『華中華』の“島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン”を再現!

 去年、重松清先生の『ファミレス』という作品を読んだのですが、出てくる料理全てがお手軽かつ美味しそうで、その内のいくつかが我が家で定番になりました。
 中でも、一番簡単で意表をつかれたのが“ドンタマ”。
 食べるラー油を不均一にざっくり混ぜ合わせた丼ご飯へ生卵を落とし、お箸でザクザク切り混ぜて白身と黄身が完全に混ざらない内にさっと食べるというシンプルな卵かけご飯なんですが、これが醤油を入れていないのに塩加減も辛味もちょうどよくて美味!
 一口ごとに黄身と白身のバランスが違い、毎回微妙に味が異なるのが癖になる感じで、均一に混ぜて最初から完成させた卵かけご飯にはない、新しい発見に満ちた旨味がたまりません。
 もちろん作中に出てくる料理だけではなく、五十歳を目前に控えた三人の幼なじみの男性たちが、食と家族を通じてこれまでの人生を振り返るストーリーもしみじみ考えさせられてよかったので、いろんな方にお勧めしたい作品です。

 どうも、エアリー卵かけご飯の存在を知って感心した当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にて満点大飯店の代表・島野さんがチャーハン対決の際に屋台で出した“島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン”です!
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン図
 前回、様々な思惑が交差しつつ始まった「横浜中華街チャーハン対決」ですが、嬉しいことに当初の予想をはるかに超える人出で、会場である山下町公園は大混雑します。
 対決の日程は計二日、投票の仕方はお客さんが購入するチャーハン一皿につき一本だけついてくるスプーンを、「ここぞ!」と思った店名が書かれた投票箱へ入れるだけという、至ってお手軽な方法。
 何でも、いくつものチャーハンを食べた人は、それぞれのお店へ投票する事も、一店に集中して複数のスプーンを入れる事も可能で、そのラフさゆえに投票箱は不正が出来ないよう会場本部に設置しているとの説明に、思わずほっとしたものです←というのも、銀河楼飯店の有田さんの姑息な手口を防げる為。人を疑うのはよくないですが、このお人ならこっそりスプーンを水増しするくらい平気でやりそうなのが怖いです;。事実、この後有田さんは色々とグレーな行為をして周囲からハラハラされてますし…;)。

 最終的な勝敗は、二日間かけてためたスプーンの重さを全店分計測して決まり、一位~十位まで表彰していく方式を取るとの事で、これは盛り上がるだろうな~と感じました。
 残念ながら、47店すべてのチャーハン名を知る事は出来ませんでしたが、それでも所々で“中華街唯一!あさりチャーハン”、“旨辛茄子炒飯”、“ガッツリ食べよう!焼き肉チャーハン”、“白モツスープチャーハン”、“豚骨スープの餡かけチャーハン”など、個性的でそそる商品名が見え隠れしていましたので、初めて来場した人はさぞ悩むだろうな~と苦笑しました。

 しかし、一見華やかな舞台ですが、47店中10店しか結果発表の際に目立つ機会が与えられない上、どのお店も気に入らない場合は「投票しない自由」を選ぶ事も認められている様子でしたので、和やかムードに見えて結構シビアな大会だな~と感じたのを覚えています;。
横浜中華街全体を巻き込んで行われたチャーハン対決は、大勢のお客さんでにぎわいます
 なお、会場には楊貴妃さんと幽霊仲間のシンちゃんや船長さんも来ていて、気になるお店を偵察しに行ったり、会場の流れを観察したり、チャーハンを批評したりなど、始終大活躍していました。
 上海亭代表として調理にてんてこ舞いなハナちゃんの代わりに、人に見られず自由に空を飛べるという特技を活かして少しでも有益な情報を得ようと天駆ける楊貴妃さんの姿は、正直どんなTVリポーターや諜報員よりも心強かったです←なので、『華中華』初期のように楊貴妃さんが主人公の視点が多く、ちょっと新鮮でした)。

