『華中華』の“和風アサリと春キャベツのチャーハン”を再現!

 個人的に、味噌汁は舌が火傷しそうな程熱々な物が好みなんですが、一つだけ「ぬるめ、もしくは冷めかけ」がいい味噌汁があります。
 それは、春キャベツの味噌汁!
 汁が十分染みてくたっとした柔らかな春キャベツと、そのミルキーで甘いエキスは冷めかけの方がより味が際立つため、これだけは食事の最後にしみじみと飲むのが自分の中で通例となっています(←その為、東海林さだお先生が『キャベツの丸かじり』で同様の発言をされているのを見た時は、すごくうれしかったのを覚えています)。

 どうも、それなのに何故かもつ鍋に入っているキャベツは熱々の方が断然好きという矛盾している当管理人・あんこです!


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にてハナちゃんが前日に余ったあさりを巧みに下処理して生まれ変わらせた“和風アサリと春キャベツのチャーハン”です!
和風アサリと春キャベツのチャーハン図
 前回、味に自信があるものの原価が高いチャーハンを出す為、一時的に300円から500円に値段を戻したハナちゃん達ですが、急な価格変更に戸惑ったお客さんのほとんどは上海亭をそのまま素通りし、あさりが大量に余ります。
 おかげでハナちゃんはすっかり自信喪失し、おじいさんに平謝りするのですが、商売を始めて何十年にもなるおじいさんはこの結末をある程度予見していたようで、「値上げを決めたのは店主の俺だ!だから責任は俺にある!」「いいかい、ハナちゃん…商売にこういう事は付き物だ…長い目で見なくちゃダメって事さ」と宥め、最後には「値段は怖いんだ…いい勉強になったじゃないか」という、労わりすら感じるような励ましをしていました。

 こういう相手ありきの実験は、すぐに成果が出なければ全てが駄目だったように感じて早々に諦めてしまいがちですが、よくよく考えてみれば、こういう急な実験は特に宣伝広告を打っていない限り反応が返ってくるのはどうしても遅くなりがちですし、最初はイマイチでも後から口コミでじわじわ人気が出る例は決して少なくありません。
 その為、おじいさん達の「初日は失敗でも、地道に続けていたら結果は分からない」「儲けの少ない日があってもいい。それが将来に繋がればいい」という主張は、あながち慰めだけでもないのかもしれない…と感じたものです(←当管理人自身、情報に対するアンテナが鈍いばかりに期間限定の試みを何度も見逃し、「もっと実施期間が長かったら…」と歯がゆく感じた事は、数多くありますので…)。
 
 おかげで気を取り直せたハナちゃんは、このままだと一日と持たず痛んで食べられなくなるあさりの剥き身に一仕事し、明日でも美味しく食べられるよう何とかしようと、知恵を絞ります。
 そんな時、ナイスタイミングでヒントをくれたのはおばあさんで、賄いとしておじいさんの大好物・深川めしを作ろうと提案され、「そうか!その手があるかもしれません」と妙案を思い付いていました。
 深川丼みたいにあさりの味噌汁をぶっかけたご飯とは違い、深川めしとはあさりを加えてそのまま炊きこんだご飯の事なんですが、これならあさりの数を減らしてもその出汁が染みたご飯で満足感を演出出来るのでは…と考え、早速下拵えに取り掛かります(←確かに、同じくあさりを使ったボンゴレパスタも潮エキスたっぷりなソースだけで十分麺が進みますので、納得です)。
値段の怖さを思い知った後、大量にあまったアサリを翌日でもおいしく食べれるよう下処理
 こうして翌日、ハナちゃんが色々考え抜いた末に生み出した改良版チャーハンが、この“和風アサリと春キャベツのチャーハン”です!
 作り方は簡単で、油を引いて熱したフライパン(又は中華鍋)で春キャベツ・剥きあさり・生卵を炒めた所へ、あさりと昆布で取ったお出汁で炊いたご飯を投入してざっと混ぜ合わせ、最後に刻みネギを加えて醤油で香りづけして上から花鰹をどっさり散らしたら出来上がりです。
 ポイントは、剥きアサリはあらかじめ醤油と日本酒で下味をつけること、ご飯を炊く時は日本酒も足してくさみ消しをすること、生卵を入れたら固まらない内にすぐご飯を投入することの三つで、和の技法を活かしたレシピだな~と思ったのを覚えています。

