『ハルの肴』の“缶アスパラのマヨネーズ焼き”を再現!

 つい最近、福岡名物の丸天(魚のすり身を丸く平べったく揚げた物。地元ではうどんの具としてポピュラーですが、年々目立たない存在になっていて哀愁が漂います)の亜流である角天(丸天を単に四角く揚げただけ)を軽く焼き、しょうが醤油をたらした物がおつまみとして最適なのを発見し、ちょくちょく晩酌のお供にしています。
 そこそこ食べ応えがあり、何より低カロリーでヘルシーで、その上値段も格安なのが体にも懐にも嬉しいです。

 どうも、その事を知人に話したところ「おっさんくさ!」と言われて微妙にへこみ、せめて刻みネギをちらして彩りを増そうと考えた管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『ハルの肴』にてハルちゃんが常連客の一人・マリさんに出した“缶アスパラのマヨネーズ焼き”です!
缶アスパラのマヨネーズ焼き図
 それは、ハルちゃんが<大門>で調理補助を始めた一年目の、「菖蒲華(あやめはなさく)」と呼ばれる初夏の頃のお話。
 いつも通り皿洗いをしていたハルちゃんは、飄々としているようでお店をさりげなく観察している親方・康造さんから「元気がないお姉さんに何か作ってやんな」と声をかけられ、ある女性を目線で示されます(←<大門>は老舗の割に肩ひじ張らず飲める空気が特徴的なんですが、一見放っておかれているようでこういう気配りがされる所は、さすが江戸時代から続く名店だな~と思います)。
 そのお姉さんとは常連客の一人であるバスガイド・マリさんで、いつもはリラックスしながら飲んでいるのに今日ばかりは沈んだ様子で、早速ハルちゃんは「パワーばつけるんだべか?」と気合を入れます。
 しかし、康造さんは軽く笑ってそれを否定して「…呑みが進む料理だ。呑んで元気になってもらうのが居酒屋だろうが」とアドバイスし、料理に取り掛からせていました。

 実を言いますと、この少し前にハルちゃんはお通し作りを任されていた為、調理自体は初めてではなかったのですが、特定のお客さん相手に合わせたオリジナルお通しを出すのはこれが初めてだった為、いつも以上に気が引き締まっていた様子でした。
 近頃はあってもなくても変わらないようなお通しを出すお店が増えていますが、<大門>では未だに「お通しはただの料理じゃねぇ。<大門>がどんな店か…ご常連には今日の<大門>がどうかを計っていただく≪掴み≫なんだよ!」という考えがあり、無難では楽しみにして来るお客さんに失礼だという精神が息づいていますので、初見時は厨房に入って数か月にしかならない女の子にとっては大分重荷な展開なんじゃないかと心配になりました;。
 ただ、確かに康造さん達が言う通り雑なお通しだとテンションが下がって「ここは期待できないな…」と慎重なオーダーになりやすいですし、そういうお店が珍しくない分、思いがけず心尽くしが見えるお通しが出ると「お!」と嬉しくなってつい色々と注文しちゃいたくなるものまた事実ですので(←※両方とも、当管理人の超個人的観点です;)、大変だろうけどハルちゃんには頑張ってもらいたい!と勝手な事を考えながら読んだのを覚えています;。
元気がでる料理ではなく、呑みがすすむ料理を出すよう助言する親方さん
 この時、ハルちゃんが酒屋の寛治さんから「凹んで売り物にならなくなった」とたまたまもらっていたホワイトアスパラガスの缶と、ありあわせの材料をうまく組み合わせて作ったのが、この“缶アスパラのマヨネーズ焼き”です!
 作り方はとても簡単で、ベビーコーンとホワイトアスパラガスを程よく切ってフライパンで炒め、マヨネーズ・ガーリックパウダー・粗挽き黒胡椒を散らしてざっと混ぜたらもう出来上がりです。
 唯一ポイントがあるとするなら、ガーリックパウダーと粗挽き黒胡椒を入れ過ぎない事ですが、注意すべきところは本当にそれくらいで、その気になったら五分かそれくらいで作れるのが魅力的な一品です。
 正直、ホワイトアスパラガスの缶詰は高い割に味が独特であまり好みではなかったのですが、アスパラガスとマヨネーズの相性はかなりいいので外れはまずなさそうですし、何よりこの味付けなら缶臭さがなくてお酒がすすみそうなので、「これだったら食べてみたい」と俄然興味を抱いたものです。

 その後、ハルちゃんはマリさんへ「私っちでなくて親方さんが!しっかり呑んで頂けるようにって…」と言って“缶アスパラのマヨネーズ焼き”をそっとお出しするのですが、これが思った以上にマリさんの口に合ったみたいで、「とってもビューな肴よっ。サワーのお代わりもらっちゃおうかな!」と元気を取り戻していました。
 よくよく考えてみれば、サワーやビールのように飲み口が爽やかなアルコール類には、ガーリックマヨみたいにこってりした味のおつまみが罪作りなくらい合いますので、ピッチが早くなって当然だろうな~と苦笑しました(←もしこの辺を意識して味付けしたとしたら、ハルちゃんの作戦勝ちだと思います;)。
どうやら呑みが進むばかりではなく、元気も出てくる一品だったみたいで明るくなってました
 そんなマリさんを見て、内心「どうかしたのかな?」と気になっていたらしい他の常連さん達は、さりげなく「お仕事で難しい事でもありましたか?」と話しかけたりしていましたが(←近すぎず遠すぎずな間合いで相談にのろうとする姿勢が、何とも粋でした)、幸いお仕事は順調だったみたいで笑って否定していました。
 というのも、実はマリさんには密かに片思いしてる既婚者の男性がおり、そんな微妙な心境の中叔母さんから強引にお見合いを紹介されて断り切れなかったという厄介な問題を抱えて悩んでいたとの事で、後々こっそり打ち明けられた恋愛経験ゼロのハルちゃんはただひたすら混乱しており、ちょっと気の毒でした;。
 結局お見合いはお断りし、片思いは気持ちがおさまるまで進めず放っておく事を決意した模様でしたが、清廉な見た目によらずなかなかディープな秘密を抱えたマリさんに、初めて読んだ時は「妙にリアルだな~」と唸った物です(←ちなみに、これはハルちゃんにも明かされていない事ですが、片思いの相手はあの康造さんです;)。

