『風流つまみ道場』の“生サーモンのネギ油造り”を再現!

 先日、あるメーカーさんのマスカットゼリーを何の気なしに食べていた所、底からハート形のゼリーがざっくざっくと掘り出された為、少し驚きました(←このゼリーですが、パッケージでは特にハートゼリーの存在は強調されていなかったので、尚更衝撃的でした;)。
 こういう、食べてみて初めて分かる遊び心は思わずニヤリとすると同時に心がなごみますので、ちょっと幸せな気持ちになります。

 どうも、以前あるお店で茶碗蒸しを食べた所、底におもちが忍ばせてあって嬉しくなった当管理人・あんこです。 


 本日再現する漫画料理は、『風流つまみ道場』にて錦ちゃんがサーモンが苦手な大家さんの為に作った“生サーモンのネギ油造り”です!
生サーモンのネギ油造り図
 ある日、仕事帰りに錦ちゃんはいつも通り<夕月>へふらりと立ち寄るのですが、そこで偶然にも憧れの女性・恵梨華さんと、その父である大家さんと遭遇します。
 この思わぬ幸運に錦ちゃんは喜ぶのですが、その直前にちょっとしたひと騒動があった為、錦ちゃんは急遽<夕月>の臨時助っ人として厨房に立つ事になります(←もっとも、錦ちゃんはお酒に弱くてすぐ酔いつぶれて眠るタイプ&恵梨華さんは酔うと性格が180度変わってヒートアップする酒癖の悪いタイプというあべこべな組み合わせですので、どちらにしろあまり会話できなかったと思うのですが;)。

 その原因は、輸入物の生サーモン。
 この日、<夕月>のおすすめメニューは生サーモンのお刺身で、それを聞いた恵梨華さんは「あッ、アタシ大好き。じゃあそれくださーい」とウキウキしながら注文するのですが、それに待ったをかけたのが大家さん。
 何でも大家さん曰く、チリやノルウェー産のサーモンは「いやあ、あれはボクは脂がのりすぎてて苦手だなあ」「おまけに鮭くささも強くてさ」という理由で敬遠していたらしく、娘の恵梨華さんが宥めようとしても「いや、何か工夫をしてくれないとボクは食べたくないね」と頑なに拒否しており、ママも「えー。刺身なら切るだけでいいから楽なのに」と思わず心の本音を漏らしていました(お二人とも気持ちは分からなくもないですが、ママに対しては「その言葉は飲食店の方にとって禁句だと思いますよー!」と突っ込みたくなりました;。ママは見た目は大人の色っぽい女性ですが、中身は無邪気な子どものままで、傍から見ていると危なっかしくて目が離せないです;。←だからこそ、錦ちゃんも苦笑しつつ手伝っているのかもしれません)。

 北欧の冷たい海で養殖されたサーモンは脂たっぷりで、日本だけではなく海外でも根強い人気がありますが、その割に値段もお手頃で食卓をパッと華やかにする力があり、カルパッチョやマリネなどにするといいおつまみになるのが嬉しい魚です。
 とはいえ、なまじ生で食べるのが一番おいしいだけに、下手に手を加えるとかえって本来の旨味が損なわれてしまう難しい食材でもある為、ママが困惑するのも分かる気がしたものです。
娘さんとは違ってサーモンが苦手な大家さんの為、錦ちゃんはアレンジ料理を作る事に
 その際、錦ちゃんが「大家さんでも食べやすいように、ちょっとアレンジしてみましょう」と言って用意したのが、この“生サーモンのネギ油造り”です!
 作り方は簡単で、サーモンのお刺身に昆布茶と醤油をまぶした物に長ネギ・しょうが・青ネギをたっぷり乗せ、熱したゴマ油とサラダ油をネギ類めがけて一気にかけ、全体をざっくり混ぜ合わせたら出来上がりです。
 ポイントは、油は煙が出るほど熱々にして手早くかけることと、油は薬味類にだけかかるようにすることの二つで、こうする事によってネギやしょうがの香りが引き立ち、サーモンにも余分な熱が入らず食感を保てるとの事でした。

