『華中華』の“ニラ玉チャーハン”を再現!

 先日、「男の目には糸を引け 女の目には鈴を張れ」ということわざがあるのを知り、頭がはてなマークだらけになりました;。
 意味を調べると、どうやら「男の目はきりりとまっすぐなのがよく、女の目はぱっちりと大きいのがよいということ」の例えだそうで、「<東男に京女>のような、一時期の美意識を表わした言葉みたいなものか~」と納得したものです。
 もっとも、今は釣り目の女性は色っぽいと人気があり、どんぐり眼の男性もかわいいとモテる時代ですので、幅広く評価される価値観のある時代に生まれてよかったな~と思いました。

 どうも、自分では釣り目だと思っていたのに周囲から「いや、ちょいたれ目だよ!」と指摘されて衝撃を受けた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが新しく覚えた技術を早く実践したいと思うがあまりに計算違いして出してしまった“ニラ玉チャーハン”です!
ニラ玉チャーハン図
 一度、“新ニラ玉チャーハン”の回でご紹介したエピソードですが、ハナちゃんが珍しくしくじってしまった曰くつきのチャーハンと共に、もう一度詳しくご紹介してみようと思います;。

 それは、今ではTVにも出演する程有名になって料理長にまで上り詰めた島野さんが満点大飯店へ転職してきたばかりで、ハナちゃんの正体も周囲にまだ知られていなかった頃のお話。
 厨房で海老料理に使う胡麻油を探している時、大きな有名店にもかかわらず調合胡麻油一つしかなかった事に呆れた島野さんは、その頃上司だった陳料理長に直接「他の種類は使えないんですの?」と聞きに行きます。
 実は陳料理長自身、料理の用途に合わせて胡麻油を使い分けたかったそうなんですが、現オーナーの計太郎さんから経費削減のために一種類しか使わないよう言い渡されていて諦めていたみたいで、「そこを何とか君の腕でカバーしてくれ!オレもそうしているんだ…ハハ」と笑顔で誤魔化そうとするんですが、精神論ではなく理論的に料理をする事を信条としている島野さんは無言で見つめ返しており、陳料理長を落ち込ませていました;。
 島野さんのいう事はすごく正論ですし、長い目で見たら当然改善すべき提案だとも分かるのですが、上からも下からも突っつかれて小さくなっている人のいい陳料理長を見ているとどうしても責める気にはなれず、「中間管理職って大変だな…」とヒラの気楽さを実感したものです;。

 結局、陳料理長を問い詰めても何もならない事を悟った島野さんは自費で胡麻油を買いそろえる事にし、買い物の付き添い役としてハナちゃんも一緒に連れていきます。
 この時、島野さんがとりあえずこれだけは…と買ったのは純正胡麻油、純正胡麻油うすくち、純正胡麻油こいくち、純正太白胡麻油の四種類なんですが、胡麻油と言えば普通の純正か太白の二種類しか知らなかったハナちゃんは驚き、勉強になったようでした。
 正直、島野さんが登場するまで満点大飯店には技術的にも精神的にもハナちゃんに刺激を与える人は誰もおらず、目で盗むか本で学ぶしかなかったハナちゃんはかなり苦労していたのですが、下働きにも関わらず「こうするのは、こういう理屈があるから」ときっちり教えてくれる島野さんが現れてからというもの、成長スピードがが早まったのは勿論楽しく仕事が出来るようになった様子が描かれるようになりましたので、連載当時はほっとしたのを覚えています(←陳料理長は頼もしい師匠というよりは癒しのお父さん的存在で、今一つ頼れないのが残念でした;)。
島野さんがやって来たばかりの頃、ハナちゃんは色んな事をレクチャーしてもらいます
 実は最初、ハナちゃんは「ちょっと変わった人」という印象を島野さんに抱いていたのですが(←オネエキャラな事も含めて;)、料理の技術や知識、そして上海亭のチャーハンを二十種類以上食べて「大した物だったわ」と見抜く眼力に、すっかり感服します。
 けれども前に一度、純正胡麻油で作ったネギ油チャーハンを「いけなくはないわよ。料理に正解はないんだから…」「でもね、香りは弱いけど、味が優れていてあっさりとした太白油で作った方が、ネギの香りと味が生きて、美味しくなるのよ。せっかくのネギ油だというのに、その味と香りを生かす油を使わないなんて」と評されたハナちゃんは反省し、早速その日の内に太白胡麻油で作ったネギ油でチャーハンを作る事を決意します。