 なお、顔見知りに過ぎないハルちゃんにこんな大事な話を何故しちゃったかと言いますと、マリさん曰く「ハルちゃんのお料理で気持ちよく呑んで、気持ちの整理がついたから」だそうで、ハルちゃんは自分の料理が初めて誰かの心を動かした事に、大きな喜びと衝撃を感じています。
 これまで単に「美味しい」と褒められたことはあっても、ここまで深く影響を与えた経験がなかったハルちゃんにとってこの一件は大変心に残ったようで、このエピソード以来明らかに「もっと料理を作りたい」と考えるシーンが増えている気がしました。
 これからハルちゃんがどんなお通しを、そしてどんな一品料理を作っていくのかが、楽しみで仕方がないです。
ハルちゃんの料理で気持ちよく飲めて、心の整理がついたので素直に悩みを話したそうです。
 先日、ホワイトアスパラガスの缶詰が比較的安く売られていましたので、再現する事にしました。
 作中に載っているレシピ通り、早速作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、食材の下ごしらえ。缶詰のホワイトアスパラガスは軽く汁気をきってから食べやすい大きさに揃えて切り、ベビーコーンは流水でさっと洗ってしっかり水滴を拭いてから半分に割ります。
 ※缶詰なのでホワイトアスパラガスは柔く、二つ切りで済ましてしまいたい気にもなりますが、時々頑丈な筋が軸に残ってたりしますので、それを断ち切る為にも長すぎず短すぎずで切った方がいいと思います。
缶アスパラのマヨネーズ焼き1
缶アスパラのマヨネーズ焼き2
缶アスパラのマヨネーズ焼き3
 次は、炒め作業。
 薄く油をひいて熱したフライパンへ先程のベビーコーンを入れて炒め、塩をふって味付けします(後々マヨネーズを入れますので、程々でOKです)。
 ベビーコーンの表面が大体炒まってきたらホワイトアスパラガスを投入し、ざっと炒め合わせます。
缶アスパラのマヨネーズ焼き4
缶アスパラのマヨネーズ焼き5
 ホワイトアスパラガスに熱が通ってきたらマヨネーズを加えて味を決め、途中ガーリックパウダーと粗びき黒胡椒を振りかけてまんべんなく混ぜ合わせます。
缶アスパラのマヨネーズ焼き6
缶アスパラのマヨネーズ焼き7
 調味料が全体へ行き渡って絡まったら火を止め、そのままお皿へ盛り付ければ“缶アスパラのマヨネーズ焼き”の完成です!
缶アスパラのマヨネーズ焼き8
 火が入る事によって風味が強まったマヨネーズとガーリックパウダーの香りが否が応にも食欲をそそり、思わず喉が鳴ります。
 ほぼ黄色がかったクリーム色一色ですので少し彩りが寂しい気がしますが、ブラックペッパーの黒色のおかげでそこまでのっぺりした印象ではないです。
 見た目だけでしたら如何にもお酒がすすみそうな料理という感じですが、果たして味はどうなのか…食べて確かめてみようと思います!
缶アスパラのマヨネーズ焼き9
 それでは、熱い内にいざ実食!
 いっただっきま~すっ!
缶アスパラのマヨネーズ焼き10


 さて、味はと言いますと…ベビーコーンのほのかな甘味がすこぶるビュー!マリさんがサワーを追加した理由が分かります!
 ホワイトアスパラは缶詰のせいか想像していたよりもかなり柔らかくて、軸は口に含んだ途端にトロトロホロリと甘く崩れ、穂先は最初から半ばペースト状になってねっとりと他の具に絡むくらい淡い口当たりだったんですが、それがかえって生のベビーコーンのサクサクシャキッとした爽やかな食感をより引き立ていて、ばっちり合ってました(←穂先ペーストがついたベビーコーンは、アンチョビを抜いてさっぱりさせたバーニャカウダをつけたような味がして面白かったです)。
 基本、にんにくの力強い旨味が効いた濃いめのガーリックマヨ味なんですが、生ではなくパウダーを使っているせいかそこまでしつこい感じではないのが食べやすく、スイスイ入りました。
 ベビーコーンもホワイトアスパラも油分が少ない為そのままだと今一つお酒が進みませんが、マヨネーズを足す事によってしっとりとコクが出ており、後引く美味しさになっていたのがよかったです。
 ガーリックパウダーやマヨネーズ、そしてホワイトアスパラのエキスでこってり甘じょっぱくてマイルドに仕上がっているのを、荒挽き黒胡椒のビリッとくるドライな辛さが程よく引き締めててだらしなくなるのを防いでおり、見た目よりはあっさりした後口に仕上がってました。


 多めに用意して味をさらに濃いめにしたら、スパゲティと和えてもいけそうです。
 生のホワイトアスパラガスだとまた違った印象になりそうな一品ですので、もし手に入る機会があったらそちらでも試してみたいな~と思いました。

●出典)『ハルの肴』 原作:末田雄一郎 作画:本庄敬/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

Comment

(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/1039-7e1e9345
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