 前回のあさりチャーハンはゴマ油とにんにくを使って濃いめの中華風にしていましたが、今回はハナちゃん曰く「アサリの味と香りを殺さないように、サラダ油を使います」との事で、あっさり仕立てにする事であさり味のご飯をさらに引きたてようとしているのに工夫を感じました。
 実を言いますと、花鰹を使う予定は元々なかったんですが、義実家での夕食の席であさりの味噌汁を出された時、お義母さんたちから「今日は鰹節も入れてみたのよ」「関西の人は昆布を好むけど、関東ではやっぱり鰹節だからね」という言葉を聞き、横浜の方々の口にもっと合うよう鰹節をトッピングするのを思い付いたとの事(←現に、大手カップ麺メーカーでも関西は昆布主体、関東は鰹節主体に味付けするのを意識しているそうで、こちらこちらの方がその違いを詳細にレポートされています)。
 単に「美味しい」のではなく、「その土地の人にとって最も美味しい」を追及するハナちゃんの姿勢に、相変わらず細やかな心遣いをするな~と感心したものです。
鰹節と昆布の相乗効果であさりの旨味が引き立つということを、義実家で学びます
 その後、上海亭へは「アサリの量が減ったぐらいいいよね」「和風ってのが魅力的だね」と昔なじみのお客さんが続々戻ってきてまた繁盛しており、ハナちゃんは一安心していました(←また例の如く、銀河楼飯店の有田さんが「残り物を使う店はやめた方がいいよ、腹を壊すだけだ」と営業妨害をしに行ってましたが、信頼度は「有田さん<<<(超えられない壁)<<<ハナちゃん」だったせいか、全く耳を傾けられていませんでした;。少し気の毒ですが、狼少年と同じなので自業自得な気もします)。
 下げる側にとっては「たった一円」かもしれませんが、払う側としては「されど一円」で、グルメ漫画では見落としがちな価格の問題について考えさせられた、非常に興味深い回でした(←最近のグルメ漫画では少ないですが、昔はそこら辺が結構アバウトで、「こんなに手間も原価もかかって、一体いくらで売るつもりですかー!」と心の中でしょっちゅう突っ込んだ記憶があります;)。
和風に味付けしたあさりと春キャベツのチャーハンは、上海亭のお客さんに好評でした。
 あさりも春キャベツも安く手に入るようになりましたので、再現する事にしました。
 作中には分量つきの詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、あさりの下ごしらえ。あさりと出汁昆布と水を入れたお鍋をゆっくりひと煮立ちさせ、あさりが全て口を開けたらザルに空けてあさりとお出汁の二つに分けます(←あさりの身は殻から取り出しておきます)。
 お出汁は別器に移して粗熱を取り、あさりの身はボウルに入れて醤油と日本酒で味付けします。
和風アサリと春キャベツのチャーハン1
和風アサリと春キャベツのチャーハン2
和風アサリと春キャベツのチャーハン3
 粗熱を取ったお出汁は日本酒と塩で少し味付けし、研いで水切りしたお米入りの炊飯器へ注いで十分吸水させ、そのまま普通に炊飯します。
 炊きあがったら、底からさっくりと切るように混ぜておきます。
和風アサリと春キャベツのチャーハン4
和風アサリと春キャベツのチャーハン5
 次は、チャーハン作り。
 油をひいて熱したフライパン(又は中華鍋)へ五ミリ幅に刻んだ春キャベツを加えて軽く炒め、途中あさりの身を投入してさっと炒めます。
 春キャベツにあさりが行き渡ったら生卵を落とし、お玉か木べらでざっくり崩して二~三回混ぜます。
和風アサリと春キャベツのチャーハン6
和風アサリと春キャベツのチャーハン7
和風アサリと春キャベツのチャーハン8
 続けて、生卵が固まりきらない内にすぐお出汁で炊いたご飯を入れてまんべんなく炒め合わせ、刻みネギを投入し、鍋肌に沿わせるようにして醤油を回しかけて混ぜ合わせます。
和風アサリと春キャベツのチャーハン9
和風アサリと春キャベツのチャーハン10
和風アサリと春キャベツのチャーハン11
 チャーハン全域に醤油の香りがつき、材料が全部混ざりきったら火からおろし、そのままお皿へ丸く盛り付けて花鰹をたっぷり振りかければ“和風アサリと春キャベツのチャーハン”の完成です!
和風アサリと春キャベツのチャーハン12
 ふわふわちらりと熱で踊り狂う花鰹の様子と、多種多様なお出汁の風味がとても食欲をそそり、否が応でも味の期待が高まります。
 これまであさりに合わせるのは昆布くらいで、鰹節も一緒に合わせるのは初めてですので、どういう仕上がりになるのか楽しみです!
和風アサリと春キャベツのチャーハン13
 それでは、冷めない内にいざ実食!
 いただきまーすっ!
和風アサリと春キャベツのチャーハン14


