『銀平飯科帳』の“江戸風炭火焼き職人うどん”を再現!

 最近飲みに行く事が多くなり、必然的に色んなお店で様々なタイプのシーザーサラダを見る機会が増えています(←自分も含めて三十歳目前の知人が多い為、なるべく野菜を取ろうと悪あがきしているのが原因)。
 刻んだ茹で卵やアンチョビが入っているタイプ、卵がない分チーズがふんだんに使われているタイプ、ベーコンが厚切りで肉々しているタイプなど色々ありましたが、やはり温泉卵が乗ったオーソドックスなタイプが一番美味しく、オリジナルを超えるのはとても難しい事なんだな~と痛感しています。

 どうも、最近知って大好きになったギャグ漫画・『ラブラブエイリアン』のおかげでシーザーサラダを平静な気持ちで眺められなくなった当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『銀平飯科帳』にて主人公・武藤銀次さんが江戸時代で作った“江戸風炭火焼き職人うどん”です!
江戸風炭火焼き職人うどん図
 『銀平飯科帳』とは、幼い頃から鋭い味覚を持ちながらも忍耐が続かず全てが中途半端になっている惜しい料理人・武藤銀次さんが、某稲荷神社にある不思議な井戸を通って江戸時代と現代を行き来できるようになり、自身が経営する潰れかけの創作居酒屋を盛り返す為、江戸時代で様々な料理のネタを仕入れてはお店で出していく日々を描いた江戸グルメ漫画です。

 確かな舌と勘の良さを持っているのに、料理をするのに必要不可欠な基礎知識や技術がないばかりにとんちんかんなゲテモノ系創作料理しか作れなかった銀二さんが、江戸時代で料理人としての「土台」を少しずつ手に入れ、ちゃんとした創意工夫の料理を作れるようになるまでに成長していく過程が面白いです。
 あと、江戸時代ではポピュラーだったものの、今ではすっかり廃れてしまった古き良き調味料や料理が分かりやすく説明され、更にどのように応用するのかという具体的なアレンジレシピまで細かく紹介されているのが読んでいて勉強になり、日常のご飯作りにも役立つのが嬉しいです(←煎り酒にオリーブ油を足し、サラダのドレッシング代わりにするアイディアには感心しました)。

 日頃お調子者でいい加減な性格ではありますが、危うく役人に突き出されかける・抜き身の刀を突きつけられる・江戸時代に閉じ込められかける(!?)という恐ろしい目にあっても、天性の明るさや柔軟な発想力を失わない銀次さんは読んでいて好感が持てますので、続きが楽しみな作品です。
『銀平飯科帳』 河合単/小学館
 なお、江戸時代で出来た初めての知り合いである長谷川主税・長谷川宣茂兄弟と銀次さんとの関係も、何気に目が離せません。
 実はこのお二人、かの有名な『鬼平犯科帳』に出てくる主人公・長谷川平蔵のお孫さんで、双子の弟である宣茂さんは武芸はからっきしなものの得意な料理の腕を活かし、膳奉行を勤めています(←ちなみに、時代設定は1820年)。
 と言っても宣茂さんは本当は女性で、味覚を失ってしまった兄・主税さんの代わりにお家断絶を防ぐ為男になりすまして役目を継いでいるのですが、最近は将軍・家斉から「料理が単調でつまらない」「新鮮味がない」と言われている上、祖父が昔作った江戸中にある料理店の番付表を最新版に更新して欲しいという難題まで出されており、困っている所に現れたのが銀次さんとの事でした。

 男装して固い言葉でしゃべってはいるものの、隠しきれないその美しさに銀次さんは内心ドキッとしており、赤面しながら「オレは男には興味がない…はずだ!」と困惑しているのが、おかしいやら気の毒やらで苦笑します『FF5』で女と知られる前のファリスが眠っている時、その寝顔にバッツとガラフがドキドキしながら見惚れていたシーンを思い出しました;)。
 しかし、銀次さんには現代で密かに片思いしている女性・葉瑠さんがいますので、今後どちらをヒロインとして進展していくのかちょっと気になる所です。
あの有名な鬼の平蔵の血を引く兄妹と江戸時代で出会い、様々な経験をします
 今回ご紹介するのは、第7話「炭焼き麺」で、銀次さんが何とか江戸時代の材料で再現できないかと試行錯誤して生み出した創作料理・“江戸風炭火焼き職人うどん”です!
 作り方は簡単で、菜種油・にんにく・長ネギを炒めた所へ茹でたてのうどんを加えてざっと混ぜ、酒粕・うどんの茹で汁・卵黄・塩・こしょうを混ぜて作ったソースの入ったボウルへ投入して手早く和えてお皿に移し、最後に粉チーズと粗挽き黒こしょうを飾り付けたら出来上がりです。