 こうして、ハナちゃんが上海亭で習ったばかりのネギ油を使っていそいそと拵えたのが、この“ニラ玉チャーハン”です!
 作り方はとっても簡単で、高温の太白胡麻油で長ネギを炒めて作った特製ネギ油を中華鍋にひき、卵・ご飯・ニラ・炒めネギ(ネギ油作りの時に自然にできた物を使用)・塩・醤油を入れて炒め合わせたら、もう出来上がりです。
 実を言いますと、当初はネギ油の良さを分かってもらおうと“ネギチャーハン”にする予定だったんですが、上海亭のおばあさんが「年の暮れに向かってお客様が疲れないように」との願いを込めてニラを購入していた為、ニラも加えて二倍美味しくしちゃおうと考えてできたのが“ニラ玉チャーハン”だったとの事。
 恐らく、いつも通り何度か試作をしていたらこの致命的なミスに気付けたと思うのですが、一度に得た新知識にワクワクして浮足立っていたハナちゃんはすっかり失念していたようで、毎度このシーンを読むたび結果は分かっているのにハラハラします;。
早速島野さんに倣った通り、特製ネギ油を使ってチャーハンを作ろうとするハナちゃん
 その後、ハナちゃんは“ニラ玉チャーハン”を上海亭で出し、初めの内こそお客さん達から好評を得ていたのですが、島野さんが来店して批評をし出すとその空気は一変します。
 この“ニラ玉チャーハン”の弱点、それは「太白胡麻油を使ってネギの風味が数段バージョンアップしたネギ油が、却ってニラの味も香りも台無しにし、ニラを主役じゃなくしている所」。
 島野さんが言うには、確かに味は美味しいもののネギが主役になっている時点でこれは「ニラ玉」ではない、看板に偽りありとの事で、最終的には店内のお客さんに聞こえるような大声で欠点を述べて場を騒然とさせ、「これは失敗作」「ダメなお店よ!!」と高笑いしながらお店を出てしまっていました。

 実を言いますと開店前、おじいさんはこの“ニラ玉チャーハン”を試食するなりすぐその欠点を見抜いたようなのですが、「美味しいからいいか」とお店に出す事を許可したのだそうで、後々島野さんが高笑いするさまを見て激しくその決断を後悔していました。
 個人的には島野さんの意見もおじいさんの意見も一理あるように思う為、一概には言いにくいのですが、確かに「ニラ玉」という字面を見たら「ニラと卵が活きたチャーハン」という想像をしやすいので、ネギの方が際立っていたら「ん?」と違和感を感じられてもおかしくないだろうな…と思います。
 そのせいか、上海亭の客足は一時的に少し減り、ハナちゃんも「調子に乗り過ぎて、料理人としての基本を忘れてた…」と大いに反省するのですが、そこで更なる失敗を怖がって立ち止まるのではなく、打開策を考えながら前を向いて歩いて行くのがハナちゃんのいい所!
 この後、ハナちゃんがどうやって“ニラ玉チャーハン”と胸を張れるチャーハンを作りだしたのかはこちらに載っていますので、よろしかったらご一読して頂けますと幸いです。
特製ネギ油の個性が強すぎるせいで、ニラの風味が台無しになっていると指摘します
 約三年前は「美味しいとは言っても、失敗作か…」と少し躊躇していた為飛ばしてしまい、そのまま月日が流れていたのですが、最近妙に気になりだしたので再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、特製ネギ油の用意。太白ごま油を煙が出るまで熱した所へ細かくみじん切りにした長ネギをたっぷり投入し、しばらく火を通したらザルにあけて油と長ネギの二つに分かれるよう漉します(全体が薄茶色になるまで焦げますと味も香りも台無しですので、要注意です)。
 これで、特製ネギ油は出来上がりです。
 ※炒めた長ネギはチャーハンに入れるのは勿論、ラーメンに落としたり、餃子の具にしたり、卵焼きに混ぜ込んで焼いても美味しくいただけます。なお、今回はこの後にチャーハンへ入れて使います。
ニラ玉チャーハン1
ニラ玉チャーハン2
ニラ玉チャーハン3
 次は、チャーハン作り。
 熱した中華鍋(又はフライパン)へ先程の特製ネギ油をふりかけ、鍋肌全体に油をなじませたら食べやすい大きさに刻んだニラ・塩・こしょう・卵を軽くかき混ぜて作った溶き卵をザパッと加え、そこへすぐご飯を入れて一気にあおりながらよく混ぜ合わせます。
 途中、塩(味見して物足りなかったらこしょうを入れてもOKです)で味付けし、先程作った炒めネギも投入して混ぜ、最後に醤油を鍋肌に沿わせながら垂らしてざっとあおって混ぜます。
 ※自家製のネギ油には水分も多少含まれていて時々跳ねますので、火傷には気を付け下さい。
ニラ玉チャーハン5
ニラ玉チャーハン6
ニラ玉チャーハン7
 チャーハン全域にニラが行き渡り、いい塩加減になったら火からおろし、丸い形になるようお皿へ盛り付ければ“ニラ玉チャーハン”の完成です!
ニラ玉チャーハン8
 見た目はごく普通のチャーハンですが、よく炒められて際立ったニラと長ネギのいい香りが普通のチャーハン以上に食欲を掻き立てます。
 ニラの緑と卵の黄色の色合いもキレイで、見た目的にもいい感じです。
 作中ではけちょんけちょんに言われてしまってましたが、果たして味の方はどうなのか…食べて確かめてみようと思います!
ニラ玉チャーハン9
 それでは、冷めないうちにいざ実食!
 いっただっきま~す!
ニラ玉チャーハン10