 中でも羨ましかったのは、いくら食べてもお腹が膨れない幽霊の特性を活かし、開始わずか数時間での7店以上のチャーハンを平らげていたシンちゃんで、それだけ食べても尚「あと40店あるね」と全店分食べる気満々だったのに恐れ入りました;(←料金は本物なのか木の葉だったのか、個人的に気になりますが…)。
 それにしても、一応人間に化けていくとはいえ、インド人・ターバン・民族衣装・胡散臭い「~あるよ」口調・ドラえもん体型と目立つ要素が五つも重なっているシンちゃんは、ちょっと気を抜いて変身がとけたら相当に目立って大変そうですので、船長さん同様「上手く化けないと幽霊だとバレてしまいますよ!」とヒヤヒヤしたものです;

 ちなみに、当初シンちゃんはどのお店が美味しかろうと47本のスプーンを全部上海亭に投票しようと考えていたようですが、楊貴妃さんから「それはダメよ」「本当に美味しいと思ったお店に投票しなさい!その方が、ハナちゃんや上海亭のためになるんだからね」と釘を刺され、渋々断念していました。
 色んな意味で、楊貴妃さんはやはりハナちゃんにとって必要な人物だと実感させられたシーンです。
インド人幽霊のシンちゃんは食いしん坊で、何と47店全てのチャーハンを食べようとしてました;
 そんな中、楊貴妃さんはある親子連れから漏れ聞こえた「ボクは島野っていうヘンテコリンなおじさんの店に投票するよ!ものすごく美味しかったんだもん」「上海亭のチャーハンも美味しかったけど、ママも島野様のチャーハンが一番美味しいと思うわ」という会話が気になり、TV局から早くも優勝候補として取材を受けている満点大飯店の島野さんの元へ向かいます。
 この時、島野さんが「会場に来られないお客さんのために、レシピを公表します」と言ってリポーターの方々へ説明していたのが、“島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン”です!

 作り方はそこそこ簡単で、一センチ角に切った鶏もも肉と鶏胸肉へ豆板醤・しょうが・にんにく・醤油・日本酒を揉みこんで漬け込み、卵と小麦粉と片栗粉を混ぜて揚げてミニ唐揚げを作ったら基本チャーハンに混ぜ込み、最後に温泉卵をトッピングしたら出来上がりです。
 ポイントは、漬け時間は必ず一晩以上かけて鶏肉に下味をしっかり染み込ませることと、脂っこく仕上がりにならないよう強火で余分な油分を吹き飛ばすことの二つで、こうすると濃い味の割に食べやすい出来のチャーハンになるみたいでした。
 唯一の不安と言えば、唐揚げだけだと途中でマンネリになりそうな所ですが、その弱点はもも肉と胸肉の二種類を使い、食感に変化を生み出す事によって防いでいるとの事で、相変わらずの丁寧な仕事ぶりに感心です。
唐揚げに使う鶏肉は、もも肉と胸肉の二種類なので、食感にアクセントがつきます
 始めは、横浜中華街で一、二を争う有名料理店の料理長であることに誇りを持ち、技巧に富んだ料理にこだわっている島野さんにしては珍しくシンプルなチャーハンだなと意外に感じましたが、こういったB級グルメ系のイベントに関心を抱いて食事をする層は十代~三十代が最も多く、それ以降は年代が上がるにつれて関心度も食事した経験もぐっと下がっていくそうですので(参考データはこちら)、もしかしたらそういった面を見越して若・中年層に受けやすいチャーハンに考えたのかな?と推測しました。
 もしそうだとしたら、唐揚げ+温泉卵+炭水化物の組み合わせは、がっつり食べたい層には非常に受けがいいゴールデン・トリオですので、なかなかいい狙いだと感じたものです。