 中華風の刺身に少し似ていますが、あちらは材料がもう少し多くナッツ類も足してあり、使う刺身も鯛オンリーなのに対し、こちらは薬味も味付けもよりシンプルにして味が濃いめなサーモンを合わせているのが決定的に異なっており、味の想像がつかなかったのを覚えています。
 実を言いますと、ラズウェル細木先生はこの単行本を出された頃、サーモンのお寿司を「どうもいまだになじめないのですが」と表現なされているくらい、サーモンは然程お好きではないご様子だったのですが、だからこそこういう新しい食べ方を考案されたのだそうで、その食に対するあくなき好奇心とチャレンジャー精神には頭が下がったものです。

 実際に食べた大家さんが言うには、「フムフム、薬味とゴマ油の風味がサーモンのクセをおさえていて、たしかに食べやすい」との事で、思ったよりも食べやすいのに感心していました。
 ちゃっかり味見という名のご相伴にあずかったママも;、「サーモンの脂っぽさが気にならないわね」「ビールやチューハイのおつまみにピッタリね」と満足しています。
 生サーモンの舌触りと脂をそっくりそのまま残し、それでいて刺身やカルパッチョとは一味違った旨さに仕上げた、面白い料理だと思いました。
こうする事によって鮭の臭みも消え、サーモンが苦手な方でも食べやすくなるのだとか
 食後、一転してサーモン好きになった大家さんから「いやはや、こーしてみると生サーモンもなかなかうまいもんだなあ」と言われ、恵梨華さんからも「さすが錦之介さんだわ」と尊敬のまなざしを向けられた錦ちゃんはすっかり気をよくし、満面の笑みを浮かべて「輸入の大西洋の鮭は品質管理がしっかりされているので、寄生虫の心配もなく安心して生食できるんですよ」とサーモン豆知識を披露します(←『酒のほそ道』の宗達さんと同じく、気分が乗ると食のうんちく話をするのが錦ちゃんの唯一の欠点;)。

 しかし、あまりにも饒舌になり過ぎたせいで「いわば深窓の令嬢。恵梨華さんみたいに、なーんちゃって。だははは」とつい口を滑らせてしまい、ムッとした大家さんから「おいおい、ウチの娘を食べないでくれよ」と釘を刺されていました;(←錦ちゃんが恵梨華さんへの好意を大家さんの前で表したのはこれが初めてですが、どうやら父の勘で錦ちゃんの恋心を敏感に察知したみたいです;)。
 おかげで、ママから「食べるならたっぷり脂ののった錦ちゃんよね。ただし薬味とネギをうーんときかせて」といじられてその場のみんなから大笑いされてしまい、踏んだり蹴ったりでしたorz。

 けれども、後々大家さんは恵梨華さんに「そうだ錦之介くんを婿に迎えようか?そしたらいつもとびっきりのつまみを作ってもらえるから」と半分冗談めかしつつも薦めていましたので、案外錦ちゃんの恋を応援していたりして…と感じました(←どうやら、錦ちゃんは「男をつかむなら胃袋をつかめ」「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」をうまいことミックスさせたすごい作戦を、知らず知らずの内に実行していたみたいです;)。
 ただし、当の恵梨華さんは「勝手に決めないでよ~ッ、そんなことッ!!」と汗を流しながら否定していましたので、錦ちゃんの恋路はまだまだ険しそうです…;。
つい口が滑って余計なことを言ってしまい、大家さんから釘を刺されていました;
 先日、おいしそうなサーモンのサクを見つけましたので再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、サーモンの下ごしらえ。生食用の新鮮なサーモンのサクを薄く切って刺身状にし、ボウルへ入れて昆布茶と醤油をまぶし、しっかり味付けします。
 サーモンに下味がついたら、大きめのお皿へ丁寧に盛り付けます。
生サーモンのネギ油造り1
生サーモンのネギ油造り2
生サーモンのネギ油造り3
 次は、薬味の準備と仕上げ作業。
 先程のサーモンが乗ったお皿の上へ、千切りにした長ネギ(←白髪ネギにするとさらに食感がよくなります)、皮を剥いて細く切ったしょうが、小口切りにした青ネギをたっぷりふりかけます。
 そこへ、煙が上がるほどフライパンで高温に熱しておいたゴマ油とサラダ油を、薬味類だけにかかるよう気を付けながら一気にかけ回し、全体をざっくり混ぜ合わせます。
 ※テフロン加工のフライパンで煙が出るまで熱すると、せっかくのコーティングがダメになりますので、鉄製のフライパンで熱した方がいいです。あと、火事にはご注意してください;。
生サーモンのネギ油造り5
生サーモンのネギ油造り4
生サーモンのネギ油造り6
 薬味類がサーモンの切り身へまんべんなく混ざり、ネギ油も全体に行き渡ったのを確認すれば“生サーモンのネギ油造り”の完成です!
生サーモンのネギ油造り7
 ネギ油によって芳しい香りがつき、艶やかに照り輝くようになったがサーモンの鮮やかなオレンジの身が美しく、食欲が湧きます。
 貝類や白身魚はともかく、サーモンをこんな風にして食べるのは初めてですので、一体どういう仕上がりになっているのか楽しみです。
生サーモンのネギ油造り8
 それでは、出来立ての内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
生サーモンのネギ油造り9


