『作って食べよう!全国有名駅弁』の“摩周の豚丼”を再現!

 昨年末に、「吉野家が牛丼値上げを決断した」というニュースを聞いて以来、2009年に発売休止にされたひらひらタイプの豚丼を復活してほしいな~という気持ちが日に日に強まっています。
 今売られている焼豚丼もおいしいのはおいしいのですが、牛肉にはないあっさりした旨味と、柔らかい口当たりが美味な煮豚丼は個人的に好みでしたので、復活次第また食べに行きたいな~と考えています。

 どうも、連日流れている牛すき鍋のCMに影響されて夕食をすき焼きにした事は一度や二度ではない当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『作って食べよう!全国有名駅弁』にて森口さんが営業部の後輩・吉井君にお願いされて作った“摩周の豚丼”です!
摩周の豚丼図
 普段、女性陣からは「キモッ」「鉄オタ」「駅弁マニア」と散々な呼ばれ方をされ、上司からも「馬鹿な事言ってないで仕事しろ!」とガス抜きついでに怒られやすい吉井君ですが;、話が進むにつれ、そんな彼にもやっと彼女が出来ます。
 お相手は、取引先の一つである<やまとデパート>に勤めている美人社員・岡安美雪さん。
 当初は吉井君の一目惚れから始まった片思いだったのですが、ある駅弁をプレゼントされたのをきっかけに両思いになってお付き合いする事になり、それからというもの催事の打ち合わせを口実に何かと会ったりしてはいちゃついている為、双方の会社からは苦笑いされながら見守られている状態です;(←もっとも、実際に駅弁を作ったのは森口さんで、二人の橋渡し役をしたのは宮本さん。その為、お二人はこのカップルにとってはキューピットのような存在で、よく頼られています;)。

 ムードメーカーでどこか憎めない性格なものの、いつも失敗をやらかしては「ノーン!」と叫んでいじられる吉井君と、明るくしっかり者でちょっと変わった感性を持つ岡安さんのカップルは、一見デコボコに見えて実は相性ぴったりで、おっちょこちょいな宮本さんと面倒見がいい森口さんのコンビに、どことなく似ているような気がしたものです(←但し、このお二人はお互いを「いないと寂しい存在」だと思いつつもその気持ちが恋愛感情かどうかは今一つ分からないみたいで、恋人を通り越してもはや兄妹みたいな関係になっている為、見ている方がヤキモキします…;)。

 今回ご紹介するのは、その岡安さんが後輩・小室哲子さんの教育を任される事になり、新しい北海道フェアの企画を一緒に立てなくてはならなくなった時のお話。
 小室さんはおかっぱ頭に眼鏡という地味な容姿の上、声が小さくて小柄なせいか日頃その存在になかなか気づいてもらえないという、どこの職場にも一人はいそうな気の毒な新入社員;。
 しかし、仕事に対して情熱がない訳ではなく、ある打ち合わせで「カニじゃなくて、特選銘菓とお肉の北海道フェアなんてどうかなって…」と岡安さんに提案し、その目玉商品として豚丼をプッシュします。
 北海道と言えば、まず最初にカニ・ウニ・いくら・甘えび・ホタテといった華やかな海産物が頭に浮かびますので、始めはあまりピンときませんでしたが、よく考えてみれば北海道にはジンギスカンという王道料理がありますし、その他にも日本一の飼育数を誇る牛肉や種類豊富なジビエもあって肉の分野も十分魅力的ですので、小室さんの目の付け所は結構いいのでは…と感じたのを覚えています。
吉井君に奇跡的にできた彼女・岡安さんと、その後輩社員・小室ちゃん
 けれども、この話が掲載された2011年当時、豚丼は大手チェーン店で「牛丼の代替品」「牛肉輸入が回復するまでの、一時的なサブメニュー」として出回っていた時期であまり印象がよくなく、その案を聞いた岡安さんと吉井さん(←今回の催事には<丸亀商事>も参加する為、一応担当者として来てました;)は大反対!
 ジンギスカンはいいとしても、豚丼ではとても顧客の心は惹きつけられないと決めつけ、「あの~、だからこの資料を…」「あの、豚丼と言っても北海道の豚丼…」とぼそぼそ声ながらも必死に訴えかける小室さんの意見を聞こうとせず、結論は次回にまわされていました;。

 当管理人は豚丼も牛丼と同じくらい大好きですので、初見時はこのシーンを見て(´・ω・`)という表情になっちゃいましたが;、この頃は現在広く知れ渡っている帯広系豚丼は全国的な認知度が低く、単に「牛丼の肉を豚肉に置き換えてみました」という豚丼の方がまだ主流で、尚且つチェーン店でいつでも食べられるイメージがついていましたので、「催事場で出す程ではない」という判断になっても仕方ないのかもしれない…と渋々ながら納得したものです(←ちなみにそれは宮本さんも同じだったらしく、給料日前に「おいし~!薄切りの肉に味が染み込んでてもう絶品!」「安いしうまいし、豚丼は給料日前の私の恋人よ~!」と満面の笑みを浮かべており、親近感を感じました;)。