 ポイントは、酒粕はうどんの茹で汁でよく溶いてから他の材料と合わせること、ソースに火が通りすぎないよう気を付けること、それでいてうどんの余熱でソース全体にとろみがつくようにすることの三つで、初見時はたったこれだけでカルボナーラもどきが作れるとは…と驚いたものです。
 元々最初は牛乳で作る予定だったのですが、宣茂さんのうっかりミスで全部こぼしてしまい、何とか他の物で代用できないかと銀次さんが色々試してみた結果、一番クリーミーに仕上がったのが酒粕だったとの事。
 正直、初めて読んだ時は「いくらなんでも…」と半信半疑でしたが、ネットで検索した所、驚くべきことにゆるく溶いた酒粕はチーズに近いコクがあるのでカルボナーラのベースにするのは勿論、生クリームや牛乳の代わりに他の料理に使ってみても合うとあちこちで書かれており、感心しました。

 銀次さん曰く、「ベーコンがない分、ニンニクで旨味を補いました」だそうで、一体どんな味になるんだろう…と興味津々になったのを覚えています。
牛乳の代用品を探して色々試作した結果、何と酒粕が一番ドンピシャだったのだとか
 先日、いい酒粕を手に入れたので再現する事にしました。
 作中には大体のレシピがきっちり記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、ソースの用意。酒粕を入れたボウルへうどんの熱い茹で汁を加え(←ゆるくなり過ぎないよう、ご注意!)、泡立て器でよーく溶きます。
 やがて固形の酒粕が消え、全体がトロンとしたソース状になってきたら卵黄を投入してしっかり混ぜ、塩とこしょうで味を調えます。
 これで、ソースは出来上がりです。
 ※うどんの種類は、冷凍のやや細めな讃岐うどんが一番合っていましたので、そちらを推奨します。
江戸風炭火焼き職人うどん2
江戸風炭火焼き職人うどん3
江戸風炭火焼き職人うどん4
 次は、炒め作業。
 菜種油を引いて弱火で熱したフライパンへみじん切りにした長ネギとにんにくを入れ、じっくり炒めて香りを引き出します。
 そこへ茹でたてのうどんを投入し、手早くかつまんべんなく油がなじむよう混ぜ合わせ、香味野菜ごとうどんをソースの入ったボウルへ加えて急いで絡め、卵が固まらないようにしつつ余熱でとろみをつけます。
江戸風炭火焼き職人うどん1
江戸風炭火焼き職人うどん5
江戸風炭火焼き職人うどん6
 ソースにカルボナーラみたいなとろみと艶が出てうどんに絡みきったのを確認したらお皿へ盛り付け、上から粉チーズと粗挽き黒こしょうを散らせば“江戸風炭火焼き職人うどん”の完成です!
江戸風炭火焼き職人うどん7
 香りはさすがにちょっと違いましたが、パッと見は本物のカルボナーラそっくりで、酒粕だけでこんなに似せる事が出来るとは…と驚きを隠せませんでした。
 透明感のある艶やかなうどんに、淡いクリームイエローのソースがゆるゆるに絡まっているのが美味しそうで、否が応にも味への期待が高まります。
江戸風炭火焼き職人うどん8
 それでは、熱々の内にいざ実食!
 いっただっきま~す!
江戸風炭火焼き職人うどん9


