『薬膳仙女マダム明』の“陳皮入り雑煮”を再現!

 新春明けましておめでとうございます!
 2015年も、当ブログ共々よろしくお願い申し上げます。


 本日再現する漫画料理は、『薬膳仙女マダム明』にて王チーフが日本のお正月に合わせて考案した“陳皮入り雑煮”です!
陳皮入り雑煮図
 一巻では、マダム明と王チーフの二人が中心となって<桃源楼>は波乱もなく淡々と回っていましたが、二巻初めにある人物が新入社員として入社して以来、いろんな意味で新しい風が吹き荒れる事となります。
 その人物とは、お向かいに出来たばかりのライバル店<長江薬膳>のオーナー・小早川俊介さんから、スパイとして内情を探るよう言い含められた実の妹・鈴木留華ちゃん。
 幼い頃、両親の死が原因でやむを得ず親戚に預けられた挙句ひどい目にあっていた留華ちゃんは、間一髪の所を小早川さんに救われからずっと恩を感じており、他ならぬ兄の頼みならと「特別室」の秘密を暴く為に調理師として潜入し、決定的証拠を掴もうとマダム明に色の道の特訓を願い出るまでに至ります←もっとも、実際に「特別室」の内情を見ると決して色の道メインではなく、男女問わず悩みを聞いて体操を教えたり、体のコリを揉み解すマッサージをしたり、寄り添ったりするだけという依頼も多く、まるで「性と健康のよろず相談所」みたいな感じであるのに気付き、ちょっと拍子抜けしたみたいですが;)。

 けれども、想像していた以上にマダム明は慈愛深く、特訓の件も「人一人の人生に関わる事だもの」「ゆっくり焦らず気持ちを固めて欲しいのよ」と急に教えるようなことはせず、本当にそれでいいのか考える十分な時間を与えたり、肝心の行為は先延ばしにして簡単な特訓ばかりさせ、途中で引き返せるよう配慮をした上、精神的な支えになれるようさりげなくサポートしており、それまで「夜な夜な他の男達に平気で体を与えている、超然とした女」とマダム明に敵対心を抱いていた留華ちゃんの頑なな心を、少しずつ溶かしていきます。
 実を言いますと、この頃マダム明は跡継ぎが作れず悩んでいた時期でもありましたので、普通の人だったら焦って教えていてもおかしくない状態だったのですが、最後まで穏やかでゆったりした態度を崩さず、留華ちゃんが心身ともに疲労しないよう細心の注意を払っていました。
 マダム明自身は幼い頃からこの道を継ぐことを疑問に感じず、「性に苦しむ人をらくにしたい。それがわたしの使命よ」と考えるようになったようですが、だからと言ってそうではないごく普通のお嬢さんに自分の生き方を強引に押し付けないところに、マダム明の冷静で広い視野が感じ取れたものです(←個人的に、特異な生き方をされた方程、かつての自分を否定されないよう「自分のやり方が絶対だ!」と他の考え方を認めず、威圧的になりやすい傾向があるように感じてますので…)。

 おかげで、留華ちゃんはマダム明に敬愛と感謝の気持ちを抱くようになったり、王チーフに淡い恋心を抱くようになったり、他の<桃源楼>スタッフ(←意外かもしれませんが、みんな「性医」や「食医」の家系とは全く無関係の、現地採用の日本人です;)に愛着を感じたりと、最初は気が張っていて年より大人びた冷たい印象だったのが、段々年頃の女の子らしさと本来の持ち味である無邪気で明るい性格を取り戻していったので、読んでいてほっとしたのを覚えています;。
 けれども、そうなればなる程必然的に<桃源楼>と<長江薬膳>の板挟みになり、巻が進めば進むほど悩みも苦しみも増していきましたので、最終話までハラハラしながらその身を案じたものです(←その顛末までいつかご紹介できたら…と思っています)。
最初はスパイとして潜入していましたが、段々マダム明の人柄や生き方に惹かれていきます
 今回ご紹介するのは、留華ちゃんが入店して少し経った頃に迎えた年末のお話。
 実を言いますと、<桃源楼>は毎年本場中国の旧正月しか祝わず、一月に祝う日本式のお正月は通常通りのメニューしかお出ししていなかったのですが、それを聞いた留華ちゃんから「お客さんも日本人だし、やっぱりそれらしいものを特別メニューとして出した方がいいような気がしますけど」と率直な意見を出されたのをきっかけに、マダム明と王チーフは新たなお正月メニューを考える事にします。
 どうやら<桃源楼>は、上層部が全てを決めるのではなく、上はマダム明から下は新人まで含めて気軽に話し合って今後のフェアや企画を決める方式らしく、マダム明は「いいアイディアはすぐ取り入れるわ」「ありがとう留華ちゃん。ここは日本だから、日本の事情にあわせて考えなくてはね」とお礼を言っていました(←鷹揚なオーナーがいる小規模店ならではの強みだな~と、羨ましく感じたのを覚えています;)。

