『まかない君』の“ポークビンダルー”を再現!

 ある休日、部屋の整理をしている時に小学校~高校までの教科書を発見し、つい懐かしくなって丸一日読み返しました。
 昔から読書が好きで、基本的にどの教科書も渡された日から夢中になって読んでいた物でしたが、中でも好きだったのは国語や現文の教科書。
 『スイミー』、『赤い実はじけた』、『ちいちゃんのかげおくり』、『一つの花』、『アナトール、工場へ行く』、『白いぼうし』、『注文の多い料理店』、『やまなし』、『手ぶくろを買いに』、『スーホの白い馬』、『ごんぎつね』、『ヤドカリ探検隊』、『山月記』など、思い出深い作品は山ほどありますが、個人的に最も心に残っているのは『少年の日の思い出』で、未だに「そうか、つまり君はそういう奴だったんだな」という言葉を思い出すたび胃がきりきりしますorz(←残念ながら、改訂版では「そう、きみってそういう人なの?」というコレジャナイ感がすごい台詞に変更されてます)。

 どうも、高校時代に友人から「あんこちゃんって、『山月記』の李徴に似てるね」と言われてしばらくへこんだ記憶がある管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君があるインドのカレーをヒントにして作った“ポークビンダルー”です!
ポークビンダルー図
 ある初夏の日、浩平君の作った昼食を食べ終えた直後に、弥生ちゃんは「晩ご飯はカレーが食べたい」と早くもリクエストをします(←佳乃さんは「すごい食い意地だこと」とからかっていましたが、四六時中食の事ばかり考えている当管理人は弥生ちゃんに激しく共感しました;)。
 人が悪い事に、浩平君は最初「鰈?」とわざと間違えて答えて弥生ちゃんを「カレー!浩平いじわるだなー」とムッとさせていましたが、最終的に拗ねた弥生ちゃんから「じゃーかれいでいいよ!」と言われた為、慌てて謝ってカレーにすると話していました;。
 というのも、実は浩平君は鰈の調理法がよく分からない上に値段がそこそこ高いのも知っていたとの事で(←結構魚を調理するシーンが多いので、これは意外でした)、それなのにあえて鰈を薦める浩平君は無謀だな~と苦笑しました。
 今回はあえなく却下されていましたが、鰈の煮付けは「暗いおいしさ(by東海林さだお先生)」があって個人的に好みの料理ですので、いつかチャレンジしてくれたら嬉しいな~と思います。
わざとカレーを鰈と聞き間違えたふりをする浩平君と、むくれる弥生ちゃん;
 ちなみに、この後お二人は近所のスーパーへ夕食の買い物をしに行くのですが、帰る途中通り雨に見舞われてしまい、近所の公園で雨宿りをしています。
 実を言いますと、家を出る前に浩平君は空模様が怪しい事に気づいて傘を持っていくか迷っていたのですが、何事もポジティブに捉える弥生ちゃんが「だいじょうぶでしょ」と直行した為傘は置いてきており、地味ながらもお二人の性格の違いが如実に表れていて笑いました;(←恐らく、浩平君は夏休みの宿題を必ず七月中に終わらせていた堅実派、弥生ちゃんは目一杯遊んだ後八月末にヒーヒー言いながら宿題を片付けていた無計画派だったんだろうな~と無駄な妄想が膨らみます)。
 この時、浩平君は雨でぬれて微妙に透けていた弥生ちゃんの白いシャツに視線が釘づけになっていたのですが、相変わらず弥生ちゃんはそんな浩平君のドギマギした様子に気づかずのほほんとしており、浩平君がちょっと気の毒になりました;。
 ただ、ラムネ菓子を無心にポリポリ食べているお二人の様子は、恋人同士というよりは兄妹にしか見えなかったので、弥生ちゃんが全く意識しないのも無理からぬことかもしれません。
雨宿りをしながら、弥生ちゃんのラムネ菓子をポリポリ食べていました
 そして帰宅後、弥生ちゃんのリクエストに応えるべく浩平君が手際よく準備した夕食が、この“ポークビンダルー”です!
 作り方は少し手が込んでいて、玉ネギを炒めておいたお鍋へ豚の角切り肉・おろししょうが・おろしにんにく・塩・こしょう・カレー粉・蜂蜜・お酢・青唐辛子を揉んで寝かせた物を加えて煮込み、火が通ってきたらお水とカボチャを入れてコトコト煮たら出来上がりです。

