶまで炒めて塩で味付けし、あらかた水気が飛んだら別器に移して冷ましておきます。
バンブーグ4
バンブーグ5
バンブーグ6
 この炒めたけのこと、みじん切りにした後バターで透き通るまで炒めて十分冷ました玉ネギ、細かく刻んだしいたけ、牛ひき肉、塩、こしょうをボウルへ入れ、粘りが出てくるまでよく練ります。
 これで、ハンバーグのタネは出来上がりです。
 その間、たけのこの器全体に軽く塩とこしょうを振り、穴の部分へは小麦粉をまぶしてはたいておきます。
バンブーグ8
バンブーグ9
バンブーグ7
 次は、いよいよ焼き作業。
 さっきのタネを油をなじませた両手で丸い形に成形しつつ空気を抜き、たけのこの器へ隙間なく詰めて中央を小さくへこまします(たけのこの穴の高さに合わせず、たっぷり入れた方がいいです)。
 このハンバーグ入りたけのこを、油を引いて弱火~中火に熱したフライパンに並べ、最初はたけのこの面から焼きます。
 やがて、たけのこの底に焼き目がついてきたら、今度はハンバーグの部分が焼けるようひっくり返し、そのままじっくり火を通します。
バンブーグ10
バンブーグ11
バンブーグ12
 ハンバーグの面に焦げ目が出来て香ばしく焼けたらまたひっくり返し、今度はフタをしてハンバーグの中に火が通るまで蒸し焼きにします(焦げないよう、時々フタを開けて確認する事をおすすめします)。
 竹串でハンバーグの中央を刺し、透明な汁が出るようになったら、焼き上がりです。
 この時、焼けたハンバーグを手早く他の器へ取り出して再度火にかけ、コンソメスープ、ケチャップ、ワイン、醤油、塩、こしょうを投入して木べらでこそげるようにして混ぜ、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけてソースを作ります。
バンブーグ13
バンブーグ14
バンブーグ15
 お皿の中央へ出来立てのケチャップソースを広げ、その上へ熱々のハンバーグを盛れば“バンブーグ”の完成です!
バンブーグ16
 深紅の色に染まったソース、淡い黄色が美しいたけのこ、見るからに香ばしそうな茶色のハンバーグの三色の取り合わせが綺麗です(クレソンか、山椒の葉を飾り付けたらもっと彩り豊かになりそうです)。
 思っていたよりも香りが強く、まるでにんにくを入れたかのようなパンチのある風味で、結構食べ応えがありそうなイメージです。
 たけのことハンバーグは果たして合うのか、実際に食べて確かめてみようと思います!
バンブーグ17
バンブーグ18
 それでは、熱々の内に切り分けていざ実食!
 いっただっきま~す。
バンブーグ19


 さて、味はと言いますと…見た目よりもずっとガツンとした味わいで衝撃!たけのこの器は見た目的にも味的にも必要です!
 水煮にはない甘くて瑞々しい汁気が繊維を噛み砕くごとにジュッと溢れ出るたけのこと、何故かにんにくを使ったようながっつり系のワイルドなジューシーなハンバーグは、一見合わないように見えて実はよく合っておりびっくりしました。
 たけのこの器はザクザクと歯に心地よい豪快な歯応え、ハンバーグの中のたけのこはサクサクコリコリと可愛らしい適度なアクセントになっていて、たけのこを二重に楽しめるのがいいです。
 意外とゴマ油とバターはそこまでぶつかっておらず、どちらともその存在感は曖昧になっていましたが、ハンバーグを噛み締める度にそこはかとなく漂う香ばしさはゴマ油、香り高いコクはバターのおかげだと感じた為、一口では分からない複雑な奥行きが生まれていた事だけでも別々の油脂で炒めた価値はあったと思いました。
 牛肉100%のハンバーグは重厚でやや硬めの生地が特徴的ですが、これはたけのこの器がその癖の強さをしっかり受け止めている上、椎茸のシコシコした食感と深い風味、玉葱の柔らかい口当たりとねっとりした甘味が牛肉のこってり感を和らげて程よい和風味に仕立てている為、あまりしつこくないのがよかったです。
 醤油とワインが効いた大人向けの甘辛いケチャップソースはハンバーグだけでなく、たけのことの相性も結構よく、これはご飯だけでなくビールやワインとも合いそうだな~と思いました。


 たけのこの旨味はお肉によって消えるどころか、むしろ味の強い物と合わさる事によってその存在の大きさをアピールしていた為、「たけのこって意外と味が濃いんだな~」と感心しました。
 但し、後日水煮のたけのこで再現してみますと、危惧していた通りたけのこの食感も味もハンバーグによってやや薄まっていましたので、これは春の季節に茹でたてのたけのこで作るのが無難そうです。

●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.04.24 Thu 11:10  |  

もしよろしければたけのこの煮物のレシピ、お教えいただけますか?
甘辛味噌味って気になります…
鶏肉を入れたりするのでしょうか。

  • #-
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/1027-5285daf1
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