 そこで、王チーフは「日本人にとってのお正月のイメージ」を店員たちに聞き、その結果「お年玉!(←お店にすごい負担が;)」「たこ揚げ…古いかな(←確かに;)」「紅白歌合戦(←それは大晦日;)」「こたつにみかんかな(←店内に持ち込んだらすごい光景になりそうですね;)」など様々な意見が出るのですが、最終的にあるスタッフが「お雑煮!」と言ったのと、「みかん」という単語に耳が留まった王チーフは、陳皮を使ったお雑煮はどうだろうかと思い付きます。
 陳皮は漢方薬の一種で、買うとそこそこのお値段になるのですが、元はみかんの皮で作るのも時間はかかるものの簡単で、その上「血行促進」「体温上昇」「美肌効果」「生活習慣病の予防」「胃腸と肝臓の保護」「せきやたんを抑える効果」「むくみ予防」といった様々な効能がある為、マダム明も「それはおいしそうね」「王がつくるのだからおいしいに決まってるわ」と賛成し、早速試作を繰り返させていました(←ついでに、正月&受験シーズンのお持ち帰りプレゼントに陳皮も採用されてました。こんなお得で体に優しい薬膳料理店があったら、絶対通いたいです;)。
いい意見は何でも取り入れる柔軟なマダム明は、留華ちゃんのアイディアを採用します
 その後、王チーフが色々作った末に完成させたお正月特別メニューが、この“陳皮入り雑煮”です!
 作り方は簡単で、ゴマ油をひいて火にかけたお鍋へにんじん・椎茸・さやえんどう・陳皮・鶏がらスープ・塩・こしょうを入れて炒め煮し、焼いたお餅を入れた器へ具ごとスープを注ぎ、仕上げに長ネギ・チャーシュー・うずらの卵・クコの実を飾り付けたら出来上がりです。
 ポイントは、野菜や陳皮のエキスが出るよう少し煮込むことと、お餅へスープを注ぐ時は必ず両方とも熱々にしておくことの二つで、年末年始で忙しい時でもお手軽に用意できそうな所がいいです。