 が、その後、吉井さんは同じく重度の駅弁マニアである亀さんと会社で顔を合わせたおかげで、「そうだ、北海道には摩周の豚丼という有名駅弁があった!」という事を思い出し、豚丼でも十分催事場の主役に出来ると確信します。
 摩周の豚丼とは、北海道の摩周駅で売られている駅弁で、発売元であるぽっぽ亭様がお店でお出ししている豚丼を、そのままそっくり駅弁にした豪快なお弁当(←何と2005年に新発売された時、京王百貨店駅弁大会でいきなり売上第二位になるという快挙を成し遂げています!)。
 肉厚で柔らかな豚肉を甘辛いタレで味付けした、いわゆる帯広系の豚丼で、宮本さんが言うには「この秘伝のタレと豚肉の油の出会いが豚丼の醍醐味です」との事でした。
発売元であるぽっぽ亭様がお店で出されてる豚丼を、そのまま駅弁に!
 こうして、北海道フェアに豚丼を取り上げる事を決意した吉井さんは、岡安さんに帯広系豚丼の素晴らしさを理解してもらう為、森口さんにまたなんちゃって駅弁を作ってもらうよう懇願し、嫌々ながらも承諾してもらいます(←ちなみに、吉井さんは今回だけではなくその前後でも森口さんのなんちゃって駅弁を使って企画を立てており、最終的には功績が買われて新設された課の担当者に抜擢されるという大出世を果たしています;。甘え上手のお願い上手は世渡り上手でもあるんだな~と再確認し、「ちゃっかりしてるな~」と苦笑いしましたが、おかげで実力以上のものを求められてかなり困っていましたので、ちょっと気の毒でした;)。

 その際、森口さんと助手役として呼ばれた宮本さんが早朝に集まって作ったのが、この“摩周の豚丼”です!
 作り方は意外と簡単で、真っ二つに切った豚ロース肉の両面を焼いた後一旦取り出し、そのフライパンへ麺つゆ・お水・砂糖・水飴を加えて煮詰めてタレを用意し、また豚ロース肉を戻し入れて絡め、十穀米を敷き詰めたお弁当箱に盛り付けたら出来上がりです←付け合わせのゴマ俵のレシピもありますが、長くなりますのでそちらは作る時にご紹介します)。
 ポイントは、豚ロース肉は生姜焼き用の微妙に厚いタイプを使うこと、タレの材料を入れる時に取り出した皿へにじみ出た肉汁を加えること、軽く焦げて炭火焼きっぽい香りが立つまで煮詰めることの三つで、単純に見えて実は凝ったレシピなんだな~と感心したものです。

 以前、“極黒豚めし”という似た系統のガッツリ系駅弁も再現した事があるのですが、甘辛醤油味という部分は同じでも、タレの隠し味は全く違っているのが衝撃で、原作者の守靖ヒロヤ先生はちゃんと各々の味付けの個性を研究された上でレシピを作成されているのだな~と、好感を抱きました。
 調べた所、水飴は元々焼き鳥のタレのベースに使われる事が多い隠し味で、照りツヤを出す・マイルドな甘味を足す・香ばしい匂いを出すという効果があるのだそうで、これならご飯が進むあの独特の旨さを再現するのも夢じゃないかも…とお腹がすいてきたのを覚えています;。
いつものように森口さんに駅弁つくりをお願いしていましたが、さすがにうんざりされてました;
 その後、このなんちゃって版“摩周の豚丼”を<やまとデパート>へサンプルとして持ち込んだ吉井さんは、当初反対派だった岡安さんを見事説得するのに成功し、何とか一息つきますが、この駅弁は他にも予想外の効果をもたらします。
 それは、一見暗くて大人しく見えた小室さんに「そう!これです!私がずっと言いたかったのはこの駅弁なんです!」と興奮した大声を出させ、明るい素の顔を引き出したこと←それからあれよあれよという間に、本当は勝気でテキパキした、口も頭も達者な女の子であることが判明していました;)。
 どうやら、今まで声が小さく控え目だったのは、入社したてで緊張している状態を「素」だと思われたまま今日までズルズル来てしまい、本来の性格を出すタイミングを完全に見失って途方に暮れていたからというのが真相らしく(←地味によくありそうな事ですね;)、その日からはごく自然に明るいキャラとして職場になじめたようでした。

