『まかない君』の“うーめんと二種のつけ汁”を再現!

 最近、朝に目玉焼きがうまく焼けるかどうかでその日一日の運勢を予想するというお遊びをしています。
 もう大分慣れている為、ほぼ好みのトロトロ半熟に焼き上がっては「よし、ラッキーに違いない!」と思い込むという、一種の出来レースと化していたのですが、先日珍しく黄身が割れ、涙目になった事がありました。
 正直そこまで本気にしていなかったので、「まあそんな日もあるか~」くらいの気持ちで会社に出勤したのですが、到着するなりそこそこのミスを指摘されて大いに反省する事態があった為、案外目玉焼き占い(?)は侮れないな~と思いました。
 その日以来、卵を割り入れる時はちょっと緊張している自分がいます;。

 どうも、目玉焼きは黄身に胡椒を多めにふるのが好きな当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君が共同生活一年目の初夏に作った“うーめんと二種のつけ汁”です!
二種の漬け汁図うーめん図
 弥生ちゃん達との同居生活が始まって数か月が経過した頃、浩平君の実家から段ボール一箱分の荷物が届きます。
 浩平君には何の連絡もなかったようで、最初は「何か送ってきた」ときょとんとしていましたが、箱を開けてみると弥生ちゃん達に宛てたお礼代わりのお菓子「支倉焼」・サバ缶など保存がきく数種類の食料・面白かったラノベ数冊など、気配りの行き届いた品々が沢山入っており、皆歓声を上げていました(←どうやら浩平君のお母さんは現役の文学少女みたいで、未だにラノベを読み続けているとの事。文学少女ならば一度は必ず手を出すス○ーカー文庫やコ○ルト文庫もまだ本棚に並んでいるらしく、いい歳をして同じような本棚を持つ身として、勝手に親近感を抱きました)。

 実を言いますと、中には気が利きすぎて新品のシャツとパンツ(!?)まで入っていたのですが、既に大学生となった浩平君は弥生ちゃん達にばっちり見られて気恥ずかしかったらしく、「こんなのわざわざ送ってこなくていいのに」と困り顔になっているのには少し笑いました。
 親の年齢に近い今、「きっと必要だろうからあれもこれも送ろう」というお母さんの優しい気遣いも痛いほど分かるのですが、「親から渡されたものすごく生活に密着した物を、年齢の近い異性に見られたくない!」と意地になる微妙な年頃の子どもの気持ちも同じくらい分かる為、このシーンを見た時はほろ苦い心境になったものです。

 このように、ちょっとした騒動を起こした実家からの荷物ですが、それらの中でも浩平君が一番喜んでいたのが、白石温麺
 何でも今から四百年前、白石城下に住む鈴木味右衛門が旅の僧から製法を教わった麺を胃病に悩む父に食べさせた所全快し、その評判が広まって近隣でも製造販売するようになったのが発祥のようで、宮城県では有名な乾麺だそうです(詳しいお話はこちら)。
 油を一切使わず、小麦粉と塩だけで作られている為消化もよく低カロリーで、麺が短めなので食べやすいのが特徴的だと作中で紹介されていました。
白石温麺は、素麺と違い油を使っていないので短い麺なのが特徴。体に優しい味だそうです
 そんな白石温麺とサバ缶を使い、浩平君が暑い日でもみんなに食欲が出るようにと昼食に作って出したのが、この“うーめんと二種のつけ汁”です!
 作り方はお手軽で、一方はボウルへサバの水煮缶・すりゴマ・味噌・醤油・きゅうり・豆乳・青ジソを入れてよく混ぜたら出来上がり、もう一方は小鍋にごま油・ゴボウ・にんじん・ナス・麺つゆ・水・卵を加えてコトコト煮た所へおろししょうが・刻みネギ・粗挽き黒胡椒で味付けしたら出来上がりで、その間にうーめんを茹でて冷やすだけでOKです。
 ポイントは、サバの身はゴロッとさせるのではなくよくほぐすことと、卵は中が半熟になるよう火加減には気を付けることの二つで、意外と簡単なのに驚きました。

