『くーねるまるた』の“ピカパウ”を再現!

 ポルトガル生まれの有名なお菓子と言いますと、今や世界中で愛されているエッグタルトが筆頭に挙げられると思いますが、個人的に興味を持っているのはパン・デ・ローという、カステラのルーツになったのではないかと言われているお菓子です。
 見た目はスポンジケーキ風ですが、実際は少量の小麦粉と大量の卵や砂糖を使って焼いた、ケーキともカステラとも違う食感のお菓子だそうで、一度は是非食してみたい一品です。

 どうも、ビールと相性が最高なバカリャウコロッケが日本中に普及したらいいのにな~と思う当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『くーねるまるた』にてマルタさんや笑明館の皆さんが力を合わせて作った“ピカパウ”です!
ピカパウ図
 マルタさんは三人姉妹の次女で、上に優しくてしっかり者のお姉さん、下に元気でかわいい妹さんがいるのですが、第63話で姉・エリザさんの方が突然来日してきます。
 エリザさんはマルタさん同様リスボンの大学を卒業しているのですが、マルタさんが建築学や都市工学を学んでいたのに対し専門は植物学で、現在は結婚してイギリスのロンドンへ移住後、同国の植物園に勤務している才媛との事←マルタさんの日本文学や風習に対する博識っぷりから、てっきり民族学民俗学を専攻しているのではと予想していた為、そうじゃないと知った時は驚いたものです;)。
 小さい頃猫をあやすのが苦手だったマルタさんと違って、何とも言えない不思議な瞳と声で猫とすぐに仲良くなれるという羨ましい特技をお持ちだったようで、奇遇にも再会したのはマルタさんが猫探しをしている真っ最中、久々に会う妹を探しに来たエルザさんが偶然逃げた猫を捕まえた時でした。

 当初、マルタさんは「学会帰りに立ち寄った」というエリザさんの言葉を信じて歓迎していたのですが、エリザさんとしては修士論文を提出して後は帰国するだけだというのに、何も説明せずずっと日本に留まっているマルタさんの真意が気になったようで、どうやら用事のついでというよりはマルタさんがどうしているのか偵察する為に訪れたらしく、初見時は「一体どう判断されるんだろう…」とハラハラしたのを覚えています;。
 残念ながら、約一日の東京観光だけではマルタさんが何故日本にいたがっているのか理由が今一つ分からず、もしかしたら惰性でいるのかもしれない…と判断したみたいで、エリザさんは例の引き込まれるような瞳でマルタさんを見つめて「そろそろポルトガルに帰りなさい」と言い、マルタさんを激しく動揺させます。
 正直、マルタさんが日本で何をしているのかと聞かれても、美味しそうにご飯を食べて飲んでのんびり気ままな生活をエンジョイしているとしか言いようがない為、これといって説得力のある言葉が思い浮かばないのが辛い所です;。
ポルトガルからお姉さんがやってくるのですが、そろそこ帰国してはと勧められます
 実を言いますと、マルタさんは初日夜にエリザさんを笑明館へ招こうとしていたのですが、また美大に落ちてヤケ酒した挙句泥酔した神永さんが一升瓶を持って下着姿で暴れ回っているショッキングな現場に遭遇し、「取り込み中のようだから…」とエリザさんが帰ってしまう一幕があった為、マルタさんから一部始終を聞いた美緒子さんと由利絵さんは即座に「神永さんのせい!」「どこの国の人だって帰国をすすめますよ!」と断言し、きつめに責めていました;(←もしかしたら、冗談抜きでこれが決定打だったのかもしれませんorz)。
 その為、これにはさすがに強気な神永さんもしょんぼり顔になっていたのですが、マルタさんが「私はもっと日本で、…ここで暮らしたいと思ってます。みなさんともっと一緒にいたいし…」と素直に胸の内を打ち明けたのに心打たれ、「よーし、分かった!ここはもう一度、改めてマルタ姉をご招待して、ここの暮らしがそんなに乱れていないというとこを見せてやろうじゃないか!」と一念奮起し、歓迎会の企画を夜遅くまで話し合っていました。
 普段はジャイアン的な自由奔放さと豪胆さを持ち、それゆえに手がかかるお姉さん的存在の神永さんですが;、こういうピンチの時は映画版ジャイアン並に力を発揮しますので、頼りになるな~と思います。

