『薬膳仙女マダム明』の“えだ豆のスープ”を再現!

 先月京都に行った時、錦市場にある某店にて鱧の骨からとったお出汁をサービスで飲ませてもらったんですが、一口飲んで「本当に骨のみ?!色んな旨味が乱反射して、まるで七色のスープだ!」と衝撃を受けた思い出があります。
 なお、そちらでは鱧の照焼き串も食べたのですが(←本当は天ぷら串も食べたかったんですが、鍋焼きうどんと豆乳ドーナツ一袋を食べてお腹パンパンだった為断念;)、食べ終わってしばらくした後も出汁を飲んだ時のように様々な旨味が舌に残っており、感動したものです。

 どうも、「SIZUYA」さんで購入したカルネとカスクートも「コーンの風味がしておいしい!」「玉ネギもチーズも、このパンに合ってる!」と気に入った当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『薬膳仙女マダム明』にて王チーフが常連客の野々宮先生の為に作った“えだ豆のスープ”です!
えだ豆のスープ図
 今回ご紹介するのは、<桃源楼>の常連の一人でもある著名な画家・野々宮先生のお話。
 野々宮先生は人物画専門の画家で、特に裸婦の画を得意としているのですが、ご本人曰く「わたしは、モデルの肉体とたたかいながらイメージを生むタイプなんだが…」との事で、毎回モデルさんには事情を話した上で愛人契約も同時に交わし、心身ともに創作意欲を刺激してもらって名作をものにしてきたみたいでした(←まるでクリムトのような、モデルと陶然とした関係を持つ事によって甘美な絵を描いてきた、かつての有名画家達を彷彿とさせるお話ですね;)。

 しかし、最近野々宮先生は徐々に行為が出来なくなってきており、それによって絵の完成が遅れがちになっているそうで、マダム明に「つくづく年だな…情けない。まだまだ意欲はおとろえてないつもりだが…」「肉体のおとろえが絵筆のおとろえにつながるのではないかと…このごろ絵を仕上げるのがこわくなってきた…」と悩ましげに語っていました。
 当管理人にとって、画家という職業は健康な体とある程度の若さが必要不可欠なスポーツ選手とは違い、自分のペースで晩年まで続けることができるお仕事という印象を抱いていたのですが、このシーンを見て「まるでアスリートのような画家さんだな…大変だ…」としみじみ思ったのを覚えてます。

 正直、関係を持たなければいい絵を描けないというのも一種の思い込みでは…と、思わなくもないのです;(←個人的に、映画『タイタニック』におけるジャックが裸になったローズの絵を描くシーンは、二人がまだ結ばれる前の緊張感をはらんだ仲だったからこそ、あそこまで官能的な作品になりえたと推測していますので…)。
 が、これまで何十年も抱いてきた「モデルと色んな意味でぶつかり合ったからこそ、絵に魂がこもった」という信念は、もはや強烈な暗示となって野々宮先生に実力以上のインスピレーションを与えてきたという可能性も無きにしも非ずですので、これは意外と深刻な問題なのかもしれない…と感じた物です。
今回のお客さんは、精力と創作意欲の減退に悩む高名な画家・野々宮先生
 ちなみに、この時野々宮先生が雇っていたモデル兼愛人のさやかちゃんは二十歳そこそこ(←というより、下手をすればまだ十代の可能性も…;。かの有名な写真家も、度が過ぎると容赦なく通報されるご時世ですので、先生も法律には気を付けて欲しいです;)で、芸術方面はちんぷんかんぷんな軽い女の子。
 おかげで、マダム明からも王チーフからも「?」という顔をされるのですが、野々宮先生が言うには「人柄とか性格じゃあなくて、女というものは私にとってエネルギーの源で…」「この感情は理性とは背中合わせのものなんです。女体そのものという存在がいい」という理由でのめりこんでいるらしく、彼女を悦ばせる事=名画を生み出す原動力になるので協力してほしいと、マダム明に特別室の予約を入れていました。

