『まかない君』の“ささみの3種類のはさみ焼き”を再現!

 最近ゆかりふりかけにはまっており、お弁当のおにぎりや朝食のご飯によく振りかけています。
 梅干しほど酸味は強くないけれどもさっぱりした味わいと、極限まで乾燥してサクサクした食感が癖になり、おかげで夏バテとは無縁で過ごせました。
 一番試してみて衝撃だったのはバターと合わせる食べ方で(←パスタやこふきいもなど)、バターとゆかりって予想以上に合うんだな~と遠い目になったものです。
 
 どうも、冷奴には旅行の友をかけて食べるのが好きな当管理人・あんこです。


 本日再現する漫画料理は、『まかない君』にて浩平君が六月のある日に作った夕食・“ささみの3種類のはさみ焼き”です!
ささみのはさみ焼き3種図
 梅雨が終わって夏の気配がし始めた頃、浩平君はいつも通り弥生ちゃんと近所のスーパーへ夕食の買い出しに出かけるのですが、そこで偶然高校時代の後輩・郷古さんと再会します。
 長い黒髪と眼鏡がチャームポイントな、如何にも文学少女といった感じのかわいい女の子だったせいか、別の売り場に行ってて事の次第を知らなかった弥生ちゃんは、最初「ナンパ?やるねー」とからかって浩平君を慌てさせていました(←ヒロインというよりは、まるで主人公のお姉さんみたいな台詞ですね;。実際、弥生ちゃんは「姉代わりみたいなもんかな」と自己紹介をしていますし)。

 この時、お二人は「いいですね先輩、こんなかわいい人と一緒に住めてうらやましいな」「後輩ちゃんかわいいうえにいい子だね!」「そんなことないです、従姉さんこそすごいかわいいです」という非常に女性らしい誉め合戦的なやり取りをしており、思わず「こういう場面、よくある」と心の中で頷きました。
 浩平君は「世にも実のないやりとりだなあ」と呆れられていましたが、あまり親しくない、それも初対面同士の間柄だと褒め合いは天気の話題並に無難な会話の一つですので、そこは見逃してほしいな~と苦笑したものです。
高校時代の後輩の女の子・郷古さんとスーパーで偶然再会した浩平君
 それからしばらくして、浩平君は「浩平の元カノかわいいじゃん」と強引に二人が昔付き合っていた前提で話してくる弥生ちゃんをうまくかわしながら帰宅し、台所で夕食つくりに取りかかります。
 その際、「ささみでちょっと試したいレシピがあるんだ」と浩平君が話して手際よく用意したのが、この“ささみの3種類のはさみ焼き”です!

 作り方は簡単で、筋を取って広げたささみの上へ梅干し・蜂蜜・塩昆布のタレ&青じそ、味噌・こしょう・蜂蜜のタレ&青じそ、海苔の佃煮・マヨネーズ&とろけるチーズをそれぞれ乗せて二つ折りにし、両面を蒸し焼きにしたらもう出来上がりです。
 ポイントは、ささみは白い筋をきっちり取りつつも形が崩れないよう慎重に観音開きにすることと、片面に焼き目がついてひっくり返した時にフタをして蒸し焼きにすることの二つで、凝ってそうな割にはお手軽に作れるのが印象に残りました。

 どの具もささみのはさみ焼きとしてはオーソドックスなイメージですが、梅干しには塩昆布、味噌にはこしょうや蜂蜜、チーズには海苔の佃煮をプラスするなど、目新しくて味の想像がすぐにはつかないのがいい感じです。
ささみに三種類の具を挟み込み、味に変化をつけていました。胡椒味噌の発想は意外でした
 ちなみに、弥生ちゃんは海苔佃煮マヨネーズが一番気に入ったみたいで、「これはほんとにもー!」「チーズ&海苔佃煮マヨだけでじゅうぶんおかずになるね」とホクホク顔になっていました。
 その上、「チーズとマヨで口の中が濃厚になったとこを、梅塩こんぶでさっぱりと」という、何と肉で肉の口直しをする大胆な食べ方まで提案しており、「ささみだからこそ出来る大胆な技!」「その発想はなかった…!」と初見時は驚愕したものです←焼き鳥屋さんで、「豚バラの後は鶏ももでさっぱりと」「癖のあるレバーやハツの後はねぎまで口直し」と考えながら食べた事はありますが;)。

