『クッキングパパ』の“梨のスープ”を再現!

 去年末、某スーパーの清涼飲料コーナーへ行くと、「勇気のある方だけチャレンジしてください!カエルの卵ジュース(偽)」という手書きのポップが貼られた「バジルシードドリンク」が売られており、一瞬ギョッとしました;。
 個人的には少し興味があったものの、母が断固拒否した上、値段もそこまで安くなかった為購入を諦めたのですが、先日久々にそのスーパーへ行くと「とうとう半額!」と書かれたポップが貼られていてもまだ売れ残っており、苦笑しました;。
 次回行っても残っていたら、これも縁だと思って買ってみようと思います。

 どうも、似たような見た目のタピオカドリンクの方は好きな当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『クッキングパパ』にて竹田さんがある女性の為に考え出して作った“梨のスープ”です!
梨のスープ図
 荒岩係長がずっとお付き合いしていた取引先の方の一人に、横浜にある三星産業に長年勤めていた、元課長の竹田さんという男性がいます。
 登場回数はそんなに多くはないのですが、第一巻から今までちょこちょこ登場しているなじみ深い人物で、初登場時は何年も博多に単身赴任している哀愁漂うキャラクターとして描かれていました。

 荒岩係長と親しくなった影響で料理が上手になったり、掃除を徹底するようになったり、常備菜をいくつもお裾分けされて冷蔵庫に完備するようになったりと充実した生活を送っていましたが、おかげで遊びに来た奥さんから浮気を疑われるというハプニングが十一巻で起こっており、ハラハラしたものです;(←当時小学生だった当管理人は、子ども心に「単身赴任中の男性って、浮気しようと思えばしやすい環境なんだな…」「竹田さんは違ったけど、将来結婚した時にこういう動きがあったら、気を付けた方がいいかも」と妙な学び方をしたのを覚えています;)。

 けれども、トラブルと呼べるトラブルはそれくらいで、夫婦仲はよくてお子さんともまずまずいい関係、会社では地味な存在なもののゴタゴタに巻き込まれる事なく定年退職する三年前には本社へ戻り、円満に勤め上げた後は奥さんと悠々自適に過ごしていますので、個人的に『クッキングパパ』の中では五本の指に入るくらい幸せな人生を送っていると思います(←もちろん他のキャラも基本幸せなんですが、離婚されかけたり、会社をリストラされたり、海外赴任で家族と滅多に会えなかったり、子どもを授からなくて悩んだり、長年恋が実らなくても諦めきれなかったりと、結構な波乱を抱えているキャラも数多いので、それだけに竹田さんが際立って見えます。もしかしたら、作中で書かれていないだけかもしれませんが…)。
横浜にある三星産業に長年勤め、この度とうとう定年退職する事になった竹田さん
 今回ご紹介するのは、竹田さんが定年退職をする直前に最後の博多出張をした時のお話。
 久々に荒岩係長達と再会した竹田さんは熱烈歓迎され、色んなお店へ案内されて楽しいひと時を過ごすのですが、早々と切り上げて荒岩係長とタクシーに乗り込み、「岩ちゃん…バカな話があるんだ。聞いてくれる?」と静かに呟き、あるダイニング・バーへ足を運びます。
 当初は躊躇し、なかなか口を開かなかった竹田さんですが、荒岩係長に「なんでも言ってください。最後の博多出張なんでしょう」と笑顔で語り掛けられて心が動き、「博多にいるあいだずっとステキだなーっと思ってた女性がいるんだ」「その女性が、実は岩ちゃんの会社の岩ちゃんの班にいるんだ」と打ち明けます。

 竹田さんが言うには、「わびしい単身赴任生活、彼女に会うことが唯一の楽しみだった。別に話さなくても顔を見ただけ元気が出た」という、一種の憧れをその女性に抱いていたとの事(←恋心や浮気願望といった危うさ漂う甘い感情ではなく、人間的に尊敬している女性というニュアンスでしたので、ほっとしました;。なので、ある意味この時の政さんと同じ心境だったのかもしれません)。
 初見時、当管理人はてっきり「彼女を守る中年四銃士」として以前仲良くしていた種子島ちゃんの事では…?と想像し(←残り三人は、荒岩係長・大平課長・ティートさん;。詳しいエピソードはこちらの巻に載っています)、荒岩係長も最初はそう予想していたのですが、竹田さんは「違うんだ。彼女じゃないんだな」「あれはあれで楽しかったけど…」と言い、本当に心から憧れたのは、何とけいこちゃんであると告白します。
 
