『どんぶり委員長』の“3色缶詰開栓丼”を再現!

 先日、ある居酒屋のお品書きに「俺の唐揚げ」と「僕の唐揚げ」という微妙に違うメニューが載っているのを発見し、一瞬頭の中がはてなだらけになりました(←お値段は全く同じ)。
 お店の方に確認した所、「俺の唐揚げ=醤油味のしっかりした唐揚げ」・「僕の唐揚げ=柚子胡椒味の上品な唐揚げ」との事で、結局その根拠は最後まで明らかにされなかったんですが、「なるほど、確かにがっつり系の濃い醤油味は<俺>って感じの押しが強いイメージがあるし、柚子胡椒の繊細で落ち着いた味はちょっと気弱な<僕>って印象を感じられなくもない」と、やや強引に納得したものです。

 どうも、その日は相方さん共々「俺の唐揚げ」でガンガンいこうぜモードな飲み方をした当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『どんぶり委員長』にて主人公の男子高校生・吉田君が同じクラスの委員長の為に作った“3色缶詰開栓丼”です!
3色缶詰開栓丼図シメの鮭缶わさび茶漬け図
 『どんぶり委員長』とは、家が厳しくて一度も丼を食べた事がなかった真面目で高飛車な女子高生・委員長(←残念ながら本名不明)が、同じクラスのルーズで料理上手な男子・吉田君が調理実習で親子丼を作ったのを見て衝撃を受け、その日以来やや強引に創作丼をリクエストしては学校の調理室で作ってもらう日々を描いた、学園系丼料理漫画です。
 本能のおもむくままご飯に具を絡めてかっこむという、原始的かつ究極な食の喜びを余すところなく描かれており、キャッチコピーに載っている「器の中で生まれる無限の可能性」を実感させられる作品です。
 委員長が目・鼻・舌を駆使して詳しく丼の全容を分かりやすく、おいしそうに説明してくれるのがありがたく、まるで読者も本当に丼を食べているかのような錯覚を起こしてくれるのがたまりません。

 タイトル通り作中には丼しか出てこないのですが、「丼という限られたテーマでよくぞここまでオリジナリティーのあるレシピを…!」と感動するくらいバリエーション豊富で、その上レシピまで毎エピソード後に添えられている為、漫画として面白いだけではなくかなり実用的だと思います(←間違いなく美味しそうな“こってり&さっぱりのコロッケ2食丼”や“ベーコンミルフィーユ丼”といった王道系から、前代未聞な“勢いで作ってみたもち丼”や“広島風お好み焼き風丼”といった摩訶不思議系など、幅広くご紹介されています)。
 同じ創作系丼漫画と言いますと、今から十年以上前に連載されていた『旬~味彩の匠~』がありますが、あちらはより手が込んだ感じで再現がそこそこ難しいので、『どんぶり委員長』はより身近で再現しやすいのが魅力的だと感じました。
『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
 本作の見所は、普段は規則第一でクールな表情を崩さない委員長が、吉田君が作った丼を食べた瞬間に見せる無邪気さと、心から幸せそうな表情!
 初めは丼を「男だらけの店で食べる品のない食べ物」と敬遠していたものの、好奇心を抑えられず吉田君に“即席おんたま乗せ親子丼”を作ってもらって以来、「タレが染み込んだ具材とごはんの…ダイナミックな一体感!!」「どんぶり以外の事に気を取られることなく、ただひたすらに味と向き合える…!!」「ああ、すごい…どんぶりって…最高っ…!!!」とすっかり丼の虜になり、遂には何か食材を見るたび「コレをごはんと一緒にかっこみたいっ!」と考えるようになる委員長が、何ともかわいらしいです(←しかし、その飽くなき情熱とおかわり癖で体重がかなり不安定になっている模様で、吉田君から「お…お前太るぞ」と呆れられていますorz)。

 そのせいか、当初は「何でオレがお前に作んなきゃいけねーんだよ!!」「…で、材料は?さすがにそこまで面倒みねーぞ」と素っ気なかった吉田君も(←まあ、親子丼作成をお願いされた時は委員長もかなり高圧的な上から目線だったので、仕方ないと思いますが;)、段々態度を軟化させて快く丼を作るようになり、最終的には下準備が必要な物は家であらかじめ済ましてくれるまでにデレますので、その変遷には思わずニヤニヤさせられます。
 不真面目でマイペースな吉田君に委員長が振り回されていると思いきや、真面目に見えて実は天然で放っておけないタイプの委員長に吉田君が翻弄されるシーンも数多く、料理要素だけではなくラブコメ要素もあるのが読んでて楽しいです。