 TV取材の一部始終を見ていた楊貴妃さんは、「なるほど、さすが島野…大したもんだよ」「美味しいのは間違いないし、寒い中、外で食べるにはいいチャーハンだよ」と冷静に評価し、一筋縄では勝ちそうにないと警戒を強めます。
 他にも、楊貴妃さんが巡回して「ここは!」と目を見張ったお店はいくつもありますので、何回かに分けてまたご紹介しようと思います!
ピリカラでジューシーな唐揚げと、とろ~りとろける温玉の相性は抜群で大好評!
 当管理人も例にもれず、唐揚げも温泉卵も大好物ですので再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ミニ唐揚げ作り。余計な脂肪を取り除いた後、約一センチ角に切った鶏もも肉と鶏胸肉をボウルへ入れ、豆板醤、おろししょうが、おろしにんにく、醤油、日本酒で味付けしてしっかり揉みこみ、一晩放置して味を染み込ませます。
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン1
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン2
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン3
 翌日、鶏肉に調味料が染みたのを確認したら卵、片栗粉、小麦粉を入れて混ぜて衣をつけ、高温の揚げ油で中に火が通るまで揚げます(←ミニサイズなので、結構すぐに火が通ります)。
 揚げ油の表面に唐揚げが浮き、菜箸で掴んで振動が伝わるようになったらキッチンペーパー等へ引き上げ、余計な油分をきっちりきっておきます。
 これで、ミニ唐揚げは出来上がりです。
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン4
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン5
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン6
 次は、チャーハン作り。
 以前、ご紹介したハナちゃん流基本チャーハンのレシピ通りにチャーハンを作り(←今回は塩気、油分共に控え目にして仕上げます)、そこへ先程のミニ唐揚げを投入して強火でよく混ぜ合わせます。
 その間、小鍋で沸かした熱湯に卵を浸けて作った温泉卵を用意しておきます。
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン7
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン8
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン9
 チャーハン全域にミニ唐揚げが混ざりきったらお皿へ丸く盛り付け、仕上げにお玉でつけた窪みへ先程の温泉卵を落とせば“島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン”の完成です!
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン10
 小さめとはいえ、唐揚げがゴロゴロ入ったチャーハンは見るからに迫力満点で、食べ盛りのお子さんに大うけしそうなビジュアルをしています;。
 その上、プルプル艶々した輝きをたたえている温泉卵がのっかかって豪華さ二倍になっているのが嬉しく、食べる前からワクワクします。
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン11
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いただきま~す!
島野流ピリカラ唐揚げ温玉チャーハン12


 さて、感想はといいますと…がっつりボリューム満点で旨し!王道中の王道な美味しさ、お子さんだけではなく男性にも大受けしそうです!
 一晩漬けたおかげで、肉全体ににんにくしょうが醤油味がしっかり染みた唐揚げはこってりジューシーで、油分と塩分控え目のあっさりした基本チャーハンによく合っています。
 胸肉はさっぱりした味わいとしっとり柔らかい肉質、もも肉は濃厚な旨味と弾力のある噛み応えが特徴的で、小さくても食感と味の質が断然違うのに感心しました(←そのせいか、唐揚げだらけなのにも関わらず不思議と飽きません)。
 当初はもっと辛そうだと想像していましたが、レシピの分量だと意外にもピリ辛という程辛くはなく、後からほんのり唐辛子のキレが鋭い風味が漂うだけなのが食べやすくてナイスです。
 例えるとするなら、「唐揚げ専門店のお惣菜風チャーハン」というイメージで、中華料理店で出される本格チャーハンというよりは、料理長がまかないとして皆に力をつけてもらう為に作ったチャーハンという印象でした。
  ここへ温泉卵を崩して食べると、黄身のねっとりと舌に纏わりつくような濃いとろみとまろやかなコク、白身のふるふるした淡い舌触りと淡泊な味わいが混然となります。
 そのままでも十分美味なチャーハンですが、温泉卵が加わる事により全体的にマイルドな後口になって味がガラッと変わり、とても贅沢で二度おいしくなるのがよかったです。


 このレシピだと辛さ控え目ですが、辛いのがお好きな方は豆板醤の量を増やしてみてもいいと思います。
 小さい唐揚げは油っこそうなイメージがあったんですが、チャーハンに混ぜるとほとんど気になりませんので、そういう意味でもなかなか考えられた料理だな~と感じました。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/1115-b78a44c9
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