 その後、余程気になっていたのか弥生ちゃんは郷古さんの事をまたしても「浩平の元カノ」として佳乃さんに話し、とうとう浩平君を「元カノじゃないって!ただの後輩だって言ってるだろ!」「先輩後輩の関係でしかないから」とムキにさせていました。
 どうやら弥生ちゃんとしては、二人は本当に何の関係もないという確証が欲しい為に郷古さんの話題を出したっぽいのですが、佳乃さんは物書きの血が騒いだのか「でもさ、いままではただの先輩後輩だとしても、再会をきっかけにこれからどうなるかはわからないよね」「この広い東京で再会するなんて、これは偶然じゃなくて必然じゃないのかな?」とかえって煽るような言い方をしており、急に無口になっていました(←特に最後の台詞はシンプルながらも地味に胸にくる感じで、さすが現役の小説家だと感心したものです)。
 佳乃さんとしては「最近からかってもスルーしてた浩平が、久々に痛快なリアクションをするネタを手に入れた♪」というくらいの軽い気持ちでつっついていたみたいでしたが、からかわれる浩平君としてはたまったものではなかったようで、「ああもう、二人出会わなければこんな思いしないで済んだのに…」と、まるで恋愛小説の一節みたいな詠嘆をしていました(←どういう訳か、小田和正の『ラブ・ストーリーは突然に』が頭の中に流れました;)。

 これまで全然脈なしに見えていた弥生ちゃんですが、三巻目にしてようやく(無意識ではあるものの)浩平君を意識する場面が挿入され、個人的にはちょっとドキドキした回です。
てっきり冷やかし続けるかと思いきや、急に無口になってしまった弥生ちゃん
 国産のささみが近所のスーパーで特売していたので再現する事にしました。
 作中には大体のレシピが図入りで記載されていましたので、早速その通りに作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、三種類のはさみダレ作り。一つ目のボウルへ、種を取り除いて包丁で細かく叩いたペースト状の梅干し、蜂蜜、塩昆布を投入し、よく混ぜ合わせます。
 梅干しと蜂蜜が塩昆布にねっとり絡んだら、梅塩昆布のタレは出来上がりです。
ささみのはさみ焼き3種1
ささみのはさみ焼き3種2
 二つ目のボウルへ、お好みの味噌、こしょう、蜂蜜を加え、スプーン等で練るようにしてしっかりまんべんなく合わせます(←味噌は固形なのでなかなか混ざりにくいですが、根気よく!)。
 これで、こしょう味噌のタレは出来上がりです。
ささみのはさみ焼き3種3
ささみのはさみ焼き3種4
 三つめのボウルへ、海苔の佃煮とマヨネーズを入れたらガーッとかき混ぜます。
 これで、海苔佃煮マヨネーズのタレは出来上がりです。
ささみのはさみ焼き3種5
ささみのはさみ焼き3種6
 次は、ささみの下準備。
 ささみの白い筋を調理用ばさみで見える所だけチョキチョキ切り取り、下まで貫通しないよう気を付けながら縦に左右にと包丁を入れて観音開きにし、三分の二の各ささみには青ジソを二枚、三分の一の各ささみにはとろけるチーズスライスを敷きます。
 そして、青ジソの方には梅塩昆布とこしょう味噌、とろけるチーズスライスの方には海苔佃煮マヨネーズを乗せ、二つ折りにして挟みます。
ささみのはさみ焼き3種7
ささみのはさみ焼き3種8
ささみのはさみ焼き3種9
 今度は、焼き作業。
 オリーブ油を引いて中火に熱したフライパンへ先程のささみを並べて焼き、焼き目がついたらひっくり返してフタをし、じっくり蒸し焼きにします。
 その間、他のオリーブ油を引いたフライパンでは輪切りにしたズッキーニを両面ともソテーし、塩こしょうで軽く味付けしておきます。
ささみのはさみ焼き3種10
ささみのはさみ焼き3種11
ささみのはさみ焼き3種12
 ささみも具も中まで火が通ったらお皿へ一個ずつ盛り付け、傍らに付け合わせのズッキーニを添えれば“ささみの3種類のはさみ焼き”の完成です!
ささみのはさみ焼き3種13
 梅干しの爽やかな香りや海苔の磯風味、味噌の香ばしい風味が混然となって漂い、見た目もさることながら匂いだけでもお腹が鳴ります。
 ささみのチーズはさみ焼きはよく見かけますが、梅味やみそ味は食べた事がありませんので、どういう仕上がりになっているのかとても楽しみです。
ささみのはさみ焼き3種14
 それでは、焼きたての内にいざ実食!
 いただきまーすっ!