 浩平君曰く、「ポークビンダルーという酢を使った西インドのカレーを参考に」して作ったカレーとの事で、イスラム教徒の多いインドでは珍しい事に豚肉を使う料理です。
 調べた所、“ポークビンダルー”はインドのゴア州に伝わる郷土料理で、その昔ゴア州を支配していたポルトガルの煮込み料理が原型となって生まれたカレーだとあるサイトでご紹介されており、何故豚肉を使うのか謎が解けました(←ポルトガル料理は豚肉が使われる物が多いです)。
 「ビンダルー」の意味は「にんにく風味のビネガーにマリネする」で、その名通りお酢を味の要として使っているのが特徴で、お酢の力で豚肉が柔らかくなる上、酸味と辛味と甘味が複雑に入り混じって何とも言えない味わいのルーになるのだとか。
 なお、ゴア州では日本の味噌汁並に各家庭ごとに味が違うおふくろの味みたいで(←「うちのが一番!」とレストランで食べる方はあまりいないそうです)、それだけに本場のレシピはなかなか手間のかかる物が多かったんですが、浩平君はあくまで参考程度に留めて比較的作りやすいようにしており、ありがたかったです。
南インドにあるお酢を使ったカレーの「ポークビンダルー」を参考にしたとの事。
 この“ポークビンダルー”は弥生ちゃんだけでなく佳乃さんにも好評で、「甘酸っぱさが実にいい感じだね」「お肉も角煮みたいに柔らかくてステキ」と上機嫌になっていました。
 しかし、お酢で体は柔らかくならないけれど内臓脂肪は減るという話題になった時、弥生ちゃんがうっかり「じゃあヨっちゃんはたくさん飲まないとね」と失言した為、「なにい?」「もういっぺん言ってごらん。誰が脂まみれ生ホルモン女だって?(←注:弥生ちゃんはそこまで言ってません;)」と笑顔で怒ってしまってました;。
 普段は体重の事など気にせず飄々としているように見える佳乃さんですが、実はそれなりに気にしているんだな~とほろ苦く笑ったエピソードでした。
角煮みたいに柔らかく煮えた豚肉に、佳乃さんもご満悦の様子でした。
 青唐辛子がなかなか手に入らず再現がのびてしまってたんですが、先日やっと手に入ったので再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピが図解でしっかり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、お肉の下ごしらえ。ボウルへ豚の角切り肉、おろししょうが、おろしにんにく、塩、こしょう、カレー粉、蜂蜜、種を取って刻んだ青唐辛子を入れ、ついでにお酢も注ぎます。
 全ての材料を入れ終えたら素手でよく揉みこみ、冷蔵庫でしばらく寝かせます。 
ポークビンダルー1
ポークビンダルー2
ポークビンダルー3
 次は、炒め&煮込み作業。
 少し油をひいて熱したお鍋にスライスした玉ネギを加えて炒め、徐々にほんのり色づいてきたら先程の豚肉を漬け汁ごと一気に投入し、豚肉の色が白くなるまで炒め煮にします。
 ※玉ネギは飴色になるまで徹底しなくて大丈夫ですが、なるべく茶色っぽくなるまで丹念に炒めた方が、よりコクのある仕上がりになります。
ポークビンダルー4
ポークビンダルー5
ポークビンダルー6
 豚肉に火が通ってきたらお水とカボチャを入れ、フタをして中火で煮込み、やがて沸騰したら弱火にしてコトコト煮込みます。
 途中、フタを開けてカレーの量が減って煮詰まっているのを確認したらまたお水を投入し、今度は三十分以上かけて煮ます(←このカレーはとろみの素を一切使いませんので、出来れば二分の一くらいの量になるまでじっくり煮込み、ある程度トロッとさせる事をお勧めします)。
ポークビンダルー7
ポークビンダルー8
ポークビンダルー9
 その間に炊飯器へ研いだお米、お水、すりおろしたにんじん、バターピーナッツ、塩、オリーブ油を加えてフタをし、そのまま普通に炊きます。
 炊けたらにんじんが全体へ行き渡るよう、底からさっくりと混ぜ合わせておきます。
 見た目はちょっと癖がありますが、味見するとにんじんとピーナッツのほのかな甘味が効いてて美味で、思わず「(゜∀゜)!」な顔になってしまいました;。
ポークビンダルー10
ポークビンダルー11
 カレーが程よく煮えたら火を止め、にんじんとピーナッツのご飯をよそっておいたお皿へたっぷりかければ“ポークビンダルー”の完成です!
ポークビンダルー12
 お酢特有のツンとくる香りは一切ないのですが、カボチャが入っているせいかスパイスに交じってどことなく甘い香りが漂っており、まるでスープカレーのようにサラッとしています。
 作ってみて一番びっくりしたのはピーナッツの色の変わりようで、白っぽかったのが艶のあるこげ茶色へと変化しており、食欲がそそられました。
 お酢とカボチャを使ったカレーを食べるのは初めてなので緊張しますが、浩平君を信じて食べてみようと思います!
ポークビンダルー13
 それでは、冷めないうちにいざ実食!
 いっただっきま~す!
ポークビンダルー14


 さて、味はと言いますと…本当にあまり「お酢!」って感じじゃなくて旨し!辛さと甘さのバランスが絶妙です!
 お酢が入ってると分かるくらいには酸味がありますが、口に入れた途端ほっくりトロリと崩れていくかぼちゃの濃密な甘さと、蜂蜜の奥深い甘味がダブルで効いているせいか「フルーティに甘酸っぱい」程度で、決して酸っぱくありません←果物をたっぷり入れてドロドロになるまで煮込んだカレーにそっくりな後口でした)。
 見た目によらずルーは激辛に近い辛さで、最初からいきなりビリッとくる刺激的な美味さが特徴的なんですが、最後までドライに辛過ぎる乾燥赤唐辛子とは違い、ハーブに似たフレッシュな風味が漂う爽やかな辛さの生青唐辛子を使ったおかげで、スカッと突き抜けた後は清々しい余韻しか残らず、かえって病み付きになってバクバクいけます。
 佳乃さんの言う通り、お酢の効用で角煮みたいになった豚肉が美味で、結構分厚いのにザクッと簡単に噛み切れてホロホロとほぐれるのに感心しました。
 また、ピーナッツは水分を吸ったせいか、ポリポリ砕ける硬い歯応えがポクポクサクッと軽やかに噛み切れる食感になっており、びっくり。
 乾燥している時よりもナッツ特有の香ばしい油分がさらに増し、甘やかでコクのある味わいになっていてそれが不思議に甘酸っぱ辛いスパイシーカレーに程よいアクセントをプラスしています。


 一見、とても癖がありそうに見えたにんじんとピーナッツのご飯ですが、実際に食べるとまた試したくなるくらいハマりました(←濃いカレールーにぴったりです)。
 とろみがほぼなくてサラサラですのでスルッと胃に収まりますし、お酢のおかげで味的にも健康的にも嬉しいカレーになっていて、感心した再現でした。

●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。

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2014.07.03 Thu 23:06  |  管理人のみ閲覧できます

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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