『華中華』の“夏の中華風ステーキ”を再現!

 遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます!
 2016年度初にして、再現料理数の合計が800個目に到達する、個人的におめでたい記事を更新致します。
 今年も何卒よろしくお願いします。


 本日再現する漫画料理は、『華中華』にて島野さんが暑い時期に新作ランチとしてお店に出した自信作・“夏の中華風ステーキ”です!
夏の中華風ステーキ図
 それは、上海亭にロー・サンチク(その正体は、ハナちゃんの実の大叔父・竹三郎さん)が訪れ、“手作りラー油のニラ玉チャーハン”を認めてくれた日から数日経った日の事。
 ロー・サンチクから直接中華料理の手ほどきを受けたいと考えたハナちゃんは、「ロー・サンチクが今日は満点大飯店に現れたそうだぞ」という情報に飛びついて満点大飯店へ駆けつけ、成り行きで一緒に「世直し食べ歩き」に参加する事になります。
 どうやら島野料理長もロー・サンチクの登場を予想していたらしく、夏の新創作ランチで迎え撃つのですが、前菜の夏野菜サラダと卵スープ、飯物の基本チャーハン、デザートのマンゴープリンに至るまですべてが完璧で、ハナちゃんはもちろんロー・サンチクも驚いていました。

 中でも当管理人が感心したのは夏野菜のサラダで、数年前に発見されたばかりの「50度洗い」という技術が使われていました。
 やり方はとても単純で、50度前後の熱いお湯で数十秒間野菜を洗うだけなのですが、ヒートショックという現象で表面の気孔が開き細胞に水分を取り込んで瑞々しく蘇り、味・食感・鮮度が段違いに良くなるとの事で、特に葉野菜に絶大な効果を発揮するのだとか。
 以前、『喰いタン』で似たネタを見た為(←はっきり50度洗いと書かれてはいませんでしたが、かえってレタスの張りが増すと明言されてました)、何となくお湯は葉野菜にいいんだろうな~と思ってはいたのですが、こうやって理論的に説明されると分かりやすくて参考になります。
さすがカリスマの島野料理長で、どれもけちのつけようがないほど完璧でした
 それらの中でも特にハナちゃんが感動していたのが、島野料理長が自信を持って発明したオリジナル中華・“夏の中華風ステーキ”です!
 作り方はちょっと手間がかかり、オイスターソースと黒胡椒を揉みこんで約三十分寝かせた牛サーロイン肉と生トマトの両面をフライパンでさっと焼き、一味唐辛子を振りかけてブランデーでフランベしたら取り出し、その肉汁が残ったフライパンへ小松菜・中華スープ・砂糖・醤油・黒酢・水溶き片栗粉を入れて特製スープを作り、最後に食べやすく切ったステーキにかけたら出来上がりです。
 ちなみに、付け合わせには先程のトマトの他、さっとソテーした長ナスとパプリカも用意します。
 ポイントは、サーロイン肉にはあらかじめ筋切りと隠し包丁をして柔らかく仕上げること、お肉の焼き加減はミディアムにすること、一味唐辛子の量はごく少なめに抑えることの三点で、手間はかかるもののそこまで難しくなさそうなのが初心者としてはほっとしました(←シンプルな分、技術がいりそうな料理は大の苦手です;)。