 さて、感想はといいますと…料理店で出されても不思議じゃないくらい本格的な料理で美味!ママの言う通り、サーモンの脂っぽさが気になりません!
 最初は「脂が多いサーモンと、ごま油…胃にもたれるのでは?」と心配していたのですが、油は油でも、一気に熱したおかげで香味野菜の香りが華やかに開花した爽やかなネギ油しか使っていない為、油っこいどころか逆にすっきりあっさりした後口でした。
 ごまの奥深い香ばしさ、ネギの清々しいエキスによって濃厚かつ複雑な旨さに仕上がったネギ油が、サーモン独特の臭みを完全に覆い隠し、極薄でトロンとした膜を張って口当たりがさらに滑らかになっているのが恍惚物で、例えるとするなら「薬味がきいた広東風香味油のコク旨刺身」というイメージです。
 それまで、サーモンは濃い脂に身の味が負けて少しぼんやりしている印象があったんですが、これは昆布茶の強い旨味成分で身の味わいがぐっと際立ち、噛むごとに軽いヅケ状になってやや引き締まった身からしっかりした出汁醤油味が染み出てくるのが食べやすく、気に入りました。
 しんなりシャリシャリして程よく辛味が効いたネギ類の食感と、キリリとした香りで全体をまとめているしょうがの香気が、ネギ油と共にサーモンの癖を押さえてサラダっぽいさっぱりした仕上がりにしているのが見事です。


 サーモンとマヨネーズの組み合わせは途中でくどくなりますが、ネギ油をかけるとお酒片手に箸がスイスイ進んで、あっという間になくなりました;。
 個人的に、しょうがはネギと同じくらい重要な役割を果たしているな~と感じました。

●出典)『風流つまみ道場』 ラズウェル細木/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.02.18 Wed 00:43  |  

ああ…!
サーモンもごま油も大好きなんです!本当においしそう~
白いお皿にサーモンのオレンジと薬味の緑色が映えていて、盛り付けも美しいです。
これは間違いなくうまいやつだ!

実は、我が家で使っているサブまな板も、あんこさんがサーモンを切っているまな板と同じようなピンク色なんです~(笑 細かいことですみません…)

大好きなサーモンを使った再現で、しかもまな板が似ているのでなんだかうれしくなっちゃって、大したことでもないのにコメントしてしまいました…ご容赦下さい。。。

あんこさんが、ただ再現するだけでなく、仕上がりにも気を配ってらっしゃるのを、写真からいつも勝手に感じ取っています!
次の再現も楽しみにしていますね~

  • #-
  • すず
  • URL

2015.02.25 Wed 13:07  |  

はじめまして。
サーモンが大の苦手なのですが、
あんこさんの再現料理のあまりの素晴らしさに、
「ぜひ試してみたい!」とチャレンジすることに。

電子書籍を購入してレシピを確認するも、
下味の醤油や昆布茶、油の分量は記載されておらず、
あんこさんの再現やコメントを
頼りに調理しましたが見事に失敗。

下味の量が足りなかった?
下味を付けておく時間が足りなかった?
油の分量が多すぎた?
十分熱したつもりが油の温度が低かった?

多分、全部なんでしょう・・・。
油っぽく生ぐさい残念な仕上がりとなり、
久々に食べるのが苦痛なシロモノに。
やっぱりサーモンは苦手です。

各工程の写真を美しく撮りつつ、
毎回忠実に再現されるあんこさんのブログを
いつも楽しみにしております。
こちらのブログを拝見して読んでみたい本が増えました。
また参考にさせて下さいね。

  • #-
  • マカロン
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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
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