 何でも、「母であり、妻であるけいこさんのはつらつとした明るさは、味気ないひとり暮らしのボクをいつも励ましてくれるようでした」といつも眩しく眺めていたそうで、せめて最後に一度だけけいこちゃんとゆっくり食事してお礼を言いたいと考え、思い切って荒岩係長に相談したみたいでした。
 確かに、種子島ちゃんもけいこちゃんに負けず劣らず素敵なんですが、かつての種子島ちゃんは見ていて「かわいいな~」とほのぼのさせられる雛菊のような女性だったのに対し←但し、時間が経って営業でバリバリするようになってからはたくましいお姉さんキャラへと変貌しましたが;)、けいこちゃんは見ているこちらがパワーを分け与えられるような、それでいて励まされているような感じがする力強い魅力を持ったひまわりのような女性ですので、圧倒されてなかなか近寄れなくても陰ながら憧れ続ける気持ちは、何となくわかる気がしたものです。
竹田さんが荒岩係長に告白した憧れの女性は、種子島さんではなく、何とおなじみのあの女性でした。
 その話を聞いた荒岩係長は「わかりました。それとなく聞いておきましょう」と了承し、後々けいこちゃんに一部始終を話すのですが、どうやらけいこちゃんも竹田さんにいい印象を持っていたみたいで喜んでOKし、翌日の夜に一緒にディナーを食べに行ってました。
 終業後、綺麗なツーピース・スーツに着替えたけいこちゃんは嬉しそうで、やはり自分に好意的な男性とおめかししてお洒落なレストランで食事というシチュエーションは、いつの世も心浮き立つものなのだと実感させられます。

 ちなみに、事情と相手を知らない江口君と田中君は妻子ある男性とデートと聞いて、「え~っ、じゃフリンじゃないスかー」「なあ、ウワキだウワキー」と少しアタフタしてましたが(←まあ、無理ないですが;)、竹田さんが迎えにくると何となく事情を察知したみたいで、にこやかに二人を見送っていました。
 こういう時、何だかんだで信用される人間関係を内外に築いてきたお二人を見ていると、「愛とか恋とかフリンとかウワキとは違うものもあるのよ。人生は」というけいこちゃんの言葉が、尚更説得力を帯びて聞こえてきます。

 ※なお、その際竹田さんがけいこちゃんをエスコートしたお店はこちらのフレンチレストラン。フレンチと聞くと量よりも質のイメージがありますが、こちらはボリューム満点で尚且つ本格的なフレンチを頂けるので、おすすめです。
当初は「不倫か?」とハラハラされてましたが、竹田さんだと分かるとほっとされてました;
 途中まではお店のおすすめコースを頂いていたけいこちゃんでしたが、メインを食べ終えた後、竹田さんから「お店の人に無理言ってスープを作ってみました。めし上がってくれますか?」と言われ、オリジナルのスープを出されます。
 この時、お店の方のご厚意で竹田さんがけいこちゃんの為に用意できたスペシャルな一皿が、“梨のスープ”です!
 作り方はそこそこ手が込んでおり、干し貝柱・その戻し汁・白ワイン・玉ネギ・ローリエ・タイム・パセリの茎で作ったクールブイヨンへホタテの身を入れてコトコト煮込み、一旦布巾で漉して塩・こしょう・すりおろした梨を加えて混ぜたらお皿へ移し、最後にホタテの身・丸くくり抜いた梨・パセリ・赤ピーマンを飾り付けたら出来上がりです。

 ポイントは、クールブイヨンとすりおろした梨を合わせる時にバランスよく調和するよう味見しながら慎重に合わせていくことと、梨と合わせた後は熱さず冷やすか室温かで頂くことの二つで、凝ってそうな見た目に反してそこまで難しく無いのが印象的でした。
 初めは「梨をスープって、聞いた事ないような…」と驚きましたが、調べてみるとそれなりにレシピが見つかり、一般的とは言えずとも珍しい料理ではないんだな~とさらにびっくりした記憶があります;(←おかずスープからデザートスープまでその幅は広く、感心しましたが、意外にもホタテと合わせたレシピはついぞ見つかりませんでした)。
 レシピ欄の竹田さん曰く「口直しにピッタリのスープです」「そのままデザートにしてもいいですよー」だそうで、味の想像がつかないだけに激しく興味をそそられます。

