『まかない君』の“コンビーフと福神漬けのスパゲッティ”を再現!

 最近、昔からよく行く個人経営のスリランカカレー屋さんが、カレー皿の片隅にタマネギなどをすっぱからく味付けしたオニオンサンボルという和え物を添えて出すようになったのですが、これが想像以上にいい箸休めになっていてびっくりしました。
 不思議にも、甘い物を食べるよりも酸味の方がより効果的に辛さを和らげる感じで癖になります。
 カレーの付け合わせといえば、福神漬けからっきょう漬けくらいだった当管理人は、色々あるんだな~と感心しきりでした。

 どうも、ちゃんぽんを食べ終わる三口前くらいに、ほんのちょっとだけお酢をたらしてさっぱり頂く食べ方にもハマっている当管理人・あんこです。
  

 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君がある雪の降る日に作った夕食・“コンビーフと福神漬けのスパゲッティ”です!
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ図
 それは、浩平君と弥生ちゃん達の共同生活が三年目へと突入したある雪の日のこと。
 「東京の冬も寒いし雪は降るしで参るなあ」と浩平君はぼやくのですが、弥生ちゃんから「雪国育ちなのに軟弱なこと言ってるね」と言われ、ほろ苦く笑います。
 と言いますのも、浩平君曰く「うちの方は雪国ってほど降らないけどね」だからだそうで、東北出身といえど雪には慣れていないからだったのですが、弥生ちゃんは「東北=基本的に冬はずっと雪」という印象を抱いていたそうで、「また雑すぎる東北観だね」と呆れられていました;(←言わんとしたい事は分からなくもないですが、どちらかと言えばそれは、北海道の冬の方がより近いイメージなんじゃないかと思います)。
 当管理人は福岡育ちですが、他県から来られた方から時々「九州って、どこもヤシの木とか植えられている物だと思ってたから、なくて意外だった」と言われて少し困惑する事がある為、浩平君の戸惑いには共感したものです;。

 いつもだったら、多少の天候不良も気にせず買い物に出かけているお二人ですが、こたつから出たくないと猫のような顔で呟く弥生ちゃんに浩平君も同意し、珍しく家にある物だけで夕食を作る事になっていました。
 この時、家にはコンビーフが備蓄としてあったので浩平君は冗談で「コンビーフをそのままわしわしかじるとか」というのですが、弥生ちゃんは「キャンプみたいでちょっと楽しそう」と満更ではなさそうで、ポジティブなチャレンジャーだな~と感心しました;。
 個人的に、コンビーフをそのまま食べるシーンというと『孤独のグルメ』のコンビニ編での夜食シーンを思い出すのですが、あれは一度試してみて「…脂が固い」とがっくりした記憶がある為、それ以来せめて軽く焼いてから食べたいな~と思っています(←もっとも、停電したら否が応にも丸かじりする必要がありますが;)。
まるで猫のようにコタツの中で丸くなりたがる弥生ちゃんと、同意する浩平君;
 それから少し経った後、浩平君が弥生ちゃんにアシストしてもらいながら夕食に作ったのが、この“コンビーフと福神漬けのスパゲッティ”です!
 作り方はとても簡単で、熱したフライパンでコンビーフ・福神漬け・カレー粉・パスタの茹で汁を炒めてからパスタを加えてざっと絡め、最後に粗挽き黒胡椒をかけたらもう出来上がりです。
 ポイントは、最初にコンビーフだけ入れて脂をじっくり溶かすようにしてほぐしながら火を通すことと、カレー粉の量はあくまでも臭み消し程度で控え目にすることの二つで、こんなにシンプルでいいのかと当初は半ば疑問に感じたものです;。

 ちなみに作中では、浩平君が「こないだ先輩から<しその実漬けとコンビーフのスパゲッティ>っての教わったんだけど、しその実漬けってあまり売ってないから福神漬けで代用したらどうかと考えたんだ」という理由で作ったと語っていましたが(←浩平君の大学生活は一度も描かれていませんのでその実態は謎に包まれてますが、回想シーンに出てきた一癖も二癖もありそうな先輩の姿を見ると、少なくともテニスサークルみたいな爽やかな所には所属してなさそうだな~という予感がしています;)、実際には西川先生が「とある先輩作家さんに教えていただいたレシピを、私なりにアレンジ」したのがきっかけで生まれたレシピとの事でした。

 コンビーフのパスタも、福神漬けのパスタも前々から存在していますが、この二つを合体させたパスタ(←しかも、野菜類は一切使わない!)はネットにも料理本にもとうとう見当たらなかったので、その先輩作家さんが如何にしてこの独創的な組み合わせを思い付かれたのか、是非ともお聞きしたいところです;。
「台所の牙」という組織に所属している先輩から教わった、少し怪しげなパスタ;
 その後、実際に食べた弥生ちゃんと佳乃さんは「甘じょっぱさがちょっとジャンクな感じでおいしいよね」「なるほどね。歯ごたえがいいアクセントになってるね」と喜び、完全に見切り発車で作った浩平君は「気に入ってもらえてよかった」と安心していました。
 普段、浩平君は何度か試作して「よし、OK!」と美味しさに自信が持てる物ばかりテーブルに出してますので、珍しく行き当たりばったりで料理する姿に少し驚きましたが、考えてみれば浩平君のレシピは臨機応変に対応して生まれた物がほとんどな為、そこまで意外ではないのかもしれません。