 さて、味はと言いますと…同じささみでもかなり違う旨さ!シソがパリッと破れる時の食感や、チーズのトロトロした舌触りがたまりません!
 焼いた時に出来た焦げ目の香ばしさと、しっとり蒸されてジューシーになった柔らかい肉質が美味で、噛むごとに中の具と共に肉汁がジュワッと溢れます。
 梅塩昆布は、梅干しのすっきりした酸味と昆布の奥行きのある出汁、そして蜂蜜のこっくりした甘味が加わり、蜂蜜梅風のまったり甘酸っぱい味付けになっています。
 梅だけだったらさっぱりしているという印象だけで終わっていましたが、塩昆布の旨辛い塩気のお陰で味の輪郭がよりくっきりし、シンプルながらも深い出来栄えでした。
 塩昆布のコリコリした口当たりがいいアクセントになっています。
ささみのはさみ焼き3種15
 こしょう味噌は、オーソドックスな味噌味と思いきや後からビリッとくるこしょうのドライな辛さが洋風な感じで、一番意外性がありました。
 結構濃いめですが、シソの風味が効いている為さほどくどくありません。
 「なす抜きのあっさりした鍋しぎ風」と言いたくなる王道な味噌炒めっぽい味付けですが、砂糖や味醂の代わりに蜂蜜を使っているおかげでどことなくあっさりして品があるのが特徴的で、おかずというよりは酒肴的一品でした。
ささみのはさみ焼き3種16
 海苔佃煮マヨは、海苔佃煮の甘辛さとマヨネーズのまろやかなコクが組み合わさって生まれたこってりクリーミーな味わいで、一番濃厚。
 淡白なささみにマヨ&チーズがたっぷり油分を足し、胸肉ともも肉の中間くらいな食べ応えを演出しているのが見事で、磯の香りがぷーんと漂うせいか思ったよりも和風だと感じました。
 例えるとするなら「極力ヘルシーにした揚げないチーズカツ風~照りマヨ味~」というイメージです。
ささみのはさみ焼き3種17


 個人的に一番好きだったのは飽きが来ない梅塩昆布ですが、胡椒味噌はどのお酒にも合う感じ、海苔佃煮マヨネーズはビールとご飯にバッチリな感じがそれぞれ気に入りました。
 マヨネーズとささみが合わさるとここまでボリューム感が出るのかと感心しましたので、何かに応用できれば…と勉強になった再現でした。

P.S.
 キンメさん、先日はコメント欄にて誤った個所のご指摘をして下さり、誠にありがとうございます。単行本の帯にあった「1582年⇔2015年Wでうまい!!」という売り文句を参考にしてそのまま書き写したのですが、文中をよく確認すると「1820年」が正解でしたので訂正しました。ご協力感謝いたします。


●出典)『まかない君』 西川魯介/白泉社
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2015.08.30 Sun 07:09  |  

こんにちは、いつも楽しく読ませていただいてます。
実は「ジャンプ+」というサイトでゆかりを使ったメニューを紹介する「ゆかりちゃん」という漫画があります。
コミックスもありますので、良かったら読んでみてはいかがでしょうか。(サイトだと無料で読めます!)

  • #-
  • URL

2015.09.10 Thu 14:02  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • #

2015.09.16 Wed 18:20  |  

あんこさん、こんばんは!
いつもお腹をすかせて読んでいます、というよりあんこさんの書く文章と写真を読んだり見たりすると自然に食欲が増しています(笑) 特に最後の試食レポはそんじょそこらの料理漫画よよりも美味しさが伝わります
これも長年の経験の積み重ねによるものなのでしょうか

今回の料理は海苔の佃煮とマヨネーズやこしょう味噌などちょっと変わったソースが興味をそそりますね シソの風味でこってりさとくどさを抑えているのも美味しそうな組み合わせです

漫画などの料理を(詳しいレシピがないものも多いのに)美味しく再現するこのブログを5年以上続けていらっしゃることは本当に凄いです これからも無理のない範囲でお願いします!

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あんこ

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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