 その後、“梨のスープ”を喜んでもらえた竹田さんは思い切って「けいこさんの笑顔は、私の10年近い単身赴任生活の支えでした。ありがとう」と伝えることができ、けいこちゃんも「こちらこそ!!そうまで思ってもらえるなんて、これからの私の支えになります。ありがとうございます」とお礼を言っていました。
 どうこうする気持ちは一切なくても、憧れの気持ちを受け止めてもらえるだけでも大分違いますので、退職前にいい思い出ができてよかったな~と感じた一話でした(←なお、お二人はレストランを出て少し歩いた後に「お元気でいて下さいね」「さようなら」と伝え合い、フリンのフの字もなくすっきり別れていました。分かってはいましたが、一安心;)。
けいこちゃんの笑顔で十年近い単身赴任生活を乗り切れたとお礼を言っていました
 近所のスーパーで梨が安売りされていましのたので、これをいい機会と思い作ってみる事にしました(←現在は梨の季節ではないので訝しく感じられる方もいらっしゃると思いますが、実はこの料理を作ったのは去年の12月ですので、その時にはまだ梨がありました;。発表時期がズレたばかりにややこしい書き方をし、すみません;)。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、梨の下準備。梨は皮を剥いて四等分にした後芯を取り除き、スプーン等で丸い形になるようくり抜いて塩水につけておきます(←変色を防ぎます)。
 くり抜き終えた梨の残りは、大雑把に切り分けてからフードプロセッサー(又はミキサー)へ入れ、トロッとしたペースト状にします。
梨のスープ3
梨のスープ1
梨のスープ2
 次は、クールブイヨン作り&煮込み作業。
 あらかじめ水に漬けて戻しておいた干し貝柱と戻し汁を大鍋へ入れ、続けて白ワイン、スライスした玉ネギ、ローリエ、ホールのタイム、パセリの茎を加え、中火にかけて一度沸騰させます。
 これで、クールブイヨンは出来上がりです。
 鍋の中がグラグラと沸いてきたら弱火にしてホタテの身を投入し、アクを取り除きながら三十分くらいコトコト煮込みます。
梨のスープ4
梨のスープ5
梨のスープ6
 時間が経ったら清潔な布巾で漉し、漉したスープへは火にかけずホタテの身だけ戻し入れ、塩とこしょうで味を整えます(←漉した時に出た他の材料は使いません)。
 このスープを、フードプロセッサーにかけた梨に味を確認しながら何度かに分けて加え、しっかり混ぜ合わせます。
梨のスープ7
梨のスープ8
 スープと梨の割合がちょうどいいと思ったらスープ皿へ注ぎ、ホタテの身、粗く切った赤ピーマン、細かく刻んだパセリ、丸くくり抜いた梨を飾り付ければ“梨のスープ”の完成です!
梨のスープ9
 ホタテの出汁とすりおろした梨の色が反映してうっすら茶色系のスープに仕上がりましたが、真っ白な梨のボール、緑色のパセリ、赤いピーマンのおかげで彩りはなかなか美しいです(←赤と緑という組み合わせのせいか、クリスマス向けのスープかも…と思いました)。
 梨は焼き肉のたれやラーメンスープの隠し味に使われる事は多々ありますが、スープの主役になる事はほとんどありませんので、一体どういう味になっているのか興味津々です!
梨のスープ10
 それでは、スプーンでひとさじすくっていざ実食!
 いただきまーす!
梨のスープ11


 さて、感想はといいますと…デザートや箸休めに最適な、落ち着く美味しさ!意外にも、ホタテと梨は合います!
 一口飲んで最初に舌に伝わるのは、さっぱりして優しく甘い梨果汁で、スープというよりは手作りフレッシュジュースみたいなイメージ。
 しかし、そのすぐ後に海鮮風味のクールブイヨンがぐっと立ち上ぼってくる為、ただの果汁よりも遥かに力強い旨さに仕上がっています(←飾りの梨を噛むと、その違いは一目瞭然!スープは程よい塩気が加わった複雑な味わいですが、生は深みがない分ひたすらジューシーで瑞々しくシンプルな甘さで、同じ梨でもここまで違うと別物な感じで、二度美味しいです)。
 口当たりはすりおろしたりんごをさらに水っぽくした感じに似ていて、サラッとした喉越しのスープ部分と、モロモロシャリシャリした果肉部分が混然となったせいか、溶けかけたシャーベットを食べているような不思議な舌触りが特徴的でした。
 短時間しか煮込んでいないのに、「洋風でミルキーな潮汁」と例えたくなるくらい濃厚でコクのあるホタテのエキスと、干し貝柱の熟成された出汁、そして玉ネギの滋味がまろやかに効いており、それが梨の素朴で自然な甘味を優しく引き立てています。
 ハーブの胸をすくような清々しい香気が効いている為、ホタテの僅かな臭みや雑味は完全に消えており、全体的に気品の漂う一皿になっているのが印象的でした。
 また、煮込まれたホタテのホロリとした身も美味で、赤ピーマンの甘苦いシャキシャキ感がいいアクセントになっているのがよかったです。


 フルーツを使ったスープと聞いて当初はひるんだものでしたが、実際に食べてみると断然ありだと感じました。
 甘いんですが決してベタベタしておらず、口の中をすっきりさせてくれるのがいいです。

P.S.
 keitaさん、先日はコメント拍手欄にて拍手とご質問をして下さった事、心より感謝いたします。一応、現在はNGキーワードは最小限にしているのですが、ただ今さらに減らさせて頂きました。ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。また、この度はお褒めのお言葉を下さり、ありがとうございました。


●出典)『クッキングパパ』 うえやまとち/講談社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

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2016.04.27 Wed 03:47  |  

これって、鉄鍋のジャンに出てきたやつとは、違うものでしょうか?

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
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