『風流つまみ道場』の“特製さんが”を再現!

 大学時代、某割烹料理店でアルバイトをしていた時期があるのですが、そこで食べた賄いの塩むすびと、材料があまったからと言われて頂いた鯛寿司のおいしさが、未だに忘れられません(←両方とも、すごく大きいお釜と飯切桶を使っていました。これなら巨人でも難なくご飯を混ぜられそうだと馬鹿な事を考えていたものです;)。
 両方とも、見る限りはごく普通の手順と材料だったんですが、一口食べると自作の料理とは一線を画す圧倒的な完成度の高さで、プロの技術は本当にすごいと感動したのを覚えています。

 どうも、完全な素人に野菜の切り方を一から教えてくれた当時の職場の方々に感謝している当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『風流つまみ道場』にて錦ちゃんが友人家族の為に目の前でちゃちゃっと作って見せた“特製さんが”です!
特製さんが図
 ある休日、錦ちゃんは学生時代からの友人・坂本天馬さんとその妻・カオリさんに誘われて新居へ遊びに行くのですが、その時偶然、別の友人から「今日は大漁だったから」と釣りたてのアジをお裾分けされます(←坂本さん一家の身内には特に漁業関係者はいないのですが、どういう訳か魚関係の贈り物が頻繁で、錦ちゃんと食事する時は必ず旬の魚がテーブルに並ぶ為、このハプニングも「やっぱり!」と妙に納得したものです;)。
 とはいえ、坂本さんもカオリさんも魚好きではあるものの、魚を捌いた経験が一度もなかったので困惑したのですが、錦ちゃんは三枚おろしも魚料理も得意な為、快く台所に立ってお刺身やたたきをちゃちゃっと作り、お二人から感謝されていました。

 中でも、カオリさんは錦ちゃんの料理人顔負けな腕前がすっかり羨ましくなったみたいで、夫の坂本さんへ「あなたも錦之介さんに教わって、少しは魚のさばき方おぼえたら?」と思わぬ矛先を向けており、「かんべんしてくれよ、終わった後の洗いものやるからさあ~」と苦笑されていました。
 結婚してまだ数年しか経っていない新婚さんですが、早くも熟年夫婦にありがちな「○○さんちの旦那さんは、××をしてくれるんですって。あなたもどう?」「勘弁してくれよ~疲れてるんだよー;」というほろ苦いやり取りをしている所に、かえってお二人の仲の良さを感じ取れます(^^)。

 当初、坂本さんは「突然おすそわけされても困るんだよな」とつい口が滑っていましたが、実際に捌いた錦ちゃんは「でも、釣りものだけあって超新鮮だよこのアジは。まさにこれから旬だしさ」「文句言ったらバチが当たるぜ」と別の友人を庇っており、相変わらず性格イケメンだな~とほのぼしました(←個人的に、魚は大好物ですのでお裾分けされるとすごく嬉しいですが、あらかじめ新聞を敷いておいても生ごみが結構出て後片付けが面倒なのも確かな為、坂本さんが愚痴をこぼしたくなる気持ちもちょっと分かります;)。
どういう事か、錦ちゃんの友人・酒本さんファミリーは魚料理との縁が深いです
 それから少し経って、刺身とたたきをほぼ食べ尽くしたのに気づいた錦ちゃんは再び台所へ立ち、残りのアジを使って今度はアレンジ料理を作ります。
 その際、錦ちゃんが興味津々で覗き込む坂本さんとカオリさんの前でこしらえたのが、この“特製さんが”です!
 作り方は簡単で、小さく刻んだアジの身に青ジソ・しょうが・玉ネギ・味噌・マヨネーズを混ぜて包丁でたたき、かまぼこ板の上へ塗り付けてチーズの角切りを埋め込んだ後、魚焼きグリルでこんがり焼いたら出来上がりです。
 ポイントは、火の通りが均一になるようあまり分厚く塗りすぎないことと、かまぼこ板が燃えないよう流水にくぐらせて水分を含ませることの二つで、普通のさんが焼きと手間は変わらないのに味がガラッと変わりそうな所に感心しました。

 ラズウェル細木先生が仰るには、「玉ネギを使うと甘味が出て、また、マヨネーズを入れるとまろやかになり、魚臭さも気になりません」だそうで、初見時は「長ネギの代わりに玉ネギ、日本酒の代わりにマヨネーズとは…」とびっくりしたのを覚えています(←意外にも、なめろうはともかくさんが焼きにマヨネーズを使うレシピは、ネットや本を探し回ってもこちらのレシピしか存在しませんでした;。ラズウェル細木先生、恐るべし!)。
 あと、本来は「さんが焼き=なめろうに何も足さず炙り焼きにするだけ」なんですが、ここにあえてチーズを埋め込むひと手間を加えるのが錦ちゃん流みたいで、味の想像が全くつきません;。
なめろうはごくオーソドックスなレシピで作っていましたが、さんが焼きはちょっとした工夫もプラス
 その後、焼きたての“特製さんが”を食べた坂本さんとカオリさんは、「おーッ、焼くと香ばしいなあ。とけたチーズの風味もいいし」「マヨネーズとタマネギが魚のクセを抑えて食べやすいわね」と絶賛していました。
 錦ちゃんがいうには、「なめろうもさんがも、薬味をいろいろと変えることによってさらに味の変化が楽しめるよ」との事で、マヨネーズの他にもにんにく・みょうが・梅肉・カレー粉(!?)をおすすめしていました。
 前者三つはともかく、カレー粉を足すというのは斬新すぎる発想で「うーん…」と思わず考え込みましたが;、考えてみれば海外でも魚+カレーという組み合わせは数多く存在しますので(←鰹節によく似たモルジブフィッシュ入りのスリランカカレーや、シンガポールのフィッシュヘッドカリーなど)、案外いけるのかもしれません。