 本来なら一種類だけでも十分だったと思うのですが、浩平君曰く「冷たい麺を熱いつけ汁で食べるのもおいしいからね」という理由でわざわざ冷や汁風と熱いそばつゆ風の計二種類つけ汁を用意したらしく、その心配りには舌を巻きました←この凝り性で細やかな気配りが出来る所は、間違いなくお母さん譲りだろうな~と思います)。
 また当初、和の麺の薬味に黒胡椒を使用していたのには弥生ちゃん同様「七味とかじゃないの?」とびっくりしたものでしたが、浩平君は「コショウも合うよ。江戸時代にはうどんの薬味にコショウかけてたらしいし」と豆知識を披露しており、感心しました。
 調べてみた所、江戸時代には既に胡椒飯なるスープご飯も存在していたようですので、「白いご飯に合う物は麺にも必ず合うから、説得力がある!卵かけご飯=釜玉うどん然り!牛丼=肉うどん然り!」と納得したものです。
サバ缶はゴロっと使わず、ほぐして使用。豆乳が隠し味で、見た目はゴマダレ風ですぷっちんとろりと黄身がとろけて麺に絡むさまは、激しく食欲をそそりますね
 その後、白石温麺を食べるのは実は初めてな弥生ちゃん達と浩平君は食卓を囲むのですが、「なるほど、麺が短くて取りやすいな」「しゃっきりコシがあっておいしい」とすぐに気に入られていました。
 つけ汁の方も、「このごまだれみたいなの、濃厚だけどさっぱりしてていいな」「ん~いい感じに半熟~。麺に黄身をからめてすするこの豪奢~」「香辛料と熱い汁でほてった体内を冷や汁でクールダウンして、冷めたところにまた熱いのをすすりこむ。ちょっとした永久運動だね」と概ね好評で、読んでいるこちらまで食欲がそそられたものです(←凜さんは「玉子が入っていると豪華な気がするところが昭和生まれの哀しい習性だな」と哀愁漂う独り言を漏らしていましたが、日本は卵の消費量が世界で第二位になる程の卵大好き国家ですので、平成生まれの方々にもまだまだ神通力は健在のはず!…だと思いたいですorz)。
熱いつけ汁の後は、冷たいつけ汁をすするなど、ちょっとした永久運動をする佳乃さん
 先日、偶然にも某店で白石温麺を購入する機会に恵まれましたので、再現する事にしました。
 作中には詳細なレシピがきっちり記載されていますので、早速その通りに作ってみようと思います!
 

 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、冷たいつけ汁作り。ボウルへサバの水煮缶を汁ごとあけ、すりゴマと味噌と醤油を投入し、サバの身をしっかりほぐしながらよく混ぜます。
 そこへきゅうりの薄切りと豆乳を足してざっくり混ぜ合わせ、上からシソの千切りを散らします。
 これで、冷たいつけ汁は準備完了です。
うーめんと二種のつけダレ1
うーめんと二種のつけダレ2
うーめんと二種のつけダレ3
 次は、熱いつけ汁作り。
 ごま油をひいた小鍋へささがきにしたゴボウ、皮をむいて千切りにしたにんじん、細切りにしたナスを入れ、さっと炒めます。
 表面に油が回って半分くらいまで熱が通ってきたら麺つゆと水を加え、コトコト煮ます。
 やがて野菜類が煮えてきたら卵を人数分割り落として半熟状態になるまで火を通し、おろししょうが、刻みネギ、粗挽き黒胡椒を投入します。
 これで、熱いつけ汁も用意万端です。
うーめんと二種のつけダレ4
うーめんと二種のつけダレ5
うーめんと二種のつけダレ8
 その間、うーめんも熱湯でゆがいて冷水で全体をキュッと引き締めさせ、ザルで余分な水気をよ~くきっておきます。
 ※袋に表記されている時間よりも、気持ち少な目に茹でるのがコツです。
うーめんと二種のつけダレ6
うーめんと二種のつけダレ7
うーめんと二種のつけダレ9
 冷やしたうーめんを大皿に盛り付け、二種のつけ汁もそれぞれの底が深い器へ移して急いでテーブルへ運べば“うーめんと二種のつけ汁”の完成です!
うーめんと二種のつけダレ10
 麺用のつけ汁というよりは、もはや立派な汁物系おかずが二品ついているイメージで、彩りもいい上に結構ボリュームがあるな~と感じました。
 こんなにちゃんとしたつけ汁で麺を食べるのは久々ですので味の想像がいまいちつきませんが、「絶対においしいはず」という予感だけはビンビン伝わってきますので、浩平君を信じて食べてみようと思います!
うーめんと二種のつけダレ11
 それでは、それぞれのつけ汁にうーめんを絡めていざ実食!
 いっただっきま~す!