 さて、感想はと言いますと…あさりが効果的に活かされてて美味!色んな出汁が染み、おひたし風のジャクジャクした食感になった春キャベツが最高です!
 中華風に比べるとやや薄めで、特に目新しさのないあっさりした和風出汁醤油味なんですが、どこか「実家のあさりの潮汁」を彷彿とさせるおいしさで懐かしく、飽きません。
 あさりのアミノ酸たっぷりなエキスを炊き込んで限界まで吸わせたせいか、噛めば噛む程磯の香りやまろやかな潮味が舌に広がり、旨味の輪郭がくっきりと静かに浮かび上がっていくのがナイスで、正直奥行きはこちらが上だと感じました。
 あさりに下味をつけているせいか、チャーハンと一緒に食べずとも単品だけで十分満足感があるのがよかったです。
 普通の油なのでゴマ油みたいなコクはなく、卵も油をそこまで吸っていないのでさっぱりした後口ですが、その分春キャベツの瑞々しい甘さが素直に引き出されており、チャーハンというよりは「少し味が濃いめなチャーハン風混ぜご飯」っぽい仕上がりなのが印象的です。
 また、穏やかでまったりとした甘味のある昆布出汁と、キリリと引き締まった辛味の目立つ極薄鰹節は最初から一緒に炊き込むより、口の中でふわりふわりと段階的に一体化していく方がずっとメリハリがある感じで風味も鮮やかで、気に入りました(←混ざる鰹節の量がランダムで、一口ごとに味が変化するのが楽しいです)。


 家族も当管理人もあさりチャーハン二種を食べ比べしてみましたが、双方共に僅差で“和風アサリと春キャベツのチャーハン”に軍配をあげました。
 両方とも確かに美味だったんですが、鰹節と昆布があさりの旨味をさらに引きたて、あさりの味がご飯にしっかり染みていたせいかこちらの方が若干味わい深かったので、より完成度が高いな~と感じました。

P.S.
  先日波多野鵡鯨さんからご紹介された作品ですが、一部試し読み出来て「これは試したい!」と思った漫画を「再現料理を予定中の漫画」へ追加いたしました(←『じったんの時短レピシ』、『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』、『土曜日ランチ!』、『ホクサイと飯さえあれば』の四つです)。ただ今、『パパと親父のウチごはん』と『最後の小料理屋』をチェックしようと探していますので、確認でき次第まだご報告できれば…と考えておりますm(_ _)m。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
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※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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