 王チーフ曰く、「もちは消化も良く体をあたためる効果があるので、陳皮と共にカゼ予防になります」だそうで、試食したマダム明も「おいしいわ。中国風のだしと日本のおもちがとっても良く合ってるわ」「これならお正月だけでなく、冬期のメニューに組み込んでもいいわね」と嬉しそうにほほ笑んでいました。
 マダム明は「お金も余裕もある一部の人間が食べられる薬膳」ではなく、「だれでも簡単につくれて、毎日気軽に楽しめる薬膳」を理想にしているので、それだけにこのお雑煮が気に入ったらしく、王チーフもほっとしたようでした。
お餅も陳皮も体を温める効果があるので、風邪予防に最適だそうです。マダム明も気に入ったようで、すぐにお正月の特別メニューへ組み込んでいました。
 和風出汁を使ったうちのお雑煮も好きなのですが、たまには違った味も試してみたいと思い再現する事にしました。
 作中には分量やコツも載った詳細なレシピがきちんと記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、上からかけるスープ作り。ゴマ油をひいて火にかけたお鍋へ、皮を剥いて細切りにしたにんじんとスライスした椎茸を加え、炒め合わせます。
 表面に油が回ってきたら、斜め切りにしたさやえんどうを入れてさっと混ぜ、鶏がらスープを注ぎます。
 ※さやえんどうの鮮やかな緑を重視される方は後入れでもOKですが、炒めた方が香ばしくておすすめです。
陳皮入り雑煮1
陳皮入り雑煮2
陳皮入り雑煮3
 続けてそこへ陳皮、塩、こしょうを振り、弱火でゆっくり煮込みます。
 これで、お雑煮用のスープは出来上がりです。
 その間、大きめの容器へオーブントースターでこんがり焼いたお餅を並べて千切りにした長ネギを乗せておき、先程出来たばかりの熱々のスープをたっぷりかけます。
陳皮入り雑煮4
陳皮入り雑煮5
陳皮入り雑煮6
 お餅の上へ縦に二つ切りしたうずらの卵とスライスしたチャーシュー、そして水で戻したクコの実をトッピングすれば“陳皮入り雑煮”の完成です!
陳皮入り雑煮7
 日本のお雑煮に比べると、大分具沢山で野菜がたっぷりとれるという感じで、お雑煮というよりは一瞬ラーメンに見えます;。
 鶏ガラスープとお餅という組み合わせは初めてですので想像がつきませんが、美味しそうな予感を信じて食べてみようと思います!
陳皮入り雑煮8
 それでは、いざ実食!
 いただきます!
陳皮入り雑煮9


 さて、感想はといいますと…お雑煮というよりは、全く新しい餅料理で美味し!中華風の味付けに和風のお餅がよく合ってます!
 陳皮から溶け出た柑橘系のスカッと爽やかな風味が効いた、あっさりしたコクのシンプル塩味の鶏ガラスープは、お出汁というよりはタンメンのスープという印象で、その残り汁にお餅を入れてシメにしているような錯覚を覚えました。
 ひと口啜るごとに、みかんの皮特有の素朴なほろ苦さと、清々しい和の香りがふわりと鼻腔を過ぎていく感じは、辛くないみかん胡椒か柚子胡椒をいれたお出汁に非常に似ており、癒されます。
 香ばしく焼けたお餅のパリッとした焼け目の隙間に、スープが少し染み込んでトロンととろけた部分と、中心のがっしりしたコシがあって噛み応えがある部分の二つに分かれ、お焦げの中華餡かけ風になっているのが楽しく、飽きませんでした。
 きぬさやのシャキシャキパリッとした小気味良い食感、椎茸のワンタンみたいにツルンとした舌触り、にんじんのサクサクホロリとした柔らかい口当たりが口の中を賑やかにし、単調になりがちな雑煮にいいアクセントをプラスしています。
 例えるとするなら「野菜たっぷりでヘルシーな中華粥風雑煮」というイメージで、野菜から出た優しい甘味とチャーシューの肉汁がスープ全体に深みを出させ、後口にしみじみした余韻を持たせるのに成功していました。
 クコの実の甘酸っぱさと、うずらの卵の小さなホコホコ感が目先を変えるいい箸休めになってますし、お正月でなくても食べたくなる程完成度が高い一品です。


 和風のお雑煮もいいですが、段々それに飽きた頃に作ると目先が変わっていいんじゃないかな~と思いました。
 焼いたお餅ではなく、軽く塩茹でしたお餅を入れてもいけそうです。

●出典)『薬膳仙女マダム明』2巻 原作:楊愛蓮 作画:花小路小町/メディアファクトリー
      『薬膳仙女マダム明』3巻 原作:楊愛蓮 作画:花小路小町/メディアファクトリー
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.01.05 Mon 12:46  |  

陳皮は市販のものですか?
それとも手作りされたのでしょうか
もし手作りされたのなら、簡単でいいので作り方も教えていただけるとありがたいです

  • #fH61reBs
  • 大久保
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・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
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