 当管理人は凡人ですので、初見時は「性格が残念だと、外見の良さも半減して見える方だからよく分からないな…」と思ったのですが、後々ある作家さんが随筆で「中身が空っぽな美形ほど、自分の願望と欲望をまっすぐ投影しやすい存在はない」と書かれていたのを読み、何となく納得した記憶があります(←真に「空っぽ」な人はいませんので、あくまで「空っぽに見えやすい」という意味で)。
 おそらく野々宮先生は、モデルの良さをそのまま引き出して描くタイプではなく、良くも悪くもモデルは「自分」を表現する一種の憑代としてしか見ないタイプなんだろうなと、一方的な結論を出したものです。

 どうやら、野々宮先生は物理的に何とかする方法を中国四千年の叡智で教えてくれると予想していたようなのですが、マダム明は体に悪影響な物を使って無理に何とかするよりも、「目に映るものや言葉はかならず肉体的な反応をもたらします。実際に体が接触しなくても、目の刺激や言葉の刺激によってある種の感動を与える事もできるものです」「お互いにもっと理解しあうの」という事に気をつけさえすれば、仮に達せずとも十分女性は満足すると語っており、「一番禁物なのは、<あせり>ですわ」と鋭い指摘をしていました。
 結局、男性と女性の性差なのか、マダム明から教わったテクニックでさやかちゃんは「今日はすっごく感じるぅ」と満ち足りるのですが、野々宮先生は「もの足りない」「もういいから…って言われると、とたんに創作意欲をなくしてしまう…」と落ち込んでおり、マダム明同様「複雑」とため息が出てきました;。
「あせりは禁物」と何度もアドバイスされつつも、創作意欲の減退に悩む先生なのでした
 なお、マダム明が野々宮先生を特別室へ招いた際、「消化が良くてバランスのとれたものです」と言って出したお食事が、この“えだ豆のスープ”。
 作り方はそこそこ簡単で、玉ネギ・鶏もも肉・塩を入れて茹でたお湯をそのままミキサーにかけて液体状にしたスープと、茹でてさやから取り出した枝豆を牛乳と一緒にミキサーにかけて液体状にしたスープを大鍋で合わせて火にかけ、塩で味を調整した後にクコの実とあさつきをかけたら出来上がりです。
 ポイントは、鶏もも肉は皮付きの物を切らずに丸ごと茹でて使うこと、枝豆は出来るだけ薄皮も取り除いて使用すること、最後に煮る時は決して沸騰させないことの三つで、手順自体は単純ですが「結構時間がかかりそうだな~;」と苦笑したのを覚えています。

 マダム明曰く、「鶏肉は老化防止にもなり、えだ豆は豆の性質と野菜の性質を両方持ったすぐれた素材です」「玉ネギなどのネギやらっきょうの仲間は精力にも効果があります」だそうで、組織を若返らせるのに相応しいスープだと説明していました。
 調べた所、枝豆には大豆に含まれるたんぱく質・ビタミンB1・食物繊維、野菜に含まれるビタミンA・β-カロテン・ビタミンCを併せ持っている上、カロリーは大豆の三分の一程しかないスーパー食材との事で、ダイエットしつつ栄養もバランスよく取りたい方にはまさにうってつけだと感心しました。
鶏肉も枝豆も玉ネギも、それぞれ健康には欠かせない栄養素が含まれています
 意外な事に、枝豆スープは洋風な物がほとんどで、鶏肉や玉ネギを合わせて尚且つ味付けが塩のみというシンプルなレシピはどこにも存在しなかった為、どういう味か知りたくて再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、スープのベース作り。塩を入れたお湯が入った大鍋へスライスした玉ネギと、固い筋を取った皮付きの鶏もも肉を投入し、丁寧にアクを取りながら中に火が通るまでゆっくり煮ます(←強火で一気に火を通すと鶏肉が固くなりますので、煮立たせないよう気を付けます)。
 やがて、鶏肉も玉ネギもクタクタに煮えてアクが出なくなってきたら火からおろし、鶏肉と玉ネギをさらに細かく刻んでミキサーへ入れます。
えだ豆のスープ1
えだ豆のスープ5
えだ豆のスープ6
 そこへ、先程のスープも注ぎ加えてフタをし、ミキサーを起動して全体が細かい液体状になるまで丹念に回し続けます。
 最終的に全体がドロドロになり、スープと鶏肉と玉ネギがほぼ一体化したら、鶏肉スープは準備完了です。
 ※見た目は豚骨スープみたいですが、味はれっきとした鶏肉です;。
えだ豆のスープ7
えだ豆のスープ8
えだ豆のスープ9
 その間、塩茹でした枝豆はさやから取り出して薄皮を全て取り除き、牛乳と一緒に別のミキサーで滑らかな液体状になるまで回し続けます。
 これで、枝豆スープは出来上がりです。
 ※薄皮は剥いた方が舌触りがとてもよくなりますが、どうしても時間がない時はさやから取り出してそのままミキサーにかけちゃってもOKです。
えだ豆のスープ2
えだ豆のスープ3
えだ豆のスープ4
 次は、煮込み作業。
 さっき作った鶏肉スープと枝豆スープを大鍋に入れてよく混ぜ合わせ、弱火にかけてもう一度じっくりと火を通します(←沸騰すると分離しやすくなりますので、要注意です)。
 この時、味見をしながら塩加減を調整します。
えだ豆のスープ10
えだ豆のスープ11
 鶏肉スープと枝豆スープがしっかり混ざって煮えてきたら火からおろしてスープ皿へ注ぎ、仕上げに水で戻したクコの実と小さく刻んだあさつきを散らせば、“えだ豆のスープ”の完成です!
えだ豆のスープ12
 鶏スープを入れたら茶色く濁るのでは…とハラハラしていたのですが、枝豆の緑色は予想以上に強く、綺麗なエメラルドグリーンを保っていました。
 しかし、スープの香りは鶏肉の風味が色濃くてサッパリ風とはお世辞にも言えず、一体どんな味がするのか想像もつきません。
えだ豆のスープ13
 それでは、温かい内にいざ実食!
 いただきますっ!
えだ豆のスープ14