 さて、感想はと言いますと…思った以上にしゃっきりした軽い麺に衝撃!二種とも結構濃いめなタレなのに、スルスル胃に収まります!
 うーめんは思ったよりも太めで冷や麦を連想しましたが、食べてみるとむしろ素麺の滑らかな舌触りやツルツル感に近いです。
 断面が丸くそれなりに太さがあるせいか、中華麺を彷彿とさせるシコシコモチモチした弾力が特徴なんですが、それでいて油や卵が入っていないが故のさっぱりした後口と、小麦の素朴な旨味がダイレクトに伝わるのが印象的です。
 冷や汁風のつけ汁は、大人しそうな外見を裏切る濃厚な魚介味で、例えるとするなら「まったりクリーミーなさばの味噌煮風冷や汁」
 塩辛を思わせる強い旨辛さを、豆乳のあっさりした味わいがやんわり和らげているのがナイスです。
 不思議な事にツナ缶に似たコクが生まれている為、下手をすればくどくなる所でしたがそれをきゅうりの爽やかなパリパリ感とシソの清涼な香気がぎりぎりすっきりさせており、非常にバランスのいい一品となっていました。
うーめんと二種のつけダレ12
うーめんと二種のつけダレ13
 一方熱いつけ汁は、見た目通りこってり甘辛いきんぴら風醤油味。
 ごま油の香ばしい味が染みたザクザクごぼう、サクサクにんじん、しっとりトロリとしたナスが美味で、温野菜サラダ感覚でバクバク食べられます。
 ホコホコ感とねっとりとろける舌触りが両立している半熟の黄身や、ぷりぷりしてたんぱくな白身に麺が絡むと、一気にまろやかになるのがたまりません。
 最後にしょうがのキリリとした風味が後味を引き締め、黒胡椒のスパイシーさが和とも洋ともつかぬ無国籍風の仕上がりにしているのがよかったです。
うーめんと二種のつけダレ14
うーめんと二種のつけダレ15


 うーめんはもちろん、素麺やうどんに合わせてもすごく美味しいと思います。
 こういう和風の冷たい麺は野菜不足になりがちなんですが、この二種のつけ汁さえ用意すれば栄養バランスは良さげですので、夏バテ防止に最適だな~と感じました。


P.S.
 コメント欄と拍手コメント欄にてお言葉を下さった皆様、まことにありがとうございます。ご配慮、痛み入ります。

●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.06.10 Wed 21:07  |  胡椒飯

あんこさん、こんばんは。いつも楽しく拝見しています。

記事中の胡椒飯で思い出したのですが、『ビッグコミックスペリオール』に連載中の作品に「銀平飯科帳」というのがありますね。前に「ラーメン発見伝」とかを描いていた人の作品ですが、現代の居酒屋店主の主人公が、江戸時代にタイムスリップしてその時代の食材で現代の料理を作ったり、当時の料理を学んだりして、自分の居酒屋のメニューのヒントを得る、という内容です。「信長のシェフ」「JIN」などで手垢付きまくりの現代の職人が昔にタイムスリップというネタですが、この作品のちょっと新しいのは主人公が過去と現在を自由に行き来出来るという所です。で、この作品に主人公が江戸時代の胡椒飯の存在を知って驚きつつ早速自分の店のメニューにする、というエピソードがありました。美味しそうですよね、胡椒飯。

長々失礼しました。これからも再現記事楽しみにしてます。では、また〜。

  • #SFo5/nok
  • kawajun
  • URL
  • Edit

2015.06.12 Fri 14:21  |  

黄身にはコショウ、わかります
ピリッと効かせたコショウが相性抜群ですよね

うーめん、初めて知りました
麺料理が各地で独自の発展をした日本ではまだまだこのような、他の地方に知られていない麺料理がありそうですね~

野菜とよく絡んだ麺が美味しそうです

  • #-
  • サガノ
  • URL

2015.06.12 Fri 22:16  |  うーめんだ!

あんこさん、こんばんは!
今回の再現、わたしの出身地の名産である白石温麺がでてきて、嬉しく拝見しました(*^^*)

九州でも取り扱っている所があるんんですね~
そうめんよりも少し太めでややしっかりした歯ごたえ、わたしも大好きです。
さば缶のつけ汁がすごくおいしそう!
そしてわたしもたまごでテンション上がっちゃうタチなので、凛さんの気持ちがよく分かります…(もちろん昭和生まれ)

冷たくしてももちろん美味しいですが、
「温麺」の名の通り、温かくして食べるのも、とてもおいしいです。
宮城の郷土料理で「おくずかけ」という、温麺を使った麺もの料理がありますが、寒い時期には最高です!(まだまだ暑いですが…)
ご興味ありましたら、ぜひ検索してみて下さいね。

  • #-
  • すず
  • URL
(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://luckyclover7.blog27.fc2.com/tb.php/1146-789133eb
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


○当ブログについて
 このブログで使用されている記事の画像、一部文章は、それぞれの出版物等から引用しております。
 引用物の著作権は全て作者様、出版社様等に準拠致します。
 もしご関係者様に問題のある画像及び記事がございましたら、御連絡頂ければ速やかに修正、削除等の対処を致します。

○お知らせ
・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

Copyright © あんこ