 中華料理でステーキと言えば、『鉄鍋のジャン!』の序盤に出てきたXO醤・揚げエシャロット・玉ねぎ使用の“中華風シャリアピンステーキ”の印象が強い為、黒酢・一味唐辛子・和野菜をふんだんに使ってあっさり仕立てにしたこちらは、ジャンが洋寄りだとすれば和寄りだと思いました。
 料理には人の個性が現れると言いますが、「女性が喜ぶ体にも美容にも嬉しい、そして目新しいヘルシーな中華を提供したい!」という信念を持ち続けている島野料理長らしい一品だとしみじみ実感させられたものです。
オイスターソースと黒酢でさっぱりに仕上げたソースが、夏場に嬉しい一品
 以上のように、完成度が極めて高い新創作ランチは「夏にはこの少し濃いめの黒酢ソースがぴったりです」「クレームのつけ様がない」とハナちゃんから絶賛されます。
 しかし、ロー・サンチクは「この料理の一つ一つは完璧なまでに素晴らしい、そして旨い」「しかし、ランチのセットとして食するとそれぞれの味が強く、組み合わせて食するには重くもあり、味も濃くなってしまってる!」「特にメーンの中華ステーキとチャーハンの組み合わせはなってない!白飯か中華蒸しパンにするべきであった」と酷評し、呆然と立ち尽くす島野料理長に「自らの腕に溺れ、お客の事を忘れた傲慢さゆえの失敗と言わざるを得ない」とトドメをさし、その場へとへたりこませていました(←誠にお気の毒なのですが、その…落ち込んでいる割にはへたり込む瞬間の表情が恍惚とした赤面顔で、内心「もしかして、島野さんってドM?」と複雑な気持ちになりました…;)。
 この、「普通の味。10人中7人がうまいと言ってくれればいい」「おいしすぎてもいけない。家庭の味を少し上回るような味がいい」という理論は、日高屋やココイチの創業者が仰っている有名な言葉ですが、深いな~と思います(ラーメンのトッピング全部乗せがすごく美味しい訳ではないという事と同じことでしょうか?←多分、全然違う)。
一品一品は素晴らしくても、組み合わせで台無しになっているとの厳しい指摘
 材料費が高くつく為しばらく敬遠していた料理でしたが、このままだと『華中華』再現が全然進まないので再現する事にしました。
 奮発して一枚数千円の佐賀牛サーロイン肉を買った事ですし、早速単行本に記載されている詳細なレシピ通り作ってみようと思います!


 という事で、レッツ再現調理!
 まずは、牛肉の下ごしらえ。国産のサーロイン肉に包丁で筋切りと隠し包丁を施して柔らかくした後、オイスターソースと黒胡椒をまぶして手で揉みこみ、約三十分寝かせておきます。
夏の中華風ステーキ1
夏の中華風ステーキ2
夏の中華風ステーキ3
 次は、野菜の下準備。
 ごま油を薄く引いて熱したフライパンへ薄切りにした長ナスと、種を取って太目の千切りにした赤パプリカの千切りを入れ、塩を軽く振って焼きます。
 両面に火が通ったら、あらかじめお皿へ盛り付けておきます。
夏の中華風ステーキ4
夏の中華風ステーキ5
 ここまできたら、いよいよ肉を焼く作業。
 ごく薄く油を引いて熱したフライパンへ下味がついたサーロイン肉と輪切りにした中玉トマトを並べて焼き始め、一味唐辛子をさっと振りかけます。
 サーロイン肉とトマトの片面がこんがり焼けたら手早くひっくり返してブランデーでフランベし、もう片面も香ばしく焼き上げて別皿へ取り出します。
夏の中華風ステーキ6
夏の中華風ステーキ7
 この肉汁が残ったフライパンへザク切りにした小松菜を投入してざっと炒め、中華スープ、砂糖、醤油、黒酢を加えて味付けします。
 味が決まったら水溶き片栗粉を足し、グツグツ煮込んでとろみをつけます。
夏の中華風ステーキ8
夏の中華風ステーキ9
夏の中華風ステーキ10
 付け合わせを盛り付けておいたお皿へ食べやすいサイズに切ったステーキとトマトを移し、その上から先程の特製スープをたっぷりかければ“夏の中華風ステーキ”の完成です!
夏の中華風ステーキ11
 パプリカとトマトの赤、小松菜の緑、ナスの紫が何とも鮮やかな一皿で、見ているだけで「どんな味なんだろう」とワクワクしてきます。
 小松菜の色が少しくすんでしまったのが残念ですが、黒酢ソースから漂う爽やかな香りがたまりまらなく、食欲がどんどんわいてきます。
夏の中華風ステーキ12
 それでは、冷めてしまわない内にいざ実食!
 いっただっきま~す!
夏の中華風ステーキ13