 さて、味はと言いますと…本当にクリーム系のパスタソースに仕上がってて衝撃!トロンとしているのにサラッと口溶けのいいとろみが癖になります!
 酒粕特有のフルーティーで目眩がしそうなくらい強い吟醸香が効いた和風カルボソースを、ツルツルモチモチしてしっかりとコシのある太いうどんが力負けする事なくがっちり受け止め、調和していました。
 同じ発酵食品のせいか卵黄と合わさると、まるでチーズと牛乳を足して二で割ったような不思議な旨味が舌でとろけます。
 長ネギのねっとりした自然な甘さと、酒粕の滋味深くてこっくりした甘さが渾然一体となり、一般的なカルボナーラよりもまったり甘辛い味付けになっているのが特徴的で、どことなく優しい味わいに癒されました(←新米をよく噛んだ時に感じる、あのミルキーな甘味に近いです)。
 この甘やかなソースを、黒胡椒がピリッと引き締めてくれるのがバランスがよかったです。
 にんにくのガツンと来る濃い味と組合わさった結果、ベーコンや生クリームに匹敵するクリーミーなコクが生まれていますが、それよりも遥かにすっきりして胃にもたれない爽やかな後口が特徴的でした。
 正直、酒粕だけだったらここまでそっくりにならなかったと思うんですが、粉チーズがまろやかな丸みと乳製品ならではの風味をプラスしたおかげで巧みに物足りなさがカバーされ、より完成度が高まっているのがナイスです。
 カルボナーラのこってり感と、釜玉うどんのあっさり感が両立したような面白い一品で、何と冷めても美味しさはそのまま持続するのに感動しました。


 母に試食してもらった所、最初の一口二口では「このカルボナーラおいしいね!」と酒粕が入っている事には全く気づきませんでしたので、牛乳やチーズの代用品として本当に使えると思います(←ただし、食べ進めると酒粕の風味はすぐに分かります)。
 パスタやペンネに絡めても美味ですが、個人的にはうどんの方が相性抜群に感じましたので、是非一度は試して頂きたいです。
 あと、これはわざと冷ましてみても冷製パスタ風としていけますので、そちらの方も声を大にしておすすめします!

●出典)『銀平飯科帳』 河合単/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.08.21 Fri 20:21  |  

あんこさん、こんばんは
冒頭のシーザーサラダの話ですが、最近よくベーコンや生ハムが多めにのったものを洋風居酒屋等のメニューで見かけます。
個人的にはシーザーサラダの肝は「卵とチーズの味がしっかりとしたソース」だと思っているので複雑な気分です
ただそのようなお肉の多いサラダもそれはそれでとても美味しいですが(笑)

今回の焼き(カルボナーラ風)うどんもあんこさんの撮った写真からマッタリとしたソースの雰囲気が伝わり、とても美味しそうに見えたので昨日昼御飯に作ってみました!
分量は味見をしながら、特にソースが酒粕で甘くなりすぎないよう気をつけて作りました
結果、あんこさんのレビュー通り美味しいまろやかなクリーム系焼きうどんができたので大満足です コショウと粉チーズを効かせるのがポイントですね~

次回も楽しみにしてます!
駄文長文失礼しました

(あと細かいツッコミですが記事内に「時代設定は1582年」とありましたが、まだそのころは江戸時代ではないのではありませんか?)

  • #-
  • キンメ
  • URL

2015.08.22 Sat 06:21  |  ダブルヒロイン!?

あんこさん、おはようございます。いつも楽しく拝見しています( ´ ▽ ` )ノ
「銀平飯科帳」、面白いですね。色々美味しそうな料理が出てきますが、最近の話に登場した牛スジとネギのねぎま鍋は食べたいですね〜。
それと、登場する女性が可愛らしいです。銀次さんに好意的で、楽天的な葉瑠さん、真面目で堅物だけど無邪気で淑やかな面もある平蔵さん、生きてる時代もタイプも違う2人が今後どうお話を盛り上げるのか、楽しみでもあります。
豆腐でカルボナーラを作った事はありますが、酒かす版も旨そうですね(^-^) 銀次さんのキャラ立て故か、余り内容が深刻にならなそうなのも良いところです。
長々と失礼しました。今後も再現料理記事、楽しみにしています。では、また〜(^o^)/

  • #jkZ6tFIc
  • kawajun
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2015.09.07 Mon 14:38  |  管理人のみ閲覧できます

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  • #

2016.08.12 Fri 08:47  |  管理人のみ閲覧できます

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  • #

2016.10.24 Mon 14:26  |  

正直、酒粕だけだったらここまでそっくりにならなかったと思うんですが、粉チーズがまろやかな丸みと乳製品ならではの風味をプラスしたおかげで巧みに物足りなさがカバーされ、より完成度が高まっているのがナイスです。

えっ、粉チーズはどこでいれたんですか?

  • #-
  • 二枚舌
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2016.11.28 Mon 23:23  |  

>えっ、粉チーズはどこでいれたんですか?


>ソースにカルボナーラみたいなとろみと艶が出てうどんに絡みきったのを確認したらお皿へ盛り付け、上から粉チーズと粗挽き黒こしょうを散らせば“江戸風炭火焼き職人うどん”の完成です!

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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
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