 丼に対してただならぬ探求心を持つ委員長と、何だかんだいいつつ面倒見がいい吉田君の二人がこれからどんな丼を生み出してくれるのか、続きが非常に楽しみな漫画です。
丼を一度も食べた事がなかった委員長は、吉田くんのおかげで初めてそのおいしさに開眼します
 今回ご紹介するのは、第六話目で登場した“3色缶詰開栓丼”!
 作り方はとても簡単で、マヨネーズと味噌で味付けしたツナ缶、大根おろしと酢醤油を和えたサバ缶、わさびと醤油を混ぜた鮭缶を丼ご飯の上へ乗せ、最後に白髪ネギと小ネギを散らしたらもう出来上がりです。
 ポイントは、調味料の味がよく絡むように缶の汁気はしっかりきっておくことくらいで、包丁をほぼ使わず下ごしらえもサッと済むのが嬉しい丼です。

 ちなみに、吉田君はツナ缶→サバ缶→鮭缶の順に食べ進め、最後に少し残しておいた鮭缶ごはんに熱々の鰹出汁をかけて茶漬け風にしていただく気の利いた食べ方まで提唱しており、かえって普通の海鮮丼よりも変化があって面白いかもしれない…と感心したものです(←海鮮丼は醤油オンリーの味付けがほとんどで途中ダレやすい為、一つの丼で四つも違った味付けを堪能できるのは、結構ポイントが高いと思います)。

 元々、「駅前のお店は500円で海鮮丼を売っていた→じゃあ、吉田に500円を渡せば同じクオリティの海鮮丼を食べられるはず!」と単純に連想した世間知らずの委員長に創作海鮮丼を依頼された吉田君が、何とか予算内に収めようとして苦肉の策で考え出した丼なのですが、缶詰だけ&手間いらずの割にはなかなか豪華な印象を受ける丼で、高校生とは思えぬ柔軟な発想力に舌を巻いたのを覚えています(←生じゃないとはいえ、一応海鮮は海鮮なので嘘は言っていませんし、さりげなく「開栓」に字面を変更してますので十分許容範囲だと感じました)。
 世間知らずのお嬢様である委員長は、たった500円では豪華な海鮮丼を作れないことを知りませんでした;
 なお、委員長曰くツナ缶は「昔おばあちゃんに作ってもらったミソ味の焼きおにぎりを思い出すなぁ…」「子どもも好きそうな味」、サバ缶は「さっきのツナ缶が子どもの頃を思い出す味だとすれば…こっちは少し成長した甘酸っぱい思春期の味って感じ?」「それにしてもご飯が進む…!」、鮭缶は「大人の洗練された美味しさに仕上がっている…!!」「お酒好きなパパが好きそうな味」との事で、「アンタこのどんぶりで…<人生>を表現したってワケね」と何故か一人納得していました。
 おかげで興が乗った委員長は、「おまけに、魚だけに<荒波にもまれる>…人生もまた然りって事でしょ!?」という推理を吉田君に披露し、そこまで壮大なテーマを込めたつもりは全くなかった吉田君を困惑させるのですが、「否定するとプライド傷つけそうだし…」という理由で渋々認め、委員長を「ほーらね!アタシには何だって分かるんだから!」とますます調子に乗らせていました;。
 勉強は出来るのにどこか抜けている委員長と、創意工夫と優しさに満ちた吉田君という、それぞれの特徴が際立ったエピソードでした。
子ども受けしそうなツナ缶味、甘酸っぱい思春期を表した鯖缶味、おつまみ向けな成年期の鮭缶味
 先日、缶詰を安く手に入れられたので再現する事にしました。
 作中には大体の作り方が記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ツナ缶の味付け。油分をしっかり切ったツナ缶をボウルへ入れ、マヨネーズとお好みの味噌を投入してよ~く練り合わせます。
 ※味噌は最初、固形で粘りが強くまんべんなく混ざりにくいので、スプーンの背で押しつぶすようにしてから混ぜるとよりスムーズに合わさります。
3色缶詰開栓丼1
3色缶詰開栓丼2
3色缶詰開栓丼3
 次は、サバ缶の味付け。
 ボウルへ缶の汁気をよくきったサバ缶、適度に水分をきった大根おろし、酢醤油を加え、スプーン等でざっくりと身を崩しながら混ぜ合わせます。
3色缶詰開栓丼7
3色缶詰開栓丼8
3色缶詰開栓丼9
 今度は、鮭缶の味付け。
 油分をきっちり切った鮭缶をボウルへ入れ、続けてわさびと醤油を投入し、全体にわさびの香りと醤油の塩気がなじむまでかき混ぜます。
3色缶詰開栓丼4
3色缶詰開栓丼5
3色缶詰開栓丼6
 これら3種の具を炊き立てご飯をよそった丼へそれぞれ乗せ、白髪ネギと小口切りにした小ネギを中央に散らせば“3色缶詰開栓丼”の完成です!
3色缶詰開栓丼10
 作中で委員長が言っていた通り、色味に乏しい感じなのがちょっと残念ですが、ネギの緑があるせいか思ったよりも殺風景な感じにはなっていません。
 3種もの缶詰を使った丼を食べるのは初めてですので緊張しますが、美味しそうな予感を信じて食べてみようと思います!
3色缶詰開栓丼11
 それでは、出来立てほやほやの内にいざ実食!
 いっただっきまーすっ!
3色缶詰開栓丼12