 さて、味はと言いますと…ステーキとは思えぬあっさりした美味しさでびっくり!とろみのついた中華風スープが、ブランデーで香り高く仕上がったお肉を最後まで熱々にしてくれます!
 サーロインは脂の多さと濃厚な味わいが魅力的なものの、それが原因で後々重くなるのが難点だったのですが、黒酢のマイルドで熟成された酸味が後口をスッキリ爽やかにしてくれる為、全然しつこくありません。
 甘辛酸っぱくて上品な酸辣湯風スープ(もしくは軽めの黒酢酢豚風スープ)に、肉汁の旨味が溶け込んでコクが増し、一味唐辛子のピリ辛さがちょうどいいアクセントをプラスして即席とは思えぬ深みがでているのに驚きました。
 このスープと、熱が加わっても尚強いシャキシャキ感が残っている小松菜が相性抜群で、ちょっと高菜漬けっぽい味に変化しているのが面白かったです。
 オイスターソースの下味はそこまでガツンと主張しませんが、よく噛むごとに深みのある塩気が相乗作用となって肉の美味しさを底上げし、地味にサポートしてるのがよかったです牛と全く違う潮の風味が加わることにより、かえって味の輪郭がくっきり際立つのが見事)。
 また、ごま油の香ばしさが効いたこってり焼きナスとパプリカ、フランベのおかげで香り高く仕上がったトロトロトマトがその都度舌を洗い流し、ステーキの次の一口を新鮮にかんじさせてくれるのがナイスでした。


 この黒酢ソースは肉類ととても相性が良く、他の牛肉の部位を焼いたものや、豚ロースソテーやチキンソテーにも合います。
 野菜をたっぷり食べられるので、食後感がヘルシーな感じなのが嬉しい肉料理でした。

P.S.
 コメントと拍手を下さった皆様、ありがとうございます。

●出典)『華中華』 原作:西ゆうじ 作画:ひきの真二/小学館
※この記事も含め、当ブログの再現料理記事は全てこちらの「再現料理のまとめリンク」に載せています。
※レシピの分量や詳しい内容は、以前こちらでご説明した通り完全非公開に致しております。

Comment

2016.01.07 Thu 23:48  |  久しぶりに

久しぶりにきました。
あけましておめでとうございます。
再現800件達成おめでとうございます。
そういや、この回は当時立ち読みしながら、
ステーキ美味しそうだなぁ。
でも、ステーキと炒飯の組み合わせはどうだろう。と思った覚えがあります。でもって、ロー・サンチクの言葉に、ンだンだと首を縦に振った
覚えも・・・。(他の客は、変なのがいると思ったろ-な。)
そそ、昨年の料理漫画でおどろいたのは
「鉄鍋のジャン」が近代麻雀で「鉄牌のジャン」のタイトルで
「料理系麻雀漫画」として復活し、
(雑誌のアオリをみると、「料理X麻雀Xアクション」となっております。) 12月に創刊した雑誌「真田太平記」(池波正太郎先生の
「真田太平記」の漫画版雑誌です。)にて
「ミスター味っ子」が「ミスター味っ子・ー幕末編ー」として復活したこと
です。
真田は偶さかコンビニで見かけ、「ついに、真田太平記が漫画に
なったか!」と手に取って表紙を見たら味っ子が・・。
この雑誌真田太平記、全20巻予定だそうです。では。 

  • #7G3akKzs
  • 波多野鵡鯨
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  • Edit

2016.01.08 Fri 04:56  |  おめでとうございます!

あんこさん、こんばんは。明けまして&再現料理800達成おめでとうございます( ´ ▽ ` )ノ いやー、すごい!塵も積もれば、などと言えませんね。だって積もったのは砂金、出来たのは宝の山ですもん!
あんこさんの根気と作品や料理を愛する心が積み重ねた、まさにお宝ですね! これからもゆるゆると更新楽しみにしてます!
ステーキと言えば、「ジャンR」の牛肉対決の料理は、三者三様で美味しそうでしたね。では、また〜。