 こうして様々なアジ料理で大満足した三人ですが、坂本さんは天然なのか、それとも素直に錦ちゃんの手柄を認めたくなかったのか、「いやあ~ッ、たいしたもんださすがだなあ。すっかり感心したよ」とべた褒めして錦ちゃんが照れた直後に、「ン…?オマエじゃないよ。なめろうとさんがを発明した漁師さんのことだ」と見事に肩透かしさせており、こちらまでずっこけそうになりました;(←おそらく、正面から褒めるのは照れくさい&少し悔しいのもあったんだと思います)。
 こういう複雑な誉め方をするのも受け入れられるのも、長年の友人だからこそなんだろうな~と微笑ましい気分になった回でした。
通常はなめろうを焼くだけで出来るんですが、これはマヨネーズと玉ネギが入る事によってより凝った味に
 アジの値段が高騰していたので迷っていたんですが、どうしても試してみたかったので再現する事にしました。
 作中には大体のレシピが記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、さんが用のタネ作り。刺身用の骨抜きアジのサクを包丁で小さく切り、そこへ細かく切った青ジソ、しょうが、玉ネギを加えてざっくり叩き、さらに味噌とマヨネーズを入れて再度叩きます。
 やがて、アジの粒がそこそこ残る程度に細かくなり、全体的に少し粘りが出てきたら、さんが用のタネは出来上がりです。
特製さんが2
特製さんが3
特製さんが4
 次は、焼き作業。
 水にざっとくぐらせたかまぼこ板(←炎上が心配な方は、何時間か水に浸けた方が安心です)の上へ、先程のタネを平らになるよう盛り、チーズの角切りをあちこちに埋め込みます。
 このかまぼこ板を魚焼きグリルに入れ、表面に軽い焼き目がつくまで焼きます。
 ※タネもチーズも非常に焦げやすいので、時々様子を見た方がいいです。もし中が焼けていないのに早々と焦げかけたら、アルミホイルをかぶせて焼いてみてください。
特製さんが5
特製さんが6
特製さんが7
 時間が経ち、タネにもチーズにも程よく火が通ってきたら取り出し、そのままお皿へ盛り付ければ“特製さんが”の完成です!
特製さんが8
 うっかりチーズを少し焦がしてしまった為、なかなか悲惨な見た目になってしましましたがorz、味噌とアジが焼けた香ばしい匂いはおいしそうです。
 不思議な事に、味噌を入れている割にはタネはそこまで焦げておらず、味の方はどんな感じなのか興味津々です。
特製さんが9
 それでは、焼きたてほやほやの内にいざ実食!
 いっただっきま~す。
特製さんが10


 さて、感想はと言いますと…なめろうとも従来のさんがともまるで違う美味しさ!見た目に反し、かなり洋食風でびっくりします。
 通常、さんがはふっくら柔らかながらもそれなりにしっかりした噛み応えや、ストレートに濃い味でありつつもどこかさっぱりした美味さが特徴的なんですが、こちらはマヨネーズがつなぎになっているせいかフワフワと舌の上でとろけるような口当たりと、魚とは思えぬ洋風でガツンとコクのある旨味が印象的でした
 しょうがのキリッと切れの鋭い香りと、青じそのすっきり清々しい風味がアジが持つ魚特有の癖を消し、尚且つ玉ネギやチーズとも反発していないのがポイント高かったです。
 甘じょっぱい味噌マヨネーズ味のタネに、火が通って熟成された塩気がさらに凝縮したチーズと、シャキシャキと小気味良い歯触りの玉ネギが合わさると、「後口爽やかでヘルシーな魚肉の和風チーズハンバーグ」としかいいようのない不思議な味付けになりました。
 意外にも、玉ネギからにじんだ瑞々しい甘さや、マヨネーズから溶け出たまろやかな油分がアジの旨味エキスが合わさると、ハンバーグの肉汁に似たこってりジューシーな汁気がタネからジュワッと染み出る為、さんがにありがちなパサつきと固さを防げたのがよかったです。
 ただ、味噌を炙った時に出る香ばしさが軽減しているのが唯一の欠点ですが、幸いちょっぴり表面が焦げたチーズがその分を少しカバーしていましたので、あまり気になりませんでした。


 ビールはもちろん、焼酎水割り・日本酒・フルーツチューハイにも合います。
 あと、これはマヨネーズとチーズの量で味が大分変わりますので、サッパリ系がお好きな方は少なめに、こってり系がお好きな方は多めにするとよさそうです。

●出典)『風流つまみ道場』 ラズウェル細木/芳文社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
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 …『拳闘暗黒伝セスタス』
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