 さて、感想はと言いますと…生の刺身とはまた別次元の美味しさ!缶詰臭さが微塵もありません!
 ツナ缶は、コンビニおにぎりによくある定番ツナマヨ味かと思いきや、意外性のある新しい味わいで衝撃。
 ツナマヨはマヨネーズの個性が強くてひたすらまったりした味付けになりがちですが、これは味噌のコクがあって深い塩味が一本芯を通し、マヨネーズの油分のキレをよくしてぐっと奥行きを出しているのが特徴的です。
 白髪ネギと抜群の相性で、まろやかな濃厚甘塩マヨ味を辛味のあるシャキシャキ感でキリッと引き締めるのがナイスでした。
 一方サバ缶は、さっぱりして甘酸っぱいおろし酢醤油味がサバの癖を和らげ、割烹風の上品な仕上がりに。
 大根おろしのほろりと甘苦い優しい汁気が青魚特有のこってりした旨味を包み込み、爽やかな後口にしています。
 サバにもご飯にもすっきりして柔らかい酸味とネギの香味が効いているせいか、どことなく鯖寿司を彷彿する旨さで、例えるとするなら「おろし煮仕立てのシメサバ味」というイメージでした。
 そして鮭缶は、清々しい和の風味が印象的なわさび醤油味が染みたこっくり甘辛い鮭がご飯にぴったりで、委員長の言う通り大人な味わい。
 3種中最も甘みが強くて脂の旨味が濃いしっとりした鮭のほぐし身を、ピリッと舌を走ってすぐ消える落ち着いた辛さを持つわさびがしっかり受け止め、ワンランク上の酒肴風にまとめているのがよかったです。
 小ネギのサクサクしたアクセントがよく合うシンプルな味付けなせいか、一番海鮮丼らしい具だと感じました。
 鮭缶わさび茶漬けも、熱々で香り高いかつお出汁によってあっさりサラサラした食べ口で完全に後がしまるのが最高で、大満足でした。
3色缶詰開栓丼13
3色缶詰開栓丼14
3色缶詰開栓丼15

 濃いめな味付けの缶詰で白いご飯を口の中へグイグイ押し込んだ後、ラストは熱~い鰹出汁でしめるというコンビネーションが見事で、うっとりしました。
 中でも味噌マヨネーズ味のツナ缶はご飯だけではなくトーストに塗って食べてもいけそうな感じで、いろんな可能性があるな~と思いました。


P.S.
 コメント欄にて温かいお言葉を下さったり、サポートをして下さった皆様、誠にありがとうございます。
 更新は頻繁にできませんが出来る限り毎日目を通し、感謝をしながら拝見しております。

●出典)『どんぶり委員長』 市川ヒロシ/双葉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.07.30 Thu 14:31  |  承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

  • #

2015.07.30 Thu 14:34  |  

いつも楽しく拝読させていただいております。
「俺の唐揚げ」「僕の唐揚げ」ですか・・・う~ん。命名にこだわるお店もあるんですね。
普通の天婦羅もいわゆるさつま揚げも、どっちも「てんぷら」と言って区別しないところもあるのに・・・。
それはさておき、故郷山形でも「肉そば」「鳥そば」問題があります。
冷たいラーメン発祥の地山形で、その原型となったのが「冷たい肉そば」ですが、店によって「肉そば」「鳥そば」両方ある(鳥そばの方が若干高価)ことがあります。
「肉そば」は冷たいかけそばに煮て味をつけた鶏肉と薬味のネギをのせたもの。
「鳥そば」になると、「肉そば」に三つ葉、椎茸等が加わります。
以上山形に来た時にしか役にたたない豆知識でした。

  • #SUrRdnzA
  • ジロ
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2015.08.02 Sun 05:27  |  委員長!

あんこさん、おはようございます。いつも楽しく拝見しています。

そういえば、確かに委員長は本名不詳でしたね〜(^-^) 美味しそうな丼を見た時の「ふあああっ!」とヨダレを垂らす顔がアホ可愛いくて好きです( ´ ▽ ` )ノ

本名の他にも、放課後に丼を食べた後、家でも夕食を食べるのか、躾に厳しい両親に丼を作ってあげるのかなど、委員長には気になることがまだまだあり、続きが楽しみです。

うな丼に鉄火丼、天丼に親子丼、中華丼やカレー丼と、多彩な丼をあちこちで見かける日本、委員長の食欲と好奇心が日々刺激されて、吉田くんも大変そうですね。

あんこさん、これからも再現料理記事楽しみにしてます。では、また〜。

  • #SFo5/nok
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Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
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 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
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