 さて、感想はといいますと…生命力溢れる味わいで旨し!飲むスープに見えて、実はがっつり食べるスープです!
 最初は枝豆の力強い爽やかな豆の旨味が立ち上ぼるのですが、少しすると段々もも肉のこってりしたコクと、鶏皮の品よく香り高い脂分が混然と入り交じって口の中にゆっくり広がり、シンプルな塩味にも関わらず重厚な後口が残る為、非常に奥深い味付けになっていました。
 鶏も枝豆も機械では完全に均一な細かさにならないので、ほんのりとろみがついてスルスル飲めるミルクスープ部分と、モロモロになってギュッとした噛み応えのあるペースト部分の二種類に分かれているのですが、かえってそれがおかず感のある不思議なスープに仕上げ、後引く美味しさになっています(←まるで、ざらつきのあるポタージュみたいな舌触りが印象的でした)。
 例えるとするなら「ガツンと濃厚な中華風鶏ベースのずんだスープ」というイメージで、どことなく白湯スープに似た味なのが特徴的です。
 時折、甘酸っぱくてフルーティなクコの実と、シャキシャキして鮮やかな風味のあさつきが程よいアクセントをつけ、平坦になりやすいというスープの弱点を防いでいたのがナイスでした。
 特筆すべきは、結構ボリューム感のある旨味なのに、牛乳が下地となっているせいかどこか優しいクリーミー感がスープにプラスされている所で、面白いな~と感じました。


 前菜としてお出ししたり、パンと一緒に食べたり、体調が悪い時に最低限の栄養を取る為食べるのもありだと思います。
 ただ、実際に作ってみると予想以上に手間と時間がかかる事が判明しましたので、余裕がある時に多めに作って冷凍保存する事をお勧めします;。


P.S.
 あゆみさん、先日は非公開コメントをして下さり、ありがとうございます。ご希望して頂いた『エプロンまま子』の電子レンジで作るピラフなんですが、先日全五巻をひっくり返して該当するお話を探した所、残念ながらそのお話は未収録な事が判明しましたorz。調べた所、どうやら雑誌には載ったものの単行本化にまで至らなかったお話がいくつかあるそうで、恐らくあゆみさんが仰っているお料理はそちらに分類されるのでは…と思いました。お力になれず、申し訳ございません。


●出典)『薬膳仙女マダム明』 原作:楊愛蓮 作画:花小路小町/メディアファクトリー
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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