 あと、実を言いますと、浩平君は小さい頃、自生していた大きいなたまめを持った弥生ちゃんから「真剣白刃とりしてよ」とお願いされて挑戦したことがあったそうなのですが、ものの見事に失敗し、ズバッと真っ向から正面打ちされた過去があったとの事;。
 福神漬けに入っていた薄いなたまめを見てふと思い出したみたいなんですが、弥生ちゃんは指摘されるまで全く思い出しておらず、「これがやられた側とやった側の違いなのかな?」と苦笑しました。 
弥生ちゃんと浩平君は幼き日、なたまめを使って真剣白刃どりごっこをしていました;
 初めて読んだ時は躊躇しましたが、コンビーフと福神漬けの相性がどれだけいいのか確認したくて結局作る事にしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!



 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、炒め作業。油を引いていないフライパンへ適度に崩したコンビーフを投入し、そのままほぐしながら脂を溶かす感じでじっくり火を通していきます(←強火すぎると焦げ付きますので、弱火~中火で根気強くするのがコツです)。
 やがて、コンビーフが徐々にほどけてきたら福神漬けを加え、カレー粉をくさみ消し程度に足してざっと炒め合わせます。
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ1
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ2
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ3
 カレー粉の風味が全体についてきたら、パスタの茹で汁を入れて手早く混ぜ合わせてなじませ、茹でたてのパスタを投入してざっくりかき混ぜます。
 そこへ粗挽き黒胡椒を振りかけ、ささっと合わせます。
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ4
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ5
 パスタに材料全てが混ざりきったらすぐに火からおろし、そのままお皿へ高く盛り付ければ“コンビーフと福神漬けのスパゲッティ”の完成です!
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ6
 作中に描かれていた通り、地味な赤茶色オンリーで硬派な見た目のパスタですが、焼きたてコンビーフの香りが食欲をそそります。
 カレー味のパスタソースは食べた事がありますが、コンビーフや福神漬けと合わせる発想は皆無でしたので、どういう仕上がりかちょっとドキドキしています;。
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ7
 それでは、麺がのびない内にいざ実食!
 いっただっきま~す!
コンビーフと福神漬けのスパゲッティ8


 さて、感想はと言いますと…今まで食べた事がない、全く新しい複雑な旨さ!見た目通りがっつり系です!
 当初はたったこれだけで薄味にならないか心配でしたが、意外にもコンビーフから溶け出たギュッと凝縮かつ熟成された牛肉の旨味エキスが全体にしっかり効いており、かなり濃厚な味わいに仕上がっています。
 隠し味程度しか入れてないのに後から強く立ち上ってくるカレー粉のスパイシーな風味と、福神漬けの奥行きのある甘味が混然となって生まれた無国籍風ピリ甘辛味が美味で、例えるとするなら「ビーフカレー一皿をあっさり汁なし仕立てのパスタにしちゃいました」というイメージでした。
 但し、本格的なカレー味というよりは、あくまで「カップ麺とかによくありそうなカレー風味」というような、いい意味でジャンクな味に留まっており、あくまでも主役はコンビーフなのがミソです。
 温かい福神漬けというのも食べる前は奇妙に思いましたが、たくあんの炒め物に似た感じでそこまで違和感がなく、むしろ大根のパリパリした張りのある食感が飽きを防ぐ絶妙なアクセントになっててナイスでした。
 脂が外へ出た上に茹で汁で半ば煮られたコンビーフの、ホロホロしつつもちゃんと肉らしい繊維が残って食べ応えがある口当たりは、限界まで煮込んだビーフシチューの肉を彷彿とさせるものがあり、簡単な割には凝った印象を受けます。
 粗びき黒胡椒とカレー粉のダブルパンチで、大辛と中辛の中間くらいの結構辛めな味付けになっている為、大人向けの一品だと感じました。


 カレーと福神漬けは間違いのない組み合わせですので、かなりしっくりくる後口でした。
 カレー粉は少な目にとの事でしたが、がっつりカレー風味のパスタがいい方はもっとカレー粉を足してみてもいいのでは…と感じました。

P.S.
 波多野鵡鯨さん、先日はコメントして下さりありがとうございます。魅力的な料理漫画を沢山ご紹介して下さり、心より感謝しております。早速いくつか読んでみて、後日再現予定の料理漫画の一覧を更新しようと思います(^^)。

●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.04.15 Wed 02:13  |  スリランカ料理

スリランカ料理とかインド料理、ネパール料理とか、やってみたら上手そうですね…!あんこさんにNHKの「妄想日本料理」に出て欲しいと度々思います。逆パターンで。外国の料理を妄想する…という。
私自身は、インドネパール料理大好きです。酸っぱいものと辛いもの大好きです。甘酢は苦手です。スリランカは一度行った事があるのですが印象が今は薄いです(インド、ネパールは二回ずつ)。

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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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 …『百姓貴族』
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 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
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 …『夢色パティシエール』


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