 ですので、本来はそのきっかけを作った吉井さんは恩人のはずなんですが、鋭い観察眼で「このお弁当あなたが作ったんじゃないでしょ!」と見抜き、「お願い~!美雪ちゃんには内緒にしておいて~っ!!」「どーしようかなぁー」というやり取りをしてからは上下関係は完全に逆転しており、思わず「やり手だな~」と苦笑しました;(←とはいえ、後に岡安さんと吉井さんが大ゲンカした時は何だかんだ言いつつ仲を取り持っていましたので、内心放っておけない人だとは思っているみたいです)。
 後に、仲良しだけれども複雑な家族関係で素直になれずにいる切ないエピソードが描かれていますので、いつか再現ついでにご紹介できたらな~と考えています。
一見暗そうに見えていましたが、実は結構強気で明るい性格の女の子でした
 先日、催事場で本物の“摩周の豚丼”を購入して食べる事が出来ましたので、再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ゴマ俵作り。フードプロセッサーへ、骨と皮を取り除いて大雑把に切ったタラを入れてスイッチを入れ、約一分かけてすり身状にします。
 段々ねっとりしてきたら、皮を剥いてすりおろした山芋、卵白、片栗粉、塩、千切りゴボウ、千切りにんじんを足し、再度スイッチを入れて細かくします。
摩周の豚丼1
摩周の豚丼2
摩周の豚丼3
 その内、タラのすり身に野菜類が細かく刻まれて混ざるようになったら中から取り出し、何等分かに分けて俵形にまとめ(←手水をつけて丸めるとやりやすいです)、全面に炒った白ゴマをまぶします。
 このタネを蒸気がモワモワ上がった蒸し器に入れ、十五~二十分かけて蒸しあげたら、ゴマ俵は出来上がりです。
摩周の豚丼4
摩周の豚丼5
摩周の豚丼6
 次は、豚肉の準備。強火にかけて油をなじませた大きいフライパンへ、真っ二つに切った生姜焼き用豚ロース肉を並べ、両面をこんがり焼きます。
 焼きあがったら一旦別皿へ移し、肉汁がついたフライパンに麺つゆ、お水、砂糖、水飴を加え、全体が混ざるようゆっくりゆらしながら煮詰めていきます。
 ここへ、豚ロース肉を置いたお皿ににじみ出てきた肉汁も足して、しっかり混ぜ合わせます。
摩周の豚丼7
摩周の豚丼8
摩周の豚丼9
 やがてタレが水飴風にトロリと煮詰まり、軽く焦げた炭火焼きっぽい香りが漂ってきたら、先程の豚ロース肉を戻し入れてタレを全体に絡め、火を止めます。
 その間、お弁当箱にゴマ俵、山クラゲ、味噌漬けたくあん、紅しょうがを盛りつけ、炊き立ての十穀米を詰めておきます。
摩周の豚丼10
摩周の豚丼11
摩周の豚丼12
 焼けたばかりの豚ロース肉を十穀米の上へ飾りつけ、その上へ残りのタレをかけ回せば“摩周の豚丼”の完成です!
摩周の豚丼13
 ちなみに、下にある画像の一番目はなんちゃって、二番目は本物なのですが、見た目はあんまり似ていなくて落ち込みましたorz(←しかも、本物の駅弁にはゴマ俵ではなくまりも羊羹がついていましたので、尚更ちぐはぐなような…;)。
 ただ、冷めても尚香ってくる香ばしい風味は似ていた為、これはひょっとすると…とワクワクしたものです。
摩周の豚丼14
摩周の豚丼15
 それでは、割りばしを割っていざ実食!
 いっただっきまーす!
摩周の豚丼16


 さて、感想はといいますと…肉がやや薄めで噛み応えが物足りないものの、それを除けば結構似ていて旨し!あの独特なタレが、ほぼそのまま再現出来てます!
摩周の豚丼17
 作中にあった通り、水飴が焦げた香りは炭火焼きの匂いにそっくりで、豚肉から出た濃厚な脂が混然と入り交じったタレが奥まで染みたその美味しさは、例えるとするなら「ウナギの蒲焼き風豚丼」という感じでした。
 砂糖よりも甘味が深く、蜂蜜よりもあっさりしている水飴の甘さは、脂肪と赤身が半々でバランスがいい豚肩ロースにぴったりで、その上足りない旨味は麺つゆの和風出汁が補ってくれていた為、即席の割にはよく出来たタレだと思います。
 醤油は一切入れていませんが、麺つゆに含まれる醤油の塩気だけで十分ご飯が進む重厚がっつり系甘辛照り焼き味に仕上がっており、醤油が最小限でいっそ清々しい程甘いのがかえって功を奏し、意外と後味がどくないのに感心しました。
 このこってり極まりない豚肉を、武骨な噛み心地と力強い味わいが特徴的な雑穀米ががっちり受け止め、見事に調和しているのがよかったです。
 また、ゴマ俵を食べるのは初めてですが、一口かぶりついた途端たっぷりまぶしたゴマが口の中でプチプチと賑やかに弾け、中からふんわりむっちりした淡泊な白身のすり身が顔を出すのが美味で、地味ながらも印象に残る味わいで好きになりました(←柔らかくて口溶けがサラッとしたカマボコというイメージです)。
 ゴボウのザクザクした食感と香ばしい風味がいいアクセントになっており、それがゴマの素朴な油分とよく合っていました。


 熱々の内に食べるのもおいしいですが、冷めても味がおちませんので、まさにお弁当向きの豚丼です。
 ビールにも合いますので、ご飯抜きでおつまみ用につくるのもありだと感じました。
 残念ながら、ゴマ俵だけは再現度を推し量る事が出来ませんでしたので、いつか本物を食べて確認したいな~と思いました。

●出典)『作って食べよう!全国有名駅弁』 原作:守靖ヒロヤ 作画:上農ヒロ昭/日本文芸社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
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 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
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