  • #jkZ6tFIc
  • kawajun
  • URL
  • Edit

2016.01.10 Sun 21:57  |  

あんこさん、遅くなりましたが明けましておめでとうございます。昨年はあんこさんが忙しい中更新を続けてこられて、美味しそうな料理の再現記事が読めたことに感謝です。
新年一発目は華中華の再現料理の中でも手間が特にかかりそうなレシピですね~(しかも高級ステーキ用肉を使うという再現度の高さ‥)。だけれどもあんこさんの努力あって完成した料理の写真から美味しさが伝わります。黒酢のソースと脂の多い牛肉の組み合わせはぴったりですね。
今年も楽しみにしています。ただ、くれぐれも無理はなさらずに‥。

  • #-
  • キンメ
  • URL

2016.01.10 Sun 23:25  |  おめでとうございます!

再現料理800個達成、おめでとうございます!
いや〜。それにしてもすごいですね。まさに、「継続は力なり」ですね。そう簡単にできるものではありませんよ。
そうして、あんこさまの記事のおかげで、色々な本にも出逢うこともできました。ありがとうございます。
今回の記事は800回に相応しく、豪華ですね〜。『も、勿体ない。そんな高級肉、普通に焼いて食べたいよ〜』と思ってしまう自分は、再現料理には向いていないのだと思います(笑)
これからも、ゆるゆると更新楽しみにしています。
無理なさらずに、お身体を大切にお過ごしください。

  • #-
  • URL

2016.01.23 Sat 23:58  |  

初めてコメント、拍手します。
昨日たまたまこのブログにとんできまして、料理漫画が昔から好きだった自分は夢中になり2日かけて空いてる時間に読ませてもらいました。これからも楽しみにしています(^^)

  • #-
  • くんこ
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プロフィール

Author:あんこ
・性別:女
・趣味:読書、料理、ゲーム
・一言:食と本をこよなく愛してます。
・特に意欲的に再現中の漫画:
 …『姉のおなかをふくらませるのは僕』
 …『美味しんぼ』
 …『クッキングパパ』
 …『紺田照の合法レシピ』
 …『酒のほそ道』
 …『じったんの時短レシピ』
 …『鉄鍋のジャン!』
 …『なんちゃって駅弁』
 …『華中華』
 …『花のズボラ飯』
 …『まかない君』
 …『ママの味♥魔法のおかわりレシピ』
 …『みをつくし料理帖』
・再現料理を予定中の漫画:
 …『浅草人~あさくさびと~』
 …『鬼平犯科帖』シリーズ
 …『銀の匙』
 …『拳闘暗黒伝セスタス』
 …『スイーツ本部長一ノ瀬櫂』
 …『旅のグ(2)月は知っていた』
 …『テルマエ・ロマエ』
 …『土曜日ランチ!』
 …『BAR・レモンハート』
 …『百姓貴族』
 …『ぶたぶた』シリーズ
 …『ベーグル食べない?~幸せカフェごはん~』
 …『飯盛り侍』
 …『夢色パティシエール』


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・当ブログでは作品のネタバレを含んだレビューも同時に行なっておりますので、作品を未見の方はご注意をお願いいたします。
・各作品に掲載されているレシピの分量は、例外なく全て非公開にする方針を取っておりますので、ご了承の程をお願いいたします(←この件についてご質問頂いた場合、誠に失礼ながら下記の理由でご返信しない方針にしております)。

※現在、公私の多忙と、再現記事のペース維持を理由に、コメント欄へのご返信が出来ない状態が続いております。
 こういう場合、コメント欄は停止するべきなのかもしれませんが、励ましのお言葉やアドバイスを頂く度、ブログのモチベーションアップや心の支えとなったこと、そして率直なご意見や情報を聞けてとても嬉しかったこともあり、誠に自分勝手ながらこのままコメント欄は継続する事に致しました。
 図々しい姿勢で恐縮ですが、ご返信をこまめに出来なくて余裕がある分、ブログ内容を充実&長期的に続けられるよう力をいれる事で皆様のご厚意にお応えし、感謝の気持ちをお返ししていきたいと考えております。
※ただ、ご質問を頂いた際はなるべくお力になれるよう、すぐご返答できるように対処致します。

 応援して下さる方々に少しでも楽しんでご利用して頂けるよう、沢山の作品に触れるちょっとしたきっかけになれるよう、これまで以上に心掛けていきます。
 恐れ入りますが、よろしくお願い致します。

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