 こうしてエリザさんが帰国する前日、マルタさんは再度エリザさんを誘い、今度は笑明館のある文京区を案内して回ります。
 これは意図してした事ではないのですが、町中の人達から慕われているマルタさんは歩いているだけで自然といろんな人達から声をかけられており、結果的にエリザさんはマルタさんが如何にこの町を愛し、そして愛されているかを目の当たりにします。
 文化も習慣も違う異国の地に、妹をたった一人だけで居続けさせるのを心配するのは家族として当然の感情だと思いますので、エリザさんの気持ちも痛いほどよく分かるのですが、少なくともこの瞬間マルタさんは日本にもう一つの居場所を作ったことを感じ取り、多少は安心したのではないか…と推測しています。
お姉さんをつれて町の案内をしているはずが、知らず知らずの内に挨拶回りになってました;
 その夜、エリザさんは笑明館の面々が開いた飲み会へ参加し、改めて日本に来たことを歓迎されて笑顔を見せます。
 この時、マルタさんが話し合いの結果みんなと協力し合って用意したのが、エリザさんが大好物のポルトガル料理・“ピカパウ”です!
 作り方は少し手間がかかるものの簡単で、牛肉に塩・赤唐辛子・ローリエ・ビールを揉みこんで一時間漬けた後、にんにく・オリーブ油・バターを熱しておいたフライパンで炒めてマスタードで味付けし、漬け汁を足して煮込んで煮汁が半分になったらカリフラワーのピクルスとオリーブを入れ、ざっと混ぜたら出来上がりです。
 ※作中ではカリフラワーと明言されてなかったのですが;、作中の絵がそれっぽいのと、調べた結果ポルトガルでは肉料理にカリフラワーのピクルスを添えて後口をさっぱりさせる事が多いという情報が目に留まりましたので、そのように表記しました。

 主に製作したのはマルタさん、それを手伝ったのが美緒子さん、カリフラワーのピクルスを手作りしたのは由利絵さん、ビールを用意したのは神永さんと、笑明館のみんなが力を合わせて作った力作で、元々神永さんがエリザさんの好物を作っておもてなしをしようと提案した事がきっかけでマルタさんが思い出した料理です。
 直訳すると「キツツキ」で、何でもあまりに美味しくてお酒に合う為、食べた人がキツツキのように何度も口へ運ぶからこの料理名がついたのだとか。
 実際に食べた美緒子さんや由利絵さん曰く、「マスタードの酸味が、お肉とこんなに合うんだ…おいし~」「バターとにんにくでとっても濃厚~パンに合うわ~!!」だそうで、酒量を控えようと考えていた神永さんもついついビールが進むくらい日本人好みの味に仕上がっていたようでした。
帰国する前日、改めて「日本へようこそ!」と歓迎されてピカパウや色んなご馳走を出されます
 その後、マルタさんは神永さん達がどれだけ頑張ってこの“ピカパウ”や飲み会を準備してくれたかを必死に説明するのですが、どうやらエリザさんは一口食べただけでその心づくしが伝わったらしく、「もういいのよ、マルタ」と穏やかに話しかけます。
 それを聞いたマルタさんは、てっきり日本に留まる事を再び止められるのかと思ったのか、顔を赤くして眉を寄せるのですが、エリザさんが続けたのは「今日マルタと一緒に街を歩いて、このアパートを見てよく分かったわ。あなたがここで価値ある日々を過ごしていることが…」「そして、素晴らしい皆さんに囲まれていることもね」という優しい言葉で、マルタさんは驚いて顔をあげていました。
 流されて何となくいるのではなく、日本でしか得られない様々な幸せをマルタさんなりに大切にしているからこそ滞在しているという事が伝わって、本当に良かったです。