 さて、味はと言いますと…ネギの存在感は強めですが、とても美味し!さっと作った割には随分本格的な一皿です!
 以前作った“新ニラ玉チャーハン”は、カニ玉とチヂミを足して二で割ったような調理法のニラ玉が上に乗る事により、ニラの食感と風味が全面に活きた如何にもニラが主役の一品でしたが、こちらはよくある炒り卵タイプのシンプルなニラ玉がチャーハンに混ざっている感じで、ニラが主役というよりはネギとニラのダブル主人公というイメージでした。
 その為、島野さん同様これをニラ玉チャーハンと名付けるのにはちょっと異議を申し立てたくなりましたが、ニラの味が殺されているというのは言い過ぎだと思います。
 確かにこのチャーハンは調理上、どうしてもまんべんなくニラに火が入ってしまいますので、“新ニラ玉チャーハン”ほどの鮮烈さはないですが、しんなりクタッとして食べやすくなったニラの優しい口当たりや(おひたしやナムルに似てます)、熱が十分行き渡る事によって増したニラのにんにくっぽい力強い旨味は適度に炒めたニラとはまた違った美味しさがあり、シンプルな焦がし醤油味のチャーハンと抜群に合っていました。
 ネギ油の奥深い香ばしさと、長ネギのねっとり濃い甘さが、ただの基本チャーハンをまるでラーメン屋さんで出される味がキリッと決まった、「油が美味しい」焼き飯みたいな仕上がりになっており、大満足です。
 トロトロに柔らかく、飴色玉ネギみたいに甘い長ネギはニラのやや癖のある味を邪魔するどころか互いに負けず引き立て合っていて、これはこれでありだという印象でした。


 ニラ玉味にこだわるのでなければ、十分美味しく頂けるチャーハンです。
 “新ニラ玉チャーハン”のように、ラー油を足してみてもピリ辛なアクセントが効いて美味ですのでおすすめです。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.05.06 Tue 23:07  |  

冒頭のことわざですが、昔読んだ向田邦子の随筆では、「男は表情を読まれやすいと裏をかかれる事が多いので、糸を引いたような目(=ポーカーフェイス)が良い。逆に女は目ヂカラで語れるほど表情豊かなほうが(言葉で表すよりも、何も言わずに察してもらえるので)有利なことが多い」との事だったように記憶しています。向田先生の独自解釈かもしれませんし、そもそも現代の社会情勢としては疑問符かもしれませんが、書かずにいられませんでした。お目汚し失礼いたします。

2014.05.08 Thu 01:40  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/1028-dde06358
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