 おかげで、マルタさんは見る見る内に元気を取り戻して明るい表情になるのですが、エリザさんは瞬時に「いいこと?お母さんに手紙だけは欠かさないこと!」「あとは自分で決めなさい」ときっちり釘も指しており、しっかりしてるな~と苦笑しました;(←1話目では積極的に手紙や贈り物のやり取りをしている様子が描かれていましたが、どうやら最近はご無沙汰になってたみたいで、そりゃ~ご家族は不安になっても仕方ないと思います;)。
 ちなみに、エリザさんは「マルタ…あなたらしい贅沢な時間を過ごしているわね」と密かに耳打ちしており、早くも文京区や笑明館の魅力に気付いていたみたいでした。
アパートは勿論、町中の人達と家族のように親しくしているマルタさんを見て、感じる所があったようです。
 ビールでお肉を柔らかくする技法は聞いたことがありますが、そのお肉を使って作るポルトガル料理は今まで見た事も食べた事もなかった為、「これは食べてみたい!」と思い再現を決意しました。
 作中には大まかな作り方と材料が記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、材料の下ごしらえ。ステーキ用の牛肉(牛塊肉を使用してもOK)を細長く切り、ボウルに入れて塩をふって混ぜます。
 そこへ、種を取って大まかに千切った赤唐辛子と、二つに千切ったローリエを加え、手でよく揉みます。
ピカパウ1
ピカパウ2
ピカパウ3
 塩や香辛料を揉み終えたらビールを注いでざっと混ぜ合わせ、そのままラップをかぶせて冷蔵庫で約一時間寝かせ、味を染み込ませます。
 時間が経ったらザルにあけ、牛肉と漬け汁の二つに分けておきます。
ピカパウ4
ピカパウ5
ピカパウ6
 次は、炒め煮作業。
 フライパンへ潰したにんにく、オリーブ油、バターを投入して火にかけ、にんにくから香りが出てバターが半分溶けてきたら先程の牛肉を加え、炒めます(バターの量にびっくりされる事と思いますが、作中の絵では本当にこれくらいドカンと入れてました;)。
 牛肉に焼き色がついてきたらマスタードを入れ、全体になじませるようにして混ぜます。
ピカパウ7
ピカパウ8
ピカパウ9
 牛肉にマスタードがよく絡んだら、取っておいた漬け汁を注ぎ入れてコトコト煮込み、やがて煮汁が半分くらいになってきたらブラックオリーブとカリフラワーのピクルスを投入し、さっと炒め合わせます。
 ※カリフラワーのピクルスは、茹でたカリフラワーを寿司酢・赤唐辛子・ローリエ・塩を合わせた液に三日間漬けて作った自家製の物を使用しました。
ピカパウ10
ピカパウ11
ピカパウ12
 マスタードベースの味付けが全体に行き渡り、カリフラワーのピクルスやオリーブが混ざったら火からおろし、お皿へ盛り付ければ“ピカパウ”の完成です!
ピカパウ13
 マスタードの鮮烈な風味の方が色濃く漂い、意外とにんにく臭がそこまでしないのに驚きました。
 カリフラワーの白とオリーブの黒、赤唐辛子の赤の対比が地味ながらも美しく、みるからに食欲をそそります(食べにくさとかが気にならない方は、ローリエを入れっぱなしにするともっと彩り豊かになりそうです)。
 今まで一度も食べた事がありませんので味の想像が一向につきませんが、マルタさんの作る物に外れは一個もありませんでしたので、頂いてみようと思います!
ピカパウ14
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~す!
ピカパウ15


 さて、味はと言いますと…ビールにこよなく合って美味し!唐辛子のわずかな辛味がいいアクセントになっていて、本当にキツツキみたいにつまんじゃいます!
 ビールの炭酸パワーでしっとり柔らかい弾力に仕上がった牛肉に、にんにくの強い旨味とバターの濃厚なコクがベースになっている、しょっぱ旨いアヒージョ風のオイルが溶け込んだ煮汁がぴったりの相性で、ガーリックステーキよりもあっさりしているのに匹敵する程食べ応えがありました基本的にシンプルなハーブにんにく塩味なんですが、ピクルスが入っているせいかほのかに酸味が舌に残ります)。
 煮ていく内に油分が浸透したのか、赤身にも関わらず噛むごとに肉汁ともオイルとも言えぬ複雑なエキスがにじみ出てくるのが印象的で、これは安い牛肉をより美味しくさせるのにふさわしい調理法なんじゃないかな~と思いました。
 意外な事に、にんにくやバターの香りよりもマスタード特有の鼻をツーンと抜けていく刺激的な風味と、マイルドでフルーティな酸味の方が効いている感じで、見た目の割にはあまりギトギトきつい感じがしないのが特徴的です。
 牛肉とマスタードという組み合わせのせいか、どことなくハンバーガーを彷彿とさせるような味付けで、初めて食べるとは思えないくらい親しみを感じる味わいでした。
 どちらかと言えばこってり系の味付けですが、カリフラワーのピクルスの癖になる甘酸っぱさや、オリーブの瑞々しくて優しい塩気が後味をさっぱりリフレッシュさせる為、交互に食べると止まらなくなります。


 茹でたカリフラワーはブロッコリー以上に淡泊な味な為、いままでどういう食べ方が向いているか分からなかったんですが、ピクルスこそが最高の調理法だと思わされました。
 煮汁はパンにつけてもいけますし、牛肉とピクルスを交互に食べるともうやめられなくなりますので、食べすぎには要注意です;。

●出典)『くーねるまるた』 高尾じんぐ/小学館
   (週刊ビッグコミックスピリッツ NO15 2014年3月24日号掲載分 通算NO1695)
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

2014.05.18 Sun 22:38  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/1033-427e61cf
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